令和3年12月24日(金)11:14~11:45 於)復興庁記者会見室

1.発言要旨

 冒頭、令和4年度復興庁一括計上予算概算決定についてご報告します。先ほど開催されました閣議におきまして、令和4年度復興庁一括計上予算案が決定されましたので、ご報告いたします。

 お手元の資料のとおり、令和4年度復興庁一括計上予算案の合計額は5,790億円となっており、その内訳は、被災者支援が278億円、住宅再建復興まちづくりが508億円、産業生業の再生が347億円、原子力災害からの復興再生が4,452億円、創造的復興が157億円となっております。

 概算決定のポイントとしましては、被災自治体からの要望や与党第10次提言を踏まえ、1点目、ALPS処理水の処分に伴う対策のうち、復興特会においては被災地または被災者に対する事業を計上しており、被災県への水産に係る加工、流通、消費対策等を実施するほか、観光等における風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組等を推進いたします。2点目、特定復興再生拠点区域外への対応については、地元と十分に協議をした上で、しっかりと帰還意向の確認等を実施いたします。3点目、創造的復興の中核拠点となる国際教育研究拠点を新設するため、法人設立準備や施設整備、先行プロジェクトに関する取組を実施いたします。今後とも現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、被災地の抱える課題の解決に直結する取組を着実に実施してまいります。

 2点目は、令和4年度復興庁税制改正について説明いたします。

 要望事項でありました帰還・移住等環境整備推進法人に土地等を譲渡した場合等の特例措置の延長、住宅ローン減税の被災者向け措置の延長などについて、政府の税制大綱に盛り込まれております。いずれも、東日本大震災からの復興や、被災者の生活再建において重要な措置であり、効果的な特例が活用されるよう、適切に対応してまいります。

 3点目、令和3年度「新しい東北」復興・創生の星顕彰の受賞者の決定等についてであります。

 この顕彰は、被災地における人口減少などの課題解決に取り組み、魅力あふれる「新しい東北」の創造に向けて貢献されている方を顕彰するものです。応募総数88件の中から、移住・定住を支援する団体や、大規模営農を進める株式会社、震災の伝承に取り組んでいるNPOなど、11件を受賞者として決定いたしました。顕彰式につきましては、年明けの2月11日に仙台市で開催する予定です。

 また、被災を乗り越えて、次の10年にチャレンジする「新しい東北」の先進企業30社を取り上げた今年度の産業復興事例集を本日発行いたしました。いずれも詳細については、事務方へご確認をいただきたいと思います。

 4点目は、本日、大臣等規範に基づき資産公開を行います。内容は事前に配付している資料のとおりであります。

 次に、沖縄関係であります。先ほど令和4年度予算案が閣議決定され、沖縄振興予算は2,684億円を計上しました。先日の会見でも申し上げたとおり、厳しい財政状況の中、当初財務省からは一括交付金について今年度から500億円減の481億円、総額約2,400億円程度という厳しい予算案が提示されていたところ、私自身が財務大臣と折衝を行った結果、一括交付金について281億円の増額が認められ、総額2,684億円を確保することができたものであります。

 今回の予算案では、子供の貧困対策や北部地域及び離島の振興、基地跡地利用など、重点的に取り組むべき分野の予算を増額して確保したほか、産業競争力の強化・産業人材の育成に係る予算を新規に計上しております。

 また、各種公共事業や沖縄科学技術大学院大学等についても、先日成立した令和3年度補正予算と併せ、所要額を確保しております。沖縄の抱える課題解決に向けた取組を支援するとともに、沖縄のさらなる発展のため、今回確保した予算を最大限有効に活用し、引き続き沖縄振興に全力で取り組んでまいります。

 続きまして、お手元にお配りしております「強い沖縄経済の実現に向けた諸方策について 西銘大臣の政策パッケージ」と書かれた資料をご参照していただきたいと思います。

 来年5月15日、沖縄の本土復帰から50年を迎えます。この間、県民の努力もあり、沖縄は目覚ましい発展を遂げ、沖縄経済は順調に拡大をしました。しかしながら、全国最下位の1人当たり県民所得や、労働生産性の低さなど、いまだ解決すべき課題は残っているところであり、また、新型コロナウイルス感染症は、沖縄経済の脆弱性を浮き彫りにしました。

 こうした折、先日閉会しました臨時国会における総理の所信表明演説において、岸田総理は、強い沖縄経済をつくるための取組を進める旨、表明されました。お手元の配付資料の政策パッケージは、このような総理のお考えを踏まえ、強い沖縄経済を実現するための政策手段をまとめたものであります。

 まず、強い沖縄経済を実現するためには、域外競争力の強化や労働生産性の向上、外部変化に強い産業の育成、民間活力の活用などが重要と考えております。年明け以降、速やかに観光や農林水産業をはじめとする重点検討分野を設定しまして、有識者や事業者等からのヒアリングを開始するとともに、車座対話、市町村訪問も引き続き実施しながら検討を進めます。その上で、来年5月をめどに具体的な戦略として取りまとめたいと考えております。

 また、強い沖縄経済をつくるための法制的な基礎となる沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案を、来年の通常国会に提出し、期間を10年延長するとともに、先ほどご報告させていただいた予算、税制、政策金融といった政策手段を最大限に活用し、域外競争力の強化、生産性の向上等に向けた取組を進めてまいります。

 このほか、沖縄復帰50周年を記念する式典や記念切手、記念貨幣をはじめとする記念事業についても、検討準備を進めてまいります。それぞれの取組の詳細については、今後、検討の進捗等を踏まえつつ、ご報告をさせていただきます。

 続きまして、沖縄出張についてご報告いたします。明後日26日から27日にかけて沖縄を訪問します。今回の訪問では、石垣島、竹富島及び西表島を訪れ、石垣港旅客船ターミナル等の振興事業の現場の視察や、首長等との意見交換を行うこととしております。また、今回の出張では、強い沖縄経済の実現に向けて、離島における観光振興に関して、石垣市で観光業に携わっている皆様と車座の対話を行う予定であります。

 最後になりますけれども、北方対策担当大臣としてご報告いたします。北方対策本部の令和4年度予算案は17億100万円となっています。主な内容としまして、若者自らによるこれからの時代に適した啓発手法の検討や実施、デジタルを活用した啓発の積極的な展開などを盛り込んでおります。これらを基に、北方領土返還要求運動などをさらに推進していきたいと考えております。

 私からの報告は以上であります。

 

2.質疑応答

(問)先ほど大臣、話があった沖縄振興特別措置法についてなんですけれども、先日自民党の振興調査会のほうでも、5年か10年かということで議論が起こったということで、今日は10年、この延長を決められて、本日の発表となったということでよろしいですか。

(答)政府に入る前に沖縄振興調査会の幹事長をしておりまして、ヒアリングも相当回数やってまいりましたが、その中でも、時代の流れが早いから、5年で見直すというか、そういう議論があったことも承知をしております。それも踏まえて、法案を提出する側の大臣として、期間は10年で予定をしているということであります。5年以内に見直すという附則の条項が入ってくることも承知をしております。出す側としての考えは10年で法案提出を予定しているということです。

(問)では、その10年の延長を基本基軸として5年以内に見直すという附則条項を新たに設けたという、今回の改正案としてはそういう理解でよろしいんですか。

(答)来年の通常国会に向けての作業になりますので、その5年以内の見直しということも踏まえて、その方向で法案の作成にはなっていくとご理解ください。

(問)すみません、ちょっと今のご説明でちょっと分かりにくかったんですけれども、振興調査会のほうでは期限については、小渕会長に一任して判断してもらっているような話になっているかと思うんですけれども、内閣府として10年で法律を提出する作業に入るということについては、小渕会長との合意というか、調整みたいなものは何かされているんでしょうか。

(答)与党との調整はついております。

(問)復興関連でお伺いしたいと思います。

 今、福島県の最大の課題となっている福島第一原発の処理水に関してです。年末に政府が行動計画を策定して、風評影響の調査などが本格的に来年から始まると聞いております。ただ、今回の予算にも風評対策費などが多く盛り込まれましたが、やはり県民、特に漁業者の人の理解の醸成が進んでいないというような、今後の予算執行に当たって、県民・国民の理解醸成にどう取り組むのか、今後も必要な予算というのがあれば、しっかり確保していく大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

(答)ALPS処理水の海洋放出に対しては、様々な声やご懸念があることは十分理解をしております。この問題につきましては、第三者のIAEA、今回、オミクロンの関係で訪日できなかったんですけれども、国の内外の方々への理解と協力が極めて重要だと考えております。政府としては、きめ細かく関係者の方々をはじめとして、丁寧に説明を尽くしていくことが必要だと考えております。

 例えば、漁業関係者の幹部の方だけではなくて、会員の方、それぞれ一人一人に細かく説明をしていくというようなイメージで考えてよろしいと思いますが、政府一丸となって、決して風評被害を生じさせないという強い決意の下で、徹底した理解醸成活動など、風評対策をはじめ、しっかり対応してまいりたいと思っております。必要な予算はしっかり確保して取り組んでいきたいと考えております。

(問)復興のことでお尋ねしますが、今回、特定復興再生拠点区域外の復興事業ということで、14億円措置されまして、来年度から復興拠点外の取り組みが始まるかということですが、震災から10年が経過して、復興庁の調査でもなかなか戻りたいという方々が1割台から回復しないという状況の中で、どのように特定復興再生拠点区域外の帰還、移住に向けて取り組まれるかということを1点まずお聞きしたいと思います。

(答)拠点外につきましては、きめ細かくご意向を調査していくと。将来的には帰還困難区域の全ての避難指示を解除して、復興再生に責任を持って取り組むという決意には揺らぎはありません。

 今回の基本的な方針は、事故から10年が経過した中、自宅に帰りたいという切実な思いに応えるため、2020年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うこととしたものであります。

 現在、この基本方針に関して政府として各自治体における議会説明を行い、町政懇談会や行政区長会等の場において、住民への説明も重ねてきているところであります。引き続き、地元自治体と協議を重ねつつ、検討を進めてまいります。こうした方針を踏まえて、各自治体の個別の課題や要望を丁寧に伺いながら、避難指示解除に向けた取組をしっかりと前に進めていきたいと考えております。

(問)もう一点お伺いいたします。今回の復興庁所管分の予算が5,790億円ということで、過去最少を更新しているということですが、これはハード面の事業が終わって、成果が出ているということで、悲観すべきことではないとは思うんですけれども、残りの復興・創生期間も来年度を入れると4年間というところで、残された復興財源のフレームで、残りのうちの復興事業が賄えるのかという懸念がございまして、今回のように大体5,000億円程度で進んだとしても、残り3年を賄えるのかというふうに考えられるのですが、こうした財源の見通しについて、今のお考えをお聞かせください。

(答)復興財源のフレームを1.6兆円に対しまして、令和4年度東日本大震災復興関連予算額は約8,400億円を計上しておりますが、概算決定額には東電への求償対象経費等のフレームの対象外の経費が4,000億円強含まれていること。また、復興の進捗によって対象者等が減少していく事業もあり、毎年度の事業費が同水準になるとは見込んでいないこと等から、今回の概算決定によって財源が不足するとは考えておりません。第2期復興・創生期間の事業規模については、これまでも岩手、宮城、福島の被災3県と意見交換をしながら進めてきておりまして、引き続き、必要な復興事業を着実に実施できるように、責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

 十二分に地元と話を重ねてきて、要望を聞きながらやってきておりますので、その基本は変えずにしっかり取り組んでいきたいと考えております。

(問)重ねて恐縮です。2点ほど今日の会見を踏まえて教えていただきたいんですけれども、まず沖縄県が求める3,000億円の確保ができなかったことへの、その受け止めを改めてお聞かせいただきたいということと、必要額は確保できたという思いでいらっしゃるのでしょうか。

 それと、復帰50周年記念事業についてですけれども、これは沖縄県や与党の一部から沖縄・東京での式典の開催について要望が出ていると思います。この案も含めて、お示しされた記念切手、記念貨幣の発行のほかに、具体的に検討している事業についてお聞かせいただければと思います。

(答)50周年記念事業につきましては、沖縄県と国で引き続き協議を進めていくものと考えております。記念硬貨は財務省になりますし、記念切手は郵政になるかと思いますが、そういう方向で進んでいると聞いております。細かい点は、関係する政府、財務省や郵政にお尋ねいただきたいと思います。

 最初の3,000億円の要求に対して2,684億円ということになりましたが、過去10年の沖縄振興予算のデータを見ておりまして、これまでの内閣の決定によりまして、一番高い積み上げで3,000億円台を確保するというのは、これは閣議の総理発言に基づいて続けられてきたものと思っております。

 その上で、県からは引き続き3,000億円の要求があったんですが、概算要求の時点で2,998億円プラス事項要求という形になった時点で、私自身はその10年前の一番厳しい2,300億円のスタートから、どこまで実務的に積み上げてくるのかなという思いで見ておりました。2,400億円という、もうちょっと積み上がるんじゃないかなという思いもあったんですが、その積み上げに対して、一括交付金、そもそも積み上げ方式にはなじまない沖縄で独自性を持って自由度の高い使い方をしてもらおうということであったんでしょうけれども、私自身の感じ方は、例えばこれまで一括交付金を使ってきたもので、もう例えば離島の市町村長さんなんか、離島住民の航路の補助とか、あるいは農水産物の離島の不利性を解消する事業とか、その辺のところは実績からしても、財務省の側もその辺はデータを持っていて理解をしていると思うんですが、もう少し一括交付金の予算要求の在り方は、工夫があって良かったのかなという印象を受けております。

 最終的に、市町村長や経済団体からの強い要望のあった市町村の分の一括交付金、具体的に381億円は是非とも確保しないといけないという強い思いで、最終の財務大臣との折衝に臨んだつもりであります。それと同額の県の分という形で、数字から見ると381億円掛ける2の数字になっておりますが、必要な予算が確保できたのかなという思いで捉えております。

(問)また復興の話に戻ってしまうので恐縮なんですけれども、地震津波被災地域の関係、岩手、宮城を中心とした地震と津波の被災地域への支援の関係で伺いたいんですけれども、徐々に予算額が減っているとはいえ、被災自治体を中心に心のケアなどの継続的な支援を求める声は、いまだに根強いわけなんですけれども、今回の予算でその辺りの支援策について、どのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。

(答)確かに現場で車座等の対話集会を聞いていても、心のケアの部分などは、長期にわたるなという現場の声も率直に聞いておりますし、その辺は、被災者支援など被災地域全般を対象としている事業など、心のケアに必要な部分はしっかり確保していかなければならないと思っておりますし、簡単に、ある時期で急に切れるものではないということも理解しておりますので、地元の要望に応える形で寄り添ってしっかりと対応していかないといけないなというふうには考えております。

(問)沖縄県の話に戻って大変恐縮なんですが、10年で計画を県のほうも策定に向けて現在進めているわけなんですけれども、これは5年以内に見直しというのは、その10年スパンで今、策定が進んでいる振興計画自体を、5年で完全に中身を見直す可能性があるという理解でいいんでしょうか。

(答)10年で出しますし、具体的に5年以内に見直すというのは、時代の流れがこのデジタルの時代を含めて非常に早いものですから、見直しをするという、できるというふうに理解したほうが分かりやすいと思います。10年間の計画を法案として出す分には、しっかり10年で出しまして、例えば議員立法で時代の流れに合わせて、どこか変えていこうという議員立法での動きをやろうと思ったら、それはできるわけですから、国権の最高の機関として、その辺の動きも見ながら、5年に見直すと附則になるんだろうとイメージをしておりますけれども。期間が5年になるという意味ではありませんので、その議論も時代がこれだけ長い、変化が早いから、その都度見直しておかないと、というような、いい意味での理解は十分にしているつもりです。

 ですから、法案を出す担当の大臣としては、沖縄振興、今は特措法ですけれども、10年の期間で出すという方向も調査会長のご理解はいただいているというところです。

(問)じゃ、見直しが必要ならばできるというようなことですか。

(答)そうですね。

(問)分かりました。ありがとうございます。

(以  上)