外務省・新着情報

冒頭発言

在日米軍の駐留経費に係る負担に関する日米合意

【林外務大臣】私(林大臣)からご報告がございます。
 この度、日米外務防衛当局は、在日米軍の駐留経費に係る負担の内容について、実質合意に至りました。
 日本としては、厳しい財政状況を踏まえつつ、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力・対処力をより一層効果的に強化していくことが必要であるとの認識の下、協議を重ねてまいりました。
 その上で、今回の実質合意では、2022年度から2026年度までの5年間で、日本側の負担額は総額1兆551億円、年平均で約2,110億円となります。主なポイントは次のとおりでございます。
 第一に、日米同盟の抑止力・対処力強化への貢献が直接的に見えにくい、光熱水料等を大幅に削減いたしました。日本側の負担割合を約61%から約35%まで段階的に削減し、これにより5年間で約285億円の削減となります。
 第二に、在日米軍の訓練のみならず、自衛隊と米軍との相互運用性を高める共同訓練にも資するような資機材を調達するための経費の項目、これを新たに設けまして、5年間で最大200億円といたしました。
 第三に、今後は、在日米軍の即応性向上、及び施設・区域の抗たん性強化に資する施設整備を重点的に推進していくことといたしました。これについて5年間で、最大1,641億円を見込んでおります。
 日米双方が、真摯に交渉を行った結果、このように、在日米軍の即応性向上、及び抗たん性強化を含めて、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけでなく、自衛隊を含む日米同盟の抑止力・対処力、これをより一層効果的に強化していくことに資する。また、厳しい財政状況を踏まえ、メリハリをつけた経費負担の合意を得ることができたと考えております。
 このように、これまでは、在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でございましたが、今回の合意により、本件経費を用いて、日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致をいたしました。これを踏まえ、「在日米軍駐留経費負担」につきまして、その通称を「同盟強靱化予算」とすることといたしました。
 これまで、在日米軍駐留経費負担については、「思いやり予算」との俗称が使用されることがしばしばありましたが、これは合意の内容を適切に反映していないと考えます。今後、政府としては、「在日米軍駐留経費負担」について、その通称を「同盟強靱化予算」といたしますので、国民の皆様にもご周知をさせていただきたいと思います。
 今後、特別協定については可能な限り早期に署名するべく、日米双方の国内手続き等の必要な作業を進めてまいります。その上で、適当な時期に、日米両国で署名を行い、4月1日までの発効を目指して、国会でのご審議をお願いすることとなります。私(林大臣)からは以上でございます。

在日米軍の駐留経費に係る負担に関する日米合意

【NHK 青木記者】今の点について伺います。この駐留経費については、米国側は、引き続き、Host Nation Supportと呼んでいますけれども、この「強靱化予算」というのは、この呼び方に日米に開きはありませんでしょうか。

【林外務大臣】英語の名称は引き続きHost Nation Supportで変わらないわけでございます。
 日本政府としては、今回の合意によりまして、本件経費を用いて、日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致したことを踏まえまして、今回の合意に基づく「在日米軍駐留経費負担」の性質を端的に示すものとして、その通称を「同盟強靱化予算」とすることとしたものでございます。

【NHK 青木記者】追加で伺います。日本政府としては、とおっしゃいましたけれども、この点、呼び方について、米国とのすり合わせですとか、米国が引き続きこの呼び方を変えない、一方で日本政府は変えた理由について伺います。

【林外務大臣】繰り返しになるかもしれませんが、今回の合意に基づく「在日米軍駐留経費負担」、これをHost Nation Supportと英語では称しておるわけでございます。
 一方で、その通称、先ほど申し上げましたように、「思いやり予算」と、こういうふうな俗称が、しばしば用いられていたということでございますけれども、今回は、その通称を「同盟強靱化予算」とすることにしたということでございます。

【読売新聞 阿部記者】今の質問の関連なんですけれども、「同盟強靱化予算」と呼称するということですけれども、自民党の中でも、なかなか国民の理解という観点で、なかなか理解を得られにくいんじゃないか、分かりづらいんじゃないかという指摘が出ているんですけれども、その点について、今後どう理解を得ていくとお考えでしょうか。

【林外務大臣】これまでは、在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でありましたけれども、今回の合意によって、先ほど少し説明させていただきましたが、この本件経費を用いて、自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の向上を含めて、日米同盟を一層強化する基盤を形成することで一致したということで、これを受けて、「同盟強靱化予算」と呼称をすることにしたものでありますので、この趣旨を分かりやすく、我々としても説明してまいりたいと、こういうふうに思っております。

【朝日新聞 野平記者】今回の合意では、光熱水費を大幅に削減する一方で、資機材の購入費などを新設されたということですが、こういった点で、質の転換というのが一つポイントになるではないかと思うのですが、この点、大臣、どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】先ほど申し上げたとおりでございまして、そういった新しい合意をしたことによって、これも繰り返しになってしまうかもしれませんが、在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担であったのが、この本件経費を用いて、自衛隊の即効性及び米軍との相互運用性の向上を含めて、日米同盟を一層強化する基盤を形成すると、こういうものになったというふうに、私(林大臣)も理解しております。

日中関係(RCEP協定発効)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】中国との今後の関係について一点伺います。来月というか、来年2022年1月1日に、日本及び中国を含む9か国の間でRCEP協定が発効します。日本にとって中国市場は、米国市場を上回る最大の輸出市場です。RCEPは中国との初めての自由貿易協定となり、中国と更に今後、相互依存的な関係が深まっていくと思います。しかし、一方で、自民党の総理経験者からの中国との戦争危機を煽るかのような発言が後を絶ちません。自民党最大派閥の長である安部元首相は、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と述べ、麻生前副総理も7月5日都内の講演で「日米で一緒に台湾を防衛しなければいけない」と述べました。台湾を防衛するとは中国と戦争するという意味としか受け取れません。中国と戦争に踏み切れば、日本は最大の市場を失うことになり、日本経済は、大打撃を受けます。戦争か経済か。外交が果たす役割は大きいと思いますが、大臣のお考えをお示しください。よろしくお願いします。

【林外務大臣】政府を離れた皆様方のコメントについて、私(林大臣)の方から、一つひとつコメントすることは差し控えたいと思います。それを申し上げた上で、RCEPということでございましたので、日本は、世界で保護主義、それから内向き思考、こういうものが強まる中で、TPP11協定以来、日EU・EPAや日米貿易協定、日英EPA、そして今お話のあったRCEP協定など、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してきたところでございます。したがって、今後も引き続き、TPP11協定やRCEP協定等の着実な実施等を通じて、自由で公正な経済圏の拡大や、ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化に取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。

在日米軍の駐留経費に係る負担に関する日米合意

【共同通信 前田記者】Host Nation Supportに戻るんですけれども、総額が増えることについての所感を伺いたかったのですけれども、今回、水道光熱費のあたりは削減をして、代わりに日米の相互運用性を向上するような資機材の購入等という項目を作ったと思うんですけれども、それによって、この5年間で負担する経費というのは増えていると思います。財政が厳しい中という交渉に当たっての基本的な姿勢というのはあったと思うんですけれども、総額が増えることについての受け止めをお願いします。

【林外務大臣】おっしゃるように、令和3年度の予算額2,017億円でございますが、冒頭で申し上げたように、2022年度から2026年度までの5年間で、日本側の負担額は、年平均で約2,110億円ということになりますので、あえて両者を比較いたしますと、現行協定からの増額ということになるわけでございます。
 我が国としては、厳しい財政状況を踏まえながら、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるとともに、日米同盟の抑止力・対処力を一層効果的に強化していく必要があるとの認識の下で、協議を重ねた結果であって、先ほど申し上げたように、厳しい財政状況を踏まえながら、メリハリをつけた経費負担の合意を得ることができたと、こういうふうに考えております。

山口県知事の発言

【中国新聞 樋口記者】先の10月の衆院選で、山口県もしくは、また、山口市の幹部職員が、林大臣の後援会への勧誘活動を行った疑いがあるということで、山口県警から任意の聴取を受けているということが明らかになりました。先ほど、山口県の村岡知事も、県職員が、任意聴取を向けているということを認めました。この件に関して、林大臣、まず事実関係をどのように把握をされているのかということと、大臣もしくは秘書、大臣側からの勧誘の働きかけとか、こういったことがあったのかどうか、この2点お聞かせください。

【林外務大臣】ご指摘のあった山口県知事の発言、これは承知をしておりますが、今のお尋ねは捜査機関の活動に関わるということでございますので、お答え差し控えさせていただきます。

【中国新聞 樋口記者】村岡知事の発言、今日午後の、今日の、幹部職員が聴取を受けているというのは把握をされているけれども、それ以上のことは、一切、今の段階では、捜査中なので言えないということでしょうか?

【林外務大臣】先ほど申し上げたとおりでございます。

日韓関係(次官と駐日韓国大使の面会)

【日本経済新聞 三木記者】日韓関係についてお伺いします。日韓関係についてお伺いします。昨日、森外務次官のところに、姜昌一(カン・チャンイル)・駐日韓国大使が訪れて、日韓関係について協議をしたとの報道があります。大臣もG7の際に韓国の外相と、短い立ち話をされたということですけれども、今回の、次官への訪問は、どのような経緯での実現をして、どのような話し合いが行われ、今後、閣僚レベルで協議を再開していくような意向があるのか教えてください。

【林外務大臣】昨日でございますが、森外務次官は、姜昌一・駐日韓国大使と短時間、面会をいたしております。本面会は、在京外交団との関係維持構築という外交活動の一環として実施をされたものというふうに承知をしております。面会の詳細については、外交上のやりとりのため、差し替えたいと思います。

香港情勢(香港立法会選挙)

【朝日新聞 野平記者】香港情勢についてお伺いします。19日投開票の香港議会選で、過去最低の投票率を記録して、親中派の議員が、ほぼ議席を独占する結果となったのですが、大臣の受けとめをお願いします。

【林外務大臣】19日、選挙制度の変更後、初めて実施をされました香港の立法会選挙につきましては、昨日、香港政府から、結果が公表されたと承知をしております。香港における選挙制度の変更につきましては、これまで国際社会から強い懸念が示されてきており、我が国も繰り返し重大な懸念を表明してまいりました。今般、こうした国際社会の懸念が解消されることなく、香港において、立法会選挙が実施されたことに対して、改めて、重大な懸念を表明いたしたいと思います。
 香港においては、自由で開かれた体制が維持をされ、民主的、安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場でございます。これまでも繰り返し表明してきたとおり、我が国として、香港において、関連の選挙が幅広い政治的意見を代表する候補者を含む、公正な形で実施されることが重要と考えておりまして、引き続き、国際社会とも連携して、中国側の具体的な対応を求めていきたいと考えております。こうした考えに基づいて、今般、G7としても、外相声明で重大な懸念を表明するとともに、外務報道官談話を発出したところでございます。

発信元サイトへ