外務省・新着情報

令和3年12月20日

 12月20日、第13回日中高級事務レベル海洋協議がオンラインにて開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 同協議には、日本側から、外務省のほか、国家安全保障局、水産庁、資源エネルギー庁、海上保安庁、環境省及び防衛省が、また、中国側から、外交部のほか、中央外事工作委員会弁公室、国防部、自然資源部、生態環境部、交通運輸部、農業農村部、中国海警局等が参加しました。
  2. 双方は、11月10日に行われた団長間協議に続き、全体会議のほか、(1)海上法執行及び海上安全、(2)海上防衛、(3)海洋経済の3つのワーキンググループに分かれて会議を行い、東シナ海等に関する様々な課題について率直な対話を行い、また、海洋分野における協力の在り方等について議論しました。
  3. 双方は、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を含め、日中首脳間で一致した共通認識を実現していく観点から、今次協議の開催を歓迎し、海洋安全保障分野について意思疎通を継続していくことで一致しました。
  4. 我が方から、尖閣諸島に関する我が国の立場を改めて述べ、中国側に対し、中国海警船による領海侵入は全く受け入れられず、直ちにこれを止めるよう強く求めました。また、これを含む東シナ海情勢、南シナ海情勢に関する深刻な懸念を表明すると共に、台湾海峡の平和と安定の重要性についても改めて提起しました。さらに、我が国周辺海域における中国の活発化する軍事活動を始めとする海洋・安全保障分野の課題に係る我が国の立場、懸念を改めて申し入れ、中国側の行動の改善を強く求めました。
  5. 我が方から、日本海の大和堆周辺水域における違法操業について、中国側の対応を改めて強く要請するとともに、意思疎通を強化していくことを確認しました。
  6. 我が方は、「瀬取り」への対応を含め、北朝鮮制裁に係る国連安保理決議の完全な履行の重要性を提起しました。
  7. 双方は、東シナ海資源開発に関する「2008年合意」について、同合意の実施に向けて引き続き意思疎通を続けていくことを確認しました。
  8. 中国側から、東電福島第一原発のALPS処理水について言及があり、我が方から、国際法や国内外の規制・ルール等を確実に遵守し、環境及び人の健康と安全を最大限に考慮した措置をとっていることなどしかるべく説明するとともに、今後とも国際社会に対して、透明性をもって、説明していくことを述べました。
  9. 双方は、「日中防衛当局間における海空連絡メカニズム」の「日中防衛当局間のホットライン」について早期開設に向けた調整が着実に進展していることを改めて歓迎し、その実現に向け、双方が最終的な調整を更に加速させていくことで一致しました。また、ハイレベルを含む防衛当局間の意思疎通を引き続き強化していくことで一致しました。
  10. 双方は、2019年2月に発効した日中海上捜索救助(SAR)協定を踏まえた海上捜索救助協力の強化に関する情報交換等を行い、海上保安庁と中国海上捜索救助センターとは、引き続き、地方窓口間の通信訓練等の共同演習の実施を含む円滑・効率的な海上捜索救助に協力して取り組むことで一致しました。
  11. 双方は、海洋プラスチックごみ問題について、G20実施枠組に基づく各国の取組状況に関する情報共有の重要性を認識し、今後もこれに貢献していくことで一致しました。
  12. 双方は、日中外交当局間海洋事務従事者交流等の海洋分野における具体的な協力・交流を推進し、両国の海洋分野における担当若手職員間の相互理解を引き続き増進していくことで一致しました。
  13. 双方は、第14回日中高級事務レベル海洋協議を来年前半に開催することで一致しました。

[参考1]
 日本側団長:船越健裕(ふなこし・たけひろ)外務省アジア大洋州局長
 中国側団長:洪亮(こう・りょう)外交部辺境海洋事務司長
 日中高級事務レベル海洋協議はこれまで局次長級で実施されていたが、前回 (第12回)から局長級にて実施。

[参考2]日中高級事務レベル海洋協議(開催実績)
 第1回   2012年 5月15日~17日、於:中国(浙江省杭州市)
 第2回   2014年 9月23日~24日、於:中国(山東省青島市)
 第3回   2015年 1月21日~23日、於:日本(横浜市)
 第4回   2015年12月 7日~ 9日、於:中国(福建省アモイ市)
 第5回   2016年 9月14日~15日、於:日本(広島市)
 第6回   2016年12月 7日~ 9日、於:中国(海南省海口市)
 第7回   2017年 6月29日~30日、於:日本(福岡市)
 第8回   2017年12月 5日~ 6日、於:中国(上海市)
 第9回   2018年 4月19日~20日、於:日本(仙台市)
 第10回  2018年12月17日~18日、於:中国(浙江省烏鎮)
 第11回  2019年 5月10日~11日、於:日本(北海道小樽市)
 第12回  2021年 2月 3日(オンライン)


発信元サイトへ