財務省・新着情報

 

日時 令和3年12月10日(金)

場所 書面にて開催

内容
1.令和4年1-3月期における物価連動債の発行額等について

〇令和4年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.3のとおり、令和3年度発行計画では、1回の入札当たり2,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.4のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、令和4年1-3月期における発行額等について、ご意見をお伺いするもの。
 
・10-12月期については、P.5のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、11月に発行額2,000億円で入札を行うとともに、買入消却入札を毎月500億円実施することとしたところ。発行入札および買入消却入札の結果はそれぞれP.6、P.7のとおりである。

・流通市場の状況については、P.8、P.9のとおりである。この半年程度の推移をみると、原油価格や世界的な物価の上昇等を背景に、各国のBEIは振れを伴いつつも上昇しており、日本のBEIについても、概ね同様の動きとなっている。また、銘柄別の動きをみても、バラつきは引き続き大きいものの、殆どの銘柄でBEIが上昇している。

・また、皆様から事前にご意見を伺ったところ、多くの参加者からは、金融市場全体で物価上昇がテーマとなる中、BEIは振れを伴いつつも堅調に推移していることや、発行入札・買入消却入札・日銀買入オペの結果を見てもいずれも非常に需給が良好であること等から、発行額を据え置きつつも買入消却額を大幅に減額することが望ましいとのご意見を頂戴した。

・他方、一部の参加者からは、需給は改善傾向にはあるものの、改善傾向の芽を摘むような措置はまだ避けるべきと考えていることや、国内の物価上昇の継続性には疑義があること等から、発行額・買入消却額を据え置くことが望ましいとのご意見を頂戴した。
 
・加えて、ごく一部の参加者からは、発行入札の結果が非常に堅調であること等から、買入消却額を据え置きつつ、発行額を増額することが望ましいとのご意見も頂戴した。
 
・当局としては、物価連動債市場の育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、現在の発行額および買入消却額については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした市況の大幅な悪化を受けた異例・臨時の措置で、これが常態化することは望ましくないと考える。こうした考えに沿って、9月の会合において、令和4年1-3月期についてはこうした措置からの正常化に向け、一歩踏み込んだ検討を行いたい旨をお伝えしていたところ。
 
・こうした経緯や皆様のご意見も踏まえ、P.10に当局の提案をお示ししている。令和4年1-3月期の発行額は、10-12月期と同様、2,000億円の発行入札を1回行うこととしつつ、買入消却額については、10-12月期から減額し、毎月200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考える。ただし、期中に市場環境等が大きく悪化した場合には、柔軟に買入消却のオファー額を増額するなどの措置を講じる考えである。

・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた当局の提案について説明した。
 令和4年1-3月期における発行額等については、本会合の内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様のご意見を頂戴したい。
 なお、買入消却は令和元年7-9月期までは隔月200億円で実施していたことに鑑みると、当局としては、今回お示しした案は未だ正常化の途上であると認識している。令和4年4-6月期以降についても正常化に向けた検討を行いたいと考えているが、その際はこれまで通り入札等の状況・市況や皆様のご意見も踏まえつつ、慎重に判断していきたい考えである。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・9月の本会合で異例・臨時の措置からの正常化については既に言及されており、発行額については2,000億円での据え置き、買入消却額については毎月200億円への減額、の当局の提案に賛成する。

・直近(12月3日)実施された買入消却は非常に強い結果であったほか11月に実施された入札も強い結果であり、茲許需給の引き締まりが顕著となってきている。コロナ禍を発端とした需給不安の時間帯は概ね終了したとみて、まずは買入消却を減額しつつ、新規発行については現状維持とする当局の提案に賛成する。

・茲許の吸収超の異例措置の正常化の方向感に違和感ない。
 但し、市場の健全な育成・成長の観点から、足元、当局・日本銀行の買入効果が市場環境を改善し、少しずつ投資家の回帰、裾野拡大が確認され始めたばかりであることから、正常化へのスピードについては、引き続き市場との前広な対話を通じて柔軟な対応をしてほしい。

・物価連動債市場は当局による発行減額・買入消却増額の累積的効果もあって需給の改善が見られている。グローバルのインフレに対する強いフォーカスの影響が日本にも波及してきていると見られることもあり、投資家需要も改善しているように見える。市場の在庫状況も直近の日銀買入オペ・当局の買入消却の結果にも表れているようにもう重たさはないと見ている。したがって、当局の提案通り月300億円の減額に賛成する。更に今後は投資家層の裾野も徐々に広がりを見せていく可能性があるため、実際にそうなった場合には発行の増額も検討するべきだと考える。

・直近の入札も実勢対比堅調な結果となり買入消却や日銀買入オペも実勢付近もしくはテールする結果が継続しており需給が改善傾向にあることが伺える。一方で豊富な買入消却や日銀オペのため一部既発債は需給がタイトな状況となっている。需給が改善傾向である事から大幅な吸収超になっている需給バランスをまずは買入消却の減額にて調整する当局の提案に賛成する。

・継続して行われている当局・日本銀行の買入れにより物価連動債の需給は著しく改善している。BEIの水準や直近の入札及び買入消却の結果の強さに鑑みて、買入消却はコロナ前と同じ月間200億円まで減額する余地があると考える。現段階の需給の調整は機動性の観点から買入消却から始めるのが望ましい。今後、状況次第では発行額も正常化できるか検討するべきと考える。

・11月の物価連動債の入札は非常に堅調、かつその後のBEI推移もしっかりしており、一部の投資家にて日本国債でもインフレヘッジを行っている可能性が高そう。しかし一方で、多くの投資家は日本の物価が継続的に上昇するとは見込んでおらず、現状の需要の強さが継続するかはもう少し見極めの期間が必要だと考えており、1-3月は発行額据置、買入額についても慎重な減額を希望する。

・当局の提案に賛成する。

・世界的なインフレ基調により、日本の物価連動債市場でも多数の投資家による参入が認められた。来年以降も国内外の幅広い投資家の参入が継続するようであれば、コロナ禍において臨時措置として減額した1回当たり発行額を、適宜3,000億円に戻すことも視野に入れるべきと考える。

・減額と、正常化の方針を支持する。
 物価が堅調に推移する場合、隔月で200億円の買入消却が正常化のゴールなのか、それとも固定利付債と同様ゼロがあるべき姿なのか、方針が明確化されることを希望する。

・買入消却をまずはやめてから発行増額をという意見を以前聞いた気がするが、買入消却を維持しながら発行増額をした方が市場は広がると思う。買入消却については減額という形でこれからも維持するのであれば、発行額については現状維持でも増額でもよい。落札上位陣の意見を最優先で聞いていただければと思う。

・物価連動債は海外におけるインフレ懸念等にサポートされる形で名目債対比では堅調な地合いが続いているが、海外対比で見れば割安な状況は解消されていないとの認識である。また、流動性に関しては引き続き脆弱であり、セカンダリー市場において日中殆ど出合いを伴わないまま価格が形成されているような状況にあることに加え、カレント近辺の銘柄と発行量の多かったオフ・ザ・ランの銘柄間における需給格差も引き続き残存しているように見受けられる。前回の入札は好調ではあったが、引き続き一部の投資家による市場形成の様相が強いと思われ、投資家の裾野拡大には今しばらく時間が必要と感じている。足元の状況で発行・買入のバランスを変更することは市場の改善基調に水を差す可能性もあるので、1-3月期については、足元程度の発行額(1回の入札当たり2,000億円)および買入消却額(1回の入札当たり500億円)の継続を支持する。

・正常化に向けて最終的には発行額を増額していくことが重要と考える。しかし、発行増額となると最低でも1回の入札あたり1,000億円の発行増額が想定されるが、そのインパクトは大きいものになる。当局の提案の内容であれば、四半期で見れば900億円の買入れ減と、累積的なインパクトは大きく変わらないものの、1回の入札あたりの影響度合いを分散させる効果が期待できるため、影響度合いは緩和化されるのではないかと考える。

・欧米のインフレ指標は足元では2%を超える伸びを示しているが、国内では消費者物価に及ぶインフレ圧力の程度は現段階では限定的ながら、企業物価は大きく上昇していることから日本の物価上昇に対する期待感は高まりつつある。先日実施された11月の物価連動債発行入札が非常に強い結果となったこともその証左と見ており、まだ先行きは不透明ながら、現状の異例・臨時の措置からの正常化に向けた対応を進めることは可能だと考える。

・当局の提案に賛成する。茲許BEIは堅調に推移しているほか、直近行われた発行入札、買入消却ともに強い結果となっていることに鑑みると、臨時の措置としての買入消却を増額してきた部分に関しては減額する余地が生まれたと考える。

・発行量に対して買入消却の額が大きくかえって流動性を損ねていた面もあるので、発行量を2,000億円で据え置きつつ1回当たりの買入消却額を200億円に減額することに賛同する。特に前回買入消却でテールが大きく流れたこと、また世界的な物価の上昇を背景に投資家からの買い引き合いが多くなり、価格変動が大きくなったことが理由である。

・当局の提案に賛成する。

・BEIは直近多少上下しているものの改善傾向に変化はない。よって、発行額対比で金額が大きい買入消却額の減額案を支持する。

・現状の市場環境においては、当局の提案の通り、1回の買入額を200億円程度に減額するのが適当と考える。

2.令和4年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について

〇令和4年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.12のとおり、令和3年度発行計画では、
 (1)残存1-5年ゾーンについては2.4兆円、残存5-15.5年ゾーンについては6.0兆円、
    残存15.5-39年ゾーンについては3.0兆円とし、合計で年間11.4兆円を発行することを想定しつつ、
 (2)最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
 これを受け、本日は、令和4年1-3月期におけるゾーン毎の発行額等について、ご意見をお伺いするもの。

・P.13のとおり、10-12月期においては、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の11月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月の10月と12月に5,000億円の発行とした。これらの結果はP.14~16のとおり。
 
・こうした中で、令和4年1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前にご意見を伺ったところ、一部の参加者からは、特に残存1-5年ゾーンにおける需給のタイト化から、同ゾーンの増額を希望する旨のご意見をいただいたものの、殆どの参加者から、残存1-5年のみならず、全ゾーンの需要が強いこと等から、ゾーン間の発行額のバランスを変更する必要があるほどに需給状況に大きな変化がみられているわけではないため、現状の発行額等を維持することが適当、とのご意見を頂戴した。

・これを受け、P.17にあるとおり、令和4年1-3月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行としてはどうかと考える。

・令和4年1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本会合の内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様のご意見を頂戴したい。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・3区分ともにオフ・ザ・ラン銘柄への需要は引き続き強く、現状維持を希望する。増額の余地があるのであれば、残存1-5年ゾーンの増額を希望する。

・何れの年限についても現状維持となる当局の提案を支持する。残存1-5年ゾーンの流動性供給入札については、直近の入札結果が示す通り、引き続き需要が旺盛な状況だが、発行計画を変更してまで対応する程の状況ではないとの認識である。

・各ゾーンとも投資家需要・証券会社のショートカバーニーズが大きいため現状維持を希望するが、特に残存1-5年ゾーンについては需給でイールドカーブが歪むことも多く増額する余地は高いと考える。

・残存1-5年ゾーンについては、一部需給の引き締まった状況が恒常化している銘柄が見られ、投資家需要と安定したマーケット・メイクのためには増額が必要と思料する。具体的には現在の隔月4,000億から隔月5,000億への増額が適当と考える。

・今年度は合計での年間発行額が既に決まっているので、セクター間の増減はせず現状維持の当局の提案を支持する。ただし、国債市場の流動性確保の観点からも、来年度は流動性供給入札の大幅な増額が必要と考える。

・マーケット・メイクを円滑に行う観点から、残存1-5年ゾーンの流動性供給入札の増額を希望する。更に、40年債据え置きおよび残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札増額を希望する。

・来年度発行については、残存1-5年ゾーン、残存5-15.5年ゾーンの増額を希望したところであるが、今年度年間発行額を念頭に、投資家需要及び証券会社のカバーニーズを踏まえると、現状と同程度の配分が適当と考える。

・常にニーズはあるのでぜひこれからも継続してほしいのと、増額を希望している方が多そうに思える。実際強い結果の入札となることも多いので、これも落札上位陣の意見を最優先で聞いていただければと思う。

 ・当局の提案に賛成する。引き続き各ゾーンともに流動性供給入札での購入ニーズは強く、各ゾーンの配分を変更する余地はないと思う。

・1-3月に関しては、ここ数年では海外の買いもしっかりしたものが見られることもあるので、余裕があれば残存1-5年ゾーンを増やしてほしいとは考える。しかし、この時期は生保の駆け込み買いも考えられるため、そのために残存15.5-39年ゾーンを減らすのは避けていただきたいのも事実である。今四半期に関しては、現状維持で進むべきと考える。

・流動性供給入札については、各ゾーンとも相応の需要が見られており、現時点で特段発行額の変更等の措置は必要ないとの認識である。

・当局の提案に賛同する。

3.令和4年度国債発行計画について

〇令和4年度国債発行計画の現在の検討状況について、理財局から以下のように説明を行った。

・令和4年度国債発行計画について、現在の検討状況を説明する。 

・P.19の左側に、「発行根拠法別発行額」、すなわち使途別の要調達額についての検討状況をお示ししている。新規国債及び復興債は予算編成過程において、財投債は財政投融資計画の策定過程において、それぞれ発行規模が決定されることになるが、現時点において確たることを申し上げる状況にない。

・国債発行総額の大宗を占める借換債については、今年度当初計画よりも増加する見込みである。

・右側には消化方式別発行額の検討状況をお示ししている。「個人向け販売分」・「日銀乗換」・「入札時の追加発行分等」についてもまだ精査中である。以上を踏まえ、「市中発行額」を決定することとなる。

・P.20及びP.21には、先月の本会合及び国債投資家懇談会で頂戴した、カレンダーベース市中発行額の年限構成に関する意見を整理させていただいた。

・超長期ゾーンについて、40年債については、優先順位の高いものとして増額を希望する意見が多くあった一方で、一部の方からは現状維持を希望する意見も聞かれた。また、証券会社の方からは、マーケット・メイクの観点から毎月化を希望する意見が聞かれ、毎月化するのに際しては1回4,000億円への増額を希望する意見が聞かれた。また、30年債については、現状維持を希望する意見が多くあった一方で、減額を希望する意見もあった。20年債については、増額を希望する意見、現状維持を希望する意見が聞かれた。

・長期・中期ゾーンについて、日銀の金融政策のコントロール下にあることから、増額・減額いずれも可能という意見が多く聞かれたが、10年債についてはプラス金利のゾーンであることからニーズが強いとする意見や、2年債については減額の余地があるとの意見も聞かれた。

・短期ゾーンについて、国債発行総額を抑制することで短期債を減額していく、という当局の方針に理解を示す意見が多く聞かれた一方で、担保目的でのニーズがあることから現状維持を希望する意見も聞かれた。

・流動性供給入札については、残存1-5年ゾーンについて、需給がタイトな状況が継続しており増額を希望する意見が多く聞かれた。

・物価連動債については、足元のBEIに鑑み発行額を1回3,000億円に増額することを希望する意見や、発行額の増額の前にまず買入消却の減額を希望する意見が聞かれた。

・今後、いただいたご意見等を踏まえ、令和4年度国債発行計画の具体的な内容を決定の上、例年どおり、令和4年度予算と併せて公表する予定。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・多くの社(9社)から、特段の意見無し又は前回会合時から意見の変更がないという意見が提出された。

・(40年債の増額余地について)増額に際しては、40年債の増額余地が高いものと思料する。足元投資家の需要は相応にあることから、需給が逼迫するケースが散見される。また、現在の隔月発行では、入札前後で流動性に大きな差が見られており、流動性平滑化の観点から、毎月発行へのシフトの余地もあるものと思料する。
 (流動性の増額余地について)足元新発債の発行増が続いている中で、既発債との需給格差が拡大しており、既発債の流動性が大きく低下している。市場流動性確保の観点から、特に顧客からの需要が根強い短期の流動性供給入札の2,000億円増額を検討してほしい。

・11月会合時同様、40年債には一定の増額余地があると考える。一方、他の超長期ゾーン(20年債及び30年債)についても、発行額と投資家需要は概ね見合っており、現状維持が望ましく、減額余地があるとすれば、日銀買入量によるコントロールが可能な10年債以下が適切と思料する。

・40年債の増額について様々な議論が為されているが、当社としては20年債・30年債・40年債何れの年限も現状維持が望ましいと考える。40年債の毎月発行化については30年債及び流動性供給(残存15.5-39年ゾーン)の発行減額を伴う可能性が有るとの認識で、先日の会合でも説明したが、30年債や流動性供給(残存15.5-39年ゾーン)は投資家需要がかなり高いと考える。一方で40年債は、大幅に増額する程には需要が強くないとの認識である。従って、30年債の減額を回避するとともに、40年債については、仮に増額するとしても隔月1,000億増となる隔月7,000億が適切な発行額ではないかと考える。
 10年債以下の年限について、短期ゾーンについては減額を支持する。中期・長期ゾーンについては、短期ゾーンの発行減と現状の需給環境を鑑み、2年債減額と流動性(残存1-5年ゾーン)の増額を希望する。

・40年債の需給状況はよいため、毎月4,000億円、もしくは隔月8,000億円程度の規模までであれば増額可能と見ている。入札の毎月化を望む声が多ければ、それには反対しない。残存1-5年ゾーンの流動性供給入札については需給がタイトな銘柄が依然として多いため、引き続き増額を希望する。超長期ゾーンにおいてもオフ・ザ・ラン銘柄の需要は強いため、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札の減額は望ましくないと考える。

・11月会合時の通り、40年債の増額を希望する。4,000億円、毎月発行、価格コンベンショナル方式への移行を要望する。また、流動性供給入札についても変わらず、残存1-5年ゾーン区分の増額を希望する。

・前回会合時において、40年債増額希望のあまりの多さに驚いたが、落札上位陣の意見でもあったので、上位陣の意見にもちろん従う。また、物価連動債や、流動性供給入札にも増額希望が多かったように思えたのでそれももちろん上位陣の意見に従う。

・40年債増額には慎重な判断が必要だと思う。前回会合で指摘があったように、40年債内のイールドカーブでは前回会合後もカレント14回債はスティープの幅を拡大している。よって、11月以降に見られた40年債のフラット化はオフ・ザ・ラン銘柄主導であった可能性が高いと考える。更に開示資料などから一部生保は長期化が一定程度進んだことから来期の長期化減速を示唆するような記述もあり、現在の需要が来期も継続するとの前提でカレント40年債増額を検討することに懸念を感じる。フラット化がオフ・ザ・ラン銘柄主導だった可能性が高い点も考慮すると尚更である。以上を踏まえると、現在の需要に対応するためには40年債カレントの発行を据え置き、増額は残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札で対応すべきだと思う。

・国の債務管理の在り方に関する懇談会での議論を踏まえると、基本的には増額は超長期ゾーン、減額は短中期ゾーンを中心とするべきと考える。40年債増額は、隔月6,000億円から、毎月4,000億円に変更する程度であれば、超長期内の他年限の減額等はなくても、無理なく増額できるものと想定する。
 また、債務短期化の是正のため、短期国債は今後趨勢的に減額が続くと想定されるが、担保需要は引き続き旺盛であり、実際の市中減額の際には、市場参加者とのしっかりとしたコミュニケーションを期待する。

・40年ゾーンの増額を希望する。40年ゾーンについては、買いたいけれど30年ゾーン対比割高なため購入を見送っている国内投資家も散見され、増額することで現在よりもより多くの投資家を惹きつけることが可能となり、同ゾーンの育成に資すると考える。
 また毎月発行となる場合においては、日程の窮屈さはあるものの、デルタ供給の平準化を図る観点から残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札も併せて毎月発行化するのが望ましいと考える。

・40年債の発行増となる場合、隔月発行でも毎月発行でもよいと思うが、入札方式については現状のダッチ方式を希望する。

・2020年7月の大規模増額以降、緊張感の一層増す入札も多く、テールが想定以上に拡大するケースも散見されている。こうした状況を踏まえ、利付債については、全ゾーンで据え置きを希望する。

4.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・コロナ対応に伴い、異例の発行額が続いているが、今後正常化の過程において①短期債に大きく依存した発行を均していくこと、②発行量が財政規律の担保された形であること、が重要と思料している。
 特に、足元、日本銀行の大規模な金融緩和の下で、日本国債市場は大幅な国債増額を受けても安定的な値動きを続けているが、海外投資家の日本国債シェアが増える中、将来的な金融緩和解除を見据え、これまで同様、日本国債市場の健全な成長と安定的な投資環境の提供を維持する運営をしてほしい。

・オミクロン株やFRBのテーパリング加速などが材料となって11月後半から米国債中心にボラティリティが高まり、日本国債市場のボラティリティも高まっていた。特に先物市場で大きくボラティリティが高まったが、足元では日米ともに少しずつ落ち着きつつある。FOMCなどの材料も年内に残っているが、ひとまず年末に向けて静かな展開が予想される。日本国債市場でも、国債発行計画で波乱がないようであれば年内は静かに終わるのではないか。ただ、来年はインフレ・経済・金融政策のすべてにおいて不確実性が高く、グローバル債券市場のボラティリティは高まってくることを予想している。

・昨今の国債市場においては、令和4年度の国債発行計画に注目が集まっている。前倒債の活用等を勘案すると利付債の発行額が大きく変わるとは想定していないが、発行計画の内容や今後の運営次第では想定以上のボラティリティの上昇に繋がる可能性もあるので、国債の安定消化に支障をきたす展開とならぬよう、引き続き当局間での丁寧な連携と市場との密なコミュニケーションを継続頂ければと思う。増額が可能かどうかという点については、一部銘柄の流動性や一時的な需給逼迫等ももちろん理由の1つになると思うが、本質的には長期的に保有可能な投資家の裾野が拡大しているかが一番重要なポイントであると考える。昨今の入札を見ても必ずしも恒常的に応札倍率が上昇している訳でもなく、従前対比、裾野拡大が十分に進行しているとは言えないと感じている。日銀の国債買入額に左右されず、国債の安定的な発行・中長期的な調達コスト抑制による円滑な財政運営の基盤確保を実現していくためには、財政健全化を推進し、新規財源債の発行額を抑制するという観点も改めて重視してもらえればと思う。

・最近の日本国債市場は、主に欧米の金融政策、オミクロン株の動向、インフレの行方、に伴う外部環境の変化を注視しているが、全体的にはYCCと日銀国債買入のもとで10年債利回りに過度な金利上昇警戒は台頭していないので、安定的に各年限ともに売買が成立している状況だと思う。私どもの見通しとしては緩やかではあるが各国金融政策の正常化に伴い、中期的に金利は上昇していくと想定する。

・リスク要因としてインフレ動向に基づき今後の海外の金融政策の折り込み状況が大きく変化しグローバルな金利変動に繋がる可能性があるが、国内金利が一時的に変動幅を拡大してもYCCのサポートの元で継続的なものにはつながらないと考える。

・夏場以降、10月末までは欧米債市場との相関が非常に高かったものの、BOE利上げ見送り及び欧州でのコロナウイルス感染状況が悪化して来た11月前半から、各国債券市場でのディカップリングが発生し始め、海外市場への感応度が徐々に落ちて来ている印象である。
 11月末のオミクロン株報道を受けてからは先物主導での金利低下となったが、金利低下を受け、現物債には戻り売りが散見されている状況である。5年債と先物チーペストのカーブがインバート化、また5-7-10年のバランスで見ても、グローバル金利低下局面となっていた夏場の水準を既に超えてきており、年末に向けて更なる流動性低下が懸念されている。
 10月以降は米国債市場だけでは無く、欧州債市場でもカーブが大きくフラットニングしたが、日本国債市場ではフラットニングが全く起きておらず、超長期ゾーンの需給の悪さ、参加者の減少を改めて感じさせられる直近の状況である。
 当面は金融政策の変更が期待されるような環境下では無く、加えて解散総選挙が終了、追加経済対策を受けての増額懸念もほぼ払拭された事を受け、金利先高観も金利先安観も喪失し、セカンダリー市場での売買が徐々に減少している。
 今後の見通しについては、国内要因については当面乏しく、引き続き欧米債市場を睨みながらの展開が継続、年度内は10年債で0.05~0.10%をコアレンジとした推移となりそうである。来年度は国内でもCPI上昇が警戒される局面が出て来そうな雰囲気ではあるが、今年度内のテーマにはならないとの認識である。

・本年3月に実施された日銀による金融政策に関する「点検」以降、海外金利等外部環境に応じた適度な相場変動が見られるようになった。他方、昨年7月の大規模な国債増額以降、一部年限ではカレント/オフ・ザ・ラン間や、増額前銘柄/増額後銘柄等、銘柄及び年限間の需給格差が広がってきており、今後、新発債発行減/流動性供給発行増等の発行割合のリバランスが必要になってくる可能性が出てきていると感じている。

・国内の物価は安定しているため、日銀による現状の金融政策は当面維持されるとの見方から、足元の日本国債市場は落ち着いた値動きとなっている。一方、グローバルには供給制約やコロナ禍の影響で抑え込まれていた需要の反動増により物価が急上昇している。これを受けた金融引き締めへの警戒感から海外金利がやや不安定な値動きを示しているため、日本国債への波及については幾分注意が必要と考える。

・足元では、FRBの早期利上げが想定されているのにも拘らず、インフレ退治の代償としての中長期的な景気腰折れ懸念が台頭しているためか、2023年から2025年にかけてのフォワードの1カ月OISカーブは、むしろ低下、即ち利下げの可能性が若干ながら織り込まれている。こういった中で長期金利の上昇幅は限定的なものになっており、結果的に日本国債10年債金利は0.05%前後、40年債金利も0.70%程度と低位安定している。
 もっとも、金利先高観を見通す投資家は多く、テーパリングが進み、利上げへと進んでいく過程で、米金利は今の位置よりは高い水準へと動いていくと思われるが、自然利子率の低下が見込まれる中で、激しい金利上昇をするというようには当社では考えておらず、米10年債金利も2%をやや超えるかどうかという水準がピークになるのだと思う。
 そういった中で、日本については、日銀の金融政策の引き締め方向への転換は想定していないものの、円安が過度に進むことや、CPIにおける携帯料金などの政策効果が剥落していけば、行き過ぎた緩和政策の若干の修正が意識される局面は、将来的には起こり得ると考える。特に2023年春以降では、日銀総裁も交代すると思うので、そういった思惑が生じやすい地合いにはあるものと思う。
 ややボラティリティが、今よりは上がる局面もあるものと想定しているが、そういったことになれば、海外投資家等の需要が膨らむ場面もあると考えており、アベレージオーダーも増えていく可能性があるのだと当社では考える。引き続き、第Ⅰ非価格競争入札の増額を希望する。

・「イールドカーブ・コントロールが残存10年までの利回り変動幅をタイトとし、日銀の支配力が弱い超長期ゾーンもタームストラクチャーの存在などから一方的な利回り上昇が回避される」という基本的枠組みに変化はない。我が国の10月消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)が0.7%減である。携帯電話料金の引き下げの影響が強く、それを差し引き、また、「Go To トラベル」の影響剥落の押し上げ要因も除くと前年比は0.4%増となる。加えて、多くの企業は川上の物価上昇を川下に転嫁しない努力を続けているものの、川上の11月企業物価は前年比9.0%増と1980年12月以来の高い伸びとなり、最近は様々な商品の値上げが伝えられ始めている。以前に比べると多少の警戒は必要だが、それでも、「2%は遠い」という理解が大きく変わることはあるまい。超長期ゾーンの需給に関し、8、9、10月と生保(・損保)の超長期国債の買い越し額が増える一方、来年度の40年債増額がほぼ織り込まれた状況となり、足元は良好と言える。
 さて、日米長期金利の連動性が引き続き一定に高く、それゆえ、米国経済とFRBの金融政策の行方は気になる。供給制約を主因とする物価上昇が当初見込みより長引いている。FRBはテーパリングの終了を早め、利上げ開始時期の自由度を確保することが既定路線になるなどタカ派傾斜が鮮明になっている。しかし、このFRBの姿勢は市場のスタグフレーション懸念を強め、イールド・カ-ブはツイストを含めてフラット化する場面が増えている。スタグフレーションが現実となれば、長期金利は上がらない。一方、供給制約が解消されるなら、FRBは利上げできないかその回数がミニマムとなり、今度は発射台となる短期金利が反落しよう。したがって、米長期金利のピークもさほど高くないと予想している。したがって、メイン・シナリオでは日米長期金利の持続的連れ高は排除されよう。なお、米長期金利を分解した際、懸念されるのは期待インフレ率の上昇ではなく、大幅マイナスである実質金利の上昇かもしれないと考える。

・「オミクロン」によるリスクオフと米国のテーパリングの速度、利上げ時期を巡り、米国債のボラティリティが高まる中で、日本の国債市場は安定した相場展開となっている。今後も、海外市場の値動きに多少は影響を受けると思うが、日銀のオペが続く限りは、レンジ相場の域を超えないと考える。

・USネームを中心にイールドダッチ方式だから入札に参加する顧客が少なからずいる。40年債の増額と併せて価格競争入札方式へ変更する場合は、プライマリー市場における供給増と需要減となる措置を同時に取ることとなり、かなり慎重な判断が必要だと考える。
 また、イールドダッチ方式だから実勢対比高く発行されたとの意見があった。確かにそういったことが起こることには異論ない。ただし、その様な事象の発生頻度を検証すると、6,000億円発行となった4月以降4回の入札で前場引け時点実勢対比高く決まったのは11月債の1回のみである。他の3回は前場引け時点実勢対比低めに決定している。過去の本会合でも複数社から指摘があったように、応札時点の需要不足を補完する結果となり、イールドダッチ方式が価格の安定に寄与していたと考える。
 よって、本来は残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札増額で対応すべきと考えるが、カレント40年債の増額を推す方が多数であるならば、40年債増額自体には賛成する。しかしながら、同時に価格競争入札方式への移行を40年債増額と同時に行うことには反対する。

・引き続き海外金利に連動して動く展開が続いている。直近では新型コロナの変異株出現による脅威からグローバルに金利低下した後、懸念がやや後退したことで金利も戻している。今後もグローバルの金利動向をにらみながら、日本国債金利も上下することが想定される。

・既発債における流動性が一段と低下していることから、レラティブバリュー投資家の日本国債市場への参加が細ってきていると感じる。YCCで金利の動きを制御しているから止むを得ないとの意見もあるが、流通市場の縮小が大規模な新規国債発行の継続にマイナスであることは明白である。5年を超える日銀YCC運営については制御する金利年限の短期化など、その方法についてもう一段の検証が必要な時期であると考える。

 

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