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第32回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和3年10月14日(木)10:00~11:05

場所

中央合同庁舎第2号館8階第1特別会議室(WEB会議併用)

出席者

(委員)澤田道隆委員長、梶川融委員長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋伸子委員、野﨑邦夫委員、浜野京委員、原田久委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)白岩行政管理局長、阪本総括審議官、方管理官他

議事

1. 令和3年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る次期目標の策定等に向けた論点について
2.  国立大学法人等の業務運営について
3.  「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について(報告)

配布資料
資料1
資料2
資料3
・審議の結果決定された「国立大学法人等の業務運営について
 

議事録

【澤田委員長】 ただいまから第32回独立行政法人評価制度委員会を開会します。これまで、コロナ禍でのリモート開催が中心でしたけれども、ハイブリッドとはいえリアルな機会を持つことができたことを大変うれしく思います。
本日の会議は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者には、会議の様子をオンラインで視聴していただくこととしております。
それでは、早速審議に入ります。よろしくお願いいたします。
まず、議題1の令和3年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る次期目標の策定等に向けた論点について、まず、原田評価部会長から御説明をお願いします。
【原田委員】 評価部会では、今年度見直し対象の12法人と独立行政法人通則法の準用法人である法テラスを合わせた13の法人を対象として、2つのユニットに分かれまして、主務省へのヒアリング、各法人の長及び今年度は監事の方に御説明及び御意見を伺う機会を設けたところです。こうした意見交換を踏まえまして、見込評価及び業務・組織見直しの内容を確認するとともに、年度末の中期目標あるいは中(長)期目標の策定等に向けた論点の整理を行ってきたところです。
両ユニットにおいて整理した論点について、お手元の資料のとおり取りまとめましたので、事務局からその内容について報告をお願いします。
【方管理官】 それでは、事務局から見直し法人関係の御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。
まず、郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)は、郵政民営化以前に発生した郵便貯金や簡易生命保険に関する債務の管理を担う法人であり、預金者の権利消滅を防止し、早期払戻しを促すための周知・広報業務を行っています。
現在残っている預金者に対しては、従来の周知・広報手法が効きづらいと想定されることから、各広報施策を効率・効果の両面から継続的に検証・改善していけるようにすべきではないかといった論点や、簡易生命保険管理業務の委託先等に対してしっかりと監査を行うべきではないかという論点がございます。
次に、国際協力機構(JICA)でございます。JICAは、政府開発援助(ODA)を一元的に行う法人ですが、今後一層重要性を増すICT基盤整備のような開発課題への対応は、インフラ輸出のパッケージの中でプラットフォーム構築支援を行う等、開発協力の一体性・効率性の視点を踏まえ、関係府省庁や民間企業等とも連携を深めつつ推進してはどうかという論点がございます。
また、ICT等の重点分野における専門人材の確保・育成について、関係機関とも連携して、人材に係るネットワークの整備や育成に係る仕組みの構築等を進めてはどうかという論点がございます。
さらに、見込評価においてA以上の高い評定の項目が多いことから、次期はさらに高みを目指し、より質の高い取組を促すため、アウトカムに着目した定量指標の設定を進めるべきではないかという論点がございます。
次に、国際交流基金でございます。国際交流基金は、日本と世界各国との国際文化交流事業を専門に行う法人ですが、多様な層の知日派を新たに獲得して日本の対外発信力を強化していくためには、デジタルツールも活用しつつ、新たなコンテンツの開発・発信等を進めるとともに、事業の効果を高めるべく重点対象を明確にした戦略的な広報を展開してはどうかという論点がございます。
また、法人の規模を踏まえ、特に、目標の達成状況に改善が必要な分野・事業等においては、法人内で全てを賄おうとする「自前主義」を脱し、関係府省庁や国際業務を担う他の独法等との連携・協働を一層推進し、効率的に取組を進めていく一方、目標に対する達成水準が高い分野・事業においては、アウトカムに着目した定量指標の設定を進めるべきではないかという論点がございます。
次に科学技術振興機構(JST)でございます。JSTは、社会に大きなインパクトを与える可能性がある研究開発テーマに対して国の研究資金を提供し、その研究開発のマネジメント等を実施している法人ですが、業務が増加する中、多様な人材の確保及び事業の統廃合等を進めること、研究者のダイバーシティ推進に向けた取組を実施すること、新たに大学ファンドの事業を担う中、適切なガバナンス体制等を構築すること及び安定的に助成資金を運用すること、産学官のステークホルダーとの連携関係を構築するような取組を一層進めること、その際、情報発信に取り組み国民の関心を高めるとともに、マーケティング意識を持って取り組むことについて、次期目標に盛り込んではどうかという論点がございます。
次に、日本原子力研究開発機構(JAEA)です。JAEAは、日本で唯一の原子力に関する総合的な研究開発を実施している法人ですが、原子力人材の育成・確保や研究基盤の維持等の取組を一層推進するため、受け手のニーズを意識した情報発信、産学官連携等の取組を、機構がより主体的な役割を果たしながら強化していくこと、カーボンニュートラルの実現等に機構が貢献していくため、将来に向けた新分野の研究開発や人材育成に取り組んでいくこと及び、これらの取組や安全性をより分かりやすく国内外に情報発信すること、について、次期目標に盛り込んではどうかという論点がございます。
次に、労働政策研究・研修機構(JILPT)でございます。JILPTは、労働政策に関する研究や研修を行う法人ですが、近年我が国の労働市場を取り巻く環境が大きく変化する中、研究テーマの設定に当たっては、働き方に関する新しい団体との意見交換を幅広く行い、そこで得た新たな視点を研究活動に取り入れていくべきではないかという論点や、一次データをデータアーカイブとして公開する取組の利用促進を図ることや、研究交流や自治体に向けた講演等について、法人の知見を外部に向けて活用するという観点にも留意して取り組むことが重要ではないかという論点がございます。
続きまして、医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)です。医薬健栄研については、期待される役割が広がる中、法人の規模が比較的小さいことも踏まえて、業務のメリハリ付けを行うことが重要ではないか、またその前提として、法人の役割を目標の中で明確にしてはどうかという論点や、旧健康・栄養研究所の大阪移転を契機に、関係機関との連携等の強化が求められていることから、旧2法人(旧医薬基盤研究所及び旧国立健康・栄養研究所)の融合をさらに進めること、両部門及び外部とのやり取りを一元的にマネジメントできる体制を構築していくことが重要ではないかという論点がございます。
このほか、共同研究等の取組を適切にPDCAサイクルに乗せていくこと、健康栄養分野における情報発信について、一般消費者のニーズを踏まえて改善を図っていく観点が重要ではないかという論点がございます。
次に、土木研究所です。土木研究所については、気候変動の影響等を踏まえ、将来も見据えた研究開発テーマの設定等を検討することや、現下の課題に的確に対応するため、注力する業務を明確化し、効率的に運営することを目標に盛り込んではどうかという論点がございます。
また、自然災害の激甚化・頻発化やインフラ施設の整備・管理の担い手不足といった環境変化も踏まえ、現場における様々な課題を、最新のデジタル技術の活用によって、迅速かつ効率的・効果的に解決するための研究開発を進めていってはどうかという論点もございます。
このほか、産学官連携の推進として、研究開発において必要なプラットフォームの整備についての論点等がございます。
次に、建築研究所です。建築研究所については、法人を取り巻く環境変化として、人口減少や2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組の加速等があり、これらにより住宅等に求められる役割・性能が変化しつつあること等から、目標において、関係する政府方針の現状と法人の役割を改めて整理し、その上で、社会的要請の高い課題に取り組んでいってはどうかという論点、そして、今後、環境変化に即応できる組織運営や、他分野・他機関と適時・的確に連携した研究開発を進めていってはどうかという論点がございます。
このほか、新たな社会的課題等に即応した研究開発を行うためにも、研究開発手法として、実験施設によるもの以外に、コンピュータによるシミュレーションも推進していってはどうかという論点等もございます。
次に、水資源機構です。水資源機構については、流域治水の的確な実施につなげる観点から、流域に関わる関係者との協働関係を深めるため、洪水等への対応における主務省間の連携による成果を関係者へアピールすることが重要ではないかという論点や、利水・治水に係る取組の全体像について、法人の強み、経験やノウハウを分かりやすく取りまとめて横展開していく必要があるのではないかという論点がございます。
また、水インフラの海外展開に向けた戦略的なマーケット分析の検討や、水資源施設の老朽化等に対してのメンテナンスにICTを活用し計画的な対応を進めてはどうかという論点がございます。
次に、自動車事故対策機構(NASVA)です。NASVAにつきましては、被害者援護等の業務を実施しており、法人の業務内容について、必要なタイミングで必要なところに届くような周知の在り方を考える必要があるのではないかという論点がございます。
また、訪問支援業務について、従来の対面による実施に加え、リモート技術を活用し、介護料受給者等のニーズに沿った形での支援を実施すること等を検討してはどうかという論点がございます。
次に、日本高速道路保有・債務返済機構(高速道路機構)です。高速道路機構には、高速道路に係る資産及び債務のマネジメントを通じて高速道路会社が行う道路建設・管理等の事業実施を支援している法人ですが、機構の業務の実施に当たっては、メンテナンスへのデジタル技術導入の取組と新型コロナウイルス感染症の影響を考慮すべきではないかという論点や、機構が、各高速道路会社が保有する点検のデータや交通量のデータのプラットフォームを構築し、国等の関係機関との連携を進めていく必要があるのではないかという論点がございます。
最後に、準用法人でございます日本司法支援センター(法テラス)です。法テラスは、全国均一の司法アクセスの実現という理念の下に、国民向けの法的支援を担ういわゆる準用法人ですが、今期の見込評価では、常勤弁護士の配置に係る項目において、目標に対する達成状況等評定の根拠の記載が十分ではなく、また、C評定であるにもかかわらず、今後の改善方針が明記されていないため、今後は、PDCAサイクルを適切に機能させる観点から、評価の実施において、評価の根拠を適切に記載するとともに、取組内容等に改善が必要な場合には、今後の改善方針を明記する等改善を進めるべきではないかという論点がございます。
また、次期に向けた組織・業務等の見直しにおいても、常勤弁護士の未配置解消に係る具体的な改善方針の記載が見られないため、主務省において、現状を的確に分析し課題を整理した上で、次期中期目標期間における改善の方向性及び法人に期待する成果について、主務省と法人との間で共通認識を図ることが必要ではないかという論点がございます。
このほか、コロナ禍における取組の実績や知見を活用し、常勤弁護士の配置が十分でない地域等におけるオンラインによる司法アクセスの拡充を図る等、業務のデジタル化を一層推進してはどうかという論点がございます。
個別の法人に関する論点(以下、個別留意事項の論点と表記する。)は以上ですが、ユニット会議では、各法人に共通する課題や論点(以下、共通留意事項の論点と表記する。)についても御議論いただきましたので、併せて簡単に御紹介します。
ヒアリング等を通じて、各法人を取り巻く環境として、独法を含めて社会全体として人的資源が限られている一方、各法人が解決すべき社会課題は複雑化していることがうかがわれました。
こうした中にあって、各法人がそれぞれの使命を果たしていくための課題としては、デジタル対応、人材の確保・育成、関係機関との有機的な連携、新たな社会的価値の創造に向けた基盤づくり、そして資源配分の重点化といった点が議論になりました。
こうした環境を踏まえ、本年度見直し対象法人に共通する論点としては、デジタル技術を活用した業務手法の見直しや新たな価値創造、外部知見の有効活用や多様な人材の登用を含めた人材育成による弱みの克服と強みを生かした国全体の底上げ、新しい分野の機関との連携や組織と組織がデータでつながる連携の推進、ガバナンス体制の確保や知財管理・技術流出防止対策、そして資源の重点配分と業務を継続する必要性の検証といった点について議論がありました。
【原田委員】 ありがとうございました。今、御説明いただいた論点も踏まえながら、年度末の次期中(長)期目標の策定に向けて、調査審議を進めてまいります。
【澤田委員長】 ありがとうございました。法人の特徴を踏まえながら、評価部会でしっかりとまとめていただきましたけれども、論点の中で、もう少し注力したほうがよい点を含め、皆さんから御意見を伺いたいと思います。なお、日本原子力研究開発機構の監事を務めていらっしゃる天野委員におかれましては、申合せによりまして、当該法人に関する意見はお控えいただきます。
それでは、委員の皆様からの御意見を伺いたいと思います。天野委員、どうぞ。
【天野委員】 個別留意事項の論点に関しては、文章として非常に上手くまとまっていますので、特に文章の変更等はありません。ただ、共通留意事項の論点に関して、日本政府を一つの会社のような組織と考えたときには、各主務省は事業本部、各独法は事業本部の下に置かれている実務部隊、独立行政法人評価制度委員会は監査役のような位置付けと認識しています。
そのような観点で申し上げますが、新しい独立行政法人制度が2015年から始まっていますけれども、どうも初心が最近少し薄れていると思います。各独法、特に国立研究開発法人は、国費を使う立場として、中(長)期目標期間中に成果を最大化し、しっかり国のために役に立てるよう求められているという意識が薄れているような気がしています。次期中(長)期目標の策定に当たっては、もう一度その点を強調することが必要と感じています。
さらに、人材育成に関して、特に国立研究開発法人は、日本全体の人材育成がそれぞれの分野で非常に期待されていると思います。共通留意事項の論点に記載されている人材育成は、法人内の人材育成、日本国内の人材育成及びグローバルな人材育成の3段階あると考えています。各独法は、法人自身の人材育成及びグローバルな人材育成を成果に挙げられることが多いですが、次期中(長)期目標の策定に当たって、一番期待されているのは国内の人材育成ということを強調してよいと思います。
次に、デジタル対応に関して、やはりDX(デジタルトランスフォーメーション)が非常に必要だと思います。例えば、国土交通省においては、ハードのインフラの維持管理はマネジメント能力が高いと思うので、今後は、ソフトのインフラのマネジメントにも積極的に取り組むのがよいと考えています。しかし、国土交通省はソフトのインフラのマネジメントには後ろ向きであると感じています。あくまで一個人の見解ですが、ソフトのインフラを導入すると、これまで主体的な役割を担っていた土木建設業が主要な役割を果たさなくなることが影響しているのかもしれないと感じています。
主務省と同様に、国交省所管法人も、デジタル化に関して後ろ向きであると思います。水資源機構は、デジタル技術を上手に活用していますが、法人自身の成果として取り上げない傾向があるように思えます。デジタル化に積極的に取り組むよう、主務省にしっかりと働きかけることが、独法にとって有益ではないかと感じています。
次に、主務省を越えた有機的な連携については、是非進めていただきたいと思い、理事長ヒアリングに伺う際には必ず申し上げます。けれども、なかなか難しい課題のようです。今年度、国際交流基金にお伺いしたところ、海外の事務所を他の組織と同じ建物で共同利用しているとおっしゃっていました。事務所を共用するなどの事務処理的な連携にとどまらずに、もう少し踏み込んだ業務上の連携を進めていただきたいと思います。
さらに、知財管理、情報管理及び人材管理については、国立研究開発法人を幾つか見させていただいていますが、成果を出した人材が海外に連れていかれてしまう印象があります。諸外国は、日本の国立研究開発法人が技術的な情報をたくさん持っていることを、日本以上に分かっていると思います。国立研究開発法人が、日本における技術的なデータのプラットフォームとなっていることを国全体としてしっかり認識して、知財管理、技術管理、人材管理を進めていただきたいという希望を持っています。
最後に、女性活躍について、私は、女性活躍によって何かをするというような委員会などへの参加は、基本的にお断りするようにしています。女性だからというところで何かをするというのはあまり好きではありません。同じ人間として、性別にかかわらず、個人の能力に応じてフェアに評価される場で活躍できるようにしたいと思っています。研究開発助成等の審査においては、今まで大御所の名前を出すと助成が下りる流れがあったので、女性や若手の成果が持っていかれてしまう印象がありましたけれども、最近は、女性枠を設けたり、女性や若手研究者が応募すると点数を上げるルールにすると、途端に女性や若手の名前が上がってきます。きちんと評価できる体制づくりをしていただきたいと思います。
【澤田委員長】 いろいろな視点から御意見を伺いまして、ありがとうございました。1つは、初心を忘れないようにというので、目的を理解して進められているのかどうかという点。2番目は、人材育成の在り方で、3番目のDXについては、しっかりと進めていかないといけないですけれども、成功事例をうまく生かすことが十分できていないのではないかという点。それから、4番目が有機的な連携、つまり主務省を越えた連携が必要ではないかという点。5番目が知財、技術及び人材管理で、6番目は女性活躍の在り方ということで、いろいろな視点から御意見いただきましたけれども、まず、原田評価部会長のから、今の御発言に対してコメントありますでしょうか。
【原田委員】 6点全てについてコメントを差し上げることは、非常に難しいですけれども、例えば土木研究所については、実際に法人ヒアリングで議論いたしましたが、土木研究所自身が人材の獲得に非常に困っており、それに対して一定のアクションをとっていらっしゃるということもございました。今回の個別留意事項の論点に記載しているところでありますが、技術系の職員が不足していて、特に地方自治体でなかなか人が採れないということを前提に、地方自治体をどのようにサポートしたらいいのかということも考えていただきたいということを盛り込んでいます。こうした取組が、ほかの法人、分野にも妥当するのではないか、とりわけ国立研究開発法人には妥当するのではないかというのが私の印象でございます。
【澤田委員長】 今の6点に関して、事務局からコメントいかがでしょうか。
【方管理官】 天野先生御指摘の、例えば国際標準化の観点については、今回、土木研究所や建築研究所の個別留意事項の論点には明示的に国際標準化の話題を記載しております。また、人材の育成及び主務省間をまたいだ連携についてですが、共通留意事項の論点の骨子案は、まだ簡単な記述になっておりますので、これから文章を仕立てていく上で、先生の御意見をよく取り入れていきたいと思います。
さらに、国交省所管法人のICT化については、水資源機構が防災科学技術研究所と連携して、降雨予測システムを使った事前放流の研究等、ソフト面で連携が進んでいると聞いていますので、取組事例のようなところで紹介していきたいと考えています。
知財の管理や技術流出の防止対策も、先生の御意見を踏まえて、共通留意事項の論点に項目立てをしたいと思っておりますので、また、その中で御意見等賜れば幸いです。
【澤田委員長】 1番目の点は、出口戦略がきちんとできていない部分があると思います。戦略が明快になれば、これまで培ってきた技術や成果を生かしやすいので、国家戦略全体の中で研究成果の活用の仕方を考えておくことが大事だと思います。せっかくの成果が生きないというのは、本当にもったいないです。
また、知財や人材の国外流出の背景には、やはり日本の中でしっかりと研究して、社会のために生かすという国内で研究を行う意味や、国内で役に立ちたいんだという研究者の姿勢がなかなか見られないことがあると思います。どうしても国外のほうが研究しやすいという現状や、国外のほうが成果を可視化しやすいという現状は、国全体の中で考えていかなければいけない大きな問題だと思います。
それでは、高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 2点申し上げます。1点目は、次期中(長)期目標の策定等に向けた論点について、私は、相当数の法人と意見交換をさせていただきましたので、個別留意事項の論点に関しては概ね反映されていると思います。
ただ、郵政管理・支援機構につきまして、少し補足させていただきます。平成30年度の法律改正により、郵便局ネットワーク支援の業務が加わったことが記載されておりません。具体的な業務としては、日本郵便への交付金の交付、それからゆうちょ銀行やかんぽ生命からの拠出金の徴収に関与するものです。令和元年度から今まで報告を受ける限りは、特段の問題はないですが、今後も引き続き注視していく必要があると思います。
それに加えて、他の委員の方から業務効率を上げるためのデジタル化が必要という御意見が出ておりました。この点については現在検討中と聞いておりますので、次期中(長)期目標へどのように反映されるか注視していきたいと思います。
2つ目は、共通留意事項の論点の骨子案でございます。骨子案では、デジタル対応のデジタルファーストの書きぶりが気になっております。ヒューマンファーストの上でのデジタルファーストであるべきで、業務の効率化のために、デジタルを用いた手法を第一に優先するという考え方だと思います。あくまでも人が働きやすくするため、業務効率を上げるためのデジタルファーストなんだという点を、今後、骨子案を肉づけしていく過程で、しっかり記述していかなければいけないと思います。
それから、デジタル対応に関連する人材の確保及び育成の点でアウトソーシングが抜けていると思います。法人が知財管理や技術流出防止対策をどのように取り組むかという観点は、今後の議論になってくると思います。各法人が全て自前で取り組むのか、単に法人間の連携で可能なのか、外部委託等も取り入れるのかということに関して注視していきたいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございました。2つ目の、ヒューマンファーストの趣旨、そしてアウトソーシングの手法については非常に重要な問題だと思いますが、事務局から、補足等ございますか。
【方管理官】 アウトソーシングについては、おそらく法人の弱みのある分野で人材が不足しているという背景から、ICT技術の導入等が最近の課題となっていますけれども、当然ながら法人が自前で取り組むことができない場合は外部からの調達又は外部への委託をすることになります。そのような点に留意して、アウトソーシングの重要性がよく分かる書き方を検討いただきたいと思っています。
【澤田委員長】 それでは、梶川委員、どうぞ。
【梶川委員長代理】 高橋委員の御指摘について、郵政管理・支援機構の業務追加により、交付金・拠出金の業務を本法人が行う理由及び、交付金・拠出金の算定根拠について説明責任を徹底することは、大事な点だと思いますので、重ねてぜひお願いいたします。
【方管理官】 かしこまりました。
【澤田委員長】 白岩局長、どうぞ。
【白岩行政管理局長】 デジタルファーストについての御意見は、言葉が少し独り歩きしていることによるものだと思います。まさに高橋委員がおっしゃるような論点は、事務局もヒューマンファーストであることを念頭に置いておりますけれども、読み手に誤解を与えることがないよう、今後、言葉遣いも含めて整理したいと思います。
【澤田委員長】 言葉が独り歩きすると、最後は違う方向に行ってしまうというのはよくある話なので、言葉遣いに御留意下さいますようお願いします。
浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】 個別留意事項の論点は、私たち委員の意見を取りまとめていただき、よくまとまっていると思いました。
共通留意事項の論点の骨子案について、意見を申し上げます。先ほど、天野委員からお話がありましたように、各独法が国際化の中でどのようにプレゼンス及び役割を発揮していくかといった点については、JICAや国際交流基金の外務省所管法人以外の団体においても、様々な国際交流を活発にすることによって、法人が有する知的財産や法人の役割が日本のプレゼンスをどのように高めるものであるか、あるいは国際的な視点を取り入れて、国内で抱えている問題をどのように解決していくかといった点が非常に重要になってくると思います。そのような独法の国際化に関する記述を骨子案に入れていただきたいと思います。
人材確保については、少子高齢化の中で限られた人的資源をどのように活用していくかは、非常に大きな日本全体の問題です。法人の弱みとする分野や強みとする分野に関わらず、多様な人材の登用を進めていただきたいので、少し書き方を工夫していただきたいと思います。
それに加えて、個別留意事項の論点で書かれていますけれども、法人の活動に関する、ステークホルダーへの情報共有や一般国民への広報・発信を強化していただいて、法人の役割について、ステークホルダー等の方からいろいろな御意見を頂戴する必要があります。ただ、情報発信等の取組の進捗度は、法人によってかなり差があると思いますので、その点も留意して論点に盛り込んでほしいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。3つの観点をもう少しうまく取り入れていただきたいという御意見に関して、事務局で、何か意見ありますでしょうか。
【方管理官】 国際化の観点については、個別留意事項の論点で、ある程度言及していますが、共通の論点でもその重要性を明記していきます。
多様な人材の活用は、御指摘のとおりでございますので、その点も検討したいと思います。
広報の重要性については、個別留意事項の論点では、例えばJAEAで言及していますが、法人全体でも重要な論点と認識しておりますので、そのあたりも踏まえて検討させていただきます。
【澤田委員長】 時間の都合がありますので、もうお一方から御意見を頂戴できればと思います。それでは、野﨑委員、よろしくお願いします。
【野﨑委員】 共通留意事項の論点のデジタル対応について、人材がファーストというのは基本とした上で、各法人に取組の進捗にステージがあると思います。デジタル化と言っても、紙をデジタルに変えていくような初歩的な効率化の段階からプログラムを入れて生産性を向上していく段階、それから、デジタル技術を使って価値を創造していく段階があると思います。現在の記述は、一律に書かれていると感じているので、法人間の段階の違いに留意して、今後の骨子案に表現する必要があると思います。
【方管理官】 御指摘ありがとうございます。DXまで至っている法人がいくつあるのかという重要な論点であり、現在、効率化の取組にとどまっている法人が大半を占めていると思うので、その点がよく読み手にとって分かるような形で文章のほうを仕立てていきたいと思います。
【澤田委員長】 リモート参加の南雲臨時委員から手が挙がっておりますので、その質問をお受けしてから次の議題に入りたいと思います。
【南雲臨時委員】 デジタル化について、全般的にIT化とデジタル化の区別がついていない印象を受けました。いわゆるソフトを入れることや、入力が紙からデジタルになる等、その類の発想からなかなか脱却していない印象を受けることが多々ありました。やはりビジネスモデルが変わっていく中で、DXを進めていくという認識がまだ薄いという印象を受けています。デジタル庁と民間企業も含めてDXの取組が進んでいる中、独法もデジタル化を本格的に考えるべきタイミングに来ているのではないかという印象を受けます。
目標設定について言えば、普通は競合他社などを調査してベンチマーキングをすれば、どこから出発してどこを目指すのか、定量的に設定できるはずです。けれども、独法については、定量的な指標の設定がないが由にデジタル化が一体何を意味しているかもはっきり言語化されないままの評価になっているという印象を受けています。
さらに、共通留意事項の論点で言っているデジタルファーストというのは、行政手続きの3原則の1つを指していて、国民が、個々の手続きについて紙による書類を前提とせず、デジタルで行えるようにすることを指しています。そのほかの原則はワンスオンリー、一度データを行政機関に提出したら、二度と同じものを求めてはいけないという発想と、コネクテッドワンストップ、一箇所で全ての手続きが完結するという3つのことを指していますが、その言及がないため、ヒューマンファースト対デジタルファーストという発想がどうしても出てしまっているのではないかと思います。一体何を意味しているのかについては列記したほうがよいのではないかと思います。
関係する機関との連携については、連携する目標を明確に定めないといけないと思います。通常、民間で連携する両社で同じ目標を設定します。片方の組織が達成しても、もう一方の組織の目標が達成していなければ、目標は未達成という扱いにするという手法がよくあるKPIの設定の仕方です。独法が他機関との連携を評価項目に盛り込む際には、以上のような工夫があっても良いのではないかと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございました。デジタル化及びDXの考え方並びに在り方、をよく理解してから本質をついた議論をするべきではないかという御意見を含めて、事務局から、何か御回答をお願いします。
【方管理官】 3点、承りました。ぜひそのような方法で記載していきたいと思います。
【澤田委員長】 それでは、議題1を終わりたいと思いますけれども、今回の御議論を踏まえて、次回の委員会に向けて、引き続き調査審議を進めていまいりたいと思います。
それでは、続いて議題2の国立大学法人等の業務運営について、原田評価部会長から御説明をお願いいたします。
【原田委員】 それでは、国立大学法人等の業務運営について御説明いたします。
国立大学法人等につきましては、7月の委員会の議論を踏まえまして、評価部会において、国立大学法人評価委員会の委員及び有識者の方々からヒアリングを行いました。その結果を踏まえて、見込評価及び組織・業務の見直しについて調査審議を進めてまいったところでございます。
その結果、評価制度委員会の権限として、見込評価については意見を付し、組織・業務の見直しについては勧告を行う権限があるのですが、評価部会としましては、この2つについて、いずれも行う必要はないとの結論に至ったところでございます。
他方、これまで行ってまいりましたヒアリングや、見込評価・見直しの内容を踏まえて、国立大学法人等の業務運営について、こういった点に留意したほうがいいのではないかといったような気づきの点が出てきたところも事実でございます。
そこで、今申し上げた気づきの点につきましては、独法に対して例年行っているのと同様に、委員会決定として、今後の業務運営に係る留意事項として取りまとめてまいりたいと存じます。内容については、資料2のほうに整理してございますので、事務局のほうから御説明お願いします。
【方管理官】 事務局より御説明いたします。資料2の1ページ目、通しの9ページ目には、これまでの委員会活動の概要等を記載させていただいております。本年7月に確認しました、(1)法人の運営に係るPDCAサイクルが、国立大学法人制度の下できちんと機能するようになっているか。(2)ガバナンスや経営基盤の強化、運営の効率化といった観点から、主務省、あるいは国大評価委員会や国大等の有識者等との意見交換での御議論や、見込評価・見直しの点検結果を踏まえて、通しの10ページ目以降の留意事項を整理しております。
資料2の2ページ目、通しの10ページ目を御覧ください。まず、法人のガバナンス強化については3点あります。自己点検・評価の結果等を、教育研究や業務運営の改善に適切に活用するほか、ステークホルダーに対して、積極的・定期的な情報発信を行うとともに、双方向のコミュニケーションを通じて法人経営に対する理解・支持の獲得に取り組むこと。対象とするステークホルダーを明確化した上で、それを意識した内容となるように自己点検・評価結果等の項目を充実させること。引き続き法令等の遵守を徹底するとともに、研究不正防止対策のための組織体制の強化を一層推進することを留意事項として掲げております。
次に、財務内容の改善等について、資料2の3ページ目、通しの11ページ目でございます。多様な財源を確保するため、各法人の特性や状況に応じ、法人の取組をアピールする具体的な方策を検討すること。情報セキュリティについては、個々の学生や職員等の意識改革を促すことに加えて、個別の法人で対策を講じることが困難な場合には、法人間で連携を図り、共同で対策を講じていくことも検討することを留意事項として掲げております。
それぞれの留意事項は、来年度からの国立大学法人制度改革の内容や、本中期目標期間における取組の状況等を踏まえてまとめたものとなります。
【澤田委員長】 ありがとうございました。これは最終的に本委員会でお諮りするものですが、その前に皆様から御意見を伺いたいと思います。なお、国立大学法人評価委員会の委員を務めていらっしゃる栗原委員におかれましては、申合せにより、国立大学法人等に関する意見をお控えいただきたいと思います。
それでは、皆さんから御意見を伺いたいと思いますけれども、どなたかいらっしゃいませんか。リモートで参加されております金岡委員のほうから手が挙がっておりますので、金岡委員、よろしくお願いいたします。
【金岡委員】 ガバナンスのことについて、私立の高等教育機関ですと、理事長と学長が分かれているケースが多いかと思います。すなわち経営と教学の部分が分離されていると思います。公立大学法人においても理事長が置かれているところが多いかと思いますけれども、国立大学法人においては、この2つの機能が学長に集中している状態になっております。ガバナンス面でいいますと、強力に改革を進めるという点では非常に良い体制である一方、大手企業においても複数の代表取締役がいたり、会長、社長がいたりして権限が分散しているケースのほうが多いかと思いますので、学長に全ての権限が集約されている体制には疑問があります。国立大学法人は、大きな組織でございますので、やはり経営と教学面を分けるような工夫も今後考えていく必要があるのではないかと思った次第です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。学長への権限集中という、ガバナンス体制の変更を検討したほうが良いのではという御意見ですけれども、事務局から御回答ありますでしょうか。
【方管理官】 今回、法人のガバナンスの強化を特出しして記載していますけれども、今般の国大法の改正では、来年の4月から施行されると思いますが、年度評価が廃止され、あるいは監事の権限が強化される等、いろいろな仕組みが変わるものと考えています。今回の留意事項は、強靱なガバナンス体制を今後構築していく、あるいは透明性を確保していく上での重要な手段として、ステークホルダーに対する積極的な情報発信等を留意事項として記載しているというようなご理解をいただきたいと思っております。
【金岡委員】 ありがとうございました。
【原田委員】 方管理官から説明があったとおり、法人のガバナンス強化についての1ポツ目、「双方向のコミュニケーションを通じて・・・」という記載につきましては、一方的に情報発信するのではなくて、幅広くステークホルダーを捉えた上でコミュニケーションをとってほしいという意味で、つまり外の目をきちんと入れてくださいというメッセージを込めたところでございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。ガバナンスも守りのガバナンスだけではなくて、攻めのガバナンスも必要であると思います。やはり不正を起こさない等、あまり行き過ぎないという部分と、きちんと前に進めるという部分の、両面を国立大学法人等の留意事項に盛り込んでいただきたいと思います。
それでは、高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 先ほどの金岡委員の御意見と私は同意見ですが、国立大学法人法では、各大学で経営と教学の分離を可能とすることになっています。必ずしもみんなが分離しなければいけないということではないと思うのですけれども、各大学でその選択ができるように、ガバナンスの強化を考えていただきたいと思います。
もう1つは、一法人一大学ではなく、一法人複数大学という形態が既にできていますし、今後も増えていく可能性があるので、一法人複数大学の下でのガバナンス体制の整備についても課題として挙げられると思います。既に一法人複数大学になっている法人で、理事長を公募なさっているところがあると伺っていますけれども、その観点も加えていただきたいと思います。
また、今日の資料2のペーパーは、7月8日の委員会の決定事項を踏まえているものですが、「(2)ガバナンスや経営基盤の強化、運営の効率化」の3ポツ目に、「(学長を中心とした)ガバナンスの強化」という記載がありますが、一法人複数大学においても、(学長を中心とした)という表現が適切であるか、実際に文章化する際においては、この点にも留意していただきたいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。そのような御意見もうまく盛り込みながら、進めていければと思います。
はい、天野委員、どうぞ。
【天野委員】 私が少し関与している経営協議会では、ガバナンスを外部の目を使ってやってくださいと強調しており、また、厳しい意見を結構しっかりおっしゃる方が多いようで、外部評価が現状でも十分有効に活用されていると感じています。
ただ、高橋委員がおっしゃった一法人複数大学の知財管理が非常に難しいと感じています。というのは、一つの大学では、中長期や複数年度にわたるような知財管理はできますけれども、複数大学で新しい研究成果をあげたときに、その知財管理をどうするのかという話は宙に浮いているという印象を持っています。そのため、国立研究開発法人だけでなく、国立大学法人によるイノベーションを起こすような成果について、国としてどのように知財管理をしていくかという点は重要な視点ではないかと感じています。
【澤田委員長】 ありがとうございます。大学間で連携や共同事業を行うときの知財管理は非常に重要かと思います。だいたいよろしいでしょうか。
それでは、国立大学法人等に関する見込評価及び業務・組織の見直し並びに委員会決定につきまして、お諮りしたいと思います。
原田部会長からの御報告のとおり、当委員会としては見込評価については意見なし、組織・業務見直しについては勧告なしの結論にしたいと思いますけれども、先ほどからいろいろ御議論いただきましたので、今後の対応は、今の御議論をきちんと反映させるということを私に一任いただいた上でお諮り申し上げたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。また、あわせて委員会決定案につきましても、委員会として決定することにしたいと思いますけれども、御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】 ありがとうございます。それでは、今先ほど申し上げましたことを含めて、事務局を通じて、修正できる点はきちんと修正した上で文部科学省にきちんとお伝えしてまいります。
それでは、次に、議題3につきまして、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解の改訂」について、梶川会計基準等部会長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【梶川委員長代理】 それでは、議題3を御説明させていただきます。
議題3は、独立行政法人会計基準及び独立行政法人会計基準注解(以下「独法会計基準」と表記する)の改訂について説明させていただきます。
独法会計基準は、9月下旬に開催された会計基準等部会及び財務省の財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会(以下「法制・公会計部会」という。)において了承され、改訂されましたので、当委員会において、その旨を御報告するところでございます。
資料3を御覧ください。資料3は、改訂の経緯等を記載したものでございます。
まず、1ページ目、通番では13ページ目でございますが、1ページ目を御覧ください。「1.会計基準改訂の経緯」について御説明いたします。今般、企業会計において、「収益認識に関する会計基準等の新たな会計基準」が公表されました。これを踏まえて、会計基準等部会と法制・公会計部会の下に設置されました共同ワーキング・チームにおいて、独法会計基準の改訂の要否及び改訂が必要とされる内容について検討を行いました。その結果を取りまとめた改訂案が、9月下旬に開催された会計基準等部会及び法制・公会計部会において了承されました。
続いて、2ページ目を御覧ください。「2.会計基準改訂の内容」について御説明いたします。企業会計基準の開発の経緯、独立行政法人と営利企業における制度の前提、財源構造等を考慮した上で、収益認識、時価の算定及び会計上の見積りの開示について、独法会計基準にそれらの内容を取り入れております。
収益認識については、企業会計と同様に、適用範囲を顧客との契約から生じた取引とし、収益認識に5ステップを適用することといたしました。なお、消費税に関する実務や独立行政法人における消費税の会計処理の実態を踏まえ、企業会計とは異なり、引き続き税込方式及び税抜方式の双方を認めることとしております。
次に、3ページ目の時価の算定についてでございますが、企業会計基準では、時価の定義等が改訂されており、同様の内容を独法会計基準に反映しております。
続きまして、4ページ目の会計上の見積りの開示についてでございますが、こちらも企業会計基準を参考に、国民その他の利害関係者の理解に資する情報を開示するという開示目的を明示いたしました。
以上が改訂の3つの主な内容でございます。
続きまして、「3.改訂会計基準の性格と取扱い」についてでございます。改訂後の基準及び注解に定められていない事項については、企業会計の基準に従うこととなる等を記載しております。
続いて、「4.適用時期」については、会計上の見積りの開示に係る改訂内容は令和3事業年度、時価の算定に係る改訂内容は令和4事業年度、収益認識に係る改訂内容は令和5事業年度から適用することとしております。
最後に、5ページ目の「5.今後の課題」について説明させていただきます。今後は、財務諸表等のより一層の活用が期待される点、独法会計基準は環境の変化に伴う課題等を踏まえ、継続的に見直しを行っていく必要があるという点を記載しております。
【澤田委員長】 ありがとうございました。ただいまの梶川部会長の報告につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いします。
独法会計基準と同様に企業会計の基準もずいぶん改訂があり、IFRS財団が進めている国際会計基準だけが進んでいるわけではなくて、やはり日本会計基準のいいところへ戻そうという動きもあります。また、非財務情報も財務情報として取り入れて財務化して見ていくと、ある意味、売上や利益等の数字だけの問題ではなくて、もう少し広く企業の取組を成果として認めようという基準の改訂もあります。成果をきちんと示すというために、随時新しい会計基準の考え方をうまく取り込んでいくことが、非常に重要だと思いますので、この改訂に関しても非常に重要な事項と捉えております。
それでは、次回の日程等の説明があれば事務局からお願いしたいと思います。
【方管理官】 次回の委員会につきましては、11月22日月曜日の14時からを予定しております。場所については、追って事務局から連絡差し上げます。
【澤田委員長】 また、このような形で皆さんと集まることができる状況が続いていることを願っております。リモートで御参加の委員の方もありがとうございました。
今日はこれで終わりたいと思います。皆さん、どうもお忙しい中、本当にありがとうございました。
(以上)

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