外務省・新着情報

冒頭発言

WTO電子商取引交渉に関する共同議長国閣僚声明

【林外務大臣】私(林大臣)から1件、冒頭ございます。
WTO電子商取引交渉の共同議長国閣僚声明の発出でございます。本日、WTOの電子商取引に関する交渉会合の共同議長として、日本、豪州、及びシンガポールの関係閣僚は、共同議長国閣僚声明を発出いたしました。
 この声明は、新型コロナの世界的感染拡大の中で重要性が増しております電子商取引分野について、これまでの交渉の進捗を確認し、合意に向けた道筋を示すものとして、大変意義があるものでございます。
 第12回WTO閣僚会合は延期をされましたけれども、電子商取引交渉は、WTOにおいて最重要分野の一つでありまして、来年の交渉の更なる進捗を目指して、成果を積み上げていくことが重要だと考えております。
 また、日本は従来から「信頼性のある自由なデータ流通」、DFFTと呼んでおりますが、これを提唱しておりますので、その実現は極めて重要でございます。こうした観点からも、日本は、本件交渉の共同議長国として、より多くの参加国を包摂していく形で、データ流通の自由化を含む、高い水準のルール形成を目指し、引き続き交渉を加速していく考えでございます。私(林大臣)からは以上です。

民主主義のためのサミット(輸出管理に関する共同声明)

【産経新聞 千葉記者】先週の民主主義サミットで、米政府が人権弾圧に悪用される恐れがある先端技術の輸出を管理する、輸出管理・人権イニシアチブを4か国で立ち上げるという発表がございましたけれども、日本政府としては今回参加を見送ったということなんですが、その経緯と理由についてお願いいたします。

【林外務大臣】民主主義のためのサミットにおきまして、米国、豪州、デンマーク、及びノルウェーによりまして、人権侵害に使用される技術等の輸出を管理する行動規範作りをコミットする共同声明が発表されたと承知をしております。
 日本といたしましては、深刻な人権侵害に対しては、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携して、しっかりと声を上げてきており、米国提案の動機には賛同をしております。
 他方、本件に関しては、内容を精査して検討中であるということから、現時点では参加も支持もしておりませんが、今後の議論を踏まえて、対応ぶりについて検討していきたいと、こういうふうに考えております。

自衛隊法の改善検討

【読売新聞 依田記者】先般の国会審議で、岸田首相が自衛隊法の見直しの検討について、アフガンからの邦人退避を踏まえ言及されました。これについて外務大臣として、どのような問題意識をお持ちか、お聞かせいただければと思います。

【林外務大臣】多くの邦人が、海外で活躍する中で、そうした邦人が危機にさらされたときに、邦人の保護・退避に全力で当たるということは、国として当然の責務であり、外務省としても、在外邦人等の安全確保に万全を期していく、こういう考えでございます。
 今般、総理から防衛省に対しまして、先般のアフガニスタンの事例を踏まえて、在外邦人等の輸送に関する自衛隊法の第84条の4につきまして、更に改善することができないか検討するように指示がありました。これ以上の詳細につきましては、防衛省にお尋ねいただきたいと思いますが、必要な検討に当たっては、よく我々としても協力していきたいと考えております。

北京冬季オリンピック/パラリンピック(外交的ボイコット)

【朝日新聞 野平記者】北京冬季五輪についてお伺いします。林大臣はこれまで、外交ボイコットについて、適切な時期に判断するとご説明されてきたと思うんですけれども、与野党内から、日本として早く態度を表明すべきではないかという声が相次いでおります。こういった声に対して、大臣はどのように受け止められているかという点と、適切な時期というのは、いつごろを考えていらっしゃるのか、改めてお聞かせください。

【林外務大臣】この北京大会、北京冬季大会、これへの日本政府の対応については、今後適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案して判断をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 いずれにしても、日本としては、北京冬季大会がオリンピック及びパラリンピックの趣旨・精神に則って、平和の祭典として開催されることを期待しております。

G7外務・開発大臣会合

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 質問は、大臣の直近の外遊、G7外務・開発大臣会合における会談について伺います。G7において、中東情勢、アフガニスタン、イランの核開発について議論は行われたのでしょうか。また、これら課題について何らかの結論に至ったのでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。今般のG7外務・開発大臣会合では、アフガニスタン及びイランを含む中東情勢についても、忌憚のない議論を行いました。
 アフガニスタンについては、G7として、人道危機の悪化を受け、非国家チャネルを通じた基本的サービスの支援を含めて、対応を強化する必要性について一致をしたところでございます。
 また、包摂的かつ代表性のある政治、特に女性、女児及び少数派の人権の尊重、テロ対策、出国を希望する者の安全な移動を可能とすることの重要性を強調し、タリバーンとの関与においても、これらを中核に置くということで一致をしたところでございます。
 また、イランについては、G7として、ウィーンにおける核合意に関する交渉の再開を歓迎しつつ、イランが核活動の拡大を止め、迅速に合意を結ぶべきであると、こうした認識で一致をいたしました。

台湾情勢

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】林外務大臣は、13日の衆院予算委員会で、自民党の高市早苗政調会長の質問「日本の閣僚を含む政治家が、台湾有事、中台有事を想定した発言をすることや、日本政府が中台有事への備えを進めることは、中国の内政に対する干渉だとお考えですか」という質問に対して、「日本のみならず、国際社会にとっても重要な問題について正当な関心を表明すること自体が、いわゆる「内政干渉」に当たるとは考えていない」とお答えになりました。ですが高市氏の質問は、安倍元総理の「台湾有事は日本有事」という発言を前提としたものであり、中台関係の一方の当事者である台湾で開かれたシンポジウムでなされたものです。
 この場合の有事とは、実質的には戦争、つまり中国と台湾、米軍そして日本の自衛隊が対峙する戦争です。戦域は台湾海峡だけではなく、日本全土の米軍基地や自衛隊基地も狙われる、総力戦に発展しかねない重大事です。台湾有事は日本有事という発言は、台湾と中国が戦争状態に陥れば、日本も参戦するというふうにも聞こえます。林大臣がそれを肯定したことは、中国や世界に日本は参戦するというメッセージを与えてしまうことになるのではないでしょうか。このような発言により、日中の外交関係が最悪の状態に陥ることがあれば、どのように責任をお取りなるのか、ご見解を聞かせてください。
 ちょっとこれは補足的な質問なんですけど、11日に英国のリバプールのビートルズ・ストリート博物館で開催されたG7外相会合の夕食会で、林大臣は、ジョン・レノンの「イマジン」を演奏されました。この曲は、戦争を否定し、その原因となる国境もない世界を想像する反戦ソングであると思いますが、米中対立、日米対立が深まっている現状、この曲の意義をどのようにお考えでしょうか。以上です。よろしくお願いします。

【林外務大臣】まず台湾海峡の平和と安定についてでございますが、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であり、また台湾をめぐる問題が対話により、平和的に解決されたことを期待するというのが、日本政府の一貫した立場でございます。
 この台湾海峡の平和と安定が重要であるという認識は、国際社会においても高まっております。政府といたしましては、昨日の国会でも答弁したとおりでございますが、こうした日本のみならず、国際社会にとっても重要な問題について、正当な関心を表明すること自体が、いわゆる「内政干渉」に当たるとは考えておらないところでございます。
 またG7の夕食会に先立つ、これはビートルズ博物館での件でございますが、これはジョン・レノンの、実は部屋というのがございまして、ジョン・レノンが生前にかけておりました、こういう丸いメガネの実物が展示をしてあるところで、「イマジン」を弾かれた白いピアノというのがありますが、このレプリカが置いてあって、そこでファミリーフォト、メンバーの記念撮影をしようということになりまして、どなたかピアノに座らないかと、これは弾いてもいいですよと、こういうことを博物館の方から言っていただきましたので、私(林大臣)、大変にビートルズはファンでございますので、勇気を出して一節を弾かせていただいたということでございます。「イマジン」の歌詞については、おっしゃったような内容も入っているわけでございまして、私(林大臣)も非常に好きな曲の一つでございます。

北方領土問題(四島交流事業)

【北海道新聞 文記者】北方四島の「ビザなし交流」についてお伺いします。来年、30周年を迎えるんですけれども、この30年間続けてきたことの意義や成果について、大臣のお考えをお願いします。

【林外務大臣】いわゆる「ビザなし交流」、すなわち四島交流事業でございますが、北方領土問題の解決を含む日本とロシアとの間の平和条約締結問題、これが解決されるまでの間、相互理解の増進を図って、もって問題の解決にも寄与することを目的として開始されたものでございます。この昨年と本年は、新型コロナの感染拡大によって実施することができなかったわけですが、四島交流により、これまで延べ約2万5,000人が往来をしておりまして、日本国民と北方四島住民との間の相互理解の増進が、着実に図られてきているところでありまして、重要な意義を有しております。引き続き早期の実施に向けて、関係者と調整を継続したいと考えております。

【北海道新聞 文記者】関連してなんですけれども、北方領土問題の理解増進というところで、ロシア側に、今現在、北方領土を返還する機運とかもなくて、そういったその当初掲げた目標、理念というのが、この30年間で果たしたのかどうか、果たされたのかどうかということを考えると、大臣が考える、その30年間の課題について、どのように考えているかというのをお願いします。

【林外務大臣】先ほど述べたとおり、この四島交流によりまして、日本国民と北方四島住民との間の相互理解の増進というのは、着実に図られてきていると思っております。そういった意味で、北方領土問題、今お話があったように、まだ解決されていないわけでございますが、これについては、日露関係における最大の懸案であって、引き続き、粘り強く取り組んでいかなければならないと考えております。

NPT運用検討会議

【中国新聞 樋口記者】あと、開幕まで3週間に迫りましたNPT再検討会議について伺います。かねてですね、大臣、成果を出すというふうに強い意欲を示されておりまして、先週、首相も、官民会合で、核の透明性を高めるということを明言されて、改めて、そのNPTへの強い意欲を示されました、現時点でご自身、大臣ご自身が、この会議に出席をして、強いメッセージを発信するというお考えがあるのかどうか、でまた、成果を出すということは非常に難しいことでもある、今国際情勢を踏まえるとですね、と思うんですけれども、具体的にどういったアプローチされるお考えなのか、この2点、お願いします。

【林外務大臣】NPTは、国際的な核軍縮、不拡散体制の礎石でございます。核兵器国も参加するNPT運用検討会議は「核兵器のない世界」に向けて前進するための貴重な機会でございますが、日本から誰が出席するかについては、検討中でございます。
 核軍縮を前に進めるためには、核兵器国と非核兵器国、この双方の関与が必要でありまして、政府としては、国連総会への核兵器廃絶決議案の提出、こういったことの取組を通じて、国際社会として直ちに取り組むべき共同行動の指針、これを具体的に提示して、未来志向の対話を呼びかけるなど、共通の基盤の構築に努めてきたところでございます。
 6年前に開催された前回会議では、中東非大量破壊兵器地帯の設置構想、これを巡って関係国間の溝が回らずに、最終文書を採択できなかったわけでございますので、次回の運用検討会議では、「核兵器のない世界」に向けて、意義ある成果が得られるように、関係国と緊密に連携して取り組んでいきたいと思っております。

新型コロナウイルス(対面外交への影響)

【共同通信 前田記者】オミクロン株の対面外交への影響についてお伺いします。オミクロン株の確認以降、WTOですとか、先日行われたG7においても、ASEANの多くがオンラインで参加するという形になったと思います。そのオミクロン株の、この対面外交への影響を今どう考えているかということ、こういった状況下での、今後の外交を展開しているところの所見をお願いいたします。

【林外務大臣】この今般のコロナ情勢が、個別の外交日程に与える影響につきましては、予断をもってお答えすることは差し控えたいというふうに思います。
 その上で申し上げますと、やはり各国の要人と直接会って、国際社会が直面する課題について、時間をかけてじっくりと議論すること、そして理解をお互い深めるということは重要であると考えておりまして、今回、特にG7で、そのことを痛感したところでございます。
 いずれにしても、日本を含む各国の水際・防疫措置、これを踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

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