議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 階猛 君外三名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日
公布年月日

要項または提出時法律案

第二〇四回
衆第三六号
   新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の推進に関する法律案
 (目的)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症が全国的にまん延している中で新型コロナウイルス感染症に関連する差別が行われ、これを受けた者が苦痛と苦難を強いられている現状に鑑み、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の禁止、国の行政機関等、地方公共団体等及び事業者における新型コロナウイルス感染症に関連する差別を解消するための措置等を定めることにより、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消を推進することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症」とは、病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。
2 この法律において「新型コロナウイルス感染症に関連する差別」とは、次に掲げる行為をいう。
 一 新型コロナウイルス(新型コロナウイルス感染症の病原体をいう。以下この号及び次号において同じ。)に感染している者(以下この号及び次号において「感染者」という。)及び感染者との接触の状況その他の事情に照らして新型コロナウイルスに感染しているおそれがある者に対して、新型コロナウイルスに感染していること又はそのおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをすること。
 二 感染者であった者に対して、新型コロナウイルスに感染したことを理由として、不当な差別的取扱いをすること。
 三 感染者等(前二号に掲げる者をいう。以下この号及び次条第二項において同じ。)と同一の地域に居住する者、感染者等と同一の国又は地域の出身である者その他感染者等と共通する一定の属性を有する者及び医療その他新型コロナウイルス感染症に関係する一定の職種に従事する者に対して、当該属性を有すること又は当該職種に従事することを理由として、不当な差別的取扱いをすること。
 四 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を受けていない者に対して、当該予防接種を受けていないことを理由として、不当な差別的取扱いをすること。
 五 前各号に掲げる者に対して、それぞれ当該各号に定める事由を理由として、謝罪、金品の供与その他の行為をすることを強要し、これらの者の名誉又は信用を毀損し、これらの者の個人に関する情報をみだりに公表することによりその私生活の平穏を侵害し、その他これらの者の権利利益を侵害する行為をすること。
 六 他人に対して、前各号に掲げる行為をすることを要求し、依頼し、又は唆すこと。
 (基本理念)
第三条 新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関する施策は、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の必要性に対する国民一人一人の理解を深めることにより、全ての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを旨として、行われなければならない。
2 新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関する施策は、感染者等に対する差別的意識に基づく言動により何人も苦痛と苦難を強いられることのない社会を実現することを旨として、行われなければならない。
3 新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関する施策を講ずるに当たっては、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消が新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するために重要であることに留意しなければならない。
 (国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。
2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
 (差別の禁止)
第五条 何人も、新型コロナウイルス感染症に関連する差別を行ってはならない。
 (基本指針)
第六条 政府は、第三条の基本理念にのっとり、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、国及び地方公共団体並びに事業者が適切に対応するために必要な基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 内閣総理大臣は、基本指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、基本指針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、新型コロナウイルス感染症に関連する差別を受けた者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
4 内閣総理大臣は、第二項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本指針を公表しなければならない。
5 前三項の規定は、基本指針の変更について準用する。
 (国等職員対応要領)
第七条 国の行政機関(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第二条第四号に規定する国の行政機関をいう。以下この条及び附則第三条第一項において同じ。)の長及び独立行政法人等(同法第二条第五号に規定する独立行政法人等をいう。以下この条及び附則第三条第一項において同じ。)は、基本指針に即して、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。
2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
3 前項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。
 (地方公共団体等職員対応要領)
第八条 地方公共団体(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第二条第三号に規定する地方公共団体をいう。以下同じ。)の機関及び地方独立行政法人(同条第六号に規定する地方独立行政法人をいう。以下この条及び附則第四条第一項において同じ。)は、基本指針に即して、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。
2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。
3 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。
4 前二項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。
 (事業者のための対応指針)
第九条 主務大臣は、基本指針に即して、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、事業者(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第二条第七号に規定する事業者をいう。次条及び第十二条において同じ。)が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。
2 第七条第二項及び第三項の規定は、対応指針について準用する。
 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第十条 主務大臣は、事業者の事業における新型コロナウイルス感染症に関連する差別を解消するため特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
 (インターネットを通じた新型コロナウイルス感染症に関連する差別への対応に係る協力の要請)
第十一条 インターネットを通じて新型コロナウイルス感染症に関連する差別が行われた場合において、当該新型コロナウイルス感染症に関連する差別を受けた者は、当該新型コロナウイルス感染症に関連する差別に係る情報の削除を求め、又は発信者情報(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第二条第六号に定める発信者情報をいう。)の開示を請求しようとするときは、必要に応じ、法務局又は地方法務局の協力を求めることができる。
 (主務大臣)
第十二条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。
 (地方公共団体が処理する事務)
第十三条 第十条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。
 (権限の委任)
第十四条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。
 (政令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
 (罰則)
第十六条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。ただし、次条から附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。
 (基本指針に関する経過措置)
第二条 政府は、この法律の施行前においても、第六条の規定の例により、基本指針を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、これを公表することができる。
2 前項の規定により定められた基本指針は、この法律の施行の日において第六条の規定により定められたものとみなす。
 (国等職員対応要領に関する経過措置)
第三条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律の施行前においても、第七条の規定の例により、国等職員対応要領を定め、これを公表することができる。
2 前項の規定により定められた国等職員対応要領は、この法律の施行の日において第七条の規定により定められたものとみなす。
 (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置)
第四条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前においても、第八条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これを公表することができる。
2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の施行の日において第八条の規定により定められたものとみなす。
 (対応指針に関する経過措置)
第五条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第九条の規定の例により、対応指針を定め、これを公表することができる。
2 前項の規定により定められた対応指針は、この法律の施行の日において第九条の規定により定められたものとみなす。
 (政令への委任)
第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 (調整規定)
第七条 この法律の施行の日が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第二十七号)の施行の日前である場合には、同日の前日までの間における第十一条の規定の適用については、同条中「第二条第六号に定める」とあるのは、「第四条第一項に規定する」とする。
 (内閣府設置法の一部改正)
第八条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
  第四条第三項第四十六号の次に次の一号を加える。
  四十六の二 新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の推進に関する基本指針(新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の推進に関する法律(令和三年法律第▼▼▼号)第六条第一項に規定するものをいう。)の作成及び推進に関すること。

     理 由
 新型コロナウイルス感染症が全国的にまん延している中で新型コロナウイルス感染症に関連する差別が行われ、これを受けた者が苦痛と苦難を強いられている現状に鑑み、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の禁止、国の行政機関等、地方公共団体等及び事業者における新型コロナウイルス感染症に関連する差別を解消するための措置等を定めることにより、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消を推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。