議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 音喜多駿 君外一名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2021-10-07
公布年月日

要項または提出時法律案

第二〇五回
参第二号
   土地の掘削等に伴う土砂災害の防止に関する法律案
 (目的)
第一条 この法律は、土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「土地の掘削等」とは、土地の掘削、盛土若しくは切土その他これらに準ずる土地の形状を変更する行為で政令で定めるもの又は土砂等(土、砂利(砂及び玉石を含む。)、砕石その他これらに類する物として政令で定めるものをいい、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する廃棄物に該当するもの、土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第十六条第一項に規定する汚染土壌に該当するもの及び放射性物質によって汚染されたものを除く。次項及び第七条第二項において同じ。)を堆積する行為をいう。ただし、第十三条第二項を除き、政令で定める規模以上のものに限る。
2 この法律において「土砂災害」とは、土砂等の流出又は崩壊による災害をいう。
 (土地の掘削等の届出等)
第三条 土地の掘削等を行おうとする者は、当該土地の掘削等に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、当該土地の掘削等の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、軽易な行為その他の行為で国土交通省令で定めるもの及び非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 第一項の規定にかかわらず、国の機関又は地方公共団体が行う行為については、同項の規定による届出をすることを要しない。この場合において、当該国の機関又は地方公共団体は、同項の届出を要する行為を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定による通知があった場合において、土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため必要があると認めるときは、当該通知をした国の機関又は地方公共団体に対し、土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のために行うべき措置について協議を求めることができる。
 (土地の掘削等の技術的基準)
第四条 前条第一項の規定による届出を要する土地の掘削等を行う者は、政令で定める技術的基準に従い、擁壁、排水施設その他の政令で定める施設(次条第二項及び第七条第二項において「擁壁等」という。)の設置その他の土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
 (監督処分等)
第五条 都道府県知事は、土地の掘削等を行い、又は行おうとする者が前条の規定に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該者に対し、その是正のために必要な措置をとることを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前条の規定に違反した者に対し、当該土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため必要があると認めるときは、当該土地の掘削等の施行の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置その他の土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のため必要な措置をとることを命ずることができる。
3 都道府県知事は、前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
 (土地の掘削等が行われた土地についての調査)
第六条 都道府県知事は、土地の掘削等に伴う土砂災害が発生するおそれがある土地を適切に把握するため、定期的に、土地の掘削等が行われた土地について、地形、地質及び降水の状況、その利用の状況その他の事項に関する調査を行うよう努めなければならない。
2 国土交通大臣は、前項の調査が適確かつ円滑に行われるよう、必要な情報の収集、分析及び提供、助言その他の援助に努めなければならない。
 (改善命令等)
第七条 都道府県知事は、土地の掘削等が行われた土地について、当該土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため必要があると認める場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)に対し、土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。
2 都道府県知事は、土地の掘削等が行われた土地で、当該土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のため必要な措置がとられておらず、又は極めて不完全であるために、これを放置するときは土地の掘削等に伴う土砂災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合には、その土砂災害を防止するため必要であり、かつ、土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該土地の所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良又は堆積された土砂等の除去のための工事その他の政令で定める工事を行うことを命ずることができる。
3 前項の場合において、同項の土地の所有者等以外の者の土地の掘削等に関する不完全な工事その他の行為によって同項の土砂災害の発生のおそれが生じたことが明らかであり、その行為をした者(その行為が隣地における土地の掘削等であるときは、その土地の所有者を含む。以下この項において同じ。)に前項の工事の全部又は一部を行わせることが相当であると認められ、かつ、これを行わせることについて当該土地の所有者等に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部を行うことを命ずることができる。
4 第五条第三項の規定は、前二項の場合について準用する。
 (国土交通大臣の指示)
第八条 国土交通大臣は、土地の掘削等に伴う土砂災害が発生するおそれがあると認められる場合において、土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため緊急の必要があると認められるときは、都道府県知事又は第十二条の政令で定める市町村(特別区を含む。)の長(以下この条において「都道府県知事等」という。)に対し、この法律の規定により都道府県知事等が行う事務のうち政令で定めるものに関し、必要な指示をすることができる。
 (立入検査)
第九条 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、第五条第二項又は第七条第二項若しくは第三項の規定による権限を行うため必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地において行われている土地の掘削等の状況を検査することができる。
2 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
 (報告の徴取)
第十条 都道府県知事は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、土地の掘削等を行った者又は土地の掘削等が行われた土地の所有者等に対して、当該土地の掘削等又は当該土地の状況について報告を求めることができる。
 (適用除外)
第十一条 第三条から第五条までの規定は、土地の掘削等が宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第三条第一項の宅地造成工事規制区域(次項において「宅地造成工事規制区域」という。)内における同法第二条第二号に規定する宅地造成に関する工事、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第七条第四項に規定する制限行為その他政令で定める行為である場合における当該土地の掘削等については、適用しない。
2 第七条の規定は、土地の掘削等が行われた土地が宅地造成工事規制区域内の宅地造成等規制法第二条第一号に規定する宅地又は同法第二十条第一項の造成宅地防災区域内の同法第二条第七号に規定する造成宅地、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第三条第一項の急傾斜地崩壊危険区域内の土地その他政令で定める土地である場合における当該土地の掘削等が行われた土地については、適用しない。
 (政令で定める市町村の長による事務の処理)
第十二条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市町村(特別区を含む。次条第一項において同じ。)の長が行うこととすることができる。
 (条例との関係)
第十三条 都道府県(前条の政令で定める市町村を含む。)は、その地域の自然的社会的諸条件から判断して、土地の掘削等に伴う土砂災害を防止するため必要があると認めるときは、条例で、政令で定める基準に従い、第四条の土地の掘削等の技術的基準より厳しい技術的基準を定めることができるとともに、この法律で規定するもののほか、条例で、土地の掘削等に伴う土砂災害の防止に関し必要な定めをすることができる。
2 この法律の規定は、地方公共団体が、土地の掘削等に関し、その地域の自然的社会的諸条件に応じて、この法律とは別の見地(土砂災害の防止が含まれるものを含む。)から、条例で必要な規制(許可制度その他届出制度より厳しい規制を含む。)を定めることを妨げるものではない。
 (罰則)
第十四条 第五条第二項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第十五条 第七条第二項又は第三項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第十六条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をして、土地の掘削等を行ったとき。
 二 第九条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第十七条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、その違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 一 第十四条 一億円以下の罰金刑
 二 第十五条 五千万円以下の罰金刑
 三 前二条 各本条の罰金刑
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三項の規定は、公布の日から施行する。
 (経過措置)
2 第三条から第五条までの規定は、この法律の施行の日から起算して三十日を経過する日以後に着手する土地の掘削等について適用する。
 (政令への委任)
3 前項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
 (検討)
4 政府は、この法律の施行後一年以内に、砂防法(明治三十年法律第二十九号)、宅地造成等規制法その他の土砂災害の防止について定める法律の罰則に関する規定に係る懲役及び禁錮の期間並びに罰金及び過料の額について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。

     理 由
 国民の生命及び財産の保護を図るため、土地の掘削等に伴う土砂災害の防止のため必要な規制を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。