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令和3年12月10日
第3回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」(オンライン形式)で冒頭挨拶を行う、岸田総理大臣の様子 第3回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」で
冒頭挨拶を行う岸田総理(写真提供:内閣広報室)

 12月9日、第3回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」がオンライン形式で開催されました。本会合では、岸田文雄内閣総理大臣が総理大臣として初めて本会合に参加し冒頭挨拶を行い、また、グスタヴォ・スラウビネンNPT運用検討会議議長候補(H.E. Ambassador Gustavo Zlauvinen, President-designate of the Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)、中満国連事務次長・軍縮担当上級代表とともに、核兵器国及び非核兵器国の双方の政府関係者並びに核軍縮に関する様々な立場の国内外の民間有識者が出席しました。

  1. 会合の冒頭、岸田総理大臣から挨拶を行いました。その概要は以下のとおりです。
  • 私は、核兵器不拡散条約(NPT)を国際的な軍縮・不拡散体制の礎石として重視。
  • 我が国を取り巻く安全保障環境は急速に厳しさを増している。同時に、核軍縮をめぐり、立場の異なる国々の分断が深まっている。この厳しい現実に手をこまねいていることはできず、状況を打破するための一歩を来年1月のNPT運用検討会議で記さなければならない。
  • 我が国は、同盟国である米国の信頼を得た上で、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させつつ、立場の異なる国々の間の関係を、「分断から協調」へと導いていかなければならない。
  • そのために、次回NPT運用検討会議において、「核兵器のない世界」に向けた実質的な前進となる合意文書の採択を目指して全力で取り組む。
  • その機運を高めるべく、新たに任命した寺田核軍縮・不拡散担当総理補佐官を関係国に派遣するとともに、私自身も、世界各国のリーダーへの積極的な働きかけを続ける。
  • 核兵器の削減を可能にする確固たる基盤を築き上げる上での鍵となるのは、「透明性」。我が国は、全ての核兵器国に対して、核弾頭数や運搬手段を含む核戦力についての更なる情報開示を求めていく。
  1. 今回の会合は、岸田総理大臣が挨拶で言及した我が国の努力を具現する取り組みの1つであり、会合においては、来年1月に控えるNPT運用検討会議のあり得べき成果、特に、NPTの3本柱(軍縮・不拡散・平和的利用)のバランスの取れた成果の在り方、及び、NPT第6条に基づく核軍縮分野における前進の在り方などについて、議論が行われました。
  2. 参加者からは、「核兵器のない世界」の実現に向けた、岸田総理大臣のリーダーシップに対する高い評価が示されました。また、核兵器国が現時点で検討している具体的な措置、核軍縮分野における前進を確保するための非核兵器国にとっての優先事項、全てのNPT締約国にとって受入れ可能な共通の基盤等について多くの発言がなされました。その他にも、参加者から様々な意見や提言が出され、活発な意見交換が行われました。
  3. 日本は、引き続き、「核兵器のない世界」の実現に向けて着実に前進すべく、粘り強く、各国間の橋渡しのための努力を積み重ねていきます。
[参考1]出席者

  • (1)グスタヴォ・スラウビネンNPT運用検討会議議長候補
    中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表
  • (2)政府関係者(15か国)
  • 核兵器国:中国、フランス、ロシア、英国及び米国
  • 非核兵器国:オーストラリア、オーストリア、ドイツ、クウェート、オランダ、マレーシア、ポーランド、メキシコ、南アフリカ及び日本
    (ワイアー米国務次官補代理、クメント墺外務省軍縮・軍備管理・不拡散局長、ジークフリート独外務省軍縮基本政策部長、ガブリエルゼ蘭軍縮代表部大使等)
  • (3)民間有識者(日本人有識者3名、外国人有識者10名の計13名)
  • (ア)日本人有識者
  • 秋山 信将 一橋大学大学院法学研究科教授
  • 小泉 崇 広島平和文化センター理事長
  • 高見澤 將林 東京大学公共政策大学院客員教授
  • (イ)外国人有識者
  • ルイス・ダン 国連軍縮研究所研究員/元米NPT担当大使
  • ティティ・エラスト ストックホルム国際平和研究所主任研究員
  • ルーカス・クレッサ 国際問題研究所(ポーランド)研究員
  • パトリシア・ルイス チャタムハウス研究員
  • オリバー・マイアー ハンブルク大学平和研究安全保障政策研究所上級研究員
  • ジョージ・パーコビッチ カーネギー国際平和財団副会長
  • タリク・ラウフ ストックホルム国際平和研究所研究委員/元IAEA検証安全保障課長
  • マンプリート・セシ  空軍力研究センター(印)フェロー
  • ブルーノ・テルトレ 戦略研究所(仏)副所長
  • 趙通(Tong ZHAO) カーネギー清華グローバルセンター・シニアフェロー
[参考2]第1回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」

  • (1)2020年3月、我が国は、「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」における議論の成果のフォローアップ及び更なる発展を目的として、核兵器国と非核兵器国を含む各国の政府関係者9名及び国内外の民間有識者9名(「賢人会議」委員の一部を含む。)の参加を得て、「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」を開催。
  • (2)会合では、透明性、核リスク低減及び核軍縮・不拡散教育という3つの具体的な核軍縮措置の受容性に焦点を当てた議論が行われた。
[参考3]第2回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」

  • (1)2021年3月、我が国は、被爆地の関係者を含む核軍縮に関する様々な立場の国内外の民間有識者15名、核兵器国と非核兵器国を含む11か国の政府関係者、スラウビネンNPT運用検討会議議長候補及び中満国連事務次長・軍縮担当上級代表の参加を得て、第2回「核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合」をオンライン形式で開催。
  • (2)会合では、2021年8月に開催が見込まれていた(当時)NPT運用検討会議において意義ある成果を達成するための方策について議論が行われた。
[参考4]核軍縮の実質的な進展のための賢人会議

  • (1)経緯及び目的
    国際的な安全保障環境が悪化し、核軍縮の進め方をめぐり核兵器国・非核兵器国間、更には非核兵器国間でも意見対立が顕在化する中で、各国の信頼関係を再構築し、核軍縮の実質的な進展に資する提言を得るべく、2017年5月に岸田外務大臣(当時)が「賢人会議」の立上げを表明。2017年11月から2019年7月にかけて全5回の会合を開催。同会合での議論を通じて、2018年3月の提言、2019年4月の「京都アピール」に続き、同年10月にはそれまでの同会議の議論を総括する報告書として「議長レポート」が外務省に提出された。
  • (2)委員構成
    座長の白石隆・熊本県立大学理事長を含む日本人有識者7名に加え、核兵器国、中道国及び核兵器禁止条約推進国の外国人有識者10名の計17名で構成。被爆地である広島及び長崎からも有識者が参加。

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