厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)5月11日(火) 15時00分~

場所

厚生労働省 職業安定局第1・2会議室
千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 12階

出席者

  ・安藤 至大
  ・大久保 幸夫
  ・鎌田 耕一(座長)
  ・中田 るみ子
  ・山川 隆一

議題

(1)有識者からのヒアリング
(2)業界団体からのヒアリング
(3)その他

議事

議事内容
○事務局 ただいまから第12回労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会を開催いたします。本日は御多忙のところ、御出席いただきましてありがとうございます。本日は、阿部委員、武田委員が御欠席です。
 本日は有識者と業界団体からのヒアリングということで、これまでの研究会で議論となりました点について、御知見をお持ちの有識者の方と人材サービス業界団体に御出席を頂いています。
 では、はじめに、個人情報の保護という論点について御出席いただいている有識者の方を御紹介させていただきます。中央大学国際情報学部小向太郎教授です。本日は御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
早速ですが、小向先生から資料に基づき御説明を頂き、その後、委員各位との質疑応答としたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○中央大学小向教授 ただいま御紹介いただきました中央大学の小向と申します。本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。
本日、私がお話させていただくのは、個人情報保護の制度の概要と職業安定法上の個人情報保護の取扱いについてということで、主に個人情報保護制度の特徴、概要に少し重点を置き、その上でほかの個別分野の制度との関係がどういうふうに考えられているのかということをお話したいと思います。
 まずは自己紹介ですが、中央大学の国際情報学部という比較的新しい、まだできて3年目の学部にいます。専門は情報法で、個人情報保護に関しても専門分野として研究をしています。
次に、日本の個人情報保護制度について見ていきます。まず、個人情報保護制度自体が、最近非常に頻繁に改正をされています。直近では、非常に大きな改正が3回ほどありまして、どの改正がどういう改正だったのかということも、詳しくお話をするとちょっと時間がありませんので、大括りにお話をしてきたいと思います。
 もともと日本の個人情報保護制度というのは、2003年に個人情報保護法という法律ができ、個人情報保護法という法律は、日本の個人情報保護政策の基本的な進め方を定めた基本法という性格と、個人情報を取り扱う事業者を規制する規制法という性格、この2つの性格があり、また、行政機関や独立行政法人、地方自治体については別個の法体系になっていました。これを2021年の改正法では1本にまとめています。統一的な考え方で個人情報保護政策を進めていきたいということと、諸外国、特にEUから行政機関に対するコントロールというものがないのではないかという指摘も根強くされてきたこと、日本の地方自治体の個人情報保護条例の内容を統一する必要があるのではないかなど、いろいろな要素が絡み合って今回の改正につながっています。
 ただ、基本的にはコントロールを個人情報保護委員会に集約することと、基本的な概念を合わせるということですので、2021年改正については、行政機関や地方自治体にとっては大きい面はありますが、民間の個人情報取扱事業者に関する部分はほとんどいじられていないというふうに理解していただいてよろしいかと思います。
 個人情報取扱事業者にどういう義務が課せられているのかということを簡単にまとめています。日本の個人情報保護法は個人情報を3つに分けているという言い方をよくするのですが、個人情報というものがやはり一番広い概念で、ある程度体系的に整理されたものが個人データ、それを一定期間持っていると保有個人データというふうに分類していました。しかし、これは今、余り意味がなくなりつつあります。なぜかというと、個人情報を扱うときには、ある程度体系的に整理されていることが多いので、個人情報としてイメージするものは大体個人データに該当してしまうというところがあります。それから、保有個人データは、本人が開示請求や訂正請求などができる場合があるということで、一定期間保有しているものですが、これもそういう制限をなくす方向です。細かい議論はあるのですが、今日は対象となる個人情報というのは「特定個人を識別できる情報」だというふうに考えていただければよろしいのではないかと思います。
 もともと個人情報全般については、利用目的に関する義務が課せられています。個人情報を扱うのであれば、利用目的を特定して、その範囲に利用を限定して、利用目的は事前に通知又は公表しなければならないということです。ここでポイントは、本人の同意や本人が嫌がらないことであるなど、そういう実質的な規定、要素というものはないのです。日本の個人情報保護法は、もともと個人情報は集めて使うのであれば、自由に使っていいという法律になっています。これは立法時の議論で、そういう整理になっています。
 個人データとして、データベース化、体系化しているものについては、正確性を求めて、ある程度必要な範囲で正確性を維持しなければいけなくて、第三者提供については、原則として本人の同意が必要だということになっています。また、利用目的を大きく変更する場合にも本人の同意が必要だということになっています。日本の個人情報保護制度は、集めて使うのは自由ですが、事後的に利用目的を変更したり、第三者に提供したりしようとすると本人の同意が必要だということです。内部利用と外部利用を割と厳格に分けている面があり、これが大きな特徴になっています。
 先ほど言いましたように、保有個人データとして自分で情報開示や消去ができるデータについては、一定の場合に本人からのそういう要求に応じなければいけないことになっていますが、もともと利用停止請求、本人がこの個人データを使うのはやめてほしいという要請をした場合に、それが認められるのは、目的外利用や無断で第三者提供しているといった限られた場合でした。
2015年改正のときに、要配慮個人情報という新しい類型ができました。差別に結び付きやすい情報については、病歴や犯罪歴などを含めて取得に本人の同意が必要だということになっています。
 こういう個人情報取扱事業者の義務に違反した場合には、基本的に個人情報保護委員会から報告を聴取したり、助言が行われたりという行政の指導がまずあって、義務違反が認められる場合には勧告、それでは解消できない場合には命令、更にそれに違反した場合には罰則という作りになっています。御存じかと思いますが、事業者の義務違反について、これで最後まで頑張って罰則を受けた事業者は、今まで1件もないです。
 実質的な変更があった法改正、2015年改正と2020年改正の概要について、まとめています。これも全てお話していくととても時間が足りませんので、かいつまんでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、規制・エンフォースメントについて言うと、2015年改正で個人情報保護委員会が設置されました。権限が一元化されて、指導・立入検査権等が整備されたということになっています。
 グローバル化関係については、海外の事業者への適用と海外に情報を移転する場合の制限、その2つが入って少し充実しています。
 データの利活用については、匿名加工情報と仮名加工情報という新しい制度ができました。これも日本独特の制度で、どのぐらい利用があるのかというのは議論があるところですが、本日はテーマから外れますので割愛したいと思います。
対象情報については、個人情報の範囲が明確ではないのではないかということで、明確化の規定が置かれたのが2015年です。これについても、こういう議論があったということをご認識いただければと思います。
 次に本人の請求権です。もともと事業者に開示や訂正などを求めることができる規定があったのですが、それが法的な請求権かということが論点になっていたので、2015年改正では、請求権であることを明確にしました。利用停止・消去、こういった請求権については、不正取得が行われたか、目的外利用が行われたか、第三者提供を無断でずっと行っているなど、そういう場合に限られるというふうに申し上げましたが、2020年改正で、本人の権利を侵害する恐れが高いものという類型を付け加えて、少し緩和をしています。本人から請求があった場合、では具体的にどういうときに消去や削除が請求できるのかというのはこれからなのですが、例示として挙げられているのが、個人情報が漏洩したのに、漏洩した後の対策がちゃんと取られていなくて自分の個人情報が心配な場合や、やめてくれと言っているのにダイレクトメールがどんどん届いてやめてくれないというような場合、そういう場合には利用停止ができるのではないかというふうに言われています。
 今まで内部利用であれば、利用停止請求などがほとんどできなかったことが、2020年の改正でできるようになるということでこれはまだ施行されていませんが、本人意思の反映という意味では大きな改正だと思います。
 次に欧米の個人情報保護制度、皆様もよくお耳にすると思いますが、厳格な個人情報保護制度で知られているヨーロッパ、EUのGDPRを中心にお話をしていきたいと思います。GDPRは非常に長大な条文を持った厳格な制度でして、いろいろな論点があるのですが、今日はGDPRで重要な条文として第6条に絞って御説明したいと思います。
 第6条というのは何を決めているかというと、個人情報を取り扱うのは違法であるということです。原則違法です。これがなかなか理解されないところなのですが、EUでは個人情報の処理は原則違法です。もし処理をするのであれば、何らかの正当化根拠を主張しなければいけないというふうに定めているのが第6条です。この第6条で認められている適法化根拠というものが、 (a)~(f)です。
 「(a)本人の同意」というのが当然あります。それから、「(b)契約等の履行への必要性。」「(c)法令等の根拠がある場合。」「(d)生命に関する利益に関わる場合。」「(e)公共の利益・公的権限の遂行に必要な場合。」「(f)適法な利益の目的なために必要な場合。」このように定められていて、日本の法律や議論に慣れている人だと、ここで同意に目がいくと思います。それぞれどの根拠を選択したかは、あらかじめ事業者が選んで説明をしなければならないという義務になっています。本人の同意を根拠にしていれば、いつでもその同意は撤回されるかもしれず、(e)(f)を選んだ場合には異議申立てに応じなければいけないなど、求められる法的義務が少し変わってきます。
 GDPRで「本人の同意」とあって、先ほどつい目が行ってしまうと申し上げましたが、本人の同意については非常に厳格だと言われています。本人の自由な選択を確保し、例えば、無理やり取られた同意というのは、同意として認められないですし、同意を撤回したからサービスのレベルが低下するなどということも原則として許されないということになっています。分かりやすい例を挙げると、雇用主が労働者から取った同意はほぼ無効だと考えられています。断われないだろうということです。自由な同意ではないということです。
 同意を選択するといつ撤回されるか分からないし、そうやって厳格に判断されるというと世の中が回らないのではないかという感じがします。「(b) 契約等の履行への必要性」を選択する場合、確かにこういうサービスを受けるならこういう情報が必要だということが明確であれば(b)でいけるわけです。ですが、本当に必要かということについて、EUの規制当局は考え方を聞かれれば厳しく答えています。ここの不安があるということであれば、「(f)適法な利益の目的のため」という根拠を使うべきだというものが、EU当局の考え方です。
 では、この適法な利益とは何なのかというと、ここでの利用は、社会として受容できる目的であって、本人の権利を侵害しないために十分な対策が行われているなど、そういう社会的なメリットと本人の権利を比較考慮して、メリットのほうが上回るのであれば適法な利益と認めようという考え方です。この立証責任は事業者の側にあります。いろいろなことを考えて、事業者が頑張って主張してくださいというものです。このことを説明すると、これは予見可能性がないのではないかと言われるのですが、実際ないのです。これは頑張って努力してくださいという制度です。
ここまで御説明してまいりましたが、ではEUは本当にこれを厳格にやっているのかという疑問が湧いてくると思うのです。本当に隅々まで厳格にやっているかどうかは分かりません。ただ、これが争いになればこういう考え方が適用されるということだと私は理解しています。
 本人の権利に関する規定はGDPRではいろいろ新しい踏み込んだ先進的な規定が置かれているのですが、今日はプロファイリングと呼ばれるものに焦点を当てて簡単に御紹介したいと思います。
 プロファイリングとは、個人の評価を目的としたコンピュータによる個人データ処理です。EUのGDPRでは、基本的にこれに対しては異議申立てができるということが1つ大きなポイントです。それから、このプロファイリングで自動処理だけに基づいて、個人の重要な権利に関わるような決定を行うことは禁止されています。この自動処理だけに基づいてというのは何なのかというのは、EUでも議論になっていて、少しでも人間が見ればいいのかなどと思いますよね。これも正直なところ、具体的に明確になっているわけではありません。ですが、隅から隅まで自動処理でデータをもとに決定してしまうということは違法だということだけが決まっていて、どのぐらいの関与が実質的な人間の関与になるかということは、裁量の範囲だということになっていると思います。
 次に、アメリカについて簡単に紹介しておきます。アメリカは、これはもうあまりにも作りが違うのでちょっと比較がしにくいのですが、分野ごとにいろいろな形で個人情報に関わるような規定がおかれています。もともとそれほど保護されていないのではないかという意見もあったのですが、最近は特に消費者関係についてはFTC(連邦取引委員会)が積極的な規制を行っています。ただ、根拠になっているのはFTC法5条の「商業活動に関わる不公正な競争手段と、商業活動に関わる不公正または欺瞞的な行為または慣行は違法」だという条文を頼りにやっているのです。ですから、典型的には利用規約違反を追及しています。FTCは、巧みにIT大手の巨大プラットホームなどに、「責任を果たしてプライバシーポリシーとかを作るべきだ」というふうに働きかけて、作った利用規約とビジネスの実態を見て、その行為は自分のポリシーに違反しているのではないかというように規制するのです。それが一番の典型例だと思います。
 カリフォルニアプライバシー法についてです。アメリカでも包括的なプライバシー法を作ろうという動きがあって、カリフォルニアなどではこういう法律ができていますという御紹介として御覧下さい。
 もう既にお話しましたように、制度的には日本の個人情報保護法の特徴は取得と利用の自由度が高くて、利用目的の変更と第三者提供については、原則として本人の同意が必要だということになっています。GDPRは厳しいようですが、(a)~(f)までの正当化事由を求めるというのは、第三者提供でも変わりません。第三者提供の正当化事由があるかというふうに判断されるわけです。予見可能性の面や実行性の面でどうかという批判はありますが、現在のようにいろいろな利用で弊害も多様化しているときに、こういうバランステストを事業者が工夫して、本人に害がないようにしなくてはいけないという努力をさせる制度の枠組みも、ある程度は参考になるのではないかと私は個人的に思っています。
アメリカは、欺瞞的なだましたような個人情報の扱いをした場合には、規制がかかるという仕組みになっています。
 GDPRは、基本的にはオプトイン型です。正当なポジティブな理由がなければ使ってはいけないということです。それに対して、アメリカはもともと自主規制を重視する傾向があることから、本人が嫌がっている場合にはやめさせなければいけないというふうに規制を行う傾向が強いです。これはオプトアウト型です。日本の場合は、場面によってオプションが変わっているところがあると考えています。
 最後に、個別分野と個人情報保護についてお話をしたいと思います。職業安定法の第5条の4です。求職者等の個人情報を収集し、保管し、又は使用する場合には、その業務の目的の達成に必要な範囲内にしなければいけないという規定があります。そして、第51条には、業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならないという規定があります。ポイントは、明らかに個人情報保護法への上乗せになっているということです。個人情報保護法からは、業務の目的の達成に必要な範囲内という制限が出てこないのです。
 恐らくは、これを実質的に運用するに当たって、私が申し上げるのも何ですが、局長通達として、「募集情報等提供事業者等の適正な運営について」という通達が出されていて、「本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段にならなければならない」という指針の考え方が示されていて、個人情報をみだりに他人に知らせてはならないと規定した第51条第2項にも違反する可能性があるというふうにお示しになっています。これは恐らく、先ほど言ったように、本当に必要な範囲なのか、実質的に許容される範囲なのかということを判断して、考え方を出されているのだと思います。
 これを踏まえて、まとめを御覧いただきたいのですが、もともと日本の個人情報保護法は、内部利用については自由度が高くて、本人の望まない情報が収集、利用されても問題とされない場合が多かったのです。ですが、利用が多様化すると、本人の意思反映ということも必要になってくるのではないかという意見があり、これについては、2020年改正で利用停止・消去等請求権の要件が緩和されたというのは先ほど申し上げたとおりです。
 従来から、あらかじめ同意があれば第三者提供ができるということについて、かなり包括的な同意でもいいのではないのかという考え方が取られてきています。ですから、包括的に利用規約などといったもので同意が取られているものも無効とは言えないという運用が今までもされてきました。しかし、少なくとも本人への説明はある程度きちんと行う必要があるのではないかということを、個人情報保護委員会で検討されているところと私は理解しています。
 個別の法分野で、踏み込んだ個人情報についての規律を行うということは、当然、法の趣旨が違いますので、あり得ると思います。最近は独占禁止法の運用で公正取引委員会が個人情報の取扱いが優越的地位の濫用等に当たる場合を指針で示したりしていますし、消費者の利害に関わることが規制されることは当然あり得ると思っています。ただ、個人情報保護政策の観点から、きちんと情報の共有と連携を取ってほしいという考えています。個人情報の扱いについては、専門の機関として個人情報保護委員会がありますので、そちらと連携をしながら、この部分は労働者関連の職業安定法の趣旨からこういう規律が必要なのだということを、打ち出していくということは当然あり得るのだろうというふうに思っています。
 具体的にどうするのかということについては、例えばやはり明らかに求職者が嫌がる可能性が高いような情報を使ってしまうというのは、これはもともとの個人情報保護の観点からも問題がありますし、規律が行われて当然しかるべきだと思います。何か包括的な同意でそれもいいだろうというのは、そもそも個人情報保護法の運用としても見直していく必要があるのだろうというふうに、これは個人の意見ですが、思っているところです。
 私からは以上とさせていただきます。ありがとうございました。
 
○事務局 小向先生、ありがとうございます。それでは、委員からの御質問をお願いできればと思います。鎌田座長、お願いします。
 
○鎌田座長 小向先生にはお忙しいところ、誠に貴重なお話を頂きありがとうございます。幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、確認なのですが、先生のお話を伺いますと、個人情報保護法では取得・収集・内部利用には本人の同意を必要としなくて、第三者への提供・利用目的変更については必要だと。しかしながら、職業安定法に関していうと、業務の目的の達成に必要な範囲ということでは収集・内部利用も含めて枠が掛かっているということなので、業務の目的達成に必要な範囲というのがどういう範囲かというのは、それぞれの業務によりますが、先生の御指摘だと、やはり個人情報保護法よりも上乗せした要件がかかっているという御認識と思うのですが、そういうことでよろしいでしょうか。
 もし、そういうことだとすると、労働者保護という観点から職業安定法特有の規制があり得るということをおっしゃったと思います。先生の目から見て、このような上乗せ部分の正当性といいますか、肯定的に見る見方、あるいは、もしかしたら否定的な見方があれば教えていただければと思います。
 2つ目に、同意の取り方というのがありまして、実態においては包括的同意というものが、実務では結構行われている可能性があります。今の先生の御指摘だと、例えば一番最初のところにクリックをしてということではなくて、やはりそれなりの説明というものが必要なのだというような御趣旨でお話されたのではないかと思いますが、そういう理解でよろしいかということをお伺いしたいと思います。
 
○小向教授 御質問ありがとうございます。まず、1つ目の質問です。取得・内部利用については自由度が非常に高いというのは、もう御理解いただいたとおりです。職業安定法について上乗せがされているということ、これは労働者の保護という観点から、業務の目的の達成に必要な範囲内に限定していると私は理解しておりますので、この部分は、業務に必要な範囲かどうかという判断にそういった制度趣旨を取り込んで、一般法の個人情報保護法よりも厳しい規制を求める、規律を求めるというのは当然あり得るだろうと思います。
 ただ、どういう形で規律すべきかどうかという判断はもちろんあり得ますし、規律を行う側の裁量もある程度必要だろうともちろん思います。どういうふうにするかについては、個人情報に関わることなので、個人情報保護委員会と情報共有や協議をして進めるのが望ましいと思います。思わぬところで、全体の政策が統一の取れないものになってしまってもいけませんので、上乗せがいけないということではないのですけれども、連携は必要だろうと思います。
 2つ目の同意についてもおっしゃるとおりで、包括的な同意というのは、私は包括的同意は緩すぎるのではないかと、研究者個人としては思っています。ただ、今までの運用として、第三者提供に常に同意を求めるということが、そもそもやや厳しいので、包括的なものもある程度は認めてきたのです。しかし、その中でも、実質的にこういうものは本来は同意したくないだろうというものまで、同意に含めてしまうということがあってはならないだろうと思いますし、それについては、同意の前提となる本人への説明について、もう少し踏み込もうという議論が個人情報保護委員会でされているところだと理解しています。
 
○鎌田座長 職業安定法では、いわゆるセンシティブ情報は指針において収集も厳しく制限されているものがあります。個人情報保護法の要配慮個人情報との関係もあるかもしれませんので、そういったことも視野に入れなければならないかと思っています。
 
○山川委員 非常に有益なお話を大変ありがとうございました。簡単に2つありまして、1つ目はGDPRのことです。本人の同意について、労働者から使用者が得る同意というのは、原則無効というようなお話であったかと思います。まだ労働者になる前の求職者についても、もし何か扱いが示されていたらお伺いしたいと思います。
 それから、包括的同意でない同意というのはどういうイメージになるでしょうか。よくあるのは、サイトなどで規約が出てきて、それでOKした場合はクリックしてくださいというもので、それは包括的同意かなと思うのですけれども、望ましい同意、ないし包括的でない同意のイメージがありましたら、教えていただければと思います。
 
○小向教授 まず、1つ目のGDPRの同意については、自由な意思に基づかなければいけないということで、自由な意思に基づかない例として、よく使用者が労働者から取る同意が挙げられます。私の知る限り、求職者から取る同意については、公的な、オフィシャルなもので明確に考えが示されたものはなかったように思いますが、同じ趣旨になると思います。当然もっと弱い立場かもしれなので、求職者に対して同意だけを正当化根拠として情報を取るというのは、GDPRにおいては難しいのではないかと思います。
 それから2点目です。包括的同意が並んでいて、これら全てについてイエスかノーかというものが大変多いですよね。日本でもアメリカでも多いです。ただ、GDPRの考え方だと、それには個別オプションを入れないといけないということになると思うのです。基本的にこの部分は同意をする、この部分は同意をしないということが、ある程度明確になっているようにすることが求められているのだと思います。
 ただ、これを申し上げると多分、そんなことができるのかという感覚を持たれると思うのです。ですから、現実的に同意にあまりに頼るのは無理なので、先ほど申し上げたように、契約履行に必要だとか、これは社会的に容認されているもので本人に害が及ばないように努力しているのだというように、事業者に主張させるといったような形の正当化事由が推奨されているのです。契約履行のために必要かどうか、必要な場合の正当化事由のガイドラインなどを読むと、適法な利益で頑張って努力してほしいというようなことが書かれているのです。そういう意味で、同意自体が有効に機能する範囲というのはかなり狭いと理解したほうがいいだろうと思います。

○安藤委員 今、山川委員からあった話とも関連するのですが、GDPRにおいては、同意に頼らないほうがいいというお話を頂いたわけですけれども、その場合には、具体的にどういう取組をして同意に代わるものとしているのか、これをもう少し教えていただければと思います。
 「自由な意思に基づく本人の同意」といっても、我々の日常的な感覚でいったら、先ほどのお話に出たような、様々な条項に全部アグリーと押すと先に進めるということで、逆にいうとアグリーを押さなかったら、サービスは受けられないという実態があるわけです。このときに、全ての人が細かく条項を読んでいるかといったら、恐らくそんなことはなくて、自分よりももっと法律や条文に詳しいであろう、例えば弁護士や法律の専門家なども同じようなサービスを使っていると思ったら、大丈夫だろうと思ってアグリーを押してしまうのが一般的なことだと思うのです。
 そして、より細かい本人の同意を確実なものにするための手続を増やせば増やすほど、実際にはみんなが納得するようなものであっても、そこには利用者の手間がとても増えてしまうという問題があるのではないかと思うのです。本人の同意というのは、とても大事なことではあるのですが、無尽蔵に契約のコストを掛けていいわけでもないので、この辺りが先ほどの御回答で、本人の同意に頼らないほうがいいよというお話に対して、どういうことが解決策として考えられるか、これを1点目として教えていただきたいと思います。
 次に、今日のお話とは少しずれる部分があるかもしれないのですが、雇用仲介に関係して気になっている点として、公表されている個人情報、例えばホームページやいろいろな所に既にアップされている個人情報、例えばクローリングや様々な技術によって集めてくる情報を、第三者に対して提供するということについて、個人情報保護法では本人からの同意は必要なのかどうか。この辺りを教えていただければと思いました。
 最後に、履歴書などの判定にAIを使うという話を、よくニュースなどでも聞くわけです。その際に、教師データとして、その会社の入社試験を受けた過去の合格者又は不合格者の履歴書、エントリーシートなどを、恐らく判断材料として次年度以降の選考に利用するという、このようなことが実務上は行われているような気がするのです。これは個人情報保護法上問題があるのかどうかをお伺いできればと思います。履歴書を過去に送ってくれた人、それは合格者も不合格者も、自分の履歴書が自分の判断ではなく、自分より後の受験者、入社試験を受ける人間の評価に使うために提出したという人はいないと思うわけで、この辺りはどのように考えればいいのか教えていただければと思います。
 
○小向教授 1つ目の同意に頼らない解決策ということでは、EUのGDPRについてお答えいたしますと、EUが考えているのは、もう明らかに適法な利益の目的のための利用なのです。これはもう同意は要らないのです。同意ではなくて、この利用は社会に受け入れられるもので、こういうサービスを提供するには必要で、いろいろな工夫をしているから、本人の利益も害さないだろうと一生懸命主張しなさいという考え方なのです。例えば、保護のためにデータの匿名化の加工などもきちんとやっていますということを、何か問題があって本人が訴えてきたら頑張って説明してくださいという適法化根拠なのです。
 同意が全く無意味ということではなく、同意によって選択させたいものは、当然EUでも選択させるわけです。しかし、社会的にいちいち同意を取ったとしても、ざっくりした同意になってしまうようなものだったら、むしろ適法な利益のための目的だということを事業者に主張させるというのがEUの考え方だと私は理解しています。実際に、本当にそれが細かく義務付けられて、ルールが厳格に運用されているかどうかというのは別の問題として、考え方としてはそうなっていると思います。
 2つ目の公表されている個人情報を集めて分析することについては、もちろん利用目的を公表していればできるわけですが、それを第三者に提供する場合には本人の同意が必要です。日本の個人情報保護法ではそうなっています。EUのGDPRでは、公表されているものを集めて提供する場合も、本人の同意若しくは適法かといった正当化理由が何かしら必要です。公表されているものを勝手に持ってきているのだから、契約の履行は絶対にあり得ないし、その他のものも考えにくいので、多分適法な利益の目的のためにしかあり得ないのですが、そういう正当化を主張しなければいけないということになると思います。日本の個人情報保護法だったら本人の同意が必要ですので、むしろ、日本のほうが結構厳しいです。
 3つ目が、履歴書をAIで解析する場合に過去の履歴書を解析してもいいのかという御質問です。これは恐らく、利用目的を逸脱した目的外利用になるのではないかと思うのですが、利用目的の定め方で非常にざっくりした利用目的だと、そういう利用が許容される可能性もなくはないと思います。もともとの利用目的の運用も、日本の個人情報保護法では包括的な利用目的が認められている面があるので、一概にどうだということは申し上げられないのですが、一般的には目的外利用になるのではないかという気がします。
 ただ、これは2020年改正で新設された仮名加工情報にすることで利用可能になります。仮名加工をして内部分析のために利用することは許されることになるので、目的外でも使える可能性が今度の法改正で出てくるかもしれません。具体的な指針などがまだ出ていないので、はっきりしたことは申し上げられないのですが、仮名加工情報の典型的な例の1つになるのかもしれないと思います。
 
○大久保委員 1つ目は、先ほど話題になった求職者と従業員の違いについて再質問させていただきたいのです。求職者に対して、いわゆる民間の転就職の支援サービス会社が個人情報を収集して活用する場合には、従業員と雇用関係が結ばれているケースのような一方が非常に強い立場にいるという関係にはないのではないかと私は思っています。求職者が、たくさんあるサービス会社の中から自分に合ったものを選んで、その会社を通じて求人情報を取得するという関係なので、容易に求職者側もノーと言える状態になっていますから、そこには違いがあるのではないかと思うのです。
 2つ目は、正しい同意に関することです。職業安定法では、先ほど触れられたとおり、その業務の目的の達成に必要な範囲内という制限がされています。実際に仕事を探す求職者の利益ということを考えると、提供した個人情報を活用して、求人企業にそれを伝えてもらって、できるだけたくさんの採用、オファーをもらいたいということが、明確な目的と利益になっていると思われ、また、それに必要最低限な情報というのが、この職業安定法に書かれている業務の目的の達成に必要な範囲内ということだと思うのです。ここについては、概念的には両者の利益が明確にされているので、多少形式的ではあっても、同意において認められる範囲なのではないかと考えております。
 それではない目的に利用しようと思った場合には、より厳格な別の同意が必要になったり、あるいは、厚生労働省のほうでは、採用選考に使ってはいけない、使うべきではない個人情報というのも明確になっていまして、いわゆる選考で差別につながるようなものについては、そもそも使うべきではないのですけども、もしどうしても使う場合であっても、それは本人の同意がなければ収集してはいけないということで整理されるのではないかと思うのです。そういう考え方でよろしいかどうかという質問です。
 
○小向教授 まず、1つ目の求職者は、必ずしも従業員のように弱い立場ではないのではないかという御指摘のような面もあるかなと思います。ただ、これはもう場合によりけりでもあると思います。やはり、求職者は職を求めて、求められればどうしても出さなければいけない場面もあり得ると思います。従業員のようなすごく固定的な力関係ではないと評価される可能性もありますけれども、求職者として来た方に、「情報を出すことに同意してくださいね」ということで、それを根拠にするのは、GDPR上では危険ではないかという気がします。厳格に考えると、趣旨を潜脱してしまうのではないかという評価がされそうな気がいたします。一方で、日本の個人情報保護法上の同意には当たる可能性があります。
 それから、2つ目の同意に関してです。これもおっしゃるとおりで、基本的にはベクトルは合致しているわけですよね。事業者のほうは紹介したいし、求職者のほうは情報を出してもらって、いい所を紹介してほしいし、アピールしてほしいということです。そういう限りにおいて、ベクトルが合っているものが、ある程度明確なところで同意が認められるというのも当然ですし、当然許容されるだろうと思います。
 これが、相反するか必ずしも合致しないかという場面では、やはり同意というのが問題になるだろうと思います。日本の法律の同意をベースに考えるのであれば、やはり求職者としては、この情報は企業に渡してほしくないという情報も事業者の側では当然持っているわけですよね。それを包括的に採用活動に必要なものにというような同意で含めてしまうのは、やはり問題だと思いますし、規律はあってしかるべきだと思います。
 個人情報保護法でいう要配慮個人情報と、御指摘いただいた使ってはいけない情報については、やはり類型的に害を及ぼす可能性が高いものなので、制度の趣旨としても、両方とも本人の同意を取ればいいだろうということではなくて、慎重に扱わなければいけないのだと思います。
 
○事務局 それでは時間もまいりましたので、小向先生からのヒアリングはここまでとさせていただきたいと思います。小向先生、本日は御多忙なところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 
○小向教授 ありがとうございました。
 
○事務局 次のヒアリングに移りたいと思います。次は、業界団体として、一般社団法人人材サービス産業協議会様にお越しいただいております。本日は、御多忙のところ御出席賜りまして誠にありがとうございます。それでは、資料に基づいて御説明いただきまして、委員との質疑応答とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○一般社団法人人材サービス産業協議会(以下「JHR」) 人材サービス産業協議会でございます。改めまして、お時間いただきありがとうございます。御存知の方々もいらっしゃると思いますけれども、当協議会の概要についてご説明いたします。当協議会は、国内の人材サービス関連業界5団体の横断・連携機関でございます。求人広告、職業紹介、人材派遣、業務請負などのビジネスモデルの枠を超えて、雇用構造の変化や労働市場の新たな要請に対応し、労・使・社会の全てにとって望ましい「健全かつ円滑な次世代労働市場の創造」を目指した取組を推進しております。目的としてはより多くの就業機会を生み出すということで、企業側に対しては人材活用のパートナー、個人や求職者に対してはキャリア形成のサポーターとなるべく努力を行っております。
 当協議会の活動についてご説明いたします。大きく4つの活動を行っております。1つ目は、労働市場における諸課題についての情報収集・調査、研究、審議、施策立案ということで、実際に行った例を下に記載しております。2011年には、「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」というレポートをまとめました。そこから約8年後の2019年に、またそこから先の10年ということで、「2030年の労働市場と人材サービス産業の役割」をまとめました。それから、2018年には、正規、非正規という言葉をなくしていこうということを目標に置きまして、雇用条件を軸としたマッチング機能の普及に向けた提言をまとめております。2番目としては、労働市場に関する諸問題の普及啓発をしていくための意見交換を様々な活動で行っております。3番目として、会員の相互交流及び研鑽です。4番目でその他目的達成に必要な事業として、厚生労働省の委託事業「優良派遣事業者認定制度」を受託運営させていただいております。以上が当協議会の概要になります。
 これから各論点についてお話申し上げますが、まずはじめに、当協議会で前提として思っていることをお話させていただきます。様々なテクノロジーを活用したサービス・機能の提供が、現在進行形で多く行われており、求職者・求人者双方の利便性を高め、外部労働市場の活性化につながっていると認識しております。個人情報や人権には十分に留意しつつ、進化するテクノロジーを萎縮することなく適正に活用することで、今後ますます多様化していく求職者・求人者のニーズに応えて、より良質のマッチングを実現していくことに努めてまいりたいと考えております。
 ここからは、論点に沿ってお答えを申し上げたいと思います。1つ目、「雇用仲介事業者が多種多様となっている現状に対する業界団体としての認識と業界団体の役割について」です。先ほども申し上げたように、IT技術の発展に伴い、新しいサービス・機能を提供する事業者が増加しております。そのような中で、多様化する求職者・求人者のニーズに対応することで、新しいサービスが一定の支持を得ていると認識しております。
 例えば、テクノロジーを活用することによって、求職者が関心のある求人の発見性が劇的に向上しております。今まででしたら発見可能性が低くて見つからなかった、よりマッチングの精度が高い案件を求職者が見つけやすくなっています。特に未経験の職種の求人において効果を発揮しております。また未経験の業種についても同様です。地域をまたいだマッチングや事業規模をまたいだ求人に対しても、応募につながるような事例が多々出てきております。
 一方で外形的には既存の許可事業との違いが分からないサービスも出てきており、この辺りについては、行政見解をお伺いしたいサービスが存在することも事実でございます。いずれにしましても、業界団体としても、よりよいマッチングの実現のために、テクノロジー活用が、今まで以上に更に必要になると考えておりまして、多様なサービスを提供する事業者とともに、連携をより深めながら、労働市場の活性化に貢献をしていきたいと考えております。
 参考資料を2つ添付しております。「職業紹介、求人メディアと新形態サービスの位置づけ」の図表に関して御説明します。我々のようなサービス事業者の介在レベルが高いものと、さほど介在しないものという縦軸と、求職者の現時点における求職意識が高いもの低いものという横軸のマトリックスをお示ししております。従来形の職業紹介や求人メディアは求職意識も高く、我々の介在レベルも高い領域に置かれるサービスですけれども、それ以外にも、様々なジャンルのサービスが増えております。サービス事業者の介在レベルが低いが求職意識が高い領域に、例えばアグリゲーターのようなサービスがあったり、そもそも余り介在がなく求職意識が低いという領域については、SNSや口コミを活用したサービスが出てきています。
 また、求職者と求人企業の選考プロセスにおいて、テクノロジーを活用した様々なサービスが出てきています。これは区分けしているのが際限ないような、もっと細かく区分できるようなサービスにまでどんどん広がってきているような状況でございます。
 続いて、「現在の募集情報等提供事業者に限らず、労働市場に参入してきている幅広い雇用仲介事業者を把握する必要性について」です。近年、異業種を含む様々な事業者が労働市場へ参入し、求職者・求人者に対するサービスを提供しているということで、これは先ほどからも申し上げているとおりです。このようなサービスを一定程度把握することは、労働市場の変化を捉えるという点において有効だと考えております。JHR加盟団体でも、新しいサービス・機能といったことを行っている代表的な事業者の把握はしております。新しいサービス・機能把握の観点ということであれば、この把握する必要性に対して積極的に協力できればと考えております。
 しかしながら、求人・求職情報を扱う事業者は、先ほども見ていただいたように、本当に多様な切り口で多々存在しており、かつ、今後も増加、変化していきます。また「雇用に関わらない事業を主体とする事業者の参画も想定される」と記載しておりますが、現時点でそういったものも出てきておりますので、事業者を全て網羅的に把握するということは非常に難易度が高いというようにも思っております。
 続いて、「求人メディアの企業が苦情処理について留意していること、特に取り組んでいること、また、業界団体としての取組について」です。まず前提として、苦情処理よりも、苦情が発生しないための取組を最も重視しております。そのために会員各社では、従業員教育の実施、相談苦情対応の窓口の明確化、改善を定期的に実施するなどの苦情防止に努めております。JHR加盟団体の全国求人情報協会が事務局を務める求人情報適正化推進協議会、これは厚生労働省の委託事業を受託しておりますが、「求人情報提供ガイドライン」を作成し、求人情報の掲載に当たっての留意事項や苦情対応の仕組み等を定め、周知啓発を行っております。
 また、求人メディアの事業者には「適合メディア宣言」によって、こうしたルールを遵守していることを対外的にも示すように促しております。求人メディア以外でも、職業紹介業では、職業紹介責任者の責務として苦情対応や従業員教育なども行っており、他加盟団体においても相談や苦情の窓口を設け、各会員に対する啓発を行っています。
 次に、「求職者のための求人情報の的確性、最新性を確保することについて」です。JHR加盟団体では、的確性、最新性を重視し、適切に対応するように尽力をしております。健全な労働市場を維持するためにも、こちらの事項は非常に重要だと考えておりまして、各会員社でも取引基準の設定や審査、従業員の教育、求職者相談窓口の設置などに取り組んでおります。また、協会で取得しているノウハウ、ツール等を広く共有することなどを行い、啓発に今後も協力をしていきたいと考えております。
 ただし、的確性・最新性というのは、共に求人情報を提供する求人者からの協力が最も重要となります。我々がいかに努力したとしても、求人者から的確な、最新な情報が得られない限り、なし得られません。加盟団体、各会員社ともにヒアリング手法の工夫など努力はしておりますが、提供される求人情報の内容、タイミング、求人者の意識、役割といったことに大きく影響を受けることは否めないと考えております。
 続きまして、これは加盟団体の全国求人情報協会が、求人メディアの適正化業務として行っている業務について図式化しています。かなり細かい内容になっていますので、ここでは御説明を割愛しますが、求人者に対しての取組、求職者に対しての取組、様々な観点で適正化に向けた活動を行っているという現状を御理解いただければと思います。
 会員に対する審査や支援について、ポイントとしては、入会時だけではなくて、入会後も定期的に審査を実施して、継続的に取り組んでいることを御理解いただきたいと思っております。
 次の論点として、「日本の労働市場において雇用仲介事業を行う際の個人情報の保護についてどう考えるか」です。当然ながら、求職者保護の観点からも個人情報保護は重要だと考えております。個人情報保護法に準拠したガイドラインの遵守などについても、当協議会として加盟団体を通じ、会員社を含めて広く啓発支援に現時点でも努めておりますし、今後も努めてまいりたいと考えております。個人情報保護法を遵守するため、会員各社では研修や試験等の従業員教育の実施、責任者の任命、定期的な運用チェックといったことを行っているほか、プライバシーマークの取得をするなど、個人情報保護には非常に力を入れております。ちなみに、各社及び加盟団体の相談苦情受付でも、実際には個人情報関連の苦情は少ないというのが現時点での状況です。
 最後の論点です。「労働市場の一翼を担う立場から、不況時や緊急時に備え、国と連携・協力して雇用対策を行うことができる体制整備について」です。現在も、新型コロナウイルス感染症拡大を背景とした雇用対策において、加盟団体が行政と連携して、求職者・求人者への支援内容を検討し、雇用の下支え、就業支援等の施策に取り組んでおります。労働市場の動向に関する現況報告や意見交換、行政からの要請に応じての雇用対策に必要な情報提供については、今後もできる限り協力してまいりたいと考えております。現時点では、例えば求人広告の件数を毎月動向調査として公表したり、人材紹介の大手3社の転職紹介実績がどういった推移で進んでいるのかのレポートを出させていただいたり、そうしたことを展開しております。
 以上でございます。
 
○事務局 ありがとうございました。それでは、委員からの御質問に入りたいと思います。鎌田座長、お願いいたします。
 
○鎌田座長 本当にお忙しいところ、貴重なお話を頂き誠にありがとうございます。私からは2点ほど御質問をしたいのですが、まず第1点は、雇用仲介サービス事業者の役割ということで、もちろん求職者あるいは求人企業に対して、マッチング、仲介を行うということだと思うのですけれども、最近は裁判例などを見ますと、求人企業に対して雇用仲介事業が無料をうたいながら、実際には有料サービスだったとか、そうしたような誤解を招きやすい、求人企業に対して不当な不利益を与えるようなサービス提供に当たっての不当な行動をとっていることがあります。もちろんこれが公序良俗違反であれば、裁判でそのような契約は無効ということなのですが、しかしながら、実際にそこを裁判で争うというようなところまで行かない企業も結構あるのではないかと思うのです。そうした場合に、業界団体あるいは業界として、このような雇用サービス事業あるいはその事業者に対して、どのようなことができるのか、あるいは業界にとどまらず、行政を含めてどのようなことを希望、期待するのか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
 それからもう1点は、情報の提供ということで、的確性とか適正性というのは、もちろん前提になるのですけれども、労働条件については、もちろん法令で定めがありまして、一定のものを各企業とも提供するということですが、いろいろな方からヒアリングする中で、必ずしも労働条件だけではなくて、職場における雇用関連情報、例えば求人企業の離職率だとか、研修制度だとか、キャリア育成制度とか、そういったものを提供すると非常に判断しやすいのだというお話もありました。法令上定められている労働条件以外にも、このような情報の提供ということについて、業界団体としてはどのようにお考えになるのか。こういう雇用関連情報といったものの提供ということについて何か御意見があれば伺いたいと思います。以上です。
 
○JHR まず、1点目について、無料をうたった悪質で違法な業者が出てきてしまっているという事実は、業界団体としても個社でも把握しております。我々にとっても非常に由々しきことで、業界自体のレピュテーションを下げてしまうことにつながります。実際にに業界団体としても加盟団体を通じて各会員社から、求人企業側に注意喚起を行う取組を行っています。
 2点目に関して、特に日本の求職者は、他の国の求職者よりも多面的な情報を求めて、その中で応募、選考、入社に至るという点が非常に特徴的な部分でございますので、求職者のミスマッチを防ぐ観点や、入社後にミスマッチなく活躍し続けていただくという観点からも、法令上定められている労働条件の明示を行うことは前提にした上で、職場環境等の情報提供を行うことは、求人者へのメリットも非常に大きいと認識しています。雇用仲介事業者としても求人者から幅広い情報を収集した原稿は求職者からの応募効果に違いが出るため、掲載求人のクオリティを上げていくことによって、事業優位性を保つポイントにもなります。加盟団体の1つである全国求人情報協会では、毎年求人広告大賞という形で、求職者に幅広い情報を提供した結果採用に至った原稿を表彰し、同様の取組を促進するなど、様々な観点での情報収集をして求職者に伝えていくということを力を入れて行っているという現状でございます。
 
○鎌田座長 最初のほうで、ちょっと悪質な事業者に対しては、今おっしゃったようなことは非常に効果的だと思うのですけれども、何かやはり、もう少し行政などの取組ということも、どういうことがあり得るかというのはいろいろだと思いますけれども、必要性があるのかなと思っています。その辺はどのように考えますか。
 
○JHR そうですね、我々が直接取り締まることができない以上、情報提供を行うなど、行政と連携していくことは可能かと思います。

○鎌田座長 ありがとうございます。
 
○中田委員 今日は貴重なお話を頂きましてありがとうございます。資料によると求人企業側が要因となる相談・苦情が過半数を占めているということですが、求人企業側として正しい情報を提供し十分説明するよう努力するのは当然として、雇用仲介サービス事業者又は業界団体としてできることがあるように思います。
 例えば、気が付かなくて情報が古くなっている、もしくは求職者の方たちが当然知りたい情報が提供できていない、そういった場合は、求人企業側にフィードバックをしていただくとか、国の機関と連携してアラートを出していくといったことはされているのでしょうか。
 また、アグリゲーターが情報収集し、求職者に情報提供しているケースで、その求人が満たされた、もしくは求人の内容が変わったというときに、求人企業側はそこまで追い掛けて情報提供ができないことからミスマッチが生じるということもあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○JHR まず、参考資料に記載しましたように、様々な相談のケースがありますが、最も多いのは、求人企業の発した情報について、求人企業自身が誤認しているケースに対しての苦情です。しかし、企業側に悪気があるわけではなく、無自覚や理解不足によるものの場合が多いので、求人掲載するまでの審査でしっかりと基準を設けて、審査に通らないものは掲載しないというようなことを行うのが1つです。もう1つは、先ほどおっしゃったように、我々が介在していくプロセスの中で、より適切な情報に修正していただくような提案を行うなどの対策を行っているのが、今の実態です。
 業界団体としても、各社に上がってきている苦情の内容等を整理してマニュアルやナレッジ集、事例集を作成し、それを会員社経由で求人者にお渡しして啓発することを続けています。毎年、苦情対応をする相談員を集め、情報の最新化をしながら行っております。こういった内容を行政の方々にも共有し、ハローワークさんをはじめとして、様々な場面で一緒に活用させていただくことは是非取り組ませていただきたいと思う所存でございます。
 もう1つ、アグリゲーターを含めまして、情報の更新についてどのように取り組むべきかというお話なのですが、最近はテクノロジーをうまく活用しているケースも出始めておりまして、定期的に情報のクリーニングをして、できるだけ早く最新情報に塗り変えていくというようなことを取り組んでいる事業者もおり、今後もそういったことを意識的に行っていければと思っております。
 テクノロジーを活用したほうが、最新性の問題については解決しやすくなるなと思っております。
 
○山川委員 非常に有意義な活動の御説明も含めまして、大変ありがとうございました。2点簡単に質問があります。5ページで、「外形的には既存の許可事業等との違いがわかりづらいものもあり」というような御指摘がありまして、許可事業ということですと職業紹介事業のことかなと思うのですけれども、特に気になるといいますか、このような作用の面が分かりづらいという点が具体的にありましたらお教えいただきたいと思います。
 もう1つは、8ページで、「事業者を網羅的に把握することは非常に難易度が高い」という御指摘ですけれども、こちらは業界団体として難易度が高いということでしょうか。それとも、雇用に関わらない事業を主体とするということで、いわば制度的ないしテクニカルに難易度が高いということなのでしょうか。
 
○JHR ありがとうございます。まず、5ページ目の「既存の許可事業等」という記述は、職業紹介事業を指した表現でございます。
 いろいろとテクノロジーも進化しているということもありますので、よくこの辺りは分かりにくいと言われつつも、我々が申し上げたいのは、現行法上でも職業紹介に該当するのではなかろうかというものがあった場合については、きちんと職業紹介として対処するべきではないかということをお伝えしたいということです。具体的な観点で言いますと、求職者に対しての個別サポートの部分の介在の量がどうかというところが1つポイントになろうかと存じます。
 2点目につきましては、先ほどの御質問で言うと後者で、テクニカルに難しいと考えております。本当に多種多様でして、こういったことを取り組もうとしているベンチャー企業とかもたくさんありますが、まず一旦やってみて、駄目だったらすぐにサービスをやめてしまうケースもあり、実態を切り取ってつかむというのは非常に難易度が高いなというのが日々思っていることでございます。
 
○安藤委員 私からは2点お伺いしたいのですけれども、まず、資料の13ページ目で、個人情報の保護についてどう考えるかという論点に対して、個人情報保護法の遵守という論点のみ御回答いただいているようにお見受けしたのですが、職業安定法に関わる規定について、どのように周りに情報提供しているかであったり、ここに「定期的な運用チェック」という言葉もありますが、保護の取組を協会としてどのようなことをやっておられるのかということを教えていただければと思います。募集情報提供というほうが、場合によっては職業紹介よりも個人情報を扱う範囲は広いという可能性もありますので、この点をまずお願いします。
 2点目は、先ほど山川委員からもございました論点に関連していますが、どんどん新しい形態の人材サービスが生まれてきているわけで、こういうところが新たに協会に加盟するとした場合、新しい人材サービス側にどのようなメリットがあるのか、または協会として、そういう新しいサービスを取り込んでいくということに、何か取組をされていたら教えていただきたいと思います。
 
○JHR ありがとうございます。1点目について、職業安定法の中での個人情報の取扱いをしっかり行っていくことは、重要だと考えています。
個人情報に関しては、求人メディアによっても取り扱っている量が異なります。もともと紙メディアで企業に直接応募する媒体の場合もあり、インターネット上のサービスであったとしても、メルマガ登録のためのメールアドレスのみ保有しているケースもございます。各社それぞれ保有している個人情報について、現行法の個人情報保護法等をきちんと確認しながら、それぞれのサイト、それぞれのサービスにおいて、適切に基準を作ったり、運用ルールを守ったりしています。
 業界団体としては、勉強会を行ったり、個人情報保護に詳しい有識者の先生たちにお越しいただくなど、各社の取組を支援している状況でございます。
 例えば何かの問題が起きたというときに、そこに対してどのような問題だったのか、では今後そうしないように、生かすためにはどうすればよいのかということを、協会としても対応しています。問題が起こったときは、協会に実際に責任者の方に来てもらって、協会員の人たち向けに、ある種赤裸々な振り返りと、今後にいかすためにということで勉強会を行ったりと、業界自体のレベルを上げていくというような取組も具体的に行っております。
 2点目に関してですが、新形態サービス事業者の取り込みのところです。我々としては、非常にウェルカムで、協業を図れると考えておりますし、現時点でも新形態サービス事業者から賛助会員になりたいという問い合わせが増えてきています。彼ら自身がテクノロジーをベースに事業を運営していて、人材サービス業界において何を留意して求職者目線でどういうことを注意していけばいいのか、より事業を円滑に行っていくためには何の観点で研究していけばいいのかということに知見がないため、業界団体として過去から積み上げてきたノウハウや、運用の経験みたいなものも含めて学びたいというようなことが、入会に際しての理由として多くなっています。
 我々としても、ノウハウについては出し惜しみなどをすることは一切なく、結果的に1社でも多くの新形態の方々が加わって、一緒に取り組むことによってレベルアップを図っていただくというようなことを、現時点でも推進していますし、これからもそういった関係性で取り組んでまいりたいと考えております。
 
○大久保委員 質問というよりは、補足なのですけれども、一番最後に御質問のあった、JHRと新形態と呼ばれている新しいサービスの関係性なのですが、今日の報告の中には網羅的に把握が難しいという内容がありました。確かに、以前のような求人サイトとちょっと違って、テクノロジーが進化したことによって、数人でやっているような企業でも新規参入が割と容易にできたり、容易に参加できるということは容易にやめることもできるわけで、そういう意味で本当に事業体が入れ替わって、昨日あった所が今日ないというようなことも実態としてあるというのは、そのとおりだと思うのです。
 一方では、そうは言いつつも、JHRの傘下にある業界団体や加盟企業のそれぞれが、結構実質的には新形態と呼ばれるサービスについて注意深くウォッチをしていて、JHRで組織的に把握するための活動をやっているというわけではないと思うのですが、ある程度サービス形態は把握しているのではないかなという気もしています。
 労働市場のマッチングには、求人側と求職者側の情報の非対称性の問題が常にありますし、ミスマッチが過去からずっと解決すべき課題として続いているので、そういう隙間には、新しいアイディアや事業があると、その間を埋めていくということになりやすい構造を持っているのだと思うのです。
 新形態が出てくることは、恐らく全体として業界の進化につながる部分もあるでしょうし、一方で、新しく出てくる企業はテクノロジーオリエンテッドなところが結構多いですから、職業安定法を中心とした法的な体系をよく知らないままにやっていって、結果的に違法性のある領域に踏み込んでしまうということもあり、気になるところではないかなと思うのです。そういう企業群に対して、いわばコンペティターにもなるわけですし、そしてまた、業界団体として新しく加盟企業になる可能性のある候補企業でもあるわけですから、高い関心を持っておられて、把握を一定程度しているという側面があるのではないかと思っています。
 つまり、ここに「網羅的に把握することは非常に難しい」と書いてある一方で、積極的に結構把握しているという側面もあるのではないかと思うので、ちょっとその辺の新形態と業界との関係といいますか、その辺りについて少し補足的にお話いただきたいなと思います。
 
○JHR ありがとうございます。今、大久保委員がおっしゃったとおりでございまして、新サービス事業者を個社別にリストとして把握することは、サービスの改廃が激しく難しい認識です。ただ、大枠の中でどのようなサービスが生まれていて、どのような観点で求職者、求人者に受け入れられていきそうかというトレンドについては、概ね把握できていると思います。
 既存の事業者も、業界団体でも、新しいサービスについては常にウォッチして、場合によっては事業者に積極的に会いに行って話を聞くことを各社で行っています。単なる干渉という意味合いではなく、新しいテクノロジーの活用でこんなサービスが生まれている、自分たちも取り入れられないかというような対象として学ぶことを目的としています。
 彼らにとっては、我々自身が大事にしてきたノウハウの提供を行うことで、お互いに高め合うという関係性になれるのではないかと思っています。現時点でも、そういう側面はあると考えております。先ほど返答の仕方として把握が無理だと言ったのは、リストとして1社1社把握することは難しいけれども、大久保委員がおっしゃったように、全体像としてはほぼ理解できているという認識でおります。
 
○大久保委員 ありがとうございます。そういった把握している情報を、必要に応じて厚生労働省に提供したりとか、あるいは研究会のような場で業界団体が報告するということもあり得ると思います。
 
○JHR もちろんでございます。我々から可能な範囲で、情報提供をさせていただきます。
 
○事務局 よろしいでしょうか。時間もまいりましたので、JHR様からのヒアリングはここまでとさせていただきたいと思います。本日はお忙しい中、御対応いただきましてありがとうございました。
○JHR ありがとうございました。
 
○事務局 それでは、資料3、4につきまして事務局から御説明申し上げます。
まず、資料3ですが、委員各位御承知のとおりですけれども、クローズドの形で求職者4名の方々からヒアリングを行った結果の概要を事務局で作成させていただいたものでございます。こちらについては、今後の当研究会の御議論の際に御参照いただければと思います。
 それから、資料4ですが、4月6日にこれまでの議論の整理ということでお配りしています。そちらを御議論いただいた際に各委員からいただいた御意見などを反映させた形で「議論の整理(案)」を作成しております。各委員の御意見を踏まえた形になっておりますが、この場で御意見があれば頂くか、後日事務局に御意見を頂ければと考えております。いかがでしょうか。山川委員、お願いします。
 
○山川委員 細かいことはまだこれからなのですが、基本的考え方の所で、ミスマッチを防ぐということ、ほかにも出てきていますが、いわば弊害とか問題の改善という方向と、もう1つ、積極面といいますか、例えば労働市場の活性化ですとか、職業生活の充実に資するような情報の提供の促進などもあると思うのです。多分、日本の場合はメンバーシップ型雇用なので、個々の職務とか労働条件ではなくて、自分が働きがいのある企業に所属できるかというのが結構重要な情報になるのではないかという感じもしていまして、そういう意味での、長期的な職業生活の充実につながるとか、そういうプラス面をアピールするような基本的な考え方も少し盛り込んでもいいのかなと思います。先ほどの業界団体のお話などを聞きましても、そういう積極的にこの業界が果たす役割をより高めていくというのを書いてもいいのかなと感想として思いました。以上です。
 
○事務局 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。議論の整理につきましては、まだ「(案)」と付けておりますとおりでございますので、委員から御意見、修正意見等がございましたら、事務局にお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議論の総括を鎌田座長からお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田座長 本日も活発な御議論どうもありがとうございました。まず、個人情報の保護に関してですが、EUのGDPRとの比較をしていただきまして、我が国の個人情報保護法との違いが明確になったと思います。そして、皆さんとの議論の中で、我が国の個人情報保護法と職業安定法の個人情報保護の違い、あるいはアプローチの違いといったようなことも明確になってきたのではないかと思います。その中で、求職者の個人情報を守るという観点で、良い点をどう伸ばしていくのか。そして、同意の在り方についてどう考えるのか。業務に必要な範囲をどう捉えていくのか。論点の明確化が進んだのではないかと思います。
 それから、業界団体からの御意見を頂いたわけでありますが、業界団体として様々な御努力をしているということで、非常に私も参考になったなと思います。その中で2点ほど感じたのは、1つは求人企業と業界団体との関係ということについても幾つか御指摘があって、特に、悪質企業の対応ということでも、非常に努力されているということが印象深くありました。
 もう1つは、新しいサービスについては、結構詳しく業界でも捉えていて、そういう方たちが業界に入る中でさまざまな形で、言ってみれば出身地が異なるビジネスが、この求人サービスの事業に入ってくる中で、理念とか法律情報といいますか、そういうものの徹底、コンプライアンスといいますか、そういったものを共有化していくことが、今後大きな課題になって、そういった取組を業界としても積極的に捉えていらっしゃるのではないかということを感じ、非常にその点では有り難いなと思って聞いておりました。
 以上が、今日聞いた私の総括、感想でございます。次回からは、本日提示されました中間整理(案)を基に、各事項について個別に議論を進めていきたいと思いますので、引き続き事務的にもよろしくお願いしたいと思います。以上です。
 
○事務局 ありがとうございました。次回の研究会の日程につきましては、また別途調整の上、委員にお知らせしたいと思っております。それでは、本日の研究会は以上をもって終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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