経産省・新着情報

2021年7月13日(火曜日)
12時02分~12時19分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

発電コスト

Q:経産省は昨日、2030年時点の電源別の発電コストの試算結果を示し、これまで最安だった原発が1割程度コストが上昇し、太陽光が最安となりました。政府は、福島の事故後も原発の経済優位性を強調されてきましたが、今回の試算を受け、原発のコストやその必要性について改めて考えを伺えますでしょうか。
 
A:まず、発電コスト検証は、各電源のコスト面での特徴を明らかにして、どの電源に政策の力点を置くかなど、2030年に向けたエネルギー政策の議論の参考材料とするために行っているものであります。

新たな発電設備を更地に建設・運転した際のキロワットアワー当たりのコストを、一定の前提で機械的に試算をいたしました。既存の発電設備を運用するコストとは異なり、また、試算の前提を変えれば、結果も変わってくるということになります。

その上でお答えすると、専門家による丁寧な検討を経て、安全対策費や福島事故費用の見積りの増加などを全て反映をしたところ、2030年に新たに原子力発電所を建設・運転した場合のコストは、キロワットアワー当たり11円台後半以上となりました。これは、事業用太陽光、8円台前半から11円台後半、キロワットアワー当たりということですが、これはLNGの10円台後半から14円台前半などとも遜色なく、風力や地熱なども含めた発電技術全体の中では低廉なものと考えております。

なお、太陽光のような自然変動電源が大量導入されると、蓄電池、火力の効率低下や、揚水の活用などに伴う電力システムへの統合費用が高まります。こうしたコストも発電設備のコストに加えて考慮する必要があると考えています。

この統合コストは、近年研究が進んでおり、今回のコスト検証でも参考として分析をいたしました。例えば2030年の事業用太陽光であれば、一定の仮定を置いて計算すると、発電コストに加えて数円程度の統合コストが生じるとの試算もあり、これらについては更に研究を進める必要があると思っております。

こうした点も踏まえて、2030年の新たな削減目標や、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、特定の電源のみではなく、3E+Sのバランスを踏まえて、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求していくことが必要であると考えております。

原子力については、安定かつ安価な電力供給や気候変動問題の対応などを考えれば、安全確保を大前提とした上での利用は欠かせないと考えております。これは、先ほど申しましたように、まず更地に建てるということの前提での建設費用も含めた単価ということになりますけれども、これに加えて、いつも申し上げていることなんですけれども、一つの電源で完璧な電源は、今のところそうないということの中で、その電源の特性を考えながらいかに組合せをしていくか、資源のない国としてベストミックスを求めていくかということが重要になると思っております。

太陽光発電

Q:関連しまして、この太陽光発電なんですけれども、今回の試算については更地に建てるというような試算でありますが、現状、日本の国土を見てみると、その太陽光発電が建てられる場所、できる場所が限られているということです。今回、熱海の土砂災害の起きた近辺にも斜面に太陽光パネルがあって、こういったところも話題になっているという環境もあって、現状、この太陽光発電における、いわゆる国民理解とか環境などについて、大臣はどのように今お考えでしょうか。
 

A:再エネについては、2050年のカーボンニュートラルや、2030年の野心的な削減目標の実現に向けて、主力電源として最大限導入していくことが基本方針。そして先ほど申しましたように、コストの検証もいたしました。ただ、コストの検証というのは、一般的なものということになりますから、平均的なコストとして出させていただいたということになります。

さらに、今おっしゃるように、果たして適地がどのくらい存在しているのかというような課題もあるわけでありまして、かなりの率で太陽光発電というのは増えてきておりますけれども、これからの課題は、適地をいかに探して設置をしていくか、そして増やしていくかということになるかと思っております。

昨日の審議会では、これまでの議論の整理として、事業用太陽光の2030年の発電コストが、8円台前半から11円台後半という見通しを提示をしたわけでありますが、この試算結果には、パネル等の設備費が、2030年には国際価格に収れんする等といった野心的な前提を置いた参考値も含まれますが、総じて前回試算よりも発電コストは低下をしてきているということであります。

飽くまでもいろんな前提を置いてやってますけども、パネルの価格については、国際価格で落ち着いたとしてどうなのかという前提を置かせていただいているということであります。

導入拡大に当たっては、出力変動への対応のための、先ほど申しました統合コスト、例えば蓄電池が必要になりますねとか、その変動しているときにどう賄うのかということで、例えば大規模なグリッドであったとすれば、大規模な発電というものも、それを調整するためのも必要になりますねと、そのコストも含めてどうしていくのかということを考えなければならないということでありまして、これからのエネルギーのミックスを考えていく中で参考となる一つの材料というのが今回のコストだと思っております。

ただ、先ほどの最後に申しましたように、一つで完璧な電源はないと、エネルギー源はないという中で、いかに、どのように組み合わせていくか。そして、2030年の46%を達成し、2050年までにどうカーボンニュートラル、ネットゼロを実現するかということを、やはり知恵を出していかなければならないと思っておりますし、今の時点でどの電源が要らないとか言える状況ではないと思いますので、選択肢は多い中でそういったものをしていく、さらに、また条件としては化石燃料であればCOをどう回収していくかという技術開発も含めた中で、それらの組合せを考えていくということになるかと思っています。

 
Q:その太陽光でですね、当然コストが下がればいいというわけではなくて、当然それを導入することに対して、景観を汚すのではないかとか、森林を一斉に伐採をするんじゃないか、そこに矛盾が生じるんじゃないかとかですね、そういった議論もあって、自治体の中には太陽光パネルを設置してほしくないといった条例をですね、審議するところも、動きもあって、こういった今後進めていく再生可能エネルギーの重要な主要電源の一つというような位置付け、たくさんある中の一つと位置付ける中であっても、太陽光が置かれている今のこの国内的な感情とかですね、環境は非常にちょっと追い風ではないんじゃないかという指摘もあるんですが、その辺り。
 

A:一つの電源について良し悪しを決めるというよりも、どういう条件下で建てられるのか、そして、地域によっては自然破壊であるとか、景観の破壊であるとかということで、いろんな問題も起きて経産省に持ち込まれています。

現実にはやはり基礎自治体と都道府県と国の関連する役所、例えば林地の開発であれば農水省、林野庁ということになりますし、環境省、そういったところと連携しながら対応をしていくということになりますし、どこにでも建てられるような時代ではなくなってきたというのも、この10年間での太陽光のことかなと。

ただ、いかに太陽光も含めた再生可能エネルギーの比率を上げていくかということも重要な課題でありますので、ゼロカーボンシティ等を標榜している市町村等には、やはりポジティブゾーニング、こういったところなら適地ですよということで、やはりそれらを提示をしていただくとか、また、その宣言をしている以上は、更にまたどういった形でゼロカーボンを目指していくかということも含めて、関係省庁も合わせてみんなで話合いをしていく必要があると思っています。

新型コロナウイルス対策

Q:7月8日付の事務連絡として、内閣官房の新型コロナ対策室から酒類の提供自粛に従わない飲食店等に対して金融機関から働き掛けを依頼する、そういう事務連絡があったかと思うんですけれども、取材によると、金融庁であるとか、財務省のほか、経産省の中小企業庁金融課などにその事務連絡が来ているようなんですけれども、その1日後、9日に働き掛けの事務連絡廃止という連絡が来るまでに、こちらの担当部署でどのような動きがあったのか、また、西村大臣自体は不安を与えることになり反省というふうに釈明をされていますけれども、一連のこの流れについて、大臣としてどうお考えか教えてほしいです。
 
A:今御指摘のように、先週8日木曜日、所管金融機関に対して特措法に基づく命令の遵守などを求める事務連絡が内閣官房から関係省庁宛てに発出されたと事務方から聞いているところであります。

一方で、翌9日には西村大臣から加藤官房長官に対して、関係省庁から個別の金融機関への働き掛けは行わないことにしたとの報告がなされ、同日、内閣官房から事務的に8日付の事務連絡は廃止するとの連絡があったため、経済産業省から所管金融庁に対しては本件に関する何らの動きも、働き掛けも行っていないというのが事実であります。

コロナ禍で中小企業の皆様が大変厳しい状況にある中、私は一貫して事務方に対してこうした事業者の皆様を最大限お支えするように指示をしてきているところであります。誤解を招きかねない事務連絡を発出しないこととなったのは、妥当であったと考えております。

私自身の関わり方ということなんでしょうけども、今言った事務方から聞いたというのはですね、8日のコロナ本部が行われる1時間前にレクを受けたところであります。それに対して、先週8日に特措法に基づく命令の遵守などを求めるその事務連絡が来たということでありますけれども、内閣官房から発出される予定との報告を事務方から受けたわけですが、私自身強い違和感を覚えたために、いま一度趣旨をしっかりと確認するように事務方に指示をしていたところであります。

このため、私自身は経産大臣として所管金融機関に対して事業者への命令遵守の働き掛けを求める通知を出すことについて、了承したという事実はないというのが現実であります。
 
Q:特に中小企業庁の方から何かをこう働き掛けたということは、今回はなかったと。
 
A:ない認識ということです。事務方で打合せをしていろんな案が出てきたんでしょう。多分それはコロナ本部前の打合せということで、そこで1時間前に私にレクが上がってきた。私も出席をしましたんでね。

金融機関という話があったんで、ちょっとこれは違うなという感じがあって、丁寧に確認をするようにということと、私自身は先ほど申しましたように金融機関への文書の発出というものは了承していないということでありましたから、結果的に翌日、加藤官房長官、西村さんの話合い等で行わないことになったということであるし、翌日の夜には、その文書は廃止ということになったということであります。

 
Q:なかなかその要請が、緊急事態宣言等が国民に響きにくくなっている中でこういったことが起きてしまったことに関してはどうお感じですか。
 
A:政府の一員として、大変申し訳なく思っております。

私どもはやはりなかなか政府の対応、支援全てが皆様のかゆいところに手が届くような形にはなっていないと感じておりますけれども、ただ、できることはやはりしっかりやっていこうと、そして、できることの中で例えば金融機関への条件変更、リスケなんかの申入れというものも、より具体的に対応するようにということを申しておりますし、政府系金融機関であれば今年いっぱい無利息、無担保の貸出し、更にまた資本性劣後ローンの融資というものも行っているところでありますので、個別の業種でもそれぞれやはり考えながら対応できることをやっぱり考えていかなくてはならないと思いますし、そういったことも含めて政府全体でしっかり考えていきたいと思っています。

太陽光発電

Q:太陽光の話に一つ戻るんですけれども、熱海の土石流の関係で、事業者への聞き取りなども含めて調査に貢献したいと、大臣おっしゃっていたと思うんですけれども、何か進捗ですとか、実際に行われたのかなどあれば。
 
A:熱海市伊豆山における崩落現場の付近にFIT認定を受けた太陽光発電設備が存在することは認識をしております。経済産業省としては発災当初から事業者に対して設備の健全性等の確認を行ってきたところであります。

7月9日付で事業者側から現時点で現地確認はできていないが、太陽光発電設備の設置現場に損壊はないと判断していること、運営受託会社からは正常に発電をしていると聞いていること、雨量の計算を行っているほか排水施設等を設けていることなどの回答が得られたところであります。

経済産業省として、この回答内容を精査するとともに、国土交通省や自治体、特に静岡県が中心となってこの調査をしていくということになっておりますので、そこに情報提供をしっかりとしていくことが必要だと思いますし、これからも連携をしながら対応について検討してまいりたいと考えています。

発電コスト

Q:よろしくお願いします。

また、発電コストの件なんですけれども、昨日の試算で原発の発電コストがLNGよりも高いという、LNGの発電コストよりも上になったということですけど、今、原発というのは安定的に安く電力を提供できるベースロード電源ということですけど、ベースロードとしては位置付けというのは今回の試算をもって変わるレベルなのか、そこはまだ変わらないのか。

 
A:ベースロードについては、またいろんな考え方がある中で議論していかなくちゃならないと思っております。私が単純に考えれば、やはりしっかりと一定の発電量をしっかり供給できる、安定供給できるのがベースロードということになろうかと思いますし、変動電源に対して、そのマイナス分に対して対応できるのが調整電源ということになるかと思います。そういったものの組合せが現時点では考えていく必要がありますし、蓄電池等で対応できるとおっしゃる方もおいでになるけども、ただその容量、蓄電池の容量であるとか、あと価格であるとか、そういうことも含めてこれからの開発要素があるということで、2030年時点ではまた大きく状況が変わってくると思いますけれども、今の時点での、今の技術で考えると2030年こういうコストになりますねと、ただ、統合費用についてはまだこれを加えて加味していないということですから、それらも含めてしっかり検討していくということになろうかと思います。

公正取引委員会立入検査

Q:公正取引委員会が電力の高圧や特別高圧の契約に関して、カルテルの疑いで九州電力、関西電力、中国電力かな、4社に立入検査をしたとの報道がありました。経済産業省としての事実把握の部分と、このカルテルの疑いの立入検査、4月の関電、中電、中国電に続いて2回目なんですけども、電力自由化の中で水を差すような流れになると思うんですが、大臣の受け止めをお願いします。
 
A:今の報道というのはデジタル版で直前に流されたものと承知をしております。報道があったことはその上で承知をしているということでありますけれども、公取において調査が行われるものと認識をしており、現時点ではコメントは差し控えさせていただきたいと思います。詳細についてはまだ公取からの発表もありませんし、私どもも現時点では把握していないというのが状況であります。

以上

最終更新日:2021年7月19日

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