経産省・新着情報

2021年4月9日(金曜日)
9時51分~10時10分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

ALPS処理水

Q:ALPS処理水について、一昨日の会見で政府の方は風評被害を最小限にする努力が必要だというふうに話していましたけれども、水俣病の研究者とか専門家に聞くと、トリチウム水を、廃炉も何十年も掛かるわけですから、ずっと流し続けると、蓄積して被ばくの可能性がないかというと、それは否定はできないというふうに指摘する人もいて、心配も国民の中にはあると思うのですけれども、国の方は風評被害対策が大事だといって、方針を決定する前に安全性、本当に人体に影響がないのかとか、国民に分かりやすく医学的根拠をきちんと説明する必要があると思うのですけれども、それをやってから方針を決定するならいいと思うのですが、そういったところはどう考えていらっしゃいますか。

A:風評被害対策だけが先行しているわけではありません。この安全性についても、何度となくお話をさせていただいておりますし、科学的根拠、また国際機関、国内の諸機関の科学的な根拠を基にお話をさせていただいております。その上で風評被害も当然起こってきますねと、そういった中で風評対策に万全を期してまいりましょうということでもあります。

仮に何らかの形でALPS処理水を処分する場合には、国際的に統一された考え方、国際放射線防護委員会(ICRP)による放射性物質の被ばく基準の下で策定をされている国内規制基準を遵守するとともに、その遵守の状況についてIAEA等の国際機関や自治体の協力を得ることで、客観的な第三者の目で確認をし、透明性を高く公表するなどの対応を行うことになります。

当然モニタリングも幾重にもやっていくということになりますし、政府機関のみならず、その地域の方にも入っていただく。国際機関にも海水のモニタリング、深さにもよるモニタリングもあると思いますし、そういったことも含めて万全の対策をしてまいりたいと思っております。

また、処分に当たっての実施主体である東京電力は、処分計画や処分設備等について、それらの安全性等を審査する原子力規制委員会の許認可を得なければなりません。こうした対応を行うことにより、従前と変わらず人体や環境への安全が確保されるということになると思っております。

また、ALPS処理水の処分に当たっては、地元の皆様の不安を払拭するとともに、国民、国際社会の理解を得るということが重要であります。そのため安全性について科学的な根拠に基づく丁寧な説明や客観性と透明性の高い情報発信を行うことが重要と考えております。

安全性については、これまでもALPS処理水に関する意見交換や説明会の場で累次にわたり説明をしてきており、またリーフレットや解説動画等の広報コンテンツを作成し、地元自治体での配布に加えて、SNSやホームページなどを活用した発信を行う等の取組を進めてまいりました。更に広報活動にも注力をしてまいりたいと思っております。

また、先月23日には私自身がIAEAのグロッシー事務局長と面談をいたしました。仮にALPS処理水を処分する場合には、その安全性を客観的に厳しく確認をしてもらう、そして、国内外に透明性高く発信をしていただくことを確約をしたところであります。そして、グロッシーさんを始めとするIAEAの皆さんとは情報共有、情報交換を頻繁に行っているところでもあります。こうした対応を取ることにより、国内外にALPS処理水の取扱いの安全性を証明するとともに、風評を抑制することにもつながると考えているところであります。

今後とも私自身が先頭に立つ覚悟で、責任を持って対策に取り組んでまいりたいと思っております。

Q:確かにこれまでも6年間議論した上で、いろんな資料で安全性については説明されてきたかと思うのですけれども、それでも理解を全漁連の方がなかなかできない理由としては、具体的にこうするのだというふうにまず決めていただいて、それについて安全性をきちんと説明すべきなのではないかなと個人的に思うのですが、そういう具体例を示して理解を得た上で決定というプロセスはできないのでしょうか。

A:これは例えばいずれかの方法という形で決定をしてから、処分をするまでには大体2年前後の時間が掛かると思っております。その処分方法によって、また安全性の確認の仕方、モニタリングの仕方、そして広報の仕方ということも違うと思います。

また、全漁連が心配されているのは、もし海中に放出された場合の風評被害ということでもありますし、安全性ということでもあろうかと思いますけれども、それは全漁連のみならず、また陸上においても処分をした場合には、今度は陸上の部分も大きな懸念を持つ可能性があるということですから、そういう処分方法を決定をした上で、どういう形で安全性を担保していくかということについて、その風評被害も含めて対応をしていく、その間にまた御理解をいただくという作業もしなければならないと思っております。

ただ、トリチウムの安全性については、これまで累次にわたって説明をしてきたということ、それと併せて世界中の原子力施設においても、各国の規制基準に沿ってトリチウムを含む液体廃棄物を放出しているという現実もあること、そういった中でどういう基準でやっていくか。また飲料の基準というものもあります。そういったものも含めて、安全性が確保できる水準でやっていくということも考えなければならないと思っています。

Q:最終的には全員が納得することは、なかなか難しいかもしれないけれども、ある程度の理解は得られるというふうにお考えでしょうか。

A:これはこれからの努力次第だと思っておりますし、努力は常に続けていくということになります。

より多くの方に理解をしていただきたいと思いますけれども、風評というのは心の中の問題でもありますから、購買行動等に影響が出るということもあります。実害はまず出ないようにしなくてはならない。その上で、風評対策をいかに最小に抑えていくかということが大きな鍵になると思います。

Q:処理水に関して私も質問なのですけれども、2点ありまして、大臣は、処分方針に関しては適切な時期に決めていきたいということでかねてから発言されていますけれども、適切というふうに判断される条件について教えていただきたいのですが、これがまず1点目です。

それで、その上で総理が先日、近日中に方針について判断したいというふうに発言していますけれども、ここ最近で言うと福島県の漁業についてだと、本格操業への移行期間に入ったばかりですし、先日全漁連の岸会長も懸念を示されていましたけれども、処分主体となる東電の信頼というのも不祥事によって失墜しているような状況がありまして、こうした状況を踏まえても、近日中に判断ということが適切なタイミングというふうに当てはまるのかどうか、そこのお考えについても教えてください。

A:まず、ALPS処理水の取扱いにつきましては、いつまでも先送りできない課題であるという認識である一方で、丁寧な議論が不可欠であると思っております。これまで時間を掛けて丁寧に議論を積み重ねてまいりました。

また、4月7日には全漁連の岸会長ら幹部の方々、全国から幹部の方においでをいただいたということでありますけれども、総理や担当大臣である私が御意見を直接確認をすることができました。岸会長のみならず、おみえになった皆さんからの御意見も頂いたということであります。今回の面談も含めて、これまで様々な方から頂いた御懸念や御意見について、応えることができる充実した対策を講じることが重要と考えております。

現在、関係省庁間で議論を深めているところでありますけれども、その一環として例えば先程も申し上げましたけれども、先日IAEAのグロッシー事務局長と面談をした、そして、仮にALPS処理水を処分するような場合には、その安全性について客観性を持った大変厳しい目で確認をしていただき、その結果を透明性高く、国内のみならず国際社会にもしっかりと発信をしていただくことを約束をいたしました。

原子力に関する技術者が集まっているところでもありますし、権威もあるところだと、そういった中で安全性についてしっかりと発信をしていただく措置を取るということ、そしてこうした対策を積み上げていくことが適切な時期を判断する上で重要だと考えております。

更に議論を重ねて、政府として責任を持って方針を決定できる適切なタイミングを見極めた上で、総理が言及をされているように、近日中にも結論を出してまいりたいと思っております。

あとは東電の件ということでしたっけ。総理が近日中と言った件。

Q:要するに近日中というのがいろんな状況を加味して、適切というふうに言えるのかどうかというところなんですけれども。

A:これは、東電の件は柏崎刈羽原発において核物質防護上の事案が発生したものの、原子力規制委員会において福島第一原発の廃炉作業の安全性を確保するための規制上の対応は引き続き従前どおり実施されると承知しております。

その上で、ALPS処理水の取扱いを含め廃炉作業は福島の復興の前提となる周辺地域の放射線リスクを低減するという観点から、現在、生じている状況を着実に改善していかなければならないものと認識しております。

こうした廃炉作業についてはこれまでも原子力規制委員会による許認可やIAEAによる定期的な調査等の第三者の目を入れながら対応を進めてきたところであります。引き続き、こうした機関と連携しつつ、厳しい管理を徹底して東京電力の作業を着実に進めるように指導してまいりたいと思いますけれども、全漁連との会談の中で、全漁連からも東電がこういう状況の中でどうなんだと、作業をする者として心配じゃないかというお話も頂きました。

それには国がまず前面に出てほしいというような御意見も頂いたということでありまして、私どもがしっかりとその部分をフォローしながら、ただ、東電はやっぱり責任がある、福島第一原発の事故の責任というものをしっかりと果たしていただくということと、そういった国が前面に出た形で、更に国の役割というものも果たしてまいりたいと思っているということであります。

東芝

Q:CVCキャピタルによる東芝の買収提案の件で報道が一部出ていますが、東芝のCEOもその提案は受けたことを認めています。まずは当事者同士の動きになると思うんですが、東芝の事業構成からすると外為法の関連に考えられます。個別の企業案件に対して明確に答えは、回答は出ないというのは承知の上ではあるんですが、現在の外為法の規制から見て、大臣であるとか、経産省の所管であれば、今後の対応方針を。

A:もう私の答弁をある程度、言っていただいたような気がするんですけれども、4月7日に東芝がCVCから買収に関する初期提案を受領したと発表したことは承知をしております。繰り返しになりますけれども、個別企業の案件についてのお答えは差し控えますが、一般論として申し上げれば、原子力などの重要インフラや半導体、防衛に関わる事業などそれを実施する日本企業を海外投資家が買収する際には外為法に基づく届出が求められます。

その上で将来の事業売却によって国の安全を損なうおそれがあるなどのそういう状況が生じた場合について外為法によって適性に審査をすることになると思います。これらの事業は我が国の経済、社会に大変重要な事業でありまして、今後、東芝において当該事業を継続し発展させることのできる体制が構築されるか、多大な関心を持って注視をしていくということになります。

一般論でありますけれども、やはりそういう事案があるということ、東芝に限らずそういう情報が発せられた以上はしっかりと見守っていかなければならないと思っております。

温室効果ガス削減目標

Q:ちょっと話が変わりまして、2030年の温室効果ガスの削減目標の関係でちょっとお伺いしたいんですが、一部報道で13年度対比で45%削減という報道がありましたけれども、これについて大臣のお考えと現状の経産省としての検討状況を教えてください。

A:報道のような事実はまだありません。作業を進めている最中です。というのは、やっぱり経産省は積み上げの作業をする官庁であります。そして、産業側との調整もしていかなければならないという中で、特にエネルギー分野、排出ガスの8割を占めるエネルギー分野の作業を今、進めているところであります。

我が国の2030年の温室効果ガス削減のNDC中期目標に関しましては、2050年のカーボンニュートラルという長期の目標を踏まえた議論を進めているところでありまして、11月のCOP26までに意欲的な2030年の目標を表明するというのが政府の方針ということであります。

報道にあるような具体的な目標水準を固めたという事実は、繰り返しになりますけれどもございません。現時点でその目標水準や決定する時期は未定でありますけれども、来週の日米首脳会談を始めとして、一連の国際会議に向け、COPまでのずっと一連の国際会議に向けて政府としての対応方針を検討する中で、できるだけ早く決めてまいりたいというのが政府の方針ということであります。

温室効果ガスの大宗を占める、先程申しましたエネルギー分野についても、総合資源エネルギー調査会において集中的に議論を進め、結論を出していきたいと思っておりますけれども、総合資源エネルギー調査会については全てオープンになっておりますので、その議論もまた皆さんに御覧をいただいていればと思っております。

Q:2030年まで残り9年しかないわけですけれども、45という数字の大臣個人としての評価というか、受け止めというか、これについては。

A:これは私、当事者ですから、この数値、まだ決まっていない数値に関するそのコメントは差し控えさせていただきます。ちょっと数値が独り歩きしている感じがあります。ただ、これは飽くまでも積み上げで実現可能なものを出さなくちゃならない。野心的な部分もあると思いますけれども、それでもやはり下限、上限を含めて、上限のところを取っていって野心的なものにしていくということだと思いますので、こういったものを今、作業を進めているところということで、私どもの作業と環境省対応のその非エネルギー分野の対応と、それらを合わせて数値を決めていく、また、手続を経ていくということになると思いますので、そこを見守っていただければと思っております。

ALPS処理水

Q:ちょっと話が戻って、処理水の方になってしまうんですが、環境への影響監視の件で、IAEAのモニタリングなどのお話が従前から出ておりますが、私の認識不足だったら恐縮なんですけれども、飽くまでどこかの採取をされたデータに対して、IAEAなどがモニタリングをするというような認識をしておるんですけれども、1次データの採取というのは、水の採取であったりとか、そういうゼロベースの段階で、外部が環境への評価をするということはあり得るんでしょうか。

A:それらも含めて、例えば現状が今の廃炉作業がどうなのか、また、その処理水の保管状況がどうなのか、その処理水を、処理をする前の汚染水の発生状況であるとか、その処理の状況であるとか、そして、どういう形かで処分方法を決定した後のその処分方法であるとか、そして、その後のモニタリングという形でどうするかとか、かなり直接的に評価をしていただくつもりでおります。そこはIAEAからも人を派遣をしていただいたり、また、モニタリングも外部の方も含めて、当事者も当然モニタリングした上でやっていきますけれども、複数の目で確認をしていく、複数の検査で確認をしていく、そして、それに対する評価もしていくということになると思いますし、そういった中で安全を図ってまいりたいと考えています。

以上

最終更新日:2021年4月21日

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