経産省・新着情報

2021年8月10日(火曜日)
11時15分~11時31分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

ウィーン出張

よろしくお願いします。
初めに私から1点申し上げます。
8月18日から20日まで、IAEAのグロッシー事務局長と会談するためにウィーンに出張いたします。
今年4月にグロッシー事務局長とのテレビ会談において、私からALPS処理水の取扱いについて、IAEA派遣団による評価、環境モニタリングの支援、国際社会に対する情報の発信についての協力を要請をいたしました。IAEAとの協力について、これから具体的な実行段階に入ってまいります。
今回で4回目となるグロッシー事務局長との会談でありますが、今後の進め方などについて率直に意見を交換をする予定であります。
私からは以上です。

質疑応答

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置に伴う事業者支援

Q: 新型コロナの感染が急拡大してまして、先日もまん延防止等重点措置が大幅に広がりました。影響は更に深刻化すると思うんですけれども、先週もお聞きしましたけれども、事業者向けの支援を拡大するお考えがないのかとか、課題も含めて今現状の認識をお伺いしたいと思います。

A: 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されている地域は、8月8日から19都道府県(※)に拡大をいたしました。引き続き困難な状況に置かれている事業者の皆様を最大限支えていくことが重要であると考えております。
 

まず、月次支援金については、迅速な給付を求める声があることを踏まえて、事業者の皆様に速やかにお届けすることができるように、審査体制の強化などの運用改善を図ってまいります。その上で、事業者の皆様をしっかりお支えするために、これまでも経済環境の変化や事業者ニーズなどを踏まえて、全体としての支援策は強化されてきたものと認識をしております。

例えば地方創生臨時交付金により、各都道府県では月次支援金の上乗せ等の措置が実施されているほか、新分野展開や業態転換などを支援する事業再構築補助金はニーズに合わせた運用改善を行い、7月末から第3回目の公募を開始をしたところであります。

先般も申し上げましたが、地方創生臨時交付金、これは新たな用途も含めていろいろ自治体と打合せをして、また積み増しもしているし、どういう形で使えるかというものも事例を出しながらお願いをしているところでありますので、地方創生臨時交付金という名前は変わりませんけれども、現実にはその活用幅というものは広がっているものと認識をしております。

そのほかにも政府系金融機関による実質無利子・無担保、これ年末まで続けるということになりますし、引き続き利活用を頂いているというものでありますし、ものづくり補助金等の生産性革命推進事業、雇用調整助成金の特例の延長、これも年末までということになっておりますけれども、多様な支援策を実施をしているということでして、今まで狭い幅のものを広げているということと併せて、それぞれの役所において、特にまた経産省においては中小企業の状況というものを見ながら、どういったものが使えるのかということをきめ細かく説明をしていく、また周知もしていくということも大切なことだと思っております。

支援を必要とする方々に迅速に着実にお届けすることが使命であると思っておりますし、分かりやすい広報や迅速な執行に取り組むとともに、感染状況や経済動向を注視しながら、事業者の皆様を全力で支えていきたいと思っております。

常にどういった状況なのか、どういったものが必要なのか、現状の制度の中でそれらが活用・運用可能なものなのかどうなのか、新しい制度が必要になるものなのかどうなのかということを視野に入れた上で考えていかなければならないと思っております。

靖国神社参拝等

Q: 8月15日日曜日は終戦日でありますが、大臣の靖国神社での参拝について御対応を決めていましたら教えていただけますか。

A: これは個人として適切に判断をしてまいりたいと思っております。

IPCC報告書

Q: 国連の気候変動に関する政府間パネルが、ここ20年で気温の上昇幅が産業革命前から1.5度に達するという報告書を公表しました。これは当初の想定より10年間早いということです。この報告書公表についてのインパクトをどのように見ていらっしゃるかということと、さっきおっしゃった原案でありますけれども、エネルギー基本計画の中でも主力電源としての再生可能エネルギーを最大限に導入すると言いますけれども、その一方で石炭火力も使わなければならないという状況が日本にはあって、今後、秋に開かれるCOP26に向けてですね、欧米を含めてかなり強くこの脱炭素化を求めてくる可能性もあるんですね。この辺り、日本に対して、どういうふうに説明していくのか、大臣の意見をお願いします。
 

A: 私自身は、人為起源の気候変動の影響を科学的に評価することを目的とする国際機関ということですし、その評価報告書は我々が気候変動対策を計画、実施していく上で大変重要な情報を提供するものだと思っております。

今回承認されました第1次作業部会の報告では、産業革命以降の温度上昇や海水面の上昇といった地球規模で生じている事象について、最新の気候科学を反映した分析などが盛り込まれたと認識をしております。

我が国やその世界の主要国は、2050年カーボンニュートラルという野心的な目標を掲げておりますけれども、今回の報告書を含め、IPCCから提供される最新の科学的知見を踏まえて、世界全体を巻き込みながら気候変動対策を着実に実施をしてまいりたいと思っております。

私どもは30年のNDC46%、2050年のカーボンニュートラル、そしてそれに付随した形で様々な分野の取組というものを出させていただいております。これはかなりハードルの高いものだと思っておりますので、まずはこの数値を実現するための最善の努力をしていくということだと思っております。

Q: 関連して、その中で日本の立ち位置等と欧米の立ち位置、また、疑問のようなものが生まれた場合に、どこまでその日本の姿勢をですね、納得してもらえるかといったところは今後の焦点となると思うんですが、この秋に向けてどういうふうにお考えですか。

A: まずはこれの実現をするための、先ほど申しました実現をするためのより詳細な具体的なその計画というものも立てていかなければならないということで、目標ばかり挙げることが全てにつながるものだとは思っておりません。

実現不可能な目標は、やはりそれは実現不可能でありますので、まず、これもハードルの高いものですけれども、いかに実現ができるか。場合によっては、前倒しができるかということも含めて、技術開発等も考えていくということになります。

そして、これはただそれを考えるに当たっては、どんどん、途上国もそうですけども、国際競争力であるとか、成長していくという前提で、どうエネルギーを考えていくかということなんですね。

先進国だけでこの地球環境を守れるわけではありません。例えば、最大の途上国もある。ここが一番多く排出をしている。さらに、米国も次いで排出をしている。パリ協定に入って、今までその入ってこなかったところ、入ったところもありますけれども、こういったところも含めていかに対応をしてくかということが重要ですし、特にやっぱり東南アジアが経済成長をしていく。日本の昭和40年代、50年代の頃と同様だと思いますけれども、こういったときにエネルギーが必要になる、電力が必要になる。

それを放棄しろということではなくて、では技術開発で何がこういったものを克服できるのかということも含めて、我々は単純に分類をするだけではなくて、トランジション、その移行過程においてどういう絵姿を描いていくかということをより現実的に、東南アジアのASEANを中心とすると同じような国々と手を携えて対応していくと、そういったことは米国とも話をしておりますし、欧州の皆さん、EUの皆様にも機会があるごとに私どもからお話をしていると。先進国だけでは済まないよということなんですね。そこに対してどういう手助けができるのか、資金援助も含めて、技術援助も含めてということを世界全体で考えていくことが重要であると考えています。

オリンピック

Q: 東京オリンピックの件、無事終わったわけですけれども、これからパラリンピックも開かれるということなんですけれども、日本選手団の活躍はあったんですけど、一方でコロナの感染拡大が収まらないという状況で開かれたということですけれども、この終わった大会について、現時点で受け止め等、コメントがあれば教えていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

A: 世界で40億人がテレビなどを通じて視聴すると言われているオリンピック・パラリンピック、これは世界中の人々が心を寄せ合う、また1つにする力があると思っております。ただ、コロナ禍においての開催ということで、政府にもいろいろな迷いがあったと思っております。そういった中で開催をする。さらに無観客ということで、水際対策がどれだけできるかということも、また皆さんの注目であったと思っております。

しっかりとした大会ができたと思っておりますけれども、この感染防止という点での水際対策、バブルでの管理というものも含めて、このパラリンピックでどういかしていくのか。次のパリのオリンピックにどういう形で、そういったものがいかしていけるのか。今後、ウィズコロナという形で世界中が対応していかなければならないときに、どういうモデルを示すことができるのかということの一つの皆さんに問いかけるオリンピックだったと思っております。

私ども、電力であるとかインフラ関係、サイバーセキュリティも含めて24時間体制で対応してきたところでありますが、大きなテロのようなものはなかった。また、台風等がありましたけれども、全体が停電に見舞われる、またガスの供給が不良になるというようなこともなかったということで、対応ができていたと思っております。

いろんな感想があると思います。でも政府としてはしっかりとやるべきことはやった上でオリンピックが開催できたという思いでありますし、次のパリの大会にいかにこの教訓をいかしていくかということが全世界の知恵の出し合いだと思っております。

放射性廃棄物の輸出規制

Q: エネルギー基本計画の素案にも関わることなんですけれども、原発の廃炉で使用する大型の機器について、海外で処理できるように輸出の規制見直す方針だということで、そういう計画が盛り込まれています。元々は原則としては認めていないということなので、その辺についての必要性の御認識と、今後のスケジュールとかそういったものがあればお願いします。

A: 国内では既に24基の原発が廃炉中ということで、60基あったものが24基廃炉を決定をしているということであります。安全かつ円滑な廃炉措置を実施していくことが重要であると考えています。

このため本年3月の審議会、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において、国際条約では放射性廃棄物は発生国で処分することが原則ですが、仕向け他先国の同意がある場合にはその例外に当たり、他国から放射性物質を受け入れて有用物資の資源として再利用している海外の実例もあること、廃炉に伴い発生する放射性廃棄物のうち、国内に専用の処理施設、設備がない大型機器については、豊富な経験を有する海外事業者への委託、処理委託を可能とするため、必要な制度の運用見直しを進めていくことをお示しし、特段の異論はなかったと認識をしております。

こうした状況を踏まえて、外為法の運用通達において国際条約に従い、相手国の同意を前提に有用資源として安全に再利用される等の一定の要件を満たす場合のみ、例外的に輸出を可能とするための見直しをしているところであります。今回の検討案は放射性廃棄物の国内処分を基本としつつ、円滑に廃炉を進めるための必要な見直し等を考えておりまして、現時点では具体的なスケジュールは決まっているわけではありませんが、関係省庁と慎重に検討を進めてまいりたいと思っております。

ここで言う大型機器というのは、蒸気発生器、給水加熱器、輸送業貯蔵用のキャスクというこの三つ、3点であります。具体的にはアメリカで、例えば米国政府DOE、その辺のNRCなんかも含めて検討している、こういったその再利用ビジネスというものを考えているということでありまして、そういったものでしっかり国との連携、向こうの合意も含めて、また安全性も含めてチェックができればそういったことも考えていくと。米国との間でしっかり連携をしていくということになると思います。

米国以外にも、他にもこういったことをビジネスとして検討しているというところがありますけれども、あくまでもビジネスもその国の政府が管理をするという責任において行われるものであって、そういったものがしっかり安全が担保できるものであれば、こういった取組というものも必要ではないかということで議論をしている。そして、これはエネルギー基本計画において記載がされて、そしてパブリックコメントも頂戴するということになっておりますので、その上での判断ということになっていくものだと思っております。

※実際の発言は「9都道府県」でしたが、事実関係を踏まえて上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2021年9月3日

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