外務省・新着情報

北京冬季オリンピック/パラリンピック(外交的ボイコット)

【読売新聞 阿部記者】北京オリンピックについて、米国が外交的ボイコットをすると表明をしました。日本政府としての考えを、まずはお聞かせください。

【林外務大臣】米国政府の発表については承知をしておりますが、北京冬季大会への各国の対応についてコメントすることは、差し控えたいと思います。
 このご指摘の外交的ボイコットが、具体的に何を意味するのかは、必ずしも明らかではございませんが、北京冬季大会への日本政府の対応については、今後適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案して判断をいたしますが、現時点では何ら決まっておらないということでございます。
 いずれにしても、日本としては、北京冬季大会が、オリンピック及びパラリンピックの理念に則って、平和の祭典として、開催されることを期待をしております。

【読売新聞 阿部記者】重ねてお聞きします。今、大臣がおっしゃったような諸般の事情という内容についてですけれども、米国は人権というものを重視した格好になっておりますが、先般の会見でも、今度の機構定員要求で、外務省にも人権侵害を担当するポストという発表もありましたけれども、日本政府として考慮すべき諸般の事情の中に、人権というものも入ってくるものなのでしょうか。

【林外務大臣】日本としては、国際社会における普遍的価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、こうしたものが、中国においても保障されることが重要であると考えておりまして、こうした日本の立場については、様々なレベルで中国側に直接働きかけてきております。
 北京冬季大会への日本政府の対応については、今後そういったご指摘の諸点も含めて、適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断をすると考えております。

新型コロナウイルス(水際対策)

【NHK 青木記者】新型コロナウイルスの水際対策について伺います。今後政府として措置や運用、これらを変更する場合に、どのような点を判断の根拠、考え方としていくか教えてください。

【林外務大臣】この今回のオミクロン株への対応についてでございますが、我が国として最悪の事態を避けるための、当面1か月の予防措置ということで、オミクロン株についての情報が、ある程度明らかになるまで、念のためにとる、臨時異例の措置というふうに考えております。
 今後の水際対策については、オミクロン株についての情報や諸外国の対応ぶりを参考にしながら、関係省庁とも一緒に検討してまいりたいと思っております。

【ラジオフランス 西村記者】関連ですが、日本の政府は、外国人の入国を禁止することで、もちろん日本の国民を安心させるつもりだが、同時に、外国人が来なければ、ウイルスが来ないという間違ったメッセージを発信してしまいます。
 もっとはっきり科学的根拠のあるメッセージを出せませんか。
 また、既にアフリカ10か国から新規入国だけでなく、再入国も認められない状況になりました。日本人の再入国できない、日本に再入国できない国の数が増える可能性があるのでしょうか。

【林外務大臣】オミクロン株の発生を受けまして、11月30日と、そして12月1日に政府が発表した諸措置ですが、現時点で、10日間の待機対象となっております指定国・地域からの再入国の禁止を含んでおりますが、これは先ほど申し上げたように、当分の間、緊急避難的・予防的なものとして行ったものでございます。
 その上で、「特段の事情」がある場合に限って、再入国を認めることとしております。いずれにしても、再入国者は、既に我が国に在留資格を持って在留して、我が国、または我が国国民と一定の関係を築いている方であり、日本社会との関わりが強いということ等から、再入国停止によって様々な影響が生じることを考慮して、慎重に検討を行っていきたいというふうに考えております。

日米開戦80年

【毎日新聞 飼手記者】8日で、日米開戦から80年になります。この間の日米関係をどう評価し、今後の日米同盟はどうあるべきとお考えでしょうか。また、当時の日本は、国際社会で孤立感を深めて、外交的に行き詰まり、圧倒的に国力差がある米国との開戦に至った結果、敗戦をしました。開戦に至る当時の判断から出た教訓をどのようなものだとお考えでしょうか。
 また、現在は、中国が国際秩序への挑戦者となって、米中対立が激しくなって安保環境の厳しさも増しています。80年前の教訓を日本としてどう生かしてていくお考えでしょうか、お願いします。

【林外務大臣】日米開戦から80年を経まして、激しい戦争を戦った日米両国ですが、現在は、世界で最も強固な同盟関係を築いております。
 日米安保条約の署名・改定、また3回にわたる日米ガイドラインの策定、更には平和安全法制の整備など、日米双方の努力の積み重ねによって、日米同盟は、ゆるぎないものになったと考えております。
 2016年のオバマ大統領による広島訪問や、安倍総理の真珠湾訪問は、いずれも世界に、日米の和解の力、これをしっかり示すものであったと考えております。
 日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日本の外交安全保障政策の基軸であります日米同盟、とりわけ、その対処力・抑止力の強化が、ますます重要になってきております。
 また、力による現状変更の試みが顕著となる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持していくことこそが、日本の利益でありまして、こうした面でも、米国及び同志国・パートナーとの連携が不可欠となってきております。
 日本の平和と安全の確保、また「自由で開かれたインド太平洋」の実現、更には新型コロナ対策、気候変動など、課題は山積しておりますが、日米両国が、強固な信頼関係の下で、緊密に連携・協力して対処していくということが、何よりも重要でございます。そのため、首脳・閣僚を含め、様々なレベルで、緊密に意思疎通を行っていく、これが不可欠だというふうに考えております。
 また教訓というお話でございましたが、世界恐慌下の経済ブロック化で大きな打撃を受けた当時の日本は、お話があったように、孤立化を深めまして、外交的・経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試み、自らが国際秩序への挑戦者となって、戦争への道を進んでいったということでございます。
 こうした過去の教訓から、日本はいかなる紛争も、法の支配を尊重して、力の行使ではなくて、平和的・外交的に解決すべきとの原則、これを堅持して、また自由で公正で開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化して、世界の更なる繁栄を牽引をしてまいりました。
 今日、我々は、これまで国際社会の平和と繁栄を支えてきた普遍的価値や、国際秩序に対する挑戦に直面をしております。日本としては、こうした価値や原則に基づく自由で開かれた秩序の維持・強化に向けて、同志国との連携を一層強化していきたいと考えております。

北京冬季オリンピック/パラリンピック(外交的ボイコット)

【朝日新聞 野平記者】外交ボイコットについてお伺いします。
 米国側の外交ボイコットを決めた背景には、中国の人権問題に対する強い懸念があったとされているんですけれども、改めて林大臣としては、新疆ウイグル自治区をはじめとする中国の人権侵害に対して、どの程度問題視されているのかというご認識をお聞かせください。

【林外務大臣】これは、何度かここでも申し上げてきておりますが、ご指摘があったことも含めて、直接申し上げてきております。先般の王毅(おう・き)外相との電話会談においても、我々の懸念を直接お伝えをしたところでございます。

【時事通信 田中記者】北京冬季五輪への対応について、重ねて質問なんですけど、米国が外交ルートを通じて、同盟国に、大会に政府の関係者を派遣しません、ということを通知してまして、日本政府としては、岸田総理は前に、日本は日本の立場で判断していきたいとおっしゃっているんですけど、米国の通知を受けて、そういったことも含めて判断されるのか、それとも、日本はあくまで日本として判断さるのかという、現状のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】日本政府としては、先ほど申し上げましたように、今後、適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断をするということでございます。また事前通報というお話がございましたが、日米間では日頃より様々な分野について緊密に連携をしてきておりますけれども、この外交上のやりとりの一つひとつにコメントをすることは差し控えたいと思います。

ミャンマー情勢(アウン・サン・スー・チー氏への有罪判決)

【共同通信 前田記者】ミャンマーの関連で、アウン・サン・スー・チー氏への有罪判決の件でお伺いします。国軍が設置した特別法廷は、昨日、社会不安を煽ったとの罪などで、アウン・サン・スー・チー氏に禁錮4年の判決を言い渡しました。これに対して、欧米各国から不当な判決だというような声が出ていますけれども、政府としての受け止めをお聞かせください。

【林外務大臣】昨日ですが、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問と、そしてウィンミン大統領に、それぞれ禁錮4年の判決が言い渡されて、その後、ミャンマー現政権は2年減刑したと、こういうふうに承知をしています。
 日本はクーデター発生以来、ミャンマー側に対して、暴力の即時停止、それからアウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む拘束された関係者の解放、そして、民主的な政治体制の早期回復を強く求めてきたところであります。
 今回の判決は、日本を含む国際社会が、ミャンマーの民主的な政治体制の早期回復を求める中で、好ましくない動きであり、懸念しております。引き続き、ASEANを始めとする国際社会と連携をしながら、事態の改善に向けて働きかけを続けていきたいと考えております。

北方領土問題(ロシアによる特恵制度導入)

【北海道新聞 文(ブン)記者】ロシアの関係で、ロシアがロシア法に基づいて北方領土に導入する新しい免税制度について伺います。先月26日に、ロシアのシロアノフ財務相が免税制度の期間について、当初10年としていたものを20年と延長する方針を示しました。日ロの共同経済活動にも適応する構えなんですけれども、この状況をどう見ているか、受け止め、日本側の立場などお聞かせください。

【林外務大臣】「ロシア法令」に基づくことを、前提としまして、北方四島含む地域の経済開発に関する特恵制度、これを導入すること、そして、日本企業及び第3国の企業に、そのような経済開発への関与を広く呼び掛けるということは、北方四島に関する日本の立場や首脳間の合意に基づき、日露間で議論してきた北方四島における共同経済活動の趣旨と相容れないと考えております。
 こうした日本側の立場については、これまでもロシア側に対して、累次、申入れをしてきております。今後とも、双方の法的立場を害さない形での共同経済活動の実施に向けて、ロシア側との協議を建設的に行っていきたいと考えております。

北朝鮮による拉致問題

【トリビューン・ニュース スシロ記者】拉致被害者の問題なんですけれども、2002年7月9日、北朝鮮から5人の拉致被害者と、チャールズ・ジェンキンスが、インドネシアのジャカルタを経由して日本に帰国しました。そのとき、インドネシア側が日本を助けることができて、本当に心から良かったですね。
 先週の金曜日、林大臣はインドネシアの外務大臣に、いろいろ今までお話ししたのですけれども、そして、議論の一つは、拉致問題についての継続的な理解と協力を求めました。確認したいんですけれども、それは拉致問題に関して、インドネシアが日本のために、拉致被害者のために、北朝鮮に二度、助けることを望んでいるんでしょうか。

【林外務大臣】拉致問題については、北朝鮮への直接の働きかけに加えて、関係各国に対して、ハイレベルでの、あらゆる機会において、拉致問題に関する日本の立場を、繰り返し説明してきておりまして、多くの国から支持と理解を得てきております。
 インドネシアとの間でも、今お話がありましたように、今月3日に実施した外相電話会談において、私(林大臣)からルトノ外務大臣に対して、拉致問題について理解と協力を求めております。拉致問題は、政権の最重要課題であります。個別の協力の在り方について、詳細は差し控えたいと思いますが、引き続き、インドネシアを含めて、国際社会と緊密に連携をしながら、全ての拉致被害者の1日も早い帰国実現に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動していきたいと考えております。

在日米軍駐留経費交渉

【共同通信 前田記者】在日米軍の駐留負担の関係でお伺いをします。この経費負担の関係なんですけれども、「思いやり予算」というふうに言われてきた経緯があると思います。これは当時の金丸信防衛庁長官の「思いやりを持って」という発言が元になっていると思うんですけれども、こうした呼び方についての政府の見解をお聞かせください。

【林外務大臣】政府としては、日本を取り巻く安保環境、これが一層厳しさを増す中で、この経費が、日本の安全保障にとって不可欠な、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保する上で重要な役割を果たすということを踏まえまして、従来から在日米軍駐留経費負担という呼称を使用してきております。「思いやり予算」などどという位置づけはしておらないということでございます。

新型コロナウイルス(対面外交の意義)

【読売新聞 阿部記者】対面外交の意義について、改めてお聞かせいただきたいんですけども、先般WTOの閣僚会議が延期になりました。一旦再開しかけていた対面外交ではあったのですけれども、今、またオミクロン株で制約を受けている状況だと思います。近くG7外相会合も予定されていますが、直接、閣僚同士が会って、話をすることの意義についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

【林外務大臣】こうしたコロナによって、いろいろな制約を受ける前は、基本的に対面外交というのが中心になって、いろんなことが行われてきたというふうに承知をしております。そうした意味で、コロナの制約下等々で、それができないという代わりに、電話ですとかテレビで会談をするということですが、電話会談とテレビ会談ひとつ比べてみても、相手の表情等々、いわゆる会話の中身だけではなくて、表情等の情報量、これは大いにテレビより会談の方が大きいということでありますから、これが更に対面ということになれば、更にいろいろな情報、また、雰囲気等も感じることができるということと、お互い、相手との信頼関係を増やしていく上では、やはり、対面外交の重要性というものは、非常に大きいというふうに考えております。

新型コロナウイルス(外国人留学生への影響)

【ラジオフランス 西村記者】入国できない外国人留学生が多いんですけれども、諦める人も増えていると思いますが、外国人留学生に対する大臣のメッセージはありませんでしょうか。

【林外務大臣】この特段の事情がある場合を除いては、先ほど申し上げたように、全ての国・地域からの外国人の新規入国を一時、停止してきております。この今回のオミクロン株の発生を受けて、「特段の事情」による新規入国は、個別の事情を踏まえて、このタイミングで入国が真に必要であると認められるものに限るなど、厳格化して適用をしております。この運用の厳格化を受けて、留学生に限らず、これまで特段の事情で入国が認められてきたものでも、新規入国が停止をされていると、こういう状況でございます。先ほど申し上げたように、1か月程度ですね、最悪の事態に備えるということで、臨時特例の措置をとっているということを是非、ご理解いただきたいと思います。

発信元サイトへ