文科省・新着情報

令和3年12月7日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

国立大学法人の設置する附属学校で時間外勤務手当の未払いがあった件、眞鍋淑郎氏のノーベル物理学賞の受賞、原爆ドームの保存の在り方及び支援について、学校法人のガバナンスの在り方

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年12月7日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年12月7日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年12月7日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は、冒頭私の方から特に発言はございませんので、幹事社の京都新聞さん、よろしくお願いいたします。

記者)
 国立大学法人の関連でお尋ねします。法人が運営する附属学校で残業代の賃金の一部未払いがあり、一部について、労基署から是正勧告を受けるというような報道が一部ありました。大臣の受け止めをお願いします。また、文科省として、今後どのように対応されるのか、併せてお聞かせください。

大臣)
 12月6日の新聞に掲載が出まして、拝見をいたしたところでございます。それで、今、ご指摘の通りのことなんですが、附属学校を運営する56の国立大学法人のうち20の法人で、附属学校教員の時間外勤務手当の未払いがあったという報道がなされていることは拝見をいたしました。確認しましたところ、これは、現時点で20の法人で未払いが生じているということではなくて、平成16年の法人化からこれまでの間に未払いがあったかどうか、というアンケートであったようでございます。いずれにしましても、国立大学法人は、平成16年の法人化によりまして、これはもう皆さんご承知の通り、民間労働法制の適用を受けることになっているため、所定の勤務時間外(注1)を超えて時間外勤務を命じた場合は、時間外勤務手当を支給しなければならないということになります。文部科学省としましては、国立大学法人の担当者が集まる場におきまして、本件に関する情報提供を行いまして、労働関係法令に従って適切な労務管理を行うよう注意喚起を行うことと予定をいたしてございます。今のところそういう状況でございます。いろいろと、国立と私学ということ、それと、通常のそうでない学校との問題もありますんですけれども、何かご質問がありましたら。

記者)
 わかりました。ありがとうございます。

大臣)
 今、とにかくきちんと調べまして、そうであるならば、やはり正しい指導を行いたいと思ってございます。

記者)
 科学技術関連でお伺いしたいんですけれども、7日の朝、今日ですね、ノーベル物理学賞を受賞した眞鍋先生がノーベル財団からメダルを授与されたと思うんですけれども、改めて、大臣としての受け止めをお伺いできればと思います。お願いします。

大臣)
 在米のスウェーデンの大使の方、大使館の関係者の方とお二人、写真で写っておる、メダルを授与されたときの写真を拝見しました。それで、今日の7日の午前5時ですね、アメリカのワシントンD.C.におきまして、眞鍋淑郎博士にノーベル物理学賞のメダルと賞状が授与されたということでありまして、この度の眞鍋博士のノーベル賞のご受賞につきましては、改めて心からお祝いを申し上げたいと思います。日刊さんもご存知の通り、眞鍋先生と、受賞後の10月8日でした、オンライン会議を行いまして、会談をさせていただきました。90歳の歳と思えないぐらいかくしゃくとされていて、15分の予定が20分話をしたことを覚えてございます。全然もう耳も遠くなくてですね、大きな声でということを広報課の方が言われたのですけれども、その必要も全くなかったということで、実は健康に驚いたわけなのですけれども。私からは、先生に、若い人たちに何か言葉を、と申し上げたときに、先生は、好奇心ということを大事にされていますが他に若い人たちに何か言葉を、と言ったときに、先生の答えはこうでした、「好きこそものの上手なれ」と。やっていて、やはり仕事が楽しいと思うようなことをですね、やるべきであると。決して、他人の目とか格好良さから仕事をするべきじゃないという、そういうお話をなさいました。そして、若い人たちがぜひ気象というものに対して目を向けてほしいという、そういうお話もあったと思ってございます。文部科学省といたしましては、眞鍋先生のように、将来、世界に羽ばたいて活躍をいただく次世代の人材の育成を進めていきたいということを思います。また、国内外の優れた研究者が日本で研究したいと思えるような、そういう環境整備をやっていくのは政治家の仕事であると、私はそういうように思います。眞鍋先生が、最初のインタビュー、アメリカでのインタビューの原文を訳したのを覚えておるんですけれども、日本は、やっぱり科学者と政策決定者の間のチャンネルについて、双方がコミュニケーションを取れてないんじゃないか、十分取っていないんじゃないかという話もありましたし、それと、アメリカでは他人がどう感じるかということを気にする必要もないと、同調圧力というのはあんまりないということも暗におっしゃったのかなと思うんですけれども、それと、自分は人生で一度も研究計画書を書いたことがありませんでした、自分の使いたいコンピュータをすべて手に入れ、やりたいことは何でもできたということをおっしゃっておられたので、いかに研究環境の違いが、ということを思いましたので、そのことは、日本として、今こういう科学技術についての話で、少し、超先進国からは遅れを取っているんじゃないかという不安を覚えるときでありますのでね、念頭に置いて、これから、我々、取り組んでいきたいと思っています。

記者)
 幹事社さんの質問に関連して、国立大の未払いの関係でお尋ねしたいんですけれども。これは共同通信の調査でしかなくて、未回答の法人であったりとか、アンケートに対して、いつ頃から、例えば払っていないとか金額がどれぐらいとかを回答していない法人も多いんですけれども、そういった意味で、国の方でというか文科省の方で、ちゃんと実態を調べるという考えがないのかどうかというのを伺いたいのと、あと、そもそも20法人というのはかなりの数だと思うんですけども、大臣として、この事態をどういうふうに受け止めているのかというのを再度伺えますでしょうか。

大臣)
 私も新聞報道で見まして事務方と話をいたしてございますので、とりあえず、今、各大学附属学校ですね、つきましては、どういう状況であるかということについての情報を、今、取っている段階ございまして、ここでどうするかということについては、今、明言することはできないわけです。できるだけ早く、情報をきちんと入手して、どういう実態であるかということを把握してほしいということを事務方に求めております。指示をいたしております。

記者)
 すみません。最後に、この事態を、今現時点で、遺憾なものと捉えているのか、もうちょっと深堀したいと考えているのか、その辺の受け止めだけ伺えますでしょうか。

大臣)
 私は、やはり納得をするということが大事だと思っていますのでね。民間のですね、これは、労働法制が適用を受けていることでございますので、各学校の方でもどういう話合いがなされていたかということは、やはり話し合っていかなきゃいけないという、三六協定の話も出てくるかもしれませんですね、これは当然。その辺りのことについてもどうであるかということは、お聞きをしておりませんので、それを今、含めて、確認をしてほしいということを事務方に指示をしました。

記者)
 広島の世界文化遺産の原爆ドームに関してお尋ねします。岸田首相の地元でもありますこの広島で、本日7日、原爆ドームは世界文化遺産登録から25年を迎えました。広島原爆の被害を無言で伝え続けておられていまして、大臣として、改めてこの原爆ドームの存在意義をどう捉えておられるか、また、地元では、現在、国史跡ではありますが、更に学術上格上の特別史跡への格上げを求める声もあります。これに関してどうお考えでしょうか。あと、保存工事の財政的・技術的支援、今後、国としてどのようにお考えか、これも併せてお願いいたします。

大臣)
 物心がついたときに、原爆ドームというのはどういう意味かということは、幼稚園の頃に気付いたと思っています、私自身はですね。それで、原爆ドームは、当時の原爆の破壊力をありのまま示すとともに、半世紀以上にわたって世界恒久平和の実現への希望を表してきた象徴でございます。平成8年に世界文化遺産に登録をされました。被爆の記憶を後世に継承して、そして、平和を希求していくということは、世界唯一の被爆国として、絶対これからも続けていくと、未来永劫続けていくということになろうかと思います。文部科学省としましては、被爆の惨禍を伝える原爆ドームを適切に保存するため、今後も広島市からの要望を踏まえまして、財政的・技術的な支援をしてまいりたいと思ってございます。平成26年、27年、30年度にも、耐震補強等々を実施したときも支援をさせていただいたというようにお話を聞いてございます。今のお話ですけれども、広島市で特別史跡の指定を目指して、遺跡の学術的価値に関する報告を取りまとめる予定と伺ってございますが、市の取組に対しまして、文化庁に、より丁寧に助言を行うように指示をいたしたところでございます。私としては、非常に、文化的な価値が、非常に高うございます。特別な意味を持っているものと思います。数を色々と数えてみましたのですけれども、今、史跡と言われるのが1,869件あるということで、そのうち特別史跡はわずかに63件ということでありますけれども、広島の原爆ドームというものを見たときに、我々は、これは決めるのは、決めると言うんでしょうか、諮問をして答申を受けてこなきゃいけませんのでね、これにつきましては、我々、私がどうこうとはできませんけれども、強くそういうことになればなという思いを個人的には持ってございます。

記者)
 今、最後におっしゃられた、一応確認ですけども、今、特別史跡への格上げ、これは当然そういう手続が必要で、文化庁が当然裁量権があるとは思うんですが、大臣の個人的な思いとしては、この特別史跡への格上げはふさわしいかどうか、その辺りは。

大臣)
 私個人としては、やはりそうあるべきだなという思いがございますね。そういう願いは、私自身は持っているということでありまして、ただ、分離して考えなきゃいけない話ですから、これは、やはり全体の決定と私の個人の心の中の決定とは違うわけで、そういう思いでございます。あくまで全体の目で見るということが大事です。

記者)
 あと、最後に、保存の支援の部分なんですが、現在、国が保存に関わる工事費用の5割を補助できるんですよね。これに関しては、この制度、更なる補助率の上積みであるとか、そういった辺りでの、今後の更なる拡充という、その辺りはいかがお考えなんでしょうか。

大臣)
 今の段階では検討の域を脱しないと思ってございます。こういう財政事情でございますので、それぞれが、いささか我慢するときでもあろうかと思うんですけれども。ご意見は、十分念頭に置きながら文化庁と話し合い、他の施策についても、常にそういうことを念頭に置いて仕事をしております。

記者)
 学校法人のガバナンス改革会議のことについて伺います。先週末、報告書がまとめられました。学外者で構成する評議員会に大きな権限を与えて理事会への監督機能を強化するものですが、私大連・大学側の反発も大変強まっています。一方、改革会議の委員からは、そのまま法制化すべきだという強い意見があったかと思います。報告書の大臣の受け止めとともに、今後の法制化に向けた対応についてお考えをお聞かせください。

大臣)
 今のお話ですけれども、学校法人のですね、ガバナンスにつきましては、国会の附帯決議であるとか閣議決定を踏まえまして、今年、そうですね、閣議決定を踏まえまして、本年7月から学校法人ガバナンス会議を開催しまして、約5か月にわたって11回の審議を重ねてきて、そしてこの前の記者会見でも申し上げましたが、12月3日に取りまとめられたということでございます。それで、会議では、構成メンバーも拝見しました、先生方の。公認会計士の先生や弁護士の先生を中心に、他の法人制度を参照にしながら、経営の透明性や説明責任を果たされるガバナンスの在り方を議論をしてこられました。その結果、特徴的なのは、「評議員」による基本方針の決定、そして、理事長・学長による執行、そして、「評議員・監事・会計監査人」による監視・監督という全く新たな役割を含む改革方策が、提言がなされてきたわけでございます。座長をはじめ委員の先生方には、本当に精力的なご審議をいただきまして心から感謝申し上げたいと思いますけれども、これに対して、ご指摘の通り、特に私立大学の関係者の方から大きな反発が出てございます。各方面にですね、要望にも行かれています。反対であるということの意思を示すために行かれています。文科省としましては、各学校法人の沿革であるとか多様性にも配慮して、そしてかつ、社会の要請にも応えられる実効性のある改革ということが必要であると思っています。年内に改革の結論を、閣議決定を踏まえまして、今回の報告書も一つの大きな参考としつつ、このことは前回の記者会見で申し上げましたけれども、様々なそうしたご意見を丁寧に伺いながら、できましたら月内に改革の方針をまとめていきたいという考え方から変わってはございません。そういう状況でありまして、おっしゃる通り、非常に大学関係者からは厳しいを超える反対意見が出てございます。

記者)
 今のお話に関連してなんですけれども、昨日、私学側から出てきた声明と言いますか、反対声明だと思いますけれども、その中に、今回のガバナンス改革会議の議論に関してなんですが、例えば大学設置審みたいな常設のですね、大事なことを議論するような、そういうところで議論されていないですとか、ガバナンス改革会議のメンバー自体がですね、今、大臣がおっしゃったように会計士の方とか弁護士の方が多くて、当事者に乏しいのではないかというような意見が出ております。こういう人選とかこういう議論の過程になったのは、どうしてこういう形をとったのかというのが1点と、そもそも、例えば大学入試改革でも同じようなことがあったんですが、改革に慎重な方が審議会の委員から外されていくとかですね、なかなか選ばれないとか、そういうことの無理が重なったという検証結果なんかも出てますけれども、今回の議論というのは、その点で不十分なのではなかったのかどうかというのをちょっと伺いたいんですけれども。

大臣)
 まず、どうしてこういうことになったのかというお話もあるんですけれども、まずは、私の思いというのは、学校法人ガバナンス会議の委員には、現役の理事長とか校長先生が入っていないんですよね、これを見ていましたら。十何人の先生方を見ていまして。関係団体からのヒアリングは、実施はされたとは伺ってございます。しかしながら、関係者のご意見が会議の審議過程で十分考慮されなかったというご指摘につきましては、今のご指摘については、これは真摯に受け止めなければならないということでございます。学校法人のガバナンスを巡りましては、これまで私学関係者のみならず、様々な立場の皆さんからご意見が出ておりまして、今後は、さらにそうしたご意見を参考としながら、学校法人の沿革や多様性に配慮しつつ、かつ、社会の要請に応え得る、実効性のある会議を進めていかなければいけないということを思っているわけです。直接申し上げたら、やはりステークホルダー、利害関係者の方ということ、ちょっと何かバランスよく入られたかどうかという点についてはもう一度検証しなきゃいけないなと思うのですけれども、ただ、先生方に本当に真剣に審議されたということで、私はその先生方と誰お一人ともまだ会っていないんですけれども、報告書をまず見なきゃいけないんですけれど、まだ、報告書が手元に、まだ、私は見ていませんのでね。それと、今おっしゃったように、例えば学校法人審議会(注2)で議論したらどうかというような話もあったとは思うんですけれども、ただ、その場合は、こういう審議会を設置の場合のみ諮問するものであって、こういった場合にはそういった審議会を活用するという例もあまり見られないように伺ってございます。私は、そのように、私自身も判断をいたしてございます。そういう点でですね、今、会議がなされ諮問をされて、諮問をしまして答申が出ました以上ですね、そのご意見を、その中身を見てその上でですね、各方面のご意見も頂戴し、社会の要請はどういうものかということもよく念頭に置いてこの改革案というものを文科省として、政府案として決定をしていきたいという、そういう思いでございます。それ以上のことはございません。

(注1)「所定の勤務時間外」と発言しましたが、正しくは「所定の勤務時間」です。
(注2)「学校法人審議会」と発言しましたが、正しくは「学校法人分科会」です。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室

発信元サイトへ