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令和3年11月26日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

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弥富市男子生徒が殺傷された件,福島県公立小学校・中学校、日本原子力研究開発機構大熊分析・研究センター及び廃炉環境国際共同研究センターへの視察,創発的研究支援事業の採択結果,日本大学理事が背任容疑で逮捕された件

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和3年11月26日(金曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年11月26日末松信介文部科学大臣記者会見

令和3年11月26日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 それでは、私から冒頭3件ございます。まず、最初に、愛知県弥富市中学3年生の殺傷事案についてでございます。一昨日24日、愛知県弥富市の公立中学校におきまして、中学校3年生の男子生徒が亡くなった痛ましい事案が起こりました。まず、亡くなられた生徒に哀悼の意を表しますとともに、ご家族に対して心からお悔やみを申し上げたいと存じます。今回の事案は、学校内の日常生活の場で発生したものでありまして、生徒の皆さんの精神的なショックというのは、その負担というのは計り知れないものがあったものと存じます。これまで、各学校におきましては、命を大切にする教育に力を込めてまいりました。また、スクールカウンセラーによる児童生徒に寄り添った教育相談の充実や学校・家庭・地域の連携の推進などにも取り組んでまいりました。そうした中で、今回のような痛ましい事案が起こってしまったことは、私たち教育行政に携わる者をはじめ、学校関係者は真摯に受け止めなければならないと存じます。そして、二度とこのような事案が発生しないようにするためにはどうしたらよいのか、改めてしっかりとした検討をしなければならないと考えております。本事案につきましては、現在、警察におきまして、捜査が進められておりますが、今、何よりも重視しなければならないのは、先ほど申し上げましたように、計りかねないショックを受けている生徒の皆さんの心のケアであります。このため、昨日、愛知県教育委員会に対して、スクールカウンセラーの追加派遣に要する経費を緊急支援したいとお伝えをいたしました。文部科学省といたしましては、引き続き、愛知県教育委員会を通じまして、事実関係の把握に努めながら、生徒の心のケアをはじめ、関係者のニーズに寄り添った支援を行ってまいりたいと思っております。また、今後、有識者に専門的な見地からのご意見をいただきながら、今回の事案を踏まえて見直すべき点はないかどうか、そのことも検討してまいりたいと思います。
 次に、福島への出張でございます。就任後、できるだけ早く訪問したいと思っておりました福島県に出張をいたしました。浪江町立、創成小学校・中学校、JAEA(日本原子力研究開発機構)大熊分析・研究センター、そしてJAEA廃炉環境国際共同研究センター国際共同研究棟の3機関を訪問いたしましたのでご報告申し上げます。最初に訪問いたしましたなみえ創成小学校・中学校は、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故での全町避難を経まして、平成28年末(注1)に一部の地域が避難指示解除を受けましたので、町民の帰還が始まったことに伴いまして、平成30年に新たに開校した学校でございます。視察におきましては、小・中学校の様々な授業を拝見することができました。特に、なみえ創成中学校の「ふるさとなみえ科」の授業では、浪江町と双葉地区の未来を語る生徒の皆さんの様子に直接触れるなど、自分たちの未来を自分たちでしっかりと切り拓いていく力強さを感じたところでございます。次に訪問いたしましたJAEA大熊分析・研究センターでは、東京電力福島第一原子力発電所から今後取り出される予定の燃料デブリや放射性廃棄物につきまして、その性状を分析するための研究施設の整備状況についてお話をお伺いしました。最後に訪問いたしました富岡町の国際共同研究棟では、廃炉に向けました基礎・基盤研究の状況や、産学官の組織の垣根を越えました人材育成の状況について話を伺ったところでございます。今回の出張を通じまして、震災から10年が経ちました。先ほども復興会議が政府で開かれました。復興に向けた歩みが着実に進んでいる一方で、現場には課題がまだ多く残っていることも実感をしたところでございます。学校の児童生徒の教育環境の充実に向けましては、引き続き、力を尽くしてまいりたいと思います。また、福島第一原子力発電所の廃炉につきましては、30年から40年の長期にわたる取組でありますので、廃炉現場を支えるための取組の支援を、引き続き、着実に進めてまいりたいと思います。現場技術者の方々には大変なご苦労をいただいていることに感服をいたしました。今後も、文部科学大臣として、東日本大震災からの復興なくして日本の再生はないとの強い思いを持ちまして、被災地の実情や関係者の方々のご意見に丁寧に耳を傾けながら、福島の復興・再生に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、「創発的研究支援事業」の採択結果につきましてでございます。この度、科学技術振興機構(JST)が実施します「創発的研究支援事業」につきまして、2回目の採択結果が決定され、本日、同機構より公表されますのでご報告を申し上げます。この創発事業は、若手を中心とした多様な研究者による自由で挑戦的な研究を、最長10年にわたって支援する事業でございます。昨年度実施されました第1回公募では、その注目度の高さから、予想を上回る応募がありましたので、採択件数が急遽拡大されたとも聞いております。今年度の第2回公募でも、国内外の大学から2,300名を超える多くの応募がございまして、その中から259名の研究者が採択されました。特に今回は、女性研究者の採択人数が増加をしまして、支援の多様性が一層広がったものと受け止めてございます。本事業の採択者には、所属する大学等からも、今後、様々なサポートを受けまして、思う存分研究に挑戦していただきたいと考えてございます。総理の成長戦略の第一の柱であります「科学技術立国の実現」には、若手研究者の活躍が不可欠でございます。文部科学省といたしましては、若手研究者の挑戦をしっかりと後押しをすることが重要と考えておりますので、創発的研究支援事業の推進・充実を含めまして、研究力強化に向けた取組を、引き続き、全力で進めてまいります。以上、3つの、私からの報告でございました。

記者)
 冒頭にあった愛知県弥富市の事件に関連してお伺いします。今回の事件は、逮捕された生徒が包丁を外部から校内に持ち込んだというふうに見られています。文科省が作っている学校の危機管理マニュアル作成の手引、この中で、外部からの不審者の侵入は想定していますけれども、生徒など学校関係者による凶器の持込み、これは想定されてなく、今回のようなケースは盲点となっていました。事件を受けて、手引の見直しなど何らかの対応をお考えなのかどうか教えてください。

大臣)
 今ご指摘をされた通りでございまして、危機管理マニュアルについては、外部侵入者に対する対応など、そういったことは書かれておるんですけれども、こうした凶器の持込みなんていうことは書かれてございません。本事案につきましては、実は、まだ全容が明らかになっていないところでございます。私たちも、マスコミの皆さんの報道を見るところもございます。本日の時点で、すべての学校に影響を与える国の方針として言及するのは、時期が尚早だというのが考えでございます、先ほどもちょっと内部で話合いをいたしましたけれども。文部科学省といたしましては、本日の冒頭でもご発言申し上げましたけれども、専門家の意見もよく聞きながら、対応を検討してまいりたいと考えておりまして、そうした中で、今ご指摘のございました、学校の危機管理マニュアルの見直しの適否についても考えていきたいということでございます。まだ、時期がちょっと尚早でございます、そのことについて。難しい問題だと思います。

記者)
 引き続き、冒頭の弥富市の関係でお尋ねしたいんですけれども、冒頭の発言にあった有識者とか専門家に意見を聞くというのは、何か新しい会議体を作るとかそういう話なのか、それとも、何か既存のものを活用して検討していくということなのかを伺えればなと思います。あと、確かに、事案の全容に時間がかかるのはその通りだなと思いますけれども、文科省から、何かしら、当面の、当座の対策をまとめて通知したりとか、何らかこう、すぐに対応する予定というのは今のところあるんでしょうか。

大臣)
 当然、申し上げたように、まず、再発防止はですね、それぞれの学校で早く、念頭に置いた運用をしていただきたいと思ってございます。今すぐに何か会議を開くとかそういうことは考えてはございませんけれども、開くこともあるかもしれません、これは。ただ、本事案につきましては、警察の捜査が始まったばかりで、詳細が今だ明らかになっておりません。どういう人間関係で問題が生じたのかも全くわかってございません。有識者を交えた検討につきましては、今、申し上げましたが、今後、警察の捜査や教育委員会の調査によりまして、一定程度、事案の背景や原因が判明した後に行うことを考えてございます。このため、現時点では、具体的な検討内容はお答えできません、今申し上げましたように。学校安全の体制整備のほか、未然防止や予防の観点など、見直すべき点があるかどうかですね、この検討をいただくことになるのではないかと思います。それとですね、もう1つはですね、最初に申し上げたと思うんですけれども、文科省の方では、先ほど申し上げましたけれども、愛知県教育委員会の方に、スクールカウンセラーの追加派遣によります経費を支援するなど、生徒の心のケアを行ってございます。愛知県教育委員会からは1名だと思います。そして、市の教育委員会も1名増員をする(注2)ということになってございます、支援経費でありますけれども。現場は、やはり、市教育委員会、しっかりとやっていただかなければなりませんけれども、国としての対応も、まず、そのように考えます。今後につきましては、事実関係の把握に努めつつ、教育委員会や学校をはじめとする関係者のニーズを伺いながら最大限の支援を行ってまいりたいと思っています。二度と同様の事案が発生しないようにするためには、先ほども申し上げました、何度も申し上げましたけれども、有識者に専門的な見地からのご意見をいただきながら国の政策や、あるいは、教育委員会、学校の対応について見直すべき点がないかどうかを検討していきたいということ、重ねて、そのように考えてございますことをお伝え申し上げます。

記者)
 引き続き、弥富市の件に関して伺いたいんですけれども、今回、凶器を使った犯罪ということですが、学校内で起きたということでニュースになってますけども、例えば、凶器を持ち込ませないにしろ、学校外で発生してしまったら意味がないと思いますので、結局その、おそらく、報道で出ているのは、被害生徒と加害生徒の間で何らかのトラブルがあったんじゃないかというお話だと思います。で、そういうトラブルとかいじめとかっていうのを把握していくという努力を、これまで文部科学省も問題行動調査に併せてやってきたわけですが、で、それを把握するのが大事だと思うんですけど、体制整備ですね、今後把握していくための、これは大臣としてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 まず、個々の子供と子供との間のトラブルというのは、できるだけ、やはり、先生は清んだ目で見ていかなきゃならないし、そういう動きについても、取れることについて、取れる情報というよりも関係ですね、問題点というのは把握できればなということを思っておるんですけれども、私は、やはり現場の先生がどこまでできるかといったら、物理的な、まず問題があると思うんです。それと、昨今の問題からしましてもね、チャットの中の書込みでそういったいじめが行われたりとか、色々なことがあります、匿名になっていたりとか。これは、やはりそういう、教師が全く手の届かないところでも色んなことがやっぱり行われている。しかも、そのためのツールというものがですね、もう限りなく存在しておるということがありますから、やはり、基本は原点に立ち返って、そういったツールの、ツールというのでしょうか、そういった情報通信のですね、ものの使い方であるとか、あるいは道徳的に、私は、やはり基本は命の大切さというものを、これを考えていくということ、善悪理非のことというのはやっぱりきちっと教育していくということが大事だと思うんです。弱い者をいじめるなということは当たり前のことのように教えられましたのでね。そのことを、やはりきちっと教えてやる、人の命の大切さ、あるいは生物のそういった命の大切さ、このことをやはり教えなきゃならないというのが私の思いでございます。それ以上のことは、私は、この場所では申し上げられないですね。簡単にこんなことは解決できるという、先生が全部把握できるとは思えないのです。大変な現場、苦労をかけていますので、そういう思いです。しかし、教師である以上は、精一杯持てる力を発揮していただきたいと思っています。

記者)
 すみません、ちょっと追加でなんですけれども。基本的に、いじめとかですね、そういうものの把握に関しては、その努力、相当数を把握されるようになってきているということだと思うんですね、最近の文部科学省の調査を見ると。で、把握したけれども、解決するためのマンパワーが足りないために、重大事案が、結構、重大案件が増えてしまっているという実情もあるんですけど、その辺りのマンパワーの部分というのは、大臣、何かお考えでしょうか。教員だとか、今おっしゃったスクールカウンセラーであるとか、その辺りの充実というのは何かお考えはありますでしょうか。

大臣)
 教員の業務の、支援員の拡大であるとかですね、あるいはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、やはり、私は、今これだけ危険が存在する時代でもございます、学校内外において。また、外で遊ぶよりも、どっちかと言うと内で遊ぶケースも増えてきたりとかしますし、そういう遊びの対象が、昔と違ってきてますんでね、そういう意味では、悩み方も違うと思うんですよ。心の中身、ちょっと私たちが育った時代とは、ちょっと異なるものが存在するようなケースが増えているんだろうと思うんです。そういう意味では、今申し上げたように、臨床心理士さんや社会福祉士さんがですね、やはり、学校現場に来て回っていただいて相談に与る、そういった体制は強化をするというのが、私は基本だと思っています。それと会議(注3)の場では、いじめの重大調査における運用面や体制についてご議論いただき、重大事態調査等の改善に資する実態把握のアンケート調査の実施もご議論をいただきました。アンケート調査につきましては、今後、各教育委員会に対して、年内を目途に調査依頼を行う予定ですが、人員面・予算面の課題も含め、調査を実施する予定でございます。それと、引き続き、委員の皆さんにもご議論いただきまして、いじめ重大調査における実態把握を行いながら、いじめに対応する体制整備の改善も図ってまいりたいと思います。それと、やはり現場の中ではですね、きちっと、私の知っている市の教育委員会ですよ、やはり、2週間に、3週間に1回、あなたいじめられていないかとかですね、あと、どういう問題を抱えているかということは、生徒にきちんと紙を渡して書いて回収したりとか、そういう努力をしている学校もございます。正直に書いてくれるかどうかが問題です。それを、データで、タブレットの中でまた送ってこっちへ返す、見られないようにするために、生徒さんにですね、そういう、私はこういうことで悩んでいますとか、そういうキャッチボールができるような仕組みもあるんですけれども、果たしてどこまでそれが正確に受け止めることができるかというのは、どちらもが、正直、生徒さんが、やっぱりきちんと悩みを打ち明けてくれなきゃいけないんですけれども、これはやはり、ここまでやったからこうであったということはなかなか言い切れないものもございますけれども、最大限の努力をする、これしかないと思います。

記者)
 日本大学の事件についてお伺いしたいんですけれども、9月9日に最初の報告を求めて指導をされてからまだ出てきていないと思うんですが、文科省として、現状でどのような対応を行っているかということと、改めてこの状況の受け止めについてお伺いします。

大臣)
 2日前の会見でもちょっと申し上げたのですけれども、公共性が極めて高い学校法人、元理事が追起訴をされたということで、理事長の、この税務申告漏れの疑いも報じられる事態になっているということは大変遺憾であると思います。文部科学省としては、法人自ら真相究明の調査等を行い、社会に対する説明を果たす指導をしているところですが、私自身は、全く十分な説明がなされていないと感じておりますので、24日、一昨日の記者会見でも申し上げた通りでございます。それで、新たな動きとしましては、24日ですね、24日(水曜日)午後に、日本大学の理事、監事等に来省を求めました。そして、法人全体の問題として徹底的な調査をスピード感をもって行うこと、そして、適切な方法で速やかに説明責任を果たすこと、これを改めて強く指導したところでございます。先方は聞きまして、事務方の責任者に担当いただきましたので、向こうは理事の方、監事の方、弁護士の方、事務方という形で多人数でお見えになってございます。今後、法人における調査や社会への説明の状況を踏まえまして、更に必要かつ厳正な指導は行ってまいりたいと、そのように考えてございます。甘い思いは全くございません。以上です。

(注1)「平成28年末」と発言しましたが、正しくは「平成28年度末」です。
(注2)「愛知県教育委員会からは1名だと思います。市の教育委員会も1名増員」と発言しましたが、正しくは「愛知県より弥富市に配置していた1名に加え、県よりさらに1名派遣」です。
(注3)「会議」と発言しましたが、正しくは「文部科学省に設置したいじめ防止対策協議会」です。

(了)

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