外務省・新着情報

令和3年11月25日

 JICAが実施するODAの無償資金協力案件の資金は、外務省からJICAに交付され、JICAが先方政府に支払うまでの間、独立行政法人国際協力機構法に基づき、JICAが管理することになっています(以下、「支払前資金」)。
 この支払前資金の総額は、2020年度末時点で、約1,960億円に達しています。
 ついては、今般、この支払前資金を減らし、適正化を図るため、まずは速やかに着手可能な以下2に記載の改善策を実施いたします。

  1. 背景
  • (1)JICAの管理する支払前資金の総額が、2020年度末時点で、約1,960億円に達しています。これについては、10月20日の財務省の財政制度等審議会でも指摘がありました。
  • (2)この1,960億円のうち、約6割(約1,215億円)は、プロジェクト自体は完了しているが最終瑕疵検査待ちの事業等のために、JICAが年度をまたいで案件ごとに管理している資金です。
  • (3)残る約4割(約744億円)は、政治的混乱・治安の悪化、入札の不調・不落、先方政府の手続の遅延、新型コロナの影響等の開発途上国を現場とするがゆえの事情による事業の遅れにより、想定された期間を超えてJICAが管理している資金です。なお、そのうち約1割(約74億円)は、既に完工済で瑕疵検査等を待っている案件です。

【JICAが実施するODAの無償資金協力案件の資金の内訳】

  • (ア)当初想定された事業期間内:(1)案件数 約200件、(2)総額 約1,215億円
  • (イ)想定された事業期間を超えているが、既に完工済(瑕疵検査待ち等):(1)案件数 約40件、(2)総額 約74億円
  • (ウ)想定された事業期間を超えており、かつ、未完工(工事継続中を含む):(1)案件数 約60件、(2)総額 約670億円
  • 上記(ア)から(ウ)の合計:(1)案件数 約300件、(2)総額 約1,960億円
  1. 今後の対応
     外務省としては、事業の遅れにより生じた支払前資金のJICAでの長期滞留について、強い問題意識を有しており、これを削減し、JICAが保有する支払前資金の規模の適性化を図るための改善策として、まずは速やかに着手可能な次の措置をとることとしました。
     なお、これらの措置については、今後新たに実施する案件のみならず、現在実施中の案件にも適用し、実施中の全案件についての網羅的な点検を行うこととします。
  • (1)案件中止・国庫返納にかかる先方政府との協議
  • ア 閣議決定の翌年度末までに交換公文(E/N)及び贈与契約(G/A)を結ぶことができない案件は、原則として中止する方向で、先方政府と協議を行う。
  • イ G/Aが定める資金供与期限を迎えた案件は、期限の延長の要否につき厳格に審査する。また、案件の打切り・国庫返納の可能性も含めて検討し、先方政府と協議を行う。
  • ウ 中断が長期化する等して、閣議決定から5年が経過した案件(国庫債務負担行為(国債)に基づく案件は、最終年度における閣議決定と同じ日付から5年が経過した場合、または、案件の長期中断が明白となった場合)は、具体的な案件終了の見通しが立っていない限り、原則として案件の打切りを検討し、先方政府との協議を行う。
  • (2)今後は、案件の実施前に、これらの新たな方針について被援助国政府に書面で説明を行い、理解を得ることとします。
  1. 以上の改善策をとることにより、我が方関係者のみならず、被援助国政府の関係者にも事業の迅速かつ円滑な実施につき、より一層の問題意識を持っていただき、無償資金協力事業のより効果的・効率的な実施につなげていく考えです。
    今後も支払前資金を削減し、財政資金を効率的に活用するための改善策について、財政制度等審議会における指摘も踏まえつつ、実施機関であるJICAや、財政当局と議論を続けていきます。

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