外務省・新着情報

令和3年11月24日
栄誉礼及び儀仗の様子 儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)
首脳会談の様子 日・ベトナム首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表の様子 共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)

 11月24日、午後6時15分から45分間、岸田文雄内閣総理大臣は、総理官邸において、実務訪問賓客として訪日中のファム・ミン・チン・ベトナム社会主義共和国首相(H.E.Mr. PHAM Minh Chinh, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)と首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。会談には、磯崎内閣官房副長官他が同席しました。
 会談後両首脳は、共同声明を発出するとともに、文書の交換に立ち会い、共同記者発表を行いました。また、共同記者発表後、岸田総理大臣主催の夕食会を行いました。

1 冒頭

 岸田総理大臣から、古い友人であるチン首相の訪日を歓迎し、ベトナムは「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で要となる重要なパートナーであり、ポストコロナの経済再生に向けて、日ベトナム関係を大きく発展させたい旨述べました。
 チン首相は、古くから敬意を表する岸田総理と再会できうれしく思う、岸田総理の「成長と分配」の経済政策(新しい資本主義)が成功することを確信する、日本とベトナムの関係は外交関係樹立から約50年間目覚ましく発展してきており、「広範な戦略的パートナーシップ」を新たな段階に引き上げたい旨述べました。

2 二国間関係

(1)新型コロナへの対応

 岸田総理大臣から、新型コロナウイルスへの対応として、ベトナムに対し、これまでの約408万回分のワクチンに加え、更に追加で約154万回分供与する旨を伝達するとともに、官民協働で新型コロナウイルスワクチンの開発及び製造に関する技術移転の協力を進めていく旨を述べました。
 チン首相からは、日本からのワクチン供与に対して感謝しつつ、新型コロナウイルス対策において日本と連携を強化していきたいと述べました。

(2)経済関係

 岸田総理大臣から、チン首相に対し、日本企業の投資拡大に向けて、ベトナムをポストコロナの経済再生の中心にしてほしいと伝え、チン首相から、日本企業の更なる誘致に向けてチン首相自らが率先して投資環境整備を進めると述べました。
 また、岸田総理大臣から、ポストコロナの経済再生に向けた、日越間でのDXイニシアティブ、サプライチェーン多元化イニシアティブ、技術革新協力パートナーシップの立ち上げについて述べました。

(3)人的交流

 岸田総理大臣から、ベトナム人材は日本経済を支える大切な存在であると述べました。両首脳は、ベトナム人技能実習生を取り巻く環境の改善に向けて、これまで以上に日ベトナム当局間の意思疎通を緊密化するとともに、技能実習制度の適正な運用のためのシステムの構築に向けた協力を進めることで一致しました。
 また、日越刑事共助条約の署名を歓迎し、本条約で犯罪対策に係る両国間の協力を一層促進していくことへの期待を伝えました。これに対しチン首相から、日本社会で在日ベトナム人が果たしている重要な役割を指摘しつつ、コロナ禍における日本政府及び日本国民からの在日ベトナム人に対する支援に謝意が述べられました。

(4)国際社会の共通の課題における協力

 岸田総理大臣から、ベトナムがCOP26において2050年カーボンニュートラル達成という高い野心を発表したことに敬意を表し、ベトナムのカーボンニュートラルに向けたエネルギートランジションの取組を通じ、最大限支援する旨述べました。また、消防・救助能力の向上のための約178億円の円借款供与の決定を伝えるとともに、自然災害への財務強靭性を強化するASEAN+3の枠組みであるSEADRIFに、ベトナムが加入を決定したことを歓迎しました。
 これに対し、チン首相は、気候変動、防災といった国際社会の共通の課題において日本と協力を強化していきたい旨述べ、日本からの支援に謝意と期待が示されました。また、核兵器のない世界の実現に向けて協力していくことで一致しました。

(5)安全保障における協力

 岸田総理大臣から、「新たな段階に入った日越防衛協力」の下、地域と国際社会の平和と安定のため、両国防衛当局間で様々な協力が進展していることを歓迎し、日越防衛装備品・技術移転協定の下で艦艇分野を含めた具体的な装備移転の実現に向けた協議の加速化、ベトナムのPKO参加準備に関する協力、防衛当局間でのサイバーセキュリティ分野及び衛生分野での協力を進めていく旨述べました。また、海上捜索や救助機材、巡視船供与を始めベトナムの海上保安能力向上を引き続き支援していく旨述べました。
 これに対し、チン首相から、近年、日越間の防衛協力は急速に発展しており、引き続き日本と連携を強化していきたいと述べました。

(6)外交関係樹立50周年

 岸田総理大臣から、2023年の日越外交関係樹立50周年に向けて、来春、官民合同の50周年実行委員会を立ち上げる旨述べ、チン首相は、ベトナム政府として全面的に協力する旨述べました。両首相は、2023年を日越の新たな時代を切り開く節目とするようしっかりと協力していくことで一致しました。

3 地域・国際情勢

(1)両首脳は、地域情勢についても意見を交わし、岸田総理大臣から東シナ海・南シナ海情勢における一方的な現状変更の試みについて、強く反対する旨述べました。また、両首脳は、北朝鮮による核・ミサイル活動を含め、北朝鮮情勢についても意見交換し、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。ミャンマー情勢についても意見交換し、緊密な連携を確認しました。

(2)両首脳は、TPP11のハイスタンダードの維持とRCEP協定の完全な履行の確保についての連携を確認しました。

(3)岸田総理大臣から、2023年は日ASEAN友好協力50周年であり、日本がホストする特別首脳会議は日ASEAN関係を新たな段階に引き上げる歴史的機会となる旨述べ、チン首相は、日ASEAN友好協力50周年を成功に導くために協力していきたいと述べました。


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