令和3年11月19日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて,私から2件報告があります。
 1件目は,車座対話についてです。
 昨日,元保護司である中澤照子さんが経営されている喫茶店「Cafe Lalala」において,車座対話「地域で見守る少年支援~カレーが生み出す居場所作り~」を実施しました。
 車座対話に先立ち,参加者の皆さんと共に,中澤さんお手製の大変美味しい「更生カレー」をいただき,少年たちに対する温かな支援の一端を実感しました。
 車座対話では,地域の中で少年の立ち直りに尽力されている皆様から,実体験に基づいた貴重な御意見を伺うことができました。
 皆さんの心と心をつなぐ血の通った活動に強く感銘を受け,また,地域に根ざした支援が,世代を超えて広がっていることを大変頼もしく感じました。
 他方で,地域活動の課題について,様々な御示唆をいただき,保護司を始めとする更生保護ボランティア活動への支援や活動環境の整備の必要性を改めて感じました。
 今回の車座対話において頂いた御意見を,更生保護や再犯防止に関する今後の政策に活かしてまいります。
 2件目は法務少年支援センターにおけるオンライン相談についてです。
 法務少年支援センターでは,11月15日から,全国14か所で,新たに「オンライン相談」を始めましたので,お知らせします。
 少年鑑別所では,少年非行の分析や防止に関する専門的知見を生かし,「法務少年支援センター」の名称で,子どもの問題行動に悩む保護者や学校関係者,若者自身の悩み,さらには福祉機関の方々からの相談など,全国52か所で毎年約1万2千件の相談に応じています。
 今般,オンライン相談の導入により,悩み・困難を抱えた方々にとってより利用しやすい環境を提供することができ,コロナ禍にあって,社会からの孤立・孤独が問題となっている昨今の状況に鑑みても,意義のある取組と考えています。
 法務少年支援センターでは,今後も支援を必要とされている方々に寄り添い,地方自治体や関係機関とも連携し,非行や犯罪の未然防止に,一層貢献してまいります。

特定技能制度等に関する質疑について

【記者】
 外国人材の関連でお伺いします。人手不足の解消につなげるため,おととし春に創設された「特定技能制度」をめぐり,一部報道では,特定技能2号の対象に11分野の業種を追加し,13分野に拡大することで,熟練した技能があれば,何度でも在留資格の延長ができるようにするなど,制度の見直しを来年春にも正式に行う方向で出入国在留管理庁が調整していると報じられました。
 これについて事実関係をまずお願いします。

【大臣】
 特定技能制度は,生産性向上や人材確保の取組を行った上で,なお人材確保が困難な状況にある「特定産業分野」において,外国人材を受け入れるものです。
 特定技能2号は,そのうち,熟練した技能を要する業務に従事する外国人を受け入れる在留資格であり,現在,14の特定産業分野のうち,建設及び造船・舶用工業の2分野での受入れが可能となっています。
 特定技能2号の在留期間は,既存の就労資格と同様,受入れ企業との雇用契約を前提に,個々の在留状況に応じて,一定の期間ごとに更新を認めるものであり,決して無期限の在留を認めるものではありません。
 その上で,現在,特定技能2号の対象外となっている12の分野については,出入国在留管理庁が各分野の所管省庁とともに,現場の意向や業界団体等の意見を踏まえつつ,対象分野の追加に関する検討を行っていると承知しています。
 法務省としては,特定技能制度が深刻な人手不足の解消策として活用いただけるよう,分野所管省庁における検討を踏まえ,適切に対応していきたいと考えています。

【記者】
 外国人材の受入れを拡大していくことについては,様々な意見,賛否がありますが,国内で働く外国人が増加していくことに伴って生じる課題や,今後の進めていくべき対策については,法務省としてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。

【大臣】
 我が国で就労している外国人は,令和2年10月時点で約172万人に達しています。
 今後,我が国で就労する外国人は,更に増加することが見込まれ,ルールを守って我が国で働く全ての外国人が,社会の一員として,公共サービスを公平に享受し,安全・安心に生活できる環境を整備していくことが重要であると考えています。
 そこで政府では,まず,「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を出入国在留管理庁が中心となって策定し,新型コロナウイルス感染症の感染拡大など,状況の変化に応じて必要な施策を追加するなどしつつ,取組を推進してきたところです。
 今後,中長期的な課題やその解決方策等を検討・整理し,取組を一層推進することが大事ですから,出入国在留管理庁に対して,総合調整機能をしっかりと発揮していくよう指示しているところです。
 外国人との共生は,国民一人一人の皆様の生活とも密接に関わる大事な課題です。より良い社会,より住みやすい社会を作るためにも,国民の皆様の声にも耳を傾けながら,更なる施策の充実に取り組み,外国人との共生社会の実現という時代の要請に応えていきたいと考えています。

【記者】
 特定技能2号の受入れ拡大の質問が出ましたが,それに関連する質問です。
 大臣は無期限の更新ではないとおっしゃっていましたが,コロナ禍の中で,特定技能の人材が集まらないということもあり,おそらく今後,技能実習生や留学生から特定技能の方に移行するということも含めて,更なる拡大が必要だと考えていらっしゃるのだと思います。
 ただ,今後どういうふうにその人たちの人数が増えていくかは分かりませんが,今までも,例えば日系外国人の受入れや,技能実習生,そして今回の特定技能といったような形で,新たな在留資格を増やして外国人労働者を入れていくという形をやってきました。今アルバイトでは留学生などは資格外就労でたくさん働いていらっしゃいます。
 ということですが,今回,無期限かどうか分かりませんけれども,日本に172万人外国人労働者がいるとおっしゃっていましたが,今後やはり正面から移民の受入れ,難民についても難民認定される人が非常に少ないと,人道的配慮だったり,ミャンマーの人ですと,6か月の特定活動という形で在留資格を出しているわけですけれども,やはり難民認定制度にしても,移民の受入れにしても,正面からどのような政策をとっていくかということが問われています。ただ単に在留資格の更新というだけではもう済まされない問題だと思うのですけれども,それについて大臣の基本的な考えをお聞かせください。時代の転換点だと思いますので,是非よろしくお願いいたします。

【大臣】
 私の基本的な考え方ですが,世界がどんどん小さくなり,社会経済のボーダーレス化が進む時代にあって,外国人と共に生きていくことは,日本に限らず,世界における時代のすう勢だと考えています。
 我が国において,日本人と外国人が互いを尊重し合い,安全・安心に暮らせる共生社会を実現することは,大きな目標だと考えています。
 その際に,やはり大事な原則となるのは,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援等を行っていくこと,ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくことであり,これは変わらぬ原則,大事な視点だと思っています。
 特定技能制度は,生産性向上や人材確保の取組を行った上で,なお人材確保が困難な状況にある「特定産業分野」において,外国人材を受け入れるものです。先ほど申し上げたように,決して無期限の在留を認めるというような制度ではありません。
 私の考え方としては,より良い出入国在留管理行政のために,時代のすう勢を見ながら,国民の皆様の声にもしっかりと耳を傾け,不断の努力を続けていくことに尽きると思っています。

【記者】
 特定技能に関連してお伺いします。2年前に始まった当初は,送出機関を通さずにストレートで入れるとか,技能試験ルートで入れるということが念頭にあったと思うのですけど,実態としては送出機関を通すことになっているとか,技能試験ではなく技能実習ルートが8割を超えるという状況になっています。
 当初の見込みと違う進み方をしている特定技能ですけれども,現状の御認識と,こういうふうになっている理由についての御見解を教えていただけますでしょうか。

【大臣】
 送出機関を通すか否かという点に関して,悪質な仲介事業者等の介在を防止することは大事なことだと思っていますので,法務省では,関係省庁と連携し,アジア諸国を中心とする13か国との間で協力覚書を締結し,累次協議を行っています。
 いわゆる技能実習ルートが8割との御指摘に関しては,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,外国人材が予定どおりに来日できない状況が大きく影響しているのではないかという見方を持っています。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を考えながら,制度の施行状況や,運用の実態をしっかり把握・分析していかなければならないと思います。

【記者】
 関連してですが,特定技能制度の改定の時期については,報道等では来年3月にもですとか,来年度中にもというような報道もありますが,時期についての見通しはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 先ほどもお答えしたとおり,これは分野を所管する省庁とも様々な検討をしている最中ですので,予断を持っていつだというようなやり方をしているわけではありません。検討中ということです。

【記者】
 今の質問に関連してですが,一つは先ほどおっしゃっていたところで,コロナ禍の中でも技能実習生8万人が去年入っているので,やはり特定技能が増えていない,入っていないというのは,若干制度設計の部分もあるのではないかと感じている部分がございます。
 その点と,あと8割以上で来ている,技能実習ルートで特定技能を取得した人たちについて,就労上で問題を抱えたときに相談窓口がなく,技能実習生以上に課題を抱えやすいという状況が指摘されています。
 こうした問題について,拡大が一方ではなされているけれども,この2年間で課題が出ている部分というのが既にありますが,そういった部分に対して,どう対応されていくお考えでしょうか。

【大臣】
 技能実習の場合は,外国人技能実習機構が介在して支援を行う制度になっているのに対して,特定技能の場合は,機構はありませんが,登録支援機関を置いています。
 また,特定技能制度の場合は,特定技能1号で在留する方について,受入れ企業や登録支援機関において,相談や苦情の申出に適切に応じ,必要な措置を講じるなどの支援を実施しなければならない制度となっています。
 受入れ企業,あるいは登録支援機関が適正に支援を行わない場合には,出入国在留管理庁が,直接,受入れ企業や登録支援機関に対する立入検査や改善命令を行うことができることになっています。
 ですから,問題がある場合には,出入国在留管理庁がしっかりと適切に対応していくことになります。

【記者】
 問題は登録支援機関が必ず介在するという制度設計になっていないことです。企業が対応できるようにもなっている,どちらでも企業側が選べるということになっているので,当該外国人が必ずしも母国語で相談できるわけではなかったり,自分が働いている企業に十分に給与がもらえていませんと言わなければならない,日本語で労働基準監督署に行かなければいけないという問題が起きているのかなと思っていて,必ず登録支援機関が入るというふうにしていれば,大分違うと思うのですけれども。

【大臣】
 いずれにせよ,出入国在留管理庁では,当該外国人が不当な待遇を受けることがあってはならないという観点から,この制度をしっかり運用し,不適切なものを排除していくことに最善を尽くしたいと思っています。

資産公開に関する質疑について

【記者】
 国務大臣などの資産公開がありましたが,資産公開制度に関する大臣のお考えと,御自身の資産内容についての所感をお願いいたします。

【大臣】
 資産公開制度は,公職にある者としての清廉さを明らかにすることによって,行政に対する国民の皆様の信頼を担保するものであり,そうであってこそ,円滑な行政が成立すると思っています。大変大事な制度だと思っています。
 私自身の資産については,今回に限らず,今までも,ありのままの資産状況を報告させていただいてきました。今回も同様に報告させていただいています。

(以上)