外務省・新着情報

北方領土問題(ロシア副首相の択捉島訪問予定)

【NHK 渡辺記者】日露関係ですけれども、一部の報道によりますと、ロシアの副首相二人が、近く、北方領土の択捉島を訪問すると。それで、前回7月に首相が訪れたときの視察をした場所、病院とか水産加工場などを視察して、ロシア側が言うところの特区の構想が、これによって進展するのではないかという見方があるんですが、これについての日本側の今の現状での情報収集の現段階の状況と、訪問に対する立場をお願いします。

【吉田外務報道官】お尋ねがあったのは、ロシア政府の首相府の10月12日付の発表のことかと承知します。ロシア首相府のウェブサイトによれば、「ミシュスチン首相により提起された課題が、いかに実行されているかを点検するため、極東への実務訪問にグリゴレンコ副首相、及びフスヌリン副首相は出発する」と、具体的な訪問先について記述されている中に、択捉島の水産加工施設等に言及がされている、このことかと承知します。
 今回の発表を受けまして、日本政府としては、ロシア側の要人が択捉島を訪問することは、領土問題に関する我が国の立場と相容れないものとして、ロシア側に対して申入れを行っています。
 仮に、このような訪問が行われるとすれば、日本政府の立場に照らして受け入れられないということで、適切な対応を求めるというのが、政府の現時点での考え方であります。

アフガニスタン情勢(アフガニスタンからの退避支援)

【NHK 渡辺記者】またアフガニスタンの方から、日本政府の支援を受ける形で、避難されてくる方々が到着するという情報がありますけれども、昨日、大臣も会見でおっしゃっていましたけれども、当初の自衛隊機を使ったオペレーションで救出できなかった方々だと思いますが、その後のどういった外交的なやり取りを関係国とやってきたのか、何が功を奏したのかとか、それと今後の日本政府としての対処方針を改めて伺っておきたいと思います、よろしくお願いします。

【吉田外務報道官】昨日、茂木大臣から、8日に日本に到着をした53名に加えて、本日、更に、アフガニスタンの日本国大使館及びJICAのアフガニスタン事務所の現地職員等50名が到着する予定である、更に、90名近い方が、カタールに既に到着をしておって、日本への出国を待っている状況であると、こういったことをご説明させていただいたと承知しています。
 今回の一連の日本への入国は、日本政府の方から要請をして、カタール政府に手配をいただいた民間機で、10月上旬にカタールにアフガニスタンから出国をしたと。その後、それぞれの方の希望、これを踏まえて、日本に入国されたいということですので、日本政府としてはビザの発給、それから航空券の手配、こういった支援を行いました。
 アフガニスタンの情勢が悪化して以来、日本に出国された方は、本日50名を加えると168名になりますけれども、今回の、今週行われている日本への入国は、民間航空機、より安全で確実な、そういう意味では移動手段を利用して来られた初めてのケースになろうかと思います。
 カタール政府に対しては、かねてよりタリバーンとも非常に緊密な関係を構築しているということで、緊密に連携をして、様々な支援をお願いしてまいりましたし、それから、今回を含めてアフガン人の出国については、タリバーンとも交渉・働きかけを鋭意行ってまいりました。適切な渡航文書を所持するアフガニスタン人については出国を妨げないという立場を、タリバーンとしてとっているということも確認をしています。ご指摘がありましたように、これらの方々は、自衛隊機で8月の終わりに輸送することを念頭に置いていた対象者に含まれていた方々であります。
 今後のことですが、まずは既にカタール政府の手配で、民間機でカタールに出国している約90名の方がいらっしゃいますので、これらの方々について、状況が整い次第、日本への入国に向けた調整を継続していく予定であります。
 更に、当初自衛隊機による出国支援の対象者として考えていた中には、既に別途出国された方、あるいは出国しなくてもいいと希望されなくなった方、こういう方もいらっしゃいますけれども、依然として200名を超える大使館・JICA現地職員等は、なお出国を希望していると認識をしています。
 日本政府としては、引き続き、少数ですけれども残留する邦人の方を含めて、これらの現地職員等の安全確保、必要な出国支援について、全力で取り組んでいくという考えには、何ら変わりはありませんし、その過程においては、カタールそれから米国、これらの国々をはじめとする関係諸国、それから日本政府としては推奨しませんけれども、陸路での移動を通じて近隣国に出てこられる、あるいは出てきておられる方々がいらっしゃいますので、こういった近隣諸国とも緊密に連携をしながら、そういった国に所在する在外公館には、支援に必要な体制も構築をして対応していく、こういったことを並行して行いたいと思っています。
 引き続き、タリバーンとの交渉を含む外交努力を通じて、できる限り最も安全で迅速な出国、これを追求していくという方針で臨みたいと思っています。

【NHK 渡辺記者】関連ですが、そうしますとその現状では、当初の自衛隊機のオペレーションのときに、日本による退避を希望した人たちが、アフガニスタンから出国ができれば、それで日本のオペレーションとしては終わるのか、あるいは、その他その時には声を上げてなかったけれども、今後、追加で出てくるかもしれないという意味で、どれくらい間口を日本として広げているのか、あるいは、脱出したい人はどこかに行ってきてくださいというような、そういう広報の仕方をしているのか。そういう現状の状況と、今後、どこまでやれば、このオペレーションが終わったということになるのかという、まだ先が早いのかもしれませんが、見通しとしてはどういう今、状況になっているでしょうか。

【吉田外務報道官】まず、基本的な考え方は、当初、自衛隊機で出国を支援したいと考えていた対象の方々、これは日本人と一緒に汗を流して、ともに働いてきた仲間である現地職員等の方々であります。そういった方々は、大使館やJICAの雇用関係にある方々であって、こういった方々を、ご希望を踏まえて、できる限り支援するのが当然だと考えているから、現在、このような出国に対する取組を鋭意行ってきているということになります。
 同時に、そういった受入れを行うに際しては、それぞれの個人の事情、様々あるかと思いますので、本人の意向をよく確認をして、きめ細かく対応していくという考え方をとっています。
 先ほど申し上げたように、当初の支援の対象者の中には、もう既に出国を希望しなくなったような方々もいらっしゃったりします。ただ、そういった方を考慮しても、今なおまだ200名を超える方々が出国を希望しているということですので、私どもとしては、まだやることがいっぱいあると。
 それから、先ほど冒頭に申し上げたような、今週カタール政府のご支援により、民間機で出てこられた方々とは異なる、それぞれの事情なり、考慮すべき論点がありますので、今回のオペレーションが順調にいっているからといって、必ずしも同じことが、それら残っている方々に同じことができるかどうかというのは、やってみないとわからないところもあるわけであります。
 したがいまして、日本政府としては、こういった目の前にある課題、これに全力を傾けていくということで、引き続き、相当の努力をしなければいけないというのが現状認識でありますので、今、お尋ねのあったような、それ以外をどうするのかとか、その間口をどうするのかとか、そういった議論を行うのは、現時点で我々がやっていることとの関係では、必ずしも今、そういったものに目を向けなければいけないということではない、ということだろうと考えます。

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