文科省・新着情報

1.日時

令和3年7月16日(金曜日) 10時00分~12時15分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」のレビュー報告書の作成について
  2. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の課題別計画の追加修正について
  3. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【機関別】の報告について
  4. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【成果の概要】の作成方針について

4.出席者

委員

小原部会長、田中部会長代理、伊藤委員、石川委員、大倉委員、大湊委員、川村委員、関口委員、高橋委員、寺川委員、日野委員、宮岡委員、宗包委員、森岡委員、大園委員、阪本委員、中道委員、橋本委員、松島委員

文部科学省

(事務局)鎌田地震・防災研究課長、上山地震火山専門官、加藤科学官、矢部学術調査官

オブザーバー

北海道立総合研究機構 高橋主査、山梨県富士山科学研究所 吉本富士山火山防災研究センター長

5.議事録

[委員の出欠状況など]

・委員の出欠状況:全員出席
・北海道立総合研究機構の高橋主査と山梨県富士山科学研究所の吉本富士山火山防災研究センター長がオブザーバー参加。
・事務局の人事異動について:長野研究開発局審議官に代わり、原研究開発局審議官が着任。
・議題及び配布資料確認

[議題1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」のレビュー報告書の作成について]

【小原部会長】それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。  
議題1、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」のレビュー報告書の作成についてとなります。  
第39回地震火山観測研究計画部会に引き続いて作成方針について議論していきたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。

【上山地震火山専門官】事務局でございます。  
それでは、資料1-1を御覧ください。  
まず、レビュー報告書の作成方針について、前回の部会でいただいた御意見を反映させたこと、及び前回御承認いただいたとおり、地震・火山噴火予知研究協議会(以下「予知協」という。)に構成案を作成いただきましたので、そちらを反映させた形となっております。  
御参考までに、参考資料1-1に、資料1-1の見え消しも載せております。こちらのほうが分かりやすいかと思いますので、適宜御参照いただければと思います。  
ではまず、前回の部会でいただいた御意見を反映させた修正箇所について御説明申し上げます。  
まず、前回、取りまとめの対象期間について、平成28年6月から令和3年6月と書いておりましたが、あくまで第2次建議のレビュー報告書であるということが少し分かりにくいという御意見をいただきましたので、取りまとめの対象期間については削除いたしました。  
その代わり、取りまとめ方法のところに補足として、資料のとおり説明を付け加えております。あくまで報告書の作成に当たっては現建議の取組や成果等について対象としているということを明記しております。ただ、前計画において関連の取組が行われている場合は、それらについても適切にレビュー報告書に含めていくことも検討すると明記することで、必要に応じて前建議の内容も盛り込むことも可能とするような書きぶりにしております。  
また、今後の作業スケジュールについてですけれども、前回の部会の時点では決まっていなかった第41回部会、第42回部会の開催予定日が確定いたしましたので、日付を入れております。  
続いて、近年発生した地震及び火山噴火の事例ですが、まず、地震については、カイコウラの地震を追加しております。主な火山噴火についても、事例の案としてホワイト島を追加しております。  
続いて、作成方針でございます。こちらは第44回測地学分科会で出た基本計画を踏まえた御意見のうち、盛り込むべきところを取捨選択して記載すべきであるという御意見をいただいておりましたので、前回の部会で追加すべきという意見が出ました部分を最後のところに追加してございます。具体的には、自然科学と人文・社会科学の融合に係る成果の創出や、その社会実装がどこまで進んできているのかという観点も踏まえるべきという論点は重要であるとの御指摘をいただきましたので、この点について作成方針に反映させるという形で修正いたしました。  
最後に、構成案でございます。こちらは予知協に作成いただいたものを載せてございます。
この構成案について、まず1点目として、前回のレビュー報告書の重要な地震火山現象と拠点間連携共同研究のところについてご説明いたします。参考までに前回レビューの報告書を参考資料1-2に載せておりますが、前回の報告書の第IV章では「重要な地震・火山現象と拠点間連携共同研究」というタイトルを設定したうえで、重要な地震・火山現象、優先度の高い地震・火山噴火に対する総合的な取組、及び拠点間連携共同研究を一つの章に記載しておりましたが、今回は第Ⅲ章に主な地震・火山噴火についてのみ記載するという形に変えております。関連して、拠点間連携共同研究については第IV章の「5.研究を推進するための体制の整備」の「(1)推進体制の整備」に、総合的研究については同じく「(2)分野横断で取り組む総合的研究を推進する体制」に記載するという整理にしております。前回は、これらの内容は第IV章と第V章の両方に記載しておりましたが、分けて書くと逆に読みにくいということもありますので、こちらの第V章のところに集約するという形で整理してございます。  
続いて、もう一つ補足がございます。「5.研究を推進するための体制の整備」について、前回のレビュー報告書では「実施状況及び成果」と「今後の展望」という二つのセクションに分けて記載しておりましたが、同じ項目を分けて書くと書き手も読み手も両者で何が違うのかが分かりにくいというところもございましたので、今回は、こちらのとおり一つのセクションにまとめて書くという形にしております。  
最後に、レビュー報告書で取り扱う地震・火山現象ですけれども、先程の作成方針のところではカイコウラの地震とホワイト島の火山噴火の2例を海外事例として追加いたしましたが、カイコウラの地震については実際に建議の研究の中で取り扱ったということで、特出しで記載することとしたいと思います。他方、ホワイト島の火山噴火については、重要なイベントではありますけれども、建議の研究で直接取り扱ったイベントではないということですので、関連する課題の成果のところで適宜触れるということにしまして、ここでは挙げないという整理にしたいと思います。  
作成方針についての説明は以上となります。  
では、続いて参考資料について説明いたします。  
前回、参考資料の項目について承認いただきましたけれども、その後、事務局、予知協及び小原部会長との調整により幾つか修正をしておりますので、改めて御承認をお願いするものです。こちらも参考資料2-1に見え消しを載せておりますので、こちらのほうを御覧ください。  
まず、1点目ですけれども、参考資料の24、25、26について、現建議のタイトルを載せてございましたが、前建議についても必要に応じてこのレビューに載せるということで、参考資料としては前建議のレビューが開始されたタイミング、平成28年度以降のものを載せていただくということを考えております。つきましては、ここで「第2次」と書いてしまうと現建議の資料しか載せないというように読めてしまいますので、「地震火山観測研究計画」という書き方にしたいと考えているところでございます。  
また、前回承認していただいた参考資料一覧の中で、関連分野の研究者数という項目がございました。こちらについては、こういった資料を前回のレビューに載せてございましたが、今回新たに別の資料として、参考資料2-2でご確認いただけますとおり、年次基礎データの調査結果を載せることを考えております。この年次基礎データの調査結果については、「参考資料23.予算及び機構定員整備状況」という資料として載せる予定でございます。同資料の中に「関連分野の研究者数」という項目が既に含まれてございますので、資料の重複を避けるため、特出しで載せることはやめるという整理にしたいと思います。  
なお、参考資料2-3が前回のレビュー報告書で予算及び機構定員として掲載した参考資料ですが、こちらは表形式となっておりまして、予算額についても5か年の合算ということで、資料としては若干見づらいという御指摘を一部いただいたこともございます。つきましては、せっかく年次基礎データのほうで予算と人員について年度ごとに詳細に出している資料がございますので、表形式ではなく、こちらのグラフ形式の年次基礎データをそのまま使うという整理に今回から改めて、重複する資料を削除いたします。  
以上で資料1-1及び1-2についての説明を終わります。こちらの二つの修正点について、御審議いただければと思います。  
事務局からは以上です。

【小原部会長】御説明ありがとうございます。  
今日のこの議題の重要ポイントとして、まず資料1-1の前半、レビューの作成方針について、前回、部会で議論していただきまして、それを反映したものになっているということと、それから、前回の部会でお認めいただいたように、予知協に目次案、構成案を作成いただいたので、その内容を皆様に御確認いただき、これでよいかどうかというところ、あと、レビューの最後に総括的評価の部分がありますけれども、そこに盛り込むべき内容を今日議論したいと考えています。  
まず、事務局から御説明いただいた内容について、何か質問等は皆様ありますでしょうか。  
なければ、御意見というか、まず資料1-1の前半、このレビューの作成方針について、先ほど事務局から説明がありましたように、前回の部会での議論を反映して修正したということになっておりますけれども、この修正の内容でよろしいでしょうか。  
はい、どうぞ。

【大湊委員】この検討内容でしょうか、今見えているところで。

【小原部会長】検討内容、はい。

【大湊委員】はい、ここです。「【近年発生した地震および火山現象に関する重要な観測研究】の章を設け」とあります。これはおそらく、前回レビューを受けて、こういう表現をしたと思いますけれども、事務局から御説明のあった予知協から出た目次案ですと、「近年発生した」というふうに始まる章がないというか、名前が入っているので、ここは少し整合性が取れるように。  
前回は見出しの下に、さらに近年発生した重要な地震現象、火山現象というのがあって主な地震、主な火山噴火というのがあったからよかったのですけども、前回はこの3ポツ目に拠点間連携共同研究であるとか、あるいは総合的な研究であるとか、そういうものが入っていたためにこういう見出しになりましたけれども、前回は「重要な」とあって、その下にさらに三つ項目があったからこういう見出しになったのですが、今回はその下の見出しがないわけで、ここをどういう見出しにするのがよいかを確認して、これと方針に矛盾がないような形にしたほうがいいかと思います。まずはこの点。

【小原部会長】はい、ありがとうございます。これは誰に聞けばいいのでしょうか。

【大湊委員】これは目次案のとおりに作ろうと思っています。そういうのがいいかというのが予知協案ですので、方針のほうに「近年発生した地震」というふうに書いてあると、こうしないといけないというふうに読めてしまうので、2行目を目次に合わせるのがいいのかどうかですね。  
あるいは別の考え方もあって、前回は、「近年発生した」と書いてしまうとそれと違う内容も含まれていたので、少しおかしいという話になってああいう見出しになっていましたけれども、今回書こうとしている主な地震現象、火山現象というのは「近年発生した」というタイトルをつけてもおかしくはないものがほとんどですので、こちらに合わせて見出し案のほうも変えていく方がよいと思いますけれども、ここは皆様で議論して決めてくださればと思います。

【小原部会長】そうですね。そもそもの趣旨として、「近年」がまず必要なのかどうかということもあると思いますので、何かこの点について御意見がある方はいらっしゃいますでしょうか。  
私もこれまでの経緯とかはあまり把握はしていませんが、今回、取りまとめの対象期間としては明示されていませんけれども、第2次の地震火山観測研究計画のレビューであるということで、基本的にはそれに関わる期間というのがまず念頭にあって、より最近のというふうに書いてあると思いますけれども、考えてみれば、その研究計画の中で改めて過去に遡って重要であるということが分かった地震について、このレビューに特出しするということもあり得ると考えると、方針のほうで「近年」という言葉を外してもよいのかなとは今思いましたけれども、皆様どうでしょうか。

【大湊委員】あと、個人的には、ここに「近年」と入れてしまうと、例えば東北地方太平洋沖地震はもう10年たってしまいましたけれども、それに関する研究成果はやっぱりこれからも出るし、ここに書きたいということも出てくると思うので、近年という縛りはそこに必ずしも必要ないのではないかなという小原部会長の考えに賛成いたします。

【小原部会長】ほかの皆様はいかがでしょうか。  
はい、どうぞ。

【松島委員】そうすると何でも入るということになるというか。

【小原部会長】可能性はありますね。ただ、もちろん「近年」は外したとしても「重要な」というのは残りますので、この観測研究計画を進める中で重要と判断した地震について記載するという考え方になると思います。  
はい、どうぞ。

【大湊委員】もう一個ですけれども、前回の議事録とかを見たら、「近年」と入れてしまうと、この観測研究計画ではまだ起こっていない地震も対象に含まれていて、例えば南海トラフ、首都直下ですけど、ここは基本、今まで起こったことについて書くというのが多分過去のしきたりというか、そういうことで「近年」になっていたと思いますけれども、これから起こるものもこの研究計画全体の中では重要な研究対象であることを考えると、そういう縛りは置かないほうがいいのではないかということも考えています。

【小原部会長】ありがとうございます。  
皆様御意見がありますでしょうか、この点につきまして。  
はい、どうぞ。

【関口委員】今回のレビューだけのことを考えるか今後のレビューのことを考えるかによっても少し違うと思います。実際には、今回5年前から今までの間の主なイベントということでこれらの地震が挙げられたと思います。もちろんこれ以外のいろんな地震の研究がなされているものがあって、それは成果のほうに入っているわけですが、ここには特出しされておらず、今回についてタイトルと中身との関係を考えると、私は「近年」のほうが合っているような気はします。ただ、前回のレビューのようなこともあり、今後も章の名前をなるべく変えないということにすると「重要な」のほうがいいのかなとも思ったりします。  
以上です。

【小原部会長】ありがとうございます。  
名前については、今回のレビューについても前回のレビューとは目次構成等が大分変わっているところもあるので、やはりその都度、適切だと思われる考え方に沿って、その作成方針、それから実際の構成をつくればよいのかなと思います。  
いかがしましょうかね、これについては。  
通常、タイトルは「近年」がついてもつかなくても、基本的にリストアップする際には、やはり前回のレビュー以降に発生した地震・火山噴火現象をまずピックアップすると。さらに、それに加えて、研究期間の中で重要と判断された地震・火山噴火現象について、もし過去に遡ってもそれが重要と判断されればそれを取り上げるということでよいかな、つまり「近年」は取ってもよいのかなとは私は思いますけれども、いかがでしょうか。
はい、大園委員。

【大園委員】関口委員も大湊委員も小原部会長もおっしゃるとおりではありますけれども、今回の場合も、実を言うと熊本地震はこのレビューの期間よりは少し前になります。それよりも後に上がってきている研究成果はやはりいろいろあって、今の建議の中で取り組まれている研究の成果等もたくさんありますので、そういった意味では「近年」という定義が非常に難しくなってくるので、取っておいたほうが無難なのかなとは思います。いかがでしょうか。  
以上です。

【小原部会長】ありがとうございます。  
ということですので、基本的には、やっぱりウェイト的には、レビューを実際作成する時期に近い、前回のレビュー以降に発生した地震・火山噴火現象が最初に例示されてくると思いますけれども、そういった微妙なタイミングもあるということなので「近年」は取る、そういった意見が多いですけれども、いかがでしょうか。  
では、特にほかに御意見がなければ、取りあえず「近年」を取るということにして、また総括的評価も含めてもう少し議論したいと思いますので、その中でまた戻ってくれば、これについてもまた議論したいと思います。
ほかに、この目次構成、レビューの作成方針と、それから実際にできた目次案を見比べながら、この内容について問題がないかどうか、御意見をまた改めていただきたいと思います。  
はい、大湊委員。

【大湊委員】事務局の説明に少し補足をしたいと思った点があったので、よろしいでしょうか。

【小原部会長】どうぞ、はい。

【大湊委員】拠点間連携共同研究については、推進体制の整備のところで書くという説明だったかと思いますけれども、ただ、拠点間連携共同研究で得た研究成果そのものに関しては、その前の大きな第IV章のそれぞれの該当するところに入ってくると考えています。それで、体制のところに関しては、拠点間連携共同研究という仕組みですね、京都大学防災研究所のほうで取り組んでいる公募研究の中にもいろんな種類がありますけれども、そういうことは前回のレビューにおいて詳細に説明がありましたので、それをこの体制の部分に今回も記載すべきだと思いますので、内容に応じて研究成果のところに書くものもあれば体制のところに書くものもあると考えています。それがまず1点です。  
それから、もう一つ、今見えている「5.研究を推進するための体制の整備」ですね、ここは、前回はこの中で二つに分かれていて、成果と今後の展望に分かれていましたが、ここだけほかの小項目の1から4と形が違うのはおかしいということで説明がありましたが、そのとおりで、ここの見出しにははっきりは見えていませんけれども、1から4に関しても目的、実施状況、成果、それから今後の展望というさらに小さな項目として中にはそれぞれ書かれていますので、この中で今後の課題というのはそれぞれしっかり書かれてくるはずであると。それを見て総括的な評価を書くということを考えています。

【小原部会長】ありがとうございます。  
ちょうど今の大湊委員の御説明も含めて質問したいことがあります。方針のほうの5ポツの2番目ですね。この実施状況と今後への課題の章を設けるということで、ここに建議の項目に対応して1から5まで項目ごとにその実施状況、成果、それから今後の展望を記述するとありますけれども、タイトルとしては「今後への課題」となっていて、その「今後への課題」とその中の「今後の展望」がイコールなのかどうかというのがちょっと気になりました。  
今後の展望というのは、基本的には総括的評価の中で見出しがちゃんとありますので、まさに次の建議に関わる、今後どうしていきたいか、どうあるべきか、というところを総括的評価の中の今後の展望で書くということになろうと思います。今書いてある地震・火山現象の解明のための研究、地震・火山噴火の予測のための研究等々、それから5ポツの研究を推進するための体制の整備、そこに書くべきことは実施状況と成果、それから、そこで明らかになった今後の展望へつながる今の課題ということになろうかと思うのですけれども、そういう意味で、その1から5の中で「今後の展望」というのが小見出しとして入るのかどうかというのはちょっと気になりました。  
私が言いたいのは、方針の5ポツのほうで項目のタイトルとしては「実施状況と今後への課題」となっているのが、説明として今後の展望を記述するということが含まれてよいのかどうかというのが気になったところです。  
はい、どうぞ。

【大湊委員】これは私の考えというか、事務局やその他の方と違うかもしれませんが、あまり課題と展望はそんなに違いはないと思うところです。こういう課題があるから次はそれを解決するという意味で、展望というのはそういう感じになるものだという印象があって、あまり区別していないというところはありましたが、ただ、確かに3までは前回は展望という小項目が、それぞれの中にできていました。
ここには書いていないですけど、本文を見るとたしかあったと思います。少々待ちください。前回の本文の資料が出せるといいのですが、ありますでしょうか。

【上山地震火山専門官】事務局でございます。  
ウェブに掲載されているものを表示することは可能です。
今、共有しましたが、御覧いただけていますでしょうか。

【大湊委員】はい。それで、例えばどれか、どれでもいいのですが。第V章の、今あったのでも、平仮名で「あ」、「い」、「う」とついて、それがそうなりますけど……。

【小原部会長】成果ですね。なるほど。

【大湊委員】成果があって、それで展望と、こういう書き方になっています。だから、こういう書き方なので、この中に課題、展望が含まれていると思っていました。

【小原部会長】分かりました。じゃあ、各項目の中で今後の展望がそれぞれ記載されて、あと、最後にそれをまとめる形で、総括的評価でまた全体の今後の展望がある、そういう構成ですね。

【大湊委員】はい、そうです。総括的評価のところでそれぞれの項目で書かれている課題、展望、それはある程度取捨選択しますけれども、それをまとめて、最後の総括的評価のところに展望として書くということを考えています。

【小原部会長】分かりました。じゃ、私の意見は撤回いたします。  
ほかに、このレビューの作成方針、それからこの構成案、こちらについて、何か御意見はありますでしょうか。

(「なし」の声あり)

【小原部会長】では、特になければ、また戻ってもいいですが、総括的評価について、前回の部会で十分に議論する時間がありませんでしたので、もしここで何か御意見があればぜひお聞かせいただければと思います。特に総括的評価でどのような内容を盛り込むかということが今後の外部評価、それから次の建議に関わってくるということもありますので、これまでを振り返って、次の建議でぜひ進めるべき研究であるとか、それから体制についても、これまでを振り返って、こういう体制が今後望まれるとか、そういうことがあったらぜひ御意見、コメントをいただければと思います。  
はい、どうぞ。

【大湊委員】ある程度中身、材料が整ってからでないと決められないことも多いですけれども、ただ、大きな方針、方向性は今日ある程度決めてもらわないと先に進めないなというところがあるので。  
それはどういうことかというと、前回のレビューは、今の形ですね、今までの理学、工学的な研究に防災科学、社会科学が入ってきて、災害科学の一部としてやるよ、それを始めました、それがようやく第一歩を踏み出したという形で書かれていて、そのときの方向を少なくとも次回は続けていくということが最後に書かれています。それで今動いている建議は第2次になっているわけですけれども、次のやつが立ち上がるとしたときに、例えば今の方針、今動いているような考え方は、スタートして一歩、二歩進み始めたけどやっぱりまだ続けなきゃいけないものだという印象は個人的には持っていますけれども、そういうまだ今の方針は継続すべきものという認識なのか、それともある程度大きな変化を加えるべきものなのか、その辺の方針に関して皆様がどんな考え方をお持ちで、非常に大ざっぱに、継続するか、大きく変えるのか、どっちがよいのかということを皆様からいろいろ意見をいただければと思っています。お願いします。

【小原部会長】ありがとうございます。  
今の観点で、ぶっちゃけて言うと、次の建議をこれまでの流れに沿った第3次という形で継続するのか、それとも何か大きな方向転換をすべきなのかというところですね。こちらについて、まず御意見等がございましたらお願いいたします。  
自然科学に対して人文・社会科学を融合させて、その成果を総合的に創出していくというのは、前回もちょっと議論になりましたけれども、この建議に限らず科学技術・イノベーション基本計画にもその方向性が示されていて、その基本計画に全面的に合わせてレビュー、建議をつくるというわけではもちろんございませんが、そのような観点が必要ではないかということで、作成方針の最後の部分にも付け加えたのは、まさに融合に関わる成果の創出、それで社会実装がどこまで進んでいるかという観点でレビューを作成するというのは、ある意味、その方向で次の建議も考えるというのが一つの方向性であるということも含めてそこに書かれていると認識しております。  
そういう観点では、今の方向性を継続しつつ、さらに融合を図り、社会実装を進めるという方向でこの計画を進めてはいかがかと、そういう意識でこれが書かれていると考えることもできますので、その方向性でよいかどうかということで改めて皆様の御意見を伺いたいと思います。

【大湊委員】さっき継続か変えるかの二つという言い方をしてしまいましたけども、今の小原部会長の意見を受けて少し変えて、また第3次と言うと、いかにもほとんど変化がないという印象を外に与えるのかなという気がちょっとしてきました。今見えているところを加えるとするなら、それを加えたことが見えるような、少なくとも例えば計画名とかどこかにそういうのがあったほうがいいのかもしれないと。ただ、実質的な中身はあまり変えないと。それか、もう一つは中身も大きく変える。その三つぐらいですかね。少し考えを変えましたけども、どうでしょうか。

【小原部会長】具体的な中身を大きく変えるというのはかなり大きな判断になってくると思いますので、そのような方向性で進めるということであれば本当に十分な議論をして強い意志で進めなければいけないということになりますけれども、ただ、もし方向性がよいということで、その方向性をより具現化するためのタイトル、課題名を立てるということについても、名前を変えるというのはまた非常に大きな判断になってくると思いますので、それも含めて皆様の御意見をいただければありがたいと思います。  
はい、どうぞ。

【日野委員】次の計画の話に飛んでいる気がしますけど、今はこれ、レビューですか、まだ。

【小原部会長】はい、そうです。

【日野委員】それなら、現期計画でこれをやりますという約束があって、それがどこまで達成できましたかというのがまずはあると思います。それは達成できない、できない理由としては、無理な約束だったから次はやりませんとか、そういうことで次の計画で大きく方針を変えるとか、あるいは逆に、すごく進歩したから、そっちにちょっとかじを切りたいとか、そういうことだと思います。  
文理融合に関して言えば、これは、前回は取りあえず走り出して、うまくいきそうだから第2期で頑張ってやってみましょうというところまでは約束しているのだから、それがどうだったのかというのは絶対書かなきゃいけないですよね。その中身を我々はどう思っているのか、このままいっても無理だと思うのかというのはこれからの議論、今のここまでの成果を取りまとめた段階で我々がどういう判断をするかということなのかなと思います。  
以上です。

【小原部会長】ありがとうございます。取りまとめた段階で判断するというのももちろんそうですけれども、総括的評価の中では、取りまとめた結果に基づいて、じゃあ今後どう進むべきか、というところもある程度書かなければいけないので、そこについては少なくとも今のこの部会の委員の皆様でどのように感じているかというところを率直に伺いたいというのがまず大湊委員のリクエストではないかなと思った次第です。

【日野委員】続けて。それは分かって、次は私の個人の意見ですけれども、残念ながら、輝かしい成果が上がっていてこれでおしまいにしていいという状況ではない、文理融合に関しては。だけれども、着実に見るべきものはあると思うので、これは継続してやるべきだと。ただ、その継続してやるべきという前提で、まだいわゆる目詰まり状態になっているところがなきにしもあらずですから、そこをどうするのかというふうな建設的な議論を踏まえて、最後のところに記載ができるといいかなと個人的には思っております。  
以上です。

【小原部会長】ありがとうございます。方向性としてはよいですけれども、今の状態でもちろん完全ではないということなので、現状の課題をきちっと洗い出して、それを解決するような形で今後の展望につなげていくということかと思いますけれども、ほかに御意見等はありますでしょうか。  
はい、どうぞ。お願いいたします。

【阪本委員】兵庫県立大学の阪本です。  
人文・社会科学の観点から見ると、研究は進んできていると思いますが、その一方で、社会実装まで踏み込むとまだまだ少し難しいところがあるかなという気がします。なので、文言を、例えば「研究の促進や成果の創出」くらいでとどめたほうが書きやすいかもしれないと思いました。

【小原部会長】ありがとうございます。確かに社会実装についてはまだまだ達成できていない部分はたくさんございますので、まさにそういった社会実装をするために今どのようなことが必要であるかということも洗い出して今後につなげていくということも必要かなと思います。  
ほかに御意見はございますか。はい、どうぞ。

【田中委員】今、日野委員とか阪本委員がおっしゃったことや既に言われているとは思いますが、確かに方向性はよいけれども、完全にできたと言うにはいろいろ問題があるということは皆様多分お考えだと思います。なぜそういう問題が起こったのか、あるいはどこが不足している、あるいはここをもっとこうしたほうが良いなど、そのような前向きというか、どこを変えていけば良いのかのようなことを総括的評価に書くというのはありえるのでしょうか。  
以上です。

【小原部会長】私、個人的には、そういうことも総括的評価の今後の展望の中で書くべきかとは思いますけれども、大湊委員、どうでしょうか。

【大湊委員】今、田中委員が言われたことはかなり書いていいと思っています。というのは、このレビューは、その後、外部評価委員会が見て、こういう方針でということを言うわけですけれども、その外部評価委員の人たちは必ずしもいろいろな分野の実態とか、その他いろんなことを把握した上で適切な判断をしてくれるとは限らないもののように私は認識していて、そうすると、やっぱりこちらで現実に即した方針であるとか、ある程度の具体的な方向性というものも含めて示した上で評価してもらうということのほうが……。例えば、今ここまでやりました、この先は外部委員にお任せしますと言って全然あさっての結論を出されると恐らくいろんな人が不幸になるので、日野委員の意見とは合わないかもしれないけども、やっぱりこちらである程度方針を示すという部分があってもいいのではないかと私個人は考えています。  
以上です。

【小原部会長】という方針ですけれども、それで皆様よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小原部会長】では、総括的評価に記載すべき基本的な内容ということでいろいろ御議論いただきましたので、そのような形で進めていきたいと思います。  
また、具体的にはその草稿等が9月に上がってきますので、それを見てまた改めて議論するということになろうかと思います。
事務局、どうぞ。

【上山地震火山専門官】事務局でございます。阪本委員のほうから、作成方針の「社会実装」という言葉を言い換えたほうがよいのではないかという御提案があったものと理解しておりますけれども、こちらは部会として、その方針でいくのかどうかだけ御確認をさせていただければと思います。

【小原部会長】文言の修正が必要かどうか。

【上山地震火山専門官】はい。

【小原部会長】すみません、阪本委員に確認したいのですけれども、作成方針の今映っている部分について、この記載は……。

【阪本委員】阪本ですが、「社会実装」と書くと社会実装の成果も求められそうな気がするので、そこを省いてしまったほうがいいのかもしれないと思いましたが、皆様のお話を伺っていると、社会実装ができていないところも踏み込んで、という御提案だったので、であれば残しておいてもいいのではないかと思います。

【小原部会長】なるほど。そういう方向性でこれまで進めてきて、実際にそれがどこまで本当に進んできたのかという問題点も明らかにするということでございますので、文言としてはそのまま残してもよいかなとは私も思います。阪本委員もそのようにおっしゃっていますので、これはそのまま残すということでよろしいでしょうか。

【大湊委員】これはほかの委員会でも似たような議論があって、我々が考える社会実装とかと防災の人たちが考える実装は随分乖離があって、こちらで実装をやりましょうと言っても、実際に使う側からすると全然役に立っていないではないかというふうに見えるらしいです。そうだとすると、あまり実装しますと書いてしまうと逆に危ういのではないかという趣旨が阪本委員の意見だったような気がするので、ここをもう少し弱めた表現にしておくというのもありかなと思いました。

【小原部会長】そういう意味だと、この研究計画そのものが社会実装までやるのか、それとも社会実装に向けた研究を進めるのかというところだと思いますけど、社会実装に向けた取組をしているわけですよね、この研究計画というのは。

【大湊委員】社会実装までやると言うのはかなり危ないような気が私はしていますね。

【小原部会長】そうですね。だから、この研究計画そのものとして、社会実装をやるという形で計画は立てられていないような気がします。あくまでも方向性であって。そういう理解でよろしいですかね。であれば、その部分は、ちょっと弱めるというか、直接、社会実装を行うわけではなくて、社会実装に向けた取組を行うというのがこの研究計画だとすると、社会実装に向けた取組がどこまで進んできているのかという形で修文すれば、社会実装に向けた方向性がどこまで進んでいるかという評価をここで行うということになろうかと思いますので、そういう修正でよいでしょうかね。  
では、今私が申し上げたように、社会実装に向けた取組がどこまで進んできているかという形で修文してはどうかということで提案したいと思いますけれども、これでいかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小原部会長】では、特に異議がないようですので、そのような形で若干修文させていただいて、この作成方針はこれで決定ということにしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小原部会長】では、資料1-1の作成方針、それから構成案についても、これでお認めいただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小原部会長】では、これでお認めいただいたということで、あとは、総括的評価についても記載すべき内容についていろいろ御議論いただきましたので、取りまとめ委員のほうにはその方向で作成を進めていただきたいということで、よろしくお願いいたします。  
予定より大分時間が超過してしまいましたが、次の議題に移りたいと思います。

[議題2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の課題別計画の追加修正について]

【小原部会長】次は、議題2、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の課題別計画の追加修正についてということで、まず事務局から説明をお願いいたします。

【上山地震火山専門官】事務局、上山でございます。  
資料2について御説明いたします。  
こちらの課題別計画については前回の部会で一度承認いただきましたが、その部会終了後に追加で修正の報告がありました。通常、年度の途中の修正は1年間受付のみさせていただいて、次の年度の最初の部会でまとめて報告するという形を取っていますが、今回いただいた追加の修正が計画の概要に係る部分でしたので、年度の途中ではございますが、追加修正という形で審議をお願いしたいと思います。  
具体の内容でございます。  
情報通信研究機構(NICT)からの修正意見として、これまでは同機構の第4期中長期計画を踏まえた内容になっていましたけれども、今年度より新しい中長期計画が開始されたということで、それを反映させる形での変更を御提案いただいております。  
あわせて、こちらは形式的なものですけれども、海上保安庁からファクス番号の廃止についての変更がございましたので、こちらもまとめて御審議いただきたいと考えているところでございます。  
事務局からの説明は以上です。

【小原部会長】御説明ありがとうございます。  
では、課題別計画の追加修正について、ただいま御説明いただいた内容で御承認いただけますでしょうか。御異議のある方は挙手をお願いします。

(「異議なし」の声あり)

【小原部会長】では、異議なしということで、この修正は認めていただいたということにさせていただきたいと思います。

[議題3.災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【機関別】の報告について]

【小原部会長】では、次の議題に入ります。議題3、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【機関別】の報告について、事務局から説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】事務局、上山でございます。
令和2年度の機関別報告については、各実施機関の担当者に報告資料を作成いただきました。これを取りまとめたものをこちらに表示させております資料3としてございますので、御覧ください。
本日は各機関から報告書の内容について御説明いただき、それを基に、令和2年度の成果について審議いただければと考えております。
なお、参考資料にこの機関別報告の取りまとめの作成方針についても載せてございますので、併せて適宜、御参照いただければと思います。
この年次報告【機関別】の発表については、大学及び各機関にそれぞれ発表をお願いしております。事前にお伝えしたとおり、大学のほうは発表時間・質疑込みで10分、各機関におかれましては同じく質疑込みで5分と設定させていただいております。終了時間1分前になりましたらこちらでベルを鳴らしたいと思いますので、時間どおりの進行に御協力をお願いできればと思います。
それでは、小原部会長、進行のほうをお願いいたします。
 
【小原部会長】それでは、各機関から報告をお願いしたいと思います。
発表時間は先ほど御説明があったとおりです。質疑応答は機関ごと、また全ての発表が終わった段階で全体に対する質疑、コメントの時間も取りたいと考えています。順番は資料3の目次の順にお願いします。
では、大学から報告をお願いいたします。
 
【大園委員】では、大学の報告を大園のほうから、前半のほうをさせていただきます。後半の火山のほうを大湊委員にお願いしてあります。
大学の課題としましては113課題ありまして、あと、公募研究や京都大学防災研究所との拠点間連携共同研究を含めますと141課題あります。ここではその中で幾つか絞って御紹介をさせていただこうと思います。
コロナの影響で観測に一部遅れがありましたが、全体としては順調に進んでいるというような傾向です。
それでは、1枚目から始めます。
これは史料、考古に関するものです。地震・火山現象解明のための史料収集と解析ということで、史料収集、歴史史料ですね、の収集と解析を行っており、過去の地震についての調査を行っています。これは同じ時代に残る信頼できる京都、奈良の日記史料と東海地方の年代記を比較検討したもので、右側のほうは東海地方の年代記の史料になります。
その結果、1498年の明応東海地震の5年前に京都、奈良から静岡県浜松地域にかけて、陸のほうで大きな地震が頻発していたという記録があったということが明らかになりました。今後も様々な方面からの調査が必要ではありますけれども、東海地震の前の地震活動を理解する上での重要な結果であると言えると思います。
次は、公募研究の一つです。
歴史地震と現在の地震活動を結びつけるような解析手法というのが進んでいます。これは左側の現在の気象庁震度データベースの千葉県勝浦市墨名での有感地震と史料による有感地震の記録を比較して、どこで過去の地震、歴史史料の中の地震が起こっているかを調べたものになります。下のほうに書いてありますけれども、気象庁の震度データベースによる有感地震の震央距離100キロ以内に地震が分布しているということが分かったので、これを史料と比較していくことで、もうちょっと過去まで遡って合わせた震源域の特定範囲が分かるであろうというような手法の一つが結果として得られました。
次は、これは巨礫の分布を用いた古津波の検討手法によるものです。沖縄県の久高島、左側の地図にありますけれども、そこの周辺に堆積する巨礫の分布が、(b)に示されているものですけれども、それの分布がどうやってできているのかを調べたものになります。
結果としては、高波や台風などによって運ばれて今の分布ができていると解釈されました。また、地震のほうのシミュレーションを行った結果としては、岩礁、リーフが形成された3,500年前以降に関しては大きい地震は発生していないというようなことが分かりましたという結果になります。
次は、これは2016年熊本地震前後の応力と間隙流体圧の分布と地震活動を比較した結果になります。上の図のほうが間隙流体圧のレベルを示しているものになって、高い間隙流体圧が分布しているところについて地震活動が増えているということが分かりました。
それで、熊本地震の応力場の変化から求めた各地のΔCFS(クーロン応力変化)の比較を行ってみたところ、ΔCFSが正のところでは地震活動が10倍発生しているというものが分かっていますけれども、ΔCFSが負の場合でも地震活動が活発化したというようなことが分かりました。
下のほうにΔCFSと各地の間隙流体圧のレベルの分布を比較した結果を示しています。ΔCFSが負の場合でも間隙流体圧が大きいところでは地震活動が活発になっているということが分かったということで、地震活動の発生場と、そういったところの物理メカニズムを理解するための重要な結果が得られました。
次は、これは昨年度の成果に引き続くものになります。測地データ、GNSSデータに基づく内陸地震の長期評価について、昨年度は西南日本だけを行っていましたけれども、今回新たに同じ手法を使って東日本のほうへも拡張したという結果です。ひずみ速度をモーメント速度に換算してポアソン過程を仮定して、30年以内にマグニチュード6以上の内陸地震が発生する確率を求めています。
御覧いただいて分かるとおり、東日本のほうで新たに新潟-神戸ひずみ集中帯、南関東伊豆地方、奥羽脊梁山地といった黄色くなっているところが高い確率を持っているということが分かりました。これについては、内陸地震の新たな長期評価手法の検討としてワーキンググループを昨年から結成して活動を行っており、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」という。)との連携強化につながるような研究を進めているという段階です。
これは日本海溝周辺での前震活動を研究したものになります。前震活動を識別する手法としてM法というのが上のほうに書いてありますけれども、それを使って日本海溝周辺で地震活動を評価したものになります。
地震のデータが長い時間蓄積されてきたことから、地震カタログやETASモデルの地震カタログを使って、このMaeda法にあるパラメーターをまずはここで推定して最適値を求めましたということをやっています。その最適値が求まるような場所というのが、条件が下のほうに書いてありますけれども、群発地震が活発なところ、プレート上面の低速度異常の縁の周辺、あとはスロー地震が起こっているようなところではそういった活動の指標として評価できるということが分かりました。
図が三つ並んでいますけれども、ちょっと色が多くて見づらいですが、左側の(a)が微動やVLFの発生地域で、青丸がM法を使って予知された地震、白抜きの丸が見逃された地震となっています。(b)が群発地震との対応関係ですね。(c)がプレート上面の速度異常域と比較したものになっていますけれども、位置関係とか地震の現象との対応関係が見えてきたということで、こういった物理的な特徴とも対応関係があるのであろうといった評価を行いましたという結果になります。
次は、これは1952年と2003年の十勝沖地震のすべり分布を再度推定したものになります。データを精査して、上のほうが2003年十勝沖地震の使えるデータを全て使って推定したすべり分布と震源時間関数になっております。真ん中のほうが1952年のときとデータセットをそろえて推定した結果、下のほうは1952年の遠地と近地のデータから推定したものになります。
2003年と1952年を比較しますと、1952年のほうでは厚岸沖ですね、東側でもすべりが見えていて、それについては新たな知見であるということ、あとは、同じ場所で発生するプレート境界型地震の多様性を明らかにしました。
次は、防災リテラシー関係の成果になります。津波が来たとき、または津波と土砂災害が発生したときの避難行動実験を行った結果になります。北海道稚内市を対象としてそういったことを行いまして、左側のほうは津波のみの場合にどういうルートで避難場所まで行ったかを示したもの、右側が、複合災害が発生した場合になりますけれども、そういった場合に土砂災害のせいで避難路が断たれて行動が遅くなってしまったというようなことを実験して示したものになります。
一目瞭然で、複合災害を念頭に置くことが重要であることが分かったとともに、これを防災学習で実際に参加した人たちに見せることで意識づけができたというような成果になります。
私からは以上です。大湊委員、お願いします。
 
【大湊委員】では、次に、火山で三つ、成果を説明いたします。
まず、今見えているものは、伊豆大島の過去の噴火の規模と、それからその噴火のときに出たマグマの成分を分析してその態様を調べたということで、噴火が大規模になるかそうでないかということの仕組みはまだよく分かっていませんけれども、この研究によって、斜長石量というもの、これは一番上のグラフですけど、それが少ないときに噴火の規模が大きくなるということが見えてきたということで、これも何で噴火の規模が決まるかということを知る指標になるということが一つ。
それから、物理化学的な量と噴火の規模というものに対応があるということが分かったので、実際に噴火が始まったときに迅速に成分を分析することで、それがどういう規模になり得るかということを推定する可能性が出てくるという重要な成果だと考えています。
次に、これは、今いろんな分野で使われ始めているDAS(分散型音響計測システム)という光ケーブルを使って地面の震動を捉える手法を火山に応用した例です。これは吾妻山に設置されている光ファイバーケーブルを使って地震の震源決定を試みたということで、吾妻山の場合、左のほうで、プラス十字が普通の地震観測点ですけれども、これで決めた震源と、それから縦に道路に沿って延びている線が光ファイバーですけれども、これで得られたデータで振幅を調べて震源を決めてみるとよく一定したということで、このDASという方法が震源決定にも使えると。
実際に噴火が起こると3キロ近い地震観測点は使えなくなる可能性がありますけれども、光ファイバーというのは電気を必要としませんので噴火が起こった状態でも生き残る可能性が高くて、そういうときに活用できるということが期待されています。
次は、これもまた物質科学との関係ですけれども、噴火が爆発的になるかそうでないかはマグマの粘性が決めていますけれども、それについて、粘性がある程度高くないと爆発的にはならないということが分かっています。ただ、何がその粘性を決めているかというのはまだよく分からないところがあったと。それに関して、ナノライトという非常に小さな結晶の量を調べていったところ、そのナノライトの量で粘性が決まっていて、霧島の噴火の例で見ると、ナノライトの量に応じて粘性が上がって、それがある量を超えると噴火を起こす基準の粘性になるということが実験的に確かめられ、噴火の挙動を知るための貴重な情報が得られるということが分かったということで、これも重要な成果ということで挙げさせてもらいました。
以上になります。
 
【小原部会長】御説明をどうもありがとうございました。
では、質疑応答に入りたいと思います。何か質問、コメントのある方は挙手をお願いいたします。かなり多岐にわたっているのでなかなか質問も難しいかもしれませんが、どなたかありますでしょうか。
では、一つ私から。内陸地震長期評価手法の開発のところで、地震本部、行政機関等との連携強化を始めたということですか。
 
【大園委員】去年の12月に始めまして、ワークショップを開催した上でワーキンググループを立ち上げることにして、現在活動中です。そういった情報も適宜、地震本部のほうと共有したり、地震本部の方にも参加していただいたりという形で進めている状況です。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
ほかに御質問、コメント等はございますか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、次に進めたいと思います。
次は、NICTですね。御説明をよろしくお願いいたします。
 
【川村委員】NICTの川村です。NICTは、世界最高性能の分解能15センチを有する航空機Pi-SAR X3を昨年度末までに開発しました。この開発を終わっております。以下に図で示していますように、飛べるように、今回、無線免許取得までを完了しているというところです。この絵の説明は省略します。
あとは、今まで第2世代まで運用してきましたので、そのデータ検索・公開システムについても運用しています。昨年度は226件の利用がありました。左側が検索システムの画面の一例ですけれども、このようなシステムが公開されています。
あと、Pi-SAR X3のスペックが右側の表に書かれています。こんな形で最高分解能15センチのものを有していると。ほかは、今までのデータとの連接を考えて、同じようなもので30センチの分解能というのも有しているということになっております。
これはPi-SAR X3の写真です。機体改修を行って、今、装置がこのようにできております。今年の秋に最終的な試験フライトが行われて、ようやく実用の場に移れると考えております。
以上です。
 
【小原部会長】御説明どうもありがとうございました。
では、質問、コメント等がありましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、次に進めたいと思います。どうもありがとうございました。
次は、防災科学技術研究所(以下「防災科研」という)ですね。よろしくお願いいたします。
 
【高橋委員】高橋です。それでは、防災科研のほうから御説明します。
防災科研からは全部で5件あります。いずれも防災科研の交付金あるいは補助金を使ったものでして、中長期計画の中に位置づけて進めているものです。
一番初めは火山に関する研究になりますけれども、多角的火山活動評価に関する研究というところです。実際にはここは四つの項目から成っていまして、一つは多項目観測データによる火山現象・災害過程の把握のための研究。これはリアルタイムで地震波、あるいは微動も含めて観測して、状態がどういうふうに遷移したかということをつくっていこうということで、一番左側に書いてあります。
2番目、火山リモートセンシング技術の開発研究ということで、これはよく使われていますが、地上設置型のレーダー干渉計を使った観測です。
3番目、噴火・災害ポテンシャル評価のためのモデリング研究ということで、これは噴出物の中身から今後どういうふうに噴火が変わっていくかということを予測するものになります。
4番目として、火山災害軽減のためのリスクコミュニケーションに関する研究ということで、例えば火砕流であれば、それが実際にどういうふうに流れていくか、そういうところでハザードマップ作成も通じて地域に提示していくというものになります。
次は、地震・津波予測技術の戦略的高度化研究というものです。これは、基本的には、防災科研の場合には Hi-net、F-net、それから最近はMOWLAS、そして、この後出てきますけども、海域の観測もDONETとかS-netを使って日本列島全体の観測を進めておりますけれども、そういうデータを使って地震が起こったときの領域、規模の評価と、それから地震活動の現状を把握しましょうというものです。
一番上のところに矢印が描いてありますけども、まず、左側に高精度な断層モデルの構築とあります。実際に地震が起きると、準リアルタイムという形になりますが、規模と発生領域の推定を投じて、この真ん中にある、データベースと書いてありますけども、そこでどんなイベントだったかということをカタログとして出すわけですね。右側にモニタリング技術の開発、現状を把握するということで、地震活動、あるいは津波も含めて出していきます。それは一番右側の数値シミュレーションを通じて検証していくということで、地震、津波、あるいはスロー地震、こういうものを随時観測してデータベース化していくということです。
データベースをつくるに当たっては、一番左側の下に海域観測データを含む3次元地震波速度構造モデル、これは防災科研のホームページに既に公開されているものですけれども、こういう3次元の構造を使って評価していくという体制が取られています。
右下にスロー地震活動モニタリングということで、これは地震調査委員会等々でも時々お見せしているものになりますけれども、例えば今ここに書いてあるのは防災科研の田中さんの成果ですけれども、北海道あるいは三陸沖のところでスロー地震が観測されていて、それが時空間的にどういうふうに動いていったかをモニタリングするものです。
次は、巨大地震による潜在的ハザードの把握に関する研究というものです。これは地震発生場に関する研究、それから破壊の基本法則に関する室内実験、そういうものを通じて大規模シミュレーションに取り組んでいこうというもので、基本的には、一番左側の真ん中ぐらいに「地震発生場に関する研究」とありますが、地殻変動のデータ、今進めているのは地震のメカニズム解を用いたものを含めてですけれども、こういう地殻変動のデータを使って、どこが壊れてきそうかというところをシナリオとして絞り込んでいくということを考えています。
左の下は、防災科研が運用しているE-ディフェンスという大型の震動実験装置がありますけれども、そこで実際に揺らしてみて、ガウジの発生によるエネルギーの散逸がどんなふうになっているかというところを研究した結果になります。こういう研究を通して大規模シミュレーションに持っていくと。
一番右下に野田さんの成果を書いてありますけども、地殻変動のパターンから、こういうパターンのシナリオが絞り込めそうだということが分かってきているところですが、まだ現実的な3次元プレート形状に合わせていないので、今後、そういうところを高度化していく必要があるかと思います。
真ん中ぐらいに浦田さんの成果があります。これはあるところで地震が起きたらどういうふうに広がっていって、どこで止まるかというような研究になります。こういうシミュレーションの研究を通じて全体を見ていくという形になります。
一番右側が地震動と津波が重畳する合成記録ということになります。地震が発生して地殻変動が出てきたときには当然、津波も出てくる、そういう全体を計算しようということで、アウトプットとしては、そこに書いてありますように、応力分布モデル、巨大地震発生シナリオ、巨大地震津波の観測記録ということで出すことができてくるだろうということです。
地震ハザードの情報の利活用に関する研究ということで、これも防災科研で進めているところですが、防災科研は全国地震動予測地図あるいは津波のハザードマップをこれまで出してきています。こういうことを2020年版として地震本部から2021年3月に公開しているということになります。ここに書いてありますように、新しい微地形区分とか、あるいは関東地域における地盤モデル、そういうものをリニューアルといいますか、リバイスしてハザードの評価につなげてきているということです。
それから、これは別の予算と関連したものですけども、強震動の統一のデータベースということで、防災科研ではK-netとKiK-netという強震動の観測網を持っていますけれども、これに自治体の、県が持っている震度計のデータとか、そういうものを全部入れて、強震動の統一のデータベースをつくろうというものです。
オンラインワークショップを開催して、こういう成果を使って今後の展開について、あるいはこういうデータを使ってどういうことができるかということで意見交換を行ってきたということになります。
最後ですが、MOWLASと言われる、我々は陸海統合地震津波火山観測網と呼んでいますけども、こういう観測網の運用に関する部分です。
左側にあるのが今の全観測点が描かれているマップになりますけれども、こういうものにMeSO-netを加えた部分を防災科研では適宜運用してきています。データについては公開されていますので皆様お使いになっていただいていると思いますが、最近のトピックとしましては、ジオパークと連携しながら、ジオパークの現地の人、あるいは観光客の皆様にも、ここはこういうところですよということを随時、情報を共有できるようなシステムをつくったということと、それから、長周期地震動モニターを一般公開していて、我々としては、こういうところの長周期地震動の評価を進めているということになります。
右の下ですが、海域で2021年2月とか3月、5月には宮城県沖あるいは福島県沖で少し大きいマグニチュード7クラスの地震が発生してきています。こういうデータについても、ここに描いているように、3次元の速度構造を用いて沈み込むプレートのどこにあるのかということがある程度見えるというようなことが実現できてきたということです。
右の上は、今現在進めているDONETの西側、高知沖から宮崎沖にかけてのエリアに南海トラフ地震津波観測網、今、通称N-netと名づけていますけども、これの開発と整備を進めています。再来年度ぐらいから多分ケーブルの展開が開始されることになってくると思いますが、おおむね2024年とか2025年ぐらいにある程度の完成を見込むということで現在考えております。
以上です。
 
【小原部会長】御説明ありがとうございます。
では、御質問等はございますか。
私から簡単な質問ですけど、3枚目のところで、震動台を使った実験室的な研究はこれまでつくばの震動台で行われていましたが、今後の実験が計画されているのは、E-ディフェンスですよね?
 
【高橋委員】E-ディフェンスです。
 
【小原部会長】分かりました。ありがとうございます。
ほかに質問はございますか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
 
【高橋委員】ありがとうございました。
 
【小原部会長】では、続きまして、海洋研究開発機構(JAMSTEC)から御説明をお願いいたします。
 
【伊藤委員】JAMSTECの伊藤と申します。
私どもが取り組んでいる三つの課題について、それと併せて6つのトピックスについて紹介いたします。
最初の二つは地殻変動データの解析手法についてです。
最近ですけども、構造調査から得られる地下構造モデルの不確かさが定量的に表現できるようになってきました。これまでのすべり遅れの推定方法では、一つの物理モデル、例えば一定の傾斜角を持った断層面を正しいものとしてすべり遅れの分布を求めていました。そのため、仮定したモデルが間違っている場合に得られる解も間違ってしまっているという状態でした。
今回開発した新しい手法では、傾斜角の不確かさというのを複数のモデルのアンサンブルの形として取り込むことで、正しいすべり遅れを得ることができます。その図は左の真ん中の辺りの灰色の線で示している傾斜角になっています。この方法を用いると、さらに真の傾斜角の値も推定できるようになりました。この研究は今、数値実験なのですが、今後、現実に近い構造に対して適用していく予定です。
次は、地殻変動データの解析手法ですが、これまでのデータ解析では、地震時のすべりは地震時のデータを使って、地震後のすべりは地震後のデータのみで解析をしていました。今回、地震後に観測された余効すべりと粘弾性緩和に分離して地震時のすべり分布の推定に用いました。そうすると、従来の方法では解像できていない灰色の部分が多かったのですが、新しい手法を使うと灰色の部分が少なくなって、より広い区分が解像できるようになりました。このことから、たとえ地震後であったとしても、地殻変動観測を行うことによって地震時のすべり分布を詳しく知ることが可能であるということが言えます。今後、より精度の高い分布の推定を試みることにしています。
次は、観測の課題に移ります。
南海トラフの熊野灘沖、紀伊半島沖に設置していた海底孔内傾斜計で、2020年12月から2021年1月にかけて発生した浅部ゆっくりすべりの検出に成功することができました。これはトラフ近傍の海底に高感度のセンサーを設置していたために観測できた事象であり、地震調査委員会にも報告いたしました。そのデータというのは真ん中の北傾斜という図の緑色の線になっていますけども、このようなデータを取ることができました。今後も私たちは様々な高感度のセンサーを開発して、それを用いてプレート境界の固着やすべりをリアルタイムに把握していく予定にしています。
次は、日本海溝域の研究を二つ紹介します。
東北沖地震では宮城県沖で巨大なすべりを生じた一方、その北側では大きなすべりは生じていませんでした。この研究では、海洋プレートが持ち込む堆積物に注目して、その分布がすべり域を決めた可能性を示したものになります。
これまでに(A)という図で示している、海溝よりも海側の領域で構造調査を複数行ってきています。その結果、堆積物の分布が非常に不均一であることが分かってきました。宮城県沖では、右の一番下の図ですが、青で示している海洋プレートの上に乗っている黄色部分が堆積層を表わしますが、堆積層の部分が非常に厚くて、その中に巨大すべりの原因となるスメクタイトを含んでいる粘土層が存在していることが分かっています。しかし、その上の図の39.5度付近、巨大すべりなしの絵で見ますと、この黄色で示している堆積層が非常に薄くて、その中の粘土層も乱されてしまっていると考えられています。そして、この堆積層の違いというのが巨大すべりの有無を決めた可能性を示したという研究になります。
東北沖地震の巨大すべり域周辺というのはこれまで非常に詳しく調べられていて、特に一番左の差分地形とか真ん中の浅い部分の地下構造というのは詳しく調べられています。その結果、大すべり域というのが39.5度よりも北に及んでいないということが分かってきました。
しかし、一番右の青い矢印で示すように、39.5度付近の構造ですけども、これは地すべりを示すような非常に急峻な地形が見られる場所があります。このことは、いつのタイミングかは分かりませんが、過去に津波が起きたという可能性を示しています。この津波の波源の遷移については今後詳しく調べることにしています。
最後ですが、九州南部に鬼海カルデラというところがありまして、ここは我々の岩石地質学調査の結果が今ある程度出そろってきております。現在、地震や電磁気の観測をやっているところですが、今後はこれも併せて地下構造の現状を把握していく予定にしております。
以上です。
 
【小原部会長】御説明ありがとうございました。
何か御質問、コメント等はございますか。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
次に進みたいと思います。
次は産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)ですね。御説明をよろしくお願いいたします。
 
【田中委員】産総研の田中です。
産総研は、ここにお示ししますように11課題ありますので、本日はかいつまんで簡単に御紹介させていただきます。
最初の課題、活断層データベースの整備ですが、ここで言う必要もないのかもしれませんが、データベースというのはつくることも重要ですけど、やっぱり維持管理というのがすごく大変ということと、アップデートを常にしていくということが必要です。昨年度は布田川断層帯、日奈久断層帯において、2016年熊本地震以降に産総研が実施した調査結果を入力するということなどをして随時更新に努めています。
一つ省略して、次は課題3になります。地質調査に基づく火山活動履歴の解明について御紹介いたします。従前どおり地質図の出版は進めていますし、また、日本の火山データベース、こちらもデータのアップデートを進めております。昨年度は択捉島と富士山などのデータを作成し、公開いたしました。
新たなトピックとしては、火口図、この右側の図ですけれども、火口ごとの履歴や、噴出物の記載などを考えていますが、それの作成に取り組み始めました。最初は富士山と伊豆大島を考えていますけれども、このようなデータ整備も進めていくように考えております。
課題4は、津波浸水履歴情報の整備です。今までの課題も同様ですけれども、継続課題ですが、今後、特に大きな被害をもたらし得る特定の津波に関する情報と、あと、波源モデルの構築、あるいはその過程で検証した浸水シミュレーションの情報を分かりやすくまとめるようなパッケージを提示することを考えています。イメージとしては、右側に挙げたような感じです。左の図に挙げたようなものを今のところを公開する予定です。
課題7は、高分解能地殻応力場の解明と造構造場の研究ですが、将来発生する地震の最大規模あるいは発生様式の評価を行うために可能な限り小さな地震まで解析し、高空間分解能を有する日本列島の地殻応力マップを整備することを目指しております。様々なデータから地殻応力の不均一の成因を明らかにするとともに、応力場の地域性を考慮し、数値シミュレーションを併用したような最大規模評価や活動性評価手法を提案しました。2000年の鳥取県西部地震が発生した中国地域の10キロメートルメッシュの応力マップを公開いたしました。また、淡路島付近の地震の起震応力場の推定と、あるいはその成因に関することも考察を進めております。
あと、右側の図に示すように、AI深層学習による震源メカニズム解析手法を開発し、日本列島内陸部の20キロメートルよりも浅いところで発生した微小地震の震源メカニズムを推定いたしました。
課題8は、海溝型巨大地震の履歴とメカニズム解明ですが、日本各地で津波堆積物の調査を引き続き実施しております。南海トラフに関わるところでは、去年は宮崎県で津波堆積物の調査を実施したり、あるいは紀伊半島では既存試料の分析を実施したりしております。
この課題9、地下水・地殻変動観測による地震予測精度の向上においては、昨年度は産総研、防災科研、気象庁のひずみ・地下水・傾斜データでSSEの解析を継続しています。2019年11月から2020年10月の1年間で31個の短期的SSEの断層モデルを決定しております。
課題10は、また火山関係ですが、噴出物の物質科学的解析に基づくマグマ供給系、あるいは火道システムの発達と噴火推移過程のモデル化です。これもデータベース的なところが多いのですが、なるべく統一の形式で比較可能な噴火推移情報のデータ集を作成したり、あるいは噴火推移のデータベース化を進めたりしています。火口図と同様、火砕流分布図の作成も開始しております。
これが最後の課題ですけれども、アジア太平洋地域の地震・火山ハザード情報整備についてもアップデートをしているということと、デジタル化を進めております。
以上です。
 
【小原部会長】ありがとうございました。
では、ただいまの御説明に対しまして、何か御質問、コメント等はございますか。よろしいですかね。
はい、どうぞ。
 
【橋本委員】ごめんなさい。先ほどの火山の課題10ですか、データベースを紹介していただきましたけれども、これはもう公開されているものでしょうか。
 
【田中委員】はい、何らかの形で公開しています。というのは、データ資料集というようなものもありますので、全てがウェブに載っているわけではないという意味の公開ではしています。
 
【橋本委員】なるほど、分かりました。では、この建議に参加している研究者が参照できるような状態にはなっているということでしょうか。
 
【田中委員】はい、何らかの形ではなっています。
 
【橋本委員】分かりました。ありがとうございます。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
ほかに質問、コメントはございますか。よろしいですか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
では、続きまして、次は国土地理院ですね。よろしくお願いいたします。
 
【宗包委員】国土地理院、宗包でございます。
では、国土地理院の取組について御説明します。
最初の課題ですけれども、まずは内陸地震ですけれども、これはクラシカルですが、余効変動等をモデル化したということで、2層の粘弾性モデルですけれども、MCMC法を使ってちゃんとやりましたということです。従来の知見どおり、余効変動も説明できるということです。
GSI_02、これはSSEのモニタリングを経常的に行っております。直近では、ここに書いてある紀伊水道と四国中部、四国南部はいずれも落ち着いてきていますけれども、そういうものを継続的に監視しているということでございます。
次の課題、これは火山地域のマグマ供給系ということで、火山の膨張を、GNSSを使ってモデリングするというものです。伊豆大島では直近では停滞する様子が見えていると。あと、草津白根山では、これは従前、マグマだまりがどこにあるかというのがあまり分かっていなかったわけですけれども、湯釜の北西の深さ4キロぐらいのところにあって、赤の矢印が、火山活動が活発化したときですけれども、それとこの圧力増加がほぼ対応しているということがよく分かってきたということです。
次は、GNSS連続観測(GEONET)です。今回のトピックとしては、GEONETの日々の座標解で、新しいF5解というものがこの4月から公開されたということでございます。従来よりも新しい衛星、ブロックⅢ対応したりとか、基準系を直したりとか、いろいろ改善点がございます。お使いの方はぜひこちらに乗り換えていただくようにお願いします。
次に、これは宇宙測地技術で、主に干渉SARでございます。西之島なども含めた全国の火山噴火を定期的にモニタリングしていますということと、あと、最近では、干渉SARの時系列解析に重点を置いていまして、全国の火山で実施を始めたところです。草津白根山では2018年の本白根山の噴火に伴う余効的な変動というのもSARで捉えられるようになってきたということです。
次に、これはリアルタイムのほうですけれども、GNSS解析から震源断層をリアルタイムに推定するREGARDシステムというのを運用しています。下の例ですけれども、今年の2月の福島沖の地震でも、ちょっと条件は悪いですけれども、確からしいモデルが得られたということです。これにつきましては、モデルの信頼度も評価する必要があると考えておりまして、それに関する取組も進めております。
最後に、地震予知連絡会です。
地震予知連は、観測結果の報告、情報交換とモニタリングと、あとは最近の研究成果に関する集中的な議論、重点検討課題で議事を構成して、年4回やっております。これに関しては、最近ではオンラインでやっておりますけれども、オブザーバーで参加することも可能ですので、御興味のある方はぜひ御参加ください。
以上でございます。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
では、ただいまの御説明に対しまして何か質問、御意見等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
では、続きまして、気象庁ですね。御説明をお願いいたします。
 
【宮岡委員】気象庁、宮岡と申します。
気象庁はこの中で17課題参加させていただいております。地震・火山噴火の予測のための研究、もしくは地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究などは主に気象研究所が担当しております。また、そのほか、気象庁本庁が行っているものとして、普及啓発に関するものは防災リテラシーの課題に、それから気象庁が行っている監視してデータを収集するということについては研究を推進するための体制の整備という課題に参加させていただきます。本日はちょっと時間がありませんので、研究を推進するための体制の整備の研究課題の中から、地震観測、地殻変動観測と全国地震カタログの作成に関する課題について紹介させていただきます。
54ページをお願いいたします。気象庁では、大学や関係機関のデータを集めて地震の監視などを行っております。各機関のデータを集めて監視するとともに、そのデータを用いて震源決定をして、気象庁の震源カタログをつくるということを行っております。
ここの地図で見ていただいておりますとおり、全国陸域の観測点をずっと取り組んできましたけれども、昨年、令和2年9月からは、これまでの開発研究成果を生かしていただくということで、紀伊半島沖のDONET2及び日本海溝から千島海溝にかけてのS-netといった海域の地震観測網のデータをこの気象庁の監視、それから地震カタログを作成するための業務に活用を開始しているところです。
2ページ飛びまして、そして、この海域の観測網のデータを用いた気象庁の地震カタログの作成に活用させていただいております。気象庁では、人が感じないような小さな地震も含めてその震源決定をして、気象庁の震源カタログを作成しているところです。昨年度からそういったDONET、S-netの海域の観測網を取り入れました。そして、それに併せて、海域の速度構造を用いる、あるいは観測点補正、それから標高の補正を行うというような処理も含めて、その震源精度の向上を図っているところです。
次のページを御覧ください。これは今、私がちょっと説明した内容ですので省略します。
あと2ページ説明させていただきたいと思います。
そういった海域の観測データを活用することによって精度などが上がっているという部分を紹介させていただきます。ここに今お示ししているのは、気象庁が決めた東北、北海道、日本海から千島海溝にかけての昨年1年間の震源ですけれども、この辺りについては、S-netの導入によって検知力、それから震源決定精度が向上しております。
例えば、左の震央分布図にありますけども、海域をA、B、Cとした短冊状に分け、つまり陸域に近いところ、それから沖合、それから海溝軸の外側というように分けて、昨年の9月以降、その検知力がどう上がったかを見るための図になっております。その領域A、B、Cについて、それぞれ上がMT図と回数積算図、下のほうが深さの時系列分布になっておりますけども、陸域から離れた領域Bや領域Cなどにおいて、S-netを導入した昨年9月から大幅に回数積算が折れ曲がっている様子、つまり小さな地震がたくさん検知できるようになったということがお分かりいただけるかと思います。
また、その深さの時系列分布図ですけども、9月頃から少し見え方が変わっているかと思います。これはもう一枚の図で説明させていただきます。次のページを御覧ください。
これは北海道から関東のほうにかけてAからGまでの矩形の短冊を切りまして、その矩形の断面図を右側に示したものになります。そして、このうちちょっと薄い色で示したものは、2018年から昨年、S-net導入前までの震源です。濃いものは昨年9月以降のS-net導入後のものを示しております。例えばC、Dといったところで濃い線が細く締まったように見えるかと思います。この辺りはプレート境界で発生する地震、もしくはプレート内のものもあると思いますけども、こういったところの震源、特に深さの決定精度が非常に上がった様子が見てとれます。
このように、これまでの研究成果、海域の観測網のデータを入れることによって、気象庁の震源カタログでの検知能力、それから震源決定精度が向上したという成果を御報告させていただきました。
それとあと、もう一点だけ紹介させていただきたい項目があります。4ページ戻っていただけますでしょうか。55ページ。
これは気象庁の課題の地震観測、地殻変動観測に関するもので、この図自体については、南海トラフについて、産総研のデータとともに気象庁のひずみデータを使って監視していることを示す図ですけども、御報告したいことは右側の赤字で書いている部分になります。
気象庁のひずみ計データについては、関係機関にもお配りしておりますけども、これまで気象庁の中だけで使っていて、そのデータの公開が求められておりました。この気象庁のひずみ計データについて、この建議にある地殻変動等多項目データの全国流通一元化公開解析システムの高度化という北海道大学の研究課題でのシステムを活用させていただいて、今年の3月からリアルタイムで公開しております。研究者の方はこのデータを自由に閲覧、そして手続を取っていただければ、それを研究に御活用いただけるようになりましたので、この場を借りて御紹介させていただきます。
以上になります。
 
【小原部会長】御説明ありがとうございました。
では、質問、コメント等がございましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうかね。
観測点標高をようやく取り入れていただいてありがたいです。これは過去に遡って観測点標高を考慮した再決定等を行う予定はありますか。
 
【宮岡委員】補正方法を変えて過去に遡る、あるいはいろいろな最近の技術を使って過去に遡って震源決定をしてほしいというような御要望がいろんなところからあります。その辺りについては、人的リソース、それからマシーンのリソースなどを見ながら今後また考えていきたいと思います。現時点ではまだそこまでに至っておりません。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。 
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、なければ次に進みたいと思います。どうもありがとうございました。
では、海上保安庁、よろしくお願いいたします。
 
【石川委員】海上保安庁の石川です。
海上保安庁については御覧の4課題を登録しておりまして、いずれも国の業務として定期的、定常的に観測を実施しているものになります。
まずは海洋測地の推進ですけども、これは和歌山県の下里水路観測所において、SLR(Satellite Laser Ranging)という観測をしております。この観測は世界中の観測局のデータを集めることによって様々な地球力学的なパラメーターを決定するための観測です。この成果については、グローバルなプレート運動であるとか、世界の測地基準座標系の構築、そういった非常に基礎的なところでの貢献になるという観測になっております。
次は験潮ですけども、これは測量のために全国20か所に設置してある験潮所において連続的に観測を行っておりまして、観測データにつきましては、随時、ホームページで公開するというような形になっております。
次は海底地殻変動観測でして、これは日本海溝や南海トラフといった海溝型地震の想定震源域の海底において、GNSS-音響測距結合方式と呼ばれる観測によって海底の地殻変動を観測するというものになっております。図でお示ししているのは最近約4年間の地殻変動ということで、日本海溝については、東北地方太平洋沖地震後の余効変動が現在も継続している様子が観測されております。南海トラフについては、フィリピン海プレートの沈み込みによる応力蓄積による北西向きの変動が見えているということになっております。
これらの観測成果については、地震・地殻活動の現状評価の資料としまして、地震調査委員会であるとか気象庁の南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会等の政府の関係会議に定期的に報告をしております。
次は海域火山観測ですけども、これは海域の火山について、航空機を用いた定期的な巡回監視観測を実施しております。結果については随時、左側に示しております当庁のホームページにある海域火山データベースというところで公開しています。昨年度の例として幾つかの写真、西之島と諏訪之瀬島で撮影されたものを載せております。
以上になります。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
では、何か質問、コメント等がありましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
続きまして、北海道立総合研究機構より御説明をお願いいたします。
 
【高橋主査】北海道立総合研究機構の高橋です。
私たちのほうでは、火山のモニタリングと津波の防災対策の2課題を行っています。
まず、火山のモニタリングのほうですけども、道内の六つの火山において、地球物理学的、地球化学的モニタリングを継続して行っておりまして、活動の変化を捉えるためのデータの蓄積を行っています。
例として挙げているのは十勝岳と雌阿寒岳で温泉観測を行った結果ですけども、十勝岳では噴火の数年前から温泉が変わるというようなことがありましたけれども、最近はそのような変化はまだ見られておらず、ほかの火山においても特に大きな変化はない状況が続いています。得られたデータに関しましては、気象庁や大学などと随時、情報共有を行っているところです。
二つ目の課題は、津波の最大リスク評価手法の開発と防災対策の実証的展開ということで、北海道は寒冷地なので、そのような地域的条件を考慮した津波の最大リスクの評価手法や津波対策効果の評価手法の開発と、あと、具体的に市町村での避難計画や防災地域づくり計画の作成を行って実証的に展開するという目的として行っているものです。
モデル市町村において避難経路の使用可否の評価といったものや、あと、冬季の避難訓練の結果を用いた避難速度の年代別取得というようなことを行いました。
また、千島海溝周辺の海溝型地震により大きな津波が想定されている中学校において、中学生の協力を受けて、群衆、高齢者、あとは身障者などが混在するような条件を模した避難訓練を実施して、避難速度や経路上の混雑地点などを把握するというようなことを行いました。また、中学生の防災教育効果のアンケートを行って、その結果をまとめて実態を把握するというようなことも行いました。
以上となります。
 
【小原部会長】御説明ありがとうございます。
では、何か質問、コメント等がありましたら挙手をお願いいたします。
私から確認ですけれども、火山のモニタリングの際にはこれは他機関、気象庁等のデータも併せてモニタリングされているのでしょうか。
 
【高橋主査】地球化学的なのはほかの機関ではあまりやられていませんので、我々は特にそういうところを担当しています。
 
【小原部会長】あ、そういうことですね。分かりました。ありがとうございます。
ほかにございますか。

(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】どうもありがとうございました。
では、続きまして、山梨県富士山科学研究所から、よろしくお願いいたします。
 
【吉本センター長】山梨県富士山科学研究所の吉本と申します。よろしくお願いします。
山梨県では2課題挙げさせていただいておりまして、一つが噴火履歴の研究と、もう一つが、重力で火山観測をするというテーマで挙げさせていただいております。
まず一つ目、噴火履歴の研究ですけども、この中でも二つテーマがあって、一つは層序を定量的に対比するということで、下に柱状図がありますが、富士山では非常にたくさんの火山灰が出てきますけれども、岩石化学組成が非常に似通っていてなかなか化学組成で対比ができないということから、形状解析を用いて対比するという手法を今開発中です。右のほうのデータがそういったデータで、今、データを蓄積している最中です。
もう一つが、噴火の年代を精緻化するという意味で年代測定の手法の開発を二つ行っています。
一つは14C年代ですけれども、湖底堆積物を使って14Cをより正確に測るということを検討しています。左の図は山中湖という湖の中のいろんな14Cを測定した結果ですけれども、表層水のトータル有機炭素は500年ぐらい古く出てしまうという効果が出てきましたので、実際の堆積物を測定しても500年ぐらい差し引かないと正確な年代にならないという結果が出てきております。
右の図は14Cで年代が分かっているサンプルの古地磁気を測定して、富士山に適用した古地磁気の経年変化曲線を描いたというものです。これから未知試料を測定することによって、14C、炭素が取れないようなところでも岩石から直接年代を測るということが可能になってきております。
次は、重力による火山モニタリングですけれども、山梨県富士山科学研究所内に国土地理院による一等重力点をつくっていただきまして、そこで相対重力計による連続観測を行っております。ここには二つの観測台があって、国土地理院、それから東京大学にここに来て測定していただくという形で重力測定点の場所を提供するということもしております。
また、富士山では、我々は1合目の辺りにいますけれども、5合目、4合目にも観測点を整備して、そこで高度差を用いた重力測定、検定を行うというシステムを今、整備しておりまして、各研究機関の方々に活用していただいております。と同時に、富士山の地下水の動きを正確に見積もるということも現在やっておりまして、そういった陸水の補正をどうやって行うかという取組も行っております。
以上、山梨県の独自予算でやっておりますので、それほどたくさんのことはできませんが、結果報告とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【小原部会長】御説明どうもありがとうございます。
では、ただいまの御報告に対しまして何か質問、コメント等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、どうもありがとうございました。
では、これで全ての発表が終わりましたので、全体に関する質疑、コメントを受け付けたいと思いますけれども、時間が大分超過してしまって申し訳ございません。もし何か全体を通してこれは言っておきたいということがあったら御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、これをもって令和2年度の成果について御承認をいただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。御異議がある方は挙手をお願いいたします。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、異議なしということで、これをもって令和2年度の成果ということで承認させていただいたとさせていただきます。

[議題4.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【成果の概要】の作成方針について]

【小原部会長】では、最後の議題になりますけれども、議題4、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度の年次報告【成果の概要】の作成方針について、事務局からまず御説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】事務局上山でございます。
それでは、資料4を御覧ください。
こちらは毎年度同様のものを取りまとめておりますが、今年度もほぼその内容を踏襲して作成してございます。
まず、今年度取りまとめの令和2年度の年次報告【成果の概要】の作成方針の1ポツ目、取りまとめ方針ですが、こちらは昨年度と同様にしております。現計画に沿って計画が進捗されており、地震と火山の専門家以外でも読みやすく、具体的な成果が分かりやすいように取りまとめるという方針で作成をお願いしたいと思います。
続いて、構成でございます。こちらもこれまでと変更は特段ございません。成果の概要の本文を中心としまして、用語解説や、参考資料として建議の概要及び計画推進部会・総合研究グループ等別のより詳細な成果についても引き続き掲載いたします。
続いて、3番目、取りまとめの方法でございます。こちらについてもこれまでと同様に、成果の概要の取りまとめ委員というものを選定いたしまして、その取りまとめ委員の方を中心に、予知協及び関係機関の協力を得て作成することとさせていただいております。
なお、第11期の成果の概要取りまとめ委員は大倉委員及び寺川委員にご内諾いただいております。両委員におかれては、お忙しいところ恐れ入りますが、ぜひ取りまとめのほうをよろしくお願いいたします。
続いて、今後の日程でございます。今回の会議で作成方針について審議いただいて、その内容に基づいて作業を行っていただきたいと考えております。レビュー報告書の草稿の作成と時期が重複してしまいますけれども、7月、8月にかけて、この成果の概要についても草稿を作成いただいて、9月10日の第41回の部会で草稿について審議いただく予定です。成果の概要については、この1回の審議で基本的には部会長預かりとして内容を確定して、その後、事務局のほうでホームページ掲載及び印刷、配布を行いたいと考えてございます。
私のほうからの説明は以上になります。
 
【小原部会長】ありがとうございます。
では、ただいまの御説明について、何か御質問、コメント等がありましたらお願いいたします。基本的にこの成果の概要の作成については例年どおりということでございますけれども、何か質問等はありますでしょうか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原部会長】もしなければ、この方針で成果の概要を作成するということにしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。御異議のある方はいらっしゃいますか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、異議なしということで、この方針をお認めいただいたとさせていただきます。
では、取りまとめを引き受けていただいた大倉委員、それから寺川委員におかれましては、御多忙のところ申し訳ございませんけれども、よろしくお願いいたします。
では、これで本日の議論は終わりということになりますけれども、その前に、前回6月29日の第39回部会のときに、最後に確認を取るのを忘れていましたけれども、前回の議題1と議題2の人事案件、それから議事運営関係については運営規則の第6条第2項、それから第9条によって議事録を非公開としたいということを申し上げるのを忘れておりましたが、非公開ということで問題ないでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】では、その部分については非公開という形で進めさせていただきたいと思います。
では、今日の議事は以上ということで、最後に、今後の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】事務局でございます。
本日はどうもありがとうございました。
今後の日程について御説明申し上げます。既に皆様に日程調整の御連絡を差し上げたところでございますが、次回、第41回の部会につきましては、御案内のとおり、9月10日に開催し、年次報告【成果の概要】について御審議をいただく予定でございます。
その次、第42回の部会につきましては9月24日を予定してございます。こちらも既に御案内のとおり、レビュー報告書の初稿及び参考資料案について意見交換をお願いしたいと考えているところでございます。
どうぞ皆様、御予定を確保していただきますようよろしくお願い申し上げます。
 
【小原部会長】ありがとうございました。
15分ほど延びてしまい議事運営が不手際で大変申し訳ございませんでした。これで閉会とさせていただきます。本日はお忙しところ御出席いただきましてどうもありがとうございました。
では、これにて閉会いたします。

―― 了 (終了時刻 12:15)――

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