外務省・新着情報

台湾情勢(中国軍機による台湾防空識別圏への侵入)

【NHK 渡辺記者】中国と台湾の関係ですが、台湾の設定している防空識別圏に中国の軍用機が頻繁に出入りして、その数が急増している件ですが、それについて台湾の立法院で証言した国防部長の方が、「今後、かなり中国が、2025年以降、そうしたその台湾侵攻能力を備えるのではないか」ということを警告していますけれども、こうした状況につきまして、日本として、現状、台湾と中国の関係ではありますけれども、尖閣に対するそういう行動もありますので、現状で、どういうふうにその関係を見ていらっしゃるのか、今後、日本としてどういう、そのスタンスをとっていくのかというのをお願いします。

【吉田外務報道官】まず、中国と台湾の間の、台湾海峡をめぐる情勢につきましては、昨日も外務大臣の記者会見の際に、最近、中国の戦闘機が台湾の防空識別圏に多数進入したという事案についてお尋ねがあって、茂木大臣の方から、日本政府としての認識については、お答えいただいたところと承知しています。台湾当局が、10月1日から4日にかけて、連日それぞれ38機、39機、16機、56機という中国軍機が台湾防空識別圏内に飛来したということを発表したと、このように承知しています。
 日本政府は、この台湾海峡をめぐる情勢につきましては、先の4月の日米首脳会談、それからそれに先立つ3月の日米「2+2」においても、発表されたそれぞれの文書にも記載されていますとおり、「台湾海峡の平和と安定が重要」である、という認識でおります。
 その上で、台湾をめぐる問題、当事者間の直接の対話によって、平和的に解決されることを期待するというのが、従来からの日本政府の一貫した立場です。
 他方、今お尋ねにあったような、様々な分析であるとか発言があります。こういったものも含めて、この地域の情勢、それから、この東アジアをめぐる平和と安全に関わる、安全保障環境に関わる動向、こういった問題につきまして、引き続き重大な関心を持って動向を注視していきたいと、このように考えております。

【共同通信 浅田記者】今の関連ですが、今回の事案が発生後、米国側は、台湾への軍事、外交、経済的な威圧をやめるよう中国に強く求めるという、中国を批判するスタンスを取っています。日本政府としても、こうした中国の動きを懸念として深刻に受け止めるのでしょうか。改めて、今回の事案に対する日本側のスタンスを教えてください。

【吉田外務報道官】今回の事案というのは、先ほどやり取りございました、中国軍の戦闘機、中国軍機が台湾防空識別圏内に多数飛来したという事案のことだということでよろしいでしょうか。
 それにつきましては、今申し上げましたけれども、日本政府の認識は、台湾海峡の平和と安定が重要であると、台湾をめぐる問題は当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待すると、このような従来からの一貫した立場・認識、これにいささかの変更はないということです。
 米国政府がコメントを発表していることは承知をしていますし、同盟国である米国との間で、地域に関わる情勢については、平素から不断に意思疎通をしています。地域の情勢や認識については、そうした意思疎通を通じて、緊密にやり取りをしているということは、申し上げておきたいと思います。

岸田総理のG20ローマ・サミット及びCOP26への参加

【時事通信 梅垣記者】10月末から11月にかけてのG20とCOPについて、岸田総理は、リモートでの参加を検討するという発言を就任会見でされたと思いますけれども、外務省としてはこの二つの会議について、リモートでの出席というふうなものが可能だと把握されているのか、その点についてお聞かせください。

【吉田外務報道官】今月末のG20サミット、それから、それに引き続くCOP26についてお尋ねがあったと承知します。これらの国際会議への対応につきましては、岸田総理、リモート等の技術によって発言をする、参加することも可能であるとの認識をしておりますと、そうした技術を使うことによって、日本の発言・存在力をしっかり示していきたいというふうにご発言なさっているかと承知しています。
 これは、まさに岸田総理がおっしゃったように、いずれも重要な会議でありまして、G20ローマ・サミットにおきましては、国際保健、それから世界経済、こういった重要な課題、それから現下のコロナ危機からの「より良い回復」。これをテーマにした議論が行われるということでありまして、従来より、日本政府は、こういった分野の議論を主導すべく様々な努力をしてきたところであります。
 それから、英国のグラスゴーで開催されますCOP26というのは、パリ協定の目標である脱炭素社会の実現に向けて、国際社会の取組について議論が行われるということでありまして、これも2050年のカーボン・ニュートラル等を公表するとともに、グリーンとデジタルといった分野での日本の主導力を発揮していきたいということで、従来から取り組んできている分野であります。
 そういう重要な国際会議ですから、日本の立場、そのプレゼンス、これをどういうふうな形で発揮をして、更にその議論に貢献していくことができるかという観点から、これら会議への対応を様々検討しているところであります。
 もちろん、オンラインにつきましては、そういった形のものが可能になるのかどうか、こういったものも含めて、今申し上げたような観点からどうするか、更に、その他の各国の参加状況でありますとか、当然、そういったマルチの中の国際会議では、フリンジでバイ会談等が行われますから、そういったものの可能性、それと、もちろん日本の国内の政治日程、こういったものを様々な観点から総合的に検討を行っていると、こういうことです。

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