外務省・新着情報

冒頭発言

【茂木外務大臣】おはようございます。
 ニューヨーク訪問2日目は、韓国、カタール、ロシア、フランス、インドネシアの外相、そしてグテーレス国連事務総長と会談を行ったところであります。この後もパキスタンの外務大臣との会談が残っています。
 午前中、最初は、5月のロンドン以来となる日韓の外相会談でありまして、鄭長官との間で予定は30分だったのですが、50分にわたりまして前回にも増して率直で突っ込んだ意見交換を行うことが出来たと考えています。まず、この中で、北朝鮮について、弾道ミサイル発射等を受けて、北朝鮮の完全な非核化に向けて日韓間で引き続き緊密に連携していくことで一致をしました。また、二国間関係についても率直な意見交換を行い、その中で、私から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦訴訟判決、その他の両国間の問題に関する日本の一貫した立場をしっかりと伝達をし、韓国側に適切な対応を改めて求めたところであります。そして鄭長官と私は日韓関係を健全な関係に戻し、その上で幅広い分野で協力できるようにすべく、外交当局間の協議であったり、意思疎通を加速していくことで一致しました。
 カタールのムハンマド外相とは、先日中東訪問の際にドーハで会談、戦略対話を行ったばかりでありますが、国際社会の中でタリバーンに一定の影響を有するカタールでありまして、改めて今回会談を行いました。その中で、今後のアフガニスタンの政治プロセスにおける包摂性、女性の権利を含めた人権尊重の確保が重要であることを確認すると同時にですね、関係者のアフガニスタンからの出国について協力していくことで一致を見ました。
 ロシアのラヴロフ外相との会談では、平和条約締結問題、北方四島における共同経済活動、四島交流等事業、経済などの二国間関係、そして国際情勢について議論を行いました。私から、平和条約締結問題を含め幅広く日露関係全体を互恵的に進展させていく考えである旨述べ、日露関係全体の発展に向けて、今後とも様々な機会を通じて議論を継続していくことでラヴロフ外相との間で一致いたしました。また、北朝鮮についても意見交換を行い、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求め、ラヴロフ外相から改めて支持がありました。
 国連のグテーレス事務総長との会談では、グテーレス事務総長が先般発出しました「コモンアジェンダ」報告書を踏まえて国際社会の新たな課題に対応するための方策について意見交換を行いました。北朝鮮、アフガニスタン、ミャンマー情勢についても意見交換を行い、国際社会の一致したメッセージを発出する上で、国連の役割は大きい旨を伝え、緊密に連携していくことを確認をとったところであります。
 フランスのル・ドリアン外相との協議では私から、「インド太平洋国家」として日本にとり大切なパートナーであるフランスのインド太平洋地域への関与の増大及びEUのインド太平洋戦略を高く評価し、歓迎している旨述べ、また、日本としてこの地域におけるフランス及びEUとの協力を続けていきたいと考えていることを伝えたところであります。
 インドネシアのルトノ外相との会談、いままでちょっとその関係で会見遅れましたが、ミャンマー、北朝鮮、東シナ海・南シナ海等の地域情勢に加えまして、新型コロナ対策やインフラ協力について議論を行いました。特にミャンマー情勢については、エルワンASEAN特使の活動を含みます最近の動向等について意見交換し、今後も緊密に連携していくことで一致をいたしました。また、インドネシアは、2022年、来年にはG20議長国でありまして、2023年には、日ASEAN50周年の年になりますが、ASEAN議長国を務めることから、地域・国際社会の諸課題に引き続き共に取り組んでいく、こういったことを確認したところであります。
 この後パキスタンのクレーシ外相との会談があり、アフガニスタン情勢等を中心に議論したい、こんなふうに考えています。
 コロナ、続いてるわけでありますが、多国間主義の名の下、各国は活発な外交を繰り広げるようになってきております。マルチ外交の本場でありますこの国連に来てこのことを改めて実感をしているところであります。その中で、多くの外相、10名以上の外相と会談を行いましたが、これまで築き上げてきた個人的関係、これも基礎にしながら、自由で開かれたインド太平洋のビジョン、そして国際社会における日本の立ち位置を強化する外交を展開することができたと考えております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】ロシアのラヴロフ外相との会談について伺います。今日の会談の中では、今月プーチン大統領が北方領土に関税を免除する区域を設置するという構想を発表しましたけれども、この構想については意見は交わされたのかどうか、また大臣の方からどのようなことを主張されたのか、この点について教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】プーチン大統領の発言等に関する日本側の立場、これは改めて伝えたところであります。そしてこの共同経済活動については両首脳間でお互いの法的な立場を害さない形で進めるということを確認しておりますので、そういった形で進めたい、このようにラヴロフ外相には申し上げました。

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