文科省・新着情報

1.日時

令和3年7月27日(火曜日)10時~12時

2.場所

Web会議(文部科学省5F2会議室)
※YouTube配信にて公開

3.議題

  1. 今期の検討事項について
  2. 令和3年度全国学力・学習状況調査の実施について
  3. 全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ「最終まとめ」について

4.出席者

委員

耳塚座長、足羽委員、礒部委員、植村委員、宇佐美委員、大津委員、川口委員、肝付委員、斉田委員、貞広委員、佐藤委員、柴山委員、垂見委員、土屋委員、益川委員、松谷委員

5.議事要旨

議事1: 今期の検討事項

資料2に基づき、事務局より説明があった。

議事2: 令和3年度学力・学習状況調査の実施について

資料3-1~3-3に基づき、事務局より説明があった。

議事3:CBTWG「最終まとめ」について

① 最終まとめについて
資料4に基づき、大津主査よりご説明。関係者の意見は以下のとおり。

【委員】
・強調しておきたいところが、インフラや、基本的なネットワークはもちろん、それを支える人が重要である。IRTやCBTなど、技術的なことを理解している人をしっかり育成していく、あるいは雇用するというところが大事だということを強調しておきたい。CBTは複雑であるため、放っておくとよく分からないままに受けているということになりかねない。そうならないためにも、実施する人だけでなく学校の先生方も含めてじっくり人を育てていくということを大事にしてほしい。そのためには、予算面についてもしっかりつけていただきたいということを強調しておきたい。

【委員】
・適切な実施のためには、学校現場でも、この調査を円滑に実施するための教員サポートが今から非常に重要になってくるのではないかと思っている。

【委員】
・「最終まとめ」本体のほうを読んでいただけるとお分かりいただけるかと思うが、そこに書いてある一つ一つが非常にチャレンジングなテーマであり、CBT化を実現するために必要な技術獲得とか技術開発等が今後とても大変だろうと思う。逆に身が引き締まる思いで報告を聞かせていただいた。

【委員】
・先ほどの説明を聞き、本当に多くの課題等も含め、今後の方向性を御示唆いただいたものと思い、感謝している。
・今回この依頼を受け、現場感覚でこの取組について考えた。その1点は、子供たちによって様々な学習環境がある中で、平等性をいかに担保するかということが大事ではないかと思っている。現在、各学校には様々な端末が導入されている。その中では、キーボードの有無等、機材の違いも関係があるため、今回も御指摘いただいているとおり、子供たちが、操作性によって本来測るべき学力が十分測り切れないようなことがないよう、環境整備やサポートする教員も含めた人材の育成という点が本当に大きなポイントになる。実現化に向けては、子供たちの環境が平等な条件の下、力が測れるような取組がポイントになるのではないかと考えている。

【委員】
・先ほどのCBT化の話をお聞きして、このような時代になっているということは理解しつつ、英語教育の観点から今後検討が必要だと考える点が幾つかあるので、確認させていただきたい。悉皆調査をCBT化し、IRTを取り入れ、アクセスの関係上複数回実施するということだが、問題作成が大変になるだろうという印象は強くある。その辺りの手当をするということが書いてあったが、どのくらい問題づくりをしなければならないのか。
・事前に比較可能なテストの冊子をつくるということで、事前に予備調査等をして、パラメーター等を推定した上でテスト冊子を作成されるのだろうと思うが、そうすると、事前の予備調査も実施するのか。
・英語教育に携わっていると、学力調査のメッセージ性は学校教育現場への影響は非常に大きい。問題を公開していただくことで、広く、容易に、英語教育をどのように改善していこうかという方向性を一目にして捉えることができる。しかし、IRTを入れた悉皆調査をしていくということで、基本的には非公開になると思うのだが、一部問題を公開するとなるとこの辺はどのようにされていくのか。学力調査を受けた人たちが、自分の今の学力、英語の力はどのくらいあるのかを知り、どのように学習を改善していったらよいのかを考えるということが学校教育現場にも直接返ってくるものなので、問題の公開というところが気になった。

【主査】
・作問体制については、国立教育政策研究所でそれなりの体制を組んでいただくということになると思うが、いわゆる国際的な、商業的大規模テストのような数をつくるわけではない。ただ、期間内に複数回、それが何回になるかというのはまだ検討しなければならないことだが、おそらく数回分と、若干の予備を出せる程度の量の問題を作ることになるのではないかと思う。実際、問題プールの大きさの検討というのもこれから細部を詰めることになるだろう。
・予備調査についてだが、何らかの形で事前に実施しなければならない。当然、問題漏洩のリスクはあるが、試験自体はハイステークスではない。やったからといって当人が何らかの利益を得るというものではないので、徐々に情報が漏れていく可能性はあると思うが、一般の生徒に対して何らかの形で予備調査を行った上で本番に採用するというプロセス自体が、それほどハードルが高いわけではないだろうと考えている。このやり方に関しても、また細部は詰めていただくことになるだろう。
・学力調査のメッセージ性については、最初に総論のところでお話ししたように、悉皆調査と経年調査の特徴を分けて考える。特に経年調査のほうは、学力の精密な測定ということに主眼を置くが、悉皆の方は、非常に多くの方に対して学力観を示すメッセージという部分から当然重要である。そのため、全部秘匿するということはないが、全部出してしまうと、次がやや大変になる。相当の部分、ある程度の部分を公開することになろうかと思う。その比率等についても、また宿題だと感じている。

【国研】
・問題作成の体制に関しては、これからまだまだ具体的に詰めねばならない点もあるため、それによって負担する業務的な付加についても大きく変化してくる。差し当たり、「分冊方式」をお示しいただいたので、膨大な数の問題をつくるということではない。とはいえ、当然、現行よりは多数の問題を用意しなければならないが、CBTに全面移行するまでの間は、従来のPBTの作成実施と並行してCBTに向けた問題の蓄積、あるいは出題の業務が純粋に付加してくるので、当面、その辺りについて、ある種、臨時的な態勢を含めてしっかりとしていく必要があると考えている。
・また、公開問題、非公開問題のバランス、あるいはそれぞれの種類やどういう性格を持たせるか等々についても、当然、作問の方法や負担ということも変わってくるため、以前本ワーキンググループでご報告したとおり、現在、研究所においても問題作成の枠組みの在り方に関してはプロジェクト研究というものを立ち上げ、この1、2年かけていろいろと議論を進めていく予定。本省の有識者会で御意見、御指導をいただきながら、国研としても問題の在り方を詰めて、それと連動して体制の在り方についても検討を進めてまいりたい。

【委員】
・最終まとめの概要を伺って感じたことが2点ある。CBT化の目的については、GIGAスクール構想、それから国際学力調査がCBT化していることが挙げられている。最後のところには「DX」という言葉も見られたが、環境に合わせてCBTに移行するというのは、若干消極的な理由のように聞こえた。「CBTにしなければ測れない能力、測れない学力というのはどのようなものなのか、また、そのような能力がこれからの子供には必要である」という前提があったうえで、コンピュータに移行することで、「これまで紙では測れなかったものをより適切に図れるようになる」といった観点もさらに強調していただくとよいのではないか。そういう観点からすると、PBTで測れるのであればPBTで十分であり、同等性は必ずしも確保しなくてもいいのではないか。「CBTでなければ測れない能力というのはどのようなものなのか」ということを積極的にアピールしていくことが必要ではないか。学校現場もCBTになるとさらに膨大な労力が必要になってくるので、協力してもらう理由としても、そのような説明が必要ではないかなと感じた。
・IRTを導入することになると、現場ではやはりIRTとはどのようなものなのかがよく分からず、ブラックボックス化してしまうことが考えられる。テストの実施とその結果との間がブラックボックス化してしまうと、その結果に対する理解というのも進まない。IRTとはどのようなものでなぜこのIRTが必要なのかについて、現場により分かりやすく周知していくことが必要ではないか。

【主査】
・2点目については全くそのとおりで、どこまで理解していただけるかということもあるが、やっていることの趣旨は十分伝わるように工夫する必要がある。
・1点目について、当然ワーキングの中でも「CBTを使うからには、コンピュータの特性を十分に生かした試験をするべきだ」という意見はあった。それは当然理由の一つとしてある。ただ、CBTにするメリットというのは、紙で配って回収する場合のロジスティクス、特に、何十万人、何百万人という相手を想定すると、それ自身にものすごくコストがかかる。実際、学力調査の場合、実施日前日にあわせて学校に届けて、試験が終わったら間を置かず翌日に全部回収するという、非常に厳しいタイムスケジュールで物事を運ばなければいけない。災害や事故等が発生すると、そこの部分の実施が遅れるということもある。当然、CBTの特性を生かしたというところも特徴としてあるが、それ以前に、大規模な実施をタフに行えるようにすること自体の利点も少なからずあるというふうに考えている。

【座長】
・今日は説明の資料としてそれほど取り扱わなかったが、最終報告の本体には、今質問になった事項についても説明が加えられている。参照いただきたい。

【委員】
・このCBT化の方向性が、全国学力・学習状況調査の3つの目的全ての質が向上する形になるよう、進めていただければと思う。
今回のまとめを見ていくと、教育政策の面からは、様々なデータが取れるようになってくるのではないかと思う。一方で、例えば、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるという側面においては、現状、フィードバックが早くなるということが考えられるが、それによって、実際どのくらい現場の質的向上に寄与するのかという検証がものすごく大事になってくるのではないか。また、CBTを活用することで、教育に関する継続的な検証改善サイクルにどのような効果が見られるのかについても、実施までに示していく必要があるだろう。
以上の点から、今後、試行検証というところが鍵になってくる。単に問題なく運用できるかだけでなく、3つの調査目的それぞれに向上が見られそうかどうかという検証も同時に必要だと感じた。例えば2つ目の教育指導の充実や学習状況の改善であれば、実際にCBTを使った早めのフィードバックにより、どのようなことができるのか、可能になるのかなども含めた試行検証や、実際どのようにして継続的な改善サイクルという形につくっていけそうかなど、小規模なサイズからでいいのでやっていくことが大事ではないかと感じた。

【委員】
・CBT化を段階的に展開するという点と、悉皆においてもCBTを目指すに当たって全国同日一斉ではなくするということ、IRTを導入するということ、非常に大きな決断だと思うが、資料もよくまとめられており、深く賛同する。
・コメントとして、繰り返し出ていた点だが、悉皆のほうもCBTを取り入れ、さらにIRTを導入するということで、やはり予算と人材を確保するということがすごく重要であろう。また、特に作問にあたっては大きな方向転換となるだろう。
・質問だが、12ページにフィードバックについて書いてあったが、フィードバックの方法に関して、児童生徒に対しても、「児童生徒の得手不得手についてもフィードバックすることが可能ではないか」とあるが、やはりIRTを導入することによって非公開の問題も出てくるとのこと。メッセージ性を考えて公開するものと公開しないものを設けるというのはよく分かるが、それにもかかわらず、児童生徒一人一人に対しても今までと同様のフィードバックを目指すという点が個人的にあまりイメージできない。IRTを導入したうえで個々の児童生徒にどのようにフィードバックするのか。あるいは、児童生徒個人に対しては今までのようなフィードバックはせず、例えば学校という集団に対してフィードバックをするという考え方も検討されているのか、その辺りを教えていただきたい。

【主査】
・フィードバックのやり方についても、いろいろと意見が出ている。しかし、具体的なところまで詰めているわけではない。ただ、児童生徒一人一人に対してフィードバックを行うということは、当然視野に入っている。その場合、例えば公開する問題は、その問題に対する正誤という形は返すことができる。そうでない非公開の分野であれば、分野別、単元別のスコア、多元的にやって意味があるほど次元が分かれるかどうかについても考えなければならないところではあるが、全体的なスコア、あるいは分野別のスコアの形を返すという考え方もあり得るかもしれない。ただ、これはまだ可能性の話であるため、ワーキングとして具体的にどうするかまで話が固まっているわけではないと思っている。

【委員】
・経年調査の保護者調査のCBT化については、どのような方針を考えているのか。CBTで保護者に答えていただくとなると、データにバイアスがかかるうえに、そもそもすごく回収率が落ちる可能性があり、すごく難しいことは分かるのだが、どのような検討を行ったのか。
・段階的に試行錯誤を行い、場合によって失敗することがあれば、その失敗を許容して軌道修正をしていくというやり方を大変強調して書かれている。教育政策にはこれまで一般的ではなかったスキームではないかと思うのだが、ぜひこうした向き合い方をしていただきたい。重要なことであるため、慎重に進めていただきたい。
・現在、全国学力・学習状況調査で測定している学力は、新たな学力とも言えると思うのだが、現場の先生方から、伝統的な集約型の学力とは異なり、この結果をどう指導に生かしていったらいいのか、結果と指導の連動が想像・想定しにくく、なかなか指導に生かし切れないということを聞く。御自身が伝統的な学力の中で育ってきているためなど、諸々の要因があろうかと思うが、そうした意味で、今回ログをしっかり取ってそれをフィードバックに生かしていこうという点も、大変優れた、現場の先生たちにとってもパワーになる試みになる。

【事務局】
・保護者調査の関係については、CBTワーキングの中で、ある意味別のものとして取り扱っており、御議論をいただくという場面はなかった。まずは、事務的に検討させていただきたいと考えている。現在、保護者調査の回収については、経年調査を受けていただいた学校において、学校から児童生徒の保護者の方に渡るような形で御協力をいただており、高い回収率で調査が実施できている。これをCBT化した場合に、回収率がどうなるかということを検討しなければいけない。また、回収の手法を変更することによって、調査の結果、あるいは対象に何かしらバイアスがかからないかといった点でも併せて検討する必要があると思っている。この点については、後ほどワーキングの下に設置されるプロジェクトチームの中で、技術的、専門的な観点から御助言を賜りながら検討していきたい。

【座長】
・最終まとめにもあるように、今後、さらに詳細な調査設計について検討を行っていく必要性がある。その検討を行う体制について、事務局から提案の説明をお願いする。

② CBT化に向けた検討体制について
資料5に基づき、事務局よりご説明。「全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ」の下に「全国的な学力調査のCBT化検討プロジェクトチーム」を設置することについて、専門家会議としてご了承。
 

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総合教育政策局調査企画課学力調査室

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