内閣府・新着情報

日時

2021年8月6日(金)15:00~17:18

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
受田部会長、柄澤部会長代理、青木委員、安達委員、石川委員、今村委員、澤木委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、田中委員、戸谷委員、前田委員、松永委員、渡邊委員
【消費者庁】
村井政策立案総括審議官、谷口食品表示企画課長、食品表示企画課
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「空間的情報量に関する調査」について
  3. 「アプリケーションを活用した食品表示実証調査事業」について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しいところを御参加いただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第64回食品表示部会」を開催いたします。

本日は、宮崎委員から御欠席の連絡を頂いておりますが、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。

議事に入ります前に、テレビ会議による進め方と配付資料について確認させていただきます。

まず、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議により開催しております。

傍聴者を入れず開催いたしますが、議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたします。議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を、8月10日火曜日15時頃よりホームページで動画配信をいたします。

テレビ会議では、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますよう、お願いいたします。

御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。受田部会長にそのチャットを御確認いただき、発言者を指名していただきますので、指名された方は、マイクのミュートを解除して、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。

御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせください。

チャットが使いづらい場合などは、適宜のタイミングでマイクのミュートを解除の上、呼び掛けていただければと思います。

また、御発言の際には、カメラ付きの方は、可能な限りビデオ通話をオンにしていただきますようお願いいたします。

御発言が終わりましたら、ビデオ通話を停止し、マイクをミュートの状態にお戻しください。

なお、音声が聞き取りづらい場合などにもチャット機能でお知らせください。

次に、本日お配りしている資料につきましては、議事次第に記載しているとおりでございます。資料1と2、参考資料1から3となっております。もし資料の不足等ございましたら、事務局までお申し出くださいますよう、お願いいたします。

この後、受田部会長に進行をお願いしたいと思いますが、その前に、本日、説明のためお越しいただいている消費者庁におきまして、7月1日付けで村井政策立案総括審議官、谷口食品表示企画課長が御着任されたということでございますので、それぞれ御挨拶をいただきたいと思います。村井総括審議官、谷口課長の順でお願いいたします。

○消費者庁村井政策立案総括審議官 7月1日付けの人事によりまして、農林水産省から消費者庁政策立案総括審議官に異動してまいりました村井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 同じく7月1日付けで消費者庁食品表示企画課長に就任いたしました谷口です。よろしくお願いいたします。

○太田参事官 それでは、受田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、こんにちは。本日もお忙しい中御出席賜りましてありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、部会長代理に、部会長代理の回線も同時に切れた場合は、事務局に進行をお願いいたします。

≪2.「空間的情報量に関する調査」について≫

○受田部会長 議題に入る前に、本日の部会開催の経緯を簡単に御説明したいと思います。

本日の部会は、食品表示基準の改正に係る諮問を受けての審議ではなく、第5次消費者委員会食品表示部会で取りまとめました食品表示の全体像に関する報告書の中で行った提言に基づき、消費者庁が行いました2件の調査の報告となります。食品表示の全体像に関する報告書は、表示事項が増加し、それに伴って消費者が安全性に関わる表示を見落とす可能性があるという問題を背景に、食品表示はどうあるべきかを検討するため、ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会などからのヒアリング等も含め、9回にわたって議論を行った上でまとめたものでございます。表示事項間の優先順位や事業者の意向といった様々な課題について、今後、調査検討を行うために実態把握のための詳細な調査を速やかに行うことを提言しているものでございます。本日配付をされております参考資料、一連のものがそれに相当いたします。

第5次消費者委員会食品表示部会から継続して委員をお務めになられている皆様におかれましては、当時の様子をよく御記憶になっているものと拝察をいたします。この提言を踏まえまして、昨年度、消費者庁において2件の調査が行われております。今年度、来年度も調査は行われる予定と聞いておりますけれども、第6次消費者委員会の任期が今月末で終了する前に、報告書の提言を受けて実施された調査の状況を皆様と共有しておきたいと考えまして、本日、部会を開催することといたしました。

このような経緯でございますので、基本的には消費者庁からの報告を受けること及び進捗に係る認識の共有が本部会の目的となる点を御理解賜りたいと存じます。

2件の調査のうち1件目は、「空間的情報量に関する調査」でございます。現行商品の一括表示部分の分かりやすさを科学的根拠に基づいて定義するために、一括表示のデザイン、フォント、文字サイズなどの情報量に関する調査と消費者の視認性に関する調査が行われました。

2件目の調査は、「アプリケーションを活用した食品表示実証調査」でございます。デジタルツールを活用することで消費者にとって読み取りやすく分かりやすい食品表示を実現できないかを検討するために実施をされたものでございます。提言に直接的に記載されている調査ではございませんが、ウェブを用いた食品表示の可能性の検証の一環として消費者庁で実施されたものでございます。本日は、これら調査の概要や結果等について御報告をいただき、質疑応答を行いたいと思います。

進め方としましては、これら2件の調査の内容は異なる内容でございますので、調査ごとに消費者庁から報告を受けた後に質疑応答の時間をそれぞれ設けることとしたいと考えております。

本日の趣旨並びに進め方について、まず冒頭、説明をさせていただきました。

それでは、まず、「空間的情報量に関する調査」から御報告をいただきたいと思います。本日は、先ほど御挨拶を賜りました消費者庁の谷口食品表示企画課長に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、恐れ入りますけれども、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長の谷口です。

それでは、資料1に基づきまして、説明させていただきます。「空間的情報量に関する調査」報告書の概要です。

まず1ページ目を御覧ください。このページは調査の背景を説明しております。先ほど受田部会長からもお話がありましたとおり、食品表示の全体像に関する報告書におきまして、様々な課題について今後調査研究を行っていくために、実態把握のための詳細な調査を行うことが提言されております。この現状把握のための調査として、具体的に調査1として、「現行商品の一括表示部分に関する現状の問題点等の調査」、調査2として、「空間的情報量に関する調査」、調査3として、「ウェブを用いた食品表示を検討するための現状調査」というこの3つの調査を消費者庁において行うこととされております。令和2年度におきましては、このうち「空間的情報量に関する調査」を実施いたしました。

この3つの調査のスケジュールについて申し上げますと、まず、令和2年度に空間的情報量に関する調査を実施いたしまして、一括表示のデザインですとかフォント、文字サイズ等の把握を行いました。令和3年度、本年度には、この調査結果を踏まえまして、現行商品の一括表示部分に関する現状の問題点等の調査を実施し、一括表示について消費者がどの程度、なぜ見ていないのかなど、現状の問題点やその他の表示の利活用実態の把握を行う予定です。さらに、ウェブを用いた食品表示を検討するための調査として、令和4年度にウェブでの補助的情報提供の優良事例に関する調査を実施し、容器包装上の表示情報を補足すること等を目的としたウェブの活用実態について、現状把握を行う予定です。今のところ、消費者庁ではそのような進め方を予定しております。

次に2ページを御覧ください。調査の概要です。この調査につきましては大きく2つに分かれております。1つ目が空間的情報量に関する調査といたしまして、現行商品の一括表示等の表示実態を把握するための測定ですとか情報量に関する調査を実施しております。2つ目が消費者による視認性等調査といたしまして、見やすさ、分かりやすさや理解度に影響を及ぼすと考えられます文字サイズですとかフォント、行間などのデザイン要素を特定するための調査を実施いたしました。

まず1つ目の空間的情報量に関する調査につきましては、加工食品の市販品約300点を買い上げまして、容器包装全体の表示可能面積ですとか面の数、表示可能面積に対する一括表示面積の割合、表示事項の文字サイズ、文字数、文字の変形率などといった事項を測定いたしました。

また、2つ目の消費者による視認性等調査につきましては、文字サイズ、行間、行長、変形率が視認性に与える影響についての調査と、消費者が商品選択をする際に見ている、または見ていない表示の傾向を探るための視線追尾分析というものを実施いたしました。

3ページを御覧ください。このページから調査結果の概要を紹介していきたいと思います。まず1番目、容器包装全体の表示可能面積と面の数についてです。これは買い上げました食品の容器包装を展開しまして、各面の縦横の長さを測定して表示可能面積を測定するとともに、面の数を記録したものです。その結果といたしましては、表示可能面積の平均は約510平方センチメートルでした。また、容器包装を構成する面の数につきましては、2面のものが約44パーセントで最も多くなっており、以下、6面が約22パーセント、3面も約22パーセントとなっております。

次に4ページを御覧ください。このページは表示可能面積に対する一括表示面積についてです。ここでは表示可能面積に占める一括表示面積の割合を算出しております。その結果、一括表示自体の面積につきましては、最大が約105平方センチメートル、最小が3.6平方センチメートルで、平均は約23平方センチメートルとなっています。

下の左側の円グラフのとおり、10.00平方センチメートルから14.99平方センチメートルの範囲のものが約19パーセントで最も多く、次いで、35.00平方センチメートル以上のものが約18パーセントとなっております。

また、表示可能面積に対する一括表示面積の割合を算出しましたところ、これは下の右側の円グラフになりますけれども、1パーセントから4パーセントの範囲のものが約54パーセント、5パーセントから9パーセントの範囲のものが約41パーセントで、それらを合わせまして9パーセント以下のものが全体の約95パーセントを占めています。つまり、一括表示面積の割合につきましては、表示可能面積の1割未満のものが大部分であったということです。

次に5ページを御覧ください。このページにつきましては、消費・賞味期限、原材料名、栄養成分表示の文字サイズと変形率についてです。こちらにつきましては、デザイン用ソフトを用いまして、各表示の文字サイズと変形率を記録したものです。

その結果といたしまして、まず、消費・賞味期限につきましては、文字サイズは12ポイントが22パーセントで最も多くなっておりまして、次いで11ポイント、14ポイント、13ポイントの順となっていました。また、表示可能面積が150平方センチメートル以下の商品に限りましても、8ポイントより小さいものはなかったということです。変形率につきましては、80から89パーセントの範囲のものが最も多く、また、文字を変形していないものは約28パーセントでした。

次に、原材料名につきましては、文字サイズは8ポイントのものが69パーセントで最も多くなっておりまして、次いで、9ポイントのものが20パーセントとなっております。表示可能面積が150平方センチメートル以下の商品に限りますと、8ポイントのものが47パーセント、6ポイントのものが20パーセント、最も小さいものは5.5ポイントというものもありました。また、変形率につきましては、80から89パーセントのものが最も多く、文字を変形していないものは約66パーセントでした。

次に、栄養成分表示につきましては、文字サイズは8ポイントのものが61パーセントで最も多くなっておりまして、次いで9ポイントが26パーセントとなっております。また、こちらも表示可能面積が150平方センチメートル以下の商品に限りますと、8ポイントのものが40パーセント、9ポイントのものが20パーセントでした。変形率につきましては、90から99パーセントの範囲のものが最も多く、文字を変形していないものは約60パーセントとなっておりました。

次の6ページを御覧ください。こちらは前のページからの続きですけれども、全体の傾向といたしましては、消費期限とか賞味期限といった期限表示につきましては、文字サイズが比較的分散していたということであります。これは、期限表示は文字数が少ないため、印字面積に対して比較的余裕があることが推測されます。その一方で、原材料名表示と栄養成分表示につきましては、8ポイントまたは9ポイントのものが大多数を占めるということで、期限表示と比べて文字サイズが小さい傾向にありました。

また、文字の変形率の傾向について見てみますと、期限表示につきましては、変形された文字が多かったということであります。これは、記載内容を日々変える必要のある印字箇所につきましては、使用されているフォントに変形が多いことが要因であると考えられます。

7ページを御覧ください。このページは原材料名、栄養成分表示の文字数、行間、行長についてです。ここではOCRソフトですとかデザイン用ソフトなどを用いまして、表示の文字数、行間、行長、行長というのは1行の文字数ということでありますけれども、これらを記録したものです。

その結果、原材料名につきましては、総文字数は99文字以下のものが64パーセントを超えておりました。行間につきましては、9ポイントのものが最も多く、約38パーセントになっております。最も狭い商品は6ポイントで、下の左側のチューインガムの例が行間6ポイントですけれども、こういったものもありました。8から10ポイントの範囲の商品が全体の約85パーセントを占めていたということであります。また、1行の文字数につきましては、10から19文字の商品が約40パーセントで最も多くなっておりまして、次いで20から29文字が約34パーセントで、この2つの分類で70パーセント以上を占めていたということであります。

次に、栄養成分表示につきましては、総文字数は99文字以下のものが92パーセントを超えています。行間につきましては、10ポイントが約26パーセントで最も多かったということです。1行の文字数につきましては、10から19文字の商品が約50パーセントで最も多く、次いで、1から9文字が約34パーセントでした。

8ページを御覧ください。消費・賞味期限ですとか注意喚起表示、原材料名、栄養成分表示の表示位置についてです。ここでは各表示の掲載されている位置につきまして、正面、裏面、上、底、右、左などのどの面に表示されているかを記録しました。

その結果、消費・賞味期限については裏面と正面がいずれも約36パーセントで最も多く、次いで、底が約13パーセント、上が約8パーセントとなっております。

注意喚起情報につきましては、いずれも裏面が最も多かったということであります。

原材料名につきましては、裏面が最も多く約60パーセント、次いで正面が約15パーセントとなっております。

栄養成分表示につきましては、裏面が最も多く約62パーセント、次いで正面が約21パーセントとなっております。

全体の傾向といたしまして、期限表示につきましては正面も多かったのですけれども、それ以外の表示につきましては裏面に表記されていることが多くなっておりまして、裏面のほうに情報が集中している状態だと考えられます。

次に9ページを御覧ください。このページはピクトグラムの使用の有無についてです。ここでは、アレルゲンですとか安全情報、保存方法その他の注意喚起情報につきまして、ピクトグラム、いわゆる絵文字を使用しているかどうかを記録したものです。

その結果、注意喚起情報にピクトグラムを使用しているものは約22パーセントで、逆に使用していないものは約78パーセントでした。このピクトグラムにつきましては、例えば自ら調理するカップ麺ですとか、保存上の注意事項の多いアイスクリームですとか、冷凍食品とか、そういった一部の食品で多く使用されておりましたけれども、全体で見ると使用率は低くなっていたということでございます。

次に10ページを御覧ください。このページは一括表示の情報量についてです。ここで言う情報量というのは、※1にも書いておりますけれども、一括表示枠内の印刷部分の割合を情報量として定義しております。こちらにつきまして、ドット・レシオ・カウンターというソフトを用いましてこの情報量を測定したということでございます。

その結果、情報量が9.99パーセント以下のものが約2パーセント、10.00から19.99パーセントの範囲のものが約45パーセント、20.00から29.99パーセントの範囲のものが約47パーセントで、この3つの区分で全体で90パーセントを超えるということです。

また、読みにくさに関する先行調査というもので、情報量が19パーセントを超えると、読みたくないまたはストレスを感じる消費者が8割に達するという結果が出ておりまして、それを踏まえまして、この19パーセントを基準値としますと、約61パーセントのものが基準値を超過していたということでございます。

全体の傾向といたしましては、一括表示に含まれる文字量が少ないものほど情報量が低くなっている、具体的には、使用している原材料が少ないものほど余白が多く、情報量が低いけれども、原材料が多い食品は余白が少なく、情報量が高い傾向にあるということでございます。

ただ、下の右側の例のとおり、同じ食品群で、ここではレトルトカレーですけれども、比較してみたところ、情報量が多いものでは約30パーセント、少ないものでは情報量が約14パーセントとなっておりまして、容器包装形態ですとか原材料の数が似ているものでも情報量に差があるということも分かっております。

次に、11ページを御覧ください。このページは一括表示の配色についてです。文字色につきましては5種類、背景色につきましては7種類に分類した上でそれぞれの割合を記録しております。その結果ですけれども、一括表示のうち背景色が白色のものが約67パーセント、それ以外のものは約33パーセントで、背景色につきましては白のものが主流でした。また、文字の色は黒が約68パーセントで、それ以外のものは約32パーセントとなっております。

また、視認性が高いとされる組み合わせた色同士の明度差が高いハイコントラストの組合せが全体の約53パーセント、そうでないものが約46パーセントとなっておりました。ただ、この調査では、白と黒の組合せのもののみをハイコントラストとしていることに御注意ください。

次に12ページを御覧ください。このページから消費者による視認性等調査の結果についてです。まず(1)消費者による視認性調査ですけれども、こちらは文字サイズ、行間、行長、変形率といった要素が視認性に与える影響について調査を実施したものです。具体的には、文字サイズ、行間、行長、変形率のそれぞれの数値を変えた複数の組合せの表示例を記載した紙の調査票を用意いたしまして、約400名の被験者を対象として、読みやすい、読みにくいなどの回答をしてもらいまして、それを点数化したということです。点数の数値が高いほど読みやすい、見やすいという文字組みで、点数の数値が低いほど読みにくい、見にくいといった文字組みとなります。

その結果、文字サイズ、行間、変形率の3つの要素につきましては、数値が低いほど見やすさの評価が低い、数値が高いほど評価が高くなっておりました。すなわち文字サイズは大きいほど、行間は広いほど、変形はしていないほど見やすいというふうに推測されます。しかし、行長、1行の文字数については、長短どちらかの評価が高いわけではなくて、1行当たり20から25文字の範囲が見やすいと判断されました。例えば、下の左側の例のように、文字サイズが8ポイントでも行長が短くて、かつ変形が大きいような組合せについては評価が悪くなっていたということです。また、右側の点線囲みのように、文字サイズが7ポイントという少し小さいものでも、行間を広く確保するということによりまして、文字サイズ8ポイント以上に相当する見やすさという評価になっていたということもあります。このことから、文字サイズだけではなくて、行間ですとか行長といったものが視認性に大きな影響を与えることが推測されます。

続きまして、13ページを御覧ください。このページは消費者の視線追尾分析についてです。ここでは商品選択時の視認行動について調べるために、調査の目的を知らない消費者8名を被験者といたしまして、下の左側の写真にあるように、どこをどのくらいの時間注視していたのかというのを分析するための眼鏡型の視線追尾分析装置を付けていただきまして、商品選択するときの眼球運動ですとか行動を観察したということです。

その結果につきましては、消費者がパッケージを見る際に、裏面の左上を注視する傾向があるということが分かりました。一方で、同じ裏面でも、例えば下に記載されていることが多いバーコードですとかその周辺の注意喚起情報は、ほとんど見られていなかったということです。

次に、14ページを御覧ください。視線追尾分析の続きですけれども、同じ8名の被験者に対しまして、下の商品をサンプルといたしまして、表示項目に対するアンケートを実施いたしました。

その結果が下の表のとおりですけれども、消費者が商品選択時に重要と考えている情報は、消費・賞味期限が1位、原材料名が2位、内容量が3位、栄養成分表示が4位という順番になっていたということです。

また、同じ8名の被験者に対しまして、視線追尾分析とアンケートの後にインタビューを実施しております。その中では、例えばレトルトカレーについて、辛さの目安を確認したがこの商品に表示がなかったというような発言が複数ありましたけれども、実際には該当の商品には表記があったということで、それを眼球運動で視線の動きを確認いたしましたところ、被験者が見た面に辛さ表示があっても、視線がそこに到達していないですとか、パッケージの側面に記載があったものの、該当面を見ていないといったような見落としが原因であったというふうに分かっております。このことから、同じ内容の表示であっても、商品ごとに異なる場所に表示されている場合に見落としたり、気がつかなかったりする可能性があることが示唆されるということで、その原因は、消費者が商品全体の表示を満遍なく見ているのではなく、特定の部分を注視している傾向にあるためと推測されます。

以上が、令和2年度に実施いたしました「空間的情報量に関する調査」の報告書の概要であります。

私からの説明は以上です。

○受田部会長 谷口課長、御説明ありがとうございました。

ただいま、1つ目の調査内容であります「空間的情報量に関する調査」報告書を概要として御説明いただきました。前期の委員の皆様は御記憶かと思いますけれども、表示可能面積と一括表示面積との関係に関しては、食品表示法上のルールはございません。その結果、表示可能面積の多寡と一括表示面積の関係等に関しては、まず状況を調べ、一括表示面積の有効的な活用といいますか、その面積を広げる余裕がパッケージ上どれぐらいあるのかということをつかまなければいけないというお話がございました。

前段はそれに関する調査の内容でございます。それから、一括表示の中においても、通常の表示可能面積が一定基準以上あれば8ポイント以上の文字を使うということで、ポイント数であるとか一定のルールは設けられているわけですけれども、一定のルールを遵守したにもかかわらず、視認性という部分では、先ほどの例にもありましたように、大幅に異なってくるということがございます。これをユニバーサルデザインの観点から部会においてもヒアリングをし、いろいろな情報を頂いたということでございました。

今回、消費者庁におかれましては、空間的情報量、あるいはフォントの変形率といったところや行間や文字数、これについては先ほど定義についても御紹介をいただきましたけれども、具体的に印刷されている情報量が全体の空間から見てどれぐらいの比率になっているのかという点について調査をしていただき、かなり明確な視認性の違いというものを具体的な商品を基に調査・分類していただいているということでございます。

それから、視認性自体をアイトラッカーによって消費者がどのように確認しているか、どこからパッケージを確認しているかといったようなところも更に調査をしていただいております。かなり前期の消費者委員会食品表示部会において、全体像で議論をした内容が盛り込まれているという印象を私個人は持っておりますけれども、ここからは委員の皆様から御指摘や御意見、それぞれのお立場でどのような印象を持っているか等々、自由に御発言いただいて結構でございますので、御発言がある方はチャットでお知らせいただければ指名をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

渡邊委員、御質問があるということで、よろしくお願いします。

○渡邊委員 ありがとうございます。今の御説明にあったかどうか、聞き逃したかもしれないのですけれども、3ページの容器包装全体の表示可能面積のところで、表示可能面積の平均が510.93で、305商品となっているのですけれども、510というと結構大きいなというイメージがあるのですが、今回調査された商品は大きいものが多かったのですか。その辺りを教えていただきたいなと思います。

以上です。

○受田部会長 御質問ありがとうございます。

いかがでしょうか。お願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

平均510平方センチメートルというのが大きいか小さいかというのはなかなか難しいところであるかと思うのですけれども、この調査につきましては、容器包装を開いて、その面積の合計ということでありますので、約510平方センチメートルというのは、恐らくB5よりもちょっと大きいぐらいの面積で、食品のパッケージとして特段大きいものではないのかなと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。なかなかこれをどういうふうに受け止めるかというところは、それぞれ個人の感覚との兼ね合いかとは思いますけれども、渡邊委員、今お答えしていただきましたが。

○渡邊委員 ありがとうございます。これは、どのような商品ジャンルのものを調査したかなどというデータはあるのでしょうか。例えば、お菓子類がどのぐらいとか、冷凍食品とか、ちょっと分かりませんけれども、どんな感じの商品を調査したのか教えていただければ。6面体ばかりではないと思うので、袋物とかいろいろあると思うので、その辺りのデータを頂ければ、より分かりやすいかなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。今回、資料1で御用意いただいたのは報告書の概要版ということですけれども、これは私からの質問にもなりますが、これは報告書本体というのがあって、そこに詳細なサンプルについての類型化といいますか、分類されたような記録、何がどういうようなという具体的な調査対象品目について一定類型化しているようなものが記述されておりますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

報告書本体におきましては、調査対象についての記述がありますけれども、具体的にどういった商品の分類になっているかといったものにつきましては、そこまで詳細なものを記載しているわけではございません。

ただ、先ほど3ページでも構成する面の数の割合ということで御紹介いたしましたけれども、そういった中でも2面のものが多かったということであります。この2面というのは、上下が閉じた袋状の商品ということになろうかと思いますが、そういった商品が多かったということは言えるかと思います。その次が6面ということで、いわゆる直方体の形のものとなっておるということでございます。

以上です。

○受田部会長 そういった調査品目の詳細等に関して、今日すぐにということではございませんけれども、委員の皆様から調査品目の内容に関する御質問もございましたので、是非そこもお伝えいただければと思います。

それでは、次は石川委員、よろしくお願いいたします。

○石川委員 石川です。よろしくお願いいたします。

これだけの現状を数値化、見える化していただきまして、本当に今の状況というのが把握できました。ありがとうございます。

感想といいますか懸念事項なのですけれども、13ページにお示しいただきました視認性調査、これは写真を拝見すると、消費者の方が手に取って商品を確認していらっしゃるという状況のようなのですけれども、現状、小売の現場の方にお話を伺いますと、コロナ感染症がここまで拡大してきた中、お買い物するときに、表示というのは物すごく商品選択に大切なものですけれども、基本的には手に取って見た商品をまた売り場に戻すということが新しい生活様式の中ではあまり勧められていない。要するに、並んでいるものをそのまま見て自分が選択しなくてはいけないという状況を招いているようでございます。

となりますと、お客様の声としても、できるだけ安全に関わるような注意表示、これだけは確認しておきたい、または賞味期限といったようなものが商品の裏側に集中していて、それを見ることができずに商品を選択しなくてはいけないという声もかなり入ってきていると伺っておりますので、今後のまた改めての調査が実施されるということですが、今の行動様式に即した消費者の期待感みたいなものも反映できるような形で取り組んでいただければありがたいなと思っております。

以上です。

○受田部会長 貴重な御意見を頂きました。コロナ禍において生活様式の変更を余儀なくされていることと、この食品表示、特に視認性や消費者行動との関係ですね。非常に重要なところで御指摘があったと思います。今の意見はまず伺って、この後、様々な御意見と併せて、更に整理をしてまいりたいと思います。

菅委員、お願いいたします。

○菅委員 ありがとうございます。この空間的情報量に関する調査につきまして、質問というよりは感想めいたことを取りあえず今日は申し上げたいと思います。私は、容器包装全体の表示可能面積がそもそも狭いとは言えないのではないか、多くの食品の例においては、仮に使いこなせていないものや部分があったとしても、そもそも根本的に不足しているとは言えないのではないかという感覚や疑問を持っておったのですが、資料1の4ページなどに概要としてまとめていただいているように、先ほど渡邊委員御指摘のような、どういうサンプリングなのかという問題を取りあえず置くとすると、「表示可能面積に対する一括表示面積の割合は、9パーセント以下が全体の95パーセントを占め、一括表示面積の割合は全体としてかなり低い」ことが示されたということ。その余もこの表を見る限りでは19パーセント以下にとどまっているというようだという結果も含めまして、やはりそうであったのかなという印象を持ちました。

近時、小さなシールを容器に貼るだけでその表示を満たしているお茶のペットボトルなどが販売されていることに象徴されるような、面積がまだまだ使いこなされていないというのが現状認識としてこの調査から読み取れるのかなと思っています。

今後、議論が進められていくとした場合に、表示面積不足だからという理由をもって単純に表示項目に優劣をつけたり減らすべきであるというような立論につなげていくというのは、ちょっと採りがたくなったのではないかと思いますし、少なくとも大いに慎重であるべきだと思います。

逆に、仮に、見にくい、あるいは分かりにくいという表示例が現在一部に存在するのだという見方を前提としましても、空間的にはまだまだ大いに工夫の余地があって、また、他の調査によるフォントや色の組合せなどの配慮とか工夫などとも相まって、表示項目の削減ではない方法で大いに改善され得る問題なのではないかなというふうに、これを拝見したところで思いました。

更に言いますと、一括表示面積が表示可能面積に占める割合の調査結果などからは、今以上に表示内容が仮に増えたとしても、多くの容器包装についてはまだ余裕があって、直ちに表示面積不足を招来するとは限らないということも言えるのではないかと感じました。

先日、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会に出席させていただいた折に、イオントップバリュ株式会社の委員の方から、添加物をスラッシュの後に続けて表示するやり方とは別に、原材料と添加物とを表の形にして別のセルに入れて表示する取組について御説明があったのですけれども、十分な面積があるものについては、そうした表示の可能性などについても検討していけるところがあるのかなということも考えたりしました。

分かりやすさと見にくさというのは、関係しうると思うのですけれどもイコールではないですし、定義も難しいことがこの部会でも過去から確認されてきているものだと思いますが、見にくいから分かりにくく感じるものについては、見にくさの解消を図るには何が大事なのかを分析する必要があるのだろうと思いますし、その意味でも、資料1の5ページ以下で概要をまとめていただいている部分についても、今後の参考になるような調査がいろいろとなされているのかなと思いました。

缶やペットボトルの飲料の容器包装などを、ペットボトルが容器として良いかどうかはいろいろな議論がありますが、日々自分で比較しながら見てみましても、同じようなことを表示しているのにとても見やすいと思われるものと、とても見にくいと思われるものとにかなり差があるなと感じることがありますけれども、それが何に起因しているのか、どういう配慮・工夫がなされるべきなのかを知る上で参考にできるところがあるというふうに思いました。

科学的検討にあたっては、一つ一つの表示が絶対的に分かりやすいか、分かりにくいかというアプローチだけですと、個々の消費者がどの項目にどの程度注目をして選択しようとしている人なのかということの影響を受けやすい面があると思うので、結果の評価が難しくなる面があるようにも思うのですけれども、今回、一部、相対評価といいますか、同じことを書くのでもそれぞれ表示のされかたによって受け取る印象がかなり変わるのだということをアプローチとして使っていらっしゃる部分があると思うのですが、その色のコントラストなどの問題も含めて、そうした相対的相対評価のようなアプローチをもっともっと取り入れた調査がなされていったらいいかなと思いました。

何に起因しているのかという点については、例えば資料1の6ページには、可変印刷に使用されているフォントに変形が多いようだという御指摘とか、同じく8ページには、裏面に記載が集中する傾向が見られるようだといったような点が指摘されていますけれども、他方で、個々の原材料とか栄養成分表示等々の各表示において、文字サイズ、つまりポイント数や変形率、あるいは表示位置などについて、現状を詳しく調査していただいている中で、どういう位置にどういうフォントや色、あるいはその組合せなどをなぜ選択しているのかについては、その必然性のようなものは、今回の調査結果の中から特に導かれてはいないのかなと感じました。もともとそのような調査ではないと思うのですけれども、更なる調査が可能なのかも分かりませんが、選択するのに特段の必然性がないならばこそ、視認性の向上を図るような表示の取組をしてもらうように事業者に促すことができるのではないかと思いますし、その具体的な留意点のようなものを、「基準」とまではいかないのかもしれませんが、「指針」等何らかの形でまとめて示すことに、今後この部会として検討していけることもあるのではないかなという印象を持ちました。

視線追尾分析というのも興味深い内容だなと思いましたけれども、あるべき義務的表示の位置が打ち出せるのかについては難しい問題があるのかもしれないので、今後の検討課題なのかなと思いました。

分散しないほうが良いという面と、位置的に集中するとその部分の視認性に影響するかもしれないという点も、どう考えるのかは問題になるなと感じましたが、もし表示のルールとして追加するのであれば、じっくり検討していく必要があるのではないかなと思いました。

大変長くなりましたが、非常にこれから使える部分もあるでしょうし、もうちょっと深めていただかなければいけない部分もあるのかなという感想を持ったということだけ述べたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。いろいろ御感想を頂きましたけれども、多くの皆様は同様に感じられているのではないかと思います。また、今後の活用に関しては調査を基に議論していくことに将来的にはなるという考え方でございます。

それでは、柄澤部会長代理、お願いいたします。

○柄澤部会長代理 ありがとうございます。

私からは、今、受田部会長からお話がございましたけれども、まずはこの調査結果、非常に興味深く聞かせていただきました。敬意を表したいと思います。

とりわけ資料12ページ以降の消費者による視認性等調査において、例えば文字サイズだけではなくて、行間と行長が視認性に大きな影響を与えることが推測されるなど、私ども事業者にとっても貴重な示唆が与えられていると思っております。部会長の見解と一緒だと思いますけれども、表示の見やすさ、分かりやすさの向上は消費者の安全・安心につながって、ひいては事業者にとっても健全な市場の発展につながるものだと思っています。この観点で、この調査結果をどのように活用されていくのか、現時点でお考えがあれば、お聞かせいただきたいということと、もう一点、12ページにあります目の遠い方というか老眼の方と一般的な方との視認性の違いみたいなものは、この調査ではないような形で見えていますけれども、この点はどうなのかをお聞かせいただきたいと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の点、御質問がありましたので、御回答いただこうと思うのですけれども、この調査の活用方法、並びに、その前で今回御報告いただいた調査結果を踏まえ、今日、食品表示部会でいろいろな御意見も頂き、今後、この調査自体をどういうふうに更に進めていく予定なのかという点もお聞かせいただければと思います。多くの部会委員の皆様は御関心がおありだと思いますので、一旦お答えいただけますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

御意見いろいろ頂きました。この令和2年度に実施いたしました空間的情報量に関する調査につきましては、今年度に実施することとしております一括表示部分に関する現状の問題点等の調査で行うべき内容につきましても、一部先取りして実施しているという部分もございます。ですので、頂いた御意見ですとか今回の調査結果も踏まえまして、今年度、更に詳細な実態把握を行うことと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。そして、その調査に基づいて、今後どのように表示に関して、先ほど菅委員からもコメントを頂きましたけれども、例えば手引きとかそういう形でこの結果を広く事業者サイドにもお伝えし、それを踏まえて活用していただくという方法もあるのではないかというところがございます。ここについては今後、更に議論していかなければならない点だと思います。

ほかにもチャットに御記入がありますので、順次御指名させていただきます。まず前田委員、その次に澤木委員の順番でよろしくお願いします。

○前田委員 前田です。ありがとうございます。

13ページの視認性等の調査なのですけれども、非常に興味深く拝見しております。この辺りを皆さんよく御覧になるのだということがすごくよく分かりまして、こういうことを今後、事業者の方にも活用していただいて、より重要な情報がこういうところにあると消費者にとっても益があるのではないかと思いますので、是非活用していただきたいなと思います。

以上です。

○受田部会長 戸谷委員のチャットを見逃しておりました。申し訳ありません。戸谷委員、よろしくお願いいたします。

○戸谷委員 戸谷です。

先ほど来、議論もございましたけれども、12ページに、文字の大きさと行間の関係の調査結果で出ていますが、行間が一定程度空いていれば文字が多少小さくても視認可能であるということなので、こういう情報などについては今後の表示制度の設計にも取り入れていただければ良いのではないかと思います。また、背景の色と文字の関係なども調査結果が出ていますので、そういうところも分かりやすい表示という意味では、またこの結果を活用していただければ良いかなと思います。

それから、これは単純な質問なので、私もあまりよく分かっていないので恐縮ですが、5ページで変形率というお話が出ていました。6ページの消費期限等の変形率に係る傾向の御説明が3ポツ目にありますけれども、記載内容を日々変える必要のある印字箇所に使用されているフォントに変形が多いことが要因と考えられるとなっているのですが、この意味が私はよく分からなかったので、教えていただければありがたいなと思いました。

○受田部会長 ありがとうございます。

では、今の御質問に関して、消費者庁よりお答えいただけますでしょうか。

○消費者庁食品表示企画課 今の御質問、6ページを見ていただきますと分かりますように、日々変える必要がある印字というのは、消費期限のように日付ですとか、原産地が変わったときですとか、そういったことでラベル印刷みたいに使用する場所に使われているフォントに変形が多いことが要因というふうにここでは記載しております。

○受田部会長 ということは、こういう可変印刷のフォント自体がもともと標準で変形しているものを使っているのだという、そんな理解でよろしいですか。

○消費者庁食品表示企画課 先ほどラベルという言い方をしましたけれども、そういったものの印刷機が、そういったものが多いという傾向にあるということで、言い切ることはできませんが、実際に、特に印字する場所は平らな部分ばかりではございませんので、そういったことも踏まえてこういう字体が多いと考えられます。

○受田部会長 ありがとうございます。

○戸谷委員 分かりました。要するに、そういうパターンの印刷が、日付の変更のようなものの印刷の仕組みとしてもともと多いことからという理解ですね。

○受田部会長 そうですね。

○戸谷委員 どうもありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございます。

すみません。お待たせしました。続いて、澤木委員、お願いします。

○澤木委員 澤木です。

12ページ目を見ていただきたいのですけれども、下に表示が3つ書かれております。これらは、左側のものですけれども、長体率というのは、要は行の長さが短いということなのでしょうか。それが1点。

それから、それぞれ3つの一括表示の文字は変形等されていないのでしょうか。確かに行間が空いているほど見やすいというのはありますけれども、ユニバーサル文字は変形がされていなくてとても見やすかったということが前回あったと思いますので、その辺り、変形率がどうなっているのかを教えていただけますでしょうか。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の澤木委員の御質問に対してお答えをいただければというのと、すみません、先ほど柄澤部会長代理から、このページは老眼の申告のあった被験者の集計結果がそうでない方と大きな変化は見られなかった、これは何となくよく理解しがたいというようなニュアンスの御質問だったと思うのですけれども、ここについて更にコメントいただけますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

まず、先ほどの柄澤委員からのところで、老眼の申告があった方で集計結果を比較したところ、大きな変化は見られなかったということですけれども、少なくともこの調査の中ではそういった傾向の違いが見られなかったということでありますので、これ以上のものは、更に上の分析というのは難しいかと思います。

また、先ほどの澤木委員からの御質問で、12ページ、長体率とはどういう話かということかと思いますけれども、この長体率というのが変形率の言い換えたものです。縦の長さに対して横の長さが短くなっている、要は長細いフォントになっている場合に、100パーセントよりも小さい数字になっているということで、例えば長体率70パーセントですと、横の長さが縦の長さに対して3割ほど短い、細長い縦長の字体になっているということであります。

ですので、もう一つの質問でもあったかと思いますけれども、このフォントにつきまして、変形していないのかという話につきましては、長体率が変わっているものについては変形させているということになろうかと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

澤木委員、よろしいでしょうか。

○澤木委員 ということは、右側の2つは変形はされていないということでよろしいでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 そうです。この右側の2つの例につきましては、数値をいじっているものが文字サイズですとか行間ですので、こちらについては変形率はそのままとなっております。

○澤木委員 分かりました。

○受田部会長 ありがとうございます。

柄澤部会長代理の御質問に関しては、ちょっとこれ以上はお答えを頂けないということでしたので。

○柄澤部会長代理 結構です。

○受田部会長 申し訳ありません。

それから、恐らく先ほどの御質問に対しての補足ということかと思いますが、渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員 ありがとうございます。

先ほどの賞味期限の印字とか日付印字のことなのですけれども、フォント自体がゆがんでいるわけではなくて、これはいろいろな機械があるのですけれども、大体のものはインクジェットプリンターといいまして、もともと印刷されているものではなくて、工場の中のどこかのところでその日付を、インクを噴き出してドット印字で、印刷は全部ドットになっているのです。だから、例えば16掛ける16のドットで表示するとかいう形でインクを噴き出して日付を打つようなタイプのインクジェットプリンターで、一個一個、高速ラインで打っているのだと思います。

それで、きれいに正方形に打てれば一番いいのですけれども、例えば袋物とか、ちょっとゆがんでいたりすると真っ直ぐ当たらないから文字がゆがむという形で、もともと変形のフォントではない。要するに、工程の中でのゆがみだということを補足しておきたいと思います。

あともう一つ、製造のほうから言うと、例えばコントラストとかそういう話も今回、調査の中でありましたけれども、容器包装を印刷してもらうときにインクの色の数というのはある程度、そんなに好きなように決められるわけではなくて、例えば4色だったら4色とか、そういう形で色が決まるので、どうしても仕方がない場合もあるというようなこともありますので、今後これから深めていくときに、ある程度そういう工程上の制約とか、機械上の制約とか、そういうことも調査の中に入れていったら良いかなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

予定していた時間よりも大分多く御意見を頂いておりまして、まだチャットの御記入もありますので、一定のところで閉じさせていただきたいと思うのですけれども、今、チャット上では下浦委員からの御質問、その後、菅委員からも追加の質問、青木委員からの質問とコメントがあるというところを確認しておりますので、順次、お願いを申し上げたいと思います。できましたら、質問に関しては短めにお願いできれば幸いです。よろしくお願いします。

下浦委員、よろしくお願いします。

○下浦委員 恐れ入ります。勉強不足なのですけれども、9ページ目のピクトグラムについて、これは食品表示においては統一されていると理解してよろしいのでしょうか。それをお教えいただきたいのと、非常に分かりやすいというところでは、是非消費者の方々にはとても良いかなと思うのですが、なぜ使用率が低いのだろうと。何か理由をもし御存じであれば教えていただければと思います。お願いします。

○受田部会長 ありがとうございます。

これはお答えいただけますか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

ちょっと質問がよく聞き取れなかったのですけれども、ピクトグラムに関してどういった御質問だったのでしょうか。

○受田部会長 食品表示において、ピクトグラム自体が統一されていて、ルールがあるのかという御質問。また、その使用率が全体としては低いと書いてあることに対して、なぜなのかという質問です。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 承知いたしました。ピクトグラムにつきましては、現在の食品表示基準におきましては特段ルールはございません。ですので、なぜ使用率が低いのかということにつきましても、その理由についてはこちらでは今のところ分かりません。

以上です。

○受田部会長 ということで、下浦委員、ピクトグラムで簡単に表現ができるのではないかということで、工夫しているという現状という理解かと思います。そういう意味では、統一したルールがないので、こういう形で使用率が低いということかと思います。よろしいでしょうか。

○下浦委員 分かりました。一般の方が見ても非常に分かりやすいかと思うので、今後、そういったものの活用も必要かなと思いましたので、ありがとうございます。

○受田部会長 そうですね。全体像の中でもそういう議論がございましたし、そういう記述も入っているかと思います。これは議論が必要かと思います。ありがとうございます。

菅委員、お願いします。

○菅委員 1つだけすみません。調査報告書本体の37ページから39ページに、先ほど澤木委員が御質問いただいたことと関連すると思うのですが、視認性調査票の具体的な仕様みたいなものが紹介されているページがあるのですけれども、いかんせん報告書ではもう既に縮小されていて、これがどのような形で見えるものなのかというのが原寸サイズで分からないものですから、今後、議論していく上で、質問というよりは要望みたいな形ですが、どのようなものが大きさとして問題になっているのかというのを原寸で共有できたらなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の点は要望が出たということで、よろしくお願いいたします。

それでは、青木委員、お願いいたします。

○青木委員 ありがとうございます。我々、食品製造・販売側の事業者側の立場としての意見なのですけれども、今回の調査で視認性に関する認識というのは非常に勉強になりましたので、ありがたいと思います。

一方で、実際問題のところ、今回の調査の中でデータがあるのかどうか分からないですが、一括表示以外の情報がほかにもたくさん書かれていると思うのですけれども、そこにはどういう情報があって、それぞれの情報に対してどれぐらいの面積、情報量を示しているのかというもののデータがあると良いのかなと思ったのと、というのも、実際の食品のパッケージを作るときに一括表示だけではなくて、他の情報をたくさん書かれていると思うのですけれども、その全体の中での見やすさというのを考えなければいけないと思うのです。といったときに、表示されている面の面積に対して情報量がどれだけなのか。10ページ目にもありますけれども、情報量が19パーセントを超えると人は読みたくなくなる、ストレスを感じると、ここは非常に重要な数字かなと思っているのですけれども、これを鑑みたときに、実際に今の表示というのは本当に情報が少ないのか、情報過多なのかというものをもうちょっとしっかり調べる必要があるのではないかなと。この情報のパーセントなのか、面積なのかについては、表示可能面積というものが分母になるべきではないとちょっと思っていて、法律上はそれが正しいのかもしれないですけれども、表示可能面積というのは表面、裏面があったら両方足しての面積だと思うのですけれども、表面はデザインだと思いますので、実際の表示をする面積は裏面だけになると思うのです。その裏面の中でどれだけの情報量を占めているのですかということの数字を見ていくと、今の情報量では多いのか、情報が過多なので一般消費者が情報を見つけられづらいのかということがもうちょっと見えてくるのではないかなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。今の青木委員のコメントに対しては、そのとおりで、一括表示面積内の情報とともに、それ以外の容器に印字されている内容に関して、その情報量が表示に関する内容として、どれぐらいの情報を持っているのか。そのような全体として見たときに消費者の自主的かつ合理的選択の機会を付与するような情報として総括的に見ていかなければいけない。そのようなことで、この一括表示に関して、ここのみでなく全体で見るべきではないかという御意見かと思います。

全体像の議論の中でも、やはり一挙に全てを解決することは難しいという結論でした。消費者側のニーズ、事業者サイドの伝えたい情報や実行可能性という面でバランスを取りながら、できるところからということで、今回、特に一括表示に関する面積の全体の表示可能面積に対する割合等と、一括表示をしている中身に関して、特に視認性について、より客観的に調べていただいたということかと思います。

分かりやすさというのは、この見やすさ、視認性プラス理解のしやすさ、ここも加味しないといけないので、先ほどピクトグラムのお話がございましたように、もっともっと調査をしないといけない状況があるというふうに理解しております。

そういう意味で、できるところから一つずつということで、今のような御意見も今後の調査に関して是非反映ができるところをお願いしたいと思うところでございます。

消費者庁、部会長としてのコメントも入れましたけれども、今の青木委員からの御意見に対していかがでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

いろいろ御意見頂きました。今回の空間的情報量に関する調査の結果も、今回の部会で頂いた意見も踏まえまして、今年度実施しようとしております一括表示部分に関する現状の問題点等の調査におきまして反映させて、更なる詳細な調査をしていきたいと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。そういう意味で、青木委員、先ほど頂いた御意見も今後の調査に反映をしていくというところで考えていきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○青木委員 はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。

○受田部会長 恐れ入ります。

まだまだ御意見はおありかと思うのですけれども、もう一件、調査についての御報告と議論したい内容がありますので、大変申し訳ないのですけれども、この1項目めの調査については以上にさせてきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

≪3.「アプリケーションを活用した食品表示実証調査事業」について≫

○受田部会長 そうしましたら、続いて、「アプリケーションを活用した食品表示実証調査事業」について御報告をいただきたいと存じます。

引き続き、谷口課長、よろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 続きまして、資料2に基づきまして、もう一つの調査、アプリケーションを活用した食品表示実証調査事業報告書の概要につきまして、御説明いたします。

まず1ページ目を御覧ください。このページでは、本事業を実施した背景について説明しております。現在、食品表示は容器包装上に行うこととされておりますけれども、表示事項が増えると消費者にとって更に表示が見づらく、活用しづらくなるとの問題点もあります。例えば、ページの下で消費者意向調査の結果を載せておりますけれども、文字が小さくて見にくいですとか、表示事項が多過ぎて見にくいといった見にくさへの不満ですとか、表示があることは知っているが使い方が分からないといったような回答もあるところです。

こうした状況を踏まえまして、消費者庁ではデジタルツールを活用することで消費者にとって読み取りやすく、分かりやすい食品表示を実現できないか検討するために、令和2年度に本事業を実施したということでございます。

先ほど受田部会長からもお話がありましたけれども、食品表示の全体像に関する報告書の提言に直接的に記載されている調査ではございませんけれども、今後、食品表示部会で行われるウェブを用いた食品表示の可能性というものの検討に資するのではないかと考えられますので、本事業の結果について御報告させていただきたいと思います。

2ページ目を御覧ください。このページは今回の実証事業の概要について説明しております。本事業の概要として2つ挙げております。1つ目は実証用の食品表示データベースとスマートフォンアプリケーションを構築いたしまして、容器包装の表示をデジタルツールで代替することが可能か技術的検証を行うということで、デジタル化に向けた課題を明らかにするということでございます。

2つ目は、消費者モニターにスーパーで実証用アプリの機能を実際に使っていただきまして、食品表示を確認いただき、デジタルツールによる食品表示に関する消費者のニーズを直接確認し、食品表示の利活用に向けた課題を明らかにするということでございます。

この実証のイメージなのですけれども、下を御覧ください。まず、食品製造事業者やデータ管理会社から食品表示のデータを提供いただきます。そして、その頂いたデータを基に実証用の食品表示データベースを構築いたしまして、そのデータを格納する。次に、実証用のスマートフォンアプリを構築いたしまして、消費者モニターがそれを実際に使ってスーパーで商品のバーコードを読み取る、そうしますとデータベースに格納された食品表示データがアプリで表示されるということで、消費者モニターにはその前後でアンケートを実施する、実証のイメージはそのような流れとなっております。

次に3ページを御覧ください。このページは実証用アプリの機能でございます。このアプリには5つの機能を実装しております。左から順に、1番目がバーコードスキャン機能で、これは容器包装に記載されておりますバーコードを読み取って、このデータベースに格納されている食品表示データにアクセスするというこのアプリの基本的な機能です。

その隣、2番目がマイページ・並び替え機能で、これは見たい情報を事前に登録しておきますと、バーコードを読み取った後に希望の表示順に並び替えて表示されるという機能です。

3番目と4番目の機能につきましてはアレルギー表示の関係ですけれども、アラート機能につきましては、事前に登録しておいたアレルギー物質が赤色で表示されるという機能です。また、4番目の類似商品提案機能は、類似の商品がデータベースに登録されている場合にポップアップ表示する、その類似する商品に特定のアレルギー物質が含まれているかを表示するという機能です。

5つ目が摂取目安との比較機能で、こちらは栄養成分につきまして、1日当たりの摂取基準量の目安との比較ができるように、当該食品に含まれる割合を算出してアプリ画面に表示するという機能です。

次の4ページを御覧ください。実証の実施場所などについて説明しております。実証店舗はこちらに記載の2店舗で、実施期間はどちらも12月の5日間ずつということでございます。実証に参加いただいた人数につきましては、79人と77人ということで、2店舗合わせて約150人の方に御参加いただきました。

対象商品は、この記載の7つの食品群でございまして、この食品につきましてデータを提供いただいた事業者がこちらに記載の23社の方々でございます。

5ページを御覧ください。ここから実証事業の結果についてです。まず、このページは技術的課題に関する調査結果でございます。実証用データベースを構築するに当たりまして、食品製造事業者ですとかデータ管理会社から提供を受けました食品表示データを加工してデータベースに格納していく過程におきまして、顕在化しました課題を整理したということでございます。

左側は、食品製造事業者が提供する食品表示データに関してですけれども、各社で管理している食品表示データのフォーマットが統一されていないこと、一部の事業者は業界標準とされておりますフォーマットによるデータ管理をしておらず、データを加工する必要が生じたこと、表示のフォーマットに従ったデータでありましても、例えばアレルギー物質を含む、含まないについて、平仮名で登録するのか、数字で登録するのかなど、各社でデータ入力の仕方にばらつきがあり、単純に収集するだけでは利用することのできないデータが含まれていること、あとは食品表示データには商品パッケージの画像データを含んでいない場合が多いといった課題が挙げられております。

また、右側ですけれども、データ管理会社が提供する食品データに関しましては、標準のフォーマットに食品表示データを登録する際のブランクですとか、半角、全角といった記号などの使用ルールが整理されていないこと、データの中に栄養成分のデータが登録されていないことが多いこと、同一のバーコードであっても複数の商品が紐付いていて、バーコードを読み取っただけでは商品を一意に識別することができないものがあったこと、登録されている食品表示データにつきまして、情報が最新の状態に保たれておらず、修正が必要なものがあったといった課題が挙げられております。

続きまして、6ページを御覧ください。ここから実証に参加いただいた消費者へのアンケートから見た消費者の意向調査の結果でございます。このページは意向調査結果の総論部分です。

左側ですけれども、食品表示に係る具体的なニーズにつきまして、事前のアンケートの結果からですが、より簡潔に情報を記載してほしいなどの不満が挙げられた一方で、健康維持・増進に必要な表示項目をもっと増やしてほしいといった両極端な意見が認められたということです。

また、栄養成分の活用法を示してほしいといった表示事項の活用方法ですとか、食物アレルギーなど個人の体質等のパーソナライズ化された情報のニーズが存在することが分かったということです。

次に右側ですけれども、デジタルツールによる食品表示に係る評価についてです。こちらは実証を実際にしていただいた後のアンケート結果からということであります。まず、アプリで食品表示を見て、購入商品が変わった、または変わる可能性があると回答した方が7割を超えているということで、アプリで食品表示を確認することによりまして、消費者の購買行動が変化する可能性が示されたということでございます。また、7割以上の人が今後もアプリの使用を継続したいと回答しております。

事前アンケートにおける食品表示に対するニーズと併せて整理いたしますと、健康維持増進ですとか、食物アレルギー等に関する具体的なニーズを持っている人のほうがより継続利用の意向を有していたということでございます。

他方で、自由回答では、バーコードでスキャンする際にほとんどエラーになるので使いにくい、パッケージを自分で見ることとの違いを感じなかったといった回答ですとか、端末操作が複雑である旨の回答もあったということであります。

また、スマートフォン以外によるデジタルデバイスの活用の意向を示したのはわずか10パーセントということで、スマートフォン以外による食品表示の確認方法を明示することができなかった可能性が高いというふうに推察されます。

次の7ページは、消費者の意向調査結果の各論のうちの食品表示の見やすさについてです。バーコードスキャン機能への評価については、各機能の中で最も高く、拡大表示に対して一定の評価があったと見られます。また、拡大表示に対しましては、単純に文字を大きくすることを求める人よりも、健康維持・増進ですとか食物アレルギーなど具体的な利用目的を持つ人ほど高い評価をする傾向があったと見られます。

また、継続利用したい機能につきましては、商品比較機能ですとか摂取基準量との比較機能といったような購買行動の変容に直接つながる機能への評価が高かったと見られます。

他方で、スマートフォンの操作が難しいですとか、文字がもっと大きいほうが見やすい、あるいは情報量が多過ぎるといった回答もありまして、スマートフォンの表示ではなかなか見づらさの解消にならなかった可能性があります。

8ページを御覧ください。こちらは各論のうち、健康に関心を持つ消費者の利便性についてでございます。まず、食品表示に対するニーズを問う質問に対しましては、より簡潔に情報を掲載してほしいという回答が最も多く、次いで、栄養成分の活用方法を示してほしいというのが2番目、3番目が健康維持増進に必要な項目をもっと増やしてほしいという回答が多かったということで、健康に配慮した食品の選択を意識する消費者が多いと思われます。

また、アプリによる食品表示で利便性が向上した表示項目と、購入商品の変更に影響した表示項目は、ともに食物アレルギー情報が最も多く、次に栄養成分でした。

事前アンケートで、日頃利用している表示事項を問う質問の中では、栄養成分を挙げる回答は多くなかったわけですけれども、それと併せて考えますと、アプリを通じて栄養成分等の情報がより利用しやすくなることで、より情報が活用されるようになる可能性があると考えられます。

次に9ページを御覧ください。このページは各論のうちの個人の好みに合った食品の選択についてです。原材料ですとか添加物の表示を日頃利用すると回答した人の約9割が、アプリにより利便性が向上したと回答しております。

一方、アプリの機能ごとの評価を分析いたしますと、原材料の表示を日頃利用すると回答した人におきまして、拡大表示機能ですとかマイページ機能の使い勝手が良いと回答した人は約5割にとどまっていたということで、マイページ機能につきましては、まだ改善の余地があると考えられます。他方で、自由回答では、現在の表示と変わらないですとか、塩分やカロリーにも力を入れてほしいなど、容器包装に掲載されている以上の情報を求める意見ですとか、ネット通信販売でも使えると良いなどの意見も見られました。

次の10ページを御覧ください。このページは小売事業者へのインタビュー調査結果についてですけれども、消費者と食品製造事業者の間におります小売事業者の方にもインタビューを実施したということです。具体的には、食品表示に関する消費者のニーズですとか小売事業者における食品表示データの管理上の課題を把握するために、小売店3店舗の品質管理担当者の方を対象にヒアリングを実施したものでございます。その結果、まず、小売事業者における食品表示データの管理につきましては、食品表示情報を含む商品規格書等の情報が小売事業者においてデータとして管理されておらず、店舗まで共有されていないといったことですとか、データを最新状態にする必要があるけれども、全ての製造事業者に随時確認はできないといった回答がありました。

また、食品表示に関する消費者からの問合せにつきましては、産地やそのほか掲載されていない栄養成分の情報、例えばカリウムですとかリンといったもの、あるいは一食品当たりの栄養成分量等の問合せが多いということで、商品の仕様書ですとか製造事業者に確認をして回答しているということでございます。

また、食品表示データの将来の在り方につきましては、消費期限の管理ができるようなデータがあれば在庫管理の効率化が図れるだろうけれども、中小企業には難しいだろうといったことですとか、また、スマートフォン端末を所持しない消費者も考慮に入れる必要があるといった回答がございました。

これらからの考察といたしまして、今後、小売事業者における食品表示データ管理を調査する必要があること、消費者から事業者への問合せ内容を踏まえまして、義務表示事項に関連する情報提供の在り方を検討すること、アプリによる商品データの活用が実用化されれば、消費者が表示の疑問を自己解決できるようになると期待されることなどが挙げられております。

次に11ページを御覧ください。このページは令和3年度以降の取組に関する提言ということで、本事業の実施結果を踏まえまして、更なる調査検討を進めることが提言されております。まず、食品製造事業者、流通事業者、小売事業者、データ管理会社における食品表示データの整備・管理状況や課題などの実態を調査すること、2点目として、店舗の多くの商品をカバーするような形でデータ収集範囲を拡大した実証の取組をすることですとか、容器包装に記載されている以上の補足的な情報を提供することで、消費者の食品表示情報の一層の利活用につながるか検証すること、4点目として、多様なニーズを持つ消費者に対し、どのような手段で情報を伝達することが有効か、スマホアプリ以外も含め、データの利用方法を検討することなどが挙げられております。

以上のような調査結果を踏まえまして、今年度以降におきましてもこのデジタルツールを活用することで、消費者にとって読み取りやすく、分かりやすい食品表示を実現できないかを検討する実証事業を引き続き行うこととしております。

私からの説明は以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま消費者庁からアプリケーションを活用した食品表示実証調査事業の概要を御報告いただきました。ウェブを用いた食品表示の提供の在り方というところにつながっていく内容かと思います。

それでは、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。またチャットで御記入いただけますでしょうか。

宗林委員、お願いいたします。

○宗林委員 宗林です。

とても画期的な取組で関心高く読ませていただきましたが、幾つか質問がございます。今回は商品数も多くなく限られていたかと思いますが、バーコードを付けていくのはメーカーさんだと思いますので、1つの質問としては、これに対してのコストが掛かる中で、メーカーの協力が得られる可能性がどうかについてこれから調査されていくのかというのが1点でございます。

それから、そもそも商品に付けているバーコードというのは、例えば原料原産地が変わるたびにバーコードが変わっていくのかどうかというところも、基本的なことですが、分からないので、そこをまた教えてください。

○受田部会長 ありがとうございました。

まず、御評価を頂いたということ、そして、今後、商品数を増やしていくべきであるという御意見を頂いた上で、バーコードを利用している点について2点関連する必要だったかと思います。要は仕組みとしてバーコードを利用しているということですけれども、メーカー側にこの取組に関して特別な御負担を強いることになるのかどうか、それから、表示内容が変わったときにバーコード自体が変わっていくのか、そうではないのかといった質問でございます。これは消費者庁からお答えいただけますでしょうか。さらにまた、事業者サイドからの補足をしていただければと思います。まずは消費者庁、お願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

まず、この調査につきまして、メーカーの協力を得られるのかということでございますけれども、昨年度実施した事業につきましては、先ほど御紹介いたしましたけれども、23社の事業者の方とデータ管理会社の方に御協力いただいてデータを頂いたということであります。この調査結果の中でもございましたけれども、今回につきましては限られた商品数ということでしたので、消費者の中でもエラーばかり起こるというような回答もございました。ですので、今年度の事業におきましては、商品数ですとかデータの数を増やして、更なる実証を行いたいと考えております。

また、バーコードにつきましては、原産地が変わるとバーコードも変わるのかということに関しましては、こちらでは分かりかねますけれども、恐らくそういったもので変わることではないのではないかというふうに推測されます。

以上です。

○宗林委員 すみません。最後のところが聞こえなかったのですが、バーコードを拾うということはすばらしいのだけれども、最新の状態に常にバーコードで変化していくのかどうかというところですが。

○受田部会長 ちょっとそこは消費者庁サイドではお答えができないということでしたので、もし可能でございましたら、渡邊委員、補足していただくことは可能でしょうか。

○渡邊委員 渡邊です。

これは先ほどの中の、いわゆる製造者がつけているJANコードというバーコードなのですけれども、基本的には1つの商品に対して1つのバーコードがついているということで、例えばどのように利用されているかというと、スーパーでバーコードを読むと、商品で更に金額までが出てくるというのは、そこのスーパーで商品と値段とかそういう情報を全部登録しているのでスキャンすると出てくるということなのですね。だから、基本的にはある商品、商品というのは例えば飲料だったらある飲料の容量も決まった1つの商品に対して1つのバーコードが振られているので、例えば同じ商品という認識で原材料を変えたりしても、その原材料を変えることによって商品が変わらないのであれば、そのバーコードが変わるということはないです。ただ、これはいろいろあるのですけれども、例えばスーパーとかに商品を納めるときに、当然JANコードがどうなっていて、どの商品にどういうJANコードを付けるかというのがあるのですけれども、バーコードが一緒だとスーパーから全て同じ商品だと認識されるので、例えば、本当に新しい商品として売り出したいときはJANコードも新しくして売り出すというところもあります。

だから、必ず商品と1対1対応しているということです。なので、今回のスライドの中で別の、私はあまりこちらは詳しくないのですけれども、ジャパン・インフォレックスが提供する食品表示データというのは同じJANコードで複数の商品が紐付いているというのは、ちょっとどういう意味かよく分からないのですけれども、通常は商品に対して1個でないとコントロールができないので、そういう形になっております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

○宗林委員 ありがとうございました。

○受田部会長 宗林委員、今、渡邊委員からも補足をしていただきました。ちょっとまだ詳細な部分、これはまた今回全てクリアにすることは難しいようですので、今頂いた意見等に関しても、今後、調査が継続・発展をしていく中で、より我々の知りたい情報であるということで詳細について補足していただくようにしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

○宗林委員 結構です。

○受田部会長 ありがとうございます。

宗林委員に続いて、次は前田委員ですね。お願いします。

○前田委員 前田です。

今御説明いただいたことと関連するのですけれども、私も今、バーコードを読んだことでその商品の全体像が見えることになっているのだと勘違いしていたのですけれども、説明で分かりました。

3ページにあります真ん中のアラート機能のところで気になったのですけれども、真ん中の赤字で「含有成分が変わることがあるため、上記は全てを保障するものではありません」という記載がありまして、もしこのようなことがあるのであれば、商品を直接手に取って見たほうが安全なわけで、便利なのだけれども、危険になってはいけないと思うのです。ですので、そういったアプリを開発するときにはそういうことに留意していただいて、必ず専門家に入っていただくですとか、安全性に配慮したアプリを作っていただければなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。安全性の確保をする上でこういう表示、曖昧といいますか、消費者サイドから見ると極めて重要な情報が正確に伝わらない状況は良くないということで、更に整理、技術的な改善が必要であるというお話ですね。ありがとうございます。

それでは、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

10ページの小売業者のインタビューの調査結果の2つ目の問合せ内容と対応方法で、おおっと思うことが書いてあったので意見を申し上げたいと思います。

問合せの中でカリウムなどの問合せが多いということが書いてあるのですけれども、これは恐らく透析を受けている患者さんがカリウムの量をすごく気にしていると思います。実際、透析を受けている患者さんはカリウムを取り過ぎると命に関わりますので、これは多分、生死に関わる問題だと思います。透析を受けている人が全国に30万人ぐらいいると思うので、全人口で見たら0.3パーセントとかいうような数ではあるのですけれども、物すごく重要な情報なので、これは各事業者が答えられるように体制を整えてもらうほうが、健康の安全上は重要なことかなと思います。

特に最近の流れで減塩の食べ物が増えてきています。減塩するとナトリウムは減るのですけれども、その分全部カリウムに変わりますので、劇的にカリウムが増えるという状況があります。一般的にはお茶やコーヒーにもたくさん含まれていて、そういったことを、原材料そのものであれば一覧表のようなものがあるのですけれども、複合原材料になればなるほどカリウムの量というのは計算しづらくなると思うので、作った人にしか分からないものですから、こういったことを考えなければいけないなと思いました。これは意見であります。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。インタビュー調査の結果、極めて重要な問合せがあるという実態が明らかになっているということ。そして、これをどういうふうに今後知りたい情報として、重要な情報として正確にお伝えできるか。こういう点も、ウェブを使った情報提供の在り方の中でも考えていかないといけないということですね。極めて重要な示唆を頂いたと思います。今村委員、ありがとうございました。

それでは、戸谷委員、お願いします。

○戸谷委員 戸谷です。

5ページの中で、製造事業者さんが提供するデータについて、データのフォーマットが統一されていないなどいろいろ課題が出されております。同じ商品でも会社が異なると消費者がスマホを見たときに、例えば会社間のデータを比較したりすることができないなど、デジタルツールを所期の目的のように使いこなせないということになる可能性があるので、この改善というのは、デジタルツールを使うに当たっては重要なのだろうと思います。

食品の話だけではないのですけれども、御案内かもしれませんけど、いわゆるオープンAPI、アプリケーション・プログラミング・インターフェースという形で、いろいろな企業さんのデータを一つのフォーマットといいますか、プラットフォームの中で相互に見られるようにしていく取組はいろいろなところで行われています。ただ、食品メーカーさんは大から中小まで非常にいっぱいあって、そういうところの調整は結構大変だし、企業さんの協力に当たっても経営コストも掛かったりという点があるので、この辺りは十分な検討が必要だなと感じます。

最後の11ページでも、食品事業者さんのデータ管理のところを調べ、オープンデータ化に対する影響を評価するというお話が出ていますので、ウェブ化につなげるためには十分な検討が必要ではないかなと思いましたので、これは意見といいますか、感じた点でございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。技術的な課題に関するコメントを頂いたということかと思います。今の戸谷委員の御意見は非常に重要な視点でございます。今後の調査に生かしていただく必要があるかと思います。ありがとうございました。

菅委員、お願いいたします。

○菅委員 菅です。また感想めいたものが中心になるかもしれませんが、まず、前提としては、参考資料3に付けていただいている令和元年8月の報告書の16ページにおいても、「ウェブを用いた食品表示の可能性」については、過去から積み上がってきた本体の容器包装上の義務的表示を簡単にウェブに移して良いとは言えないのではないかという難しい問題があることを踏まえて、ここでは「利活用の必要性があるか等の消費者の意向等」をも考慮して、段階的に検討していくことになっていると認識していますので、今後もこうした議論を踏まえたものであるということは留意していただければなと思います。

その上で、資料2で御報告のあった実証事業なのですけれども、今回の試みの結果としては、フォーマットの統一のような技術的な問題に始まって、提供される一括表示プラスアルファの情報の質・量の問題としても、中小事業者も含めた事業者の対応可能性の問題としても、消費者のニーズの問題としてもいずれも課題が多くて、やはりなかなか一筋縄ではいかないものだなということをまずは現状認識とすべきかなと思いました。

いみじくもこの報告の中で、資料2の7ページに「情報の確認・収集しやすさ以上の付加価値が求められる」のではないかという指摘もなされていますように、「併用表示」以上の価値をどう見出し得るのかというのは、まだまだ検討が必要なのかなと思います。

資料2の11ページにまとめていただいているようなことについても、いずれも重要なことだと思いますし、これから検討していかれればと思うのですが、参考資料3の報告書16ページでいう第1段階との関係での検討も必要です。資料2の報告は、参考資料3の報告書中の第2段階にもちょっと関係するような御報告なのかもしれないと思いながら読みましたし、第1段階の関係での取組、ひょっとするとアレルギー等のアラートの有用性といったことも第1段階的なことなのかもしれないと思って興味深く読んだのですが、第1段階で検討が期待された内容・課題についても、ウェブの活用可能性について大変難しいことだと思っていますけれども、検討可能なところから少しずつ調査等をしていただければなと思いました。

私からの質問的なことですが、資料2の9ページの4-マル4などに見られる「利便性」というものの評価も、なかなか質問として難しい質問なのかなと思います。ここに「利便性」というのは、アプリそのものの評価なのではないかと思うのですけれども、表示が本体になされているよりも利便性が向上したという数字とまでは読めないものという理解でいいでしょうか。また、今後議論していただく上では、このPITSフォーマットというものがどういうものなのかということも仕組みも含めてもっと詳しく御説明いただけたらなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

前段の御意見、コメントに関しては、全体像において第1段階は容器上の表示とウェブ上の表示の併用というのがあるのではないか。第2段階は補完という考え方があるのではないか。第3段階に制度上という、そういう段階を踏む必要があるのではないかという提言だったかと思います。そして、その併用においても、先ほど意見がございましたように、前田委員から御意見があったのでしょうか。アラート機能等が正確性に欠けるようなことがあってはいけない。やはり併用ということを安直に考えることはできないのだという御意見だったかと思います。

それから、9ページの利便性に関する質問ですけれども、利便性が向上したとは何を意味するかという点については、消費者庁側はどのようにお答えされますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

9ページの利便性に関する問いにつきましては、食品表示をアプリで確認できることで利便性は向上しましたかという問いに対する答えの部分でございますので、菅委員の御質問の中でありましたように、本体の表示と比べてとか、そういったような条件は特段入っておりませんで、フラットに利便性は向上しましたかというふうに聞いている質問ということでございます。

以上です。

○受田部会長 我々が気にしている消費者サイドの意見というところとは若干違いがあるようですね。菅委員、今のようなお答えです。

○菅委員 そういうものなのだろうなと思っていて、やはりこのよって立つべきアンケートなり調査の取り方というのが、これからの方向性を考える上で大事だと思うのですけれども、ここでも難しい問題があるのだなというのを再認識しました。

○受田部会長 消費者がどういう情報を見たいのか、どのような方法で見たいのか、それによってどう感じたかという本当にトータルな最後、利便性という言葉の表現なのかもしれないのですけれども、ここについてはちょっと課題ということにさせていただきたいと思います。

田中委員、お願いします。

○田中委員 田中です。よろしくお願いします。

私からは、健康に配慮した食品の選択を意識する消費者が多いという点からお話をさせていただきたいと思います。

健康維持増進などの具体的な利用目的を持つ方への情報提供というふうになると、また新たな表示の追加などが発生するのではないかという点です。例えば、3ページにあります実証用アプリ機能の一番右側に摂取目安量との比較機能というのがあるのですが、これは恐らく日本人の食事摂取基準を基に利用しているのだと思うのです。これを利用するに当たっては、いわゆるプレアンブル、利用の前置きというものも情報提供していかなくてはいけないということです。例えば年齢、性別、身体活動、または患者さんなのか、患者さんではないのかということも情報提供して、これは活用することになるのかなということ。

また、健康維持増進情報提供には、強調表示になるような言い方も出てくるでしょうと。例えば先ほどカリウムの話もありましたけれども、取ってほしくない栄養成分が多い、少ないという栄養素の強調表示。または、今いろいろ検討している部分はあるのですけれども、栄養プロファイル的な情報。これは過剰摂取を減らすべき栄養素、例えばナトリウムとか転化糖とか飽和脂肪酸、または積極的に摂取すべき栄養素、野菜とか果物、それは栄養素ではなくて食品ですけれども、栄養素としてはたんぱく質と、そういった強調表示になるものの整理が必要なのではないかということが一つ考えられました。

あと、できればアンケート回答者の基本属性、ここの中に出ていますけれども、数が少ないので年代別や意識などのクロス集計というのは難しいかもしれませんが、こういった健康維持増進などの情報提供は、全ての商品に全て必要かという選択肢も考えていかなくてはいけない。もしかしたら年代別や意識などのクロス集計がされれば、対象者や商品別に情報提供の内容が絞られるかもしれないということです。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。とても重要かつ難しいところで、アラート機能や更には一部の成分に関しての多寡、あるいは栄養プロファイルのお話もございましたけれども、様々な御関心を持っておられる消費者に対して、その成分の特性あるいは量的なもの、そのプロファイルまでを提供して価値のあるものはあるとはいえ、逆にそれが強調表示とかそういった他の法律との整合といったようなところで慎重に扱わなければいけない部分がある。おっしゃるとおりですね。

この辺り、利便性という言葉で表現されております表示を更に二次的に活用していく仕組み作りの部分では大いに考えなければいけない内容であり、かつ慎重に扱わなければいけない部分かと思いました。田中委員、ありがとうございます。

すみません。今日も時間的には17時を目安にとは思っておりましたけれども、ちょっと延びそうであるということを御了承頂いて、さらに、石川委員、澤木委員、青木委員からチャットへの御記入がございます。順番に御指名させていただきます。石川委員、お願いします。

○石川委員 石川です。ありがとうございます。

1点だけなのですけれども、このような消費者が重要な情報を得るための手法が多様化されるというのは大変大切なことなので、今後も是非検討を続けていくべきだと思いますが、今回調査をされて、食品表示データのフォーマットがばらついていてなかなか難しいという結論を頂いておりますが、例えば今回、データ提供いただいた23社のメーカーさん、かなり大手のところが多いかと思うのですけれども、この23社に対しては、恐らく今回のデータ活用の趣旨ですとか、実際に消費者調査をしてみてどうだったかといったようなフィードバックもしておられるのではないかと思いますので、いま一つ、これらの23社の企業さんではデータの統一ということが本当に可能なのかどうか。その辺りもヒアリングしていただけると、出発点としてその可能性が見えてくるのではないかと感じました。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございます。実行可能性の面では、今の提供する側のデータの統一、あるいは一定のフォーマットを含めた在り方を統一していけるかどうかというところが本当に重要な問題かと思います。今回は23社、大手の企業の皆様ですけれども、これが一般的な他の企業の皆様、中小零細企業が多い食品メーカーに対してどうかというところを考えないといけない部分はたくさんあるようですね。ありがとうございます。

それでは、続いて、澤木委員、お願いいたします。

○澤木委員 私も消費者の立場としては、やはり容器包装との併用を望みます。

それから、今回のバーコードスキャン、3ページなのですけれども、QRコードと違いまして直接原材料名一括表示欄にたどり着くことができるとか、あとはアラート機能も活用できる。それから、右側ですけれども、先ほどの田中委員の御意見も分かりますが、消費者としては、この下の「あなたの摂取基準量」が一目で分かるという意味では、ナポリタンの缶を1つ食べると食塩もこれだけ取るというのがとてもよく理解できると思うのです。可能であれば、ウェブ上だけではなく、容器包装もまだまだ書けるところはあると思いましたので、「一日当たりの摂取基準量」も入れていただけると、消費者としては栄養成分表示の活用につながるのではないかと思いました。

○受田部会長 ありがとうございます。消費者の知りたい情報がこういうところにもあるし、これはウェブの提供のみならず、容器の側への反映もあり得るということですね。ありがとうございます。

それでは、青木委員、お願いいたします。

○青木委員 3点ほどあります。

私もこの委員なのですけれども、もともとの本職は今日いろいろ出てきている小売業に所属しているものなのでよく分かっているのですけれども、まず1つ、アプリ等々の実効性のところでいくと、取りあえずイオン等々でいくと、既にこういうアプリみたいなものは自社で作って、お客様が食品表示以上にアプリの中で情報を検索できるようにしようというようなものは既にリリースをしていまして、それをまた実際に共通化されたものでやろうということになると、二重でやらなければいけないということが実際に発生するわけです。そういったときに、本当にそれをやりますかと言われたら、多分、二重に掛けてやる労力のメリットがどこにあるのですかという議論はきっと出るだろうなと、これは一事業者としてのコメントとしてさせていただきます。

2点目が、半分質問になるのですけれども、8ページ目です。アプリによる食品表示で購入に影響した食品表示事項としてアレルギー情報というのがあると思うのですけれども、アレルギー情報については割と多くの企業が通常の法律で求められる表示以上に、表面にアイコンを載せたり、分かりやすい一覧表を作って色を付けたりとか見やすい表示に工夫をしていると思うのですけれども、今回対象となった商品は、そういったものがあったのか、なかったのか。そういう見やすさの工夫がされていても、やはりこのアプリが便利という話だったのかどうかというのは興味があるところです。

もう一つ、栄養のところでいくと、栄養成分表示というのは今、数値が羅列しているだけであって、一日の摂取量の何パーセントですよとかいう表示をしているところは少ないと思うのですけれども、海外に行くと、逆にそういうほうが当たり前で、数値プラス一日の何パーセントですよとか、栄養スコアみたいな、星3つ付いていたりという表示があると思うのですけれども、そういう表示の見やすさをパッケージでしたらどうなるのかということも検討の余地があるのかなと思ったのが2点目です。

3点目は、これもどちらかというと事業者寄りなのですけれども、アプリというよりは、アプリの基になっている食品表示データベースが一方で欲しいなと思っているところで、なぜかというと、今、小売業の中でも実店舗とeコマースですね。オンライン上での食品の販売というのがかなりあると思うのですけれども、eコマースのところでお客様が購入されるときにパッケージ上の原材料表示とか、アレルギー表示をされているECのサイトは圧倒的に少ないのです。それはなぜかというと、正しい情報が取れないから。それをお客様がオンラインで買うときにふさわしい情報をいかに早く正確に事業者の差がなく取れるかといったら、こういう共通のデータベースが必要になると思いますので、消費者の行動がもう実店舗ではない世の中になっていくという前提においては、共通の食品表示のデータベースというものは、あって喜ぶ事業者は多いと思います。この3点です。

○受田部会長 ありがとうございます。事業者サイドとして小売の世界からのお話を頂きました。

1点目の既にリリースしているということで、実績を先行して積んでおられる企業の皆様がいらっしゃるということ、これはしっかり受け止め、実行可能性に関して今後調査を更に重ねていくということかと思います。

それから、アレルギー情報とかそういうアイコンを工夫している事業者様がいらっしゃいます。それは容器に自主的により分かりやすく表示をされていると。そういう方々に対して更に今回のウェブを使った提案の仕方というのは、その利便性を上げていくのかどうか、もっと言うと、そういう商品が入っていたのかどうかというようなこと、あるいは栄養成分の表示の在り方として海外との比較のお話もあったかと思います。それをいかに国内でも情報提供ができるようにするかという点。要は、既に工夫されているもの、あるいは国内のみならず海外でもそういう情報提供をしているところに対してどうかという話。

最後の部分、これは今後、物すごく今回の調査が関わっていく大きなテーマ、出口だと思います。eコマースに対してウェブを通じた食品の成分表示がどのように仕組みとして具体的に導入していけるのか、そういったところまで話を進めていくことが全体像の議論においても前提でございましたので、大変大きなコメントをいただいたと思っております。

特に2点目のアレルギー情報などのアイコンで工夫している商品がアプリを利用した情報提供の具体的事例としてあったのかどうか、これが質問だったかと思いますけれども、そこだけお答えいただけますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。

今回の調査の中におきまして挙げております7食品群の中に、そういった工夫したアレルギー表示をされている商品とかもあったかもしれませんけれども、そういったものの有無について、データとして整理しているわけではございませんので、それについては更なる分析というのはなかなか難しいかなと思っております。

以上です。

○受田部会長 今のようなお答えです。そして、今後に向けて、今の青木委員の御発言に関しては、調査を進めていく上で非常に重要な視点がたくさんありましたので、この点については消費者庁において御意見をしっかり受け止めていただいて、調査を進めていく上で活用をお願いしたいと存じます。

青木委員、いろいろ貴重な御意見を頂きましたけれども、今後に活用させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

○青木委員 大丈夫です。よろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございました。

チャット上では以上の御意見、御質問でございます。私が17時というのを言ってしまったために遠慮をしておられるのではないかとは思いますけれども、そろそろ時間でございますので、2点目の「アプリケーションを活用した食品表示実証調査事業」の報告について、本日の食品表示部会としては、以上で議論を終了させていただきたいと思います。もちろん、頂いた御意見を更にしっかりと反映していくこと、また、今後もこの事業自体、調査が進められていくに当たって、次期になりますけれども、食品表示部会において御意見を頂き、ディスカッションする場を持つことが可能だと思っておりますので、またその部会での議論を委員の皆様には注視をしていただければと思います。

消費者庁におかれましては、御説明をいただき、また、種々御回答いただきまして、ありがとうございました。

今、まとめさせていただきましたけれども、今回このような調査が実施された背景には、食品表示が現在、容器縛りという言葉を使っておりますけれども、食品容器上に表示をしなければいけないという制度上で、そこに盛り込むべき情報量がかなり増えてきたこと、更に消費者の側が知りたい情報が増えてきていること、また、事業者サイドとしても積極的に表示をすべきとお考えの項目もあるというふうに伺っております。そういう意味で、一つこの容器縛りの限界が見えているのではないかというところから、全体像の議論、多くの時間をかけ御意見を頂いて取りまとめたところでございます。

一方で、最後に青木委員からも御紹介をいただきましたように、コロナ禍においてEC市場というのが、従来の伸び以上に極めてその取扱量や額が増えているというものでございます。直近でも、食品、飲料、酒類は取扱金額が2兆2000億円という、これは昨年の金額かと思いますけれども、国内消費者向けのECでの取扱金額という情報も拝見をしたことがございます。

こういったECサイトでの消費者の皆様の購買頻度が増えていること、また、ますますその場が増えていくということが想定をされていることから、容器のみならず消費者にお届けしないといけない情報をECサイト、デジタルの世界でも整備をしていかないといけないニーズは非常に高いと存じ上げているところでございます。

そういう意味で、全体像の議論を更に実行に移すために調査を急ぐとともに、その調査結果を事業者サイド、消費者サイド、そして、Codexを含めた海外との関係性も明確にしながら進めていく必要があるというふうに感じているところでございます。

本日の議論、また御意見をしっかりと消費者庁におかれましても受け止めていただき、今後の食品表示の在り方に調査をはじめ実行に向けて反映をしていただきたく、よろしくお願いを申し上げます。

≪4.閉会≫

〇受田部会長 以上を結びとさせていただいて、本日の議事を終了させていただきたいと思いますけれども、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○太田参事官 本日も長時間にわたりまして御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

最後に、事務局長の加納より御挨拶を申し上げたいと思います。

○加納事務局長 加納でございます。

本日が今期の食品表示部会の最後の会合ということになりますが、受田部会長をはじめ委員の皆様におかれましては、この2年間、部会にいろいろと御参加いただきまして、誠にありがとうございました。食品表示基準の改定等、幾つかテーマはございましたけれども、毎回熱心に御議論いただきまして、無事、審議等を進めることができたかと考えてございます。

本日御議論いただきました食品表示の全体像の議論につきましても、第5次の委員会からの継続案件ということでございまして、引き続き、9月以降、また新たな消費者委員会の体制を取ることになりますけれども、継続して議論を重ねていくことができればと考えているところでございます。

また、本日は消費者庁の皆様におかれましても、非常に丁寧に対応していただきまして、どうもありがとうございました。また引き続き、消費者委員会としましても、消費者庁の皆様とも連携をさせていただきながら議論を続けさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

委員の皆様には、また何かの機会で御指導いただくこともあろうかと思いますので、引き続き、消費者委員会、消費者庁の取組につきまして御指導、御協力いただければ大変ありがたく存じます。ありがとうございました。

以上でございます。

○受田部会長 加納事務局長、ありがとうございました。

今期最後の部会ということでございますので、改めて一言皆様に御礼を申し上げたいと思います。今期はまず何よりもコロナの影響で皆様と対面で食品表示部会をほとんど開催することができなかったことを一つ残念に思っております。これまで食品表示部会は多くの傍聴の皆様に御注目をいただきながら、委員の皆様に御意見をかっ達にお出しいただいていたところでございます。今回の最後もそうですけれども、直接お会いし、また、多くの傍聴の皆様に対して議論をオープンにしていくことがリアルにできなかったことを大変残念に思っているところでございます。

一方で、この議論の様子は改めて公開をされていくことになると思いますので、御関心のある皆様にはまた御注目をいただけるのかと思います。そういう意味で、コロナ禍において議論の形がこれまでと全く異なったということで、スムーズな運営ができなかったことについて大変申し訳なく思っているところでございます。

いずれにせよ、今期諮問された食品表示基準の改正等に関しては、委員の皆様の御理解、御協力をもちまして、中には大変難しい課題もございましたけれども、この食品表示部会としての役割を全うすることができたと思っております。

今後、次期に向かっては、先ほどのeコマースを含めた食品表示の在り方等について、極めて大きな変革の時期が近づいているのではないかと感じております。今期の食品表示部会の御議論が将来に活用され、しっかりと反映されることを我々委員一同、一緒に注目をしてまいりたいと思いますし、いろいろなところで委員の皆様にはお力添えを頂きたく、お願いを申し上げます。

今期2年間にわたりまして皆様に様々な御意見を頂きましたことを改めて御礼申し上げまして、本日、部会をこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)

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