令和3年8月3日

ASEAN+3外相会合参加者

茂木大臣スピーチ

茂木大臣の参加状況

 8月3日、午後5時15分から1時間50分間、オンライン形式にて、第22回ASEAN+3(日中韓)外相会議(議長:エルワン・ブルネイ第二外務大臣)が開催され、日本側から茂木敏充外務大臣が出席しました。

  1. 冒頭、茂木大臣から、ASEAN各国に加え、中韓のアスリートの活躍にお祝いを述べるとともに、更なる健闘をお祈りする旨述べました。続けて、新型コロナウィルス感染症に関する日本の協力の進展として、以下のとおり発言しました。
    (1)第一に、保健・医療分野では、日本は、安全性、有効性、品質が保証されたワクチンを公平かつより多くの人々に届けることを全面的に支援している。本年、ASEAN諸国に対し、合計960万回分の日本で製造したワクチンを供与してきているほか、コールドチェーン整備のための約25億円の「ラスト・ワン・マイル支援」を実施中。また、感染が急拡大している一部のASEAN諸国に対する酸素濃縮器の供与を決定した。
    (2)第二に、日本は、経済再生支援として、ASEAN諸国に総額1,850億円の財政支援円借款を供与した。
    (3)第三に、ASEAN感染症対策センターについて、ASEAN地域における公衆衛生の危機や新興感染症対策の中核となる組織に育てていくべく、日本は既にJAIFに拠出した約5千万ドルを通じたセンターの建設や機材供与等に加え、研修や専門家派遣等の技術協力を通じ、引き続き全面的に支援していく。
  2. ASEAN+3協力に関し、茂木大臣から以下のとおり発言しました。
    (1)チェンマイ・イニシアティブ改訂契約書の発効を歓迎。新型コロナに対応できるよう運用が改善されたASEAN+3緊急米備蓄は食料安全保障の観点からも重要であり、引き続き支援していきたい。本年12月には、栄養課題の解決に向けて、東京で「栄養サミット」を開催予定。各国の参加を呼びかけたい。
    (2)保護主義が高まる中、自由で公正な経済秩序の構築が重要。日本はASEAN+3の全ての国が参加するRCEP協定の国内手続を完了し、受諾した。早期発効に加えて、着実な履行の確保が極めて重要であり、各国とともに取り組んでいきたい。
    (3)ASEAN自らが策定した「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」は、インド太平洋地域の平和、安定及び繁栄のため、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け極めて重要。AOIPの重点分野で具体的協力を促進していくことが重要であり、日本もAOIPが掲げる原則を具体化する協力案件を進めていく。
    (4)ポストコロナ時代の成長の原動力は「グリーン」と「デジタル」。「グリーン」については、ASEAN諸国との間で、脱炭素社会への移行を加速化させる協力を進めていく。「デジタル」については、自由で開かれたデジタル空間の発展に資するインフラ整備や人材育成等に取り組んでいく。
  3. これに対し、ASEAN側から、日中韓からの新型コロナに関するASEAN対応基金への拠出、ワクチン供与、日本によるASEAN感染症対策センターの設立支援を含む新型コロナ対応への協力などについて謝意が表明され、新型コロナ対策及びコロナからの回復における地域の協力の重要性を強調する発言がありました。
  4. 地域・国際情勢に関し、茂木大臣から、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨を述べるとともに、拉致問題に関し、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
     ASEAN側から、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性に関する発言がありました。また、拉致問題解決を支持する旨の発言がありました。

     また、茂木大臣から、ミャンマー情勢への重大な懸念を表明するとともに、ASEANの事態打開のための努力を高く評価する、特使の派遣を始め「5つのコンセンサス」を速やかに具体的成果につなげていくことが極めて重要であり、日本はASEANの取組を力強く後押ししていく旨述べました。また、人道支援に関し、ミャンマーの人々への食料・生活物資等の支援を実施しているほか、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)への協力を引き続き実施していく旨述べました。
     これに対し、ASEAN側から、ミャンマー情勢について「5つのコンセンサス」の迅速な実施に向けて取り組んでいくこと及びミャンマー国民への人道支援の重要性について言及がありました。