(令和3年7月30日(金曜日)10時50分 於:本省会見室)

冒頭発言

茂木大臣のASEAN関連外相会議参加

【茂木外務大臣】来週はASEANウイークという形でありまして、来週、オンライン形式でASEAN関連の外相会議が開催されます。
 まず8月3日火曜日には、日ASEAN外相会議とASEAN+3外相会議、4日には、東アジア首脳会議(EAS)参加国の外相会議、そして6日金曜日には、日メコン外相会議とASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合がそれぞれ予定されておりまして、日本からは私(大臣)が出席する予定であります。
 一連の会合では、新型コロナ対応に加えまして、ミャンマー情勢、南シナ海問題、北朝鮮情勢を始めとする地域情勢に関して意見交換を行う予定であります。その中で、日本の方針や考え方をしっかりと説明して、関係国との連携強化、確認をしたいと思っております。
 ASEANは、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた要となる地域であります。「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」に対する日本の支持、これを強調しながら、FOIPの実現に向けた具体的な協力について、突っ込んだ議論を行っていきたいと、そんなふうに思っております。私(大臣)からは以上です。

ASEAN関連外相会議(ミャンマー情勢)

【NHK 山本記者】今お話のあったASEANの一連の会合ですけれども、ミャンマー情勢、議論されるということですけれども、ちょうど8月1日で、クーデターから半年になりますけれども、この会合で日本からはどういったことを訴えていくのでしょうか。

【茂木外務大臣】ミャンマー情勢については、2月の1日にクーデターが発生したわけでありますが、それから日本としても、当時で言いますと、暴力の即時停止であったり、更にはアウン・サン・スー・チー氏を始めとする拘束者の解放、更には民主的体制の早期回復、こういったことも求めてきたところであります。
 特にこの関連では、ASEANがASEANリーダーズ・ミーティング、これを開催いたしまして、ミャンマーも含めて「5つのコンセンサス」と、これを打ち出したわけでありまして、日本もこの「5つのコンセンサス」、ASEANの取組を後押しすることが重要であるということは、G7であったりとか、G20の会議等でも強調してきたところであります。
 まさにこれから、「5つのコンセンサス」中でも、特使の派遣であったり、更にはミャンマー国内での対話の開始、こういうものが焦点になってくる段階でありまして、そういった問題も含めてしっかり議論したいと、こんなふうに思っております。

ミャンマー総選挙の無効宣言

【時事通信 近藤記者】関連です。ミャンマー情勢で、先日、ミャンマー国軍が任命した選挙管理委員会が、昨年11月の総選挙の無効を発表しました。NLD解党に踏み切るのではないかとの見方もあって、民主化の動きに逆行する動きだと思うんですけれども、昨年の総選挙の正当性についての日本のスタンスと、今後、働きかけを国軍に対して強めていかれるお考えがあるのかについてお願いします。

【茂木外務大臣】ご指摘いただいた今回の動きは、これまで日本が求めてきております民主的な政治体制の早期回復に逆行するものであり、好ましくないと考えております。
 そして、昨年のミャンマーの総選挙でありますが、日本としては、昨年ミャンマーに派遣した日本政府の選挙監視団からは、国内外の選挙監視団が見守る中で、概ね平穏に投票が実施されたとの報告を受けており、そのように理解をしているところであります。
 いずれにしても先ほど申し上げたように、これから様々な形で、国内で立場の異なる人たち、こういった人たちの対話というものが、やはり私(大臣)は必要なのではないかなと、そういう対話を通じて、どういった形で民主化というものを回復していくか、こういったことが模索できればと思っておりますし、そこの中でも、Special Envoy、特使の果たす役割というのは大きいと思いますし、また日本としても、そういった取組を支援していきたい、後押しをしていきたいと思っています。

北方領土問題

【NHK 山本記者】日露関係について伺います。今週の月曜日ですけれども、ロシアのミシュスチン首相が北方領土の択捉島を訪れました。大臣、談話も出されていましたけれども、この中で、首相が関税免除などの優遇措置が適用される特区を設置して外国投資を誘致したいという考えを示しました。ロシア側は、これ以上の詳細というのを明らかにしていない状況だと思いますけれども、日本政府に対しては、何らか具体的な説明というのは行ってきているんでしょうか、お願いします。

【茂木外務大臣】今回の件については、談話で発表したとおりでありまして、そこの最後の部分で、共同経済活動についても触れていると思うんですが、北方四島における共同経済活動については、ロシア側との協議をこれまでも精力的に行ってきております。政府として、今回のプーチン大統領の発言について留意しておりまして、共同経済活動を更に具体化するべく、我が国の法的立場を害さないことを前提として、引き続き様々なレベルで協議を進めていきたいと思っております。
 具体的に向こうから税がどうなるとか、具体的に報道等されていることについて、具体的な説明を受けているわけではありません。昨年来、なかなかコロナ禍で、この共同経済活動についても、具体的な進展というのが、実際に人の行き来も含めて難しくなっている部分もあると思うんですけれど、この共同経済活動を更に進めていくと、また場合によっては、こういったものも含めて、日露の協力を新しいステージに引き上げていくためには、どんな分野が考えられるのかと、こういう議論をすることは有益だと、そんなふうに思っております。