令和3年7月26日

 7月22日(現地時間同日)、マーシャル諸島共和国の首都マジュロにおいて、我が方、齋藤法雄駐マーシャル諸島共和国日本国特命全権大使と先方キャステン・ネッド・ネムラ外務貿易大臣(Hon. Casten Ned NEMRA, Minister of Foreign Affairs and Trade of the Republic of the Marshall Islands)との間で、以下2件の無償資金協力(供与額計12億円)に関する書簡の交換が行われました。

  1. 対象案件の概要はそれぞれ以下のとおりです。
    (1) 海上輸送体制の強化のための支援(経済社会開発計画)(供与額:9億円)
     マーシャル諸島は、29の環礁と大小多数の島々から構成される島嶼国であり、国土が広大な海域に散在しているため、海上輸送は市民の移動及び物資の輸送のために不可欠です。しかし、船舶数の不足により、十分な輸送ができず、環礁によっては必要物資の供給が恒常的に滞っています。この協力では、マーシャル政府に対し、人の移動と物資の輸送の双方に利用できる、海上輸送を担う貨客船を供与することにより、同国の海上輸送体制の強化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

    (2)電力供給安定化のための支援(経済社会開発計画)(供与額:3億円)
     マーシャル諸島は、海外市場から遠く離れた広大な海域に、国土が散在しており、その特有の狭小性、隔絶性、遠隔性から国際的な原油価格変動の影響を受けやすい上に輸送コストも上乗せされ、恒常的に燃料価格が高価となっています。マーシャル諸島政府は、ディーゼル発電以外の電力供給を確保するため、2050年までに再生可能エネルギー100%を目指しているものの、現状では電力供給のほとんどをディーゼル発電に依存しており、エネルギー安全保障上の脆弱性を抱えています。この協力では、マーシャル政府に対し、発電用の燃油の供与を通じ、同国の電力の供給の安定化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

  2. 我が国は、本年7月2日にテレビ会議方式により開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「持続可能で強靱な経済発展の基盤強化」を支援の柱の一つとして表明しており、上記2つの協力は同表明を具現化するものです。

[参考1]マーシャル諸島共和国基礎データ
 マーシャル諸島共和国の面積は約180平方キロメートル(霞ヶ浦とほぼ同じ)、人口は約5.8万人(2019年、世界銀行)、一人当たりの国民総所得(GNI)は4,860米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考2]第9回太平洋・島サミット
 7月2日、テレビ会議方式により、菅総理とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。マーシャルからはクリストファー・J・ロヤック大統領代行が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。