(令和3年7月20日(火曜日)15時35分 於:ジャマイカ)

冒頭発言

 おはようございます。東京は朝の5時半かと思いますけれど、こちら14時間時差ですから、午後の3時半をまわったところです。今日もなかなかハードなスケジュールでした。
 今回、グアテマラ、パナマ及びジャマイカの中米カリブ3か国を訪問しました。キューバ訪問については、新型コロナの感染拡大状況等の事情に鑑み取りやめといたしましたが、キューバのロドリゲス外相とも電話会談を行いました。電話会談の内容についてはすでに貼り出しをしてあると思います。
 年明けの中南米5か国訪問に続いて、これで中南米諸国8か国、訪問したことになりまして、これは歴代の外務大臣としては最多であります。今回の中米カリブ諸国歴訪の主要目的の一つは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性について、中米カリブ諸国と認識を共有し、連携を確認することにありました。「自由で開かれたインド太平洋」についても日本の考え方や取組について説明をし、自由で開かれた国際秩序のために連携を強化することで一致を得たところであります。
 東アジア、そして中南米を始めとする地域情勢についても議論を行いました。国際社会全体が直面する課題として、力による一方的な現状変更の試みに対する深刻な懸念も共有しました。さらに、新型コロナ、気候変動、こちらで多い防災の問題、移民問題の対応、そして経済協力についても意見交換を行いました。防災は、台風やハリケーンの被害に見舞われる日本と中米カリブにとって共通の課題であります。いずれの課題についても日本への期待は大きく、今後も協力していくことを確認したところであります。
 今回の中米カリブ歴訪では、訪問しました3か国の首脳・外相との会談のみならず、グアテマラでは8か国が加盟をします中米統合機構との外相会合、そしてここジャマイカでは14か国が加盟するカリブ共同体との外相会合、さらに二国間の対談であったりとか電話会談を合計11件行い、中米カリブ諸国との対話を深めたところであります。1月のメキシコ訪問とあわせますと、これで中米カリブ地域の全ての国、22か国になりますが、すべての国と対話を行ったことになります。これらの意見交換を通じて、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」をさらに強力的に推進していきたいと考えています。
 合計22か国という国際場裡においても一大勢力であります中米カリブ諸国と、伝統的な友好関係の更なる強化と、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた連携を確認できたことは大きな成果であった、このように考えています。私からは以上です。

質疑応答

【記者】今回の歴訪ではグアテマラなど台湾承認国と多くの会談協議をされましたが、これらの国に対する中国の影響力の変化をどのように感じられましたでしょうか。

【大臣】確かに、世界の台湾承認国15か国のうち、8か国が中米カリブ諸国であります。今回、各国との間でアジア、そして中南米地域情勢についても意見交換を行いました。私からは力による一方的な現状変更の試み、これは国際社会全体が直面する課題であること、これを指摘をし、懸念を共有できたと考えています。各国からも中米等の地域情勢について説明があり、共通の認識を深めることができたと考えています。今回の中米カリブ訪問での会談で、自由で法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の重要性について認識の一致をし、連携を確認できたことは極めて有意義だったと、こんなふうに考えています。

【記者】日韓関係について伺います。韓国の文在寅大統領日本訪問が行われないことになりました。この受け止めを伺いたいのと、今回の訪日見送りを巡っては、ソウルにある日本大使館の相馬総括公使の発言、これが影響したんじゃないかという見方も出ていますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】今般、韓国側、文在寅大統領、オリンピックに合わせて訪日することはない、こういう決定をしたわけでありますが、その背景について日本政府としてお答えする立場にない、と考えています。日韓関係を改善したい、こういう思いは、日本、韓国の間で共通しているんじゃないかなと思っています。なお、相馬公使の発言については外交官として極めて不適切なものであり、遺憾だと考えております。本件については相星大使から相馬公使に対して厳重に注意を行ったところであります。