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第30回独立行政法人評価制度委員会・第43回評価部会・第13回会計基準等部会合同会議 議事録

日時

令和3年4月26日(月)10:00~11:35

場所

ウェブ会議にて開催

出席者

(委 員)澤田道隆委員長、梶川融委員長代理兼会計基準等部会長、原田久評価部会長、高橋伸子評価部会長代理、野﨑邦夫会計基準等部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、浜野京委員、会田一雄臨時委員、長村彌角臨時委員、佐藤綾子臨時委員、中川順子臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局等)横田行政管理局長、阪本官房総括審議官、山本管理官、久山管理官他

議事

1 委員長の互選
2 委員長代理の指名
3 委員会運営規則等の確認
4 委員会運営規則の改正
5 部会に所属する委員及び部会長の指名
6 部会長代理の指名等
7 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂について
8 令和元事業年度の事業報告書について
9 今年度の調査審議について

配布資料
資料1 
資料2-1 
資料2-2 
資料2-3  
資料2-4 
資料2-5
資料2-6 
資料3 
資料4 
資料5
資料6 
資料7 

議事録

【山本管理官】 本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから第30回独立行政法人評価制度委員会・第43回評価部会・第13回会計基準等部会合同会議を開催いたします。本日の会議は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインで開催しております。
本日は、第4期の初会合でございますので、委員長が選出されるまでの間、便宜上、事務局の方で議事進行を務めさせていただきます。
それでは、4月1日付けで内閣総理大臣から任命の発令がございました10名の委員の方と5名の臨時委員の方、また、3名の専門委員の方をあいうえお順に御紹介いたします。資料1も御参照ください。
まず、委員の10名の方を御紹介いたします。
天野玲子委員。梶川融委員。金岡克己委員。栗原美津枝委員。澤田道隆委員。島本幸治委員。高橋伸子委員。野﨑邦夫委員。浜野京委員。原田久委員。以上10名でございます。
澤田委員及び島本委員は、今期から新たに就任いただいております。なお、御紹介いたしましたうち、高橋委員につきましては遅れて御参加予定と伺っております。
次に臨時委員、5名の方を御紹介いたします。
会田一雄臨時委員。長村彌角臨時委員。佐藤綾子臨時委員。中川順子臨時委員。南雲岳彦臨時委員。以上でございます。
長村臨時委員及び南雲臨時委員は、今期から新たに就任いただいております。なお、南雲臨時委員は本日御欠席です。
最後に専門委員、3名の方を御紹介いたします。
河合晃一専門委員。清水剛専門委員。横田響子専門委員。以上でございます。
清水専門委員及び横田専門委員は、今期から新たに就任いただいております。
それでは、次に議題1といたしまして、委員長の互選をお願いしたいと存じます。独立行政法人通則法第12条の6により、委員長は委員の方々の互選により選任いただくことになっております。いかがでしょうか。
【浜野委員】 私は、今般委員になっていただいた澤田委員を、委員長に推薦したいと思います。理由としましては、澤田委員は、野路前委員長と同様に民間企業経営者としてトップマネジメントに関する御知見や、デジタルトランスフォーメーションやオープンイノベーションを進めた御経験が豊富と伺っております。本委員会では、これまで法人の活性化や、社会課題の解決に向けた法人の能力の最大限の活用に向けた議論を進めてきましたが、昨年来、新型コロナウイルス感染症対応で浮き彫りになってきている取組の遅れや課題を克服して、どのようにニューノーマルに対応するかということも話題になっております。法人がその役割を着実に果たして、より高みを目指してもらうことをこの委員会で後押しするため、委員会の議論を引き続き活発に進められるよう、澤田委員の御知見と豊富な御経験を委員長として生かしていただければと考えますので、推薦させていただきます。
【山本管理官】 ありがとうございます。ただいま浜野委員から、澤田委員にお願いしたいという御意見がございましたが、ほかに御意見ございますでしょうか。
(「ありません」の声あり)
【山本管理官】 よろしいでしょうか。それでは、互選の規定により、澤田道隆委員が委員長に選任されることになりました。
それでは、ここからは澤田委員長に議事の進行をお願いしたいと思います。澤田委員長、お願いいたします。
【澤田委員長】 今回から委員として参加させていただくことになりました。さらに委員長という大役も仰せつかって、身が引き締まる思いです。浜野委員からの御期待に沿えるかどうか分かりませんが、微力ではありますが、精一杯努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、次の議題2、委員長代理の指名に入りたいと思います。委員長代理につきましては、独立行政法人通則法第12条の6第3項に基づき、私が指名させていただきます。委員長代理は梶川委員にお願いしたいと存じますので、皆様、よろしくお願いします。
梶川委員、よろしければ一言御挨拶をお願いしたいと思います。
【梶川委員】 梶川でございます。委員長代理という重責でございますが、独立行政法人の議論には長く参加させていただいてございますので、皆様方の御協力を得ながら務めさせていただきたいと思います。また、委員長を少しでもお助けできることがあればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】 続きまして、議題3に移りたいと思います。委員会の運営について定める規程等の確認と、議題4として、委員会運営規則の改正について審議したいと思います。
運営規則の改正につきましては、これから独法制度改革フォローアップ調査等を行っていくことも見据えまして、新しい体制となるこの機会を捉まえて、委員以外の外部有識者を委員会の審議に参加させるための規定を確認的に創設するものであります。詳細につきましては事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【山本管理官】 委員会の運営について定める規程の確認と、委員会運営規則の改正について御説明いたします。
資料2-1を御覧ください。委員会の運営規則でございます。まず第2条では、委員長が会議を招集することや、ビデオ会議システムを利用した会議への参加も認めること、また、やむを得ない事情があるときには書面による議決ができることなどが定められております。また第3条では、会議は原則として公開すること、第4条では、議事の経過について議事録を作成して公開することなどが定められております。また、第5条には、部会の運営について規定がされております。
次に資料2-2を御覧ください。先ほど御覧いただきました運営規則について、先ほど委員長からもありましたとおり、外部有識者に審議に御参加いただくための規定を追加する改正案を御用意しております。これまでも、委員会には法人の理事長の方などをお招きして意見交換などをしておりましたが、委員以外の方に会議に御出席いただくことについて、運営規則上、確認的に根拠規定を設けるものでございます。この規定を第5条に追加しまして、既存の第5条、6条を1条ずつ繰り下げております。後ほど御審議をいただけたらと思います。
次に、資料2-3を御覧ください。部会の設置規程でございます。部会につきましては、引き続き評価部会と会計基準等部会の2つの部会を置くこととしております。
次に、資料2-4を御覧ください。評価部会への付託事項に関する委員会決定でございます。中(長)期目標の変更及び法人の役員の退職金に係る業績勘案率については、評価部会の議決をもって委員会の議決とすることとされております。
次に、資料2-5を御覧ください。会計基準等部会への付託事項に関する委員会決定でございます。会計基準及び会計監査人の監査に関する基準の技術的な変更等につきましては、会計基準等部会の議決をもって委員会の議決とすることとされております。
最後に、資料2-6を御覧ください。委員が独立行政法人等の関係者となっている場合の、審議への参加についての申合せとなっております。委員が独立行政法人や国立大学法人等の役員や常勤職員、あるいは法人等の運営を審議する外部の委員や会計監査人等の法人の関係者である場合には、当該委員は関係する法人に関する審議・議決について意見を述べることを差し控えることや、議決に参加しないことなどが定められております。また、申合せに該当しない場合でも、判断の中立性・公正性に疑念を生じさせるおそれがあるときは、委員の申出により審議・議決を回避することができる旨が定められております。
以上でございます。
【澤田委員長】 ただいまの説明と運営規則の改正案につきまして、御質問、御意見などございましたら、御発言いただけますでしょうか。
外部有識者の参加というのは、議事を深めるためにも非常に重要だと思いますし、やはり中立性・公正性の確保は非常に重要なことですので、これらの規程類を踏まえ、委員長である私もしっかりと判断しながら進めていきたいと思います。
御意見よろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【澤田委員長】 それでは、運営規則につきましては案のとおり改正した上で、これらの規定に基づいて今後の委員会の運営を進めてまいりたいと思います。
後ほど、本年度の進め方を審議いたしますが、本年度の委員会では、見直し対象法人に係る審議のほか、国立大学法人等の組織・業務の見直し、独法制度改革フォローアップ調査の結果に基づく検討、独立行政法人会計基準等の改訂などに関する審議を予定しております。
つきましては、今後これらを審議するに当たりまして、これまでの経緯を承知されており、また、独法の評価・会計に幅広い御知見をお持ちであります、樫谷公認会計士事務所所長の樫谷隆夫先生に、改正運営規則第5条の規定に基づきまして御出席をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、続きまして議題5に移ります。まず、評価部会及び会計基準等部会の委員、臨時委員及び専門委員の所属につきまして、独立行政法人評価制度委員会令第1条第2項に基づいて、委員長から指名をいたします。
昨年度から継続の皆様の所属につきましては、これまでどおりとさせていただきたいと存じます。また、新たに就任いただきました委員につきましては、島本委員、南雲臨時委員、清水専門委員、横田専門委員におかれましては評価部会に、長村臨時委員におかれましては会計基準等部会にそれぞれ御所属いただきたいと存じます。
次に、各部会の部会長につきまして、委員会令第1条第3項に基づいて指名させていただきます。評価部会は原田委員、会計基準等部会は梶川委員にそれぞれお願いしたいと存じます。
それでは続いて、議題6として、両部会長におかれましては、部会長代理の指名等を行っていただけますでしょうか。まず評価部会の原田部会長、よろしくお願いします。
【原田委員】 評価部会長を拝命いたしました原田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
評価部会の部会長代理でございますが、委員会令第1条第5項に基づきまして、部会長から指名をさせていただきます。部会長代理につきましては、高橋委員にお願いしたいと存じます。皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。
また、評価部会では、これまでユニットに分かれて活動してまいりましたが、評価ユニットの委員の所属につきましても、御覧いただいている席上配布資料に基づきまして、所属をお願いしたいと存じます。
また、先ほど改正された運営規則に基づきまして、今後、評価部会におきましても樫谷先生に御出席を賜りたいと存じます。樫谷先生におかれましては、評価部会の会議のほか、ユニットで行う主務省及び各法人へのヒアリング等につきましても御一緒くださいますと幸いでございます。
それから、評価部会につきましても、運営に係る申合せがございますので、確認をしたいと存じます。事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【山本管理官】 御説明します。資料3を御覧ください。
独立行政法人・国立大学法人・大学共同利用機関法人等から受領した金銭の届出についての申合せでございます。評価部会では、外観上、評価の中立性・公正性をより確保する観点から、委員会の申合せに加えまして、前年に独立行政法人や、国立大学法人等から受領した手当、謝金等の金銭について、毎年度当初にその金額を事務局に届け出ていただくとともに、年度途中で1日当たり5万円以上の金銭を受領した場合には、随時、事務局に届けていただくこととされております。また、部会長はこの届出を踏まえまして、評価の中立性・公正性を確保するために必要な措置を講ずることとされております。
以上でございます。
【原田委員】 ありがとうございました。今の確認事項を踏まえまして、今後、部会の運営を行ってまいりたいと存じます。私からは以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
続きまして、会計基準等部会の梶川部会長、よろしくお願いいたします。
【梶川委員】 会計基準等部会長を拝命いたしました梶川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
部会長代理につきましては、委員会令第1条第5項に基づき、私のほうより御指名させていただきます。部会長代理はこれまでに引き続き、野﨑委員にお願いしたいと思います。野﨑委員、よろしくお願いいたします。
また、会計基準等部会においても、改正運営規則に基づき、今後、樫谷先生に審議への御出席をお願いしてまいりたいと思います。以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、議題7、「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂につきまして、梶川部会長より御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【梶川委員】 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」、いわゆる「独立行政法人の監査基準」の改訂について御説明いたします。「独立行政法人の監査基準」が、3月下旬に開催されました会計基準等部会及び財務省の財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会において了承され、改訂されましたので、当委員会においてもその旨を御報告するところでございます。
資料4を御覧ください。改訂後の「独立行政法人の監査基準」のうち、前文を抜き出したものでございます。ローマ数字のxiiページを御覧ください。1つ目でございますが、改訂の経緯、2つ目に改訂の内容、3つ目に今後の発展と適用の時期を記載しております。
まず、「1.改訂の経緯」について説明いたします。今回の改訂の経緯でございますが、昨年11月に、企業会計審議会より「監査基準の改訂に関する意見書」が公表され、企業会計における監査基準が改訂されました。これを踏まえて、会計基準等部会と法制・公会計部会の下に設置されました共同ワーキング・チームにおいて、「独立行政法人の監査基準」の改訂の要否、及び改訂が必要とされる内容について検討を行いました。その結果、取りまとめた改訂案が3月下旬に開催されました会計基準等部会及び法制・公会計部会において了承され、改訂されたところでございます。
続いて、「2.改訂の内容」について簡単に御説明いたします。基本的に、企業会計の監査基準の改訂を踏まえて行われたもので、「その他の記載内容」及びリスク・アプローチの強化について、「独立行政法人の監査基準」にそれらの内容を取り入れております。「その他の記載内容」について、独立行政法人における「その他の記載内容」に相当する部分は、事業報告書のうち「会計に関する部分以外の部分」が該当すると整理いたしました。また、企業会計の監査基準と同様に、会計監査人が「その他の記載内容」について行う手続を明確にいたしました。
2つ目のリスク・アプローチの強化につきましては、現行の「独立行政法人の監査基準」に記載されているリスク・アプローチの概念や考え方を踏襲しつつ、企業会計の監査基準と同様にリスク評価の考え方等を明確にしたところでございます。また、企業会計の監査基準の改訂とは別に、書面・押印・対面の見直しに関連した表現の修正等も行っております。
最後に、「3.今後の発展・適用時期」について御説明いたします。「その他の記載内容」に係る改訂内容は、令和4年3月決算に係る監査から適用、リスク・アプローチの強化に係る改訂内容は、令和5年3月決算に係る監査から適用し、これらを除く項目、先ほど御説明した書面・押印・対面の見直しに関連した表現を修正したところでございますが、これに関しましては令和3年3月決算に係る監査から適用といたしました。
以上、資料4を御説明させていただきました。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
梶川部会長の報告につきまして、御質問、御意見等がございましたら、御発言いただけますでしょうか。
私から質問ですが、「その他の部分」というのは、企業会計などでも非財務的な部分をイメージしているのですが、そういうイメージでよろしいでしょうか。
【梶川委員】 「その他の記載内容」に相当する部分は、事業報告書のうち、「会計に関する部分以外の部分」ですので、会計と関連する記載も含まれますが、非財務的な部分は含まれてきます。
【澤田委員長】 皆さんのほうからいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、梶川部会長、ありがとうございました。
続いて、議題8に移りたいと思います。令和元事業年度の事業報告書について、梶川部会長より御報告をお願いしたいと思います。
【梶川委員】 議題8、令和元事業年度の事業報告書について御説明いたします。資料5を御覧ください。こちらの資料は、独立行政法人の令和元事業年度の事業報告書についての事例を紹介するものでございます。「独立行政法人の事業報告書に関するガイドライン」等に基づき、令和元事業年度より、独立行政法人の事業報告書は、非財務情報や将来情報等を盛り込んだ新しい様式で作成されています。令和元事業年度はその最初の年度であり、令和2事業年度の事業報告書に生かしてもらう目的で本資料を作成しております。なお、こちらの資料も資料4と同様、当委員会への御報告という位置付けでございます。
本資料の構成ですが、右下1から2ページが、「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」についての概要、おさらいでございます。3ページから37ページが事例の紹介、38ページ以降が各法人に対して行った、事業報告書に対する取組状況に関するアンケート結果となっております。本資料については各法人に共有するとともに、総務省ホームページに掲載しており、各法人が令和2事業年度の事業報告書の作成に当たって参考にし、一助になればと考えております。
資料5の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
梶川部会長の報告につきまして、御質問、御意見等ございますでしょうか。天野委員。
【天野委員】 事業報告書については、各法人、どの程度の仕上げ具合にしたらいいのか、特に財務情報と非財務情報の結びつきについてどこまでお金をかけてシステムを整備したら良いのかというのは悩まれているようですが、各法人はシステムを活用した出来高管理にどの程度取り組んでいるのか、状況を教えていただけますでしょうか。
【澤田委員長】 事務局で回答できますでしょうか。
【久山管理官】 財務情報と非財務情報の区分け等については、まだ決まったところがあるわけではなく、システムの整備についても、各法人の判断で取り組まれている状況です。
【天野委員】 これからDXが進んでいくことなどを見据えると、ある程度の整理は将来考えていかざるを得ないのではないかと思います。私は国立研究開発法人に関係している状況もございまして、法人から意見を伺うと、中の上か上の下ぐらいを狙ってやってみようと考えているという意見をいただくことが多いです。ホームページで事例紹介をされているようですが、財務情報と非財務情報の結びつきという観点から、どの程度まで取り組めば良いか目標が示されれば良いと思いますが、いかがでしょうか。
【澤田委員長】 企業でも統合報告書がありまして、財務情報と非財務情報、全てを統合して作成していますが、これまでは財務情報がメインで、非財務情報は別途財務情報とは結びつけない形で書いていた部分がありました。ですが、エシカルな世の中になっていく中で、今は非財務情報をメインにしながら財務情報を書くという建て付けに変えていっています。例えば環境に関することや社会に関することは、投資として考えて、企業としてはどこかで長期的なリターンを得られるよう、財務情報と非財務情報を一体として考えないといけません。そういう世の中になっているということを考えますと、どちらかいえば、非財務情報を念頭に置きながら財務情報を見ていく、考えていく、書いていく、こういう建て付けのほうが分かりやすくなるのではないかなと思います。特に環境は脱炭素が注目されていますけれども、そういう建て付けの中で取り組んでいくという方向だと思います。
【天野委員】 おっしゃるとおりだと思います。特に国立研究開発法人に関して言いますと、どの法人も大型研究施設の老朽化という問題を抱えていますので、どうしても運営費交付金の中における施設の維持管理の予算と研究開発投資に向ける予算の比率が、苦しくなっているところが多くあります。そうした中で、税金からきちんと研究開発成果を出していただいて、イノベーションを起こして産業に結びつけるという流れを考えると、独立行政法人評価制度委員会でも、非財務情報と財務情報を結びつけた出来高管理というのを方向性として打ち出していくべきではないかと考えます。よろしくお願いします。
【澤田委員長】 法人が取り組んできて、素晴らしい成果が出ているのですが、それをどのようにお伝えするかというのも非常に重要であり、伝えることそのものが独法制度をうまく機能させることに効いてくると思います。
【原田委員】 今の点と関連するのですが、今回、事業報告書が相当充実しているということは大変喜ばしいことなのですが、各法人のウェブサイトを見ますと、事業報告書の掲示場所が法人毎に異なっておりまして、財務に関する情報として整理する法人もあれば、業務に関する情報として整理する法人もあります。横並びで87法人を見ていくと、統一感がなく、国民が事業報告書にアクセスすることが困難なため、ホームページの作り方も、例えば、業務・財務で分けるのがいいのかどうかも含めて、各法人、主務省でお考えいただいた方が良いのではないかと思います。
【澤田委員長】 事務局、どうでしょうか。
【久山管理官】 御指摘ありがとうございました。いただいた御意見を踏まえて検討してまいりたいと思います。
【澤田委員長】 各法人のHPを色々見てみましたが、おっしゃるように事業報告書の掲載場所にたどりつくのが難しいところもありました。事業報告書の中身は素晴らしく分かりやすい内容が書いてあるので、情報発信の仕方も、国民が閲覧しやすいように、統一的に理解しやすいような形でまとめていただければ良いと思います。
【梶川委員】 天野委員がおっしゃった一定の水準について、今後、各法人の実績が出てくる中で、委員会で一定のガイドをしていくことについては、全く異論はございません。ただ、事業報告書というものの本来的な考え方としては、法人の長のリーダーシップの下で作成することが重要なのであり、これは企業でも同じだと思いますが、非財務情報と財務情報を結びつけた形で報告していただくに当たっては、各法人が自分たちの戦略を発信する上でのストーリー性が重要になると思います。各法人が自らのポリシーを国民の皆さんにどのように理解していただくかというところが重要になると思いますので、統一的に理解可能性を高めるということも大切ではありますが、各法人がどのような形でアカウンタビリティを戦略的に果たしていくかという自主性も尊重して伸ばしていければと思います。
【澤田委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 法人にとっても事業報告書は大変重要だと思います。ただ、法人は色々な視点から評価を受けていまして、ホームページ等も拝見しますと、様々な評価書がリストアップされている中の一つに事業報告書があり存在していて、法人にとっては、事業報告書の作成を作ることやその他の数多くの評価をすることも相当な負担になっている可能性があるのではないかと思います。委員会の所掌外かもしれませんが、法人に対する様々な視点からの評価の在り方というのが整理されても良いのではないかと思いますした。
また、様々な評価がある中でも、民間企業にとっての統合報告書に当たるものは事業報告書だけであり、事業報告書は法人の関係者に開示すべき情報が全て集約されたものだと思いますので、その開示の仕方はもう少し工夫していただいた方が良いと思います。
【野﨑委員】 栗原委員の意見、まさしくそのとおりだと思います。民間企業の場合ですと、独法の事業報告書に当たる統合報告書を評価してもらうことで、株価が上がったり、資金調達がしやすくなったり、ビジネスが上手くいったりするという流れがあります。独法においても、事業報告書を充実させて、梶川委員もおっしゃったストーリーを説明することによって、法人の業務を更に進展させるインセンティブのような形で使われると、非常に良いのではないかと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。島本委員、よろしくお願いします。
【島本委員】 多くの先生が御指摘されているとおり、本当に官民の線引きが曖昧になっていて、民間においても株主以外にもステークホルダーが広がっているという状況ですので、独法においてもこうした民間の流れをフォローしていく必要があると思います。非財務情報の開示についても、例えばヨーロッパを中心とする国際会計基準であるIFRSも、ESG情報の開示基準に踏み込み始めているので、独法会計においても対応していかなくてはいけないのだろうと感じました。
【澤田委員長】 ありがとうございます。同感です。高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋委員】 私も、せっかく事業報告書を作っても見てもらえないというのはとても残念なことだと思います。ホームページのお話も出ていましたが、本当に探すのが大変です。企業の場合は、他の委員もおっしゃっていますように、自らの情報を開示することの重要さを感じているのですが、独法も国民への説明責任を大きく背負っている立場にあると思います。作ったものを見てもらえないということは、今後の予算や外部資金獲得や事業遂行にも関わってくることですので、法人の業務をもっと理解してもらうようにすべきだと思います。
これまでも、委員会の調査審議の中では、独法同士だけでなくて民間も含め様々な機関と連携していくことが必要であると申し上げてきましたが、連携を進める上でも自分たちの事業をアピールすることは重要でだと思いますので、委員会としてもサポートしていけるように、意見を出していけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】 ありがとうございます。金岡委員、お願いします。
【金岡委員】 ホームページが出始めた頃、そのルックアンドフィールをどうするかという議論が多くあったかと思います。私は仕事柄、多くの企業・団体のホームページを見ておりますが、業種、業界ごとに、かなり標準化されているところと、そうでないところがあります。英語で言いますとabout us、自分たちは何者かというところに、議論になっておりますような統合報告書を載せているところもあります。比較的統一感があるのは、例えば銀行業では、銀行の財務諸表等を大体掲載しています。また、文部科学省認可の学校法人については、厳しい情報公開の定めがありますので、やはり事業報告書その他を掲載しています。それらに比べ、地方公共団体をはじめ官公庁はあまり統一感がないと思いますので、今回、この統合報告書が重要ということであれば、せめてabout usに関するようなところにこの統合報告書を掲載するという、最低限のルールは定められても良いのではないかと感じます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
次は、会田臨時委員、お願いします。
【会田臨時委員】 会田でございます。皆様のおっしゃった意見に加えて、2点コメントさせていただきたいと存じます。
1点は、「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」が2年半ほど前にまとめられまして、それを受けて各法人が新しい形式で事業報告書を作るようになりました。ただ、法人の独自性がそれぞれある中、どこまで詳しい情報を出せばいいのかという議論もあったところで、今般、事務局が中心になって非常に素晴らしい資料を作ってもらいました。法人の事業報告書の実例が、アンケートの結果と併せて示されました。この資料の中では、ベストプラクティスを中心として様々なケースが示されていますので、各法人が、できるだけ国民に対して分かりやすい情報開示を進めていくよう、この資料を活用していただきたいというのが私の期待です。
2点目は国民その他の利害関係者への開示方法ですが、今は、国民その他の利害関係者はやはりウェブを中心にして情報にアクセスするだろうと思います。その場合、単に情報量を増やすだけではなく、一覧性を向上させたり、分かりやすくしたりと、質の面も考えていかなくてはいけないのかなと思います。この委員会の仕事の範疇なのか分かりませんが、その辺りも含めて情報開示の在り方を、きちんと伝えていければと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。中川臨時委員、お願いいたします。
【中川臨時委員】 幾つかお伝えしたいことがあります。1つ目は事業報告書に関して、ある程度標準化をして、法人の方々の負担感を少しでも何とかできないかと考えていました。ただ、非財務情報をどのレベルまで出せばいいかを具体的に示すのは、非常に難しいことだろうと思います。最低限ここまでは出してくださいということは言えても、受け手の満足いく水準を設定するのは相当難しいことです。法人の業自体も多様ですので、法人の実態に即しながら、法人の方々にヒアリングを継続しつつ実績を積み上げていき、海外の公的機関の資料なども参考にしながら、独法における「ベストプラクティス」を築いていくのが一番で唯一の方法かと思います。
2つ目として、ESG情報の開示について、です。他の委員の方からもありましたが、私ども金融業の中の運用投資業におきましては、御承知のとおり「EUタクソノミー」を中心にものすごく細かいクライテリアを示されているので、ある意味、物差しに合わせやすいところがあります。一方で、1点目に共通することですが、ある程度の標準化はできても、細かいタクソノミーなりクライテリアを示せないのであれば、ある程度、プラクティス、つまり実例を積み上げることによって作っていくしかないのかなと思います。
最後、3つ目ですが、私は会計基準等部会のみに参加しており、評価には全くの知見も携わった経験もございませんので、勘違いがあれば申し訳ないですが、会計基準等部会の議論の中で、検討している会計基準に沿った財務情報をどのように評価に活用するか、特にマネジメント・アカウンティングという観点に立てば、会計(財務情報)を評価の物差しとして寄与させることを想定する必要があるのではないかとの御意見もありました。従いまして、この点引き続き、評価部会の方も含めた新しいメンバー全員で議論していく必要があるかと思います。
【澤田委員長】 貴重な御意見ありがとうございます。長村臨時委員、お願いします。
【長村臨時委員】 正直申し上げて、独法法人の方と話している事業報告書の感度と、この委員会の場で話している感度の差について驚いております。先ほど天野委員からも御発言がありましたが、法人によってはの中では事業報告書は重要視されておらず、他の法人のレベルに合わせればいいというような雰囲気もある中で、この委員会では事業報告書を活用していって、さらに法人に強いインセンティブを与えようということですので、私も改めてそういう意識を改めて法人側に伝えていかなければいけないということを考えたところです。
1点、意見でございますが、事業報告書をウェブでどのように見せるか、あるいはどこに置くかという点については、そもそも独法で事業報告書が作られているということが広く認知されていないのではないかと思います。まず、独法において、法人の活動や研究・事業によるインパクトを社会に伝えていくツールとして事業報告書が存在するということを周知していくことが重要だと思います。事業報告書の周知、存在を知らしめるという大きな活動も、今後検討していく必要があるのではないかと思っております。
【澤田委員長】 ありがとうございました。佐藤臨時委員、お願いいたします。
【佐藤臨時委員】 皆様の意見と重なる部分がありますが、今回の事業報告書の一番の大きなポイント転換は、独法の場合、民間企業と異なり以上に、利潤追求ではなく非財務の成果指標を目標とするため、各法人の目標達成に向けたストーリーを説明するという仕立てになったことが大きなポイントだと思っております。
ですから、長村臨時委員がおっしゃったとおり、他の法人を見るということも重要ですが、まずは成果に向かっての説明責任をいかに果たせるツールとなるかということが重要かと感じているところでございます。
最初は法人内部での議論を経て作成するのだとは思いますが、元々事業報告ガイドラインには、それぞれの法人で伝えるストーリーが違うので、事業報告書を利用者とのコミュニケーションツールとして使い、その過程で良い内容にしていきましょうという記載があったと記憶しております。これは民間の統合報告書についても同じかと思いますので、成果を評価するためにはこのような財務情報・非財務情報の組合せが有用であるというフィードバックをこの委員会からも出して、より良い事業報告書の成長・進化につなげられれば素晴らしいのではないかと感じた次第です。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。各委員から本当に素晴らしい意見をいただいたと思います。
事業報告書は非常に重要でして、主なポイントは3つあります。1番目は、やはり法人の長のリーダーシップに基づいて法人の全体像・デザインや法人の長の思いを示すことが非常に重要で、これは法人で働いている職員の励みになろうかと思います。
2番目としては、非財務情報、課題、リスク、将来の業務見通しなど、法人全体としての課題に資して、自分達が今どんな立ち位置で取り組んでいくかということ、特に独法の場合は、先ほど佐藤委員からも御発言がありましたが、非財務の部分が最も大きな目標になろうかと思いますので、そこを意識していくことが重要であろうと思います。
そして最後に、事業報告書の質を高めていくよう議論していくことが、自分たちの仕事の質を高めていくことにもなるかと思います。一気に素晴らしい事業報告書になることはないと思いますが、他の法人を見て、こういった方向性でまとめると国民の目から見ても分かりやすいのではないかという目線も気にしつつ、質を高めていっていただいて、それを自分達の成果にも繋げていただくことが大切だと思います。委員の皆様、ありがとうございました。
続いて議題9、本年度の調査審議の進め方等について、確認してまいりたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
【山本管理官】 本年度の調査審議の進め方について、資料6に基づいて説明いたします。
本年度、委員会で御審議いただく大きな固まりのテーマは、4つございます。1つ目が見直し対象法人の審議、2つ目が国立大学法人等の審議、3つ目が独法制度改革フォローアップ調査の結果に基づく検討、4つ目が独立行政法人会計基準等の改訂という4つでございます。このテーマとこれらのスケジュール感につきまして、新年度が始まるに当たって各委員に確認いただき、共有いただくものでございます。
まず、1つ目の見直し対象法人に係る調査審議についてでございます。今年度末に目標期間が終了することを見越しまして、主務大臣が目標期間全体の業務を踏まえて行ういわゆる「見込評価」及びそれを踏まえた業務・組織の見直しを行い、次期目標を策定する必要のある、いわゆる「見直し対象法人」に該当する独法が12法人と、独法そのものではないですが、他の法律で、独法の仕組みである目標の策定や評価、業務・組織の見直しといった独法通則法上の枠組みを準用する形で当委員会の関与が定められている準用法人2法人が、本年度の審議の対象になっております。
これらの審議対象の法人の特徴は後ほど御説明を差し上げますが、まず、その全体的な進め方について御説明をしていきたいと思います。
まず、見直し対象法人である独法12法人につきましては、目標策定指針・評価指針や、昨年の委員会決定で「今後の中(長)期目標の策定に当たって」として示した留意事項の趣旨を踏まえ御審議いただくということが、最初のポツのところに書いてございます。
昨年の委員会で御決定いただきました目標策定の留意事項の中では、全ての法人に共通して目標策定に当たって留意していただきたい事項として、「新型コロナウイルス感染症で浮き彫りになった課題を踏まえた業務手法等の見直し」、「デジタル化による新たな付加価値の創造」、業務改革を進めるに当たっての「法人役職員のモチベーション・使命感の向上」、「関係機関との連携を通じたイノベーションの推進」、「施設保有の在り方の見直し」、「専門人材の確保・育成」といった観点をお示しいただいていたところです。本年度も、こういった観点を引き続き踏まえて御審議いただけたらという趣旨でございます。
スケジュール的には例年通り、8月頃までに主務省・法人等と意見交換を行っていただいた上で、その結果に基づいて、秋にかけて見込評価・見直しを御審議いただき、その結果に基づいて次期目標の策定に当たっての留意事項を11月にまとめていただき、その留意事項を踏まえて主務省において作成されました次期目標案を、年明け2月の委員会で御審議いただくといったスケジュール感で記載しております。
これらの取組につきましては、評価部会を中心に御審議いただいた上で、委員会に報告いたしまして、委員会で必要な意見を取りまとめていただくといった形を想定しております。また、委員会では、法人運営の活性化の観点から参考となるような法人の取組事例、これも昨年2月の委員会で御報告しておりますが、この収集を今年度も引き続きしていきたいと考えておりまして、随時、委員会又は評価部会において紹介する機会を設けていくという形を想定して記載させていただいております。
2つ目の大きなテーマは、国立大学法人等の調査審議でございます。国立大学法人と大学共同利用機関法人の調査審議の進め方について記載しております。国立大学法人等と委員会の関係を簡単に述べさせていただきますと、国立大学法人等は目標期間が6年ですが、今年度がその最終年度に当たっておりまして、目標期間全体の業績についての見込評価を、文部科学省に置かれる国立大学法人評価委員会が行いまして、その結果を踏まえ、主務大臣である文部科学大臣が組織・業務見直しを行うという仕組みでございます。当委員会は、その見込評価と見直しの審議を行うという仕組みになっております。この仕組みにおきましては、独法と異なり、当委員会は目標案そのものに意見を述べる仕組みにはなっておりません。
この国立大学法人等の見込評価・見直しにつきましては、独法より一、二か月ほど早く、6月下旬から7月上旬に当委員会へ通知される予定でございます。国立大学法人等の現状と課題、また、現状進められている国立大学改革の内容や趣旨について、主務省たる文部科学省とも意見交換を行い、その結果を踏まえ、7月の委員会で頭合わせをしていただき、検討の観点について御審議をいただきます。そして夏以降、引き続き検討を進めていただきますが、個々の国立大学法人等が約90あり、そこでの目標作成などの時間が一定程度かかるといったことも考慮いたしまして、独法より1か月ほど早く、10月の委員会で見込評価・見直しの審議を行っていただきまして、必要に応じて委員会で意見を取りまとめていただく、そういうスケジュール感で記載させていただいております。
なお、検討に当たっては文部科学省とも調整しつつ、評価者たる、国立大学法人評価委員会や、あるいは国立大学法人等を取り巻く環境について、例えば有識者の方々と意見交換を行うことなども考えられるかと思います。国立大学法人等につきましても、独法の見直しと同様、評価部会を中心に進めていただいた上で、委員会に報告いたしまして、委員会で必要な意見を取りまとめるという形を想定しております。
なお、調査審議に当たって御配慮いただきたい点として、国立大学の高い自主性・自律性という特性がございます。国立大学を法人化した国立大学法人法に係る参議院の附帯決議においても、個々の大学に関する事項や個々の教育研究内容に関する事項には言及しないこととされておりますので、ご留意いただけたらと思います。
なお、国立大学法人等と同じ準用法人にもう一つ、法務省所管の日本司法支援センター、いわゆる法テラスがございますが、こちらについては、特に記載しておりませんが、独法の見直し対象法人と同様のスケジュールで御審議いただくことを想定しております。
3つ目のフォローアップ調査についてでございます。おさらいになりますが、昨年度の調査審議における各委員の御示唆も踏まえまして、平成27年の独法制度改革から昨年度末までで6年が経過しており、多くの法人が新制度の下で中(長)期目標の期間が一巡したことを踏まえまして、制度改正により法人の運営がどのように変わったのか、あるいはこの改革が法人の目標達成を後押しするものになっているのか、といったことを把握するために、この改革のフォローアップ調査に昨年度末から取り組んでいるところでございます。
現在、主務省・法人から提出いただきました調査票の内容を事務局において確認しているところであり、7月の評価部会で集計結果の速報値を報告させていただくことを予定しているという形で記載させていただいております。そして、評価部会の御指摘や、アンケート形式で行っている調査を少し掘り下げて、主務省、法人にお聞きいたしまして、それらを踏まえて事務局においてさらに分析を進めさせていただき、随時、評価部会の各委員にも御相談しつつ、最終的には2月の委員会で結果を報告するというスケジュール感で記載させていただいております。
最後、4つ目の大きな固まりといたしまして、独法会計基準の改訂についてでございます。会計基準部会におきましては、令和3年度の主な調査審議事項として、「収益認識に関する会計基準」、「時価の算定に関する会計基準」及び「会計上の見積りの開示に関する会計基準」を踏まえた独法会計基準の改訂について、財務省の財政制度等審議会の部会との共同ワーキング・チームで検討を進めていき、令和3年度の秋頃をめどに取りまとめるとともに、委員会へ報告するという見込みで記載させていただいております。
以上、調査審議の全体の進め方について御説明させていただきました。続いて、冒頭申し上げましたとおり、見直し対象法人と準用法人の概要について、簡単に御紹介したいと思いますので、資料7を御参照いただけたらと思います。
まずNo.1、郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構でございます。元々は郵政民営化以前に発生した債務の管理を行う法人でございまして、新規の預け入れ等は行っていないことから、平成25年の閣議決定の際には「管理する債務の減少を踏まえ法人の解散を検討」とされていたところでございます。しかしながら、平成30年の議員立法によりまして、新たな使命として郵便局のネットワーク支援という業務が追加されまして、状況が変わっているということに御留意いただければと存じます。
No.2の国際協力機構でございます。こちらは政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、発展途上国への国際協力を行う法人でございます。民間資金がODAを上回る状況を踏まえて、前回の見直しのときには、民間との連携の推進が主な論点となっておりました。今般、国際業務を実施する法人として、新型コロナウイルス感染症への対応なども一つの論点になるものと思われます。
1つ飛ばしましてNo.4、文部科学省所管の科学技術振興機構を御覧いただきたいと思います。こちらにつきましては、大学ファンドが創設されまして、新たに業務の範囲に追加されたところです。今年度、運用基本指針の策定をはじめ、具体的なファンドの運用に向けた体制の整備や運用の開始を目指すと聞いております。現在の中長期目標における対応や、あるいは新目標においてどのように対応していくのか、進捗状況なども踏まえて注視していくことが一つのポイントになるかと思われます。
No.5、日本原子力研究開発機構でございます。こちらは我が国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として、種々の研究等を推進しているところでございます。一方で、原子力という特殊な研究分野におきまして、研究開発における安全性の確保が重要な課題となっておりますが、現在の目標期間中、この法人の施設や作業員の汚染・被曝の現象が発生しているところ、再発の防止、安全確保体制の強化に取り組まれていると聞いております。また、昨年度の秋の行政事業レビューにおいて、業務における透明性の確保などに言及があったと聞いておりまして、その後の改善・取組状況はどうなのかといったところも一つ注目すべきポイントになるかと思います。
続いてNo.6、厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構でございます。各府省の政策研究機関は施設等機関が多いのですが、この法人は経済産業省所管の経済産業研究所及び環境省所管の国立環境研究所と並んで独法の形態を取っているところでございます。その点から、独法ならではの活動、例えば政策立案への直接的な研究成果の活用という目的だけではなく、蓄積された知見を社会に役立てていくためにはどういった方法があるかといった点も、一つ、注目すべきポイントになるのではないかと思われます。
No.7を御覧いただきたいと思います。医薬基盤・健康・栄養研究所でございます。こちらの法人は旧2法人が統合して初めての見直しのタイミングになります。比較的小規模な法人ですが、統合の効果がどのように出ているのかといった点が一つの論点になり得るのではないかと思います。また、記載にはございませんが、令和4年度を目途に、国立循環器病研究センターも所在している大阪の北大阪健康医療都市への移転が予定されていると伺っておりまして、他の研究機関や民間企業との連携といったことも期待されるのではないかと考えられます。
No.8の土木研究所とNo.9の建築研究所を御覧いただけたらと思います。前回の見直し以降、自然災害の激甚化や頻発化、インフラの老朽化といったことが加速する中で、国土強靱化に向けた的確な技術開発が求められているほか、デジタル技術等を活用した生産性の向上やDX、あるいは脱炭素化への対応といったことも、課題になっていると聞いております。
No.10の水資源機構を御覧いただければと思います。前回の見直しの時からは、先ほども話がありましたように風水害、渇水といった災害の激甚化が増加する傾向にあり、更に大規模な地震の可能性もありますので、危機管理能力の向上や、自治体等の関係機関との連携の促進といったことも一つポイントになってくるのではないかと思います。
次ページになりますが、準用法人であります日本司法支援センター(法テラス)でございます。こちらは司法制度改革の一環として、国民にとって司法を身近でアクセスしやすい存在にするという趣旨により設置された法人でございます。準用法人ということでございますので、先ほど申し上げましたように、委員会は目標の策定には関与いたしませんが、見込評価や組織・業務の見直しには一定の関与があります。これまでの見直しの中では、常勤弁護士の確保及び適正な配置が課題とされており、今回の見直しでも引き続き論点になるのではないかと思います。
以上、簡単ですが紹介させていただきました。
【澤田委員長】 ありがとうございました。事務局の説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。河合専門委員、よろしくお願いします。
【河合専門委員】 御説明いただいたフォローアップ調査と、今年度の調査審議について少し申し上げたいと思います。
まずは、お忙しいところフォローアップ調査にお忙しいところ御回答いただきました各主務省の皆様、それから法人の皆様には厚く御礼を申し上げたいと思います。事務局から御説明がありましたとおり、集計結果の速報値を7月の評価部会で御報告いただくことになっております。その速報値で全体的な傾向が出るかと思いますので、それを踏まえて夏の法人ヒアリングでも、フォローアップ調査の内容に関連した質問を幾つかさせていただきながら、法人毎の調査結果ベースというよりは全体的な傾向を基にして、幾つか質問させていただくこともあるかと思います。そういった形で調査審議の中にフォローアップ調査の内容をうまく絡めて、いろいろとお話をお伺いできればと思っております。
また、フォローアップ調査の質問項目にもPDCAサイクルの話がございましたが、昨年度までのヒアリングの中でお伺いしていた、そもそもPDCAサイクルがうまく回っているかどうかということについても、本年度も引き続きお伺いできればと考えております。
【澤田委員長】 ありがとうございます。続きまして、浜野委員。
【浜野委員】 御説明ありがとうございました。昨年度も新型コロナウイルス感染症で大変な中、法人を視察させていただきまして、大変勉強になりました理解が深まりました。こういった時期に、理事長がどのようにマネジメントされているか、ガバナンスを効かせているのかというところや、加えまして、を実際に施設等で見聞きできたこと、またを実際に拝見しますと非常に理解が深まり、なおかつ、監事の方にその法人のパフォーマンスや課題なりを評価していただくというのも伺え勉強になりましたので、ぜひ今年度もよろしくお願いしたいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。そのほか、ございますか。
タイトなスケジュールですが、しっかりと議論を進めていかないといけないと思います。よろしくお願いしたいと思います。
それでは、本年度の調査審議は本日議論したとおりのスケジュールで進めてまいりたいと思います。皆さんよろしくお願いしたいと思います。
それでは、最後に事務局から次回の日程等の説明をお願いします。
【山本管理官】 次回の委員会は、7月8日木曜日の14時から開催いたします。場所は別途、御連絡いたします。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第30回独立法人評価制度委員会・第43回評価部会・第13回会計基準等部会の合同会議を閉会したいと思います。本日は皆様お忙しい中、御出席いただきまして本当にありがとうございました。
(以上)

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