2021年7月
新関 剛史
内閣府経済社会総合研究所客員研究員; 愛媛大学法文学部准教授

要旨

本稿では、日本において期待インフレ率の上昇が家計支出をどの程度刺激しうるのかを検証した。世帯レベルの3つのデータをマッチし分析を行なった結果、以下3点が明らかとなった。第1に、期待インフレ率の1%ポイントの上昇は、四半期総支出額を11,930-14,779円、あるいは1.0–1.4%増加させる。第2に、耐久財支出が大きく反応する一方、非耐久財支出は有意に反応しない。第3に、1%ポイントの一時的な期待インフレ率の上昇は、当該四半期の総支出を刺激するが、その後数四半期後には反動減が現れる。よって、期待インフレ率の上昇に対しては、異時点間の代替効果が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。


全文ダウンロード

期待インフレ率と家計支出:疑似パネルデータを用いた日本の分析open pdf in new window(PDF形式 765KB)

全文の構成

  1. 1. Introduction
    page2
  2. 2. Data
    page5
  3. 3. Empirical strategy
    page12
  4. 4.Estimation results
    page13
  5. 5. Conclusion
    page19
  6. References
    page21
  7. Appendix A
    page35
  8. Appendix B: Robustness checks
    page36
  9. Appendix C: Survey Questionnaire
    page41