令和3年7月16日

 7月16日(日本時間同日)、スイスのベルンにおいて、我が方、白石興二郎駐スイス日本国特命全権大使と先方シュテファン・フリュッキガー大使・国際金融庁副長官(H.E. Mr. Stefan Flückiger, Ambassador, Deputy State Secretary for International Finance)との間で、「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書」(日・スイス租税条約改正議定書)の署名が行われました。

 この改正議定書は、1971年に発効(2011年に一部改正が発効)した現行の租税条約の一部を改正するもの(改正後の租税条約を、以下「条約」とする)であり、具体的には、事業利得に対する課税の改正、投資所得に対する課税の更なる軽減のほか、条約の濫用防止措置の改正及び相互協議手続における仲裁手続の導入等を行うものです。これらにより、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

 この改正議定書は、両国それぞれの国内手続(我が国においては、国会の承認を得ることが必要)を経た後、外交上の経路を通じて、その国内手続の完了を確認する通告を相互に行い、遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じ、次のものについて適用されることとなります。

  • (1)我が国においては、
  •  ア 課税年度に基づいて課される租税に関しては、この改正議定書が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
  •  イ 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、この改正議定書が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
  • (2)スイス連邦においては、
  •  ア 源泉徴収される租税に関しては、この改正議定書が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に支払われ、又は貸記される額
  •  イ その他の租税に関しては、この改正議定書が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度

 この改正議定書によって改正される条約第25条1(相互協議手続)の規定は、その対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず、この改正議定書が効力を生ずる日から適用されます。

 仲裁手続に関する規定は、この改正議定書が効力を生ずる日から次のものについて適用されることとなります。

  • (1)この改正議定書が効力を生ずる日において、両締約国の権限のある当局による検討が行われている事案。当該事案の未解決の事項は、この改正議定書が効力を生ずる日の後3年を経過するまでは、仲裁に付託されません。
  • (2)この改正議定書が効力を生ずる日の後に両締約国の権限のある当局による検討が行われる事案。