(令和3年7月13日(火曜日)11時00分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日本によるワクチン提供とラスト・ワン・マイル支援

【茂木外務大臣】大谷選手はホームランダービー、スリリングでしたけど、最後、残念な結果だったと思います。
 私(大臣)の方から3点あります。まず日本によりますワクチンの提供、そして「ラスト・ワン・マイル支援」についてであります。
 これまで、台湾及び東南アジア5か国に対して、日本で製造しましたアストラゼネカ社製ワクチンの供与を行ってきました。今般、追加供与の要請等を踏まえて検討を行った結果、インドネシア、ベトナム及び台湾に、100万回分ずつ追加供与を行うことを決定いたしました。これらのワクチンは7月15日に各国・地域に輸送する予定であります。
 また、COVAXを通じたワクチンの供与については、日本で製造されたアストラゼネカ社製ワクチンが7月9日付けで、WHOの緊急使用リストに掲載されたことを受けまして、現在、発送の準備が整い次第、COVAXを通じて合計1,100万回分のワクチンを供与を行うべく関係機関と調整を行っております。
 調整が整いましたら、これらのワクチンについては、カンボジア、ラオス、東ティモール、バングラデシュ、モルディブ、ネパール、スリランカ、フィジー、キリバス、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ及びイランに対して供与する予定であります。
 さらに、日本は、ワクチンを接種現場まで届けるための「ラスト・ワン・マイル支援」を行ってきておりまして、これまでのUNICEF経由の支援に加えまして、6月以降、総額40億円の二国間支援、これを始めております。これまでに、ガーナ、セネガル、モザンビーク、マラウイ及びパレスチナに対する支援を決定し、先週、フィリピン及びモンゴルに対する支援を決定いたしました。これを含めまして、これまでの日本の「ラスト・ワン・マイル支援」は、59か国・地域に対して、総額137億円ということになります。

(2)在留邦人が一時帰国した際のワクチン接種の予約開始

【茂木外務大臣】2点目でありますが、在留邦人の一時帰国時のワクチンの接種の予約の開始についてであります。
 6月25日にご案内しました、在留邦人向けワクチン接種事業に関しまして、7月19日からインターネット上での予約受付を開始いたします。予約受付の開始と同時に外務省の海外安全ホームページのトップページに、特設サイトのリンクを表示いたしますので、この事業での接種を希望される方は、特設サイトを通じて、事前の予約をお願いいたします。
 8月1日から接種を開始しまして、終了時期は来年の1月上旬を予定しております。当面の間、アクセス日から2か月先までの予約が可能となります。
 また、各自治体で接種証明書の申請受付を今月の26日から開始する予定なので、この被接種者につきましても、つまり一時帰国した人のワクチンの被接種者につきましても、必要な方には外務省にご申請していただければ、接種証明書を発行いたします。詳細はこの後、外務省の海外安全ホームページに掲載しますので、そちらをご確認ください。

(3)ミャンマーへの緊急無償支援

【茂木外務大臣】最後にミャンマーへの支援でありますが、ミャンマーの南東部では、2月のクーデター以降、食料や生活物資が不足するなど人道状況が急激に悪化をしております。また、少数民族武装組織と国軍の衝突によりまして、国内避難民も急増いたしております。
 こうした状況を踏まえまして、本日、ミャンマー南東部でのクーデターの影響を受けた人々に対する支援として、UNICEFなど国際機関を通じて580万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。
 今回の支援と合わせて、本年2月のクーデター以降、合計で2,089万ドルの対ミャンマー人道支援を実施することになります。
 日本政府として、引き続き、ミャンマーの人々に寄り添った支援を行っていきたいと思います。私(大臣)からは以上です。

明治日本の産業革命遺産(ユネスコの調査結果)

【中央日報/JTBC ユン記者】昨日、ユネスコ世界遺産委員会から、長崎県端島など近代産業施設に関して、「2015年、日本政府が当時認めた、韓国人などを本人の意思に反して強制に労働した犠牲者を称えるための措置を適切に実施する」との約束が守られてないという内容の決定文を発表しましたけれども、この決定文に対して、日本政府の立場をお聞きしたいと思います。

【茂木外務大臣】ご指摘の決議案、そして報告書、今月の16日から31日の予定で開催をされます世界遺産委員会で取り扱われると、これからの取り扱われるものでありまして、現時点で私(大臣)からコメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で申し上げますと、我が国はこれまでの世界遺産委員会におけます決議・勧告を真摯に受け止め、我が国政府が約束した措置を含めて、それらを誠実に履行してきております。世界遺産委員会に向けて、我が国のこうした立場を踏まえて、適切に対応していきたいと思います。

【中央日報/JTBC ユン記者】そうすると、今、新宿区にある情報センターの展示内容を変更したりという考えは、今の時点ではないんでしょうか。

【茂木外務大臣】いいえ、ですから、よく聞いてください。冒頭、私(大臣)がどう申し上げたかと。このご指摘にありました決議案、そして報告書、これから16日から31日の間で、世界遺産委員会において取り扱われるということでありますから、現時点で、私(大臣)からコメントすることは差し控えたいと申し上げました、冒頭に。(記者からの発言に対し)だから現時点でコメントすることは差し控えたいと申し上げたんです。

新型コロナウイルス(インドネシアの在留邦人支援)

【日本経済新聞 飛田記者】インドネシアの感染状況に関連して質問させてください。外務省が把握している在留邦人の感染状況の現状と、あと支援策、どのようなことを考えてらっしゃるのか教えてください。

【茂木外務大臣】今月の12日時点で、14人の邦人の方がお亡くなりになったと、このように把握をしているところであります。
 インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しておりまして、今、ワクチンの無償提供といいますか、直接供与と、こういったことも行っているところでありますし、今後はこういった状況から、帰国を希望する邦人の方々が増加をするということも予想されるわけであります。
 このような中で、邦人保護の観点から帰国を希望する邦人が、できる限り早く帰国できるような環境を整えることが、重要であると考えております。
 日本の航空会社が特別便を就航させて邦人を帰国させることができるようにするなど、政府内で必要な検討・調整を行ってきているとこういうところであります。
 大手の企業、それから中小もしくは個人で現地に行かれている方もいらっしゃるわけでありまして、そういった人も含めて、どういった形で輸送するかということも含めて、今、検討しているところであります。
 そういった中で、戻ってきたときの停留施設、これをどう確保するかということも含め、今、検討を進めているところであります。更に申し上げますと、インドネシア政府、移動制限の措置を発表したわけでありますけれども、先日。これを受けて外務省として、在留邦人の移動、これが過度に制限されることがないように、直ちに申入れを行ったところであります。
 その結果、外国人が直接国外に移動する場合だけではなくて、出国のための国際空港までの国内移動等では、ワクチンの接種証明書の提示が不要とされたところであります。
 昨年来の新型コロナの感染の拡大を受けて、武漢からのチャーター機5機を使った邦人の帰国支援、868名の支援から始まりまして、昨年の11月までに、101か国1万2,000名を超える邦人の方の出国・帰国の支援というのを行ってきたところでありますが、これからインドネシアを含め海外にいらっしゃる邦人の方の安全確保、帰国支援、更に万全を期していきたいと思っております。

明治日本の産業革命遺産(ユネスコの調査結果)

【産経新聞 田村記者】先ほどのユネスコの関連ですけれども、朝鮮半島出身労働者に関して、日本政府の立場を確認させてください。日本政府はこれまで、徴用というのは当時国内法に基づいて合法的に行われており、違法な形で強制労働を行ったことを意味するものではないというふうにしていたと思うんですが、その立場に変わりはないでしょうか。

【茂木外務大臣】ありません。

在日フランス人男性のハンガーストライキ

【ラジオ・フランス 西村記者】日本とフランスに関係のあることを聞きたいと思います。先週の土曜日に、東京で子どもに会えないフランス人男性はハンガーストライキを始めましたが、その件に関しては、日本の政府とフランスの政府は既に情報交換とか、あるいは何か手続きを開始したのでしょうか。

【茂木外務大臣】個別の民事事案については、外務省としてコメントする立場にありません。その上で申し上げますと、国内における子の親権をめぐる事案については、国内法に則り、日本人、外国人の区別なく、必要に応じて弁護士等の専門家の支援を得て、当事者間で解決されるべきもの、そのように考えております。

【ラジオ・フランス 西村記者】今回の件ですけれども、離婚してないので、父親はまだ親権を持っているにもかかわらず、子どもに会えないことだけではなくて、子どもは生きているかどうか、そこまでの情報はないということですが、フランスの政府は日本の政府に情報提供の手続をしたにもかかわらず、返事が来ない状況であり、しかもその件だけではなくていくつかの同じ状況の件がありますが。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、確認させて下さい。

【ラジオ・フランス 西村記者】そこにコメントいただけますか。

【茂木外務大臣】確認させてください。フランス政府からそれは確認取られたんですか。

【ラジオ・フランス 西村記者】はい、そうです。

【茂木外務大臣】政府から確認取られたんですか。

【ラジオ・フランス 西村記者】はい、そうです。

【茂木外務大臣】政府に直接確認取られたんですか。

【ラジオ・フランス 西村記者】はい。大使館の経由で、いくつかの手続きが行ったということで、国連のところでも手続きが行っているということがあります。弁護士もそう言ってますので。日本の政府のご意見、いただければと思います。

【茂木外務大臣】ですから、外務省としては個別の民事事案についてはコメントする立場にありません。

新型コロナウイルス(ワクチン接種証明書)

【読売新聞 福田記者】ワクチン接種証明書について伺います。26日から証明書の申請受付が開始されますけれども、まず海外に行く渡航者についてのメリットについて教えていただきたいのと、その上で、アレルギーなどの理由で接種できない人がいます。そうした人たちのケアをどう行っていくか、この点についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】ワクチン接種を受けた方については、接種の事実を公的に証明する接種証明書、この交付を受けて、海外渡航時にこれを提示することによって、相手国等が往来に関する制限措置の一部緩和を判断する上で活用し得ると、このように考えておりまして、今後、国際的な人の移動の再開につながると、そういう流れというのは国際的にできていくのではないかなと、このようには考えております。
 そして今後、いかなる国・地域において、このワクチン証明書によって、どのような緩和・免除を受けられるかについて、今、調整中でもありますし、各国も検討中ということであると思いますが、今後、最新の状況を、外務省のホームページで随時公表することとしております
 接種証明書を所持していないことをもって、海外への渡航ができなくなると、こういうことではないと理解しておりますけれど、例えば、様々な事情でワクチンの接種を受けられない、代わりに、例えばPCR検査等々を行って陰性を証明する、こういった場合にどうなるか、それぞれの国の対応があると思いますので、そういった情報につきましても収集して、随時公表していきたいと、このように考えております。

新型コロナウイルス(インドネシアの在留邦人支援)

【トリビューン・ニュース スシロ記者】先ほど、日経新聞の質問に続いてなんですけれども、インドネシアに邦人の待避勧告や、現地の医療機関との連携とがあると思いますので、政府の場合は、大使館の場合は、そういう医療関係の連携があるんじゃないでしょうか。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】ちょっと質問の意味が分からないです。If you want to speak in English, that is fine.

【トリビューン・ニュース スシロ記者】現地の在留邦人の方に、医療関係の環境、あると思いますので、向こうの現地の医療関係はね。

【茂木外務大臣】はい。

【トリビューン・ニュース スシロ記者】カンパニーとホスピタルの関係があると思いますので、向こうの、インドネシアの方に。政府の方が、大使館の方が何かそういう連携があるかどうか確認したいんですね。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、ちょっと質問の意味が分からないので、事務的に確認とってください。

【トリビューン・ニュース スシロ記者】分かりました。ありがとうございます。

新型コロナウイルス(水際対策強化の可能性)

【ラジオ・フランス 西村記者】水際対策について質問させていただきます。先週の9日、一部の国々から来る方が、3日の隔離は必要ないことになりまして、その後、やはりデルタ株は流行っている国が多くなってきて、特にフランスは、もう既に新規感染者の5割を超えているデルタ株ですが、それを踏まえて、これからその3日の隔離が必要ない措置を、逆に必要になるという可能性はあるのでしょうか。

【茂木外務大臣】政府として、これまで変異株の感染拡大に関して、強い危機感を持って対応に当たっているところであります。今、検疫所、宿泊施設に待機、これ10日、それから6日、3日と、重層的な防疫措置を取っているわけでありますけれど、政府としては、この変異株がどこまで流行しているかと、これも重要でありますけれど、同時に、全体の新型コロナの感染者数であったり、更には、直近の我が国の空港検疫における検査で陽性になった、こういった事例、こういったものを、総合的に判断して、必要であれば追加的な措置、機動的かつ適切に講じていきたいと思います。