(令和3年6月15日(火曜日)10時16分 於:本省会見室)

冒頭発言

日本によるワクチン提供

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から1点発表があります。日本からの各国へのワクチンの提供についてであります。
 世界全体でワクチンへの公平なアクセス確保には、先般のCOVAXワクチン・サミットにおいて確保した資金拠出、こういった国際機関を通じた調達・分配と同時に、ワクチンの現物供給、このニーズも高まってきており、極めて重要だと考えております。
 日本は、これまで様々な国・地域からワクチン提供の要請を受けておりまして、6月4日にはその第一弾として、台湾にワクチンを124万回分、無償でお届けをしました。今般、新型コロナの感染状況やワクチンの接種状況等を踏まえて、ベトナムに、我が国で製造したアストラゼネカ社製ワクチン、約100万回分を無償で提供することとし、明日16日、日本から出荷し、同日ベトナムに到着する予定であります。
 アストラゼネカ社を含め、今般のワクチン提供の実現に協力いただいた関係者に敬意を表したいと思います。
 これに続いて、諸般の条件が整えば、7月上旬からということになると思いますが、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアに対して、同じく日本で製造したワクチンを供与したいと考えておりまして、今後、調整を進めていきます。また、台湾、ベトナム等への追加供給も検討したいと思います。
 その他の国・地域へのワクチンの提供については、世界における変異株の感染拡大やワクチン供給の遅れといった状況を踏まえつつ、国内のワクチンの生産状況や、各国・地域における感染状況、ワクチンのニーズ等、様々な要素を勘案して、検討していきたいと思っております。
 更に今後、供与するワクチンについてWHOによる承認取得等の条件が得られ、COVAXとも調整がつきましたら、今申し上げたようなバイだけではなくて、COVAXを通じたマルチの供与、こういったものも行っていきたい、こんなふうに考えております。私(大臣)からは以上です。

日本によるワクチン提供

【NHK 山本記者】今ご説明あったワクチン供与ですけど、COVAXを経由せずに、直接今回、各国に送るのは、スピード感を重視されているということですか。

【茂木外務大臣】基本的にはそういうことです。それで、今申し上げたベトナム、そしてインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、アストラゼネカとの契約がありますので、比較的いろいろな調整が早くできるだろうと。恐らく、国際機関を経由してということになりますと、承認取得等の手続き、これに若干の時間かかりますので、現に今、ワクチンが不足をしている、感染状況が非常に厳しい、そういう国に対してはスピード感を重視して直接出すと、こういった方法を取るところであります。

【日経新聞 飛田記者】ワクチン供与の件で、追加で質問させてください。大臣、以前、その対象国は、感染状況に加えて日本との関係も、とおっしゃっていましたけれども、今回、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアという国々、選ばれましたけれども、このあたり日本との関係という意味では、どのどういったあたりを考慮されたのか教えてください。

【茂木外務大臣】今回新たに、今検討というか調整を始めている国、それぞれASEANの国であります。感染状況が、タイ等においても落ち着いていたのが、かなり広まってきていると。マレーシアもかなり厳しい状況にある。
 そしてASEANと日本、極めて重要な関係をこれまでも、有してきたわけでありますし、更に日本が提唱し各国が進めている「自由で開かれたインド太平洋」、こういったものを実現していく上でも、極めて重要な国々であると考えております。そういった国内における感染状況、更にはまた現地におけるワクチンの不足、また日本との関係等々、総合的に勘案して判断をさせていただきました。

日韓関係(G7サミットの際の首脳間の接触)

【東亜日報 キム記者】G7の日韓首脳会談について伺います。今日、ある日本メディアの報道によると、両政府は。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、ある日本メディアの報道によると。

【東亜日報 キム記者】そうですね。両政府はサミットの。

【茂木外務大臣】なに。

【東亜日報 キム記者】両政府。

【茂木外務大臣】両政府。

【東亜日報 キム記者】はい、すみません。両政府はサミットの前に両首脳の接触の在り方について協議を重ねた。しかも菅総理は文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、応答要領を用意したという報道が出たのですけれども、そうすると、何か現場で菅総理ご自身、自ら、立ち話とか会談をしないよう決定されましたのでしょうか。事実関係について伺います。

【茂木外務大臣】まずその報道については、明らかに間違いであります。事前に会談が用意されていたと、こういう報道が韓国の方からなされましたので、それにつきましては事実に反するということで、明確に抗議をしているところであります。
 前回も申し上げましたが、今回のG7サミットにおいては、かなりフリンジの時間も限られているという中で、なかなかそういった、特にアウトリーチ国の首脳と会う時間を取るのは難しいだろうということは申し上げてきました。立ち話をする可能性というのは、いろいろなところであるわけでありまして、立ち話の可能性というのは、各国について指定をされるものではありません。同じ会場にいるわけですから、当然どちらかが寄って行って、ちょっと挨拶をするということはあり得る、実際にそういうことが起こったというだけです。

G7サミット

【NHK 山本記者】G7サミットの全体の評価を伺いたいのと、前回、2019年にフランスであったサミット、大臣、現地に行かれていたと思いますけど、それと比べますと、今回一致点が多くて、成果も多く盛り込んでいたと思いますけど、G7の国際協調が強まった背景について、大臣、どのように分析されておられますでしょうか。

【茂木外務大臣】現在、新型コロナの世界的な感染の拡大をはじめ、多国間主義、国際連携の重要性、これは様々な面でG7各国が共有している認識であると。そしてビアリッツ以来、2年ぶりの対面での開催ということもありまして、この間の様々な世界的な課題、この中にはコロナの問題もありますし、気候変動、自由経済、世界経済、自由貿易、地域情勢についても大きな変化があるという中で、率直に意見交換をしたと。その結果がサミットの共同声明に、しっかりとしたメッセージで盛り込まれたと、こんなふうに感じているところであります。
 菅総理も3日間に亘ります議論を通じて、G7の首脳と信頼関係を更に深めるとともに、国際社会が抱える重要課題について積極的に議論に貢献し、首脳間の率直な議論をリードされ、手応えを感じたと。先ほども官邸で会ってきましたけれど、その様に非常に手応えがあったという話をしていたところであります。
 日本はアジア唯一のG7メンバーとして参加をいたしまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現であったりとか、厳しさを増す地域情勢等の重要課題について、G7外相会合における成果、そこでも様々な問題について、G7として明確な考え方、共有したものを発表しておりますので、それも踏まえて、いいコミュニケをまとめることができたと思っております。