厚労省・新着情報

日時

令和3年4月30日(金)13:30~

場所

全国都市会館 地下1階 第3会議室
東京都千代田区平河町2-4-2

出席者

出席構成員(五十音順)

 
※ 全員オンライン出席 

議題

  1. (1)眼の障害に関する障害認定基準の見直し
  2. (2)眼の障害用の診断書様式の見直し
  3. (3)その他

議事

議事内容
○本山事業管理課給付事業室長補佐 それでは、ただいまより「障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合」を開催したいと思います。本日は大変お忙しい中、本会合に御参集いただきまして誠にありがとうございます。座長による議事進行までの間、事務局のほうで進行役を務めさせていただきます。私は年金局事業管理課給付事業室の本山でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、専門家会合の開催に当たりまして、大臣官房年金管理審議官の日原から御挨拶申し上げます。
 
○日原大臣官房年金管理審議官 年金管理審議官の日原でございます。本日はお忙しい中、この障害年金の認定に関する眼の障害に係る専門家会合に御出席いただきまして、どうもありがとうございます。御出席の皆様におかれましては、日頃から厚生労働行政に御理解、御協力を頂いておりますこと、また大変御多忙の中であるにもかかわらず、この度、本会合の構成員をお引き受けいただきましたことに、改めて厚く御礼申し上げたいと思います。
 御出席の各位におかれては既に御案内のことですが、障害年金制度を公平かつ適正に運営していくためには、障害を認定する際の判断の基準が大変重要でございます。このため、新しい医学的知見などがあれば、必要に応じて専門家の御意見を伺って、これまでも順次、障害認定基準の見直しを行ってまいりました。眼の障害につきましても、前回は平成24年でございますが、専門家会合を開催いたしまして、認定基準等の改正について御議論を頂いております。今回ですが、その平成24年の専門家会合において検討課題とされた事項、また、その後の日本眼科学会・日本眼科医会の取りまとめ報告書を受けた身体障害者手帳の認定基準の見直し内容などを踏まえまして、障害認定基準、また、診断書様式の見直しを検討するため、専門的な見地からの御意見、御助言を頂きたく、本会合における御議論をお願いするものでございます。各構成員の皆様には、是非、活発な御議論を頂きますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○本山事業管理課給付事業室長補佐 続きまして、構成員の皆様を御紹介いたします。資料1の開催要綱に構成員名簿を添付していますので、本日御出席の方のお名前を読み上げさせていただきます。なお、新型コロナウイルス感染症の状況に鑑みまして、いずれの構成員の先生方もオンラインにての御出席となります。五十音順で紹介させていただきます。荻野構成員でございます。平塚構成員でございます。不二門構成員でございます。松本構成員でございます。山田構成員でございます。
 続きまして、事務局を御紹介いたします。ただいま挨拶を申し上げました年金管理審議官の日原でございます。事業管理課長の三好でございます。事業管理課給付事業室長の草野でございます。事業管理課長補佐の丸茂でございます。また、実際に障害年金の認定業務を行っている日本年金機構より、障害年金センター長の岡部でございます。なお、本日は、日本年金機構年金給付部長の樫本につきましては所用により欠席させていただきます。
 それから、この会合の運営につきまして少し説明をさせていただきます。本会合は、資料1の開催要綱にありますとおり、対象となる患者が特定されるなど、個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認められる場合を除き、資料も含め公開としております。また、会合の内容は、厚生労働省のホームページにお名前を含め議事録として掲載する予定でございますので、あらかじめ御了承くださいますようお願いいたします。
 次に、発言等について御説明させていただきます。マイクの設定につきましては、御発言のとき以外はミュートにしていただければと思います。また、御発言方法につきましては、会議中に御発言を希望される方は、カメラに向かって挙手をしていただければと思います。御指名を受けた際は、マイクのミュートを解除していただいて御発言いただき、御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただければと思います。
 続きまして、本会合の座長の選出について御説明いたします。本会合の座長は、参集者の互選により選出することとなっておりますが、事前に各構成員で調整いただきまして、近畿大学医学部眼科学教室教授の松本長太先生に座長をお願いすることとなっております。
 それでは、これからの議事進行は松本座長にお願いしたいと存じます。なお、恐縮ですが、カメラの撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、松本先生、よろしくお願いします。
 
○松本座長 近畿大学の松本でございます。この度は、第1回障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合に、大変お忙しい中、またゴールデンウィークの中、構成員の先生方、事務局の皆様方にお集まりいただきましてありがとうございます。また、大変厳しいコロナ禍での開催となりまして、このようなオンライン形式での開催になったことを御了承いただければと思います。
 前回の障害年金の眼の障害認定基準の改定は、先ほど御紹介がありましたように、平成24年になりまして、その後、今から約3年前に身体障害者のほうの視覚障害認定基準の改定が、日本眼科学会・日本眼科医会の合同委員会によって取りまとめられて、今まで懸案事項でありました両眼視力の和の問題や自動視野計の導入の問題などが詳細に検討され改定がなされました。今回はこれらの内容を踏まえまして、障害年金の認定に関する会合を開催して、認定基準、診断書様式の改定についてもう一度検討を行うという運びになりました。皆様方には、より良い改定を目指して、是非積極的な御議論を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これから議事に入りたいと存じますけれども、新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、私自身もこのようにオンラインの出席となっておりますために、司会進行が難しくなっておりますので、この度は事務局のほうに委任させていただきたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
 
○草野事業管理課給付事業室長 給付事業室長の草野です。よろしくお願いいたします。座長より御指示を頂きましたので、ここからの司会進行を私のほうで担当させていただきます。
 それでは、議事に入らせていただきます。本日は、視力及び視野の認定基準の改正案、併合認定の改正案、診断書の改正案について事務局よりまとめて説明した後、各議題について議論いただく形で進めさせていただければと存じます。それでは、まず事務局より資料の説明を行います。
 
○丸茂事業管理課長補佐 年金局事業管理課の丸茂と申します。よろしくお願いいたします。それでは、私のほうから、主に資料2に沿って改正案の要点について簡単に御説明させていただければと思います。
 資料2の1ページ目です。今回の専門家会合では、障害年金の眼の障害認定基準につきまして、前回の専門家会合で検討課題とされた事項や、日本眼科学会・日本眼科医会の合同委員会による報告書等を受けて改正された障害者手帳の認定基準の見直し内容等を踏まえまして、認定基準や診断書様式の改正案の内容を御検討いただきたいと考えています。
 主な検討事項は1ページ目に記載しているとおりですが、視力については、両眼の視力の和から、良い方の眼の視力による認定基準に変更するということ、視野については、自動視野計に基づく認定基準も創設するなどの内容になっています。なお、障害年金の眼の障害認定基準に関して、こうした見直しを行うことにつきましては、参考資料3にもございますとおり、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合からも御要望を頂いております。
 続きまして、資料2の4ページ目です。まず、視力の認定基準の改正案の具体的な内容を御説明させていただきます。1級、2級については現在、両眼の視力の和による基準となっておりますが、身体障害者手帳の場合と同様に、良い方の眼の視力を基準とした案に変更しております。また、これも身体障害者手帳の場合と同様ですけれども、1級の②、2級の②の基準を設けることで、現行基準より等級が下がるケースが生じないような案となっています。また、3級及び障害手当金に関しても、両眼の視力を良い方の眼の視力と言い換えていますが、もともと両眼の視力はそれぞれの視力を別々に測定した数値でありますので、実質的には改正案の良い方の眼の視力と同じ意味合いとなっています。
 視力の認定基準の変更によって生じる具体的な影響に関しては、5ページ目を御覧ください。現行の両眼の視力の和による認定では、良い方の眼の視力は悪いものの、両眼の視力の和が大きい場合には等級が低くなりますけれども、改正案では、良い方の眼の視力に応じて適正に評価される形になります。具体的には、左図の紫囲いの部分の等級が、右の図の赤囲いの部分のように、従来3級だったものが2級として、2級だったものが1級として評価されることになります。
 続いて、視野の認定基準の改正案の内容を御説明させていただきます。基本的な考え方は6ページに記載しているとおりですが、これまでのゴールドマン型視野計に基づく認定基準に加えて、現在広く普及している自動視野計に基づく認定基準も創設するということ、それから自動視野計による測定の導入に伴う基準の整理を行うとともに、視野障害をより総合的に評価できるように認定基準を変更するということで、具体的には、求心性視野狭窄や輪状暗点といった症状による限定は基本的にやめて、中心視野消失による視野障害なども含めて測定数値が基準を満たす場合は障害等級を認定するようにする。ただし、症状による限定を行わない代わりに、傷病名と視野障害の整合性を確認できるようにするため、必要に応じてⅠ/4及びⅠ/2の視標に加えて、通常、診療時には測定されるⅤ/4の視標の提出も求める。そして、ゴールドマン型視野計における周辺視野の認定基準について、「両眼における中心10度以内の視野」による評価から、「周辺視野角度の総和」による評価に変更する。さらに、ゴールドマン型視野計における中心視野の認定基準について、「視野角度の大きいほうの眼における中心10度以内の視野角度」による評価から、「両眼中心視野角度」による評価に変更する。加えて、視力障害のみならず視野障害としても障害の程度に応じた適切な評価ができるよう、視野障害についても1級及び3級の基準を規定するといったものになります。また、現行基準においてカバーされている範囲は、改正後もカバーできるようにするということも基本的な考え方としています。
 具体的な改正案につきましては、12ページ、13ページを御覧ください。日本眼科学会・日本眼科医会の合同委員会の報告書等をもとに、身体障害者手帳の改正内容を踏まえて、1級、3級の基準を新設するとともに、2級と障害手当金の基準についても見直しを行っています。この点、12ページの2級のゴールドマン型視野計の②の「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標(中心視野)で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」という基準については、身体障害者手帳の基準にはない年金独自の基準になっています。
 これにつきましては、14ページに取扱いの考え方をお示ししています。まず、見直し後の2級については、自動視野計に基づく判定を行えるようにするとともに、視野障害をより総合的に評価できるように、原則として14ページにも記載している手帳の基準と同様の2つの基準により判定を行うこととしたいと考えています。ただし、年金独自基準については、周辺視野について80度あるいは70点以下といった数値的な基準が設定されていないこともあり、この2つの基準には該当しないものの、障害年金独自基準には該当するといったケースも発生しうるため、現行基準においてカバーされている範囲を改正後もカバーできるように、障害年金独自の基準についても引き続き存置するといった案とさせていただいています。
 ここまで御説明してきました視力障害、それから視野障害に関する認定基準の改正内容に関しましては、資料4でより具体的な改正内容を新旧対照表の形でお示ししています。主に2ページ目が視力障害、3~6ページが視野障害に関する内容となっております。資料4の内容につきましても身体障害者手帳の改正内容を踏まえておりまして、例えば資料4の3ページのイの(ア)及び(イ)では、8方向の周辺視野角度や中心視野角度についてⅠ/4又はⅠ/2の視標が視認できない部分を除いて算出するといったことや、Ⅰ/4の視標で周辺にも視野が存在するが、中心部の視野と連続しない部分は中心部の視野のみで算出するといったことなど記載しています。
 続きまして、障害年金における併合等認定基準について御説明いたします。資料2の16ページを御覧ください。障害年金において、2つ以上の障害がある場合は、併合あるいは加重認定を行うこととされています。具体的には、個々の障害について、次のページ以降にある併合判定参考表における該当番号を求めた上で、当該番号に基づき16ページの下部にある併合認定表により併合番号を求め、併合後の障害の程度を認定していくことになります。例えば、併合判定参考表において3級・5号に該当し、2級と併合となると1級になりますが、3級・6号又は7号に該当すると、2級と併合しても2級のままであるといったような差が生じることになります。
 今回の眼の障害認定基準の改正に伴う併合判定参考表の改正案につきましては、17~21ページでお示ししています。改正案の考え方として、今般の見直しで現在の障害等級に存在する既存の基準の見直しを行う場合には、既存の基準と同様の番号区分に位置付ける案としています。具体的には、視力の見直し全般と、視野については2級・4号・区分7、そして手当金・9号・区分4がこれに該当します。なお、現行の3級・5号・区分1につきましては、改正後の2級・2号・区分1に包含されることになりますので削除しています。
 また、今般の見直しでは、視野障害については新たに1級・3級に基準を設ける案としていますが、この基準は政令上は包括的な基準の中で位置付けられることが想定されますので、併合判定参考表においても、政令上の包括的な基準に係る番号・区分の中で位置付ける案としています。具体的には、視野の1級・1号・区分8、3級・7号・区分8が該当します。このように、併合判定参考表の見直し案は、現行よりも併合後の等級が下がることはないような案となっています。
 続いて、22ページを御覧ください。今回の眼の障害認定基準の改正に伴いまして、診断様式についても改正後の障害認定基準に該当しているかどうかを判断するために、必要な情報を把握できるように改正を行うこととしたいと考えています。具体的な様式の改正案は資料6、そして診断書作成の留意事項の改正案は資料7でお示ししていますが、日本眼科学会・日本眼科医会の合同委員会による取りまとめ報告書等を受けて、認定基準を改正した身体障害者手帳の診断様式を参照しつつ作成しています。見直し案では、医師の負担をできるだけ軽減するため、現行のように診断書に視野図の記載を改めて求めるのではなく、診断書に視野図のコピーの添付を求める案としています。駆け足の御説明となり恐縮ですが、私のほうからの説明は以上になります。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ここからは、視力、視野、併合認定、診断書ごとに、それぞれの改正案について、構成員の先生方に御議論いただければと思います。
 まず、視力の改正案、具体には資料2の4、5ページ、資料4の1、2ページの辺りです。これらにつきまして、先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 
○平塚構成員 順天堂大学の平塚と申します。基本的にこの年金の制度というのは、身体障害者手帳と従来も合わせてきているということですので、身体障害者手帳のほうがこのように新しい形に変化しているので、そのままそれを変えて特に問題がないのであれば、今回の改正案で何ら問題はないのではないかと思います。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。そのほかに御意見はございますでしょうか。松本座長、お願いします。
 
○松本座長 今、平塚先生がおっしゃいましたように、視力に関しては、等級の表現は違うのですが、基本的に身体障害者手帳と全て同じになっておりますので、今回の改正においても、等級が下がる方がないようにきっちりと設定されております。ですので、この件に関しては余り問題がないのではないかと考えております。御意見がございましたら、皆様方、よろしくお願いいたします。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。そのほか御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、視力に関してはこの内容で妥当だということで、ありがとうございました。
 次に、視野の改正案について御意見を頂ければと思います。具体には、資料2の6~15ページ、資料4の3~6ページということで、視野は少しテクニカルな部分も含めて改正がございますので、御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。平塚先生、どうぞ。
 
○平塚構成員 視野も視力と同様で、身体障害者手帳で合わせられるところは、そのとおりで全く問題ないと思うのですが、これは事前のレクでも話をお聞きしたのですけども、18ページの2級の7の所の下から4行目、「周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下、かつ、両眼中心視野角度が56度以下のもの」というものと、その下の「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標(中心視野)で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」というのが並列して書かれているわけだから、ここの上と下が同じような障害度、意味合いのレベルのものである必要があると思います。
 事前にレクしていただいたときには、「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」という記載はなかったと思います。この記載がなかったときには、この2つというのは、周辺の視野の状況によっては全く同じとはなかなか言いにくいかなと感じていました。上のほうは、本当に中心しか見えていない人という意味合いになるけれども、下のほうは、中心は見えないのだけれども、周辺は結構残っている人も入ってしまうところを少し心配していました。今回の「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」という追加の文言を入れることによって、うまくここが通過できるようなレベルになったのかどうかというのは、私自身が今一つはっきりと分かりません。専門の松本先生に教えていただきたいと思うのですが。
 
○松本座長 御指摘ありがとうございます。今回のこの改定案では、この項目だけが少し問題になっております。と言いますのは、身体障害者福祉法の場合には法律的に10度内の求心性狭窄か2分の1以上の欠損が対象になるという前提で構成されているのですが、障害年金のほうは基本的にそのような制限がなく、周辺視野が10度内になっていなくても中心視野障害が強ければ、同等の障害を認定できる項目があります。前回の身体障害者手帳の改定では、周辺視野が厳密に10度内でなくても、条件を満たせば認定できるようになっており現行の障害年金の判定基準もほぼすべて対応できるのですが、この項目だけが基準を網羅することはできず、改正により等級が低下するケースが出る可能性があるため、現行のまま残す方がよいのではという議論が起こりました。
 自動視野計では厳密な求心性視野狭窄や輪状暗点という定義が非常に難しいため、前回の身体障害者手帳の改定に際しては、なるべく使わないという考え方で改定が進められました。一方、今回の障害年金のこの項目はゴールドマン型視野計のみでの運用で、従来と全く同じ基準を残すという点から、運用上の混乱も避ける目的で現行の文言をそのまま残しています。
 この部位の適正性に関しては自動視野計の判定も含め今後引き続き検討する必要する必要があると考えます。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。今回は、基本的に身体障害者手帳のほうに合わせていくというのはあるのですが、もう一つ、従来入っていたものは、存続する必要があるだろうという判断があって、ここは座長ともご相談して、このような形が妥当なのではないかというようにしているところです。平塚先生、いかがでしょうか。
 
○平塚構成員 私は年金については勉強不足なところがあったのですが、身体障害者手帳よりも、若干ここの部分は障害を持っている人に対して優しいという意味合いであれば、むしろよいのかなと思います。今まで厳しすぎたというような文言がどこかに書いてあったと思いますし。また、用語としても従来使っていた用語をそのまま流用しているということであれば、そんなに大きな混乱も起きないのではないかと思います。この辺は松本先生が「これでOK」ということであれば、問題ないのではないかと思います。
 
○不二門構成員 私もそれほど詳しいわけではないのですが、ここだけ求心性視野狭窄と輪状暗点というのを残すとすると、不規則性視野狭窄で、ほんの少しだけ島状につながっているような輪状暗点をどうするかとか、そこら辺をある程度決めておかないと、緑内障などだと甘く判定されてしまう部分もあると思うので、松本先生の御意見を伺いたいのですが。
 
○松本座長 おっしゃるとおりで、身体障害者手帳のほうでこれらの用語を除いた理由は、そこにあります。求心性視野狭窄の定義が不明確で不規則性はどれぐらいまで許されるのかを含め、いろいろな議論がありました。身体障害者手帳では法律で10度内という規定があるのですが、障害年金の場合は10度内まで進行していない求心性視野狭窄も判定が行われています。ただ、どのぐらいまで不規則なものが判定されているかということについては規定されていません。輪状暗点に関しても同様で、身体障害者手帳では残余している周辺のイソプタに連続性がないものと定義しています。今回の改正案は、基本的に身体障害者手帳に準拠した改定になっており、ほとんどの求心性視野狭窄、輪状暗点はその範疇で再定義されています。しかし、例外的な障害年金独自のこの項目に関しては、移行時に障害者に不利益がないことを配慮して、現行のまま残すことが提案されています。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。今回の案は現行でやっているものをそのまま存置する案でして、運用上は現行のものを引き続きやるという形になる、現場的にはそのような形になると考えています。不二門先生、いかがですか。
 
○不二門構成員 おっしゃるとおり、厳密にやろうとすると非常に難しいと思うのです。少し例外になってしまいますが、現行を維持するという部分でやっていかないと、不利益を被る人が出てきてしまうといけないので、私も松本先生の御意見に賛成で、今まで運用していた方法で続けていただくという解釈でいいと思います。
 
○草野事業管理課給付事業室長 そのほかに御意見はございますか。荻野先生、お願いします。
 
○荻野構成員 今、おっしゃっていたところが一番の問題点でして、私も認定をしているのですが、資料の12ページの2級の所で、①のほうは、Ⅰ/4で10度以内かつ、Ⅰ/2視野角の和が56度以内ということで、これは論理積なのでやりやすいのです。
 ②なのですが、結局Ⅰ/4の縛りがないから、Ⅰ/4のデータを取っていなくて、ただ、Ⅰ/2のデータだけきている場合があるのです。そうすると、Ⅰ/2が見えないとか測定不能というのがしばしばあります。Ⅰ/2が測定不能になるのは、Ⅰ/2の指標がすごく小さくて見づらいからです。例えば円錐角膜でⅠ/2が見えなくて、Ⅰ/2視野角がゼロで、「だから、②に該当するのではないか」とくるのですが、円錐角膜などでは、通常、視野障害があるとは考えにくいです。
 そういうときにも、①の基準が使えるⅠ/4を書いてくれればいいのだけれども、角膜疾患などですと、Ⅰ/4も測定不能だというようなケースがあるのです。こういう場合に「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」という条項があると、ここである程度、網膜色素変性症か、緑内障の末期か、糖尿病の光凝固後の末期か、そういうものについて「見えない」というようになって、視野障害と認められるのです。そういう縛りがないと、円錐角膜の人も視野障害になってしまうのです。それを認めるというと、ちょっとおかしい。医学的観点から見ると、円錐角膜とか眼振とかがある人に視野障害があるというのは、ちょっとおかしいと思うのです。
 今回の改正案で、初めは「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」というのを省いていたのですよね。省いてしまうと視野障害の基準が非常に緩くなって、今言った円錐角膜や眼振の人も、みんな②に当てはまってしまうのです。これでは、基準が緩くなりすぎてしまって困るだろうなと思うのです。なので、この条項が入ることによって、従来と同じような縛りができていいかなと。患者さんがたが、自分たちに不利益になるのではないかと勘違いされるかもしれないのですが、この条項は実質的に、従来と同じだから、不利益を被らないので、残せばいいと思います。山田先生どうですか。
 
○山田構成員 私も荻野先生と全く同感です。どうしても②の項目だけで判定されて、今まで2級になっていた方というのが、そこが一番悩ましいところで、結局、疾患名とか、他覚的所見と自覚的所見が乖離しているというか、うまく合わないような方の場合に、それがもし求心性視野狭窄、輪状暗点という条件がちゃんと付加されていれば、ある程度視野に影響が出る患者だというのが分かるので、それが残っていれば、5度以内という割と緩いというか、そういうのが残っていてもいいのかなと思うのですが、条件がない場合は、本当に他覚的所見及び疾患名と合わない症例、悩ましい、判断に困るというのが多くなってしまうのではないかと危惧します。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。おおむね、障害年金独自のⅠ/2の視標で両眼の視野が5度以内の所は御議論いただいたかと思うのですが、そのほか、視野の関係で御意見がありましたら、挙手いただけますでしょうか。荻野先生、お願いします。
 
○荻野構成員 たぶん、自動視野計になると基本的に基準が緩くなるような気がします。また、自動視野計を用いてくれれば、数値だけで機械的に障害判定ができるので、患者さんがたにとっても我々にとっても審査が楽になると思います。
 従来の条項を削除することが、患者さんがたの不利益になる可能性も考えて、今回はゴールドマン型視野計の条項を残していたということと思います。時間がたてばほとんど自動視野計になっていて、将来的には、ゴールドマン型視野計による申請がなくなれば、ゴールドマン型視野計に関する条項も省いていけるのかなと思います。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。そのほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。では、視野の改正案については一通り御議論いただいたかと思います。
 次に、併合認定ということで、資料2の16~21ページ、資料5について、構成員の先生から御意見がございましたら挙手をお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に診断書の改正案ということで、資料6、資料7でお示ししております。こちらについて御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。松本座長、お願いします。
 
○松本座長 今回の改定は、身体障害者手帳のほうもそうですが、実際測定された視野のコピーを添付することになっておりますので、例えばイソプター1本だけという視野は、臨床の現場では考えにくいのでないかと思います。また、診断書が視野を書類に書き写す必要もないので便宜性は増していると思います。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。資料6や資料7の診断書に関して、そのほかに御意見はございますか。松本座長からありましたように、身体障害者手帳の関係の診断書を参考にして、似たような形で作らせていただいているというものです。
 
○松本座長 自動視野計のほうですが、今、各種自動視野計のメーカーが、身体障害者手帳に合わせて打出しのプリントアウトを作っているのです。等級まで判定しているような打出しを自動でするものを作っているのですが、恐らく障害年金は等級が変わるので、この辺りは各メーカーが協力していただけるか、あるいは判定するときに、そこは抜いて、障害年金のほうで再計算をしていただくという、計算は同じなのですが、等級の最後のところが違ってくると思いますので、この辺りは各視野計の企業にもアプローチする必要があるのかなと思っております。
 
○草野事業管理課給付事業室長 ありがとうございます。荻野先生、お願いします。
 
○荻野構成員 併合認定表というのは、数値を付けて、足して何級になるというものと同じなのでしょうか。今までのものと同じですよね。
 
○草野事業管理課給付事業室長 同じです。認定基準が改正されると、新しい基準を併合判定のどこに位置付けるかという議論が生じますので、基本的に今までの考え方をトレースして、今回の改正をそのまま反映させているのですが、そのような考えに沿って案を作ってお諮りしました。基本は今までのものに、今回の改正案を反映させているというものになります。
 
○荻野構成員 分かりました。
 
○草野事業管理課給付事業室長 そのほかにございますか。よろしいでしょうか。その他、御質問や御意見がございましたら挙手いただければと思いますが、いかがでしょうか。平塚先生、どうぞ。
 
○平塚構成員 これは前回のレクのときにも聞かせていただいたのですが、そもそも論として私の興味で教えてほしいのですが、身体障害者手帳の基準を決めるときのロジックと、年金の対象者を決めるときのロジックというのは、学問的に、根本的にこういうところが違うのだというものがあるのであれば、本来だったらそういうところを反映して差を付けるべきなのだと思うのです。
 だけれども、今やっていることは、全く同じように合わせてやりましょうということになっていて、それで全然構わないのですが、私が知りたいのは、学問的に年金を出してよいというのと身体障害者にサービスを与えていいというところを、そういうことを国がやるときに、ベースとなる価値の考え方とかロジックというのは何か違うのか。別に大きな違いはないということであればそれで問題ないですし、もし違いがあるのだというのであれば、将来的には、このようなところも取り入れた判定みたいなものを考えていく必要があるのかなと。これは個人的な興味で、本日は専門の方がたくさんいらっしゃるので、御存じでしたら、事務局の皆さんのほうから教えていただきたいなと思うのですが。
 
○丸茂事業管理課長補佐 障害年金につきましては、障害によって稼得能力を喪失した方に対して所得保障を行うことを目的としているところです。一方で、身体障害者福祉法に基づく身体障害者手帳の認定基準に関しては、障害者に対するサービスとか支援の必要性に着目して等級などが設定されていると認識しております。このため、必ずしもそれぞれの等級というのが全て一致しているということも必要はないですし、現行もそれが全てのところで一致しているというようなものでもございません。ただ、類似はしてきている部分が多くなっておりまして、例えば年金の1級ですと、身体障害者福祉法の1級あるいは2級と類似しているところが多いとか、そういうようにはなってきております。
 今回の見直しに関しては、経緯として、身体障害者手帳のほうでの認定基準の見直しに当たっても、その前段階として、日本眼科学会・日本眼科医会の合同委員会で、非常に長期にわたって、医学的に専門家の先生方が十分な議論をもとにして整理された内容が反映されてきている改正になっているところがございますので、こちらについては基本的に、なるべく近付けていく、取り込んでいくというような形で、今回の改正は対応していきたいと考えているところでございます。
 
○草野事業管理課給付事業室長 平塚先生、いかがでしょうか。
 
○平塚構成員 先に不二門先生を。
 
○不二門構成員 私も素人なのですが、最初の経緯として、障害年金のほうには1級に視野の規定がなかったわけですよね。今のお話だと、働く上で障害になるのは、やはり中心視力が大事で、周辺視野は、歩行などは気を付ける必要はあるけれども、働くという意味においては、最初はそれほど重視されていなかったということなのでしょうか。今までの経緯を知らないので教えていただければと思います。
 
○丸茂事業管理課長補佐 もしかしたらそういった観点もあるかもしれないのですが、視野に関しては、例えば1級ですと、視力についても非常に悪くなってくるようなレベルのものだと思いますが、視力で評価ができるというようなところもございまして、視野のほうに必ずしもより高い基準が設定されてこなかったというところもあるかと思います。そういったことがありますけれども、今回、視野障害に関しても整理を手帳のほうでされているといったところがありますので、そこをきちんと視力だけではなくて、視野でも評価ができるようにするというようなことで、設定をさせていただいているということです。
 
○不二門構成員 了解しました。
 
○草野事業管理課給付事業室長 平塚先生、いかがですか。
 
○平塚構成員 いろいろ教えていただいてありがとうございました。勉強になりました。年金のほうは所得保障がベースの考え方で、身障者のほうはサービスや支援の必要性がベースになっているということで、恐らく視覚障害に関してはその両方がかなり近い感じだから、ほぼ一緒ということで、それ以外の障害に関しては、恐らく違うようなところもあるのかなというようなことで私自身は理解できました。ありがとうございました。
 
○草野事業管理課給付事業室長 そのほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題について一通り構成員の皆様から御意見を頂きましたので、進行を座長にお返しいたします。松本座長、よろしくお願いいたします。
 
○松本座長 構成員の皆様におかれましては、活発な議論をありがとうございました。本日の議論はこの辺りで終了させていただきます。
 次回の専門家会合は、5月27日(木)の開催を予定しております。そこで、眼の障害認定基準及び診断書の改定案の最終的な取りまとめを行う予定にしております。今回、御議論いただいた内容をもとに、事務局において、今回の提出資料の修正案を作成させていただきまして、取りまとめの議論を行いたいと思います。本日の議論に関しては、基本的に事務局において反映していただきますが、後日御意見がございましたら、お手数ですが、5月12日(水)までに事務局宛てに書面で提出していただきたいと思います。
 それでは、本日の会合はこれで終了したいと思います。構成員の皆様、事務局の皆様、長時間にわたりどうもありがとうございました。

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