令和3年6月11日

 6月11日(現地時間同日)、世界貿易機関(WTO/ジュネーブ)において、我が国は、中国に対し、同国による日本製ステンレス製品に対するダンピング防止(AD)措置について、WTO協定に基づく協議を要請しました。

  1. 中国は、2019年7月、日本、韓国、インドネシア及びEUから輸入されるステンレス製品のダンピングにより中国の国内産業が損害を受けているとして、AD税の賦課を開始しました(以下、「本AD措置」)。
  2. 我が国は、本AD措置は、中国の調査当局の認定や調査手続に瑕疵があり、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)及びアンチ・ダンピング協定(GATT第6条の実施に関する協定)に違反する疑いが強いと考えています。
  3. そのため、我が国は、WTOの場や二国間協議において措置の撤廃を繰り返し求めてきましたが、問題を解決することができなかったため、今般、中国に対してWTO協定に基づく協議要請を行いました。
  4. 具体的な協議日程等については、今後、中国との間で調整していく予定です。

[参考1]WTO協定に基づく協議
 WTO協定は、問題となっている措置がWTO協定に違反するか否かをパネル(第一審)に付託するに先立ち、協議を行うよう義務付けており、合意による問題解決が奨励している。

[参考2]ステンレス製品(対象製品)
 本AD措置では、ステンレス鋼鋼片(スラブ)、ステンレス鋼熱間圧延鋼板(カットシート及び厚板)及びステンレス鋼熱間圧延コイルが、対象製品となっている。ステンレス鋼鋼片は、精錬された溶鋼を鋳造して得られる半製品である。ステンレス鋼熱間圧延鋼板は、船舶・橋梁など建材部材や産業用機械に利用されている。ステンレス鋼熱間圧延コイルは、自動車部品、家庭用電化製品用冷延鋼帯の原材料等に利用されている。

[参考3]アンチ・ダンピング措置
 ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいう。