令和3年6月9日

テレビ会議の模様

岸防衛大臣と茂木外務大臣

茂木外務大臣

6月9日、午前11時から約2時間、茂木敏充外務大臣及び岸信夫防衛大臣は、マリズ・ペイン・オーストラリア連邦外務大臣(Senator the Hon Marise Payne, Minister for Foreign Affairs of the Commonwealth of Australia)及びピーター・ダットン・オーストラリア連邦国防大臣(The Hon Peter Dutton MP, Minister for Defence of the Commonwealth of Australia)との間で、第9回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)をテレビ会議方式で実施したところ、概要は以下のとおりです(今回の会合後に共同声明(和文(PDF)別ウィンドウで開く / 英文(PDF)別ウィンドウで開く)を発表)。

1 総論

四大臣は、インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増している中、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、基本的価値と戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」である日豪間の協力を深化させることで一致しました。また、地域の安全保障上の課題を踏まえた戦略認識を共有するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、インド太平洋地域及びそれを超えた地域における平和、安定及び繁栄に貢献すべく、日豪間の安全保障・防衛協力を新たな次元に引き上げることの重要性を確認しました。

2 インド太平洋地域の動向

(1)四大臣は、東シナ海情勢、南シナ海情勢への深刻な懸念を表明した上で、力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対しました。また、四大臣は、中国海警法に対する懸念を表明しました。その上で、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性を確認しました。

(2)四大臣は、台湾海峡の平和と安定が重要であることを確認するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことで一致しました。さらに、香港及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有しました。

(3)北朝鮮情勢について、四大臣は、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄の実現に向け、国際社会が一体となって取り組むことが不可欠であることを確認し、違法な「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避への対応等、国連安保理決議の完全な履行に向け、日豪で引き続き協力していくことで一致しました。また、四大臣は拉致問題の即時解決に向け、引き続き緊密に協力することで一致しました。

(4)四大臣は、ミャンマー情勢について、重大な懸念を表明するとともに、4月24日のASEANリーダーズ・ミーティングの「5つのコンセンサス」を具体的成果につなげるため、両国で引き続き連携していくことで一致しました。

(5)四大臣は、ASEANは「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた要であり、その一体性及び中心性並びに「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」を支持することを再確認しました。

3 米国や他の同志国との関与・協力

四大臣は、米国のインド太平洋地域への強いコミットメントを歓迎するとともに、同地域の平和、安定、繁栄を支えるため、共通の同盟国である米国との三か国協力を一層強化することへのコミットメントを改めて確認しました。また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、日米豪・日米豪印での連携が重要であることや、東南アジア、欧州諸国、太平洋島嶼国を含む同志国との協力を推進していくことでも一致しました。

4 日豪安全保障・防衛協力

(1)四大臣は、二国間の共通の戦略認識に基づき、地域の平和と安定のための防衛当局間の実践的な協力を含め、日豪間の安全保障・防衛協力を更に強化していくことを確認しました。また、日豪部隊間の相互運用性を引き続き強化するとともに、空中給油を含め自衛隊と豪州軍によるより複雑かつ高度な演習に取り組むことを確認しました。

(2)四大臣は、技術及びサプライチェーンなどの経済安全保障上の課題、サイバー空間に関するルール作り等のサイバーセキュリティの課題及び宇宙空間の持続的かつ安定的な利用等の宇宙分野における安全保障についても議論し、これらの分野においても引き続き日豪間の協力を深化させていくことで一致しました。

(3)四大臣は、日豪円滑化協定の戦略的重要性について再確認し、可能な限り早期に同協定に署名すべく残された全ての課題への取組を加速化することで一致しました。また、自衛隊と豪州国防軍のアセットの安全を確保する重要性を強調するとともに、自衛隊法第95条の2に係る自衛官による豪州国防軍の武器等の警護任務の実施について、体制が構築され、今後、適切な機会において、豪州国防軍からの要請を踏まえ、同条の下での警護を実施する準備が整ったことを確認しました。