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厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和3年1月28日 (木) 13:30~15:20

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 11B

議題

(1)リスク評価対象物質のばく露評価について
 (初期リスク評価)
  ・ジエタノールアミン
  ・りん酸トリ(オルト-トリル)
  ・2-クロロニトロベンゼン
 (詳細リスク評価)
  ・オルト-フェニレンジアミン
(2)その他
 

議事

議事内容
○神田有害性調査機関査察官 それでは、時間となりましたので、まだお着きになられていない先生もいらっしゃるのですが、始めさせていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。これより令和2年度第2回化学物質のリスク評価検討会を開催したいと思います。
本日は、今年度になってから定番となりましたが、新型コロナウィルスの感染状況に鑑みましてリモート開催との併用という形で開催させていただいております。こちらの会場には名古屋先生、江馬先生、小嶋先生、清水先生、鷹屋先生の5名の先生に来ていただいております。また、リモートで圓藤吟史先生、圓藤陽子先生、大前先生、津田先生、西川先生、原先生、宮川先生、吉成先生に御参加いただいております。また、櫻井先生にもリモートで御参加いただく予定になっています。
ですので、皆様、御発言の際には挙手していただきまして、座長の先生の指名を受けてから御発言いただきますようにお願いいたします。あと、リモートの先生方、皆さん、カメラは大丈夫でしょうか。御発言のときはカメラに向かって手を振っていただきましたら、こちらから御指名させていただきます。
また、会場にお越しの先生方におかれましては、発言の際はお手元のハンドマイクを使って御発言いただきますようによろしくお願いいたします。
本日御欠席の委員の方ですけれども、内山先生、高田先生、平林先生から所用のため御欠席との御連絡を頂いております。
それでは、座長の名古屋先生に以下の議事進行をよろしくお願いいたします。
○名古屋座長 ありがとうございます。
まず事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 資料の確認でございます。
今画面に出させていただきましたホームページですけれども、こちらで確認させていただきます。資料は1から4までありまして、資料1つにつき3つずつ資料をつけています。資料1としまして、リスク評価書の本文と別添1、別添2と、別添3として有害物ばく露報告を提出した状況の詳細、そして測定分析手法、この3つをセットで1から4まで御用意させていただいているという状況でございます。そして、非公開資料としまして、非公開の資料1-1から1-4まで別途先生に送らせていただいたものです。あと、参考資料といたしまして、参考1、参考2と、参考3としまして「職場における化学物質等のあり方に関する検討会中間とりまとめ」と、その資料としまして概念図、この4つをつけさせていただいている状況でございます。
資料は以上でございます。
○名古屋座長 大丈夫でしょうか。
それでは、本日の議題に入ります。
議題1は「リスク評価対象物質のリスク評価について」ということでございまして、初期リスク評価が3物質、詳細リスク評価が1物質、計4物質についてリスク評価をお願いしたいと思います。
まずジエタノールアミンにつきまして、事務局からの説明をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、1つ目の物質、ジエタノールアミンの初期リスク評価についてでございます。
まずざっと概要を確認していきたいと思います。
ジエタノールアミンがリスク評価対象に選ばれた選定理由といたしましては、2012年にIARCで2Bと評価がついてからということになります。ばく露作業報告は、2014年、平成26年の使用量を対象としまして、2015年に報告を徴収しました。受けた報告数は238あったところでございます。
では、本文をざっと確認していきたいと思います。
物理化学的性質は御覧のとおりでございまして、こちらは名称通知有害物ということで別表9の対象になっている状況です。
次に物理的化学的性状でございますけれども、外観としましては、特徴的な臭気のある白色の結晶あるいは無色の粘稠な吸湿性液体ということになっています。沸点は269℃、蒸気圧は20℃で1 Pa未満ということです。融点としては28℃となっております。
物理的化学的危険性は御覧のとおりになっています。
製造・輸入量でございますが、2018年度の実績といたしまして1万4,385 tとなっております。用途は、こちらは化学工業日報社の『16615の化学商品』のデータとなりますけれども、エタノールアミンとしてということで載せております。内容としては、合成洗剤、乳化剤、化粧品、靴墨、つや出し、ワックス、農薬などといったところが用途となっているといった状況でございます。
有害性評価の結果についてです。
まず発がん性ですが、ヒトに対する発がん性が疑われるとなっております。先ほど申しましたが、IARCは2B、産衛学会も2Bで、ACGIHは3といった評価がついている状況でございます。
進みまして、4ページです。発がん性以外の有害性でございますが、急性毒性は御覧のとおりです。
次のページに参りまして、皮膚刺激性/腐食性はあり。
眼に対する重篤な損傷性/刺激性はあり。
皮膚感作性もあり。
呼吸器感作性については判断できない。
反復投与毒性としましては、NOAELとして1.5 mg/m3という数値が出ておりまして、ヒトに換算しましたところ、評価レベルとして0.03 ppm (0.11 mg/m3)といった数値が得られている状況です。
進みまして、生殖毒性ですが、ありとしております。ここの根拠の書き方について有害性評価小検討会で御指摘を頂きまして、少し変更いたしまして、「ヒトでの生殖毒性の報告はない。動物では吸入ばく露による、母体毒性がみられた用量での胎児の骨格変異の増加、また経口投与による着床後胚損失率の増加や精巣毒性の報告がある」といった内容に記述を改めております。
進みまして、次のページの202行目でございますけれども、遺伝毒性はなしということになっております。
また、生殖細胞変異原性は判断できない。
神経毒性につきましては調査した範囲で情報なし。
許容濃度に参りますが、ACGIHが1 mg/m3ということで勧告しておりまして、こちらはskin、経皮吸収の勧告も出ている状況でございます。
評価値でございますが、一次評価値はなし、二次評価値につきましてはACGIHが提案している許容濃度1 mg/m3を採用しているといった状況です。
次にばく露実態調査に参ります。
提出状況についてですが、次のページの集計表を御覧になっていただければ分かるとおり、239事業場から提出がありまして、作業としては451件の作業についてデータが集まっております。この有害物ばく露作業報告のあった239のうち、5事業についてばく露実態調査を実施いたしました。こちらは、前回のばく露小検討会でこの数は少なくないかというような御質問を受けて、新しくなったガイドラインで計算したら5事業場になりましたとお答えしたのですけれども、それは誤っておりまして、実際は、改正される前のガイドラインの計算式に従って算出したところ、二次調査の事業場としては5つということでこの数が出てきているということでございます。失礼いたしました。こちらは訂正させていただきます。ということで、5事業場についてばく露実態調査を行っております。
測定分析法についてですが、こちらも前回のばく露小検討会で誤りが指摘されましたので、硫酸含浸ガラスファイバーフィルターに修正しております。
その測定結果でございますが、次のページに参りまして、測定は5人の作業者に対して実施いたしまして、定量下限値を超えた2データについて評価データとして採用いたしました。結果はこちらの図1の棒グラフのとおりです。二次評価値1 mg/m3に対してかなり低い測定値であったということでございました。
以上から、最後にリスク判定及び今後の対応についてでございますが、こちらの製造・取扱事業場におきましては、最大ばく露量は0.0048 mg/m3であり、二次評価値である1 mg/m3を下回っていることから、経気道ばく露によるリスクは低いと考えられる。
他方、本物質については経皮吸収が指摘されておりますので、経皮吸収に係る知見や保護具等の作業実態データを積み重ねた上で、経皮吸収の観点を含めてリスク評価を確定させるべきである。
本物質については、労働安全衛生法に基づくラベル表示及びSDS交付、並びにリスクアセスメントの義務対象物質となっている。本物質の製造・取扱作業に労働者等を従事させる事業者においては、本物質が発がん性が疑われる物質であること、また皮膚刺激性/腐食性、眼に対する重篤な損傷性/刺激性、皮膚感作性、反復投与毒性及び生殖毒性があることを踏まえてリスクアセスメントを実施し、自主的なリスク管理を行うことが必要であるという形でまとめさせていただいております。
あと、修正点がございます。16ページに参りまして、こちらは、以前有害性評価小検討会でこのエピソードも有害性総合評価表につけるよう御指示いただきましたF344ラット雄の実験結果の部分をこちらに加えております。
また、37ページですが、こちらの別添4の測定分析法の表について、蒸気圧のところで表記が間違っていましたので、1 Pa未満という形で修正しております。
資料の説明は以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
データからいきますと経気道ばく露は著しく低いということで、本来なら初期リスク評価で終了という形になりますけれども、この場合は経皮吸収がありますので、その観点からの経皮吸収のリスクを確定させなければいけないということでございますけれども、何か御質問等ありますでしょうか。
○江馬委員 評価書の208行目で生殖細胞変異原性は「判断できない」となっているのですが、前に見せていただいた小検討会の生殖細胞変異原性に関する記載の方法を見ると、適切な情報がない場合は「情報がない」と記載するようになっていましたので、これは「情報がない」に訂正したほうがいいのではないかと思います。
それから、別添1も同様です。
○名古屋座長 では、そこのところの修正をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 はい。208行目ですね。
○名古屋座長 「判断できない」。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。修正させていただきます。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
あと、リモートの先生で手を挙げられた方がいらっしゃいましたけれども、どうぞよろしくお願いします。
○櫻井委員 それほど重要ではないかもしれないのですけれども、23行目あたりから、用途と製造業者、これはいずれも「 (エタノールアミンとして)」となっています。エタノールアミンとジエタノールアミンは相互に簡単に変換するようなものではなくて、用途が非常に似ていることも事実ですが、ここをジエタノールアミンでなくエタノールアミンとしたのは理解しにくいのですが、いかがでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 ここは、ジエタノールアミンとしてのデータがなかったので、エタノールアミンとしての用途と製造業者を載せたのですが、これは別にしたほうがよろしいですか。
○櫻井委員 はい。誤解を招くと思うのです。エタノールアミンとジエタノールアミンは簡単に相互に変化するなら同じようなものなのではないかと思ってしまう人もいると思うのですが、毒性とかばく露限界値も違う物質ですので、誤解されないほうがいいと思います。
エタノールアミンは、「職場の安全サイト」のモデルSDSを見てみましたらエタノールアミンのものを書いてありますので、それを持ってくればいいと思います。
○神田有害性調査機関査察官 「職場の安全サイト」に書かれているものですね。
○櫻井委員 ええ。モデルSDSのエタノールアミンのところに数行にわたって、ほぼ似ていますけれども、書いてあります。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。では、そちらをもう一回確認して必要な修正を行いたいと思います。ありがとうございます。
○名古屋座長 そうですね。もしエタノールアミンとして書くのだったら、理由を書かれたほうがいいですね。もともとの題名と違うのはまずいかと思いますので。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。では、そこは修正いたします。
○鷹屋委員 今の件で、実はジではないエタノールアミンはもっとばく露の可能性が高い。使用量が多いはずなので。例えば、この例で書いてありますとおり、洗剤とかに入っているのです。そうすると、ジエタノールアミンの使用目的がこれだとするとばく露調査等の数とか結果と矛盾するので、やはり使われ方が違うからだということがあると思うので、現実にジエタノールではなくてモノエタノールアミンとかはアルカリ剤として洗浄剤とかに結構入っていて、ばく露の可能性のある労働者数も全然桁が違うと思いますので、私もここの記述は変えたほうがいいと思います。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。
ちなみに、その辺の用途、今、先生から「職場の安全サイト」にも書いてあるということを教えていただいたのですけれども、そのほかにこれを調べればわかるよとか、何かございますか。用途とか。いつも用途に関して調べるときには大体この化工日を調べるのですけれども、それ以外にこの辺を見れば分かりますよとか、何かありますか。
○名古屋座長 私たち自体が用途はあまり見ないので、本当に申し訳ないのですけれども。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。では、またこちらで考えてみます。どうもありがとうございます。
○名古屋座長 そこのところは確認して、後日また先生方のところに送ってください。
○津田委員 今のジエタノールアミンとエタノールアミンのことですけれども、IARCではジエタノールアミンとしてやってこの結果が出ているので、ここでエタノールアミンを出してくると別の化合物ということになり、発がん性に関しては全く通用しないということになってくるのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 今、別の物質だからここにエタノールアミンとして書くのはまずいということで先生方から御指摘いただきましたので、ここは変更させていただきたいと思います。
○津田委員 それともう一つ、「2012」と書いてありますが、「2013」です。
○神田有害性調査機関査察官 IARCですね。分かりました。失礼いたしました。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
○江馬委員 初期評価の資料1、2、3は何年何月と書いていないのですけれども、それは書かないのですか。詳細評価の資料4は2000何年何月厚生労働省と書いてあるのですけれども、表に日付があったほうが。例えばどこかで引用する人は、それがないと困るのではないかと思うのです。
○神田有害性調査機関査察官 リスク評価書本文自体のということですか。分かりました。ここには確かに書いていないので、入れさせていただきます。有害性評価表とか有害性評価書には一応最終改訂日ということで最後のほうに入れてありますので、同じような形で入れさせていただければよろしいですか。―分かりました。ありがとうございます。
○名古屋座長 あとはよろしいでしょうか。
○西川委員 先ほど津田先生がおっしゃったように、このIARCの評価は2013年で、これは資料1の43行目と79行目に当たります。
それで、質問というかコメントしようと思ったのは、4ページの74行目と76行目にあまり見たことのない解析方法が書いてあって、「standard single-section examination」とか、「extended-step sectioning」とかですが、もともとのNTPの報告書を見てみると統計解析ではなくて病理組織標本の一枚のみでの検査と連続切片としての検査のことを言っているので、こういう特殊な技術の記載はもっと簡略化するか削除したほうがよいのかなと思いました。
○名古屋座長 ありがとうございます。
ここの記述は有害性評価の先生方に聞いたほうがいいですよね。
○神田有害性調査機関査察官 そうですね。
○名古屋座長 では、改めて大前先生にお聞きして確認を取ってもらってもいいですか。そのようにしましょうか。
○神田有害性調査機関査察官 はい。ここは有害性評価の先生にも見ていただいて修正させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○西川委員 次は、資料1の5ページの145行目から146行目に、扁平上皮化生に炎症細胞の浸潤がないので、適応であり、毒性と考えなかったとあるのですが、有害性評価小検討会ではこれを毒性と判定していますので、今読み上げた部分は削除したほうがよいのかなと思いました。
○神田有害性調査機関査察官 先生、すみません、今、146行目とおっしゃいましたか。
○西川委員 5ページの145行目から厳密には147行目の文章、これはSIDSの記載にはあるのでしょうけれども、我々は環境省と同じ評価をしていますので、これは一応毒性と判断ししているわけですから、混乱しないように削除したほうがよいと思いました。
○神田有害性調査機関査察官 145行目の「炎症細胞の浸潤が」というところですかね。
○西川委員 そうです。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。では、ここも修正させていただきます。
○大前委員 今の件ですけれども、これは有害性評価書のほうの133行目とか134行目の点だと思うのですが、この有害性評価書はもう通ったやつですよね。134行目のところで「有害事象というよりは、刺激性物質の吸入による適応」という形で書かれていまして、この有害性評価書はもう通過したやつですよね。有害性評価小検討会で検討が終わっているやつではなかったでしたっけ。もし有害性評価小検討会で通っているものでしたら、多分この部分を持っていらっしゃったと思うので、そうするとどうしましょうかということなのですが。
○神田有害性調査機関査察官 有害性評価書の記述とリスク評価書の本文の記述が違っているということですか。
○大前委員 いやいや、同じなのです。だから、有害性評価小検討会ではこれは見ないという形で評価書をつくってしまっているのをそのまま持ってきていらっしゃるわけです。そうすると、この部分を変えるかどうかということです。有害性評価書を変えなくてはいけないかどうかということになると思うのですけれども、どうしましょうか。この部分を有害と見るのか、あるいは適応と見るのか、その議論をもう一回しなくてはいけなくなってしまうのですけれども。
○西川委員 大前先生がおっしゃった有害性評価書の部分は多分ここと少し違うと思うのです。それを確かめるために有害性評価書の部分を画面で見せていただけますでしょうか。
○名古屋座長 文章は同じですよ。
○大前委員 西川先生は文章が同じかどうか確認されたいというお話だと。
○神田有害性調査機関査察官 これで見えていますか。ここですね。
○大前委員 その部分ですね。
○西川委員 ここには最後の部分、環境省のところが書いていないですよね。
○大前委員 そうなのですけれども、この評価書が小検討会を通っている評価書だとしたら、この通っている評価書をそのまま持ってきているわけですから、ここのところを環境省の評価に変えるかどうかという議論をしなくてはいけないという意味です。
○西川委員 多分結論としては環境省の判断を支持したということだと思うのですけれども、書き方についてはお任せしたいと思います。事実と違うということではないので、書き方の問題だと思います。
○大前委員 事務局にもう一回聞きますけれども、この評価書は有害性評価小検討会を通っているやつですよね。
○神田有害性調査機関査察官 はい、そうです。
○大前委員 「 (案)」と書いてあるのが気になっているのですけれども。
○神田有害性調査機関査察官 この「 (案)」は全体のリスク評価書としての案という意味です。
○大前委員 分かりました。
○神田有害性調査機関査察官 当然、有害性評価小検討会で見ていただいたものになりますので。
○大前委員 ということなので、今の西川先生の御意見の環境省の判断をとるとしたら、この有害性評価書のほうの中身も変えなくてはいけないということになるわけですね。両方が合わないとまずいわけですから。それでどうしましょうかということです。環境省のをとるのか、あるいは一旦小検討会で通した適応ということにするのか。
○西川委員 可能であれば遡って変更したほうがいいかと思います。そうでないと整合性がとれませんので。
○大前委員 いかがしましょう。この検討会の中には小検討会の委員の先生方もいらっしゃいますけれども、どうしましょうか。
○名古屋座長 事務局、有害性評価小検討会で通ったものを変えるときに、ここでは変えられないので、有害性評価小検討会をもう一度開催して検討するかどうかは有害性評価小検討会の先生方に聞いて判断して、整合性をとって、これでよかったらこのままいくし、もし変えるのだったら、もう一度小検討会開いて、その成果が出てきたものをここに貼り付けて、それと同じ文章を本文に持ってくるという形のほうがいいのではないか。ここでは決められないので。そういう形でよろしいでしょうか。
○大前委員 多分結論は変わらないと思うので、この部分をどのように判断するかはまた小検討会で検討するという名古屋先生がおっしゃったやり方でいいのではないかと思います。
○名古屋座長 すみませんけれども、よろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、また有害性の先生方にはこの部分を別途諮らせていただくということでよろしいですか。―すみません、お願いいたします。
○名古屋座長 あとはよろしいですか。
そうしましたら、一部のところの確認ができましたので、後日改めてその結果を皆さんに報告するという形でよろしいでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 かしこまりました。
○名古屋座長 そうしましたら、ジエタノールアミンにつきましては、経気道ばく露のリスクは低いと認められますが、経皮吸収の勧告があるため、経皮吸収調査をもってリスク評価を確定させたいと思います。ただし、一部の修正がありますので、最終結果はそこの判断を受けてまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。―ありがとうございます。
次のりん酸トリにつきまして、事務局、説明をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、次のりん酸トリに参りたいと思います。
では、りん酸トリのリスク評価書でございます。
こちらも選定理由はGHS分類で神経毒性が区分1とされたことによります。ばく露作業報告としては、2014年、平成26年の使用量について2015年に報告を頂いておりまして、報告書は全体で3ということになっております。
では、リスク評価書の内容をざっと見てまいります。
物理化学的性質の部分ですけれども、御覧のとおりでございます。こちらは別表9の名称等を通知すべき有害物ということで安全衛生法上は位置付けられているといった状況でございます。
物理的化学的性状の部分ですが、外観としては無色または淡黄色の液体。沸点は410℃、蒸気圧としては1.96×10-6 torrということになっています。融点としては11℃となってございます。
物理的化学的危険性は御覧のとおりです。
26行目、製造・輸入量に関してですが、こちらもりん酸トリ (オルト-トリル)としての単体の製造・輸入量は分かりませんでしたので、りん酸トリトリルとして1,953 tと書いたのですけれども、先ほどのお話であればこれも見直したほうがいいかもしれませんね。後ほど御意見を頂ければと思います。
32行目、有害性評価の結果でございますが、発がん性は判断できないとしております。
IARC等々の判断の情報はなしということになっております。
53行目、 (2)の発がん性以外の有害性の部分は御覧のとおりでございます。
まず急性毒性は御覧のとおりです。
次のページに参りまして、皮膚刺激性/腐食性についてはなし。
眼に対する重篤な損傷性/刺激性も調査した範囲で情報なし。
皮膚感作性についてもなし。
呼吸器感作性については調査した範囲で情報なし。
反復投与毒性については、NOAELとして0.5 mg/kg/日という数値が得られまして、不確実係数を掛けて評価レベルを計算したところ、0.3 mg/m3という数値が得られているといった状況です。
生殖毒性でございます。こちらは有害性評価小検討会の御議論を頂きまして、ありという形に変更してございます。根拠も修正しておりまして、ざっと読みますと、「繁殖能を検査した実験はなく、発生毒性試験では母動物が死亡する用量でも胎児に異常はみられていない。しかしながら、ラット雄に経口投与した試験において、精巣相対重量の低下、精巣上体内の精子運動性と数の減少、および精巣中のNSE、NTE活性低下に加え、精子の形態異常や精細管変成など、精巣の病理学的変化も報告されていることから、生殖毒性ありと判断した」と修正しております。
次のページに参りまして、125行目、遺伝毒性については判断できない。
生殖細胞変異原性については情報なし。
神経毒性についてはあり。
許容濃度については、ACGIHで0.02 mg/m3という数値が出ております。また、skinということで、経皮勧告も出ているといった状況でございます。各許容濃度、他の団体の部分ですけれども、DFG MAKで0.001 ppmという数値が出ているのですけれども、こちらもまだ根拠が不明ということでドラフトのままですが、最近調べてもらったのですけれども、まだ出ていないということでしたので、これは一応ドラフトという形で置いてあります。
168行目の評価値ですが、一次評価値としてはなし、二次評価値としては0.02 mg/m3ということで、ACGIHの数値を採用しているという状況でございます。
次にばく露実態調査に参ります。
表1の集計表ですが、3事業場から3件の報告が出ている状況でございます。こちらのばく露実態調査は、この3事業場のうちの1事業場に対して実施いたしました。
進みまして、214行目、測定結果でございます。こちらは調査を実施した1事業場の中で2名の作業員の方で個人ばく露測定を行ったのですが、いずれも定量下限値未満ということになっております。
よって、リスクの判定及び今後の対応のところですが、りん酸トリ (オルト-トリル)の製造・取扱事業場におけるばく露実態調査の結果、個人ばく露測定濃度はいずれも定量下限値未満でございましたので、経気道ばく露によるリスクは低いと考えられる。
他方、本物質については経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点を含めてリスク評価を確定させるべきである。
本物質は、労働安全衛生法のラベル表示及びSDS交付、並びにリスクアセスメントの義務対象物質となっている。本物質の製造・取扱作業に労働者等を従事させる事業者は、本物質が反復投与毒性、生殖毒性及び神経毒性がある物質であることを踏まえてリスクアセスメントを実施し、自主的なリスク管理を行うことが必要であるという形でまとめてございます。
もう一つ、別添4の測定分析法で修正してあるところがあります。ACGIHの許容濃度のところは、前のバージョンだと0.1 mg/m3と書いてあったのですけれども、ここは0.02 mg/m3と、リスク評価書に合わせて変更してございます。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
ばく露から言いますと、ばく露濃度は、定量下限値以下で著しく低いということ、また経皮吸収はあるということで、報告に書かれたとおりだと思いますが、何かお気づきの点はありますでしょうか。
○西川委員 生殖毒性のところですけれども、4ページに赤字で修正してありまして、1つ確認したいのは、精巣中のNSEとかNTEの活性低下があるということですが、これはどうもラットの試験ではないような感じなのです。同じ人が同じ年に3報出していて、要約しか見ていませんがニワトリのデータではないかと思われます。この後で結構ですから、そのあたりを確認していただきたいというのが1つ。
そうしますと、これは精巣毒性はありそうなのですが、精巣毒性ありということから生殖毒性ありと書いてしまっていいのかなという疑問がありましたので、コメントさせていただきました。
○名古屋座長 ありがとうございました。
これも有害性評価小検討会の先生に聞いていただけますか。そのほうがいいと思います。そこでここを書き直すかどうかということを検討していただければありがたいと思います。
ほかにお気づきの点はありますでしょうか。
○鷹屋委員 記述の問題で、非公開のばく露実態集計表、多分こちらはいずれも低くて定量下限以下だと思うのですけれども、スポットのところが、この資料2-2のほうは算術平均値の数字が書いてあって、最大値は不等号がついているのですけれども、その1つ前のジエタノールアミンは算術平均値のほうにも不等号がついていて、これは記述を合わせていただきたいのと、これは結局、その意味としては、とにかく定量下限以下だったということをコメントでつけるようにしていただいたほうが、しばらく後で見直したときにどういう意味かということが分かるのかなということがありますので、記述の問題ですけれども、よろしくお願いします。
○名古屋座長 修正をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 かしこまりました。
○名古屋座長 あとはよろしいですか。
○西川委員 確認ですけれども、先ほどの生殖毒性はありということで変わりがないということですか。
○神田有害性調査機関査察官 生殖毒性は、前回の小検討会でありではないかという御意見を頂いて変更しましたが、いかがいたしましょうか。
○江馬委員 生殖毒性ありではないかと言ったのは私です。精巣の病理組織学的変化が報告されていて、精巣毒性はありという判断になってくると思います。精巣毒性が出ていても、この物質では仔供の数などに影響するというデータは報告されていないのですが、精巣毒性がはっきりしていて生殖指標に影響することも疑われるので、生殖毒性ありという判断でいいのではないかと考えました。
○西川委員 分かりました。そうであれば問題ないのですけれども。
あと一つ、字の訂正で、4ページの102行目、「精細管変成」の「成」の字が間違っていますよね。性別の「性」になるかと思います。
○神田有害性調査機関査察官 失礼いたしました。
○名古屋座長 ありがとうございました。
ほかにありませんでしょうか。―よろしいでしょうか。
そうしましたら、少し確認するところはありましたけれども、結果としまして、りん酸トリにつきましては、経気道ばく露のリスクは低いとみなされますが、経皮吸収はあることから、経皮吸収の調査結果を待ってリスク評価を確定させるということでよろしいでしょうか。―ありがとうございました。
次の物質、2-クロロニトロベンゼンについて、説明をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、3物質目の2-クロロニトロベンゼンに参りたいと思います。
こちらの選定理由は、発がん性試験の結果陽性と認められたことからがん原性指針の対象となったということがきっかけでリスク評価対象になっているものでございます。ばく露作業報告につきましては、2016年、平成28年の実施状況を2017年に報告いただきまして、報告数が3つ上がっている状況です。
では、内容を見ていきたいと思います。
物理化学的性質ですが、御覧のとおりとなっております。こちらは、がん原性指針のほか、強い変異原性が認められた化学物質となっております。
 (2)の物理的化学的性状ですが、外観としては特徴的な臭気のある黄色または緑色の結晶。沸点は246℃。蒸気圧といたしましては0.6 kPaとなっています。融点は33℃です。
物理的化学的危険性は御覧のとおりです。
製造・輸入量の用途のところですけれども、こちらは2012年のデータとして1,000 t未満というデータがありますが、2013年度以降のデータはありませんので、今分かる最新でこの状態ということでございます。
34行目の有害性評価の結果でございますが、発がん性は、ヒトに対しておそらく発がん性があるとなっております。IARCについては2B。産衛学会は2B。以下このとおりとなってございます。
75行目ですが、発がん性以外の有害性。
急性毒性については御覧のとおりです。
皮膚刺激性/腐食性については判断できない。
眼に対する重篤な損傷性/刺激性については軽度刺激性となっています。
皮膚感作性については判断できない
呼吸器感作性についても判断できない
反復投与毒性としては、LOAELとして1.1 ppmという数字がありますので、評価レベルとしては0.0083 ppmということで、先ほどのLOAELを変換した数値が得られているという状況でございます。
生殖毒性は判断できない。
遺伝毒性はあり。
生殖細胞変異原性については判断できないとなっております。
神経毒性については情報なし。
許容濃度については御覧のとおりの設定なしとなっていますけれども、DFG-MAKでHということで、これは経皮吸収ありという意味で、ここにHがついているといった状況で、数値としての設定はどこもないような状況です。
評価値ですが、一次評価値についてはなし。二次評価値については0.0083 ppmという数値。こちらは、先ほど見ていただいたとおり、いろいろなところの許容濃度の設定はないのですけれども、そういった場合も、発がん性以外の毒性試験、今回は反復投与毒性試験から得られた最小毒性量から、不確実係数を考慮して算定した評価レベルを二次評価値として採用しているといった状況でございます。
次にばく露実態調査でございますが、先ほど申し上げましたとおり、3事業場から計3件の報告が上がってきている状況です。
ばく露実態調査の結果でございますけれども、その前に、測定分析表で括弧のところを書き加えております。
測定結果でございますが、2人の作業者に対して実施しまして、定量下限値を超えたのは結局1データということでございました。先ほどの計算で求めた二次評価値と比べても低い数値が出ているといった状況でございました。
以上から、リスクの判定及び今後の対応でございますけれども、最大ばく露量が二次評価値を下回っていることから、経気道ばく露によるリスクは低いと考えられる。
他方、本物質については経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等の作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点を含めてリスク評価を確定させるべきである。
本物質は、労働安全衛生法に基づくラベル表示及びSDS交付、並びにリスクアセスメントの義務対象物質になっています。本物質の製造・取扱作業に労働者等を従事させる場合には、本物質ががん原性指針の対象であること、また眼に対する軽度な刺激性、反復投与毒性及び遺伝毒性がある物質であることを踏まえてリスクアセスメントを実施して、自主的なリスク管理を行うことが必要であるという形でまとめてございます。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
この物質についてもばく露濃度は低いということと経皮吸収はあるという形ですけれども、もう一つあるのは、スポットが0.012 ppmで高いのですけれども、この取扱いについては、経皮吸収のときに短い時間のばく露濃度を測って経皮吸収の評価をすると思うのです。そのときにスポットの値がどのような形で出てくるかによって決まってくると思いますので、ここのところは一応低いという形の評価でいいのかなと思っています。
何かお気づきの点はありますでしょうか。
○江馬委員 評価書の174行目ですが、生殖細胞変異原性の書き方で、「判断できない」ではなくて、ここは「情報がない」になると思います。別添1のほうは「情報がない」と記載されています。
それから、非常に細かいところですが、181行目、「生殖細胞変異原性」と「を」の間にコンマみたいなものがありますので、消してください。別添1のほうもこうなっています。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございました。修正します。
○名古屋座長 ほかに何かありますでしょうか。リモートの先生方は大丈夫ですか。
○西川委員 先ほどの6ページの174行目、生殖細胞変異原性、これは「情報なし」ということにしたのですが、体細胞に関する変異原性試験の結果がありますので、これは「判断できない」のほうがいいかなと思います。御検討ください。
○大前委員 2020年10月19日に表記について決めました。その表記に従って書くのですけれども、この物質の場合は西川先生がおっしゃったように「判断できない」という表記のほうが正しいのではないかと思います。
今の件以外でいいですか。これは蒸気圧が0.6 kPa、6h Paぐらいで、随分高いですよね。その割に仕込み等々で出てくる濃度がこんなに低いというのは、サンプリングがうまくいっていないのか、あるいは配管のチューブの中だけで移動しているから出てこないのか、ここら辺はどういう感じなのですか。6 hPaだととてもこんな低い濃度にならないという気がするのですけれども。
○名古屋座長 これはシリカゲルチューブですよね。サンプリングはシリカゲルチューブで、スタンダード型の柴田科学製で捕集していますよね。
先生のは濃度が低い話ですよね。
○大前委員 そうです。測定された濃度が随分低いので、蒸気圧を考えるともっと高くていい気がするのです。作業が仕込みとか残渣の抜き取りなので、本当にこんなに低いのかなというところが疑問に残りました。
○名古屋座長 分かりました。
これは測定を担当した中災防さんがいないと分からない。
○内田化学物質評価室長 今日はいないので、確認いたしまして、また。
○名古屋座長 先生、これは中災防さんに確認してからという形でよろしいでしょうか。今答えられないものですから。
○大前委員 はい。
○名古屋座長 あとお気づきの点はありますでしょうか。
○江馬委員 生殖細胞変異原性のところで、詳しい記載が今まだコンピュータで出てこないのですが、「判断できない」とするときの基準と「情報がない」というときの基準が違っていて、この書き方だと「情報がない」となると私は判断したのですが、小検討会の書き方に関する文書が手元のコンピュータでまだ開かないので分からないのですが、後で確認でよろしいですか。
○名古屋座長 はい、大丈夫です。
○清水委員 今の生殖細胞変異原性に関して、有害性評価委員会のときに、JISによる分類基準/判定なので、体細胞変異原性などが参考事項としてたくさんある場合にはやはり「判断できない」としたと思うのです。そういった情報がない場合には「情報なし」。もちろん生殖細胞での変異原性は当然なくて、さらにこういった体細胞のいろいろな情報がない場合にはそういう判断をするということで、これはやはり「判断できない」でいいと思います。先ほどのジエタノールアミンの場合にはほとんど体細胞の情報がないのです。そういう場合には「情報なし」と判断していいと思いますが、この場合はこれでよろしいかと思います。
○名古屋座長 よろしいですか、先生。
○大前委員 今の件で手元に資料がございまして、「情報がない」というところの根拠としては、「試験結果が全く得られていない場合や、関連する適切な試験データが不十分な場合」、これを「情報がない」と記載すると。それから、「判断できない」のほうは、哺乳類を用いるin vivo生殖細胞継世代突然変異試験及びその他の試験ともに陰性、だけどほかの体細胞のデータがあるという場合は「判断できない」としようとなっておりますので、今回はルールどおりの記載の仕方がいいのではないかと思います。
○名古屋座長 分かりました。
先生、それでよろしいですか。先ほどの説明書を読んでくれたところでこのように判断しましたという皆さんの意見だったのですが。
○江馬委員 判断……
○名古屋座長 大前先生がお話された内容で、よろしいでしょうか。
○江馬委員 私は、書き方の文書の中で生殖細胞変異原性を判断する適切なデータがないと書いてあったと思うのですが。
○大前委員 もう一回今の「情報がない」のところを読みますと、「試験結果が全く得られていない場合や、関連する適切な試験データが不十分な場合」と一応決めております。ただ、体細胞の変異原性の試験は結構いろいろあるわけですけれども、こちらのデータがあれば「判断できない」としようと。そういうのも不十分だったら「情報がない」というようなことで一応10月19日に決めましたので、それに従おうということでございます。これは事務局に何かデータがあると思うので、江馬先生にも送っていただけませんか。今日でなくても結構ですから。
○神田有害性調査機関査察官 では、後ほどお送りしますので、それでもう一度確認いただければと思います。
○名古屋座長 では、その情報を見てここの文章をどうするかを決めていただいて、ここに盛り込むという形で今日はよろしいでしょうか。―ありがとうございます。
ほかに何かありますでしょうか。
○圓藤 ()委員 大前先生がおっしゃられたところに関連するのですが、最後のところ、266行目から268行目で、「経気道ばく露によるリスクは低いと考えられる」と結論しているのです。基になっている根拠はばく露調査だと思うのですが、そのときは、243行目のところで「局所排気装置は、原料投入が行われている作業場では設けられていた」となっています。このように局所排気が適切に行われているからばく露状況が低いのであって、局所排気装置がなかったとしたらやはりリスクは高くなるのではないかという懸念があります。そのような場合でもこのような表記でいいのかどうか。今までのリスク評価の流れは十分理解していないのですが、これでいいのかという疑問です。
○名古屋座長 私の記憶ですと、局排装置のあり・なしでばく露が高い・低いという様な状況を考慮してリスクを判断していないと思います。要するに、仮に局排がなかったとしたらどうなるのだろうか、あったらどうなのかという形でばく露濃度の評価はしていなくて、ここで出てきたばく露濃度の値について検討しようかということになります。もし局排装置がなかったとしたら、局排装置が設置されている時の何倍になるかということは分からないので、なかなかそこまでの評価はできていなかったのではないかと思います。だから、仮にスポット測定の濃度が二次評価値より高くなったとして、参考にはするけれども、そこによって評価を変えるかというところまでは行っていないと思いますので、現状は局排装置のあり・なしによって評価を変えたことはなかったと私は思います。答えになっていますか。
○圓藤 ()委員 了解しました。
○名古屋座長 実際に局排装置を止めて測ってみないと分からないのです。蒸気圧も低いことだし。先ほど大前先生が言われたように、蒸気圧が低いから出てこないのか、逆に言うと局排があるために低くなったのかというのも分からない。中災防さんがいないので何とも言えないのですけれども。表現のところですよね。
○大前委員 今の蒸気圧の件なのですけれども、15行目のところに物化性状が載っていまして、今言いました蒸気圧が0.6 kPa (20℃)で、融点が33℃になっているのです。ひょっとしたらこの蒸気圧が間違っている可能性もありますか。
○櫻井委員 LC50なんかが出ていまして、450 ppmとかいうデータがあるぐらいですので、合っていると思うのです。ただ、30℃ぐらいで溶けるわけです。だから微妙かなと思うのです。
○大前委員 昇華するのですかね。
○櫻井委員 実際に室温で20何度だとどうなるんですかね。非常に不思議なことだと思っております。
○大前委員 いずれにしても物化性状をもう一回確認していただいて、昇華するのだったらこれでもおかしくはないですけれども、すごい量を昇華することになってしまうので、これまたすごいと思うのですけれども。
○神田有害性調査機関調査官 性状の部分はもう一度確認しておきます。
○名古屋座長 表現はどうしましょうか。下回っているからいいのですけれども、この値ですよね。ここのところは一回中災防さんに聞いてみますか。ここでは判断できない部分があるので。
○内田化学物質評価室長 今、先生方からいろいろな御指摘を頂いたことも含めて、物化性状も含めて、中災防のばく露の実態も含めて整理いたしまして、改めてそれを御提示させていただいて御判断いただくという形にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 いずれにしても経気道ばく露は低いことは低いのですけれども、その表現のところということと同時に、今回の場合は経皮吸収の勧告があることから、経皮吸収についての評価が確定するまでに時間がありますので、それを参考にしてもう一度ここのところをまとめ直しますという形で今日のところはよろしいでしょうか。
○櫻井委員 1つ追加をよろしいですか。先ほどの15行目のところに物理的化学的性状が出ていますが、蒸気圧が0.6 kPaで、kがもしかすると間違っているのではないか。0.6 Paではないかという気もするのです。昇華するにしても、あまりにもオーダーが違い過ぎるので、確認していただきたいと思います。
○神田有害性調査機関調査官 はい、確認いたします。
○名古屋座長 よろしいですか。
では、そこのところはよろしくお願いいたします。
そうしましたら、そういう形でまとめさせてもらいました。
次の4物質目ですね。オルト-フェニレンジアミンです。よろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関調査官 では、次の物質のオルト-フェニレンジアミンに行かせていただきます。
こちらは今回詳細リスク評価ということになっております。
選定理由から簡単に振り返っていきますと、こちらもバイオによる発がん性試験の結果陽性と判定されたことでがん原性指針に追加されたと同時にリスク評価対象物質にもなったという状態です。ばく露評価は平成23年、2011年の使用量について、2012年、平成24年に報告を受けまして、報告数は6となっております。
本文に参りたいと思います。
物理化学的性質のところですが、御覧のとおりで、11行目ですが、こちらは名称等を通知すべき物質ということで別表9の対象物質になっている、またがん原性指針の対象になっているといった状態でございます。
物理的化学的性状ですが、外観としては、茶から黄色の結晶、光にばく露すると暗色になる。沸点は256~258℃。蒸気圧としては1.3 Pa。これはもともと0.0013 kPaという表示になっていたのですけれども、1.3 Paのほうが分かりやすいかなと思って直しました。融点としては103~104℃となっております。
物理的化学的危険性は御覧のとおりです。
 (4)の製造・輸入量、用途でございますが、製造・輸入量については1,925 tとなっています。これは2019年です。用途としては防錆剤等々となっているという状況です。
次に参りまして、有害性評価の結果です。
発がん性は、ヒトに対しておそらく発がん性があるということです。こちらはもともとは「発がん性が疑われる」となっていたのですけれども、ばく露小検討会で御議論いただきまして、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」という形に変更しております。
各評価区分は御覧のとおりとなっております。
 (2)の発がん性以外の有害性ですが、急性毒性については御覧のとおりです。
次のページに参りまして、皮膚刺激性/腐食性ですが、これはあり。
眼に対する重篤な損傷性/刺激性はあり。
皮膚感作性はあり。
呼吸器感作性については情報なし。
反復投与毒性については、LOAELとして18 mg/kg体重/日という数値が出ております。こちらは、不確実係数を掛けて得られた評価レベルとしては0.11 mg/m3という数が出ているという状況です。
遺伝毒性はありとなっています。すみません、これは「 (変異原性を含む)」というのが出ていますけれども、今はこれはつけていないので、消しておきます。
生殖細胞変異原性については誘発する可能性がある。
神経毒性は判断できない。
次のページに参りまして、許容濃度でございますけれども、御覧のとおりとなっているといった状況です。ACGIHで0.1 mg/m3ということです。
評価値ですが、一次評価値につきましては0.0096 mg/m3ということで、こちらはがん原性指針に加えるときに出した数値を一次評価値として利用している状況です。二次評価値としては0.1 mg/m3ということで、ACGIHの勧告を採用している状況です。
ばく露実態調査でございます。
表1の集計表のとおり、報告数は6事業から計6件出てまいりました。ばく露実態調査については3事業場の4名の方について実施したところでございます。
測定分析法ですけれども、こちらはサンプリングの方法の機材が前回間違っておりまして、ばく露小検討会で御指摘いただきましたので、こちらのインピンジャー液体捕集法に修正しております。
次のページに参りまして、測定結果ですが、4人に対してばく露実態調査を実施しましたところ、2名の作業者において二次評価値を上回る数値が測定されたということになっております。
これを受けまして、初期リスク段階での結果といたしましては、二次評価値を上回るばく露量が見られたことから、さらなる詳細リスク評価を行い、ばく露の高かった要因を明らかにする必要がある。その際には、二次評価値を上回るばく露が確認された作業 (投入、攪拌)等について、当該工程に共通した問題かをより詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性がないかどうか確認する必要があるということで、そういう課題を頂きまして詳細リスク評価に進んだということになります。
詳細リスク評価ですが、こちらは平成30年度、令和元年度に実施しています。初期リスク評価が終わったのが平成26年だったのですけれども、そのときに測定分析法で一部固まっていなかった部分があるということで、それが固まってから改めて実施しましょうということで、詳細リスク評価の実態調査は平成30年度に実施したという状況になっています。
詳細リスク評価では (1)と (2)の2つの調査を行っています。
1つが、平成25年度の調査において高いばく露量が測定された2事業場のうち1事業場に対する再調査ということで、先ほどこちらで見ていただいたグラフのc1の作業、これが測定された事業場に再調査に行って、この人と同じような作業をしている人についてもう一回測定を行ったというのが (1)の調査になります。
 (2)は新たに選定した事業場に対する実態調査ということで、新たに2事業場を選定して、計3名に対して実施したといった状況です。
その結果がこちらになります。図2の測定結果になりますけれども、再調査で行った人に対して出たのがeのグラフで、追加調査を行ったのがd1、f、d2の3人ということになります。
この結果、再調査を行った方について再び高いばく露量が測定されたという状況になっているということでございます。
この結果を受けまして、今後の対応としてはこのようにまとめました。
初期リスク評価の段階で高いばく露量が測定された作業 (原料投入)について、同じ事業場に対する再調査と類似の作業を行う別の事業場に対する追加調査を実施した結果、再調査を行った事業場で二次評価値を超える高いばく露量が再度測定されました。
本物質については、初期リスク評価の段階で、原料投入作業を行う他の事業場においても二次評価値を超えるばく露濃度が測定されていることから、当該作業工程に共通して高いばく露があるものと推定され、労働者のばく露リスクが高いと認められることから、健康障害防止措置を検討する必要があるものと考えられる。
また、本物質は、がん原性指針対象物質であること、また皮膚刺激性/腐食性、眼に対する重篤な損傷性/刺激性、皮膚感作性、反復投与毒性及び遺伝毒性が認められ、また生殖細胞変異原性を誘発する可能性がある物質であることから、本物質の製造・取扱事業者においては、健康障害防止措置の検討のいかんによらず、これらの有害性が認められることを踏まえてリスクアセスメントを実施し、自主的なリスク管理を実施することが必要であるという形でまとめてみました。
資料は以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
私から先に1点聞いていいですか。ここのところの中で、初期リスクのときに「原材料投入」と書いてありますね。8ページのばく露の個人測定結果の図を見ると、フレコンからの投入作業と書いてありますね。図の中にホッパーからの投入と書いてありますね。多分それに引きずられて「投入」と書いてあるのですけれども、それと同じことが10ページのところに来ると「仕込み」になっていて、「投入」とはどこにも書いていないのです。だから、最後のまとめのときにも「仕込み」と書かずに「投入」と書いてあるのです。そうすると、表2の仕込みの作業と投入というのは、仕込みの中に投入が入っていればいいのですけれども、分けて書かれている割には表現が違いますよね。ここは統一しないと、同じ作業者について作業の内容が違うのはまずいのではないかという気がするのです。ただ、同じ作業者でも測定日に違う作業だったら良いのですが、もし、同じ作業しているのであれば、「投入」というのは「仕込み」と一緒なのかな。
○神田有害性調査機関査察官 「仕込み」という言い方がほかの実態調査なんかでもよく出てくるのですけれども、「仕込み」という名前自体が行為というよりは作業全体の言い方になっていて、一方で、今御指摘いただいた「投入」といった言い方はまさに行為自体の表現になっているので、ここは表現の統一が必要ではないかと私も思いながらではあったのですけれども。
○名古屋座長 例えば、その表を見ると、c1のところは初期では「投入」と書いてあるのだけれども、これは「仕込み」ですよね。でも、d2とfは「投入」と書いてあります。ということは、やはり使い分けているのではないかと思ったのです。そうすると表現が初期と違うので。最終的な今後の対応のときも初期リスクは「投入作業」と書いてありますよね。でも、詳細のときは「投入」ではなくて「仕込み」になっていて、ちょっと違うので、その辺はきちんとしておいたほうがいいのかなと。これが健康障害防止措置検討会に行きますから、要するに作業内容によって規制する作業内容が決まってくるわけですよね。そのときに「投入」なのか「仕込み」なのかということによって、作業方法によってきちんと決めて規制をすると思うので、そこのところをきちんとしておいたほうが、健康措置検討会に行って委員の人が検討するときには分かりやすいのではないかというのが1つです。
○神田有害性調査機関査察官 作業の内容について表現を統一させていただきたいと思います。
○名古屋座長 もう一点確認で、これは中災防さんに確認してほしいのですけれども、eの人とc1の人は同じ作業ですよね。そうすると、同じ作業をしているのだけれども、eのほうがばく露濃度が物すごく高くなっているのは、多分地下ピットの清掃作業だと思うのです。そうすると、健康措置検討会に行ったときに、仕込みの作業のほかにピットの掃除というのが通常的に行われているのだったら規制の対象になるのだけれども、ここだけの作業なのかどうかというのを聞いていただけますか。そうすると、健康措置検討会に行ったときに規制の網をどのようにかけるかというところの話になってくるので、そこのところが重要ではないかと思います。特化則の場合は掃除が入ってくるので、必ずこのような形の地下ピットの清掃というのがあるのかどうか。もしなくて、特別にここだけだったとしたら、仕込みでc1もeも間違いなく二次評価値を超えているから、詳細から健康措置検討会に行くのですけれども、ピットのところはどう取り扱っていいのかとかいうのが分かりにくいので、確認していただければ。
○神田有害性調査機関査察官 かしこまりました。その辺の作業のもう少し詳細な部分を確認したいと思います。
○名古屋座長 小検討会でも何か言った覚えが。申し訳ないのですけれども、確認よろしくお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 はい。ありがとうございます。
○名古屋座長 あとお気づきの点が何かありますでしょうか。
○小嶋委員 細かいことで恐縮なのですが、2ページの20行の最後のほうに「窒素酸化物などの有害なフュームを生じる」とあるのですけれども、フュームというのは金属の微粒子なので、窒素酸化物なら「ガス」ではないのでしょうか。
○名古屋座長 そう思います。
○神田有害性調査機関査察官 修正いたします。
○小嶋委員 あと、17行にもあるのですけれども、フュームは「フューム」ではなくて、行政の文書、通達とか告示は「ヒューム」と書いてあるので、これは「フ」ではなくて「ヒ」に直したほうがよろしいのではないでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 表現は調整いたします。
○名古屋座長 あとお気づきの点はありますでしょうか。
○大前委員 すごい細かいことで、280行目のところですが、図2のfで、282行目ですとf2になっているので、この「2」は要らない。―ごめんなさい。直っていますね。失礼しました。
○神田有害性調査機関査察官 申し訳ありません。ここは最終的なものにするときに間違いを直しました。
○大前委員 分かりました。了解です。
○名古屋座長 あとはよろしいですか。
そうしましたら、作業のところの表現だけもう少しきちんとまとめて、それを今後の対応のところに反映していただければありがたいと思います。
○神田有害性調査機関査察官 分かりました。
○名古屋座長 そうしますと、オルト-フェニレンジアミンにつきましては、労働者のばく露リスクは高いと認められるので、健康障害防止措置検討会に送るということとします。よろしいでしょうか。―ありがとうございました。
そうしましたら、次に「その他」ということで、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室長の内田です。リスク評価を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございました。
本日いただきました御指摘につきましては再度事務局で整理させていただきまして、改めて文書にて御照会させていただきますので、もう少し御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
その他の議題ということで、化学物質の管理のあり方について検討しているということで、有害性評価小検討会、ばく露評価小検討会でそれぞれ御説明させていただきましたけれども、その現状について少し報告させていただくということで、手短に報告させていただければと思っております。参考3に検討会の中間とりまとめというものがあります。今日は参考4の概念図のほうで御説明させていただければと思いますので、参考4をお開きいただければと思っております。
これまでにまとまった検討結果ということで、この検討会においては、昨年末に開催いたしまして、中間とりまとめということでとりまとめを行いました。その中で特にリスク評価の関連で言いますと、化学物質規制の見直しを行うということで検討してまいりましたけれども、その方向性ということで、表題に書いてございます「自律的な管理を基軸とする規制」ということで、事業者に自律的な管理をやっていただくような方向で見直しを行うという形になってございます。
これまでの規制の体系といたしましては、有害性、特に発がん性の高い物質について国がリスク評価を行って、その結果を基にリスクが高いとされたものについては特別規則に追加して、ばく露防止措置についても法令に個別具体的に規定してきたところでございます。ただ、今の労働災害の状況に鑑みますと、こうした特化則に位置付けたものは有害性が高いけれども、それ以外のものはそれほど有害性が高くないという認識の下、いろいろな使われ方をして、どちらかといえば規制外の物質について労働災害が起きているという状況にあり、こうしたことも踏まえてこれまで検討されてきたところであります。今後につきましては、国がリスク評価をして特別規則に位置付けて細かい規定を設けるというよりは、どちらかといえば、有害性の情報を事業者の中できちんと提供いただいて、ある判断基準の下に事業者の方々がリスクアセスメントをしていただいて、リスクがあるかどうかを判断していただくという自律的な対応にシフトしていくということで整理してございます。
そうした方向性の中で、一番下の左に「今後、特化則等への物質追加は行わない」と書いてございますけれども、基本的には今までこういう形でリスク評価をしていただいて特化則への追加というものを重点的にやってまいりましたけれども、今後の考え方といたしましては、どちらかといえばそこは控えて、1つは、危険性・有害性の情報をきちんと伝えるという観点から、国がGHS分類を進めて、それをモデルラベル・モデルSDSの形にして、有害性等の情報を提供していくということに重点的に取り組むということ。
それから、そういった物質の中から幾つかの物質については、ばく露限界値、これは仮称でございますけれども、この基準の値を超えれば健康障害が起きる可能性があるということで、その値を設定いたしまして、その値以下とする。真ん中のところに書いてございますけれども、「ばく露濃度を「ばく露限界値」以下とする義務」ということで、この値以下に対応していただくということで、ただし、下に書いてございますけれども、その手段につきましては以下の優先順位の考え方に基づいて事業者が自ら選択するということです。
今までは国がそれぞれのばく露低減についてこういうことをやりなさいという細かい規定をしておりましたけれども、国としてはばく露限界値という値を設けるということと、あとはガイドライン的にこういうことをしてはどうかということは提示いたしますけれども、どういう手段でばく露を下げていくかということはある意味事業者の判断に委ねるといった形で、そういう有害性の情報なり判断基準を提供して、あとは事業者の方々に自律的に対応いただくというような方向にシフトしていくというようなことが中間とりまとめでは整理されたという状況になってございます。
具体的に今後こういうばく露限界値をどう設けていくとか、あるいは有害性の情報提供をどう進めていくかとか、そういったことにつきましては引き続きこの検討会の下にワーキンググループを設置して検討いただいているという状況でございますけれども、こういう方向性になっているという状況を御報告させていただくということと、この方向性を踏まえ、このリスク評価検討会も含めて今後リスク評価をどうしていくのか、こういう新しい規制体系にどう円滑にシフトしていくのかというのはこれから整理したいと思っておりますけれども、そういう方向になってございますので、この検討会を来年度以降どういう形で運用させていただくかというのは整理させていただいて、また改めて皆様方に御連絡させていただきたいと思っております。こういう状況になっているということで御理解賜れればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございます。
何か御質問等ありますでしょうか。
○小嶋委員 細かいことなのですが、ちょっと気になったので教えてください。
この参考4の一枚図面の真ん中少し下あたりに※印の小さい字でばく露濃度を下げる手段としてマル1からマル4までありますが、ACGIHの指導書を見ますと、作業手順の改善というのは換気装置よりも上位に来ています。それから、日本でも衛生管理者の試験問題で時折こういう問題が出ますが、優先順位としてどういう順番が正しいかという問題が出ていて、作業手順の改善を換気装置の後ろに置くと×になります。ですから、この辺もこれでいいのかと疑問に思います。
もう一つ、ACGIHでは管理的対策、administrative controlも非常に重要な手段として保護具より上位に置いていますが、これは具体的にどういうものかというと、労働時間とか作業時間のシフトを適当に組んで、有害物質にさらされる労働者と労働時間の集中を減らすというもので、そういう手段も重要として保護具より上位の対策と位置付けています。そういうものも入れたほうがいいような気がしたのですが、いかがでしょうか。
○内田化学物質評価室長 ありがとうございました。これまでの検討会の議論の中で一応こういう整理にはなってございますけれども、今後具体的に、どういった形で進めるかとか、そういったものはガイドラインも含めて整理していく形になりますので、引き続き、御指摘いただいたことも踏まえて、そういう整理の中でどういう整理をしていくのかというのはよく検討していきたいと思っています。
○名古屋座長 ほかにありませんか。大丈夫ですか。
 あと一点聞かせていただきたいのは、今後は特化則に入れないという形で、今まで実質的に中災防でばく露調査を行っていて、本委員会の初期リスクの検討まで上がってきていない、化学物質については引き続き調査は実施するけれども、今後は、要するに今までの流れのようなリスク評価はやらないよと。今まで検討されて事業場へ測定に行っている化学物質については今までどおり評価するという形になるのですか。この検討会にまで上がってこない物質が結構ありますよね。そこのところの取り扱いはどうなのですか。
○内田化学物質評価室長 現状でもリスク評価は半分ぐらいしか終えていないという状況もございまして、まだばく露実態調査が全部終えていないようなものも結構あるという状況でございます。そういった物質についてどう取り扱うのか。今、リスク評価は1つの物質を終えるのに対象にしてから10年ぐらいかかっているという状況で、措置検討まで行くとさらに+2~3年という感じになってくるので、それらを全てその段階まで持っていくのは正直難しいかなと思っておりますが、どういう取扱いにするのかよく検討しなければいけないとは思っています。例えば1つの考え方としては、特別則に位置付けるのではなくて、ここにありますばく露限界値という値、これはリスク評価で言えば二次評価値に近いようなものでございますけれども、まずそういうものを設定して、それを基に自律的に管理いただくとか、そういったこともあるのかなと思っております。まだはっきりしたことが言えなくて申し訳ないのですけれども、うまくソフトランディングというか、ここでの検討をどう生かして現場で役立てていただけるようにするのかというのをよく整理した上でまた改めて御相談させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 過去のリスク対象物質になったのも、今までどおりのルールではなくてもう少し変えていこうという形で考えてよろしいですね。
○内田化学物質評価室長 はい。
○名古屋座長 分かりました。そうしないと早くできませんものね。分かりました。どうもありがとうございました。
ほかにありませんでしょうか。
○津田委員 今日の評価を聞きますと、例えば発がん性のところで、同じ2Bでも最終判定が「可能性がある」と「疑われる」と異なっているのですけれども、それにはそれなりの理由があると思うのです。例えば発がん性がより強いとなった場合には、文言できちんと入れないと何となくわからない。例えば、2物質とも、IARCで2Bで、ACGIHでA3、こういうのはほとんど同じでも区別してあるので、区別するにはどう書くということをどこかの文言に入れ込まないと理解が難しいというようになるのです。今後のことですけれども、よろしくお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 そのように検討させていただきます。
○名古屋座長 あとはよろしいですか。
○原委員 委員会に入っている者ではないので、意見を言わせていただきますと、自律的な管理という方向は非常に正しいと思うのですけれども、アメリカのOSHAのように立入りすることでかなり民間の企業として測定するなり管理するという側面が非常にあるということをよく聞きますので、国としても測定する能力を保持するといいましょうか、中災防さんにお願いするのかどうか分かりませんけれども、自律という形は非常にいいのですけれども、それを担保するような国の公的強制力というのでしょうか、そういったものを残す仕組みがあっていいのではないかなと期待しておりますので、そんな仕組みがあったほうがいいかなという意見です。
○内田化学物質評価室長 おっしゃられるとおり、仕組みは変えても現場として実態が伴わないといけないと思っていますので、現場の取組をどう国としてサポートしていくのかというところについては、この参考4の中でも例えば中小企業ですとなかなかそういう取組をするのは難しいといった状況もございますので、それに対して国としてどういうことをしていくのかということも含めて、これはこれからの検討のところもございますので、よく皆様方の御意見も踏まえながら検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○圓藤 ()委員 最後のところで、自主的にやっていく一番大事なこととして「有害性の低い物質への変更」が1番になっていまして、当然だとは思うのですけれども、自主的管理になればなるほど、言葉をもう少し入れていただかないと。今までもいろいろな集団発生をした場合、これは有害性情報がありませんので使ってくださいと言われて使いましたみたいなのが結構あるので、「有害性情報が得られている物質のうち、より低い物質に変更する」みたいな言葉を一言入れてほしいと思うのですけれども、いかがでしょう。
○内田化学物質評価室長 中間とりまとめの本体、参考3の6ページ目に書いてございますけれども、「危険性・有害性に関する情報が得られている物質で、危険性・有害性がより低い物質への変更」ということで、こちらの概要では端折っておりますけれども、本体にはそういうことも書いてございますので、そういう我々の考えが伝わるように、こういう資料も含めてよく整理していきたいと思っております。ありがとうございます。
○名古屋座長 よろしいですか、圓藤先生。―ありがとうございます。
そうしましたら、よろしいでしょうか。
○宮川委員 今のスキームを見せていただきまして、自主的管理に任せるというと、やってもやらなくてもというようにとられるのが一番心配なのです。私としては、事業者・使用者には労働者に対する安全配慮義務があるのだということを明確に打ち出していただくのがよろしいかと思います。労働契約法にははっきり書いてありますけれども、労働安全衛生法の書きぶりは「ように」という言葉が入って努力義務的な表現になっていますので、せっかく労働契約法でははっきりと安全配慮義務が書かれたということを考えると、労働安全衛生法まで改正するのは難しいかもしれませんけれども、世の中に訴えるときには、安全配慮をしなくてはいけないんですよということがしっかりと伝わるように、自主的にやりたければどうぞということではないというところは十分強調していただくことが必要かと思います。
もう一点、櫻井先生、大前先生がいるところで私が述べるのもあれですけれども、許容濃度を決めるようなことをしていますと、許容濃度を決めるときには、実際の管理上実現が可能かどうかということとは別に、サイエンティフィックにここまでなら大丈夫でしょうということで実現が結構難しいレベルの数値が出てくることもあると思うのです。それと国が規制をかける基準をつくるときは考え方によって若干差が出てくる場合もあるかと思うのです。最終的には国がこれを使うのだということで選んでいただくことになると思うのですけれども、実際に許容濃度の作成とかモデルSDSでこういう毒性がありますよということを示す作業に携わっていると、サイエンティフィックに考えて、また多少安全寄りに考えるとこういうことも情報として提供したほうがいいという立場で仕事をすることがあります。ただ、直接規制につながってくるというとなかなか難しいところも出てくると思いますので、最終的には国が判断しているのだということが分かるような構成の仕方をしていただくと、実際にSDSあるいはモデル分類をしている立場、あるいは許容濃度を提案する立場から言うと、ありがたいこともあるのではないかという気がいたしましたので、発言いたしました。よろしくお願いいたします。
○内田化学物質評価室長 宮川先生には以前からいろいろと御指摘いただいておりまして、ありがとうございます。御指摘のとおり、国としてしっかり法令に定めるとか、そういう中で国としてきちんと決めていく、当然専門家の先生方の御意見を賜りながらそういう場で決めていくことが必要だと思っていますので、そういう手続も含めて今後よく整理していきたいと思っております。ありがとうございます。
○名古屋座長 あとはよろしいですか。
○大前委員 一応検討会の委員になっておりますので、今のような議論もありまして、ここで言うばく露濃度、まだ仮称ですけれども、これはマネジメントのための道具で、産衛のようなアセスメントのための濃度ではないということを明確にしながらディスカッションしなければいけないと思います。役人が決める濃度と学会が決める濃度の間には実行可能性等々の山を越えなくてはいけないところがあるので、そこら辺は十分考えなければいけないと思います。
○名古屋座長 よろしいですか。―ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、議題が終わりましたが、事務局から最後に何かありますか。
○神田有害性調査機関査察官 本日も、先生方、どうもありがとうございました。
今年度のリスク検討会は一応これで一区切りということになっております。来年度は今御説明申し上げたとおり見直しなどもあって、今までとは少し違った形でいろいろとお伺いすることもあるかもしれませんが、引き続き御協力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
本日はどうもありがとうございました。
○名古屋座長 では、以上で本日のリスク評価検討会を閉会させていただきたいと思います。
本日はお疲れさまでした。どうもありがとうございました。

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