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令和3年5月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

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著作権法の一部を改正する法律、令和3年度全国学力・学習状況調査、大学の人員・施設等を活用したワクチン接種について、長尾京都大学元総長の逝去について、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産推薦に係る諮問機関の評価について、小学生が体育の授業中に死亡した事故について、高校入試の男女別定員制等について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年5月28日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年5月28日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年5月28日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。遅くなっちゃったみたいですみません。
 私から冒頭、3件ございます。まず、今国会に提出しておりました「著作権法の一部を改正する法律案」が、26日に参議院本会議において全会一致で可決され成立しました。本法律は、図書館関係資料のインターネット送信を可能とすること及び放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化の2点を内容とするものです。1点目の図書館関係は、国民の情報アクセスの充実、研究活動の推進などを図るため、国会図書館が絶版等により一般に入手困難な資料をインターネットで送信できるようにするとともに、公共図書館等が一定の条件の下、補償金を支払うことにより、図書館資料の一部分をメール送信等ができるようにするものです。2点目の放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化については、放送と同様の円滑な権利処理を実現するため、権利制限規定の拡充や許諾推定規定の創設などを行うものです。これにより、視聴者・放送事業者・クリエイターのそれぞれに有益になることが期待できると考えています。今後、施行に向けた具体的な準備を本格化させますが、関係の皆さまには、引き続き、ご協力をいただき、ご意見を十分踏まえながら対応してまいりたいと思っております。
 2点目ですが、昨日、令和3年度の全国学力・学習状況調査を小学校6年生及び中学校3年生の全児童生徒を対象として実施をいたしました。全国の学校及び教育委員会等におかれましては、新型コロナウイルス感染症対策を徹底されながら、本調査の実施にご協力をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。2年ぶりの調査実施となった今年度の調査は、毎年度実施している国語、算数・数学の教科調査及び生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査を実施いたしました。今年度の調査は、小学校において昨年度に全面実施となった新学習指導要領下での初めての調査となります。また、質問紙調査において、新型コロナウイルス感染症の影響による学校の休業期間中の児童生徒の学習状況・環境やGIGAスクール構想の推進を踏まえ、ICTの活用状況などについても把握・分析することとしております。文科省としては、本調査の結果を8月末を目途に取りまとめ、国及び教育委員会における教育施策や児童生徒一人一人への教育指導の改善・充実につなげてまいりたいと思っております。
 3件目ですが、大学の人員・施設等を活用したワクチン接種についてです。私が記者会見する前に随分ニュースになっていてちょっとびっくりしたのですけれど、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は市町村が主体となって実施するものですが、市町村によっては、その会場の確保やワクチン接種を担う人員の確保が課題となっていると承知しています。このため、文科省では、ワクチン接種に関して大学の施設を活用する可能性等について、緊急に調査を実施したところです。この調査では、まず、既に各自治体からワクチン接種に関する協力を要請されているかどうか、2つ目として、今後、各大学においてワクチン接種に関する協力が可能かどうかの2点について調査を行いました。なお、今後の協力可能性については、特段の前提条件を付すことなく、あくまで現時点において一定期間の活用が可能かと見込まれる状況について調査したものです。この結果、26日時点において、既に自治体に、会場提供して協力を行っている、あるいは、現在協力要請を受けているという大学が69大学85キャンパス。既に自治体に、ワクチン接種のための医療スタッフを派遣している、あるいは、今後、派遣予定という大学は47大学。今後、施設等の活用が可能なキャンパスは350大学497キャンパスとの回答をいただいています。このうち、自治体に対しては、既に協力をしている大学の具体的な事例について、この後資料を配布したいと思いますので、詳細については事務方にお尋ねいただきたいと思います。今後、大学がワクチン接種に協力するに当たっては、まず、大学がその施設等を提供する場合や、大学の施設と医療スタッフをセットで提供する場合など色々なパターンがあり得ると考えていますが、いずれの場合であっても、大学が協力するに当たり、接種の責任体制、会場運営の方法、接種者の情報管理、接種事務に係る費用負担など、実務上整理する必要のある事項があるため、早急に関係省庁と調整を進めたいと考えています。文科省としては、今後、各大学と各自治体とがスムーズに連携し、ワクチン接種に関して大学の施設等の活用が進められるよう取り組んでいきたいと考えています。また、その際、例えば大学において、医療系人材と施設などをセットで提供するような場合に、自治体における高齢者等の接種の状況も踏まえながら、当該大学の教職員や学生に対してもワクチンを接種することが可能かどうか、さらに、近隣の大学の関係者、また、近隣の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教職員や生徒に対してもワクチン接種を進めることが可能かどうかなどについて、各大学が自治体と協力して検討を進められるように、関係省庁と調整を進めてまいりたいと思っております。私からは以上です。

記者)
 元京大の総長の長尾先生が、先日、亡くなったというニュースがありましたが、長尾先生はAIの研究で業績を残された方ですが、それに関して受け止めをお願いします。

大臣)
 情報学の分野に大きく貢献された長尾真先生が、5月23日にお亡くなりになられたと聞き、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。長尾先生は、長年にわたり画像認識や人工知能、機械翻訳に関する先駆的な研究に取り組み、多くの優れた業績を上げられ、国内外の学術賞や文化勲章も受章されています。先生の研究成果は、例えば郵便番号の読み取り装置や防犯カメラにおける顔の識別技術など、私たちの暮らしの身近なところにも活用されています。先生が築き上げてこられたAI分野における基盤的技術の研究開発をさらに推進し、その成果を国民の皆さまに還元できるように、文部科学省としてもしっかりと取り組んでまいる所存です。長尾先生は平成9年に京都大学の総長に就任され、その後、国立大学協会の会長として、また、文科省の調査検討会議の座長として、国立大学の法人化という極めて困難で歴史的な大事業の実現のために多大な貢献をいただきました。改めて先生のご労苦に敬意を表するとともにご冥福をお祈りしたいと思います。

記者)
 ワクチン接種の関連でお尋ねです。会場の利用ですとか自治体側との交渉等、これから調整ということですけれども、現時点で、時期的な目処、何月頃から始められる、というのはあるのでしょうか。また、現在、回答で350大学とかが協力できるとおっしゃってましたけども、場所によっては、例えば大学のキャンパスなのでバスで行かないといけないとか、そういうロジも含めると、必ずしも回答してきた大学全てを使うわけでもないのかと思うんですけども、その辺りはどのようにお考えなのでしょうか。

大臣)
 まず、時期についてはですね、先週金曜日、総理との会談の中で方向性を確認して、高等局の方で直ちに大関係者に調査をかけたところ、1週間でこういった正確な返事をいただいたことを感謝申し上げたいと思います。で、具体的にはですね、1日でも早くスタートするべきだと思っているのですけれど、色んなロジといいますか、まず、今、65歳以上の方への予約がどんどん進んでいますよね。これは、接種券が自治体から届かないと接種対象者にならないという問題もありますよね。で、ところが、大手町の大規模会場などは、残念ながら、もう少し余裕が出てきているわけですから、全国的に65歳の皆さんの予約状況が確認できればその次のステージに行くのだと思います。それと同時に、今、各自治体で行っているものはファイザー社の物が主でありますけれども、モデルナ社が承認をされましたので、ラインを分けて、大学関係はそちらのワクチンを使わせてもらうということを第一義的に考えています。従って、打ち手ですとか、会場設営ですとか、これは、今までのノウハウもコロナ室の方でありますので、今、河野大臣とも調整を続けておりますけれども、できるところから順次開いていこうというふうに思っておりまして。65歳以下の基礎疾患がある人が優先順位としては上なのですけれど、しかし、今お話があったように色んな立地が違いますから、必ずしもそういう人たちが、きちんとですね、用意した人数だけ来るという保証がないので、それだったら職員や学生や、あるいは教育関係者の皆さんに打つことができたらなということをイメージしていまして。できるならば、ちょうど前期の終わる6月の半ばぐらいから7月8月という夏休み期間中を有効に使って少し加速ができたら一番よろしいのかなと思っています。で、今回ですね、あらかじめ、例えば施設が何平米以上とか、エアコンが付いていますかとかですね、そこまで聞こうと思ったのですけれど、まずは意向として皆さんが協力してくれるかどうか確認しようということだったので、全ての大学に連絡をしました。従って、350という数字が上がってきたのですけれど、ご指摘のようにですね、スクールバスで行かないとなかなか到着できない山の中にキャンパスがあるなんていう場合もありますし、また、逆に都市部などではですね、隣に違う、隣の私立大学が塀を境にあったりするわけですから、果たしてそういうところで複数会場を設けることが本当に地域の皆さんに利便性を上げることになるのかということも整理しなきゃならないので。まず、350いただいたお返事の中で、都道府県や関係市町村とも調査をしながらですね、こちらからぜひ使わせてほしいというようなところをしっかり見つけて対応していきたいなと、そういうイメージです。

記者)
 一昨日、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、世界遺産への登録が妥当ということで勧告されました。大臣には、一昨日、談話を頂戴したところで恐縮なんですけれども、改めて、17遺跡全てが登録勧告されたということへの受け止めと、あと、10年以上にわたって地元の関係者が努力されてきたということに対しての、何か一言いただければと思います。

大臣)
 まずは、おめでとうございます。今般、我が国から推薦を行っている「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス17全ての遺跡につき世界遺産に登録することが適当である旨評価したことについては、大変喜ばしく思っております。このように国際的にも高い評価を受けたことは、各構成資産の関係者が一つの当事者としてまとまり、資産全体の価値の理解増進に努めてこられた結果であり、地元関係者の長期間にわたるご努力に改めて敬意を表したいと思います。イコモス勧告通り、本年夏の世界遺産委員会で登録されるように関係自治体及び関係省庁との連携の下、全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。

記者)
 今年の2月に大阪の小学校で、男子生徒が持久走でマスクを着用していて亡くなったというニュースが昨日ありました。これについての受け止めと、文科省・スポーツ庁としては、これまで体育のマスクの着用についてどういう発信をしてこられたかと、これからまた暑くなったりもしますので、改めて注意喚起などありましたらお願いします。

大臣)
 本年2月に小学生が体育の授業中に死亡した事故については、大阪府から文部科学省に報告が来ており、現時点においては、マスク着用と児童の死亡の因果関係は明らかになっていないと承知しています。他方、運動を行う際にマスクを着用する場合、十分な呼吸ができなくなるリスクや熱中症になるリスクが指摘されていることから、これまでも、児童生徒の間隔を十分確保するなどの感染症対策を講じた上で、体育の授業等においてはマスクの着用は必要ない旨の通知を行ってまいりました。ちょうど去年の今頃も、同じようなことを記者会見でも、また、通知でもお知らせしたと思います。また、マスクの扱いについては、衛生管理マニュアルや関連する通知などにより、学校や学校の設置者に対して重ねて周知をしてまいりましたが、体育の授業等においてはマスクの着用は必要ないことや、地域の感染状況等を踏まえて運動の内容を工夫することについて、改めて、教育委員会や学校等に対して必要な情報をわかりやすく周知するとともに、丁寧に情報発信してまいりたいと思います。死亡原因はまだわかっていないようですけれど、いずれにしましても、授業中にですね、お子さんが亡くなったことは本当に残念なことなのでご冥福をお祈りしたいと思っています。

記者)
 東京都立高校の入試制度に関して伺いたいんですけども。大臣、東京都の出身なので、多分、制度に関してはご存知なのかなと思うんですが、男女で合格ラインがかなり差があるということで、これまでどの程度かわからなかったんですが、随分と差があるということが今回わかったんですけれども、まああの、東京都は色々事情があるというのは承知なんですけれども、公立だけでその定員調整ができないとかですね、その上で、これだけ差があるということに関してどうお考えなのかというのと、入試制度に関してですね、どうあるべきかというのはいかがお考えでしょうか。

大臣)
 高校入試において、合理的な理由なく、性別などの属性により取扱いの差異を設けることは不適切であると考えております。例えば一昨年問題になった医学部のですね、入試のことなどは決してあってはならないことであります。ただ、今回のことは、募集定員の設定も含めて、実施者である東京都が判断をし決定し、各学校が、その学校及び学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性などを入試により判断することに行われているものだと思いますし、あらかじめ男子女子の募集人員というのを明らかにして選抜を行っておりますので、ああいったものとは性格がまず違うということを申し上げておきたいと思います。文科省としては、各実施者において、入試が適切に実施されることが必要と考えており、性別等の属性に応じた取扱いの差異の設定などを行う場合は、募集要項等にその旨を記載するとともに、実施者がその合理的な理由を説明できることが必要であると考えております。都立高校においては、入学者選抜において男女により合格者の総合成績に差が生じる場合があることから、校長の具申に基づいて、募集定員の9割までをまず男女別に合格者を決定して、残りの1割に当たる合格者を男女合同で決定する男女別定員制の緩和を実施することが可能になっていると承知をしております。都立高校入試の件につきましては、実施者である東京都教育委員会において適切に判断し説明すべきものだと考えています。

記者)
 追加なんですけれども、今、男女を2つの性に分けるということがですね、そもそも適切なのかという議論が色んなところであるわけですけれども、その、公立学校と国公立の学校においてですね、これは東京都だけではないですけれども、男女別の定員設定であったりとか、もしくは男子校・女子校というのがいまだに存在したりもするんですけれども、この点はどうお考えでしょうか。性的少数者の方からすると、男子女子というところに分類されること自体がなかなか抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれないという視点です。

大臣)
 都立高で男子校とか女子校ってある。

記者)
 都立高はないです。全国的に国公立においての、男子校・女子校が今も残っているということです。

大臣)
 学校における性自認に係る児童生徒への対応については、個別の事案に応じ、当事者である児童生徒の心情等に十分配慮した対応を行うことが重要だと思います。高校入試に関しては、願書の様式も含めて、実施者である都道府県教育委員会が適切に判断し決定することとされております。あの、今の問題意識、2つ一遍に議論するとかなり複雑な話になっちゃうので、都道府県によっては中学3年生の男女比率が元々違うってこともあって、学校運営していく上で、あらかじめ設置者がですね、私立にどのぐらい流れるのかということがわからない中で、ある程度、学ぶ意欲のある中学3年生が高校に進学できる環境というのを作っていこうと、多分、どの都道府県も考えていただいていると思うので。その中で、男女別の募集要項ができ上がるということは、私はそんなに違和感はないのですけれど、他方、マイノリティ、性的マイノリティの皆さんへの配慮ということは、今後ですね、もう既に、性別を書かない、あるいは書かなくてもいいというような受検を行っている自治体も多くありますので、それは、それぞれの自治体が適切に判断をしていただいたらどうかなと、現段階では思っています。

(了)

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