(令和3年5月18日(火曜日)14時36分 於:本省会見室)

日米韓の連携

【朝日新聞 佐藤記者】最近、一部報道で、6月のG7首脳会議に合わせて、日米韓の首脳会談を行う可能性というのが報じられております。最近、日米韓の要人の会合というのも度々報じられていまして、大臣もゴールデンウィークの外遊中に、日米韓の外相会談に臨まれております。北朝鮮の米国によるレビューも終わりまして、日米韓の連携というのが意義を増してきているように思うんですけれども、今一度、その日米韓での役割分担の在り方とか、連携の意義についてお考えを伺えましたらと思います。

【茂木外務大臣】ちょっと質問の意味が完全に分かってないんですけれど、北朝鮮対応を含め、日米韓3か国での連携、これは極めて重要だと思っております。
 また日米韓の間で、そんなに頻繁ではないと思っておりまして、先日5月5日の日米韓3か国の外相会談、これが久しぶりの機会だったのではないかなと思っておりますけれど、いずれにしても様々な形で連携を確認していくと、こういったことは地域の情勢を考えても重要なことだと思っています。

欧州のインド太平洋地域への関与

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】本年5月11日から17日まで、日米豪仏、各国陸海軍参加による共同訓練「ARC21」が行われました。また、英国は空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋地域に派遣しており、年内に日本への寄港と、それから自衛隊との訓練も予定されております。
 いわゆるクワッドの結束に加えて、欧州の各国がインド太平洋地域に関心を持ち軍備を派遣することは、中国を刺激し、衝突に繋がっていくのではないでしょうか。国際社会の平和と安定に繋がることだとお考えでしょうか。
 また、これに関する政府からの説明、情報の露出があまりありませんので、それもやっていただきたいと思うんですけれども。

【茂木外務大臣】まず「自由で開かれたインド太平洋」、この考え方、2016年のTICAD6の際に日本が提唱をして、考え方として、民主主義であったり、基本的人権の尊重、法の支配等、共通の価値観、こういったものを共有しながら、様々な協力を進め、それによって地域の平和・安定・繁栄、こういったものを作っていくと、そのための協力を進めようという考え方でありまして、これにつきましては、日米豪印、こういった国での協力と、これも連結性の強化であったりとか、最近で申し上げますと、ワクチン、このアジア太平洋島嶼国への供給と、様々な分野に広がっております。
 また、インド太平洋地域と、この要衝に位置しますASEANにおきましても、独自のAOIPを発表いたしまして、「自由で開かれたインド太平洋」そしてAOIP、この考え方、基本的に共通する部分が多い。こういったことも、昨年の日・ASEAN首脳会議でも確認をし、協力を進めていくということになりました。
 今年に入りまして、EUとの間でも、1月に私(大臣)がEUの外務理事会に出席をしまして、「自由で開かれたインド太平洋」、こういう考え方について、説明を行いまして、多くの国からそれを支持したいと、また協力したい、こういう話があったところであります。
 これは安全保障の面ではありますけれど、それ以外様々な分野というのは進んでいるわけでありまして、確かにそれぞれの国が欧州においてもフランス、ドイツ、オランダと、インド太平洋に関する政策文書を発表しておりますし、英国の政府も、英国のインド太平洋への傾斜と、この方針を打ち出しているところであります。
 これは全体的な政策でありまして、そこの中でご指摘のような、空母打撃群の派遣であったり、ドイツのフリゲート艦の派遣であったり、更には共同訓練と、こういったことも行われているということでありまして、元々「自由で開かれたインド太平洋」と、これはあらゆる国に対して包摂的な概念であります。きちんとこういった考え方を共有をする、ルールを守るという国に対して、開かれた概念であると考えておりまして、こういったことは丁寧に説明してきていると。説明を何度聞いたか分からないというぐらい何度も聞いているという話でありまして、説明が足りてないということは全く当たっていないと思っております。

イスラエル・パレスチナ情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 深刻化するガザ地区の情勢についてお伺いします。先月、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(国際人権団体)が発表した報告書では、パレスチナに対するイスラエルの行為はアパルトヘイトや迫害とみなされ、人道に対する罪に匹敵すると述べられています。このような状況に対する日本の立場についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】やはり、この問題、両側から見る必要があると思っております。東エルサレムを含みます西岸地域における衝突と暴力、これはガザ地区からのロケット弾の発射を含めましたパレスチナ武装勢力による攻撃と、イスラエル軍によります地上攻撃を含みます反撃によって、イスラエル・パレスチナを巡る情勢は日々悪化をしておりまして、双方の民間人に多くの死傷者が生じていると、このことは極めて遺憾でありまして、我が国はこうした暴力行為、全体として強く非難をするところであります。
 そして、我が国はイスラエル・パレスチナ両当事者の抱える問題は、暴力によっては決して解決されないと、当事者間の交渉と相互の信頼を築く努力によってのみ解決されると、このように確信をしておりまして、イスラエル・パレスチナ双方に対して、最大限の自制、これを求めているところであります。
 現在、米国であったりとか、エジプト等によります仲介努力が行われておりまして、バイデン米大統領もネタニヤフ首相に停戦支持を表明するなど、精力的な働きかけを行っているところでありまして、日本としてもこういった努力を支持したいと思っております。我が国としても、こういった動きを注視をしながら、事態の沈静化に向けて、引き続き、国際社会と連携しながら外交努力を続けていきたいと思います。