(令和3年5月14日(金曜日)14時24分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)イスラエル・パレスチナ情勢

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から3点あります。
 まず、イスラエル・パレスチナ情勢についてでありますが、現在パレスチナの武装勢力による攻撃と、イスラエル軍によります地上攻撃を含む反撃によりまして、情勢、日々悪化しておりまして、我が国としてこうした状況、深刻な憂慮を表明いたします。
 暴力行為は、いかなる理由によっても正当化できず、特に双方の民間人に多くの死傷者が生じていることは遺憾でありまして、我が国は、これを強く非難します。我が国は、イスラエル・パレスチナ、両当事者の抱える問題は、暴力によって解決されることは決してなく、当事者間の交渉と相互の信頼を築く努力によってのみ解決されるものと確信をいたしております。
 こうした我が国の立場を踏まえ、我が国として、イスラエル・パレスチナ双方に対し、在京及び本国ベースで最大限の自制を働きかけてきているところです。
 現在、米国やエジプト等によります仲介努力が行われておりまして、これらの動きも注視をしながら、日本として引き続き、国際社会としっかりと連携をし、外交的取組を継続をしていきたいと思います。

(2)ミャンマーにおける拘束邦人の解放

【茂木外務大臣】次に、ミャンマーでの邦人の解放についてでありますが、ミャンマーで2回目の拘束となっていました邦人ジャーナリストについては、先ほどヤンゴン国際空港に到着をしまして、今まだ、滑走路だと思います。もうすぐ飛び立つんじゃないかなと思いますが、帰国の途に就くところであります。本日夜にも、日本に到着する方向であります。空港において、当該邦人と直接接触をしました大使館員によれば、健康状態に問題はないということであります。
 ミャンマー側に対しては、私(大臣)自身の指示の下で、累次に亘って、政府として、精力的に当該邦人の解放に向け強い働きかけを行ってきました。丸山大使も2度に亘って電話で領事面会も行っております。
 今回、笹川日本政府代表と丸山駐ミャンマー大使の連携で解放に至り、昨日、ミャンマー当局が起訴を取り下げ、釈放をする旨発表を行いました。引き続き、在外邦人の安全確保に万全を期していきたいと思います。
 また、ミャンマー側に対しては、関係国とも連携しつつ、引き続き、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を強く求めていきたいと思います。

(3)インド及びミャンマーに対する緊急無償資金協力

【茂木外務大臣】それから今朝の閣議の案件でありますが、本日、我が国政府は、インド及びミャンマーに対する支援として、合計2,250万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。
 このうち、インドに対する支援については、先日ロンドンで私(大臣)からジャイシャンカル外相に表明した最大5,000万ドルの追加支援の一部をなすものでありまして、具体的には、人工呼吸器と酸素濃縮器をそれぞれが500台供与いたします。これによりまして、既に発表済みのものと合わせて、人工呼吸器800台、酸素濃縮機も800台、インドに供与することになります。
 ミャンマーにつきましては、クーデター後、食料供給不安が深刻化している中、最低限の生活の維持さえ困難となっているヤンゴン地域の住民を対象に、WFPを通じて400万ドル、4億3,200万円でありますが、の食料支援を行うものであります。ミャンマーにおける人道支援ニーズに関しては、WFPを含みます複数の国際機関がアピールを出しておりまして、我が国も、クーデター後も人道上、また、緊急性の高い支援は実施してきておりますが、今般の支援もその一環であります。私(大臣)からは以上です。

 14時23分、離陸をいたしました、ミャンマーです。

ミャンマーにおける拘束邦人の解放

【NHK 山本記者】解放された北角さんの件ですけれども、大臣、午前中の国会答弁で、今回相当苦労したというふうに話されていましたけど、具体的に、どのような苦労があったか、ご紹介いただける話があれば伺いたいのと、日本側が持っているミャンマーとのパイプ、これがやっぱり解放に繋がったというか、役だったというふうにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】前回は、拘束の、その日のうちに解放ということでありましたけれど、今回、ある程度日数がかかったと。事実関係の確認であったりとか、様々なやり取り、国軍で、外交だけではなくて実際に治安を担当する責任者とも、丸山大使等々連絡を取り合ったと。こちらからもどういう形で働きかけた方がいいと、こういうことも指示をいたしましたし、そういったやり取りの中で、笹川代表も独自のルートで話しかけをしていただいたり、様々な形でこれまで取り組んできたということでありまして。
 もちろん、今多くの方々、これは日本人だけではなくて拘束者がいるわけでありまして、そういった方々の解放を求めていると、これが国際社会の働きかけでありますが、まずは、外務省として邦人の解放を求めるという観点から、特に取組を強化してきたところでありまして、そういった、かなりの頻度に亘るやり取り、具体的内容につきましては、今後のこともありますので控えたいと思いますが、そういった中で、今回は解放に繋がったと考えております。率直に言いまして苦労しました。

【テレビ東京 加藤記者】同じくミャンマーのことについてお伺いするんですけれども、解放された北角さんに対して、拘束中の状況に対しての聞き取りというのは、既に行っているんでしょうか。もし既に行っているんでしたらお伺いしたいのと、もし行っていないのであれば、今後する予定はあるか教えてください。

【茂木外務大臣】聞き取りですか。

【テレビ東京 加藤記者】そうです。拘束中、どのような状況下にあったかということがあれば。

【茂木外務大臣】それは丸山大使が、2回電話で領事面会しておりますから聞いております。状況から言うと、健康面に問題はないと、また食料面でも特に困るようなことであったりとか、何か強制的なことが行われると、こういうことはなかったと、このように聞いております。

【テレビ朝日 佐藤記者】同じくミャンマーの邦人解放についてお伺いします。今回の解放に際し国営テレビは、ミャンマーと日本の友好関係が考慮されたと伝えています。現地でこうした見方があることについて、どのように受け止めていらっしゃるかということと、先ほど大臣からも、拘束された全ての関係者の解放を引き続き求めていくというお話がありましたけれども、今回日本が大変苦労されたということは踏まえた上ですけれども、日本がある意味特別扱いという形になったことで、今後、国際社会との連携、関係国との連携という面で、どのような影響があるとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】特に関係国との連携ということで影響が出ると思っておりませんけれど、これまでも日本、それはODAであったりとか、民間の投資、また、在外公館を通じても、ミャンマーとは様々な関係を持ち、また、複数のルート、チャネルというのを持ちながら、様々な対話を行ってきたところであります。
 2月1日のクーデター以降の事態については、極めて深刻に捉えておりまして、従来申し上げているように3点、暴力の即時停止、拘束されている関係者の解放、そして民主的政治体制の早期回復、これを求めていくところに変わりはありませんし、先日のG7の外相会合におきましても、こういったミャンマー情勢について、多分、私(大臣)が一番、いろんなことをしゃべったのではないかなと思います。
 また、ブルネイの外相を呼んでからの話合いの中でも、こういったASEANが、ASEANリーダーズ・ミーティングを開いて「5つのコンセンサス」をまとめたと、まさに、これからのコンセンサスの実施をしたり、特使を具体的に派遣をして対応する、こういう取組をしていると、これをしっかり後押ししていこうということも私(大臣)から言いまして、G7のメンバーからも、エンドースしてもらったということでありまして、日本だけではなくて、このミャンマー情勢をどうにかしなければならない、こういう国際社会の期待、こういったものも受け止めながら、日本としてやれる重要な役割を果たしていると、こういう認識は持っていただいていると思っています。