(令和3年5月7日(金曜日)13時12分 於:ポーランド)

【冒頭発言】

【茂木外務大臣】ロンドンでのG7外相会合に合わせた今回の欧州訪問におきまして、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、英国、そして最後にここポーランドを訪問しております。これからスロバキア、ハンガリー、チェコの外相とバイ会談を行いますが、今回の欧州歴訪では、大統領表敬であったり、またG7のマージンを使った二国間会談など全部で20のバイ会談を行いました。また、3日間に及びましたG7外相会談に加えて、日米韓、そして今日の「V4+日本」のマルチの会談も行ったところであります。
 G7におきましては中国の問題、北朝鮮の問題、ミャンマーの問題、そういった地域の課題や、また、ワクチンの件、こういった国際社会の重要課題について、日本としてかなり議論をリードし、存在感を示し、またG7としての結束もしっかりですね、対外的に発表出来たと思っております。
 また、今回の歴訪の1つの大きな目的は、「自由で開かれたインド太平洋」について、欧州諸国の認識を確固たるものにすることでありました。私自身、今年の1月にEU外務理事会に出席をして「自由で開かれたインド太平洋」の考え方についてEU各国外相に説明し、それも踏まえて、先月、4月にEUが「インド太平洋における協力のための戦略」を発表したわけであります。EUは更に今年の9月までにインド太平洋に関する戦略の詳細版となります「共同コミュニケーション」を発出すべく議論を進めていく段階であるわけであります。このようなタイミングで、今年後半のEU議長国のスロベニア、更にはEUのボレル上級代表、ドイツ、フランス、イタリア、更にEUの中で存在感を増しているV4各国との間で、厳しさを増すインド太平洋の情勢について対面で議論を行い、「自由で開かれたインド太平洋」に向けて協力していくことで一致することができたことは、極めてタイムリーであり、また有意義な会談を行うことが出来た、こんなふうに考えております。
 また、中・東欧地域の地政学的重要性を意識した日本外交の戦略的展開を図りました。ここポーランドでは、二国間の外相会談で戦略的パートナーシップの強化を確認した上で、ハンガリー、スロバキア、チェコの外相にもワルシャワにおいでいただいて、第7回「V4+日本」外相会合を開催し、連結性や科学技術など様々な分野での協力を継続・強化していくことで一致いたました。欧州の安定にとって重要な西バルカン諸国の一つであります、ボスニア・ヘルツェゴビナには、日本として同国のEU加盟に向けた支援の継続を明確に示したところであります。
 「包容力と力強さを兼ね備えた外交」、これを実践する中で、今回の欧州訪問で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を各国の外務大臣等と確認し、緊密に連携していくことで一致したことは、大変大きな成果であったと考えます。私からは以上です。

【質疑応答】

【記者】東欧の計6ヶ国の外相とお会いになったということになると思うんですけれども、大臣先ほどおっしゃったように東欧はEUが9月にまとめる、インド太平洋戦略の具体的な中身に対して、影響力を有する可能性あると思います。東欧に一対一路のあと中国が影響の拡大を図っていると思いますけれども、今回の一連の会談を通じて、中国のインド太平洋の海洋進出の動きに対する各国の認識は率直に如何だったでしょうか。そのあたりもうちょっと教えてください。

【茂木外務大臣】これはG7の外相会合でもそうでありましたが、中・東欧6か国でもですね、中国への対応をどうしていくか非常に関心が高く、様々な国からですね、意見を求められたところであります。私からは海警を含みます東シナ海及び南シナ海における力による一方的な現状変更の試みの継続、強化に対する深刻な懸念、表明をし、先方は非常に真摯に耳を傾けてくれたと感じているところであります。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序そして、国際社会の秩序、これを維持・強化していくことが極めて重要だという認識で一致できた、こんなふうに思っております。一帯一路を含めてですね、経済の側面・経済安全保障の側面、さらには、さまざまな国際的課題に対応していく中で、基本的価値を共有する国々の結束、こういったことが極めて重要であるということを確認できた、そんなふうに思っているところであります。
 G7においてもですね、まさにG7が戻ってきた、これは最初のワーキング・ディナーの時に私が申し上げたことをラーブ大臣もうまく引用していただいたんですけれども、こういった感じも受けましたし、やはり欧州の一体性、こういったこともですね、こういった様々な国際情勢に対応していく中できわめて重要ではないかとこんなふうに考えています。

【記者】大臣連日の会談お疲れ様です。今の質問趣旨、似た感じになってしまいますけれども、今回そのV4の各国との外相との会合を行いまして、その中で、G7でもそうでしたが・・・

【茂木外務大臣】V4については,ポーランドは昨日やりましたけれど、V4の各外相と、この後やります。

【記者】全体会合のことを言っておりますけども、そうした中で、G7でも台頭する中国に対する懸念というのはかなり各国共通していたと思いますけれども、「V4+日本」の枠組みの会談の中では、各国の、こういった中国の台頭に対する考え方というのはどういったものだったのか、今後とも日本にとっての自由で開かれたインド太平洋構想を広げていくにあたってですね、何かこう連携していけるような糸口があったのかどうか、そのへんの大臣の手応えがあれば教えていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】今日は「V4+日本」の外相会合を行いまして、先ほど申し上げたように私(大臣)の方からですね、中国の様々な懸念すべき行動、また試みについて、意見を申し上げ、そして非常に先方も真摯に耳を傾けてくれた、こんなふうに考えております。
 法の支配に基づく「自由で開かれた国際社会の秩序」、これを維持・強化していくことが極めて重要であります。V4の国々、それぞれ言っておりましたけれども、そんなに規模が大きい国ではない、それはおそらくドイツやフランスと比べた場合に、そういう位置付けだと思いますが、そういった国こそやはり国際的なルール、これを守っていくことが自分たちのためにも必要だ、こういった点を強調しておりまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持ということで、認識は完全に一致できたんじゃないかなと思っています。