環境省・新着情報

令和3年5月7日

地球環境

「第5回EU・中国・カナダ主催気候行動に関する閣僚会合(MOCA)」の結果について

令和3年3月23日(火)、オンラインで開催された「第5回気候行動に関する閣僚会合(MOCA)」に、小泉環境大臣他が出席しました。結果概要を以下のとおりお知らせします。

1 会合の概要
(1)日程・場所
令和3年3月23日(火)オンライン開催
(2)主催
EU、中国、カナダ
(共同議長)

フランス・ティマーマンス  欧州委員会筆頭上級副委員長
黄潤秋 中国生態環境部長
ジョナサン・ウィルキンソン カナダ環境・気候変動大臣

(3)出席者(発言のあった国)
 議長であるEU、中国、カナダを始め、国連事務総長、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長を含む、35の国と国際機関の代表が出席しました。日本からは小泉環境大臣、近藤環境省地球環境審議官、瀬川環境省大臣官房審議官、髙杉外務省国際協力局審議官、表経産省産業技術環境政策統括調整官他が出席しました。
2 議論の概要
(1)本会合は、2021年11月に開催が予定されているCOP26に向けた、本年最初の国際気候変動対策に関する閣僚級会合として開催され、新型コロナウイルスからの持続可能な復興における各国の課題や機会の共有、国際連帯の強化を通じ、どのように取組を拡大していくかについて議論された。

議長サマリー(英語):https://ec.europa.eu/clima/sites/default/files/events/docs/20210423_moca_en.pdf

(2)新型コロナウイルスの感染拡大と環境問題により、健康と経済社会が脅威にさらされている中で、閣僚らは気候変動問題に取り組む緊急性を認識した。また持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の実効的な実施のための支援について、多国間主義と国際連帯の強化が強調された。

(3)閣僚らはCOP26における英国の役割に対して支持を表明するとともに、COP26の成功に向けた期待を表明した。この観点において、閣僚らは、新規、もしくは更新した長期戦略(LTSs)や自国が決定する貢献(NDC)をCOP26までに提出することを強く推奨するなど、全ての国に対し、その取組や野心向上に向け、政治的な推進力を加速させるよう呼びかけた。更に、ロス&ダメージへの取組や、適応計画、適応に関するコミュニケーションに対する作業を前進させる重要性についても認識された。

(4)閣僚らは、COP26におけるパリ協定の実施に関する交渉課題の完遂に対して期待を表明した。COP26開催地であるグラスゴーにおける成功は、全締約国にとって利益となる協力に対する公平かつ公正な気候ガバナンスシステムの立ち上げや、包括的かつ効果的なパリ協定の実施を助けるものとなる。最終的に、閣僚らは、オープンかつ透明性があり、また、各パリ協定締約国主導の合意に基づいた議論場所の提供のために、途上国における技術的な課題等も考慮し、バーチャルでの会合も含め、創造的に取り組んでいくことを決意した。

(5)閣僚らは、各国やその他の主体がパリ協定の目標達成に向けて、野心的かつ合理的な行動を取る必要性を強調した。また、閣僚らは、新型コロナウイルスによる社会経済による重大な影響下にもかかわらず、多くの国がカーボン/気候ニュートラルに向けた野心的な目標や展望を示したことを認識した。更に、多くの閣僚らは、特に若い世代から気候変動対策の緊急性が主張されていることを考慮し、パリ協定に沿った実質排出量ゼロの達成の重要性を再認識した。適応、緩和の双方における宣言を行動に移していくために、閣僚らは、廃棄物管理や生物多様性保護、森林再生といった自然に基づく解決策(Nature based Solution; NbS)、グリーンファイナンス、カーボンプライシング、強靱性(レジリエンス)向上、ZEV(Zero-Emission Vehicle)、化石燃料からの脱却、再生可能エネルギーの普及等、法制化プロセスや政策といった経験を共有した。更に、閣僚らは実施過程において、公正な移行(just transition)が反映されるべきであることを認識した。

(6)また、閣僚らは、資金と適応への野心向上を加速させることを呼びかけた。新型コロナウイルスによる影響と気候課題に対して、グリーン復興と再構築を可能とするためには、特に途上国に対して、またパリ協定に整合した資金の向上が必要とされる。この観点において、閣僚らは、最貧国や脆弱国といった途上国に対する能力構築、技術支援、資金の重要性を強調し、国際連帯を呼びかけた。また、多くの閣僚らは、パリ協定の目標達成を追求すべきであること、またその実施において、各国の国内状況を考慮した、共通だが差異ある責任原則を反映すべきであることを強調した。

(7)閣僚らは、新型コロナウイルスからの危機からの教訓に着目し、グリーンな移行と気候行動に対する国際協調の重要性を強調した。対話の強化と経験の共有は、各国における国内状況に応じた適切な解決策の模索に対する相互学習を加速させる。また、電気自動車やグリーン水素、強靱なインフラ、CCUSといった技術が有望かつ促進的な技術として強調された。閣僚らは、企業、金融機関、地方政府、都市、地域コミュニティ、先住民、市民、大学、多様な機関、若者など、全ての関係者に対して、グリーン、レジリエント、包括的かつ持続可能な将来に向けて適切な行動を取るよう呼びかけた。

(8)閣僚らは、MOCAによる率直な意見交換に感謝し、また当該フォーラムを通じた将来の協力について期待を表明した。共同主催者は、野心的な気候行動の実施と継続的な参加を呼びかけた。

(9)我が国は、小泉環境大臣から、脱炭素と循環経済の実現に向けたパラダイムシフトが、持続可能な復興における緩和策・適応策の鍵となることを伝えた。その上で、日本の取組として、2050年カーボンニュートラルの地球温暖化対策推進法への位置付けとプラスチック資源循環に関する新法を提出したこと、様々なアクターとのパートナーシップとして、経団連との「循環経済パートナーシップ」の立ち上げと脱炭素都市国際フォーラムを開催したこと、COP26に向けた日本の貢献として、現在野心的な2030年の目標をNDCに示すべく尽力していることを説明した。

連絡先
環境省地球環境局国際連携課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8243
課長 大井 通博 (内線 6760)
課長補佐 尼子 直輝 (内線 7760)
環境省地球環境局地球温暖化対策課市場メカニズム室
室長補佐 長谷 代子 (内線 6728)

発信元サイトへ