(令和3年5月4日(火曜日)5時43分 於:英国)

冒頭発言

 本日、ブリンケン米国国務長官、ラーブ英国外相、ガルノー・カナダ外相と外相会談を行いました。 日米外相会談では、先般の日米首脳会談や気候サミットの成果を踏まえて、日米同盟を一層強固なものにしていくことを確認いたしました。その上で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組、東シナ海・南シナ海における中国による一方的な現状変更の試み、北朝鮮、ミャンマー情勢等について話し合いを行いました。
 北朝鮮については、ブリンケン長官から対北朝鮮政策レビューに関して説明がありました。その上で、安保理決議に従って、北朝鮮の完全な非核化を実現するよう、日米で緊密に連携していくことを再確認いたしました。また、ブリンケン長官から、拉致問題の即時解決に向けた支持を得ました。さらに、日米韓の緊密な連携の重要性、これを改めて確認したところです。
 日米外相会談に続きまして、G7、そしてCOP26議長国であります英国と、日英外相戦略対話を行いました。基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであり、「インド太平洋への傾斜」を打ち出す英国と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を再確認するとともに、経済関係、気候変動といったグローバルな課題、アジアを始めとする地域情勢等について、ラーブ外相と率直で、かつ、突っ込んだ議論を行いました。
 日本とカナダの外相会談では、地域と国際社会の平和と安定に向けて緊密に連携していくことを確認し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、法の支配を始め6つの分野で具体的協力を進めていくことで一致をみました。
 また、先ほど、G7外務・開発大臣会合の最初の行事でありますG7の外相ワーキング・ディナーを行いました。G7の外相が対面でじっくり議論するのは2年ぶりということになりますが、お互いをファーストネームで呼び合う、こういった打ち解けた雰囲気の中で、極めて率直な意見交換を行うことができ、「G7が戻ってきた」という思いを新たにしたところであります。
 今晩のワーキング・ディナーでは、北朝鮮とイラン、この問題も取り上げられ、北朝鮮については私が議論のリード役を務めて、突っ込んだ意見交換を行ったところであります。ブリンケン長官から米国の対   北朝鮮政策のレビューについても説明があり、G7として北朝鮮による全ての大量破壊兵器およびあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDという目標を堅持すること、安保理決議の完全な履行が不可欠であることで一致をみたところです。また、拉致問題の早期解決についても、改めてG7の賛同を得ました。
 明日・明後日と丸二日間、国際社会が直面する喫緊の課題や様々な地域情勢についてG7で、そして明日の夜からはアウトリーチ国の参加も得て、じっくりと意見を交わすことになっております。今日はその良いキックオフになったんじゃないかなと思います。

質疑応答

(記者)今回のアメリカのブリンケン国務長官との会談で、大臣おっしゃったとおり北朝鮮政策に関するレビューについて説明があったということですけれども、このレビューについては米国務省のサキ報道官が、現実的なアプローチを取るものだと述べておられてますけれども、大臣の評価はいかがでしょうか。アメリカが詳細を公表しておらず、お話いただくことは難しい部分もあるかもしれないですが、もし可能でしたらお伺いしたいと思います。
(大臣)これまさにアメリカの政策レビューの結果ですから、その内容について日本政府から説明することについて控えたいと思いますが、米国は朝鮮半島の完全な非核化、引き続きこれが目標であること、また、我が国を含む同盟国の安全のための取り組みを強化する、このことを明らかにしています。そしてレビューのプロセスでは日本の考えも米側にしっかりとインプットしてきておりまして、米国が日韓両国との緊密な連携を重視しながら、こうした取り組みを進められていることを支持し、歓迎します。
今後アメリカ、今般の政策レビューの結果を踏まえて、対北朝鮮政策を進めていくことになると思いますが、引き続き日米、そして日米韓で緊密に連携をしていきたいと、こんなふうに思っています。

(記者)G7外相会議が始まりますが、日本側が提起する議題について教えてください。
(大臣)議題は、議長国のドミニク・ラーブ外相の方で全体の運営をやっていくということになると思いますが、中国を始め、様々な地域情勢について、またインド太平洋への取り組み、そういったことも含めて議論していくことになると思います。

(記者)二点ございます。今回議題になるかと思われるミャンマー情勢ですけれども、日本人ジャーナリストの北角さんが起訴されたという報道がありました。今日は世界報道の自由の日でもあります。この起訴を受けまして、何かコメント、それからミャンマーにどう働きかけていくのかということをお伺いしたいのがひとつ、それからもうひとつ、コロナ情勢で、インドで在住の40歳代の日本人の方が亡くなられたという報道もありました。大臣、これ把握されているかどうかということと、邦人保護の観点からインド在住の邦人についてどういう手立てを取られていくのかということでお考えありましたらお聞かせください。
(大臣)今ですね、G7の外相会談についてテーマを扱っております。ミャンマー情勢についてはこれまでもお話してきているとおりであります。当然、日本人の拘束者の早期解放に向けて全力をあげて取り組んでいきたいと思っております。更に今、インドだけでなく、様々な国において邦人の安全確保、これは感染症の関係からも極めて重要であり、引き続きしっかり取り組みをしていきたいと思っています。