厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)4月6日(火) 16時00分~

場所

厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)

出席者

  • 三原 じゅん子
  • 大隈和英
  • 金子 恵美
  • 駒崎 弘樹
  • 小室 淑恵
  • 佐藤 博樹
  • 菅井 利雄
  • トラウデン 直美 (※オンライン参加)
  • 西田 亮介(※オンライン参加)
  • ハイヒール・リンゴ
  • 古市 憲寿(※オンライン参加)
  • 三浦 瑠麗(※オンライン参加)
  • 森永 真弓(※オンライン参加)
  • 上田 路子(※オンライン参加)

(敬称略)

議題

職場における女性支援策・子育て支援策

議事

議事内容
○蒔苗プロジェクトチーム事務局長 時間となりましたので、第3回会合を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日のテーマは、職場における女性支援と子育て支援策ということで、それぞれ各局から審議官と課長に来ていただいております。簡単に御紹介いたします。雇用環境・均等局審議官の岸本審議官でございます。
 
○岸本内閣官房内閣審議官 岸本です。よろしくお願いいたします。
 
○蒔苗プロジェクトチーム事務局長 子ども家庭局総務課の小澤総務課長でございます。
 
○小澤子ども家庭局総務課長 小澤です。本日はよろしくお願いします。
 
○蒔苗プロジェクトチーム事務局長 なお、大隈政務官は所用で遅れておりまして、20分程度遅れると聞いております。また、本日、18時までの予定となっておりますけれども、三浦委員は18時ちょっと前に退室、トラウデン委員も18時頃に退出と聞いております。以上でございます。
 
○佐藤座長 第3回のプロジェクトチーム、よろしくお願いします。今日は18時を目標に、それでやめるというわけではありませんが、基本はそれを目指してやらせていただきたいと思います。
 それでは、前半は厚生労働省の施策とそのPR状況についてお話を伺うということで、まずは職場における女性支援策について、岸本審議官から御説明いただければと思います。
 
○岸本内閣官房内閣審議官 厚生労働省雇用環境・均等局から、まず御説明申し上げます。資料を2点用意しておりまして、説明に主に用いますパワーポイントと、関連の施策のPRに使っておりますリーフレット等を束ねた別冊と、2つございます。
 説明資料のスライド2をお願いします。短時間ですので、ごくアウトラインの御説明になります。雇用環境・均等局は、スライド2の冒頭にありますとおり、男女雇用機会均等や正規雇用・非正規雇用の均等・均衡待遇、テレワーク、フリーランスなどを担当する部局です。施策としては様々やっておるのですが、このPTの趣旨も考えまして、本日は大きく4つのポツに絞って御説明申し上げたいと思います。1つ目は、「新型コロナウイルス禍における課題対応」でございます。特にうちの局との関係では、働く妊婦さんの不安対策の関係、それから小学校の一斉休校、昨年2月に安倍総理が一斉休校の要請をされまして、お子さんが家に予期しない時期にいることで出勤できないという問題が生じましたが、それに対する支援、それからテレワークの推進です。2つ目のポツは、コロナウイルス禍対応と若干離れますが、今年度から新規展開いたします、うちの局の1つの目玉であります「不妊治療と仕事の両立支援」です。3つ目のポツは、行政の様々な情報などをどう届かせるかという観点が本PTにあるように思いまして、その一環であります、企業の女性活躍推進・両立支援に関する取組の「見える化」施策です。4点目は、パワーハラスメントですとかセクシュアルハラスメント等、ハラスメントの相談を促す事業です。これらについて御説明したいと思います。
 ごく簡単ですが、スライド17をお願いします。このスライド17の前には、前提となる雇用情勢、今の新型コロナウイルス禍の下での雇用情勢ですとか、もう少し長いスパンで見た女性の就業状況、就業率などをお付けしております。
 具体的な御説明の1点目、新型コロナウイルス禍における課題対応、働く妊婦さんの対策、やっていることですが、「新型コロナウイルス禍による不安で出社できない」というような方が生じました。特に昨年の4、5月頃に問題になりました。これに対して、男女雇用機会均等法の「母性健康管理措置」という規定を活用しながら、かつそれが活用しやすいように、一定の母性健康管理指導事項連絡カードの様式を決めて、御本人がお医者様からカードを書いていただいて、それを渡せば用が通じるようにするですとか、あるいは特別休暇を有給で与えていただいた会社に対する助成金を新設するといった対応をやってまいりました。どう届かせるかの工夫でございますが、労働施策の場合、一般に、地域の経営者協会や商工会議所の方々、また社会保険労務士さんという労務の専門家の方々がいらっしゃいまして、その都道府県別の団体に周知の御協力を頂くのが通例なのですが、特にこの施策に関しては、産婦人科医療機関に協力を頂くですとか、母子健康手帳に母性健康管理措置の仕組みや母性健康管理指導事項連絡カードの様式を載せるといったことを工夫しております。
 次にスライド23でございます。小学校休業等対応助成金という項目です。これは昨年2月に一斉休校の要請を政府としていたしました関係で、予定外の時期に小さなお子さんが自宅にいらして出勤できないという問題が生じました。これに対して、会社から有給の特別休暇を付与していただけるように、費用の10割を助成するという助成金を新設をいたしました。一番下にちょっと小さな字でありますが、3月19日時点で21万件くらいの利用が進んではいるのですが、申請の事務負担などといったことが嫌われまして、一部にどうしても使っていただけないケースが生じました。昨年の秋に労働局に特別相談窓口を作って、企業に直接働きかけるということを行いました。働きかけると7割ぐらいの会社は「分かりました、やってみましょう」と言ってくださる、そういう方向に向かうのですが、3割ぐらいはどうしても「法律上義務ではないし、やりません」という会社がありますので、どうしても会社に助成金を使っていただけない場合は本人が直接申請できるという仕組みを、3月26日にスタートしたばかりでございます。届かせる工夫ですが、学校の休業がきっかけの問題ですので、文部科学省他に御協力いただいて、小学校と保育所を通じた周知に留意をしております。PTA会報に載せていただくとか、保育所の壁に告知を貼っていただくとかという形で、それぞれ学校、保育所にも御工夫いただいております。こういった取組をしておりますが、なお足らざる点など、また御指摘いただければと思います。
 次にスライド29、テレワークでございます。新型コロナウイルス禍の前から、働く場所の多様化の施策として、テレワーク推進を厚労省、総務省、国交省の3省中心でやってまいりましたが、新型コロナウイルス禍で通勤をしなくてもいい働き方として、かつてない注目を集めたところでございます。これに関して、特に大企業の場合にはテレワークに取り組むことにそれほどハードルがないのですけれども、中小企業の場合には金銭的な問題もありますし、またセキュリティをどうしたらいいのかとか、ノウハウの面でも不十分なところがありますので、リーフレットやガイドラインを作ったり、助成金を創設したり、テレワーク相談センターという所で相談援助を行ったりということをやってまいりました。
 これについては、先ほど申したとおり中小企業に知っていただくことが重要ですので、そういった点を業界団体、非常に細かいものまで数えると200以上ありましたが、そういった所に個別に周知のお願いをしたりということをやってまいりました。実績としては、年度の途中で予算が枯渇するぐらい、非常に評判と言いますか、利用していただいた制度でございます。その他ガイドラインなどをお付けしています。
 スライド41は、不妊治療と仕事の両立支援の関係でございます。治療と仕事の両立については、育児と仕事とか介護と仕事など様々な取組をやっておりますが、不妊治療と仕事の両立にはまた別の難しさがあるというように考えております。育児や介護と違って、長い日数を続けて休むというニーズ、そういったことが必要な方もいらっしゃるのですが、小刻みに朝クリニックに寄る時間を取りたいとか、クリニックに寄るのが何月何日という予定、その採卵の予定がお医者様の御判断で変わったりして、直前に変わったりする。そういったことに対応できるような柔軟な休み方が必要なところが特徴だと考えております。そういう特徴を次世代育成支援法という法律の指針に書く、改正するということを4月にやりましたり、特別休暇制度あるいは多目的の休暇制度を導入する助成金等の新設を、この令和3年度からいたしました。届かせるための対策ですが、不妊治療ですので、医学的な相談を不妊専門相談センターで受けていらっしゃる方もいらっしゃると思います。そういった所に協力を頂きまして、仕事に関する悩みを聞いたら労働局を紹介していただくなどという形で、仕事との両立支援のほうに誘導してまいりたいと思っております。
 次がスライド48です。企業の女性活躍推進・両立支援の取組です。少しこれまでと毛色が違う話になりますが、女性の登用ですとか仕事との両立に、企業にいろいろな工夫をしていただいているわけですが、それを推進するための方策の1つとして、より良い取組をしている所は、仕事を探す求職者、就活の学生さんとかから選んでもらえるような環境整備をしたいという発想の事業です。女性活躍と両立支援のひろばという2つのデータベースというか、サイトで情報を見られるものを用意しておりまして、女性の活躍推進企業データベースですと、14項目を比較可能な形で検索でき、両立支援のひろばですと、次世代育成支援法という法律に基づいて我が社の両立支援対策というのを行動計画として文書にしていただいていますが、それを閲覧したり検索できるという機能を設けています。利用実績としては、どちらもアクセス件数は26万件ぐらいなのですが、登録企業数を増やそうということで労働局を通じて働きかけをやってきておりまして、今、それぞれ増えてきているところです。届かせるための対策は、主に就活生の方々をターゲットにしまして、大学のキャリアセンターに協力いただいて、資料配布とか学生向けホームページにリンクを貼っていただくとか、厚労省の予算事業でやっています業界研究イベントにこのデータベースのPRのコーナーを設けまして、企業の話を聞きたいと思ってアクセスした人が、自動的にこういったPRを聞いてしまうというようなことでやっております。
 最後にハラスメント相談です。スライド52です。セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティーハラスメントと3つのハラスメントが法律上位置付けがなされておりますが、労働局に相談に来られる方も毎年非常に多くございます。この問題については、問題意識として裾野が広い問題で、労働局の門を叩いて相談される方ばかりでもないだろう、悩みを抱えながら悶々としている方に相談への一歩を踏み出していただけるようなことができないかということで、令和元年度から始めた事業です。無料電話相談とメール相談をやっているのですが、件数的に若干増えております。また、「あかるい職場応援団」サイトというものを設けまして、パワハラやセクハラに関する総合的な情報提供サイトなのですが、このサイトを知っていただこうということを考えました。労働施策では余りやらないのですが、物量的に新聞広告や駅構内ポスター、中吊り広告等でとにかく「あかるい職場応援団」サイトという存在を知っていただいて、何かあったらアクセスをしていただく、何かそういうサイトがあったなと思っていただくことを目指してやっております。記事広告等はまた後ろのほうに付けておりますが、こういった取組をしております。
駆け足で恐縮でございますが、御議論、御指導を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございます。内容についてもう少し説明してほしいという時間は後で取りますので、そのときにお願いします。
 続きまして、子育て支援策とそのPR状況について、小澤総務課長から御説明いただければと思います。
 
○小澤子ども家庭局総務課長 それでは、ただいまから説明させていただきます。コロナ禍での子育て支援策についてということで、画面のほうで基本的に説明しようと思います。よろしくお願いします。
 今から3つの数字を御覧になっていただきたいと思います。1点目は虐待の相談対応件数です。これは、児童虐待防止法が平成11年にできて、要は児童虐待の対応が政府として本格的に始まったときから最近までの数字をずっと追い掛けたものです。ただし、虐待が本当に増えているかどうかというのは実は必ずしも分からないということだけ、これは相談対応件数ですので、その点だけは御留意いただきたいと思います。次の資料は、昨年の1月から11月までの月ごとの虐待の相談対応件数です。特に御覧になっていただきたいのは、この辺です。1月、2月、3月は前年同月比で20%から18%増ということで、これはちょうど昨年、緊急事態宣言が出ていた頃なわけです。この頃の相談対応件数が非常に増えていた。これは、実は注にもありますように、いわゆる月ごとの集計との差があるので、必ずしも額面どおりに取ることはできないのですが、いずれにせよ警戒すべき数字であると言えると思います。
 今度はひとり親の実態です。例えばこの数字でいきますと、年末に向けてひとり親の暮らし向きが非常に苦しいというのは、ひとり親世帯とひとり親世帯以外を比べると、60%、47%。それから、必要とする食料が買えない経験があったかどうか。これを見ても、ひとり親世帯は35%、それ以外の所は26%と4分の1。これも実は数字が明らかになっている。サンプルが500ですので、これをどこまで有意なものと見るかどうかは別ですが、少なくともこのサンプルに見る限りは、そういった数字が出てくる。
 次の資料をお願いします。これは世帯の預貯金の額を表したものです。「貯蓄は一切ない」がひとり親世帯でこのように23.6%、これはかなり違うと。次の下の表が、児童手当・児童扶養手当が収入源として大きな役割を占めているというものですが、やはりひとり親家庭で多いという数字が出てきている。
 もう1つ、今度は別の分野です。これは、出生届ではなく妊娠届の件数、「妊娠したので母子健康手帳をください」ということで来るときの届出のことですが、の辺の数字を見てください。これが令和2年の数字ですが、それまでの平成31年、平成30年に比べて、月ごとの傾向で見ても、かなり減っているといった数字が出てくる。
 つまり、この3つの分野では、実は今回、コロナで1つ特徴的な数字が出てきている。なので、本日はこの3点に絞って、ごく簡単に説明させていただきたいと思います。つまり児童虐待防止対策、ひとり親家庭支援、それから妊産婦です。
 今回、コロナ禍での虐待関係の対策として、この支援対象児童等見守り強化事業というのをやっています。これは、要は地域でネットワークを作って、それぞれ担当を決めて、その担当になった所が、支援が必要な家庭に対しての相談あるいは見守り体制の強化をしましょうというものです。その際にこの中に今回新たに入ったものは、子ども食堂あるいはこども宅食といったところです。ここにあるように状況の把握、食事の提供、それから学習・生活支援と言っていますが、これは正にやっていることそのものでもあり、また政策を届ける手段でもあるといった意味合いもある施策をやっているということでございます。
 それから、特にやっていることを届けるものとしては「189(いちはやく)」、これはポスターを作りまして、例えば全国の自治体にこの番号を配ったりとかしています。令和元年の12月にはもう無料化しましたので、この番号に掛けてもらえれば地元の児相につながるというものをやっています。
次に、ひとり親ですが、5万円をひとり親の児童扶養手当を受けている世帯、それから、住民税非課税の子育て世帯に支給しようとしています。実は、ひとり親には去年2回支給しています。この特徴は何かと言いますと、申請不要です。児童扶養手当の受給世帯は基本的に申請不要で、公的年金等を受給しており、児童扶養手当の支給が全額停止される方や、所得が急変して急遽必要になったというときに限って申請が要るという仕組みです。もう1つ、いわゆる住民税非課税のふたり親世帯を今回新しく追加しています。こちらは、これからどうしようか少し考えているところですので、申請の仕組みがどうなるかはまだはっきりしませんが、いずれにせよこういった仕組みをやっているということです。
 もう1つは、こちらの画面ですが、例えば職業訓練で看護師とかを取ろうということであれば、今まで月10万もらえたというものを、今回は、訓練に必要な期間を見直し、対象を拡大することによって、デジタル関係の講座を取ろうという場合でも10万円もらえるという仕組みを作りました。それから、この下にある就労訓練中の住宅費の支援、月4万円無利子で貸し付けるというものを新しく加えています。これは、一年間就労継続すれば償還を免除します。
 では、どう届けているか。これは実際に配っているチラシの雛形です。コロナ禍でいろいろな使える施策あるいは相談窓口については全部、こちらのほうで雛形を作りまして、あとは、この辺りに自治体ごとに情報を入れてもらえば、それでもうつながる。この辺は電話番号も入れてもらう必要があるのですが、こういうようなものを配って自治体に活用してもらうということをやっています。これは、質問もありましたが、職員が自製していました。自分で作っていましたが、こういったチラシを作って、自治体のほうでも「こういうものがあります」というのを分かってもらうようにするといったことをやっております。これはすぐ配れる話です。もう1つ、届けるためにはやはりワンストップですね。まず、うまく相談に来るようにする。相談に来たら、そこでいろいろな支援について、なるべくワンストップで済むような形での支援を進めているという状況でございます。
 次に妊産婦です。これも、1つはこの資料の中にありますように、正に相談支援。もう1つ、これで大きいのは検査、PCR検査を不安を抱える妊婦の方が受けた場合に、国と都道府県で費用を負担するという事業をやっています。それから、育児支援も事業としてはやっている状況です。
 あと、もう1つ、不妊治療について簡単に説明させていただきます。不妊治療には、御案内のとおり、実は保険適用になっているものとなっていないものがあって、今回の菅政権では保険適用にするという方向を打ち出しました。そこに至る前に、まず今回、不妊治療関係では経済的支援ということで、この辺りですが、今まで1回15万円だったものを1回30万にする。あるいは、例えば単に不妊だけでなく不育症への相談支援、それからいわゆるがんの場合のAYA世代の支援、里親や特別養子縁組制度の普及啓発といったこともやっています。不妊治療の拡充はこの辺で、今回、所得制限もなくして、それから生涯6回を子ども1人ごとに6回と、こういった形で見直しています。併せて、里親・特別養子縁組制度の普及啓発にも取り組んで、それが成功しなかった場合にはこうした方法があるということを、早い段階からお伝えすることができればと考えております。
これが今回、実際に診療所とかで医師会などを通じていろいろ配っているチラシです。こういったものを作っています。
 それから、正に先ほどの妊娠届で不安というのが恐らく見て取れる数字だったと思いますが、それに対応して感染が妊娠に与える影響、あるいは妊婦の感染が胎児に与える影響、こういったものが、今の治験を踏まえてどういったものかをお伝えしているという状況です。これも、QRコードを入れて、すぐにそこでアクセスできる。それから、ビデオメッセージも出している。すみません、ちょっと今日はビデオを流している時間がないので、これだけにします。
 あとDV関係です。これもちょっと御指摘があったのですが、被害者等セーフティネット強化支援、これは内閣府がやっていますが、シェルターを民間に委託する場合に、1団体当たり1,000万円支給する、交付するというものです。これは、交付上限が1民間団体当たり、1つの都道府県の管内で1,000万円となっていますが、確認しましたところ、1つの都道府県管内で複数の団体に対して出すことが可能ということでした。これも、「#8008(はれれば)」で相談ナビということで、分かりやすい番号を作って相談窓口を御用意させていただいております。以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございます。それでは、職場における女性支援策と子育て支援策のそれぞれについて、御意見は後で伺う時間を取りますので、質問なり、ここはどうなのということがあれば、事実確認的な御質問を伺えればと思います。オンラインで入っている方も「あります」と言っていただければ、あれですので。では駒崎さん、お願いします。どちらかということを言っていただければ。
 
○駒崎弘樹委員 小澤課長に御質問させてください。コンパクトで非常に分かりやすいプレゼンテーション、ありがとうございました。
 先ほど、厚労省さんの制度の説明資料を自製されているというふうにおっしゃっていました。つまり、これは普通に職員の方がパワーポイントなどで一生懸命作って、どうぞみたいな感じでされている、そういう理解でよろしいでしょうか。
 
○小澤子ども家庭局総務課長 それに対してですが、背景として、この施策は実は非常に短期間で支給しろということで言われていまして、実際の準備を含めて非常に時間がない中で、いろいろ逆算をすると自製してやるしかないという状況でそれを配ったということだそうです。
 
○駒崎弘樹委員 本当にお疲れさまです。いつも大変な思いをされて、資料を作成されていらっしゃると思うのですが、こうしたものをクリエイティブが得意な事業者やデザイナー、そうしたプロの方々に頼むということが、恐らく「強制労働省」と言われる厚生労働省の就労環境を是正、改善することにつながるのではないかなと思わざるを得ないのですが、現場の方として、こういうものを一生懸命作る作業量や労力など、そういったことに関しては、どのように感じていらっしゃるのでしょうか。
 
○小澤子ども家庭局総務課長 正におっしゃるとおりだと思います。自分たちがやらなければならない仕事はやればいいのですが、正に働き方改革の関係で、なるべくいろいろな人にお願いできるものはお願いするということでやっていけば、そうすればよりいいもの、かつ職員の負担も減るということなので、正にそういった方向は必要なものだと思っています。
 
○駒崎弘樹委員 ありがとうございます。
 
○佐藤座長 いいですか。ほかには、オンラインの方も含めて、オンラインの方は一応聞こえますか。事実確認的な質問はよろしいですか。森永さん、いいですか。
 
○森永委員 大丈夫です。ただ、前回も言われていましたが、紙をめくる音をマイクが拾っています。
 
○佐藤座長 分かりました。僕がいけないかもしれない。気を付けます。そういうことを言ってください。
 それでは、今日の職場における女性支援策と子育て支援策のそれぞれについて、小室さんと駒崎さんから御意見を伺うというふうにしていますので、まず最初に小室さんのほうから御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
 
○小室淑恵委員 よろしくお願いいたします。資料の共有をお願いいたします。ワーク・ライフバランスの小室です。改めましてよろしくお願いいたします。15年間、ずっとこの変わらない日本の働き方に、佐藤先生と一緒に立ち向かってまいりました。女性にとって常に育児か仕事か選択を迫られるということと、フルタイムにほんのちょっとだけ時間が足りないだけなのに、非正規化に転がり落ちてしまうという実態を見てきました。ただ、2019年の労基法の改正が非常に大きな転機になっていて、ここ3年ほどの変化というのは非常に大きいなということを感じています。
 資料を1枚おめくりいただいていいですか。今日お伝えしたいことを、まずサマリーで結論まで書いておきました。一番上の行から御説明していきます。職場における女性の支援というものにおいて、この「働き方改革・男性育休・テレワーク」の3つが昨今大きく進んだことが、本当に大きな力になっています。特に労基法の改正によってすごく大きかったのは、今までは一部の残業可能な男性にどこまでも労働を乗せることができるので、そうすると経営者としては少ない人数にたくさん乗っけてバッファを調整したほうがいいものですから、女性は非正規でという感じでしか採用してこなかった。それが、一定の上限ができたことによって、ほかに正規の人を増やさなくてはいけなくなった。これが女性の正規雇用を非常に増やしています。各企業、やはり女性を積極的に正規雇用しようという流れが、随分出てきているなというふうに思います。
 さらに、3つ目ですが、昨年はコロナという黒船によってテレワークという武器が大幅に手に入ったということで、時短女性がフルタイムに戻すことができたという大きな変化が出ました。最初、学校が休校になった時期はそれどころではなかったのですが、しっかり学校がやっている状態でテレワークができると、経営者の方とディスカッションしたときに、多くの経営者が気付いたと言っていたのですが、短時間勤務というのは通勤時間分で時間が短くなっていたのだと気付いたと。多分、今まで気付いていなかった。短時間勤務の人は、やる気がないみたいな気持ちを持っていた経営者がたくさんいらっしゃったと思うのですが、そうではなくて、6時のお迎えのためにぎりぎりまで勤務していたのだから、テレワークになればフルタイムに戻したいし、熱意もいっぱいあったのだというようなことに、このコロナ禍で気付いたという話をかなりされていました。
 さらに、企業の中で起きた変化としては、時間外が必要な仕事というものが、やはり花形の仕事には多くて、そうすると花形の仕事は時間外ができる男性の仕事というふうに、ずっとつながってきてしまっていました。象徴的だったのは、おすしの銚子丸さんをコンサルしているのですが、魚の仕入れをするという花形の仕事は、朝、珍しい魚が揚がったと言われれば北海道の港に即、飛行機で駆けつけて、買い付けして指示を出すということができる人しかできなかったのです。それが、県をまたいでの移動が制限されたことによって、買い付けも全部オンラインになったのです。珍しい魚が揚がったと言われたら、その瞬間にオンラインでつないで、隅々まで見て店舗に指示が出せれば、それは育児時短の女性だってみんなできるようになったのです。ですので、花形の仕入れの仕事も、目利きの能力さえあれば、いろいろな方ができるようになった。今までは、花形の仕事というのは、能力で選ばれていたのではなくて、時間外可能かどうかということで、かなりの部分が選ばれていたというところが、このオンラインということによって大きく解決している、そのようなことが飲食店でも出てきているということです。
 4つ目の段落です。こうして一時的に進んだように見える「働き方改革・男性育休・テレワーク」なのですが、このコロナ後も後戻りせずに日本の職場のスタンダードになれば、男女ともに豊かに育児に向き合って、少子化を解決する社会ということになるのですが、5つ目のパラの所に書いたのですが、1,000社の企業の働き方改革を支援した結果、この「働き方改革・男性育休・テレワーク」が後戻りしない企業の共通点というのは、経営者自らがやっているかどうか、経営者が実践・コミットしているかどうか。ここで随分差がつく。これをやっていない企業は、感染者が少し減るとすぐ戻っていくという傾向がありました。
 そこで、今日、一番申し上げたいことは、一番下のオレンジの枠の中なのですが、厚労省管轄の制度・助成金・奨励金・見える化の仕組み、こういったものに経営者の実践・コミットを条件づけることはできないのだろうかというふうに思っています。事例のスライドを2枚御紹介したいと思います。
 経営トップの実践の事例で、オンワードさんのものです。最初は失敗事例なのですが、人事部が「テレワークに切り替え」という指示を出されて、1,700名にデジタルデバイスを一斉に配布して、さあ、これでテレワークと言ったのですが、役員は全員、毎日出社していたのです。多くの企業の経営者が悪気はないのですが、自分はこういう非常事態のときほど出社しないといけないとか、車の送迎が付いているから自分はちょっと別世界という感じで、出社してしまう。悪気なく「テレワークって仕事にならないだろ」などと言うものですから、社員はみんな「テレワークなんかしてたら、仕事してないと思われる」というふうに考えて、一斉に出社してしまったと、こういう失敗事例がありました。しかし、昨年の秋からオンワードさんは取締役会も全部オンラインにして、トップも率先垂範して、社長も17日間連続でテレワークを進めたことで、誰もが気兼ねなく使える制度になって、その結果、「幸福度が高まった」84%、「風通しが良くなった」100%、残業も19%減って、休日も10%増えたということです。
 下の四角の枠です。経営トップに忖度をせず、例外なく実践を経営トップも含めてやってもらう、こういう企業は後戻りしないのですが、役員だけ特別待遇で出社が前提という企業では、結局、テレワークの生産性アップを意思決定層だけ実感していない状態なのです。そうすると、何が起きるかと言うと、ふだんは「いいのです、皆さんテレワークやってください」と言うのですが、その意思決定は重要な話だから対面でやりましょうということで、重要な話は対面という価値感が最後まで残ってしまうのです。重要な話ほど、緊急事態のときにはスピーディーにオンラインでできなくてはいけないのですが、ここが最後、突破できないまま、感染者の数が下がればまた元どおりという形になってしまうのです。
 次をお願いします。アイシン精機さんの場合は、男性育休の浸透にトップが非常にいい役割を担っていました。トヨタグループのアイシン精機さんは、今、働き方改革はもう3年目で、全社展開してグループ13社でやっています。2行目の所ですが、かつての私たちがコンサルに入り始めた頃の社風は、男性に育休などを取らせたら管理職の評価は下がると、そういうふうに思われていたので、全力で阻止するということを管理職の皆さんはしていました。ところが、伊勢社長に男性の育児休業100%宣言というのをしていただきました。次のスライドを一瞬見せていただけますか。これは、男性の育児休業の100%を目指すということを宣言していただいている、その100社の企業さんの社名なのですが、一番上のほうにアイシンさんが入っていると思います。アイシンの伊勢社長が「孫がかわいい、かわいい」と言っていたら、妻から「あなたがなぜ孫がかわいいかと言うと、自分の子育てを一切協力しなかったから孫がとても新鮮なのだ」というふうに言われて、自分の子どもにもこんなかわいい時期があったのかということに初めて気付いて、「次世代にこんな思いをさせたくない」ということで、この次のスライドですが、男性育休啓発動画を7人の経営者に出演していただき作りました。これは、自分の時代は全然育児参加できなかったが、次世代の皆さんには育休を取ってもらいたい、ということを率直に語る動画で、100万回再生になって、主に30代の男性たちが感動した、割とハードなタイプの経営者たちがこんなことを言うなんてということで、非常に支持を得ました。
 2つ前のスライドに戻っていただきたいのですが、その結果、アイシンさんはもともとの育児休業取得率で言うと、ここには23%と書いてありますが、それが今や72%ということです。しかも、そのうち40%は5日以上取得しているというような形で増えた。また、残業も58%削減されて、有休も98%取れているというような形です。やはり経営トップに「俺の意識が変わったのだよ」というところまで発信していただくことで、後戻りしないし、効果も非常に大きいということが言えるかなと思います。
 6ページ目です。そこで、次なる不況がまたいつ来るか分からないのですが、そのときに真っ先に女性が職を失ってしまうということが起きないために、1つ目のポツですが、育児・介護などの事情を持つ社員が非正規化せずに働ける職場環境への変化を加速し、後戻りしない仕組みを作りたいです。そのためには、2つ目のポツですが、厚生労働省管轄の制度・助成金・奨励金・見える化の仕組み、これらはどれも本当に素晴らしくて、企業の制度改革の助けになっていると日々実感しています、ただ、経営者への変革を促すあと一歩が足りない。そこは経済産業省マターのように思っているのかもしれないのですが、私はそこも厚生労働省マターだと思うのです。むしろ企業の人事部としては、それを追加してもらいたいのです。自分たちはなかなか言いづらいものですから、そこに追加しておいてもらいたいのです。
 3つ目のポツですが、これは佐藤先生もよく経験されるかと思いますが、経営者の会合で講演して「くるみんマークを知っている方はいますか」と聞くと、「しーん」というふうになって、全経営者が「くるみんマークとは何か」というような顔をする。もう全社から一度くるみんマークをはく奪したほうがいいですねというふうに、私はいつも申し上げるのです。人事はもちろん一生懸命くるみんマークを取得しているのですが、最後、経営者にまでなかなかきちっとレクしないのです。ですので、4つ目のポツです。育休100%の宣言を100社から集めるために、何100社の経営者を説得する行脚をしたのですが、ほぼ全ての経営者から、「産後うつのことも、産後の女性の死因の1位が自殺であることも初耳である。だから男性育休が必要だと、もっと早く国も言ってくれればいいのに」と言われるのです。でも、もちろん人事は知っているのです。
 一番下のオレンジの枠の中ですが、忖度の強い企業では、人事部が経営者に勉強させるということが非常に困難です。助成金や認定制度の条件にしてくれれば、人事は言いやすくなります。「これを受講していただかないと、このマークが取れないので、是非経営トップもやらなければいけないのです」と言えるのです。そうしないと、このダイバーシティはなぜ重要かというようなことについても、経営者はずっと裸の王様のままです。ちゃんと教えてもらっていないまま今日まで来ているので、最近いろいろな組織の長がとんでもない発言をしてしまうということが起きるのではないかなと思っています。
 次のスライドをお願いします。これは、あくまでも一例なのですが、このようにされてはどうかということを幾つか書いてみました。例えば、不妊治療助成金であるならば、この助成金を取るために、「不妊治療と仕事の両立で本人が抱える困難について」というような30分のe-ラーニングの動画を経営層全員が視聴し終わりましたというようなことを、一緒に出していただく。このe-ラーニングは政府のほうで作っていただくというふうにしてはどうか。
 2つ目ですが、中小企業のテレワーク導入、これはとても好評な助成金だと思っています。この助成金ですが、支給要件に「テレワーク勤務を制度化すること」と入っていますが、これに「経営者が連続5日以上のテレワークを実践し、率先垂範すること」というふうに追加していただくと、「社長、すみません、助成金もらうためにも、5日間テレワークやってもらわないといけないんです、お願いします」というふうに言えると思います。これは1回やっていただければ、経営者もその意味が分かってくると思いますので、これは加速・定着すると思います。
 3つ目ですが、働き方改革推進支援助成金です。これも、労働時間短縮や年休の取得推進というものに加えて、経営者層が「休日の社員にメールや電話をしない」、「自ら早朝・深夜に在社しない」というようなことを加えていただくといいかと思います。
 それから、男性育休に関しては、経営層がなぜ男性育休が重要なのかe-ラーニングで30分学ぶなど、その上で自社で父親学級を開催していただき、経営トップが男性社員にメッセージを発信するといったようなことを、是非加えていただきたいなと思います。
 父親学級に関して、こうしていただきたいということを追加で次のページに1枚入れました。今回、学校と保育園の休校で女性が離職に追い込まれたのは、やはり、ふだんから育児・家事が女性に偏っていたというところが大きいです。さらに、今コロナ禍で両親学級が閉鎖されてしまうと、出産の立会いも今制限されているので、父親の関与がスタート時点からすごく減っているということがあります。
 このコロナ以前からの課題も下に5点挙げています。そもそも父親学級の内容が出産をゴールとしている内容になっているのです。この両親学級は、助産師さんが講師を務めることが多いです。そうすると、パパはゴルフボールで背中をさすってという話なのですが、それだと出産がゴールになってしまっていて、その後の生活の話がほとんど入っていない。2つ目に、父親向けは妊婦ジャケットの着用と沐浴練習のみということが多いです。3つ目に、産後うつのピーク・睡眠の必要性・夫の役割が伝えられない。4つ目に、出産後に夫婦でどう育児・家事を分担するのかが欠如している。5つ目に、そうすると育休を取ってゴロゴロする夫というものが出てきて、妻の負担が増えてトラウマになってしまう。ですので、せっかく法改正が進んで企業側から男性育休の個別打診ということが義務付けられる予定だと思うのですが、今のまま取得促進をすると課題が拡大してしまうということになるわけです。
 ですので、一番下ですが、「企業主導型 父親学級」というようなことを助成金やくるみんの条件にできないでしょうか。企業の会議室を利用して、オンラインも可でという形で、講師には産後の夫婦の家事育児分担を指導できるような、そういう専門アドバイザー派遣をしていただくというふうにすると、父親学級がぐんと進化するのではないかなと思います。
 次のスライドですが、テレワークに関して1点だけ大変気になったことがあったので、是非、御検討いただきたいと思います。テレワークのガイドラインが改定されたかと思いますが、真ん中の青い部分、ガイドラインには、「パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として」というふうに1ポツ目に書いてあるのですが、2ポツ目には「労働者の自己申告により把握すること」と入ってしまっています。テレワークだから把握できないのではないか、事業所外の扱いだからというような形になっていくと、これは大変危険です。一番下に書いておきましたが、自己申告になっていることが最も悪用されている職場の例として、この2・3月に中央省庁の残業代調査を行いました。そうしましたら、財務省・農林水産省・特許庁はテレワーク分が払われない仕組みになっているということが分かりました。経済産業省は「つけるな」という指示が具体的にあったそうです。財務省は「テレワークは残業がつけれないと言われ、申請しても修正を指示された」と書いてあります。外務省は1月からテレワーク分が払われるように変更されたそうです。そして厚生労働省では「テレワーク時の残業は幹部まで事前の申請が必要とされており、申請をしづらく残業ができない」、若しくは「残業をしても報告できない状況がある」と、20代の男性が書いていました。そういうことで、かなりこれは危険な仕組みだなと思いますので、この辺りをしっかりと改善していっていただきたいなと思います。
 後ろは参考までに付けておいた資料です。次のスライドは、この1月に調査の結果が出たものです。働き方改革がうまくいったというふうに回答している方のうち、どの取組が従業員満足度を上げ、離職率を下げたのかということを見ていったところ、勤務間インターバル制度の導入が一番従業員満足度も上げ、離職率を下げる効果があったということが分かりました。選択肢に給与アップやフレックスタイムなど、そういったものも全部入っているのですが、勤務間インターバルというものが一番効果があった結果になっています。繁忙期に遅くまで仕事をした人が、通常だと翌朝も朝礼に遅刻したらものすごく怒られるというような、前日の頑張りがなかったことにされてしまうようなことだと、モチベーションが下がるのですが、次の日であってもしっかり配慮されるということが、働き方において満足度を上げていますので、今後、法改正されていくことと思いますが、インターバルは今は努力義務ですが、早めに義務にしていただくということが必要かなと思います。
 後ろは見ていただくために入れたアンケート結果なのですが、これは弊社ではなく、かものはしプロジェクトさんとMasterpieceさんが行った調査結果です。次の次のスライドを開けてください。これは、社会的養護を経験した29歳以下の若者に、緊急の資金の援助が役に立ったのか、また、どういうもので情報を得ていたのかということを聞いたというものです。n数がちょっと少ないのですが、とても参考になると思ったのがスライド23です。公的支援を知っていましたかというふうに聞かれて、緊急小口支援を受けたり、知ったりしていますかに対して、半数が知らない、3分の1が申請したが受けられなかったと回答しています。25ページ、住宅確保支援金は、4分の3が知らないと回答しています。27ページ、生活保護という仕組みについても、半数が知らないという回答をしているという状況で、全く情報が届いていない。
 30ページですが、こうした社会的養護を経験した若者たちの使っているメディアというものは、9割がLINE、67%がTwitter、テレビは14%しかない。新聞は3%です。31ページ、自分たちのような立場に届くメディアは何だと思いますかということに関しては、Twitterが83%、Instagramが75%というような結果でした。正にコロナ禍を経た直後に取ったデータですので、nは少ないのですが、とても参考になるかなということで、代わりに御紹介させていただきました。以上です。ありがとうございました。
 
○佐藤座長 ありがとうございました。女性の活躍を応援していくために、やはり働き方改革、男性の子育て参加や育休、テレワークも大事ですが、これがコロナ後も後戻りしないようにするために、経営トップのコミットメントが大事、私もそう思います。ただ問題は、今の経営者がコミットして、代わってもというところなのです。経営者が代わっても続くようにどう担保するのかということがすごく大事です。参考に言うと、経産省のダイバーシティ経営企業100選は、経営トップが宣言していないといけないので、そういう意味ではそれは残るので、そういうやり方はあるかも分からない。社員が分かるように、あるいは社外に分かるような宣言、例えばこういうことについて宣言してもらうことを公表していればということを、いろいろなものの条件にするという手はあるかも分かりません。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして駒崎さん、お願いします。
 
○駒崎弘樹委員 認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎です。政策アウトリーチに関する提言書というものに基づいて、お話させていただきたいと思います。こども宅食事業に見る、地域やユーザーへの政策の届け方ということです。
 我々は、困窮している子育て世帯に対して、こども宅食という事業をしています。次をお願いします。こども宅食というのは、困窮している子育て世帯に対して、周囲に知られない形で定期的に食品や生活用品などを届けているような事業です。それによって家庭とつながって、関係性を築く。そして、その中で変化を見付けていく。例えば渡していって、喜んでもらってということを続ける中で、何か家の中がものすごく汚くなっているな、ちょっと様子がおかしい、あざがあるなど、様々なことに気付いていって、そこで地域の社会資源や行政につないでいくということをしています。
 次をお願いします。このこども宅食は、2017年からパイロット的に文京区で始めたのですが、それが支援対象児童等見守り強化事業ということで、予算を付けていただいて全国で補助金を使ってこども宅食ができるというところまでいけることになりました。こうした政策実現、厚労省さん、誠にありがとうございました。次をお願いします。そうなのですが、この政策化する、あるいは予算になる、そうなると、こども宅食は10分の10事業なので、国のお金だけでできるので、基礎自治体は何ら身銭を切る必要はなかったのですが、しかしやらない自治体が多々あるというような状況があります。それはなぜかと言うことを今日お話していきたいというふうに思います。
 まず、政策が予算化されてユーザーに届くまでの流れを御説明させてください。国が政策を立案して予算化します。そうすると、この事業に手を挙げてくださいということで、地方自治体に言うわけです。よく国が命令すれば地方自治体は動くというふうに思われている国民の方も結構多いと思いますが、そういうことはなく、やはり地方自治体が手を挙げて、使いたいと思って使うということになるわけです。地方自治体がこの事業をやりますということで、国が国の予算を使うのですが、地方自治体が一部出す場合もありますし、全く出さない今回のこども宅食のような場合もあります。そして、地方自治体がこれを現場でやってくれる団体さんを募集しますということで、NPOと民間団体を募集して、さらにNPO等が今回の場合で言うとこども宅食をやる、あるいは何かいろいろな福祉サービスをやるということがあります。また、何らかの現金給付などの場合は、地方自治体から直接ユーザーたる住民に対して振り込んだりということをするわけです。このようにして、政策というものが流れていくわけです。最終的なエンドユーザーまで流れていくということがあるわけです。しかし、ここのどこかで目詰まりするということが、今回のPTで議論されていることだと思います。
 次をお願いします。こども宅食を例に挙げます。こども宅食事業を実施して、全国に展開する上での課題としては、主に2つあります。自治体で目詰まりするという場合と、エンドユーザーの所で目詰まりする場合があります。自治体は制度や予算があっても手を挙げない。知らなくて手を挙げない、何か面倒くさいなと思って手を挙げない、あるいはマンパワーがなくて手を挙げないなど、いろいろな理由があって手を挙げない。一方、エンドユーザーのほうは、基本的に自分が今、何に困っているか分からなかったり、あるいは9時~17時に役所の窓口に行けない、書類が分かりづらい、文字ばかり、そういったことで届かないという、このような二重の目詰まりがあるということです。
 次をお願いします。まず、地方自治体の部分で御説明させていただきたいと思います。自治体の認知・理解・キャパが不足していて、事業ができないということがあります。
 次をお願いします。これは、こども宅食の実施者向けにアンケートをしたのですが、国が予算をせっかく作ってくれた事業なのですが、実施団体の半数にしか利用されていない。つまり、せっかく今実施したいと言って、実施しようというNPOがいて、しかし、そのNPOが自治体に「国も予算を作ってくれたから、是非、自治体さんは手を挙げてください。そうしたら、我々も今、手弁当でやっているが、補助を使ってできて、もっとたくさんの人を助けられるのです」と言っても、その自治体のうちの半分ぐらいしか手を挙げていないということなのです。全部、国のお金なのにもかかわらずです。ですので、仕方がないので手弁当で頑張って、助成金や寄附金など、自腹を切って実施する、食品を配っていくということをやっているわけなのです。事程左様に自治体は動いていない。
 次をお願いします。さらに、この政策というのは、基本的には自治体ごとに下ろされてやるわけです。そうすると、各自治体が「国のメニューにあったから、取りあえず国の予算を使ってやりますか」と言ってやったとしても、その地元のNPOに対して委託する。だけれども、同じような事業をやっているような自治体はたくさんあるのですが、その横のつながりのノウハウ共有などはないわけです。ですので、全国で同じことに困っている、そういう状況になる。そういうシュールな状況が全国で行われるわけです。ですので、実施団体として、全国各地の実施事例に関する情報提供など、そのようなことが必要だったり、あるいは全国で食材を安定的に確保する仕組みづくりが必要で、ナショナルでそういった食品を集めて配ればよかったりするのですが、各自治体ごとに分化されていってしまうようなことが起きているということがあります。これが自治体側の問題としてあります。
 次は、ユーザー側です。ユーザー側には、前回も御説明しました申請主義/窓口型支援、お店型支援の限界というものがあります。次をお願いします。これは、こども宅食のユーザーたちに対して取ったアンケートです。正にコロナ禍で困っているという真っ最中に取ったアンケートです。基本的には困窮している世帯の方々に聞いています。その困難を抱えている、困窮している家庭にもかかわらず、自治体の窓口での相談をしましたか、以下のサービスや窓口の利用状況について教えてくださいと聞くと、8割の人が自治体の窓口に相談していないということなのです。圧倒的多数が自治体に相談していない。それぞれのこども食堂などはどうですかと言っても、9割近くは使っていないという状況で、本当に家庭に支援は届きにくいという現状があります。政策があると届いてるのだろうなと無意識のうちに思ってしまうのですが、実際は8割から9割は利用していない、届いていないというふうに思ったほうがいいという結構衝撃的なデータが出ました。
 地域につながるのが難しい様々な特性を持った御家庭がいるというのは事実かなというふうに思っています。実際、孤立しているというか、社会的なつながりが非常に薄いということが、いろいろなデータからも見て取れます。地域の民間団体とつながりがない・ほとんどないという方が6割、書類提出や手続が苦手で後回しにしがちという方が53%、行政や専門機関に不信感、警戒心を持っている人は52%、行政とのつながりがない・ほとんどない人が42%ということで、とにかく様々な特性の積み重なりにより支援に届いていないという状況になっています。
 次をお願いします。ちょっと解像度を上げるために一例を御説明します。フローレンスに届いた、ある家庭の声です。私(母親)が病気になり寝たきりになったせいで父親が働けなくなり、アルバイトになりました。コロナのせいでシフトが削られて、収入が15万円から12万円になってきついです。そういったいわゆる低所得の家庭なのですが、子どもは4人いるのですと。子どもがいっぱいいて病気なのに、何で4人目を産んだのと言われそうで嫌だ、子どもを産んでから病気になったのにと。周囲からそういうふうに見られるのが嫌だというふうに言っている。そして、難病で恥ずかしい病気だから知られたくないのです。かっこ悪いと。自分が病気であるというのは、基本的には恥ずかしいことでも何でもない、そういうはずなのですが、非常にそれに対してスティグマというか、心の負担をお持ちである。この辺の民間支援団体につなぐとかしないでくださいと、自ら支援につなぐことを拒否する。保育園のママ友が区役所にいて、自分の状況を知られるのは怖いですと。ただ、勇気を出して役所に行ったのだけれども、そもそも子育て世帯向けの食品支援はやっていないと言われ、ホームレス向けの食品支援を3日分しかもらえなかったということで、支援のミスマッチも起きている。
 ここで見られるこの事例は、実は結構典型的な事例です。こういう事例はよくある。つまり、本当に困っているのだけれども、困ってますということを言いたくなかったり、言う先の行政機関に対して不信感を持っていたり、知られたくなかったりという恥の意識が強いという、本当に典型的な事例になっています。こういったことで、政策というのは届かないということがあります。
 次をお願いします。ここまでは課題を見てきました。では、どうしていけばいいのかということで、政策を届けるために必要な政策アウトリーチということだと思っています。2つのアプローチがあるかなと思っています。G to R(Government to Regions)、自治体向けのアプローチと、G to U(Government to Users)、住民、利用者向けのアプローチです。
 次をお願いします。まず、Government to Regionsを見ていきたいと思います。自治体向けにどうしたらいいのかというところなのですが、自治体は思いの外、国が何をやっているかということをよく分かっていなかったり、理解していなかったり、そんなに情熱を持ってやろうとは思っていないという現実をまず把握する中で、国から発表された制度情報をニーズのありそうな自治体関係者にメール送信など、プッシュ型で教えてあげるということを、厚労省さんのお力もお借りしながら実は我々のこども宅食でやらせていただきました。例えば、全国自治体に朗報ですと、こども宅食予算事業継続と政府備蓄米提供が決定しましたということを、わざわざ送ってあげるということをしました。
 次をお願いします。さらに、オンライン勉強会というものも自治体担当者向けに行いました。そこのオンライン、Zoomなどで、厚労省の担当者をお呼びして、この事業はこんなものです、実は使いやすいです、全然面倒くさくないです、要綱はテンプレートもありますし、ここでこうやってやれば対象はこうでなど、こういったことを全部説明して、それを見ていただいて、ではやろうかというふうに言っていただく。さらに、全国の自治体共通で議論になる、対象者はどう設定すればいいですか、どのような規模でやればいいですかなど、あるあるな質問に対しては、ちゃんとポイント解説の資料も作って、アップしておいてあげて、これを使って上司を説得してみてくださいということを御説明しました。さらには、要綱を作るのが面倒くさいからやりたくないと自治体は言うのです。それは、テンプレート及びこの各自治体の要綱の比較表まで作ってあげて、ここを見て自分の所と規模感が合った自治体のものをぱくってくれればできますよというところまで手引きしてあげる。そういったことで、自治体というのはようやくやろうかなとなってくるということがあるわけです。
 次に、G to U、Government to Usersです。住民の皆さん、利用者視点に関してやはりユーザーファーストの視点で、分かりやすい、情報のアクセスビリティを高めていくということが必要です。利用申込みはできるだけ簡素にして、手間・負担が少ないような形にします。こども宅食の場合は、LINEで申し込めるというふうにしています。よく行政の人に、紙でないとLINEを持っていない人がいますからなどと言う方がいらっしゃるのですが、紙の行政サービスとLINEでの申込みというと、LINEのほうが圧倒的に申込み率が高いです。これはやってみて分かりました。そういう意味では、実はデシタルツールのほうが多くの人に使っていただけるということがあります。
 次をお願いします。先ほどもお話がありましたが、できる限り分かりやすいようなデザインが大切です。これは宮崎のおたすけまんぷく便なのですが、すごくかわいくて分かりやすいという形です。こういうもので、すごい行政の文字文字したというものよりは、こうした分かりやすいデザインにしてあげるということが大事です。
 次をお願いします。LINEなどで情報配信をプッシュ型で行うということが大切なのですが、行政の資料の文字をそのままコピペすると大変なことになるので、こうしたメニュー画面を作ってあげるなどして、見やすく分かりやすくする、写真や画像などを活用する、絵文字なども使うわけです。行政だとなかなか使いづらいかもしれないのですが、そうした形で心のハードルを下げてあげるような、そういった取組が必要です。
 次をお願いします。ただ、デジタルだけだとなかなか限界もありますので、現場では例えば食支援でつながった困窮家庭に対して、養育費の手続や次の支援が必要であれば、そこでつないでしまってサポートしていくということをしています。また、進学時期の子どもがいる家庭には、奨学金の締切の連絡や書類の準備に困っていないかなど、相談員が電話でフォローしてあげるということもしています。ここまで追い掛けていって、どうですかという形で言ってあげるということが非常に重要です。申請の支援ということが大切だなというふうに感じています。
 次をお願いします。まとめます。政策アウトリーチがとても重要です。2つのパターンがあって、G to RとG to Uです。それに対して、このプロジェクトチームで、是非次に一歩進めるためのモデル事業を御検討していただきたいと思っています。今、政策アウトリーチという概念は多分日本でそこまで広がっていないと思います。基本的には政策、予算というのは、国でぼんっとやったら自治体がやってくれて、ユーザーに自然と届くというような幻想を我々は持っているわけです。ですが、実際は8割から9割は届いていないのではないかというようなデータも出てきている。だとすれば、届かせるということをしていく。ビジネスにおいて、商品をマーケティングして買っていただくというように、政策を買ってもらうための営み、それをやっていかなくてはいけません。しかし、それがまだ霞ヶ関や永田町の中では一般的ではない。だとするならば、まずはモデル事業をやってみて、せっかく作った政策が使われないままになっているのではなく、こういう形で使われるようになるのだということを見せてあげる必要があるのではないか。ということで、例えばモデル事業案ですが、新規性の高い事業についての理解を深めるために、地方自治体や民間団体向けのリモート勉強会を開催するというような立上げ支援事業、あるいは現場の負担を下げていくために、デジタルを活用して、自治体が作成する事業要綱案を自治体横断で共有するというような業務効率化推進事業など。
 また、ユーザーに対しては、例えば社会的養護の話を先ほど小室さんが出されました。あの子たちと話して本当に私もびっくりするのですが、たくさん制度があって、使える奨学金もあって、でも全然知らない。なぜならば児童養護施設にインターネットが通っていないから。あるいは、スマホを持てなくて、バイトをした子だけスマホを持っていて、そのスマホから一生懸命見て口コミで教えてあげるというようなことをしている。やはりそういった子たちに対して、この支援情報をちゃんとコンテンツ化していって、全ての児童養護施設に行ってちゃんと紙を配ってあげたり、説明会をしてあげたり、Twitterで教えてあげたり、そういったことをしていくというような事業。あるいは、ひとり親の方々に対して、しんぐるまざあず・ふぉーらむさんなど、いろいろな支援団体さんがいるので、そこからLINEでどんどん流していく、こっちからプッシュで流していく。役所の窓口にチラシが置いてあることもいいのですが、いろいろな支援団体さんがいるから、とにかくその人たちからプッシュで送る。あるいは、生保に関してもサポートしていく、申請同行をしていくというような福祉サービスの利用促進事業など、そういったような事業をどこか小さくてもいいのでモデル事業として行って、成果を出して、それを横展開していきましょうということができたらいいのではないかというふうに思っています。以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございました。今回、もともと出発点として、コロナ対策に厚労省が様々ないい政策をやっているのですが、なかなかユーザーに届かないという話がありました。これまでGovernmentやUsersのところはかなり議論していたのですが、実は途中で基礎自治体経由なり、NPO等の民間団体経由なり、ここに届けてやってもらわないといけないです。ここは余り議論していなかったので、そこまで議論できればいいかなと思いました。基礎自治体は、政令市のような所から町村みたいな所がある。ところが、結局行くのは同じような形で、それを使うためには同じようなものを用意してやらなくてはいけない。そういう意味では、駒崎さんが言ったテンプレートのようなものを用意するのは、すごく大事なことかも分かりません。
 それでは、ここで5分、背伸びタイムで休憩しようと思います。終わったら、厚労省の説明、あるいは小室さん、駒崎さんの御説明を踏まえて、御意見を全員に伺うようにしたいと思います。小室さんと駒崎さんには、一番最後のところでまた御意見を伺うようにしたいと思います。今、3分なので8分ぐらいから始めたいと思います。5分背伸びしていただいて、ここは少し空気も入れ換えたいと思います。5分休憩でよろしくお願いします。
 
(休憩)
 
○佐藤座長 それでは、先ほど御説明しましたように、委員の皆さん全員から、まず一巡目は御意見を伺えればと思います。駒崎さんと小室さんは最後にという形ですが、名簿順で、まず一巡目は全員に御意見を伺いたいので、3分程度でお願いできると有り難いなと思います。それでは金子さん、お願いいたします。
 
○金子恵美委員 まず、岸本審議官と小澤課長からは施策の御説明を頂きましたし、また小室さんと駒崎さんからは提案を含む大変興味深いお話を頂きまして、ありがとうございました。多岐にわたる分野の話ですので、3分で網羅的に言及するのは非常に難しいのですが、二巡目があるかもしれないということで、まず一巡目は2点だけ。
 職場における女性支援策なのですけれども、コロナ禍に限らずですが、女性活躍に関しては安倍政権以降、非常に取組が進んだと私は思っています。この前、そのジェンダーギャップは120位という順位が発表はされましたけれど、他の経済、政治が足を引っ張っているわけです。女性活躍推進法が施行されて以降、企業も努力をされて、今日の資料にもありましたけれども、いわゆる女性管理職の割合は非常に指数としては上がってきているというふうに私自身は思っています。ほかの国と比較したら見劣りはするものの、日本は日本なりに努力してきているようにも。ただスピード感が遅いというところは問題だと思いますが。
 両立支援の中で、両立支援の取組に見える化というお話が先ほどありました。この見える化に関しても、ある人事の方のお話によると、先ほどの経営者が「しーん」となったくるみんとかもそうですけど、勤めている人は、自社の取組に意外と意識がなくて、関心もなくて、知らないのですけど、学生の会社選びにおいては、非常に面接の中でもこのワードがよく出てきて、「えるぼし」とか「くるみん」とか、それを取得している優良企業というのが判断基準の1つになっているというふうなお話があります。ですから、ただ称号で終わっていなくて、しっかりと効果的に活用されていると評価できると思います。
 しかし、私自身が一番気になっているのは、資料のスライド10です。やはり男女間の賃金格差です。後で、ここはもう小室さんから是非お聞きしたいと思うのですが、先ほどの正規雇用も増えてきたという中で、賃金格差の理由としてよく非正規雇用が多いということが言われますが、それ以外の部分で、例えば管理職は増えたけれども、相対的に地位や処遇が高い管理職は男性が占めていて、言ったら悪いですが、それよりも低い地位、処遇の女性管理職がいるのではないかと。従来のその管理職とは異なる、なんちゃってと言ったら変ですけど管理職、管理職相当職の管理職がいるのではないかということです。組織内でのジェンダーヒエラルキーが余り変わってないという識者の指摘があるので、この実態がどうなのか、小室さんに是非お聞かせいただきたいですし、それを踏まえて、表面的な数値目標の達成も大事なのですけれども、管理職何人とかいうだけではなくて、やはり、ここからはもう実態にも、その中身にも目を向けていくべきではないかなというふうに思います。
 もう一点が不妊治療であります。これは本当に仕事との両立で悩んでいる方が周りにも大勢いますし、正直私も実はその1人でもあるのですね。その回数であるとか、先ほど日程の調整という話もありましたし、非常に今クリニックが混んでいて、待ち時間が1時間、あるいは掛かるときは3時間掛かったりする、そうすると、会社勤めの方々は、その時間だけ抜けるというのは本当に難しい。労働環境、職場の理解がないと専念できないというふうに言われています。また、スライド15の中で、職場で使えていない理由として、治療していることを知られたくないということとか、周囲に気遣いをしてほしくないというのが上位にあります。これは確かに極めて個人的で、センスティブな話題、問題だとはいえ、人によっては本当に知られたくもない方もいるかもしれないですが、私の周りでよく聞こえてくる声というのは、育休のときと同様で、やはり何か個人の都合だろうとか、個人の事情だろうという声が会社の中である。あるいは、その人事評価にも関わってくるということもあって、隠さなくてはいけない社会全体の雰囲気がまだあるということなのですね。そうなると、これは育休もそうですけれども、不妊治療は個人だから手をつけちゃいけないみたいなふうにしていると、いつまでも本当に変わらないのではないかなと私は思っています。
 皆が協力してサポートして、国の宝である子どもたちを増やしていくという空気感であるとか、もう今や不妊治療は特別なことではないという雰囲気づくりというのを醸成していくのは、これは政治行政の役割だと私は思っているのです。事実、スライド16にもありますが、不妊治療への国民・企業の理解を深めることを行政に望んでいるわけですから、ここだと思っています。菅政権が発足してすぐに、この不妊治療の話題が挙がったことは非常に良かったと思っているのですけれども、この理解促進のところで制度を見ると、事業主向けのシンポジウム、セミナーと、これは余りにも限定的すぎると私は思います。シンポジウムをやるのであれば、かなりお金も掛けるわけですから、むしろプレスリリースを打ったのかどうかということも聞きたいですし、社会全体に広げていく話題にもうしていかないといけない時期だと思っているのです。確かに個人の問題だというところも、守らなきゃいけないところもありつつ、マス媒体に対してアプローチというか、切り込んでいく、巻き込んでいくというのがあってもいいのではないか。そうしないと、オープンにしやすく、職場でも宣言しやすい環境作っていかないと、両立の実現はとうてい難しいと考えています。認知されなければ理解されるはずがないので、メディアへの仕込みというのもちょっと考えていかなきゃいけないと思います。
 最後なのですが、子ども家庭局です。スライド20にあるのですが、不妊治療の流れです。ここの中で、出産年齢がもう高齢化している中では、出生前診断というのも必要になってくるプロセスだと私は考えているのです。倫理観的な問題というのはあるのですけれど、一方で妊婦の希望も非常に多くなってきているのは事実なのです。現在NIPT、新受診型出生前診断に関しては、厚労省の中での専門委員会で御議論されていると承知していますけれども、NIPTをはじめとして出生前診断も、このフローの中に是非入れて、セットで考えていただいたほうがよいのではないかと。政治的なアプローチも必要なのですけれど、その視野に入れていくことが大事ではないかなと思います。長くなりました。以上です。
 
○佐藤座長 最初にあった賃金格差のは、職場における女性支援策の10ページにあります。岸本さん、10ページをちょっと説明しますか。
 
○岸本内閣官房内閣審議官 男女間賃金格差については、いろいろな分析がなされておりますが、日本の男女間賃金格差の要因は、その大きなものの1つは男女間の勤続年数の差、もう1つは管理職割合の差だと言われています。管理職割合は徐々に改善はしております、スライド9にありますとおり改善はしておりますが、国際的にはまだ低いです。若干留意が必要なのは、国際的にその管理職の定義が違いまして、日本はかなり管理職の定義が狭めです。部下が9人いないと課長と認めないので。結構な会社でも部下が5人の課長さんはいらっしゃると思います。なので、ちょっと狭めなのです。ただ、そこは研究者の方がやっているのですけど、調整して取っても、日本は先進国の中でやや低めだと言われていますので、改善が必要なことは間違いないです。
 勤続年数格差については、やはり圧倒的に出産・育児でもって仕事を辞めざるを得ない方が多いことが原因で、そこは育児休業政策を中心とする、そういったことで仕事を続けられる政策を進めていくことが、千里の道も一歩からというか、やっていくべきことだと思います。幸い若干よい傾向としましては、第一子出産前後で仕事を辞める割合が、以前は育児休業法とか何をやっても半分超である、変わらないと言われていたのですが、2000年代半ばに入ってくらいからだんだんそこが下がってきております。今はまだ5割なのですけれども、50数パーセントが第一子出産前後で仕事を辞めなくなっているという傾向があって、これは何だかんだ言って、その育児休業政策をはじめとする政策にもちょっとずつ効果出てきているのかなと思っています。それを継続していきたいと思いますし、今回の国会にもう出しましたので、後は国会の御判断ですけれども、男性育休取得促進の育休法改正を出しておりまして、そういったものを後押ししていきたいと思います。
 管理職の定義の違いはあるのですけど、いずれにせよ日本の管理職割合が低いことは多少補正しても間違いがなくて、正直、先進国、先進国というと日本もそうなのですけど、アメリカでも、例えば同じ部長級でも財務部長は何となく男のイメージがあって、人事部長は何となく女のイメージがあるとか、そういう性別分業はなくはないのですが、ちょっと日本はそこまでもいってないというのが現状だと思います。男女雇用機会均等法が出来て、企業が総合職女性採用をし始めて、最初は努力義務ばかりの規定でしたので、義務規定に移行しています。
 
○佐藤座長 ちょっと長いからいいかな。すみません、いろいろ聞きたいのだけど。ここにあるような形で、今、岸本審議官に御説明いただいたように、勤続年数と管理職のところが大きいので、そこはかなり改善が進んできているというふうに思います。勤続年数のところは、この育介法の改正でかなり有期の人も取りやすくなるかなと思います。すみません、途中で止めてしまって。それでは、続きまして菅井さん、お願いします。
 
○菅井利雄委員 PR会社の視点でちょっと申し上げたいと思います。まず、今日は小室さんと駒崎さんの話を聞いて、いろいろと私も参考になることありました。私も経営者でございますので、先ほどの経営者、トップがコミットメントするという考え方は大事だと思いますし、その辺をどうやって知らせていくのかというのは、経産省に任せるのではなくて、やはり厚労省も動かなければいけないのではないかなと、私もそこは同意です。
 あと、自治体についても先ほど駒崎さんから話がありましたが、自治体への情報伝達、自治体さんもかなり学習はされていて、それぞれで独自の施策を打ち出されているというような状況があります。その中で、自治体さんがワンストップで子育て、育児についてやっていかなければいけないということで最近やっているのは「ネウボラ」と呼ばれる仕組みです。今回、その話は厚労省さんから出なかったので、ちょっと管轄が違うのかもしれないのですけれども、今、自治体のほうではネウボラの導入というのがかなり進んできていて、今年重点的にやっていこうという所も出てきています。東京都内でも、ある区役所さんなどは、かなりこれに力を入れて、この子育て支援ということをしています。ただ出産から子育てだけではなくて、就学までを一貫して対応していくという制度で、フィンランドで始まった制度を日本版に置き換えて、各自治体さんが今取り組み始めているというのが実情のようです。その辺を厚労省がどうやってつないでいくのかというのは、私も今回の話では見えなかったのですけど、これはまた1つの問題提起というか、課題提起という形でさせていただければなと思います。
 あと、フィンランドの話につながって申し訳ないのですけれども、DVの話も今回ございましたので。実はフィンランドはDVが結構多いのだそうです。これまで多かったのです。皆さんもちょっと不思議に思われるかもしれませんけど、実は多いのです。それを何とか防ごうというようなことで、いろいろと啓発本を作られています。今日持ってきてしまったので、パラッと見せますけれども『PAPA CARD』という、こういう小冊子で、幾つか分かれていて、4冊パターンになっていますね。これは、ネットで皆さんもいけばダウンロードできます。こういった小冊子を作られていて、日本でもこれを導入したらどうだということで、日本精神科看護協会のほうでこれをブック化して、もう自治体さんのほうに導入してもらったりして運用が始まっているそうです。中身はすごく分かりやすいです。初めてお父さんなる方に対して、これからどういうふうに生きるべきなのかということを、すごくエモーショナルな形で書かれている。お父さんが、自分がこれからお酒を飲むので気をつけなきゃとかいうことを、この本を通じて学ぶというふうにされているそうです。
 今回の情報もなかなか伝わらないということが1つのテーマにはなっていますけども、そういう厚労省さんから発信していく情報も大事ですし、こういった日本精神科看護協会さんのように、裾野でやってらっしゃる所もありますので、こういった所ともうまく連携をして、できる限り生活者の啓発型の広報を考えていってもいいのではないかなというのは、今日お話を伺っていて感じました。この辺で、私は以上でございます。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございました。一番最後のフィンランドのパンフレットは、私も見せていただきましたが、よく出来ています。多分日本もやっているのですよね、さんきゅうパパプロジェクトとかイクボスの。だから、本当はこれは今日やる必要はないのです。それと、どう作り方が違うか、なぜ伝わらないのかみたいなのをやってもいいのかも分からないなとは思っています。それではトラウデンさん、お願いします。
 
○トラウデン直美委員 今回、テレワークに関する話と、DVだったり子どものお話だったりがあったと思うのですけど、テレワークが進んだこと自体はすごく良かったなと思います。私自身は便利な部分がとても多いなというふうに思うのですけれども、聞く話では、やはりテレワークで家にいることが多くなったことで、パートナー同士のストレスが増えた事例だったり、それが原因でDVにつながってしまう事例だったりもあるということなので、テレワークは推進しつつ、でもテレワークよりも出社したほうがいいというふうに感じている人たちは出社するなり、若しくはレンタルオフィスみたいな形もあるから、そういった所を利用する。そして、そこを使った領収書なりで、会社を通じてなのか、そういったところで支援という形もあるのかなと、ちょっと浅はかな考えかもしれませんけど、そういうふうにも感じました。
 やはりテレワークになることで、ほかの人がどういうふうに働いているのか、見えにくくなる部分というのもあるのかなと思っています。ほかの人がどのくらい働いているのか、家でどれくらいしているのか分からないから、夜中まで働いてないといけないという感覚になる人も、もしかしたらいるのかなというふうに思いました。そういった意味で、家の中でテレワークしている人たちがどんな時間帯で働いているというのを、もう少し分かるようにして、こんなに遅くまで働かなくてもいいのだという、何て言うのですか、足並みを揃えるような傾向が日本には結構多いかなというふうに思えるので、そういう部分で見えるようにするのもいいのかなというふうに感じました。
 そして、ここの部分で、子育てをしている人たちの家庭、子育ての状況というのにも同時に理解を深める必要があると思います。仕事をしている以外の時間で、子どもが何人いて、どういうふうに向き合っているのか、送り迎えが何時で、どういうふうにという理解が進まないから、時短にするときに、さぼっているのではないかというような感覚になるのかもしれないなと思います。私は子育てをまだしたことがないので、どこまでかはちょっと想像になってしまうのですけれども。そういった部分でも子育てというのは、多分それぞれだと思うので、何人いる、子どもがおとなしい子なのか、すごく活発な子なのかということでも多分変わってくると思うので、そういった意味で家庭の状況を理解してもらえるような制度、システムというのがあってもいいのかなというふうに感じました。
 あと、これは今すぐにはもしかしたら難しいかもしれないですけど、やはり地域コミュニティの存在というのが、すごく大きいのではないかなと思っています。急に子どもを預けなくてはいけなくなった、30分だけでいいのだけどというときに、地域のコミュニティに「ちょっと30分だけ預かってもらえませんか」と言える環境作りというのは、時間は掛かることだとは思うのですけど、していったらいいのではないかな。昔はあったようなことをもう一回、そういう状況を作ってみるというのも、必要なのではないかなというふうに個人的に感じました。私からは以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございます。それでは西田さん、お願いいたします。
 
○西田亮介委員 東京工業大学の西田です。4点申し上げたいと思います。今回の御説明に当たって、特例を含めて多くの支援があるということとその手厚さ、きめ細やかさに改めて驚くものでした。それと同時に、対象者に届いているかどうかというところ、理解されて利用される状態になっているかという点疑義が残るとも感じました。
 その一方で、ともすれば発信というところに注目されすぎだということも、1点指摘しておきたいと思います。生活者に情報取得行動をきちんと意識づけさせる、学習させるということも重要だということです。有事や困ったときに、どこを見ればよいのかという、その情報取得行動を定めて、困ったときにはとにかくここを見ればいいのだ、このウェブサイトに行けば情報が集約されているのだということをきちんと学習させていくということも、また必要だろうと思います。省庁にせよ、自治体にせよ、有事の際には新規のサイトを立ち上げて、そこに誘導しようとしがちです。そうするとゼロから誘導しなければいけないというところがあるため、認知がどうしても広がらない。特に、急いでリーチさせるというのがとても難しいというところがあると考えています。その意味では、コロナで困ったことがあればここを見ればよいのだということを定め、現状の内閣官房のコロナ対策のサイトは良くまとまっている印象ですが、それをオンライン、それからマス、ソーシャル等を含めて連携させながら、情報にたどり着く導線を定めていくことが、中長期では必要なのではないかと思います。
 それから、このコロナの問題というのは、やはり特殊な性質があると思います。マクロのインパクトということで言うと、過去の有事等を比べて見て、それほど大きいとは言い難いというところもあります。特に、厚生労働関係で言うと失業率でもそうですし、有効求人倍率などもそうだと思います。しかし、ここでも議論になっているとおり、女性や子ども、特定の家族形態、それから特定の産業、雇用、そういった事情等については大きなインパクトが出ているというところがある。家計急変もそうかもしれません。これは、要するに誰も何が起きているのかを現状では十分把握、理解できてないのではないかという懸念です。そういう意味においては、初動においては矢継ぎ早に政策を出していくということも必要であるのと同時に、コロナが広がって一定の期間がたっているということを鑑みても、もう既に調査の事業が走っているものと思いますが、多角的に調査をしながら、施策に反映していくということも必要になってくると感じます。やはり最初は、特例でもいい、前例のない大胆な施策というのが求められる一方で、最近の厚労関連の事業で言うと、雇用調整助成金についても不正受給の疑惑などが報じられているとおり、やはり現実に即した支援の制度、仕組みを出していくことが、重要になってくるのではないでしょうか。
 それからもう一点、事業者との連携という話も出てました。ただ、日本においては、事業者との連携はかなり効果が薄いのではないかということも危惧しています。この間、テレワークも、コロナに即した働き方の変更も、日本において十分に進んでいるとは言い難いところがあるのだと思います。その意味においては、事業者についての連携も重要なのだけれども、ほかの主体からのアプローチも必要ではないかと考えます。ほかの主体というのは、職場関係で言うと、やはり労働組合の役割というのは欠かせないでしょう。とりわけ日本においては、労働組合の加盟率は16%前後だと記憶しておりますが、労働者が困ったときに相談する主体としては、一定の認知を得ているものだと考えます。連合等を含めて、労働組合との連携強化というのは、この間やや薄まっているような印象も覚えますので、より一層強化していくというやり方はあるのではないでしょうか。
 それから、アウトリーチの問題もあります。アウトリーチの問題というのは、国が直接実施すると、ここでも議論が出てきたように、やはり効率や効果に疑問も残るところがあると。むしろ自治体ごとにユニークな施策はたくさんあるので、それらグッドプラクティスを集約して、自治体にフィードバックしていくというやり方もありえるのではないでしょうか。そういったフィードバックについては十分に行われていない印象を持っておりますが、例えば千葉市でLINEを活用してプッシュ型で対象者に情報を通知していく「あなたが使える制度お知らせサービス」などがありますが、全国にどんな広報広聴、アウトリーチの取組があって、どんな課題や工夫があるのかなどというのは、それらを集約しながら使える形でやっていくというのは、省庁の役割なのかなと考えます。長くなりましたが、以上です。
 
○佐藤座長 先ほどの駒崎さんの話に自治体経由でというのがあったように、今の西田さんの話で、労働組合を通じてというのは余り議論されてこなかった。確か個人単位の組織率は落ちているのだけど、組合がある企業の割合というのは実はそんなに落ちてないのです。組織単位の組織率というのはそんなに落ちていない。大企業でも有期の人が増えているからなのだけど、正社員の組合はあるので。そういう意味では、労働組合を通じてというのは検討してもいいかなと思いました。
ハイヒール・リンゴ委員さん、お願いします。
 
○ハイヒール・リンゴ委員 ハイヒール・リンゴです。今まで思ったことが2つあって、資料が多い。それと西田先生の後ろの本を整理したい。
 
○西田委員 バーチャルです(笑)。
 
○ハイヒール・リンゴ委員 バーチャルなのですか。私はすごくそれが気になって、汚いなと思って。
 
○佐藤座長 古市さんみたいに。あれは本当みたいです。
 
○ハイヒール・リンゴ委員 古市さんのは本当なのですか。古市さんは、でも、そこそこきれいです。失礼しました。時間がないのにそんなことを言ってしまいました。
 私はいろいろと勉強になることも多くて、私の立場で言うと、ここで学んだことをいろいろな場所で発信していくことが1つの仕事だと思っているのですが、ただ1つ、ちょっと金子さんとかぶるのですけれども、不妊治療を15年やった人間として、やはりもうちょっと何とかならないかなと思うことがあります。資料によりますと、先ほど金子さんもおっしゃいましたように、通院回数や精神面や仕事の調整がつかないということが、非常に仕事との両立を阻んでいると。
 この通院回数というのは体験したことがない方は分からないと思うのですが、先ほど先生がおっしゃいました1回行って3時間待ってと。卵胞のことなので、前の日に注射しました、「余り大きくなっていませんね。では、もう一日。明日また来てください」と、すごく簡単に言われるのです。「えっ、今日来るのもすごく大変だったのに」と。「明日また、えー」というような話だと思うのです。このことによって働いている方は柔軟な休日体制をもらいたいと、これは本当だと思います。私の場合は「1年半お休みをさせてください」とはっきり言ったときに、その当時の在阪の放送局のトップから、「それはあなたのわがままです」とはっきり言われました。でも、「はい、わがままを言わせてもらいます」と、私は強い女なので言い返しましたけれど、やはりそのときに結果を残さなければというプレッシャーはすごく感じたのです。
 もう1つ、会社とか行政に求めているのは、国民とか企業の方の理解を得てほしいと。理解を求めるということなのですが、これは本当にそう思うのですけれども、会社、行政両方ともにお金の支援をしてほしい。いろいろな支援策を先ほど厚労省のほうから、引き上げたとか、上限をなくしたとかと言っていたのですが、支援も必要だと思うのですけれども、体験者として治療費の透明化をもっと厚労省に促してほしいのです。
 治療費は病院の言い値です。だから、自分の先生に良くしてもらいたいと思ったら、「30万です」と言われたら30万出すし、「20万です」と言われて、ここでキャンセルしても、「ここでスタッフはスタンバイしていたのだから、培養液があるのだから、だから掛かるのです」と言われたら掛かるのです。でも、「いや先生、高いです」は、やはり言えない、自分を優遇してほしい、これでもし駄目だったら、また次にやらないといけないというものがあるから。やはり支援も大事ですが、治療費というものをもう一度、厚労省の目から見直していただいて、各病院・クリニックに指示又は指導、ガイドラインを出すというのをやってほしいと切に思います。
 私たち体験者とか、体験する予定の方の中で、資料によりますと、不妊治療していることは知られたくない、これもちょっと金子先生のお話とかぶるのですが、周囲に気遣いをしてほしくない、不妊治療がうまくいかなかったときには職場に居づらいというような意見がやはり挙がってくるのですけれども、ここにちょっと、他人には周知してほしいけれど、自分のことは知られたくないという、その人間のわがままと言えばわがままですが、そういうのが透けて見えるのです。私たちみたいに不妊治療の部分を終えてしまった人間は声を上げられるので、そういうところとうまく擦り合わせて、私たちの声として上げられるような何か、コミュニティみたいなものがあればなと思いました。
 その中の1つとして、不妊治療連絡カードというものを厚労省が作っておられるというのを資料で拝見しました。これが1回改定されているそうなのですが、これはどれがどのように改定されたのか。事業者に提出する資料なのですけれども、この資料をどのように出すのか。この中の「不妊」という言葉、この「不」という言葉が適切なのかみたいなこともちょっと考えて、確かに「不妊治療」と言うと分かりやすいのですが、それを企業側に出すときに「あー」という、その目が嫌で出さないという。特にこの左側半分を出すとしたら、左側半分は割と生々しいことを書いてあるのですよね。だから、ちょっとその辺の目線も考えていただきたいと思います。
 多くの体験者が治療を終えて子どもができたときに、ほとんど全員が「私が欲しかった子どもは、こんな子じゃない」と言うのです。育てるのが大変だから。不妊治療が終わって子どもを産んだら終わりではなくて、そこから社会の中で育てていくということがすごく大事で、だから、そこの部分、この中の資料でいっぱいリンクしているところがあるので、私はすごく勉強になりましたし、是非これをいろいろな所で広めていきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございます。では古市さん、お願いします。
 
○古市憲寿委員 リンゴさんはリモートでも声の大きさが分かって、すごいなと思ったのですけれども。
 
○ハイヒール・リンゴ委員 うるさいわ。
 
○古市憲寿委員 今日、話を聞いていて、この会議の原点ですけれども、やはり助けてというのは勇気のある人しか言えないことなので、そこにいかに寄り添うかということが大事かなということと、あとは駒崎さんもおっしゃっていたスマホがない人、インターネットがない人に向けて、いかに情報を届けるかということの大事さを認識しました。
 とはいえ、ほとんどの人はスマホとかネットがある状況だと思うので、それを前提に1個お話すると、やはりどこを見ればいいかということが分かりにくいというのがすごくあると思っています。それは西田さんもおっしゃっていましたが、やはり厚生労働省のホームページは、ほかの国土交通省とかとは別だと思うのです。国交省のページを一般の人で見ようと思う人はなかなかいなくて、目的があって見る人が多分ほとんどだと思うのですが、やはり厚労省のページというのは何かの支援が必要でという方が見る場合が多い。厚労省のホームページを見てみると、1ページ目は結構頑張っていて、生活でお困りの方への支援とか、子ども・子育ての支援とか、ちゃんと一応そういう表記はあるのですけれども、でも、それで1回クリックしてみると、実際はちょっと難しめのマスコミ向けのプレスリリースであったり、公募であったり、多分、一般の人から見れば、ユーザー目線からすると、ちょっと難しいような情報がバッと並んでいるのです。
 だから、やはり本当にここのページを見れば全部が載っていますと、ひとり親支援からハラスメント支援からコロナから、そういうものがここを見れば大丈夫ですというようなホームページが1個あればいいのではないか。コロナにはありますが、コロナ以外でもそういうポータルサイトみたいなもの、それは多分、厚生労働省のページが良くて、というようなものを考えたほうがいいのではないのかなということは思いました。
 例えばハラスメントお悩み相談室も今日ありましたが、それも確かに試みとしてはすごいのですが、では、そこに電話すると具体的に何をしてくれるのだということが書いていない。何か情報の過不足が多いというか、分かりやすいと言えば分かりやすいのだけれど、逆に情報を削ぎすぎていて、では、そこで何をしてくれるのだ、この電話をすると具体的に何が自分に得られて、労基局とかとつなげてくれるのかとか、そういうことも書いていない。だから、何か情報のバランスみたいなものを全体的に考えたほうがいいのではないのかなということを思いました。
ちょっと広報から外れてしまうかもしれないのですけれども、小室さんの御報告に関しては、コロナ後もいかにリモートワークを維持できるかみたいなことを考えなければいけないのだなということを改めて思いました。逆に、どうしたらコロナ後もリモートワークを維持できるのかみたいなことを、ちょっと疑問として思いました。
 あと、駒崎さんの話に関しては、今日の発表からもちょっと外れてしまいますけれども、御専門で言うと出生数が2020年は激減しました、本当だったらリモートワークが進んで、ワークライフバランス的には家族の時間が増えたはずにもかかわらず、家族の時間が増えたのに、少子化は止まらないと。では、このコロナ時代の少子化対策として何ができるのか、若しくは広報として何ができるのかみたいなことは、1個思ったところです。以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございます。確かに少子化、結婚、出会い、その辺のことも大事な点かなと思います。三浦さん、お願いします。お待たせしましたが。
 
○三浦瑠麗委員 ありがとうございます。厚労省の管轄というものに、いかに縛られているかということは、この会議に参加するたびに思うことなのです。厚労省は、やはり福祉の行政をつかさどる所ですので、福祉の発想に立って、自分たちの管轄で扱える人をなるべく極限まで助けようという志は、いろいろな施策から感じられますし、多少混み混みすぎるプレゼンテーションに問題があるとはいえ、やはり、そこは伝え方の問題ということになってくると思うのです。
 ところが、ある意味8割に入れない人たち、厚労省の管轄の中にある6割とか8割に入れない人たちにとって、どのように映ってしまうかということは、やはり国として考えていかなければいけないと思うのです。1つ例を出します。このお配りいただいた資料ですが、ありますか。母子健康手帳の任意様式の87ページを御覧いただくと、例えば私が妊娠したとしましょう。そして、絶対にみんな妊婦が取得するこの母子健康手帳を手にすると。
 母子健康手帳に、いろいろな情報を書き込むことによって、例えば予防接種が滞りなく全ての子に届いたり、そういうすごく大事な情報共有のシステムだったわけですよね。この中で、要は雇われていない、専業主婦でもない、例えばフリーランスとか自営業とか、実際には雇われているのに近いのだけれども、実態としては雇用類似のフリーランスだったり、そういう人の立場に立ったときに、何にも役に立たないなと、すごく思ってしまうと思うのです。
 だから、ここはやはり厚労省が進んで各省庁、例えば内閣府とかいろいろな所と連携しながら、書きぶりをどんどん変えていく提案をしていくべきだと思います。つまり、「雇用されているのが当たり前」というように書いてしまうと、では、フリーランスの人たちはどうなのだと。5%から10%とも言われていますよね。この人たちの中の女性で、30代までにフリーランスに転じる率というのは、男性よりも圧倒的に高いのです。そうすると、ちょうど子育て世代です。この人たちが、では、いきなり子どもができてしまったと、そういう不測の事態みたいなものに直面したときに、母子健康手帳を支給されて最初に思うことは、「ああ、私はどうすればいいんだろう」ということだと思うのです。
 だから、何なら受け取れると。逆に言うと、そこで足りない施策が見えてくると思うのです。例えば、厚労省は既に雇用類似というかの労働者についての検討会を進めていらっしゃると思うのですけれども、そういった各国、例えばドイツとかフランスとかの例に考えたときに、ふさわしい施策というのは既に厚労省としても取り組んでいらっしゃるわけですよね。ですから、コロナを機に、やはりそこの議論は加速させていただきたい。フリーランスの人たちが主にどこで働いているかと言うと、実はかなりコロナで打撃を受けて、緊急事態宣言で人為的に需要を削減されてしまったライフスタイル系産業に就いていらっしゃる率が相当高いわけですよね。だから、そこは議論を活性化させる良いチャンスなのではないかと思います。
 そして、そういった意味で言うと、例えば小室さんにプレゼンいただいた、企業の中での意識改革をどうやって定着・促進させていくかというのは、すごく重要なことで、今後も推進していくべきである。その一方で、では、同じく女性だけれども、雇用されていない人に関してはどうするのだろうかということは、やはり厚労省がどうしても主導して議論していかないと、労働者とみなされないのに、でも実態は労働者であるという人たちが、完全に抜け落ちてしまいますよね。
 先日お聞きしたのですが、企業主導型ベビーシッター補助が、いかにも企業主導型で、雇用されている者向けであるにもかかわらず、実は内閣府の管轄であるということを知って驚愕したのですけれども、例えばそういった自治体が出したり内閣府が出したり、様々な補助金が出ている中で、厚労省として主張できることは何なのか。新しく補助金を出すことなのか。例えば給付付き税額控除みたいな税の根本に関わる仕組みをしっかりいじることによって、不公平感のない、大企業、中小企業、あるいはフリーランスといった境遇の違いによって左右されることのない福祉の仕組みを、自分たちで提言していくことなのではないかと私は思うわけです。
 そういった意味では、例えば専業主婦世帯にも多少配慮しながら、いわゆる教育に関わる分、それから保育に関わる分、ベビーシッターですね、この2階建ての制度にして、額を2段階設けて共働き世帯、片働き世帯という形で控除を考えてみてはどうだろうか。あるいは、厚労省が抜け落ちている視点で言うと、女性社長を今、正に応援しようとしているわけですよね。でも、女性社長が雇用保険に入れない段階で、誰も雇っていない段階で起業して、かつ子どももいたらどうなるのだろうか。なぜ、そのときに彼女が雇うベビーシッター代が、飲みニケーションと違って控除、つまり損金算入できないのだろうか。そういうことを考えていくと、社会の前提が、社長はもう出産年齢でもない男性の偉い人という感覚とか、「1人で働いている人は強いんだから守らなくていいんだよ」とかというような前提に立ってはいないだろうか。普通に考えたら、女性のほうが海外に出て行ったり起業したりするときなのか、フットワークが実は軽かったりするわけですけれど、その人たちは社会で大事な子どもを産む、そしてある程度は育てるという荷も背負ってしまっているわけですよね。それを背負わされて、かつ、そういった階層に関して福祉が届かないということだと、やはり相当程度の問題があるのではなかろうかと。これが、主な私の申し上げたいまとまりです。
 もう1つ、追加的に申し上げたいのは、コロナウイルスで休校措置のときに、休業したときの支援金の発想がありましたが、これは親の支援も大事だけれども、子ども支援が大事ではなかろうかと。私が取り分け、前回も申し上げたように気にしているのが、やはりピルを通じたような望まざる妊娠を避けるための措置というのをしっかり普及させていくであるとか、あるいはそういった知識を、これは文科省とも関わってくると思うのですが、厚労省としてできることは何なのかというのを考えないと、どうしても施策がエリート企業の意識の高い企業にお勤めの従業員の方向けという感じになってしまって、そこからこぼれ落ちる人たちに支援が届いていないのではないかなと思いました。以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございました。確かに母子健康手帳は妊娠した女性全員に渡されるのだけれど、無業の方もいるし、自営の人もいるわけで、そういうことを想定した記載になっているかというのは大事な指摘かなと思いました。
 最後になりましたけれども、森永さん、お願いします。
 
○森永真弓委員 今回、事前に厚労省の皆さんからレクチャーを受けて、不妊とか給付金の話とかを聞いて、周りに結構対象者がいるので、「今日、こういうのを知ったんだけど、知ってるか」という話をしたら、なぜか全員誰も知らなくて、むしろ「えっ、こんなのあるの」と言って、「もっと早く言ってよ」と、「いや、私も今日知ったばっかりだから」みたいな感じになりました。そこで、なぜ届かないのだろうと思ったときに、専門的にはコミュニケーション上の問題をいろいろ考えてみたのですけれども、まず1つは支援対象者に届くまでのコミュニケーションの階層が多い、直接届いていないとか、何々経由、何々経由みたいなことが結構多いなということ。もう1つが、例えば国がやってくれるはずがないみたいなことも含めて、思い込みとか、あるいは何らかの問題で1回批判された後アップデートされていないみたいな、デマみたいな払拭すべき情報が邪魔しているということ。
 それから、本人たちは今、渦中にあるので意外に忙しくて、情報を探せなかったりするときに、大変な状況の本人を助ける周囲の人たちを使えていない。その人たちに届いていないから、「こういう情報があったけれども、知っていますか」と言ってもらえないし、その人たちが知ったとしても、こういうのはあるのかなというように使えるためのサイトとか、何か武器というかツールですね、その情報用のツールがないということが、結構阻んでいるなと。
 それから、先ほど正に御自分でパワポで作りましたということで、お時間のない中、御苦労なことですと、すごく思ったのですけれども、編集力の不足というのは、実は結構重要かなと思っています。生活者が使っている、あるいは民間事業者が使っている言葉遣いに沿っているかとか、情報に強弱があるかとか、情報を摂取するためのストーリー性があるのかとか、世の中の文脈が取り入れられているのかみたいなことに対しての配慮のようなものが、正直なところ欠けているかなと思います。
 それから、媒体選択の優先度間違いというのもあるかなと思います。今、例えば妊娠とか子育てとかの対象者たちが主に使っているサイトというのをデータ解析すると、大体8割9割、下手すると9割5分ぐらいまでスマホベースなのです。そういったときに、なぜチラシが優先されるのかというのもあって、まずスマホ、そしてパソコンではない。画面構成のデザインを考えるときも、パワーポイントやワードで、PCベースで考えていませんかと、まずスマホベースに考えるみたいなことが重要かなとは思いました。
 ただ、これは言うのは簡単で、すぐには改善は難しいと思うのです。そういったときに、1つアイディアとして、厚労省監修ということを増やすことはできないかというのを思いました。例えば、先ほどのハイヒール・リンゴさんの解釈で伝えてくれたら届く人たちが一定数いるみたいなことを考えたときに、では例えば動画で出しましょうと。そのときに、「厚労省オリジナル動画を作って、厚労省サイトに上げるのです」ではなくて、例えばユーチューバーさんとか、あるいは動画漫画を作っている方に厚労省さんがレクチャーして、彼らなりの解釈で作った動画を上げたほうが、よほど聞いてもらえるし、そうすると動画のリンク1つなので、周りのお友達、同僚とか家族が対象者に届けやすくなりますよねみたいなことがある。あるいは、チラシを作るにしても、最近はファッション雑誌とかが広告タイアップをすると、そこだけ抜き刷りで「チラシとして使っていいですよ」という二次利用の契約みたいなものも非常に増やされています。そうすると、オリジナルでチラシを作るよりも女性誌で。例えば今はポイント稼ぎ、ポイ活でお小遣い稼ぎとかをやっていますけれども、対象者によってはポイ活を頑張るよりも給付金を申請したほうが絶対お金が入ってくる場合もあると思うのです。そういったときに、女性雑誌とか経済雑誌みたいなものの概念で、考え方で編集されたら急に伝わりやすくなるのではないかというものに、厚労省監修みたいなものがいっぱい露出すると、いろいろなパターンの人たちに届くのではないかなと感じました。
 あとは1個、別途ですけれども、努力目標、義務目標になっていて、今、義務目標になるまでに結構時間がいろいろなもので発生すると思うのですけれども、そういったものが世の中にいっぱいある中で、コミュニケーションの力でそれをどうにかできないかということを考えるというのは、広告の仕事の現場でよくあります。そのときに、考える論法としては「やらないと損」とか「やらないと恥ずかしい」みたいな文脈を、どうやったら加えられるかということを考えたりすることがあります。
 1つは、先ほども出てきましたけれども、経産省とか経団連といった所、あるいはライオンズクラブとか、いろいろあると思いますが、そういった所にプッシュして下ろしていくという話。それからもう一つが、就職情報サイトでチェックする、いわゆるリクルートさんとかマイナビさんとか、そういった所の項目にチェックが入っている、入っていないというのは結構企業の人事の方は気にされます。全項目にチェックが付かないというのは恥ずかしいなと思ったりするので、そういった所に就職情報サイトとか冊子の方が項目で必須で入れられるようになる、そうなると、急にチェック項目が埋まっていないことが気になる、人事部から経営層に上がるという企業の報告ラインに上がるということが1つ考えられるかなと思っていて、その辺りも検討されたらいかがかなと思いました。私からは以上です。
 
○佐藤座長 どうもありがとうございました。6時に出られる方がいらっしゃるので、それを伺っていますので、そのときには出ていただいて構いません。ちょっと延びるかも分かりませんので。この後、小室さんと駒崎さんに、短めに追加があれば伺って、その後に政務官と副大臣といきたいと思います。
 1つだけ、今、就職情報サイトという話があったのですが、厚労省には先ほどの女性活躍とか両立支援とか、あれは一緒になっているのですけれども、それ以外に介護のとか、今度は中途採用のとか、比率とか残業とかのがあるでしょう。今はばらばらにあるので、できれば少し、学生からすると、企業名を出すとワーッと出てくるような形にするといいのですよね。今はそれぞればらばらに入ってしまっているので。そういう意味では、例えば学生に、キャリアセンターに情報を出すとすれば、個別に出ているのを少しまとめて見られるように、検索できるようにするというのは、すごくいいのかなと思いました。
 あとは、テレワークの話があって、小室さんやトラウデンさんからもありましたが、自己申告だけだと長時間労働になるのではないかということで、要するに自己申告だけでいいというわけではないということ。もう1つは研究会の議論で、私が間違っていなければなのですけれども、確かに技術的には、どれだけ働いたかがチェックできるのだけれども、それが望ましいかどうかという議論がある。つまり、完全に24時間モニターされるような働き方を目指すかどうかというのも結構あって、ある程度そこは距離を置けるような働き方が望ましいのではないかということもあったということだけ、ちょっと頭に入れておいていただいて。完全にモニターされたいかなというところもあるかと思います。
それでは小室さん、駒崎さん、追加的なことがあれば伺えればと思います。では小室さんのほうから。
 
○小室淑恵委員 すみませんが、私も6時に出なければならないので短く。私も不妊治療を3年半しましたので、本当にお休みの大切さというところを感じます。その結論として、今、弊社では何をやっているかと言うと、理由を問わない休みという制度を作っていまして、「新しい休み」という名前があるのですけれど、これが年間34日分あって、それを15分単位に分割して取れるというようになっています。有休の20日と34日分を足すと、大体毎日1.5時間ずつ短く働ける仕組みになるのですけれども、これがあると、全てのいろいろな人の悩みというのが、理由を一切言わずにフルタイムと同じ扱いのままで解決できるのです。なので、介護の人は大体、朝は15分遅くなってしまう、そして夜は45分早く帰らなければいけないという、ここに充てているとか、みんな使い方がいろいろです。一番いいのは、これを独身の人も使うのです、「新しい休み」は理由を問わないので、「アメリカ縦断旅行をします。だから30日連続で取ります」という人もいます。こうした独身の人も、両方が理由を問わずにお互い様で休めるような休みというような形を持っていくということをすると、それだったら毎日の勤務時間をもっと短くしたらという気もするのですが、どうせそこに一気にいかないということを考えると、そういった休みの制度というのを入れることを奨励していくという、いろいろな悩みに1個ずつ絆創膏を貼らずに、根本的なものを1個作るということができないかなと思っていますというところです。
 この34日間の「新しい休み」の結果、弊社の社員の子ども数を見ると、ちょうど2.07人なのです。これは人口置換水準の数字なのです。人口が減らない2.07人に正になっているので、少子化対策に非常にこういうことが必要なのではないかなと思います。以上です。
 
○佐藤座長 駒崎さん、お願いします。
 
○駒崎弘樹委員 今日、申し上げたいことはかなり言ったので、短く2点だけお伝えしたいと思います。1つ目、厚労省の資料作成問題についてです。これに関しては、多分その都度契約して発注しようとすると、恐らくいちいち入札しないといけないから、だから時間がない、入札は1か月掛かりますから、だから時間がなくて自分たちでやろうと。自分たちでやって、ちょっとあのようになってしまうと。そして誰も幸福にならないというサイクルになると思うのです。そこで、一括年間契約みたいな形にして、クリエイティブエージェンシーに対して一括で契約しておいて、毎回契約しなくていいというようにしておけば、そうすると多分みんなも頼みやすくなるという形になると思うので、そういうのを実験的でいいので、何か1回ちょっとやっていただいて、それで助かったりクオリティが上がったら、では展開していくみたいなことというのは、このPTの分かりやすい成果としてできないかなと思いましたので、是非御検討いただけたらなと思います。
 2つ目です。インターネットへのアクセスは新しい道路だと思います。この政策を届けるに当たって、やはりインターネットを通じて全ての国民にアクセスできる状況をつくるというのは非常に重要ではないかなと思います。なので、インターネットアクセスが非常に限られるような層、例えば先ほどおっしゃられたような社会的養護が出た子どもたちとか、そういった子たちに対しては、もうスマホを配ると。配って、そこの通信料とかは今はすごく安いですので、そういう所に対して提供していく。そして、政策、情報を届けるというようなネットをみんなが使える。今、道路はみんながただで使えるわけですよね。それと同じように、ネットを全国民がただで、誰でもアクセスできるという状況にすることが、ひいてはこの政策を届けるということにつながってくるのではないかなと思いますので、そうした政策も考えていただければと思います。以上です。
 
○佐藤座長 この後、大隈政務官、副大臣というふうにしますが、もし何か言い残したことがあれば、是非という方については手を挙げていただければ。あと、小室さんもどうぞ。多分お時間だと思うので。いいですか。それでは大隈政務官、よろしくお願いします。
 
○大隈大臣政務官 もう私の発言などより、ちょっとでも皆さんに発言していただく時間を確保したほうが有り難いぐらいなのです。今日は遅れてきて本当に申し訳ありませんでした。
 今日は第3回ということで、本当に今日も楽しみに私も参加させていただきました。いろいろな政策が、特にこの4月になりまして新年度の予算ということで、総理も含めて、これは今すぐやらなければいけないことがたくさんあるぞということで、例えばシングルマザー、シングルファーザーも含めて、パッケージで支援策というのはたくさん増えました。私も勤務が終わった後、夜なべして自分で新聞を作っているのですが、びっくりするぐらいいろいろなものがたくさんあります。おっしゃるように、今日のテーマの中の1つで、やはりどうやって届けるか、良い支援も届かなければ意味がないものですから、そこのところの今日のいろいろな御提案というのは本当に有り難いです。
 逆に、資料もそうですし、情報が多すぎても、これは食べきれないということもあります。例えば、今、駒崎さんは退室されましたけれども、アウトリーチを国費で今、こども食堂でやっておられますけれども、その手法で本当に届けに行くということ、あるいは先ほどスマホも渡したらどうだということもありましたが、そういうことを本当に根本的に考えていかなければいけないなと、改めてやっていかなくてはいけないと。それも、この支援策を一日一日待っておられる、今日一日耐えている方がおられることを考えると、やはりスピード感を持ってやらなければいけないなと改めて感じました。
 いずれにしても、本来の女性中心として支えていくプロジェクト、正に届かなければ意味がないというところで、また今日もしっかりと議論を持ち帰って、三原副大臣と一緒に頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
○佐藤座長 それでは最後になりますが、三原副大臣、お願いします。
 
○三原副大臣 皆さん、本日もありがとうございました。このPTで、もう3回目となりますけれども、正に今日は不妊治療の当事者が4人もいたという中で、とても大事なことを聞けたなとも思っております。また、政策の作り手、そして、その作ったものをまとめる方、そこに誰か抜け落ちていないか、そういうことを皆さんが、それぞれの餅は餅屋で、いろいろなお話を頂けたことに心から感謝をしております。そして、古市さんがおっしゃったように、最終的に本当に苦しい人、助けてという人が、では一体、誰にすがるのだろう、どこを見るのだろう。そうしたときに必ず最終的にたどり着くのが、やはりこのPTの思いのとおり、誰にも届いていないという、この大きな問題なのだと思います。
 そして、3回になって、皆さんから同じ言葉が次々に出てくるようになりました。厚労省は政策を作るには素晴らしいが、発信をするには少し誰かに頼ってみたらどうだろうというようなことが聞こえてまいりました。私も皆さんのお気持ちにとても同感というような思いを、今、持っているところであります。やはり作る側とそれを発信する側を一緒にやるというのはなかなか難しくて、これも伝えたい、あれも伝えたいという気持ちが出てくるのは当然であり、しかし、受け手というのは一言で分からせてほしいというのもあるかと思います。
 そうしたところも含め、また第4回、第5回と、皆様方から今ある政策だけではなくて、今日の駒崎さんや小室さんのように、今、一応厚労省の中でもこういうことは議論されているけれども、こういう観点から見たらどうだとか、そういったことも結構です。また、新たに子育て支援で足りないところ、今日、三浦さんもおっしゃったようなベビーシッターに対することであったり、そういう新しいことにも皆さんのお考えがありましたら、第4回で是非お伺いをさせていただくことができればと思っております。それと同時に、今日もお伝えいただいたことは全部まとめのほうにきちんと入れてありますので、皆さんの一言一言は十分に大切にさせていただいております。そのことだけは御了承いただきたいと思います。本当にありがとうございます。
 
○佐藤座長 それでは、これで第3回のプロジェクトを終わりにしたいと思います。あとは事務局から事務連絡をお願いします。
 
○蒔苗プロジェクトチーム事務局長 今日はどうもありがとうございました。次回ですけれども、今、副大臣からもお話がありましたように、第4回を5月13日木曜日の13時から、今度は9階省議室で開催いたします。内容といたしましては、今日で3回、各論が終わりましたので、それぞれ御指摘いただいたことに対する各局からの回答というか、少し提案みたいなものと、あとは各メンバーの皆様から政策提案を頂き、かつ当初のテーマでありました厚労省全体の情報発信の仕組みを、広報室とも連携しながらやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤座長 次回は少しこれまでのをまとめて、厚労省の情報発信をどうするかというのを議論したいと思いますので、今回と同じように、また御意見を頂ければと思います。どうも御苦労様でした。

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