令和3年4月30日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続いて,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 4月23日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員については,7の官署・施設で計8名の感染が判明しました。
 また,被収容者については,播磨社会復帰促進センター5名,大阪拘置所4名,喜連川社会復帰促進センター1名,計10名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりです。

経済安全保障に関する公安調査庁の取組に関する質疑について

【記者】
 政府は4月27日の統合イノベーション戦略推進会議で外国企業との結びつきなどを通じて研究者に申告させ,虚偽があれば研究資金の助成を制限すると決めるなど経済安全保障の取組を強化しています。
 公安調査庁も情報流出の事例を紹介したリーフレットの作成などで経済安保関連の取組を強化しています。公安調査庁の取組と今後の方針についてお伺いします。

【大臣】
 公安調査庁におきましては,従前からのカウンターインテリジェンス及び大量破壊兵器の拡散につながり得る技術の流出といった観点とともに,いわゆる経済安全保障についても関心を有し,関連する情報の収集・分析等を行い,政府中枢を始めとする関係機関等への情報提供を実施しているところでございます。
 公安調査庁では,本年2月に,経済安全保障に対して全庁的に戦略的かつ統一的に対処するための指令塔として,長官・次長直轄の「経済安全保障関連調査プロジェクト・チーム」を発足させるなど,経済安全保障関連の企画・調査に関する機能を強化してきているところでございます。
 また,国民の方々に技術流出等の脅威やその手法の一端につきまして広く認識していただくため,経済安全保障に関するリーフレットや啓発動画を作成し,4月14日にこれを公表したところでございます。
 経済安全保障についての政府の情報関心に更に貢献していくため,情報網の拡充,先端技術等に知見を有する専門職員の育成も含めまして,公安調査庁における情報収集能力を一層強化させてまいりたいと考えております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正に絡んでスリランカ人女性の件をお聞きします。
 スリランカ人女性の妹ら遺族の方々が明日成田空港に来られます。
 遺族は大臣との面談を希望しておりますが,上川大臣は一昨日の審議で,遺族と会わない,遺族の求める説明も今はしない,遺族が見せてほしいと言っているビデオをまだ公開しないと回答されていらっしゃいました。
 なぜ遺族に会われないのか,まず直接お会いして,施設内で亡くなったことへの責任者としての謝罪やお悔やみを伝えるのが必要ではないかという声が上がっていますが,この点についてお聞かせください。

【大臣】
 ただいまの件でございますが,亡くなられた方に対しまして,心からお悔やみを申し上げたいと存じます。
 御遺族の皆様におかれましても,日本の国内でそうした事案が発生したということでの心痛を考えますと,私も,本当に心を痛めているところでございます。御遺族の方々におかれましては,一刻も早く情報を知りたいという思いを強く持っていらっしゃるのではないかと私自身は感じておりまして,出入国在留管理庁に対して,特に体調の変化の中で,医療がどのような形で対応できたのかということについて,調査を指示したところでございます。
 客観・公正な調査をするということが前提でありますので,その意味で,私自身,出入国在留管理庁に対しましては,第三者の目線も入れながらということで指示をしているところであります。
 先般,中間報告をお出ししたところでございますが,様々な御指摘もございまして,更にその項目について,第三者の方々の御意見も踏まえながら,フォローの調査も加えるという状況の中での今でございます。
 私自身,中間的な報告である現状におきまして,法務大臣として,御遺族に直接お会いすることは必ずしも適切ではないと考えて,先般,委員会で答弁をさせていただいたところでございます。
 御遺族が来日されるということ,この場合におきましては,法務省として,しっかりと支援を行っていくということでありますので,その時点の状況を踏まえまして,適切に判断して,そして支援してまいりたいと思っております。

【記者】
 今の質問の関連です。現在調査中で遺族に会わないということですが,最終報告がまとまった後には,遺族と対面し説明する,大臣が直接会って説明する用意があるのかという点と,現在中間報告と関係なく,遺族の方たちは中間報告の資料が訳されたものを読んで,1分1秒が記載されているこのビデオ,娘の最後の状況を,まず私たちの目で見たいと言っております。
 これは調査の途中だからということは,5人の外部の識者に見せている点からも考えると,言い訳にならないのではないかなと思います。
 この点,ビデオを中間報告と関係なく見たいと言っている遺族の方たちだけに見せるつもりはあるのか,そして最終報告が出た後,大臣が直接お会いし説明する用意があるのかお答えください。

【大臣】
 ただいま遺族の方々へのビデオの開示という御質問がございました。
 様々な情報につきましては,御要望をしっかりと賜りながら,出入国在留管理庁において適切に対応していくものと承知をしております。
 中間段階の調査結果,中間報告を受けて様々な御指摘がございまして,医学的な見地からも,様々な問題の御指摘がございました。そういったことを丁寧に掘り下げていく必要があると,私自身は思っております。
 ただ内容に関しまして,私自身が発言すること自体,介入していくということそのものを,私としては控えさせていただきたいという強い思いがございます。しっかりと調査を加え,そして分析をした上で,こうした事故の背景・原因につきまして,最終報告の中に盛り込み,なおかつ,改善策をまとめていくということ,このことをしっかりと指示し,そして,それに対して,出入国在留管理庁及びそのチームの中で検討するものと思っております。
 御遺族の方へお目にかかるということでございますが,こうした中間的な段階という状況でございますので,最終的な段階でどのように対応するかということも合わせて,こうする,ああするということを独断的に申し上げるという状況ではございません。むしろ,本当に客観・中立な調査の結果が出るようにしっかりと対応していくことが,御遺族の方の思いに応えることにつながると私自身思っております。

【記者】
 同じくスリランカ人女性の件で,先日司法解剖の結果が出たとのことで,甲状腺炎という病名が記載されている書類を拝見しました。病死ということですが,この見立てというのは,中間報告という段階で,もう一度,セカンドオピニオン的な病理標本というのを再度精査する可能性があるのでしょうか。
 と言いますのも,病理の専門家のオピニオンによりますと,甲状腺炎ということも分からないわけではないが,もしかすると糖尿病等のその他の疾患というのを見逃している,又はその可能性も否定できないのではないかという意見があります。
 ですので,再度調査するためにも病理標本を保管して,もう一度家族の求めに応じて,希望されるのであれば,再度,第三者的な司法解剖の結果をもう一度精査するという可能性はないのでしょうか。
 もう1点ですが,甲状腺又はその他糖尿病等の疾患があったとしても,予見不可能とは言えないという専門家のオピニオンが出ております。死に至る可能性というのが,医学生でも基本的に想像できるという基本知識のような症状であったのではないか,きちんと血液の検査,その他の検査を適切に行って適切な治療につなげるということが可能であったと断言できるという専門家の意見がいくつか出ております。
 そういったことについて,再度精査ということを改めて最終報告に持ってくることはあるのでしょうか。そうでなければ保護監督責任ということを問われても仕方がないのではという意見があります。
 大臣の御意見をお願いします。

【大臣】
 まず,司法解剖の結果に係る医学的な専門の方からの知見という形で,その方の御意見という形で御紹介をいただきました。
 これは,専門的なしっかりとした判断が必要ではないかと考えております。専門医等の意見を聴取するということについては,必要な調査ではないかと考えております。
 そうしたことも踏まえまして,最終的な報告書に向けた検証・分析,更に改善の項目ということについて,鋭意努力をし,そして最終報告に向けまして,できるだけ早くその結果が出るように,私自身,指示をしているところでございます。
 様々な診断の内容につきまして,病気の名前もおっしゃったところでありますが,私自身は,大臣として指示をしている立場で,これに対して物を申し上げるということについては,もとより控えなければいけない事柄だと思っております。ましてや,医学的な知見ということにつきましては,何と言っても,専門の方々の立場・意見が大変重要であると思っておりますので,そのことを踏まえた上での最終報告になるものと思っております。

【記者】
 もう一度確認なのですが,今後の検証のために病理標本というのはきちんと保存をされるということは,大臣の方から指示は可能なのでしょうか。
 そして御家族が訪問されるということで,大臣はお目にかからないということですが,例えば御家族が名古屋入管に行って,彼女が過ごしていた部屋というところに見学に行く,訪問するということは可能なのでしょうか。

【大臣】
 そのことも含めまして,御遺族の方の様々な御要望があろうかと思います。
 法務省出入国在留管理庁といたしましても,しっかりと対応してまいりたいと,支援をしてまいりたいと思っているところでございます。
 病理解剖の証拠についての保全という話もございましたが,これにつきましては,司法解剖の手続で適切に対応しているものと承知をしております。これは正式な手続でございますので,そのように対応していると承知をしているところでございます。

【記者】
 スリランカ人女性の件で,五輪選手は入国初日から練習ができ,14日待機免除ということが言われておりまして,関係者も3日で出られると言われております。
 しかし,遺族はいち早く御遺体と対面したい旨を再三伝えておりますが,この14日待機が適用されると聞いております。
 いろいろな方々が,即日対面させてあげてほしいと言っていますが,入管庁側がこれを強く拒否していると聞いております。即日出てこられると,現在改正案が審議に入っていますが,この審議に差し支えるため,14日ルールを適用しているのではないかという批判も出ております。
 PCR検査をしっかり遺族の方々にやり,これが陰性ならば,即日,御遺族がまず御遺体と対面できるよう取り計らうべきだと思うのですが,この点について,なぜ入管庁は拒否をしているのかお答えください。

【大臣】
 御遺族が来日される場合に法務省として行う支援ということでございますが,その時点の状況を踏まえまして,適切に判断することとしたいと思っております。

(以上)