(令和3年4月27日(火曜日)16時17分 於:本省会見室)

冒頭発言

  • (1)茂木大臣の欧州訪問
    【茂木外務大臣】私(大臣)から今日は5点あります。
     まず出張の関係でありますけど、諸般の事情が許せば、G7の外相会合の前後で、4月29日、明後日から5月8日まで、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、英国、ポーランドを訪問いたします。
     本年、G7は英国、そしてG20はイタリアが議長国でありまして、欧州がマルチ外交の舞台となります。また、EUでインド太平洋に関する議論が活発化する中で、このタイミングで、欧州において日本のプレゼンスをしっかり示すことは非常に重要だと考えております。
     特にG7の結束、これは重要でありまして、英国でのG7外務・開発大臣会合では、地域の情勢や国際社会の諸課題などについて、基本的価値を共有するG7各国のカウンターパートと率直に意見交換を行いたいと思っております。
  • (2)ASEANリーダーズ・ミーティング
    【茂木外務大臣】二点目、先週土曜に行われましたASEANリーダーズ・ミーティングについてでありますが、今朝、談話を出しましたけれど、4月24日に開催されましたASEANリーダーズ・ミーティングの成果であります「5つのコンセンサス」、これを事態改善に向けた第一歩として歓迎するとともに、ASEANの努力を高く評価いたします。
     今後は、このコンセンサスを具体的な成果に繋げていくことが重要だと考えています。仮に国軍によりますミャンマー国民に対する激しい暴力、これが今後も続くようなことになりますと、現地に進出している日本企業の動向や今後の投資にも影響は避けられない、このように考えております。
     我が国は、引き続きASEANを始めとした関係国と連携して、暴力の停止、拘束者の解放、民主的政体へ回帰、これをミャンマー側に強く求めていきたいと思います。
  • (3)2021年版外交青書
    【茂木外務大臣】三点目、外交青書についてでありますが、本日の閣議で2021年版外交青書を配布いたしました。今回の外交青書では、巻頭特集として、新型コロナへの対応、特に、在外邦人の帰国支援や、保健・医療体制が脆弱な途上国に対するかつてないスピードでの支援、ワクチン等の公平なアクセスの確保に向けた取組などを詳しく述べております。
     この他、昨年大きな注目を集めた米中関係、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組、昨年発効した日英EPAを始めとする経済外交などについても記載をいたしております。
     外交青書は、今日から外務省のホームページで閲覧できます。また、冊子は6月の末から市販をする予定であります。ポスト・コロナの秩序作り、ルール作りで主導的な役割を果たす日本外交について、国内外で理解が深まることを期待いたしております。
  • (4) 途上国への「ラスト・ワン・マイル支援」
    【茂木外務大臣】四点目、途上国支援の関係でありますが、日本は、途上国の一人ひとりにワクチンを届けるため、コールド・チェーン構築を後押しする「ラスト・ワン・マイル支援」を進めてきております。
     3月9日にその第一弾として、東南アジア、南西アジア及び太平洋島嶼国への支援の実施を決定いたしました。最初の機材であります500個のワクチン輸送容器が、この週末にスリランカに到着いたしました。
     そして本日、第二弾として、アフリカ及び中南米の31か国に対して、コールド・チェーン等を整備するために、42億円の緊急無償資金協力の実施を決定いたしました。
     日本の強みを活かしつつ、引き続き、スピード感を持って支援を進めていきたいと考えております。
  • (5) 英空母打撃群の日本寄港
    【茂木外務大臣】最後、五点目であります。英空母打撃群の関係でありますが、昨日、英国は、空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英空母打撃群の日本への寄港を発表いたしました。英国によります「インド太平洋への傾斜」を具体化するものでありまして、また、近年深化をしています、日米間の安全保障・防衛協力を一層推進するものとして、これを歓迎いたします。また、今回の英空母打撃群には、オランダ海軍フリゲートも加わり、同じく日本に寄港する予定でありまして、これも歓迎したいと思います。私(大臣)からは以上です。

ALPS処理水(中国外務報道官のツイート)

【TBS 樫元記者】中国外務省の報道官のツイートについてご質問します。中国外務省の趙立堅(ちょう ・りつけん)報道官、昨日の夜、自身のツイッター・アカウントで、福島第一原発のALPS処理水の海洋放出の方針について、揶揄するようなツイートを行いました。外務省報道官という立場ながら、これまでも物議を醸すようなツイートを行ってきた人物ですけれども、今回のツイート、もし、大臣ご覧になっていたら、率直なご感想と、それから、これについて中国に対して、何らかの意見を伝達する考えがあるか、よろしくお願います。

【茂木外務大臣】ツイートは拝見いたしましたが、報道官のレベルのツイートに、外務大臣として一々コメントすることはいたしませんけれど、今回の件については、外交ルートを通じて、既に直ちに厳重に抗議をして、削除を求めているところであります。

2021年版外交青書(韓国の反応)

【テレビ朝日 佐藤記者】外交青書を巡ってお伺いします。日本の外交青書の発表に対して、韓国の外交部は、竹島について明確な韓国固有の領土だと主張し、相馬総括公使を呼んで抗議したとのことです。こうした韓国側の対応についての受け止めと、慰安婦に関しても日本側に謝罪、反省の精神に合致する動きを見せるよう求めたということですけれども、このような韓国政府の対応も踏まえて、今後、両国間の問題をどのように解決に導いていこうとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】本日、外交青書におけます韓国関連の記述に関しまして、竹島であったり、慰安婦問題等について、韓国側から抗議がありましたが、日本の一貫した立場に基づき、抗議は受け入れられない旨反論いたしました。
 日韓関係、現在、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などによって、かつてなく厳しい状況にあります。同時に、北朝鮮への対応を始め、日韓・日米韓の連携というのは不可欠であると考えております。

パレスチナ情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 日本はパレスチナ及び中東和平プロセスに対する最大のサポーターの一国となってきており、イスラエルに対して累次に渡り入植地からの撤退を求めてきました。
 最近、イスラエル治安当局とパレスチナ人との間で衝突が起こり、東エルサレムでは引き続き衝突が続いていると承知します。イスラエル治安当局は、アルアクサ・モスク付近での違法なイスラエル人入植者による挑発行為を支援しているようにみえます。このような動きに関する日本政府の立場についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】我が国は、エルサレム並びにガザ地区及びその周辺地域における、最近の緊張の高まりと、それに伴います民間人の被害、深く憂慮しております。また、ガザ地区からのロケット弾によります民間人への攻撃を非難いたします。
 我が国は、イスラエル、パレスチナ両当事者間の抱える問題は、暴力によって解決されるものでは決してなく、当事者間の交渉と相互の信頼を築く努力によってのみ、解決するものと確信をいたしております。