令和3年4月27日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。

刑務所における新型コロナウイルス感染症対策に関する質疑について

【記者】
 4月25日から4都府県を対象に新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令されました。法務省ではこれまで刑務所でのクラスター発生などを受けて,施設の建て替えなどの感染対策を進めているほか,働き方についても改善を進めてきました。
 3度目の宣言を受けて,改めて刑務所での感染対策や感染リスクを引き下げる働き方改革についてお尋ねします。

【大臣】
 刑務所を含む矯正施設におきましては,これまで,矯正施設特有の感染リスクに鑑み,昨年4月に感染症等の専門家による助言も踏まえて策定いたしました「矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン」に基づきまして,懸命に感染防止対策を講じてきたところでございます。
 新型コロナウイルスの特性や変異の状況,世界や日本における感染状況を分析するとともに,これまでの感染事案におきまして,感染状況のモニタリングを行い,その感染経路等を分析・検討し,それらの情報や経路を共有してまいりました。
 更には,専門家の意見等の様々な知見をも取り入れながら,各矯正施設において,より一層レベルアップした対策を構築・実行しているところでございます。
 今般,4都府県を対象に緊急事態宣言が発出されました。
 私からは,矯正局を通じ,全国の矯正施設に対しまして,変異株の特性や流行状況を踏まえつつ,緊急事態宣言下においても,現在の矯正施設の運営を基本的に維持し,更に高い緊張感を持って感染症対策に万全を期すよう指示をしている状況でございます。
 刑務所に勤務する職員につきましては,基本的にテレワークを導入しにくい職務に当たっている職員が多いわけでございますが,早出遅出勤務や休暇の取得を図って出勤人員を最小限にすること,自宅から出勤している者については,自家用車による通勤を原則とすることなど,勤務体制の面でも新型コロナウイルス対策を実施しているところです。
 引き続き,感染拡大のリスクを適切に管理するといった観点に立ち,このような感染防止対策を徹底することにより,新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいりたいと考えています。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正に関してお聞きします。
 スリランカ人女性が亡くなられる2日前に診察された医師の情報提供書に,支援者から「病気になれば仮釈放してもらえる。」と言われた頃から心身の不調を生じ,詐病の可能性もあると書かれておりまして,入管が詐病を疑い,医師に支援者との面談情報が漏れていたことも分かりました。
 結局死因が甲状腺炎からの多臓器不全ということなのですが,入管がこの詐病を疑っていたゆえに,ビタミン剤等の点滴もせず,入院措置ができなかった可能性が指摘されています。
 改めて支援者との面談情報が漏れていたこと,また結果,入管側の詐病という認識がスリランカ人女性の死を招いた可能性,この点について大臣の見解をお聞かせください。

【大臣】
 報道については承知しているところでございます。
 中間報告の詳細に係る部分ということでございますので,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思います。
 今回の事案につきましては,必要に応じて更なる事実の確認などを行った上で,今後できる限り速やかに,当局の対応の適否等につきまして,評価・検討を加えて,最終的な調査結果を取りまとめることとしております。御指摘のありました仮放免を行わなかった点の評価につきましても,最終調査結果におきまして,お示ししたいと考えております。

【記者】
 関連で,その支援者との面談の情報が漏れていたこと,この点を大臣は今回の報道でお知りになったのか,それ以前から把握されていたのでしょうか。

【大臣】
 この関係の情報がどのような状況なのかについて,私自身,立場がございまして,客観中立にしていただくということで動いてきたところでございます。今のような御質問に,私からいろいろな情報を申し上げるということは,基本的にはしないという姿勢で臨んでおります。
 第三者の方にも御参加いただく,また,いろいろな御意見もいただいているところでございますので,しっかりとそれに対応して,調査もフォローアップするようにと,これは当然のことだと思っております。
 いずれにしても,いろいろな御質問に関しましては,出入国在留管理庁が対応しております。特に,中間報告を発表しているところでございますので,これに関連しての御質問については,出入国在留管理庁にお問い合わせいただきたいと思っております。

【記者】
 スリランカ人女性に関してですが,同せいされていた男性からDVを繰り返し受け続け,かつ,お金もむしり取られていたという可能性が指摘されています。入管の医療対応もさることながら,国籍にかかわらずDV被害者をどう扱って保護していくのかという点は,法務省・検察庁にとっても非常に重要な点だと思うのですが,中間報告書には,このDV被害に関する記述はほとんどありません。
 最終報告書については,彼女がどのようにDVを受け,収容され,施設内でも元交際相手の脅迫の手紙ということにおびえていたかなど,収容に至る背景事情ということも,入管だけでなく,警察での調書などを調べ,徹底的に解き明かすべきだと思うのですが,この点についてのお考えをお聞かせください。

【大臣】
 様々な御意見や御指摘があるということは承知しております。
 そうしたことも中間報告をお出しした中で,いろいろなフォローアップをさせていただくということでございます。
 また,最終報告におきまして,第三者の目をしっかりと通して見ていただくということが,客観性・公正性の担保の上で極めて重要だと思っておりますので,私自身もそうした調査を待ちたいと思っております。

(以上)