総務省・新着情報

報道資料
令和3年4月20日
我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査結果の公表

 総務省では、「我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査」を実施しました。当該調査結果の報告書をとりまとめましたので、これを公表します。(委託先:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)

1 経緯・内容

 青少年におけるスマートフォンの普及は大きく進展しており、SNS等を利用して犯罪の被害にあう児童・生徒の数も高止まりする等、スマートフォンの普及に伴うトラブルも増加しています。そのような中、総務省では、フィルタリングの利用促進に取り組んできました。その結果、MNO4社(NTTドコモ・KDDI・SoftBank・楽天モバイル)におけるフィルタリング加入率は75%(2020年9月)まで向上したものの、内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」によれば、フィルタリングの利用率は37.4%(2019年度)と低い状況です。
 こうした状況の下、フィルタリング利用促進とともに継続的な利用を実現するために、6,500名の青少年保護者を対象としたアンケート調査、1,002名の青少年保護者を対象とした実験的調査、21名の青少年保護者へのインタビュー調査等を実施し、フィルタリングに関する調査結果をとりまとめました(委託先:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)。

2 公表資料

我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査結果
報告書(概要)  報告書

3 調査結果のポイント

(1)フィルタリングの利用率は低く、継続的な利用促進のための取組が必要。
 ・スマートフォンを利用している青少年において、フィルタリングの利用率は38.1%にとどまっていた。
 ・フィルタリングを利用していない人は、家庭内ルール作りやペアレンタルコントロール機能利用もしていない。

(2)インターネットの問題が子供にもたらす危険性や、フィルタリングサービスに関する情報と各問題に対する有効性を啓発することが重要。
 ・「ネットの問題に関する知識」を除き、「フィルタリングサービスの知識」、「ネットの問題が子供にもたらす危険性認知」、「フィルタリングサービスの有効性認知」は、これらが高いほどフィルタリングサービスを利用し、解除していない傾向にある。
 ・実験的調査でも、これらの情報を提供することで48.8%がフィルタリング利用意向を示した。

(3)フィルタリングのカスタマイズ設定について啓発すると同時に、カスタマイズしやすい設計とする取組が必要。
 ・フィルタリングを解除する理由として、「子供にとって不便と感じたため」(31.3%)、「使えないサービスやアプリを子供に使わせるため」(29.2%)が多かった。また、カスタマイズ設定を知っていると解除しない傾向が見られた。
 ・保護者インタビュー調査においても、解除理由として制限が強く、不便であることが指摘される一方で、カスタマイズ設定を認知していない発言が多かった。
   ・利用率の最も高い「あんしんフィルター」では、カスタマイズ率が33.3%と低かった。

(4)フィルタリングの機能の中でも特に「アプリ利用制限」「利用時間管理・利用状況通知」の機能を啓発することが重要。
 ・フィルタリングについて、「スマートフォン用アプリケーションの利用を制限することができる」「スマートフォンの利用時間管理、利用状況の通知などができる」ということを知っていると、利用する傾向にあり、解除しない傾向もあった。
 ・保護者インタビュー調査でも、「使いすぎ(時間)を防ぎたかった」等を最大の理由としている家庭が複数見られた。

(5)フィルタリングについて、青少年の利用実態を踏まえた設計にする取組が必要。:特に中学生以上
 ・子どものスマートフォン専用利用の理由として多かったのが「部活等でメッセージアプリを利用する ため」であった。
 ・一方、フィルタリングにおいて、中学生モードでもメッセージアプリの利用制限があり、解除につながっている。
 ・他方、例えばメッセージアプリであれば、インストールすることでメッセージ機能だけでなく、オープンチャットや金融系サービスが紐づくこともある。このようなサービスを青少年に許可することにはリスクも考えられる。

(6)高校生におけるインターネットの危険性を啓発することが重要。
 ・高校生でフィルタリングサービスを利用しない理由としては、「特に必要を感じないため」や、「フィルタリングを利用しなくても、子供の適切なインターネット利用を管理できるため」が多かった。

(7)特に、低年齢層の子供を持つ保護者向けには、スマートフォン購入時にフィルタリングの案内をすることが重要。
 ・スマートフォン購入時における保護者の管理に関する説明や資料は、フィルタリング利用に大きく寄与。
 ・他方、低年齢層の子供を持つ保護者は説明をほとんど受けていない。購入時に子供が使う予定がなかったという理由が多い。
 ・親と子供の共用だとフィルタリングを利用しない傾向にあるうえ、解除する傾向もある。

(8)保護者には「リテラシーの向上」を、子供には「自身で危険性を判断できるようになる」教育や情報・サービス展開を行うことが重要。
 ・保護者はネットリテラシー向上の必要性を感じており、「年齢や性別毎にどのように対処したらい いのか知れるとよい」、「トラブル事例とその対応方法リストがあると具体的に行動しやすい」とった意見が伺えた。
 ・子供に対しては、「子供自身で危険性を判断できるようになってほしい」という意見も聞かれた。

4 参考

 以下のウェブサイトにおいて、総務省におけるフィルタリングサービスの具体的な取組について記載しております。
 ・青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース 
  https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_anshin/index_12.html
  ・上手にネットと付き合おう!~安心・安全なインターネット利用ガイド~
  https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/ 
   特集ページ「フィルタリングサービス」
    https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/filtering/ 
  ・インターネットトラブル事例集(2021年版)
  https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/ 
 ・青少年フィルタリング及び海賊版対策に係る普及啓発動画
  フィルタリングサービス「NEWヒーロー?」編
  https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000342.html 

連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
(担当:萩原課長補佐、掛林係長、田中官)
電話  :03-5253-5111(代表) 5867(直通)
FAX   :03-5253-5948

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