厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)3月18日(木) 10時00分~

場所

厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)

出席者

  • 三原 じゅん子
  • 大隈和英
  • 金子 恵美
  • 駒崎 弘樹(※オンライン参加)
  • 小室 淑恵(※オンライン参加)
  • 佐藤 博樹
  • 菅井 利雄
  • トラウデン 直美 (※オンライン参加)
  • 西田 亮介(※オンライン参加)
  • 古市 憲寿(※オンライン参加)
  • 三浦 瑠麗(※オンライン参加)
  • 森永 真弓
  • 上田 路子

(敬称略)

議題

生活支援・自殺防止

議事

議事内容
○佐藤博樹座長(中央大学大学院戦略経営研究所教授) それでは、第2回コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチームの会合を始めさせていただきます。本日は、テーマは自殺予防対策、生活支援策がメインで、それに関わって早稲田大学の上田路子様に自殺問題についてプレゼンをしていただいて、それに加えて皆さんの御意見を伺うというようにしたいと思います。最初に委員の出欠と、事務局の変更もあったようですので、よろしくお願いいたします。
 
○蒔苗事務局長 事務局の蒔苗から御説明いたします。まずは、最初に自己紹介です。今回から大隈大臣政務官が御出席されております。
 
○大隈厚生労働大臣政務官 どうぞよろしくお願いいたします。
 
○蒔苗事務局長 本日のテーマであります社会局の岩井審議官です。
 
○岩井審議官(社会、援護、人道調査、福祉連携担当) 岩井です。よろしくお願い申し上げます。
 
○蒔苗事務局長 今日、冒頭でプレゼンいただきます早稲田大学の上田路子様です。
 
○上田路子様(早稲田大学政治経済学術院准教授) よろしくお願いいたします。
 
○蒔苗事務局長 その他、委員の出欠ですが、西田先生と古市さんは、30分遅れてZoomで参加されます。駒崎さんとハイヒール・リンゴさんは残り30分、11時半過ぎにZoomで合流されます。三浦さんは冒頭からの予定ですが、若干遅れておりますので始めたいと思います。最初に、参考資料1と2について、私から簡単に御説明申し上げます。参考資料1ですが、上田先生の自殺関連のプレゼン資料の中にも女性の雇用失業データが出てまいりますので、我々としても議論の参考としてデータを用意させていただきました。参考資料1の2ページの下のほうですが、御覧いただくと左側が男性のグラフ、右側が女性のグラフです。左側の男性の緑色が正規雇用で、赤いのが非正規ですが、右側の実線を境にそれぞれ伸び悩みというか下がっています。男性は非正規も正規も下がっています。右側の女性ですが、上のほうの非正規雇用はかなりガクッと落ちて、最近少し戻っています。右下が女性のいわゆる正規雇用でして、グラフを見ると2014年から一貫して正規雇用が伸びています。
3ページに産業別、ちょっと細かいので御覧いただくのは難しいですが、建設業とか情報通信、運輸、郵便関係で女性の正規雇用がコロナ禍でも伸びているというデータが出ています。以上、データの御参考です。
 もう一枚、参考資料2です。参考資料2は、一昨日、総理をトップとする非正規雇用労働者等に対する緊急の関係閣僚会議が開かれて、正に今回の三原副大臣のプロジェクトチームのテーマと重なる分野についての緊急支援策が決定されておりますので、今回及び次回の議論の参考として簡単に御紹介させていただきます。今回の緊急支援策、今出ておりますが、こちらの狙いは、コロナの影響が長引く中で、女性や非正規の方への雇用の影響とか、あるいは今日のテーマである自殺の増加、あるいは孤独・孤立の問題に政府として真正面から向き合っていくために、今年度の予備費5,000億をちょっと超える額を活用して、これまで必ずしも十分に手が届いていなかった方々に対してきめ細かく対応するという狙いの施策です。
 参考資料が上にあって、1番と5番は今日のテーマの生活支援とか自殺ですので、後ほど岩井審議官の説明の中で言及いたしますが、2番目の柱として、今回はひとり親の方の支援というのを入れています。こちらの趣旨は、厳しい状況の中でも未来を担う子どもたちを第一に考え、今回はひとり親の方だけではなく、低所得のふたり親世帯の方を含めて特別給付金、子ども一人当たり5万円の支給を行うことを一昨日、決定しています。そのほか、前回議論した雇用とか人材開発分野の施策が3.と4.に盛り込まれています。5番目の所に、社会的に孤立を感じ、不安を感じる方に対し、各地でNPOの方に御活躍いただいておりますので、その方々の力も借りながら対策を行うというものです。これらに加えて政府全体で見ると、文化・エンターテインメントの支援とか協力金の追加も検討しております。こうした一連の対策を実施する中で、国民の皆様の悩みに寄り添って、一つ一つ問題解決するように政府全体で取り組むというものです。私からは以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございました。本日の参考資料については、上田先生の御報告に関係するものがあると思いますので、もし御質問があれば、そのときに伺えればと思います。それでは、今日のテーマに関連して、早稲田大学の上田先生からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○上田路子様 お願いいたします。テーマとしては、「助けて」と言えない社会、人の支援が届かない社会を変えるにはということで、私は自殺対策が専門ですので、自殺に関する援助要請、ちょっと専門的な言葉になってしまうのですが、その観点から皆さんにディスカッションの材料を提供させていただければなと思っています。次ページです。私はずっと自殺対策を研究しているのですが、もともとは政治学が専門ですので結構、社会科学の視点から研究をしています。まだ前のページなのですが、なぜ政治学者なのに自殺の研究をするのだと皆に毎週のように聞かれるので、どうしようかなと思ったら早稲田大学が広報誌でインタビューをまとめてくれて、右側のQRコードは私のインタビュー記事が載っているので、興味があってなぜこの人はやっているのだろうと思ったらそこを御覧になっていただいて、左側は私の論文のリストです。基本的に英語が多いのですが、2013年に一応、珍しく日本語でも本を出しています。
 それで、今日お話させていただくテーマなのですが、次ページです。皆さん御存じのことも多いと思うのですが、認識共有ということでコロナ禍で自殺の概要、去年どのように自殺者が増えてきたかということと、簡単に背景を御説明させていただいて、やはり自殺を考えている方でも「助けて」と言うこと、「助けて」を実行に、アクションに移すまでというのはすごくハードルがあるので、そのハードルを2つに分けて皆さんに御提示して、考える助けにしていただければなと思っています。
 次ページです。2020年の自殺の概要です。よくメディア等では2019年と2020年の比較が多いのですが、2019年はもしかしたら、ちょっと特殊かもしれないので、2017年と2019年の平均を取って、それと2020年の同じ月を比較しています。上が全体、男女両方合わせたもので、下の左側が男性、右側が女性です。お分かりになると思うのですが、グレーでハイライトしている所、緊急事態宣言期間中にちょっと例年に比べて自殺者数が減っています。これは私も想定していて、減るだろうなと思っていました。ただ、揺り戻しがどこかで絶対あると思っていて、実際に揺り戻しがあったと。それが顕著に表れてきたのは、大体7月ぐらいからです。だんだん皆さんが普通の生活に戻ってきて、Go Toが始まったりして旅行をするような方も多い感じで、皆さんが普通の生活に戻る中で一部困っていらっしゃる方の自殺者が増えてきたと。
 特に今回顕著なのは、下の右側にあるように女性の自殺者の増加です。去年の後半から大幅に増えていて、特に10月が増えています。10月の大幅な増加については後で御説明いたしますが、もしかしたらちょっと特殊かもしれないのですけれども、11月、12月も高いですので、基本的に自殺者数は後半に増加傾向にあるということで、特に女性に顕著だということです。
 これは自殺者数なのですが、次ページを見ていただくと変化率を取っています。過去3年と2020年で何パーセント増えたかという変化率ですが、上のほうは全体と、あと男女別に、上のほうは男女と女性で変化率、例えば女性の10月だと、例年に比べて80%増えているということです。これは先ほど見せたのと同じなのですが、特に注目していただきたいのは下のほうです。これは、男女別に年齢グループ別に見ていますが、右側の下を見ていただくと女性の年齢グループ別です。ピンクの実線が40歳未満の女性の方の変化率で、過去3年に比べてどのぐらい増えたか、減ったかということです。例えば、7月ぐらいから前年の40%ぐらい増えて、8月にも60%以上増えているということです。10月に至ってはほぼ100%ですので、前年の2倍になっているということで、かなり普通とは違う年度だということです。
 10月についてですが、10月以前までは若い女性の自殺が増えているということだったのですが、10月は御覧になって分かるように、どの年齢層でも増えているので、その意味でも10月は特殊といえば特殊かなと思います。
 次ページは性別と職業別で、これは警察庁のデータを使っていて、これである程度の職業が分かるので御覧いただいているものですが、一応これも全体と男女別に分けています。注目していただきたいのは、やはり学生さんの自殺、英語になっていて申し訳ないのですが、一番上の左側のパネルが学生さんです。これもよく報道されていますが、休校明けからかなり増えていると。学生というのは生徒と学生、小、中、高、大学生も全部含めています。残念ながら小中高生のことに注目が集まることは多いのですが、実は大学生も同じように増えています。ですので、学生さん全体的にすごく影響があったというのが分かるのと、上の真ん中はいわゆる主婦ですが、この方たちも増えていて、下のほうの雇用者についても増えているということで、全体的に女性については増えています。恐らく増えていないといえば年金生活者ぐらいかなと、増えていないといっても増えているのですが、減少幅が少ないといえばそのぐらいで、基本的に若い方が全体的に女性については増えているということです。
私がずっと自殺を研究していて、今まで過去に経済危機があったときというのは、男性の中高年の自殺が増えていたのです。1つぐらい前のスライドを見ていただくと分かるのですが、男性というのは年度末に自殺が増えます。でも、女性というのは余りそういうのはないのです。なので、季節変動とか景気の影響というのを今まで余り受けていないと思われていたのですが、今回はちょっと特殊で、かなり女性に集中しているというのが特徴的で、それについては本当に真剣に考えていかなければいけないかなと思っています。
 次ページです。なんで、なんでと皆さんに聞かれて、この件については日本だけではなくて、世界で注目が集まっていて、なぜ女性なのかというのは本当によく聞かれます。数少ない自殺に関するデータがこんなに早く出てくるのは、ほとんどほかにないので、その意味でも日本の自殺者数の増加というのは注目が集まっています。取材とかを受ける中でいろいろ考えたのですが、まず1つ最初に申し上げておかなければいけないことは、自殺というのは本当にいろいろな要因が絡まっているのです。これというようにピンポイントで言うのは本当に難しくて、総合的に考えなくてはいけないのと、現在では我々も警察庁が出されている集計データしかまだ見られないので、細かい分析ができないのです。ですので、ざっくりとした分析しかできないのですが、恐らくこれではないかということを今日は3つ申し上げます。
 1つは、新型コロナというのは、結構ピンポイントで産業を直撃していて、残念ながら特に女性が従事する割合の高い産業が今回、影響を受けてしまったと。例えば、宿泊業だったり飲食業です。残念ながらそれは女性が多くて、しかも女性は非正規雇用の割合がもともと多かったということ。それから、ここには書いていないのですが、家族形態が昔と比べてかなり変化しています。昔は非正規で職を失っても、例えば結婚なさっていたら旦那さんの仕事がまだあれば何とかなったかもしれないけれども、最近はひとり親の方もいらっしゃるし、独身でいらっしゃってずっと非正規雇用の方もいらっしゃいます。その方たちにコロナが直撃したらどうなるかと考えると、やはり、かなり厳しい側面もあったのかなという感じはいたします。
 2つ目なのですが、先ほど申し上げたように10月というのはかなり上がっています。これは皆さん覚えていらっしゃると思うのですが、昨年7月19日、夏ぐらいと9月27日に有名な方が2人亡くなって、その報道がされています。これは「ウェルテル効果」と最近よく言われているので御存じだと思うのですが、やはり著名人の自殺に関する報道がなされた後というのは、一般人の方の自殺が増える傾向にあります。これは日本だけではなくて、どこでも観察されていることです。私も数年前に、1980年代から2010年までに亡くなった著名人の方は100名ぐらいいらっしゃるのですが、その方の自殺報道があった後に、一般の方の自殺がどのぐらい増えるかというのを調べたことがあります。
 それによると、報道初日に大体5、6%自殺件数が増えます。それが10日は続きます。この5、6%というのは100何名の方の全体的な平均ですので、例えば去年亡くなった方のようなすごく有名な方だと、もっともっと影響が多い可能性があると。10月と7月から増えていることについては、10日ぐらい影響が続くということを考えると、それも影響があったというのは恐らく間違いないです。それがどのぐらいというのは、今はピンポイントでは申し上げられない状態です。
 最後に、休校の影響です。これは直接的なデータがまだ出てきていないので、なかなか難しいのですが、少なくとも学生さんにとっては、休校はすごく厳しかったというのは分かっています。これは、ほかのいろいろな研究機関も研究していますし、私も早稲田大学で学生さんにアンケート調査をしていますが、大学生であってもかなり状態が悪いと。例えば、早大生だと回答者の5分の1ぐらいが中程度のうつとか不安障害を抱えています。孤独感も研究しているのですが、孤独感については40%ぐらいの学生さんがほぼ毎日、あるいは度々孤独感を感じていると答えていて、特に女子学生の状態が悪いというのと、想像がつくように新入生の状態が悪いと。それから留学生です。今日お話するときには、やはり日本にいる外国人のことも考えなければいけないと思うのですが、春学期に日本に残って、オンラインで授業を受けていた留学生の状態もすごく悪いというのが分かっています。ですので、その辺を学生さんについては考えないといけないと思います。
 もう1つは、休校が親御さんに与えた影響も考えなければいけないと思います。私も小学生の子どもがいて、私事で恐縮なのですが、私の夫はアメリカにいて、実はシングルマザー状態ですので、休校の影響は私にとっても本当に大変でした。ちょうどコロナが始まってしまったので、後で御紹介するアンケート調査を毎月毎月そこからやらなければいけなかったということで、全く回っていなかったです。ただ、私の場合は比較的自由、毎日オフィスに行かなくていい、毎日9時から5時まで別にパソコンの前に張り付いていなくていい職業だったので何とかなりました。だけれども、そうではない方たちというのは本当にいると思うのです。絶対に職場に行かなければ成り立たない方もいらっしゃると思うし、その辺も総合的に考えると、恐らく休校というのは精神的には皆さん、親御さんにも影響を与えたかなという感じがいたします。ただ、もう一度付け加えておくと、ここはちょっと直接的なエビデンスがあるわけではないので、あくまで推測ということです。
 次ページに行っていただいて、最初の非正規のデータです。先ほどちょっと御紹介がありましたので、余り詳しくは見ないのですが、御覧になって分かるように、非正規の方の職員とか従業員の数が2019年と2020年の同じ月を比較してどのぐらい減ったかということなのですけれども、やはり去年3月ぐらいからかなり減っています。4月からもずっと減っていって、8月に至っては約85万人ぐらいの女性の従業員者数が減っているということで、非正規の方にも本当に大きな影響が出ていると。
 次ページの正規の職員の方を見ていただくと、そうでもないと。今回、学生さんの調査とか、自分がやっている一般市民のアンケートを見ても思うのですが、コロナの影響がすごく出ている層と余り出ていない層でかなり分かれているのです。ですので、影響がかなり出ている層というのを本当に丁寧にケアしていかなければいけないかなという感じがいたします。
 次ページです。ちょっとざっと御紹介いたします。先ほどちょっと申し上げた去年4月から毎月やっている一般市民を対象にしたアンケートです。毎月違う方で1,000人取っています。その中でいろいろなことを聞いているのですが、1つはうつの状態と不安障害についてです。これは専門家やお医者さんが使う国際的な指標を使って、幾つか質問をして判定しています。こちらに載せているのは、例えば上の段だと、うつ状態と判定される方の割合です。これは男女、年齢別に載せています。左が男性、右が女性です。
 下のほうは、不安障害と判定されるレベルの方を載せています。これを見てお分かりになるように、緊急事態、去年4月直後から若い方の状態がずっと悪いです。一番悪いのは若い方です。私はこれをやった当初は、高齢者だと思っていたのです。コロナというのは高齢者が一番危ないと言われていたので、皆さんきっと感染の不安を抱えているかなと思ったのですが、結果は全く逆で、ずっと若い方です。ということは、皆さん何を不安に思っていて、何が影響を与えているかというと、恐らくコロナ感染自体の話だけではなくて、それに伴う将来への不安とか、それに付随するものもかなり影響が出ているのかなと思います。ちなみに、例えば上の右側を見ていくと、これは女性の年齢別に載せたものですが、うつ状態です。お分かりになるように、4月、5月と悪くて6月でかなり悪くなって、7月になると一度良くなっています。ただ、だんだんまた秋から冬にかけて悪くなっていると。なので、秋から冬にかけて増えているのと整合性があるかなと思います。
 ただ、これについては、もちろんうつになった人が皆さん自殺するとか、そういうことでは全くないのですが、一部の方ではなくて全体的に日本国民の、特に若い方の精神状態が悪いというのはこれで確認できるかなと思います。
 これは背景で、実際にどうするかの話なのですが、次ページです。本当に困っていらっしゃる方は、いっぱいいらっしゃいます。私は、「あなたのいばしょ」というNPOの理事もしていますので、チャット相談の内容を見られる立場にあります。ですので、いろいろ見ていますが、本当に困っていらっしゃる方はいらっしゃるのですけれども、ただ、例えばチャット相談に相談する人若しくは行政に助けてと言う人は、本当に一部です。なぜかというのをここで考えなければいけません。今日はそこを皆さんで考えられたらいいかなと思っています。
 生活に困窮しているだけではなくて、自殺を考えるほど追い詰められている方でも、必ずしも助けてと言えない、援助要請ができないということはよく知られています。援助ソースはいろいろ考えられています。医療機関でもカウンセラーでもいいし、相談機関でも何でもいいと思うのです。ただ、それでも自分の状態を把握して助けてと言うのは、本当にハードルがあると。だからといって彼らが必要としていないわけではないのだけれども、そこから一歩出られない。出たとしてもその次が難しいというハードルを幾つか御紹介したいと思います。
 次です。その話に行く前に、支援をどうやって困っている方に届けるかということをまず整理して考えたいと思うのですが、基本的にパターン1と私が勝手に呼んでいるものが現状です。困難を抱えて困っている人が「助けてください」と自分で援助要請をしに行くと。その相手が行政でもいいですし、相談機関でも先生でも何でもいいです。これがいわゆる普通のやり方です。次のパターン2というのは、こちらから見付けていくということです。困った人がいるかどうかを行政とか援助機関等が捜して、こちらがアプローチして困った人に届ける、プッシュ型ですが、これは余りやられていないのですけれども、今日の議題として可能であれば、こちらについても検討できればと思っています。
 これからお話するのは、基本的にパターン1についてお話したいのですが、次に行っていただけますか。こちらがパターン1です。要するに、困った人が助けてくださいと援助要請をするとする。実は、援助要請しようと思うまでがまず大変です。助けを求めていいのだ、助けを求めるといいことがあるのだとまず思わなければいけません。その次もあります。それが先ほどのステップ1で、ステップ2は実際にそれを行動に移してつながらなければ駄目で、残念ながら私の理解では、現状では2つとも非常にハードルが高いと思っています。
 ステップ1のほうです。次に行ってください。困った人が助けを求めて援助を要請すれば、何かきっといいことが、しかも、それをすることはOKで許されることだとまず思わなければ、絶対に駄目なのです。やったってどうしようもないとか、自分の責任だからほかの人に助けを求めるのはというように、ちゅうちょしていたら絶対にどうしようもないのです。どれだけ我々がPRして、こんなことがあると言ったって、そんなことを言ったって自分にはそんな資格もないし、そんなことやったってどうしようもないよねというような話になったら、ちっともどうしようもないと。だから、そこのハードルをまず考えなければいけないと。そもそも論とか自己責任論とかいろいろ書いていますが、いろいろハードルがあります。ここでやめてしまったらどこにも行かないわけです。こういう方はよくいらっしゃいます。
 特に若い方です。自己責任論のほうなのですが、相談のチャット内容とかを見ていると、やはり自分が悪くて、そうしたら結局、自分が消えれば解決するという思考になってしまうのです。だから助けてではなくて、そうなったら自分が消えて、自殺して亡くなれば家族にも迷惑が掛からないし、全部問題が解決するよねというような考え方になってしまう人も一部います。それをどうするかという話で、自分を責めるのではなくて、あなたは悪くなくて、ほかに助けを求めていいというメッセージを出さないといけないというのと、過去に悪い経験をしていた人、例えば役所ですごくたらい回しになったとか、水際策戦で結局生活保護を受けられなかったとか、相談機関に電話してみたけれども、どこにもつながらなくて、結局誰にも自分は助けてもらえなかったという思いを抱えている方はいらっしゃると思います。
 最後のスティグマですが、やはり日本は、生活保護にはすごくスティグマがあって、特に若い方は、自分は働けるのに生活保護を申請するなんておかしいと思っている方もやはりいると思うので、その辺のマインドセットを変えないと、まずここまで行ってもらえないと。このハードルをクリアしたとして、実際に援助要請することにしました。では役所に行ってみようというところは次のページです。ステップ2ですが、これで分かったと、やはり自分は助けを外に求めなければと思って行動に移したとしても、例えば私がどうしよう、自殺したいなと思っていろいろ情報を捜しても、パッと見付からないことが多いです。今、自殺の話をしましたが、例えば行政に何か補助金とかをもらうにしても、大体自分に申請資格があるかどうかも分からないと、やはりハードルが全部あるのです。
 これは情報不足の話ですが、かと思えば、一方で情報過多のときもいっぱいあります。例えば、多分この後、御紹介があると思いますが、厚労省さんはいっぱい相談機関を案内するページがありますが、私もいろいろ試しましたけれども、検索するといっぱい出てきてしまうのです。そうすると、一体自分はどこに連絡したらいいのかちっとも分からないし、困っていて自殺を考えている人に、10個の相談機関を見て自分で決めろというのは、はっきり言って酷です。ですので、困った人というのは情報処理能力が低下している、若しくは時間もないし気力もないということを我々は念頭に置かなければいけなくて、なるべく簡単にしなくてはいけないし、情報をこちらから提供して、すぐに分かりやすくアクセスさせることをしなければいけないと思います。ホームページのこととかは、多分4回目以降でお話になると思いますので余り言いませんが、ちょっとホームページなどを見ていると、どこに行ったらいいのかナビゲーションがすごく難しいというケースもあって、もうちょっとユーザーにフレンドリーなものにしたほうがいいかなという感じがいたします。
 あとは手続です。手続は、日本は本当に大変で、私はアメリカ生活が長かったからかもしれないのですが、書くことがいっぱいあるし、役所に行ったらここに行って、ここに行ってとたらい回しにいろいろしなければいけないしと。これは私のように時間がある人はいいですが、時間がなくて子どもを抱えて、一緒に役所に行っていろいろな所を回れといったら、やはり無理だと思います。申請書だって、例えば収入を書いたりとかいろいろ見なければいけないですよね。そこで諦めてしまう人もいると。だから、うんざりして、もういいとなってしまう可能性が今はすごくあると思っていて、そこも考えなければいけないと思います。ですので、実際に行動したときのハードルと、そこに行くまでのハードルと分けて今回は考えるといいかなと思います。
 最後です。ちょっと長くなってしまって、もうここでやめますが、次ページです。今日はいろいろお話しましたが、どこにアプローチするかによって方策が変わると思うのです。PRしているだけでは多分駄目です。ですので、どこにターゲットして、どこの皆さんの行動を変えたいかによって、かなりピンポイントに考えないといけないと。これをする際に、学術研究の知見の例というのは多分役に立ちます。例えば、「ウェルテル効果」というのは皆さん御存じですよね。自殺について報道があると皆さんが自殺したくなるという話なのですが、「パパゲーノ効果」というのがあって、似たような感じなのですけれども、これは自殺を考えていた人が乗り越えたと。要するに、そういうようなストーリーを出すことによって、ポジティブなメッセージを出すことによって、自殺に関する情報であってもポジティブに持っていくことによって自殺を防ぐということです。
 そういう例えば政府広報とか、相談機関の案内でも実際に相談して良くなった方の例を出すとか、それによって効果がある可能性があります。ついでに付け加えておくと、こういうのを検証するとしたら必ずデータを取って、検証を一つ一つしていって効果があるものをやっていかなければいけないということです。ナッジ(nudge)も同じようなことですが、要するにメッセージの出し方を変えることによって、行動変容を促すということです。先ほどパターン1とパターン2を申し上げましたが、プッシュ型、こちらから探していって、サービスをこういうのがありますよというように出すのも恐らく手だと思いますので、困っている方が自分で検索してアプローチしてというのだけを期待するのではなくて、全体的に検討する必要があるかなと思います。以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございました。御報告の前半では、コロナ禍での自殺の動向、男女や年齢、共通の部分があります。特に女性で増えている背景要因は何かということです。ただ、複合的な要因で、明確にこれだけというようになかなか分からないのが現状だというお話がありました。後半は、そういう自殺を考えている人は、援助の必要性は感じているけれども、なかなか援助のあるところまでたどり着けないというハードルがあるというお話で、そういう人たちが行くというのはなかなか難しいし、行ってもその後のいろいろなことでちゅうちょしてしまうと。そういう意味では、こちらから情報を提供するようなパターン、アクセスが大事だというお話を頂きました。
 それで、後半の自殺に対して要請を求めている人たちにどう情報を届けるか、あるいは行動を起こしやすくするかについては、たぶん後で議論していったほうがいいと思いますので、ここでは先ほどの参考資料のデータの部分と、上田先生の前半のデータの所だけちょっと伺って、どう支援を届けるか、その人が行動しやすくするかは後で伺えればと思います。まずは参考資料と、上田先生の前半の部分について御質問です。ここはどうなのかということを先に伺えればと思います。いかがでしょうか。前半はいいですか。
 
○小室淑恵様 ((株)ワーク・ライフ・バランス代表取締役) すみません、先生、いいでしょうか。
 
○佐藤博樹座長 小室さん、どうぞ。
 
○小室淑恵様 ワーク・ライフ・バランスの小室です。上田先生、よろしくお願いいたします。
 
○上田路子様 お願いいたします。
 
○小室淑恵様 ちょっと伺いたくて、自殺者のデータとその背景、特に女性の方、その方の内訳が正規、非正規、無職というような状態とひも付いたデータというのがあったり、若しくは完全にひも付いていなくてもいいのですが、グループヒアリングなどで何か分かっているデータがありましたら教えてください。
 
○上田路子様 残念ながら、雇用形態については分からないです。ですので、亡くなった方が働いていたか、無職か有職者だったかぐらいは分かるのです。それが6ページですかね、性・職業別変化率の所で有職者、無職者というような感じで、一応そこまでは分かるのですが、雇用形態が分からなくて、ただ産業ぐらいは分かります。ですので、例えばサービス業とかは分かるのですが、ちょっとそれが残念ながら分からないのです。これは警察がデータを取っていないので、どうしようもないという感じなのです。
 
○佐藤博樹座長 自殺統計のね。
 
○上田路子様 そうです、自殺統計ですね。これは自殺統計で、もう1つ厚労省が取っていらっしゃる人口動態統計もあるのですが、これも雇用形態までは聞いていないです。職業別のが5年ごとで、たまたま去年ですが、それが出ていないので分からないのです。なので、残念ながらそこは分からないです。ですので、かなり間接的に非正規雇用の方がすごく影響を受けている。かつ比較的若い女性の方が増えている。もしかしたら関係があるかなぐらいしか今のところは言えないですね。
 
○小室淑恵様 分かりました。もし上田様がいろいろ聞かれたところで推測されている内容に、より近い話がありましたら、また教えていただけたらと思います。ありがとうございます。

○佐藤博樹座長 今の話に関係して、先生が独自にやられているスライド番号は分からないのですが、うつと不安障害のデータがありますよね。
 
○上田路子様 はい。
 
○佐藤博樹座長 もちろん自殺の原因というのは複合的で、特定するのは難しいにしても、うつとか不安障害がかなり関連性が高いとすれば、毎月1,000人でパネルではないにしても、例えばこの調査でうつや不安障害を持っている人の雇用形態とか、そういうのは分かりますか。
 
○上田路子様 分かります。すみません、これは御紹介するのを忘れました。そうですね、やはり非正規の方、失業中の方、あと職を今探していらっしゃる方の状態が一番悪いです。それは確実に言えますので、雇用状態が安定しない方の精神状態が安定しないというのは、確実に言えるかなと思います。
 
○佐藤博樹座長 そうですね。
 
○上田路子様 ちなみに、2番目に悪いのは学生さんです。ですので、それもある程度、自殺者数と整合的かなとは思います。
 
○佐藤博樹座長 ですから、これは研究者的に言うと、1,000人ずつだけれども、積み上げてしまって1万人のサンプルで、多変量で分析をされていて。
 
○上田路子様 しています。
 
○佐藤博樹座長 そういうのとかがあれば、もし後で頂ければ。
 
○上田路子様 多変量と先生がおっしゃっているように、今お見せしているのは年齢別だけですが、例えば雇用形態とか年収とか学歴、いろいろなことを考慮に入れても結果が残るかというのはもちろん確認していて、やはりそうですね。雇用形態が不安定な方は、いろいろなことを考慮に入れたとしてもやはり残るということです。
 
○佐藤博樹座長 その辺を少し見ていただくというのはあるかなと、小室さんの関心であれば。
 
○上田路子様 そうですね。
 
○佐藤博樹座長 ですから、もし論文があれば、是非また事務局にお送りいただければと思います。
 
○上田路子様 そうですね。
 
○小室淑恵様 もう1つだけいいですか。
 
○佐藤博樹座長 どうぞ。
 
○小室淑恵様 この自殺が増えている状況というのが他国はどうなのかということ。
 
○上田路子様 そうですよね。
 
○小室淑恵様 日本よりも長いロックダウンをしている国が多いかなと思いますので、ロックダウンが始まった時期から自殺が増える時期のタイムラグのようなものというのに何か法則性とか、他国の傾向があったりするのかというところはいかがでしょうか。
 
○上田路子様 他国はまだデータが出そろっていない所もあるのですが、幾つか出ている所を見ると、基本的には下がっています。これは何かというと、去年4月、5月で自殺者数が下がったのと恐らく同じような原理で一時的に減っていて、あちらはずっとロックダウンが続いていますので減っています。ただ、その後、回復期にどうなるかというのはまだほかの国のデータが出そろっていないので、ちょっと分からないですね。先ほども申し上げたのですが、緊急事態とか戦争とか自然災害とか、何か緊急事態が起こると人というのは自分を守ることを優先するので、自殺者数というのは基本的には一時的に減ります。ただ、揺り戻しが起きてくるのは回復期で、2011年の震災のときもそうだったのです。一時的にすごく減って、5月ぐらいから増えてしまったのです。ですので、そういう意味では、他国はまだ揺り戻しを経験していないのでまだ分からないのですが、コンセンサスとして今のところは減っているということになっています。
 いろいろなメカニズムがあります。先ほどの非常事態への反応だけではなくて、例えばコミュニティーとか家族の結束が高まるとか、そういうのもあって一時的には減るというのはよく言われています。
 
○小室淑恵様 ありがとうございます。
 
○佐藤博樹座長 まだあるかも分かりませんが、ちょっとデータのことを今伺っておいて、支援の在り方については、上田先生の話を踏まえて、皆さんの御意見を後で伺えればと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、この後は自殺予防対策と生活支援策について、厚労省の施策とそれぞれについての情報提供の仕方を、最初に自殺予防対策について岩井審議官に御説明いただければと思います。
 
○岩井審議官 それでは、私から自殺対策と生活支援について御説明申し上げます。自殺対策については、上田先生から本質的なところは全てお話いただいておりますので、取組とかPRの状況などについて御説明申し上げます。
 まず3ページです。自殺対策は平成18年、これは議員立法で自殺対策基本法が成立したところから始まっている、大きく動いております。それ以降、ずっと自殺者数を減少させるという状況になっているのですが、やはりその本質的なところは誰も自殺に追い込まれることのない社会という、社会問題として捉えたことにあろうかと思います。多くの自殺が追い込まれた末であるということを基本認識といたしまして、関係省庁で連携して行っております。例えば自殺に関するデータ等が、警察庁の協力で非常にタイムリーに出てきますが、これなども議員立法、国会議員の先生方や関係者の御努力の賜物だと思っております。
 4ページ、自殺対策の推進体系です。これは三層構造となっており、現場の市町村において関係機関が連携して対策に取り組むのが基本です。都道府県の地域自殺対策推進センターが市町村を支援するということ、それから地方自治体と民間支援団体が自殺相談を行い、具体的な支援に繋ぎ、厚労省と指定調査研究等法人が、データの提供や財政の支援を行うという仕組みになっております。
次のページ、先ほど上田先生からございましたように自殺者数の動向です。令和2年につきましては対前年比で912人の増加となりました。これは基本的には女性の増加です。
 次のページが直近で、令和3年1月は若干減少いたしましたが2月にはまた増加傾向です。
 7ページ、(自殺者数の年次推移の)総括ですが、令和2年自殺者数は2万1,081人となり912人の増となっております。男女別で見ますと、男性は11年連続の減少ですが、女性は2年ぶりの増加です。とは申しながら、まだまだ男性のほうの自殺者数が2倍多いことを忘れてはならないということです。
 8ページ、その自殺者数の中身で「年齢階級別」です。ここで御注目頂きたいのは女性の部分、「差」の部分の『女』ですが、全ての年齢層において増加しているということが令和2年の特徴です。「職業別」ですが被雇用者、無職者、学生が多く、無職者の中でも主婦等が多いということが特徴かと思います。「原因・動機別」ですが、先ほど上田先生もおっしゃいましたように、自殺については複合的な要因ですので、これというのはなかなか決められません。(原因・動機として)『健康問題』が多いのですが、この多くはうつ病と考えられ、その背景には経済問題とか社会問題等様々な問題があろうかと考えられます。
 9ページ、自殺者数の推移です。ここで申し上げたいのはやはり経済情勢、特に雇用情勢が急激に悪化した際に、自殺者も連動して急増するということが言えるということです。
 10ページ、指定調査研究等法人において、令和2年前半の自殺の動向について分析を行っております。上の箱にありますように、令和2年4月から6月までは社会的不安の増大で減少しましたが、7月以降に増加しております。様々な年代、特に女性が増加傾向にあります。女性の方でも、同居人がいる女性と無職の女性の増加が目立つという状況です。
 それから、先ほど上田先生もおっしゃいましたように、自殺報道の影響と見られる自殺者数の増加が見られます。一方、緊急小口資金の貸付等、政府の支援策に抑止効果があるのではないか、その可能性があるということも指摘されております。
 11ページ、政府の対応は様々で、総合的に対応していますが、即応的なものといたしまして相談が重要です。ここに挙げたのは主な相談の窓口ですが、地方自治体等が行うところの「こころの健康相談統一ダイヤル」につきましては、本年1月より夜間電話の対応を順次開始しております。そのほか、「よりそいホットライン」なども24時間対応しております。また、子どもに特化したものとして「チャイルドライン」があります。 SNS、特に女性はSNSの利用が多いのですが、SNS等の相談窓口として「NPO法人自殺対策支援センターライフリンク」や女性のための相談窓口である「NPO法人BONDプロジェクト」等があります。最後ですが「支援情報検索サイト」、これは厚労省が運営しているものですので、後ほど説明いたします。
 12ページ以降は若い方の自殺の動向です。小・中・高生の全体、また高校生・中学生では過去最大値となっております。
 13ページを御覧ください。性別あるいは年齢別ですが、特徴的なのはやはり女子の高校生の増加(60名)で、ここが際立っている状況です。
 14ページ以降は、その対策です。学生生徒については文科省ですが、特に今年は休校等もありましたので、対策を特に講じているということです。10代、20代ですが、やはりSNS相談を充実しております。あるいは、働く方については「こころの耳」で、SNS相談等の開始や電話回線の増加等を行っております。
 15ページです。女性を対象とした対策では、自殺総合対策大綱に基づき、生活資金等の給付や貸付、職業についてはハローワークにおける相談支援体制の強化や求職者支援訓練の枠の拡充等を行っています。DV被害者への支援も大変重要ですので、これも短縮ダイヤルやDV相談プラスの開始等を行っております。それから子育てなどに不安を感じる女性への支援として、ひとり親家庭の相談窓口におけるワンストップ相談のほか、特に妊婦さんにSNS相談とかアウトリーチによる相談支援を実施しております。メンタルヘルスについても支援を行っている状況です。
 16ページです。先ほどちょっと申し上げましたが、やはり心の健康についてはできるだけ夜間等も対応しなければならないということで、「こころの健康相談統一ダイヤル」で1月から順次対応しておりまして、2月から全国で実施をしているという状況です。
 17ページは厚労省を中心とした実施体制ですが、SNS等の相談体制の拡充、あるいは人材養成等については補正予算での対応です。
 18ページは来年度予算です。同様にSNS等相談体制の強化、あるいは地域ネットワーク作りを行っているという状況です。
 続きまして施策のPRについてです。20ページ以下、このようなツールを使って行っておりますが少し先へ行かせて頂きます。
 21ページを御覧ください。厚労省のトップページから、「困っているがどこに相談していいか分からない」ということに対して、私どもとしてもできる限りの対応をしている状況です。この「よりそいホットライン」とか「SNS等による相談」という項目があり、「よりそいホットライン」をクリックしますと、右上のようなところに行きます。外国語の相談も含め、様々な課題ごとに相談窓口を紹介している状況です。
 「SNS等による相談」についてはLINEやTwitter等、様々なSNS相談窓口を紹介しております。その中で下の「支援情報検索サイト」、「まもろうよ こころ」については厚労省が運営しているものです。次ページの「支援情報検索サイト」ですが、このような形で悩み別、方法別、地域別に検索できるというものであり、先ほど情報がいっぱい出てしまうというご指摘でしたが、そのようなものをなるべく分別してお知らせしております。
それから「まもろうよ こころ」について、これは自殺に関するものですが、このように相談窓口、「ゲートキーパー」、それぞれの対策の取組等について紹介しているページを作っております。
 24ページ、これは相談窓口一覧リーフレットページです。これを自治体のひとり親家庭の相談窓口とか、労働局に置いて頂きまして紹介をしています。
 25ページを御覧ください。やはり、まず相談してみようと思っていただくことが必要と先ほど上田先生からも指摘がございました。特に3月は自殺対策強化月間ですが、ポスター等とともに検索広告、SNS広告を行っております。検索広告でありますと、例えば「死にたい」等のワードが入りますと、このような広告で窓口等を紹介するという取組を行っております。SNSも同様です。
 また、右の方にネット記事がありますが、ここで様々な専門家のインタビュー等を記事にいたしまして、どう対応したらいいのか、どう思ったらいいのか、先ほど上田先生がおっしゃいましたように、自分がやはりいろいろ相談していいのだということを思っていただくように、PRというのは、そういう意味では確かに重要だと考えておりまして、こういう取組を行っているという状況です。
 次に26ページ、自殺報道ガイドラインです。これは先ほど上田先生の御指摘にありましたが、今回、著名人の自殺報道の後に自殺が非常に増えており、統計的にも有意な数字が出ております。これは過去から言われており、厚労省あるいは指定調査研究等法人も取り組んでいるのですが、報道機関に対しましてお願いをしております。これはWHOの報道ガイドラインで右のほうに、「やるべきこと・やってはいけないこと」とあります。例えば、やってはいけないことであると、目立つような配置をしない、過度に繰り返さない、それからセンセーショナルな表現を使わない、手段について明確にしない、あるいは現場・場所の詳細を伝えない等です。こういう取組をお願いしておりまして、かなり改善はされてきているようです。
 ただし、やはり、大きな新聞とかには対応いただいているが、全ての報道機関がそういうわけではございませんし、ネット検索等も多いのでそういうところもあります。また、一つの報道機関が報道すれば、現在ではニュースサイトとして出てしまいますので、それが広がってしまうということで、これが重要な課題であると思っております。私どもとしてはこれをとにかく報道機関にお願いしておりますので、できればこの点について皆様にもいろいろと啓発等について御協力いただければと思います。以上が自殺対策関係です。
 28ページ、生活支援です。関連するものといたしまして生活困窮者支援、リーマンショックのときに、年越し派遣村などの貧困問題が顕在化したことは御記憶にあると思いますが、そこから様々な取組が始まっています。
 29ページを御覧頂ください。生活困窮者自立支援法に基づきまして、様々サポートしています。これにつきましては、対象者はやはり顕在化せず見えにくい方がいらっしゃいます。私どもの方針といたしましては、見えにくい方を探して、アウトリーチで捉えようというのが基本です。そこにありますように見えにくいのは、多分ひきこもりの方、長期失業者、ソーシャルワーカーが支援している方、もっと言うと多重債務の方とか様々ですので、これらが全て対象です。
 30ページです。生活困窮者自立支援制度の概要です。そこにありますように全国1,336機関の相談窓口があり、基本的にワンストップで相談を受けます。様々な機関につなげるのも行いますし、アウトリーチ等も行っております。
 右側はそれぞれの施策です。例えば住居確保給付金で住居に対する安定を図るとか、就労だと様々な段階、いきなりフルで働けないなど、厳しい方は中間段階を経て、などそれぞれの段階に応じた支援を行う。一次生活支援事業というのは例えばシェルターです。行く場所もないような方に対してシェルターを提供するということです。
 それから、子どもの学習・生活支援事業等も行っております。子どもについては次の31ページですが、学習面を支援するということもありますが、やはり家庭に居場所がない子どもたちに対する居場所作り、それから親御さんに対して様々な理解を求めるとか、そういうことを行う事業を行っています。これは貧困の連鎖を防止する、そういう子どもの学習支援・生活支援を行うということです。
 32ページを御覧ください。この取組は以前から行っているのですが、コロナ対策、コロナを踏まえ強化したもので、様々あります。①から⑭まで書いていますが、前半の方は体制の強化、赤字の➈⑩のように、コロナ対策、例えばオンライン支援、インターネット開設の支援等ITに係る支援を行うとか、子どもに対して、例えば子ども食堂に対する支援等を行っているところです。下の方にありますようにアウトリーチ支援等巡回相談支援についても強化している状況です。
 33ページです。このコロナの中で緊急小口資金、あるいは総合支援資金の貸付を行っております。これは非課税世帯、困窮世帯に償還免除付の特例貸付を行っております。無利子です。
 これにつきましては次のページ、現在約170万件の貸付を行っております。昨年が1万件ですので今年は170倍ということで、全国の社会福祉協議会に大変御苦労をいただいているのですが、それで行っているという状況です。
 35ページ、36ページは、住居確保給付金です。先ほど申し上げましたが住宅の確保のための家賃支援を行っております。12か月まで延長できます。これも昨年度が4,000件、今年度が12万件、約30倍の給付を行っている状況です。
 37ページです。生活保護、最後のセーフティーネットは生活保護ですが、これにつきましても、いわゆる「水際対策」をしないとか、資産に様々な要件がありますが弾力化をして、できる限り受けやすく、そして「出やすく」と言っていますが、できる限り受けやすくするのがポイントです。
 38ページ、ひきこもり支援対策を御覧ください。ひきこもり支援対策につきましては市町村、都道府県それぞれの段階で支援していますが、基本的には相談等を受け付け、訪問による支援、居場所作り、それからピアサポートと言っていますが、当事者等がSNSによる支援等を行っている状況です。
 39ページです。「重層的な支援体制」と書いてありますが、基本的に申し上げますと様々な施策は全部ワンストップで相談を受ける。それを地域につなげていくということで、基本的にお金の使い方を使いやすくする。一体的に施行できるようにするという仕組みです。このようになっております。
 最後、40ページ以下、生活支援に関するPRですが、まずリーフレットで様々な施策を紹介しております。それから相談窓口がどこにあるかということを、ホームページで紹介しています。年末年始はどこに行けばよいのか、困られる方もいらっしゃるので年末年始もここに掲げました。それから困窮者支援情報共有サイト、これは自治体や研究者、NPO、団体で支援されている方々等の様々な支援情報等をまとめるサイトを作っています。
 次に42ページで緊急小口資金や住居確保給付金に関する例です。リーフレットの他にSNSで情報発信し、できるだけ分かりやすく簡単に、例えば「最大60万円の再貸付を行います」と情報発信をしています。また、ホームページにおきましても分かりやすい情報提供を行っております。
 43ページ、生活保護です。生活保護につきましてはホームページやTwitterで制度を紹介するとともに、バナー広告を行っております。また、右のほうにホームページも紹介しております。ここにありますように「生活保護の申請は国民の権利です。必要とする可能性はどなたにもあるのですから必ずご相談ください」ということ、年末には大臣からも会見で、「権利ですから相談して下さい」とお話しました。私の経験でも、私は社会・援護局は3回目なのですが、かつてはこういうような「相談してください」とか「相談していいんだ」とか、そういう表現はなかなかしていなかったのですが、少しずつですが、変わってきている状況です。
 以上です。
 
○佐藤博樹座長 政府の自殺予防対策と生活支援ということで御説明頂きました。それぞれの情報提供の仕方についても御説明頂きました。自殺については先ほど小室さんからも御質問があったよく使われる8ページのデータ、これを見ると企業に雇われている被雇用者というのは分かるのだけれども有期、無期、正規、非正規、この辺は取れないということですね。あと無業については主婦というのは取れるし、雇用保険で年金をもらっているかどうか。ただ、それ以外の失業者はある程度分かる。
 あと、もう1つは13ページ、これを分析して学習について、小学校、中学校、高校もやられているようですけれども、これを見れば8ページよりもう少し詳しくできるのですか。例えば正社員・非正規というのは分かるの。個票を見れば分かるのですか。
 
○事務局 正規・非正規については先ほど上田先生からありましたように、警察のほうでそこまで確認していませんので、それは分からないです。ただし、例えば8ページにあります「原因・動機」については本当はもう少し細かいものがありまして、生活問題であれば失業倒産、多重債務、そういったものがあります。雇用者については、先ほど先生からありましたように有職か無職か、有職の場合、どういう職業かと言うのが分かります。例えば、事務員、販売店員であるとか、そういうことは分かりますが、残念ながら雇用形態については分からない。ただ、ちょうど原票の見直しを警察庁のほうでも検討しております。雇用形態についての御意見もありますので、そういうものを踏まえて今、検討しています。
 
○佐藤博樹座長 私が思っているのは13ページで、自殺対策推進室が、原票にあるけれど集計されていないものがあるのかなと思っただけなのです。原票にもないということね。
 
○事務局 はい、正規・非正規は原票にもありません。
 
○佐藤博樹座長 分かりました。私だけ切望していてもあれなのですが、一応こういうように進めさせていただければと思います。前回のように、オンラインというのはストレスが高いので疲れる。健康上の背伸びタイムが必要なので、ここで5分休憩させていただいて、その後こうしたいと思います。まず、やはり自殺対策についての御意見なり要望を1巡、次に生活支援対策を、2巡で回そうと思います。重なる部分はもちろんあるのですが。主に自殺対策の政策なり情報提供、あるいは支援の仕方について伺って、次に生活支援について伺ってという形で2巡は少なくとも全員で、あと自由に手を挙げてやりたいと思います。
 それでは、今から5分休憩します。5分たったらもう一度参集していただければと思います。どうもありがとうございました。
 
(休憩)
 
○佐藤博樹座長 再開させていただきます。先ほど御説明したように、まず自殺対策あるいは情報提供について、御意見などを伺います。確認的なのは、その場で事務局がお答えいただけるようです。また、政策については、まとまって後でということです。全員ずっと回す形にしたいと思いますので、メンバーリストで、多分お手元にあるかな。それと、研究会メンバーの方はいろいろ肩書きがありますが、私はさん付けでやらせていただきますので、そのように御了解いただければと思います。最初に、金子さんから、自殺関連について、御意見なり御質問があればと思います。
 
○金子恵美様(元衆議院議員) 今日、これまでの私の認識としては、自殺に至る方の大きな要因は、大別して2つあると思っています。説明の中にもありましたが、人間関係からの理由と経済的困窮の理由だと思います。その中で、長年苦しみながら自殺に至ってしまう方もいれば、ある瞬間に、突発的に自殺をする方々も多くいらっしゃると思います。前者の方については、先ほど上田先生のお話にあった支援要請があれば、相談窓口とか電話相談を設ければいいということで、ある程度の施策を講じることはできると思うのです。が、むしろ後者の場合、突発的な自死については、それこそ更なる広義の予防策が必要になってくるのではないかと思うのです。
 以前、精神科の先生に、何度もリストカットをした方は、実は自殺に至っていないことが多いと聞いたことがあります。私からすれば、リストカットというのは、ある意味、これは自殺未遂ですが、未遂の段階を飛び越えて瞬間的に命を断つ人は、そのシグナルとかサインは分からないわけです。それをどういう人が危ういのかを、私は広い意味で社会での周知が必要ではないかと思っているのです。
 それはどういうことかと言うと、ずっと自殺願望がある方が、そこで援助要請は出せずとも、本当は死にたくない。誰かに聞いてもらいたいというサインとなる行動などを周知しておけば、そういう方々に対して、手遅れになる前に何とか回避するためのアクションを周りが起こすことができると思うのです。平常の生活から突発的に自殺をされる方、これもまた自殺予備軍の1つだと私は思うし、むしろこちらのタイプの傾向を把握することも大事な点ではないかと思っています。そこはプッシュ型にしようとしても、そもそも対象者が分からない。政策を打つのも難しいとは思いますが、そういう傾向があるかもしれないことを、自分自身や周囲の人に気付かせるアプローチも必要ではないかと思うのです。そもそも自分は自殺とは無縁だと思っていた方が、あるとき急に絶望感に襲われて、追い込まれて死を選んでしまうと。そうならないためにも、平時のうちから自殺についての理解と認識をさせる啓発活動は、併せて重要なのではないかと思っています。
 先ほど説明の中には、「相談を待っている」、「要請があったときの対応はできる」など政策の対応はできているのですが、そうした視点が欠けているように私は思います。なので、まだまだ自殺についての知識とか、現状、はたまた自分にはその恐れがあることも知られていないことが、社会の危うさかなと考えます。
 さらに、自殺予備軍として、ひきこもりの方々、先ほどお話がありましたが、その存在をやはり注視すべきだと思います。資料29にはあるのですが、115万人もの人が自殺予備軍になっているということですが、私が見聞きした数字で言うと、これまで60万人とか、100万人とか、そういう数字だったのです。そのときからこの40万人の数字の開きに違和感を私は覚えていて、これはもしかして、はっきりした実数は把握できていないのではないかと疑問を抱いています。
 実際に引きこもりだと申告してくれる親もいたり、家族もいればいいですが、隠す親もいると伺っているので、先ほど岩井審議官が、今後ここを探していくというお話をされていましたが、ここはどうやって探していくのか、どうしていくのかということと、まずはこの現状把握が最優先だと思っていますし、実数の正確な把握ができなければ、カウンセラーの人数とか、スクールソーシャルワーカーなどの人員確保の計画すら立てられないのではないかと。
 今の政策は何を根拠にやっているのだということから、もう一度見直していくべきではないかと思います。ひきこもり状態は社会との断絶の期間ですから、そうこうしているうちに、刻一刻と時間は浪費されて、間もなくやってくるとされる80・50問題は、更に現実味を帯びてしまう、非常に深刻な事態がやってくると危惧しています。
 最後に自殺対策の窓口。主な窓口は幾つもありますが、電話を掛けても、対応している間はつながらないと。いつ掛けても、なかなか話ができなくて、先ほど話した心が折れてしまう。もういいやとなってしまうということです。これは1つのアイディアですが、そんなに簡単に人員を急増させることは難しいと思うのです。もちろん、そういった人員を養成していくという予算も掛けていると思うのですが、急激に増やすことができないのであれば、今いる人材を生かすべきであって、これは公金を入れるのは難しいと思うので、ここは少し考えていかなくてはいけないのですが、仏教界、お寺さんをもっと使うべきではないかと私は思っています。寺院というのは、もともと仏教とは慈悲と救済の精神ですし、既にすごく真面目な方は手助けしたいと、個々にお寺さんは動いている方がいらっしゃるのです。仏教界の青年部などで話を聞くと、是非という話も聞こえているので、この寺院の活用とかも、これは公金では難しいことですが、工夫していただければいいかと思います。以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。遅れてきた方がいるかも分かりませんが、前半は自殺対策の情報提供をメインに御意見を伺いたいと思います。2巡もありますので、2、3分でお願いできればと思います。次に、今、駒崎さんはいないですね。
 
○事務局 駒崎さんはまだいないです。
 
○佐藤博樹座長 では、小室さんお願いします。
 
○小室淑恵様 今、1巡目は、自殺対策についてだけでしたか。
 
○佐藤博樹座長 に、したいなと思っていて。
 
○小室淑恵様 分かりました。どこまでが自殺対策で、どこまでが生活対策だったか、境目が分からなくなってしまったので、両方になってしまうかもしれないのですが。
 
○佐藤博樹座長 いいです。
 
○小室淑恵様 1つ目が自殺の前段階に、かなりの確率でうつの状態があることがあるので、うつをどう予防するかが重要だと思っているのです。これは私も仕事柄、企業においてうつに関する話が多いのですが、ごくごく基本的なうつ予防に関しても、知られていないことに驚くことが多いのです。日常、毎日、1日の中で少し、本当に簡単な、日に当たることすら、朝日を浴びるという、ものすごくベーシックだと思うのですが、ベーシックなことすら知られていないですし、企業側もそれを雇用している従業員に、積極的に知らせようという動きをしていることも、ほとんど見られていないと感じます。
 もっと言うと、親も知らない。そうすると、子どもの生活の中で睡眠をよく取りましょうとは言われるけれども、それとうつも、ものすごく関わっているのに、学校が早く寝かせと言うから寝かせるみたいな発想は結構あって、それが生涯における本人の命を守るために重要だからというところまでも知られていなかったりすることに、結構驚くのです。ですので、これは長期的な視点から言うと、本来、学校教育の中に、しっかりうつに関する、自殺の教育をするというのは、とても難しいと思うので、自殺を予防する教育をダイレクトに入れると、むしろそのことへの関心が高まってしまうという難しさがあって、多感な時期に自殺のことはなかなか話題にできないことがあるかと思うのですが、その前段階のうつに関して、誰でもなりうることで、それを日常の生活の中でどう予防していくかは、今よりももっと高いレベルでできるのではないかと思います。
 現状、そういうことがどのぐらい行われているのかは、後ほど是非、何かもしデータなどがあれば教えていただきたいというのと、そこに対する対策は今後強化していくべきではないかというのが、私からです。以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。私はすぐ変更してしまうので。1巡目も区別せずに、生活も含めてやっていただいて、次も2巡目は手挙げでやりたいと思います。せめて今日のテーマ全体について、最初、御意見を頂いて構いません。では、菅井さん、お願いします。
 
○菅井利雄様 ((株)ブレインズ・カンパニー代表取締役)(公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー) では、私からは、いろいろお話を伺ってみたところ、非正規雇用の中でも飲食業に従事されている方が多いというのが、それはもう分かっていることです。非正規雇用の方でも派遣会社に登録されている方は、派遣会社の方との相談相手はいまして、そこでいろいろな情報を得たりするのはあるのです。どうしても飲食業でやられている非正規雇用の方は、実際に相談する相手がほとんどいないのです。組織に属していない。ですので、相談相手は、友人とか、回りにいる人。だから、そういうかなり孤独というのでしょうか、なかなか相談する環境が乏しい方々、それでいて、その方々がどういう所から情報を取り入れているのかをもう少し突き詰めていかないと、その人たちに情報がちゃんと伝わるという仕組みができないのではないかと、今、いろいろお話を伺っていて思いました。
 ですから、飲食業の非正規雇用の方々のコミュニティーが存在するのかは、私は分かりません。しかしながら、そういった課題はみんなすごくクリアに分かっている状況の中で、更にもう一歩進めた、もっと具体的なターゲットに対して、どういうふうに情報を届けてより添っていくのかは、これからまだ議論するべきところだし、そこに対する政策はあるのかもしれません。
 加えて、そういった方々が御覧になっているメディアは何か。少なくとも、もしかすると全国紙は読んでいない可能性は高い。LINEは御覧になっている。あるいはネット。少なくともデジタルはあるとは思うのですが、そういったところはもう少し、LINEとか、そういうことだけではなくて、もう少し考えていってもよろしいのかと思います。あと、これは前回もお話させていただいたように、厚労省さんが一生懸命やられているのは十分わかっているのですが、もう少し自治体に移していって、自治体での対策をもう少し進めていってもいいのではないかと思います。
 先ほどのデータにもありましたが、県別のデータは出ていませんよね。そこの首長の知事あるいは市長が、その認識をされているのか、していないのかは、大きいポイントだと思うのです。自殺というのは自殺と思うと、すごく深刻に構えて、私もPR業は30何年もやっていますが、このテーマはなかなかやったことがないのです。でも、これをもう少しシンプルに考えて、生活習慣病と同じてはないのですが、例えば県別にデータは出ています。その県は、例えば脳梗塞が多い県は、それの対策を打っています、青森県とか。そういった、もう少し、今のコロナ対策もそうですが、各地域に落とし込んで、自殺をどうやって減らしていくのか、地域ぐるみでやっていかないと、この問題解消というのでしょうか、課題解消はつながらないかと思いますので、その辺も今後、是非うまくリードしていただければと考えます。私からは以上です。
 
○佐藤博樹座長 今、簡単に答えられますか。前半の自殺についての都道府県別のデータは、出ているのですか。
 
○事務局 はい、都道府県だけではなくて、市町村別も。
 
○佐藤博樹座長 市町村別も、出ていることは出ているのね。
 
○事務局 毎月、ホームページで紹介して、見られるようになっているのです。また、自治体には、そこの自治体で、若い人が多いとか、どういう原因で亡くなっている人が多いという情報も、提供しています。
 
○佐藤博樹座長 それは自治体以外に出すのは、今、結構大事かもしれないですね。
 
○事務局 それで、すごく熱心な所は、それで対策を取っているところです。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。それで、今、情報提供は今回だけではないですが、今話したように、先生のように少し大きい会社だと、本社、人事が対応するのだけれども、有期契約の人は店舗なのです。店舗、店長の責任者で、そこはフォローがしにくい。派遣社員は、以外に派遣元が結構大きければ、派遣会社がやれば、昔とかなり違うので、それは確かに、広い意味での正規にも、有期契約の直接雇用のほう、店舗雇用みたいな人と派遣では、少し違うかも分からないですね。どうもありがとうございます。今、すぐ出てきますか。では、やっていただく間、次にトラウデンさん、お願いします。
 
○トラウデン直美様(環境省サスティナビリティ広報大使)(慶應義塾大学法学部在学中) 自殺対策について考えてみたときに、何に悩み、どのような悩みを持っているのか、自分でも理解できていない人は、多分すごく多いのではないかと思っています。特に、学生という立場で言うと、将来に対する漠然とした大きな不安とか、それ以外の、特に今でしたら、オンラインだから、人にも会えないから、そういう点にもいろいろな、自分でも実体の分からない不安をすごく抱えていると思うのです。でも、分からないから改善できないし、分からないから相談することも難しい。そもそも相談すること自体にハードルがあるなと感じています。それこそ、先ほど上田先生のお話にあった自己責任論みたいな部分もあると思うのですけど、不満があるのは自分のせいということを感じてしまうことがすごく多いと思っています。先ほど小室さんの話にありましたが、自殺に至る前段階での要望をもっと相談しやすくするというか、自分の悩みをまず言葉にしてみる。どのような悩みを自分が持っているのか、理解してみる段階も必要なのかな。それを誰かと共有できることも、すごく自分はどういう状況にあるのかを理解するために必要なのかと感じました。
 そういった中で、政府機関に相談することも、やはりすごくハードルとしてあるとは感じていて、すごく大ごとになってしまうような感覚は多分持っていると思うのです。そういった意味でも、ゲートキーパーになる、自分がまずゲートキーパーになることを始めて、もしかしたら自分がそれを頼る立場になるかもしれないけれども、まずはみんながゲートキーパーになることを進めていかないといけないのかと思っています。やはり当事者にならないと、そういった感覚とか、なかなかこういう気持ちにならないと思うのです。
 10年ほど前ですかね、厚労省が出していた誰でもゲートキーパー手帳みたいなこと、それをWebで広告みたいな形で出して、何となく目に入る状況に置いておくのは、そういった自殺に対する願望がない方に対しても、少しそういった意識を持てる意味で必要なのかとは感じました。そういった知識が少しでもあったら、何となく少し相談してみるきっかけになるかもしれないと思いました。あまり具体的なことは申し上げられないのですが、学生という立場でそういった感覚があるという感じです。以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。先ほど小室さんのお話に、確かに自殺の一歩手前まできた人をどうするということは、その前からいろいろなことも、セルフ・マネージメントといった、学校教育、あるいは友達同士みたいなのは大事なのかも分かりません。
それでは、西田さん、先ほどのお話で、自殺だけでなく生活支援も含めて、御意見があれば伺えればと思います。西田さん、お願いします。
 
○西田亮介様 (東京工業大学リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院准教授) 東京工業大学の西田です。2点質問させて下さい。1点は、効果が十分に確認されている自殺予防の介入政策とは何なのかについて、不勉強で申し訳ありませんが具体的に教えていただきたいというのが1点です。また基本的には、効果が実証されているアプローチを中心にしながら、横展開なり、スケールを大きくしていくほかはないのではないかとも思います。新規に突然新しいことを行うと、自殺というセンシティブな問題に対して余計な影響を与える可能性があるので、基本的には、効果が確認されている政策を中心にこれまで因果関係はさておくとして相関的には実績が認められているような既存の方法を展開していくことが求められると考えます。
 もう1点は、政府広報、行政広報全般だと思うのですが、情報を求める層や対象に対して発信方法のミスマッチが起きていると思います。そこで質問をさせていただきたいのは、アドネットワーク等の活用や、プラットフォーム事業者の協力は、現状、どの程度求めていらっしゃるのかも、質問をさせていただきたいと考えています。例えば、コロナウイルスに関連する正確な情報や政府の取組を周知するという時、既にプラットフォーム事業者の中でかなり影響力の大きな事業者の協力も得ながら、検索画面の上位などに正確な情報を届けるようにということで実施されているものと認識しています。
 自殺がかなりセンシティブな問題ということを踏まえれば、これは外資系企業等も含まれておりますので、より積極的なプラットフォーム事業者への協力を要請するという形になるのではないかと思いますが、そういったものの活用はどの程度行われているのかをもう1点質問したいです。
関連して、アドネットワーク等を使った対象、特定のターゲットに対する政策、広報は、どの程度行われているのかを、もう1点、付記する形で質問させてください。以上です。
 
○佐藤博樹座長 それについては後で、今、簡単に答えられるの、ではお願いします。
 
○事務局 まず1点目の効果検証ですけれども、一つ一つの対策、それぞれでどうかというのはなかなか出しづらいものですから、それについては今後の課題だと考えております。
 2点目のプラットフォーマーの協力ということで、先ほど資料の中にもありましたが、「死にたい」などと検索をするとYahoo!やGoogleは相談窓口を出してもらうことを社会貢献としてやっておられます。更に広告料を払ってということですけれども、ほかの事業者にもやっていただいていまして、検索をした人の年齢とか、属性とか、検索した人に応じてその広告がよく出るようにするとか、そういうことまでやっておりまして、まだ十分とは言えないかもしれませんが、そういう自殺念慮が高い方に対してより広告が出ることには取り組んでおります。
 
○上田路子様 すみません、少し補足してもいいですか。西田先生の御質問の1点目について補足させていただきたいのですが、自殺予防に効果がある政策ですけれども、これは日本だけではなくて世界的に見ての話ですけれども、実は完全に効果があると分かっているのは、自殺の手段のアクセスを防ぐだけで、それだけは確実に、例えば飛び降りでしたら、ネットを張って飛び降りるなという、電車だったらホームドアを設置してできないようにする。それしか基本的には効果があるという、それが絶対にほぼ100%効果が高いと言われています。残念ながら日本で行われている、例えば啓発活動をして、あとゲートキーパーもハテナマークぐらいで、実はそれは啓発活動が、すごく効果がちゃんとありましたと示している研究は余りないです。
 ついでに一言この機会に申し上げさせていただくと、残念ながら日本の自殺対策は、データを取ってきちんと検証して、効果があるならやりましょうという体制では残念ながらないです。ただ、ほかの国の自殺対策の文書とかいろいろ見ていますけれども、ほかの国は必ず学術研究を引いて、これが学術専門家によって効果が出てると分かっているからこれをやりましょうと、使うのです。残念ながら日本はそこに追い付いていないので、これからせっかく日本はデータがあるので、きちんと検証して清水さんがやっていらっしゃる、研究所がやっていらっしゃるのは分かるのですが、もう一歩、実は必要ではないかなと、ついでに申し上げさせてください。
 
○佐藤博樹座長 まあ、上田先生が言われたのは、後半の部分はほかの政策も含めてということなので。一部、西田先生が言われたようなことのプラットフォーマーの協力はやられているようです。それでは、古市さんお願いします。
 
○古市憲寿様(慶應義塾大学SFC研究所上席所員) 関連して、途中からですけれども、他の環境で例えば死にたいと検索すると、Yahoo!からだと「まもろうよ こころ」に行って、Googleだと「こころの健康相談統一ダイヤル」に行くのですが、特にこの健康相談統一ダイヤル」のほうがちょっと見にくいページだと思って、言葉がバーッと並んでいて。あと、「まもろうよ こころ」にも感じたのですが、今の若い子って電話なのかなと思ったのです。電話にSNSってあるのですが、そもそも電話もSNSも相手、向こう側に人間がいるではないですか。それってやはりちょっとハードルが高いのかなと思って。
 例えば現代人の考え方として、恥をかきたくないというのが多分あると思うのです。だから物を買うときも先に検索するし、お店に行くときも先に検索する。やっぱり恥をかきたくないという。特にこのセンシティブな問題に関して、その電話とかSNS以前でできることがあるのではないかなと思って。例えが適切か分からないですけれども、携帯電話のプランを選ぶときとか、電化製品を買うときとか、いろいろなそのチャートが、ホームページがあるではないですか。選んでいって、何に困っていて、何を選べばいいかということを自分で見つけていくという、そのチャ-ト別に示せるようなものがあったほうがその人員も要らないですし、もう少しそういうページが、1枚でいいので充実していたほうがいいのかなと思ったのです。
 実際今日紹介していただいたような、自殺にまつわるいろいろな施策とか、生活困窮者向けの施策はたくさんあるわけで、やはりそこにたどり着けない人が多いのはすごくもったいないと思うのです。だから電話かSNSでポンッというように守れるみたいに出すのは分かりやすいけれども、もう1個、対人ではなくて自分で分かりやすく調べられる範囲で、そういうものにたどり着けたほうが、情報にたどり着けたほうがいいのではないかなと思いました。
 生活困窮者に関しても同じことが思えて、特に生活困窮者と国が考える人が、生活困窮という言葉で検索はしないと思うのです。実際は多分、家賃払えないとか、滞納とか、お金とかだったら検索すると思うのですが、そうすると大体はカードローンの広告に行き当たってしまうのですね。だからそうではなくてカードローンの会社はもちろんあるのですが、そうではなくて、国としてもこういうことができますみたいなことを、分かりやすいキーワードと共に提示してあげるみたいなことが、もう少しあってもいいのではないかと思いました。
 
○佐藤博樹座長 今の状況での情報提供について、古市さんが具体的に提案いただいて、ありがとうございます。それでは三浦さんお願いします。
 
○三浦瑠麗様((株)山猫総合研究所代表取締役) はい、ありがとうございます。まず、自殺者の内訳を見たときに、絶対的な実数で言うと、もとから言われているように男性の自殺人数が多い、OECD諸国の中でも特に失業率との関係が高いと言われている日本の男性の自殺問題に引き続き取り組んでいかなければいけないということが実数の点では言えます。ですが、今回資料にもありましたように、女性、それから子ども、子どもと言っても年齢層が幅広いですけれども、学生とか子どもの存在、それが実数よりも伸び率において非常に憂慮すべき数字を示しています。子どもについて先ほど、この計算が合っているかどうか分かりませんけれども、電卓でやってみたら43%伸びていると。これはちょっと異常事態ですよね。政策を見ている人間として申し上げたいのは、休校の政策が間違っていたということを総括していただきたいと思うのです。それは全世界ともに間違っているので、決して日本だけ恥じることではなくて、例えばニュージーランドでは最もロックダウンは厳しい考え方を取っている国ですけれども、非常にDV被害が深刻化したということが報じられているわけです。日本はどうしても自殺者数はまだ警察が発表するので何とか統計には載って、ニュースに載るのですが、これだけ間違っていたのね、という総括をやらない国なのですね。なぜ間違えてしまったのかということを考えたときに、政策に関わる人たちの性別とか属性とか社会的行動とか、あるいは配偶者の属性とか、そういうものがやはり偏っていたということがよく分かりました。
 私も小学校3年生の子どもがいて、即席学童をうちの会社でやりましたけれども、私ならばすぐに考え付くことが、想像力がなかったということです。例を1つ上げますと、4月1日ぐらいに、私は休校の影響について、アベノマスクがすごくネットで騒がれていた頃だったのですが、それはそれで無駄遣いだという批判は全然したらそれでいいと思うけれども、今本当に論ずるべきことというのは、休校の影響で小学校高学年から高校生まで、あるいは大学生もそうかもしれないですけれども、女の子が望まざる妊娠をするということですね、という話をしたら、完全に妄想的だと叩かれたわけです。それは実際こうのとりをやっている熊本の病院が発信をするまで、問題が顕在化してからしか取り上げられなかったわけです。どうしても自殺とか、望まざる妊娠とか中絶とか避妊とかこういったものは言及しないほうが現実化しないと思っちゃうのですよね。これがメディアとか官庁とか大学とかいろいろなところに、私はあると思っています。
 でも、言及することによって、正にその連鎖を引き起こしてしまうのは、芸能人の自殺みたいなものを微に入り細にわたって報じる場合であって、むしろ話題にして、あっ、そうなんだ、望まざる妊娠をしたけれども、この子は自分と同じ悩みを抱えていたけれども、例えば安心でそんなに痛みもない、こんなタイプの中絶手術を受けて、そこから先は避妊の方法について教えてもらったんだ、こんなに安価にできるんだみたいな情報をお見せすれば、思い詰めずに済むわけです。特に高校生の女子の自殺の人数が急増していることを見て、私はやはり望まざる妊娠と、彼氏によるDV、親によるDVがあったのではないかと思いました。
 あとはよく巷で言われている、友達と会えなくなってしまって孤立感情を抱えるという問題です。孤独だからすぐに自殺にいく場合というのは少なくて、悩みを抱えた時にそばに相談する人がいないとか、そういう意味で作用することはもちろんあります。
私もかつて当事者だったから、多分皆さんのように支援する側の目線とはちょっと違うかもしれないですが、要はそういう追い詰められた人というのは、自分とすごい密に対話しちゃうんですね。外から見るとおとなしく見えるのですが、何か心ここにあらずで、頭の中では急速回転している状況で、外と内のギャップがすごいのです。そのときにどういうことができるかというと、小室さんがさっき、お日様を浴びてほしいと言いましたけれども、正にそれはそうで。よく皆さんジェットラグを解消するときに、お日さまを浴びて水を飲みますね、あれは本当に効きます。
 私はあるメディアで「あんパン食べる」と言いましたけれども、コンビニに物を買いに行くとか、部屋の中で1つ物を片付けるとか、ペットの面倒を見るとか、ものすごく些細でたわいもないことですよね。いわゆる大文字のことではなくて先ほども古市さんがおっしゃっていましたけれども、困窮している人がいきなり「生活困窮者」という熟語で検索しないというのと一緒で、その人たちがどういうメンタリティーになるのかなというところから入っていかないと。管理する側の目線だと結局自殺した人はこういう属性だった、ではそっちにリーチしようみたいなところまでしかたどり着けない気がします。
 私は今、高校生の指導をしていて、その高校生の中に中学時代かな、自殺を考えた経験があり、その後通信制の高校を選んだ子がいるのですが、その子がチャットボットを自殺対策に使ってほしいという政策提言を書いています。正に今の世代だなと思ったのですが、チャットボットのいいところというのは、やはりプロの技をちゃんと素人よりもうまく模倣することが1つあります。それによって実はかなりの事前スクリーニングができてしまう。そして人員が今足りないわけですから、携帯、スマホを使える世代にそういう悩みが急増しているならば、すぐに人員を増やせない分だけそこをきちんとプロに監修してもらって作るのありだろうと。
 その中で、問題解決できなかったではないか、責任問題になるではないかという声は当然出てくると思うのですが、私がチャットボットにやってほしいのはどういうことかというと、今日は寝たのとか、ご飯食べたの、それから今日は晴れてるよね、ちょっと窓を開けてみてとかそういうレベルなのです。大変だったね、つらかったねとか。子育ての要諦として痛い痛いと言う子には、痛かったねと過去系で返すのが一番効くのですが、そういうものの延長線上なので。これは、私は当事者なだけで、いわゆる心理カウンセラーでもないし、そういう分野の研究者でもないので、そこまで責任は負えませんけれども。
 だから自殺対策でずっと取り組まれてきた、ライフリンクの清水さんのような方が実地で知っていることを悩まれている方々全員のところへ押し掛けて行って提供するわけにもいかないので、発想の大本を変えて、チャットボットなどを導入した上で、それで関与を増やす。そして行政の側が責任を持って考えるべきことは、人為的に人々を家の中に閉じ込めたことによって、DVが過激化し、そして望まざる妊娠が増えたということの総括です。それはもう予防しなかったあなた方が悪いと社会は絶対に思うし、行政だけではなくて、メディアやオピニオンリーダーの人たちもそこに頑張らないで、「ステイホーム」だけを言ったことによって、健常者の恵まれた正規雇用の人たちにしか響かない方向に動いてしまったという総括だと思います。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございました。やはり当事者のメンタリティーなりの人たちと、政策立案なり勉強する人とかなりギャップがあるということで、当事者に寄り添っていろいろ考えてほしいということかと思います。森永さんお願いします。
 
○森永真弓様((株)博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所上席研究員) 私が先でよろしいでしょうか。今日お話を聞かせていただいて、現状3つぐらいやり口というか、問題があるかと思っていて、1つは報道機関への働きかけの充実と、それからSNSでのユーザーの巻き込み方、それから届いた後の、到達した後の窓口の充実という3つあうるかと思っています。これは全て根底にあるのは、今はインターネットも含めて情報がとにかく増え過ぎてしまっているので、いかに情報を捨てるか、いかに情報を受け取らないかという方向に実は行動がいっている中で、PRというのは情報を受け取らせるだけではもう終わりの時代になっていて、受け取ってもらった後どう動かせて、どう私たちの目的に沿った行動を完了させるかというところまで設計して、PRという時代に突入しているので、届けるだけではなくて、どう動かすかみたいなことも考えていったらいいかと思いました。
 報道機関への働きかけ、まず1つ目に言ったことですけれども、どうしてもPRの観点でいうと、新しい情報しか発信してはいけないみたいなことで考えがちですけれども、今はもうちょっと感覚が変わってきています。例えば大阪とか東京の都市圏で雪が降りそうになったときには、必ず自動車メーカーがSNS上でスノータイヤとかチェーンの話を毎年毎年、この10年ずっと続けられているのですね。それは昔にスノータイヤのつけ方、チェーンのつけ方を言ったからもう言わなくてはいいではなくて、今このタイミングで雪が降りそうで、雪に慣れていない地域の人たちには、チェーンをつけなくてはいけないという使命から毎回言うとなると。
 では、著名人の方が自殺されたときには、毎回毎回、報道機関への勧告みたいなことをきちんとやっているという姿勢を見せるであるとか、あるいは今回いろいろな施策を厚労省が出させていますといったときに、1年の総括で、この1年でこの領域にはこれだけ予算を実は増やしていたのですとかいうようなことを、改めてもう1回、2、3回やってみるみたいなことで、実は届いてなかった人たちに、ない予算を取り合っていると思っていたら、こんなに増やしてくれていたんじゃん、じゃあ申請していいやみたいなことも含めて、新しい情報だけではなくて、古い情報も何回も何回も使ってみるということがあるかと思います。そういうことを出すことによって、SNSユーザーの元気な人の巻込みですね、生活困窮をしている自殺者の周りにいる元気な人たちが、あっ、あの人困っているかも、自分の友達、近所の人が困っているかもといったときに、こういうものがあるよというように、差し出せるような環境を作るための教育の場として、SNSを情報提供の場として使うみたいなことがあるかと思います。
 それから3つ目、窓口の充実ですけれども、先ほどから最初に出てきているGoogleで死にたいとか、自殺方法とか検索すると、きちんと厚労省のが上にバンッと出てくるので、それは事前に検索させていただいて、よくできているなとさすがだと思ったのですけれども、検索だけでは実は足りなくて、Twitterの検索でそれができるかと。インスタグラムでできるのか、YouTubeでできるのかみたいなことがあって、結構今は若い人たちはYouTubeの検索を使うのです。例えば今、ここ厚労省ですので、公務員がどんな仕事をしているのかなと、若い人が検索しようとしたら、YouTubeで公務員あるあると検索したりするのです。そうすると公務員あるあるみたいな、ちょっとネタ的な動画がバーッと上がっているのを見て、へえ、公務員ってこんな人たちなんだみたいなことをあっさりやるみたいなことも含めて。
 昔はまとめサイトがありましたけれども、結構検索率が落ちて出てこなくなってきていますので、そうするとまとめサイトを読むというよりも、まとめサイトの内容がそのまま動画になったようなものを見るみたいなことになっていくと、Googleだけではなくて、動画サイトだなんだって、ありとあらゆるSNSで検索したときに届くかどうかということが必要で、古市さんもおっしゃっていましたけれども、届いた後に、バーッと出てきて、この10個の中から自分に一番ふさわしい電話を選べというのは結構難しい。となると判断力が落ちていれば落ちているときほどほぼ二択なのです。三択も結構難しい。となると二択でYES NOでやっていって、自分が今掛けられるのはこれかもしれないとか、先ほど三浦さんからも出ていましたチャットボットみたいなもので会話をやることで、もしかしたらここかもしれないなと。チャットボットの機能としてここまで踏み込んだ話はできないというのであれば、1回止めて、もうちょっと詳しい話は翌日ここでやって、もう電話番号をちゃんと用意しておくからここに掛けてねという話で、別の窓口に誘導することができれば、エスカレーションの窓口の切り分けみたいなものが実はできますから、そういうITの使い方みたいなものが結構あるのではないかと思います。
 あと私はマーケティング目的で若い人の調査をしていますけれども、このコロナで一番若い人たちに顕著だったのは、寂しいというのが上の世代よりも顕著なのですね。コロナになってリアルに会えなくなって、上の世代は今私たちもこうやって使っていますけれども、Zoomみたいなテレビ会議をやって、以外にどうにか埋められるじゃない、リアルで駄目な部分もプラスオンできるじゃないと思って、プラスだと思っているのですけれども、若い人たちはSNSが最初からあるので、もう100%ITの状態にあるところにコロナが来たら、リアルで会えないことが単純にマイナスで、純減しているだけなのです。上の世代と違ってプラスオンされていないのです。そこのプラスオンのなさの寂しさは全然違うので、大体今は大学3、4年生ぐらいから下は結構大人と感覚が違うので、そうするとまた若い人向けのコミュニケーションとか心理状態が違うから、データでバクッとやったときに、もしかしたら理由が違うかもしれないぞみたいな、ケアみたいなものも必要なのかなと思いました。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。
ハイヒール・リンゴさん、途中から入られて、ちょっとあれかも分かりませんので、今日が最初、前回御欠席だったので、自己紹介なり、このプロジェクトへの意気込みなり、もし今日のテーマであれば、御意見を伺うのはかまいませんので、よろしくお願いいたします。
 
○ハイヒール・リンゴ様(漫才師) はい、どうも、ハイヒール・リンゴです。はじめまして、よろしくお願いします。ものすごい熱いトークから入ってしまったので、私でいいのかなという思いがあったのですが、プロジェクトの趣旨を読ませていただくと、こういう現状を踏まえて、PR方法についていろいろやっていきたいというようなことだったら私もできるかなと思って参加をさせていただいたのですが、難しいと思って。でも三浦さんが報道機関の充実、森永さんがおっしゃっていた、SNSの持ち込み方、そして窓口の充実というのは、私は本当にそうだなと思って。例えば資料で頂いた報道機関には、例えば自殺の具体的な場所や原因や方法を報道しないということが資料に書いてあったのです。私はそんなの、報道の番組とかも出ていますけれども、見たことも聞いたこともなかったのですよ。だからやはり現場と厚労省の乖離があるというか、えっ、それ言っちゃいけなかったんだと、資料を見て初めて知って。だから本当、目から鱗のことが多すぎて、例えばこのゲートキーパーの問題に関しても、私は前回の資料、参加しなかったので資料だけ頂いて、このゲートキーパーってどういう人なのだろうと思って調べたら、ボランティアで年齢も60歳以上でみたいな、そういう人に若い人が相談したいのかなとちょっと思ったりもしたのですね。先ほど森永さんがおっしゃったように、若い人がSNS、電話なのかというのも思いますし、ゲートキーパーの方をもっと、今はちょっとコロナの時期なので、密になったら駄目だとは思うのですが、もう少しゲートキーパーの中身というか、質というか、もうちょっと考えていただいたほうが、今の若い子には適しているのかなと思いました。
 前回、三浦さんがおっしゃっていたみたいに、日本って自助とか同調圧力とか、そして若い子は私らが思うより恥というのを重んじるみたいで、生理の貧困というのが今ニュースになっていて、私も調べて、こんなことあるんだと思って、若い子に聞いたんだけど、一人ではないと言うのですよ。絶対そんなことないはずなのに。何人かに聞いていくと、恥ずかしいから言わない子もいると思いますと、他人のように言うんだけど、人と違う恥をかくということが私たちの世代、私らなんか恥かいてなんぼという年齢でも世代でもあると思うのですが。そういうのが、絶対恥かくのが嫌というのがやはり若い子にはあるみたいなので、その辺のことを刺激しないようにどのようにしていったらいいのかなと私、皆さんの話聞いてすごい何かいろいろ勉強になりました。
 前に病院で治療受けているときに、病院の方が車椅子の方に、大丈夫ですかとおっしゃったのです。そしたら車椅子の方は、大丈夫ですとおっしゃるのですけれども、何かお手伝いしましょうかと言ったら、じゃ、これしてもらえますかって。言い方によって、助けてもらいやすくなるので、それを何とかこういう会議で表現してみたいなと。ただ、私にはちょっと難し過ぎる。もうちょっと分かりやすい言葉で。古市さんお願いします。ありがとうございました。
 
○佐藤博樹座長 そんなことないです。どうもありがとうございました。十分理解。
駒崎さんも途中から参加で、もし両方、自殺対策について御意見なりがあればお願いします。
 
○駒崎弘樹様 (認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事) 本当に途中からだったので、皆さんの意見を踏まえてない発言になってしまうかもしれないのですけれども。自殺に関しては2つありまして、1つはNPO法人OVAさんがやられている、デジタルアウトリーチは非常におもしろい取組だと思っています。それはSNS、Twitterなどで、死にたいとか落ち込んでいるというように言う人がいたら、その人たちの所に話しかけに行く、Twitterのほうから話しかけに行くという。それでやり取りをしていくような、つまりこっちからそのつらそうな人を見つけに行くという、SNSの海の中でつらそうな人を見つけに行く。そのような、つまり相談を待つのではなくて、こっちから出張って行って、話しかけていく、そのような取組がありますことを御紹介したいのが1つ。
 2つ目としては、最近自殺の対策をやられている清水さんの団体で、電話相談員を募集したわけですけれども、その電話相談員を募集するというのも非常に大変なことではあるのですね。なかなか取れないところがあるので、その採用業務を我々が肩代わりしてやらせていただきました。それでかなり数百人から応募が来て、ちゃんと充足できたということですが、このときにちょっとテクニカルな話ですけれども、自殺対策をされている例えば団体に対して委託を出すといったときに、そこが短期間でちゃんと体制を組めるかどうか、なかなか難しいので、取りあえずそのうちの一部の機能をどこかに委託とかあるいはやってもらうみたいな、パワーアップができるような、例えばコンソーシアムを受けるとか、あるいは一部の機能をどこかに出せるみたいな、柔軟にその事業を組めると、任せたはいいけれども人が集まらなくてなかなか構想が受けられないとか、そういう事態も防げるかと思うので、その委託の出し方の部分を工夫されると厚労省の評価がアップするのではないかと思いました。
 
○佐藤博樹座長 この後、手挙げ方式で御意見を伺おうと思ったけれども、もう今6分しかない。ただ、せっかくの機会ですから皆さんから御意見を伺い、最後に1人1分弱ぐらいで、今回のテーマで言い残したこと、あるいは強調したいこと、あるいはこの施策についてこのようにと、具体的なことでも結構ですので、それを順に、駒崎さんは来たばっかりだから、金子さんから始めて、最後にまた上田先生にお願いして、副大臣にというようにしたいと思いますので、まず、金子さんからお願いします。
 
○金子恵美様 上田先生のお話を伺って、私はやっとの思いで役所に行って、そこでたらい回しにされたらもう本当に心折れてしまうということがある中で、資料の41ページに相談窓口についてのリーフレットが入っています。相談窓口のリーフレット、こちらが相談窓口ですでは、そんなドライな対応されてしまったらもうそれで変な話、自死を選んでしまうことも考えられるので、やはりワンストップで、一旦市町村の窓口で2時間、もうちょっと明るいDVDを見てもらっている間に相談員が来るとか、そういう窓口の対応まで考え直すべきべきではないかと思いました。
 それと、サポステみたいに就労支援というのは生活困窮者にとっては大事ですけれども、うつでひきこもりの方が即戦力求められてもそれはなかなかですね。社会がそういうのではなくて、社会で自立していく、ステップアップしていく機会を提供していく中で、これは厚労省だけではなくて、農業分野の就労ということで、農水省とか国交省の空き家スペースを使って、それで皆リフォームして、リメイクして何かいろいろやっていこうというのは国の支援としてやっていくとか、あるいは環境省でクリーン作戦をやっていくとかいろいろな形で、まず一歩を踏み出せるような機会を提供していくのは、これは各省庁で連携していったらいいのではないかと思います。
 最後に、23ページの「あなたの声を聞かせてください」に、厚労省のホームページに到着するという話ですが、これは基本的なことですが、やはり上田先生がおっしゃったように、自分の人生に絶望して明るい未来が描けない。自らの手で人生に幕を降ろしてしまいたいと思っている人が、ここの厚労省にアクセスすれば何かしらのきっかけで明るくなれるという、可能性を分かりやすく簡単にPRすべきなのに、「あなたの声を聞かせてください」って、これはクレームですかと。クレームを聞かせてくださいみたいに思えてしまうので、むしろこの小さいほうの表記ですが、悩みを抱えたら相談してくださいというようなことの表記の仕方、こういう基本的なこととか、最後に、これは上田先生に、対話の相手の顔を見せることってどうなのですか。対話の顔が、相手の顔が見えるのは大事ですよね。厚労省の奥に誰かいるかもしれない、相談員、支援員がいるかもしれないというのではなくて、やはり対話の相手の顔を見せることが私は必要だと思うので、相談員の顔とかプロフィールを載せるというのも安心につながるのではないかと思いました。
 
○佐藤博樹座長 では、小室さんお願いします。駒崎さんは後ろに回します。
 
○小室淑恵様 2点申し上げます。1つはひきこもりやうつに関して、1点改善してほしいと思っているのが、その要因の1つに発達障害などの早く医療につながったほうがいいケースがあるわけです。紹介して医療につながろうとしても、初診が半年待ちの病院が大半でして、その間に病院に行くことの心が折れてしまうというケースが、それで1年半ぐらい行かないままというようなケースが非常に多く見られます。何とかこの初診を取りにくいという、今一番緊急なのに初診が取りにくい病院の状況というのを、もう少し厚労省から関与して、最初のアプローチにさっと予約が取れるような対応ができないのだろうかと思いますので、是非そこのところの改善をお願いいたします。
 もう1点は、これは本当はすばらしいのに全然知られていないと思ったのが、37ページの生活保護に関して、次々に対策をされて、これは本当にすばらしかったと思うのです。車を所有していると生活保護の対象にならないというように、いまだにみんな思っているのです。だけれども、これは素早く対応されたのですね。そういう変化をしたのにあとは安価な家に住んでないと、高い家賃の家に住んでいると受けられない、これもいまだに思っている方がたくさんいらっしゃって、こんなにスピーディーに対応したけれども、それが知られていないのはすごくもったいないと思っていまして、知らせたつもりだと思うのですが、国が仕組みに対し、この点についてはこんなに条件を緩和したのです、しかもスピーディーに緩和したのですというようなことを、メディアに扱ってもらえるまで、何度もやっていただければと思います。
 
○佐藤博樹座長 ありがとうございます。では、菅井さんお願いします。
 
○菅井利雄様 ありがとうございました。今日いろいろとお話を伺っていて、私も本当にいろいろと改めて考え直すところもありました。1点言えることは先ほどもデータがありましたが、と申し上げながらデータばかりではないのですが、世界的に見た場合に日本人女性の死亡自殺率ランキングを、事務局に質問して調べてもらってデータを頂きました。それですと、世界3位です。上から数えて3つ目という状況です。ですから、今、コロナ禍の中で昨年12月に、すごく自殺者が増えたという事実がすごくショッキングなデータだと思うのですが、現状として今コロナ禍のない世界においても、やはりまだ今、世界的に見ても、日本人の女性の環境というのは、まだ改善しなければいけないところが多いのではないかなと思いました。ですからコロナ禍が明けた後、またその後ももちろんですが、やはりこういった対策というのは継続して行わなければいけませんし、やはりそういった世界でもその上位であるということを踏まえて、やはり恒常的にどう取り組んでいくべきなのか、その辺は国としてもいろいろと御検討いただければなというふうに思います。私からは以上です。
 
○佐藤博樹座長 では、トラウデンさんお願いします。
 
○トラウデン直美様 今日お話の中で、すごく興味深いものがいろいろあったなと思って、若い人たちが恥ずかしいという感情があるだとか、チャットボットがいいのではないかという話がありました。実際チャットボットと話すというのは恥という部分を解消する意味ではすごく有用だなというふうには思ったのですが、一方でやはり、その中でも死にたいというワードをSNSに出すということは、やはり実体のある誰かに見てほしい、気づいてほしいというそういう部分もどうしてもあるのかなと思ったので、そこのチャットボットを活用できればそこをしつつ、そこから支援に、実際の人につながることに対する何というのでしょう、拒否感というものを産まないような、こういったシステムができないかなというようなことを考えていたのですが、さすがに難しくて余り出てきませんでした。何よりも、やはり自己責任という気持ちをいかに解消していけるか、頼ることが悪いことではないというような雰囲気をつくるかというところの難しさなのかなというふうに感じました。不勉強ですみません、なかなかいいアイディアが表わせませんが、以上です。
 
○佐藤博樹座長 そんなことはないですよ。どうもありがとうございます。では、西田さんお願いします。
 
○西田亮介様 上田先生、それから厚労省の皆様、お話と入念なレクをどうもありがとうございました。今回、頂いた資料の中で緊急小口資金と総合支援資金の問題について言及がなかったかと思いますので、言及させていただきたいと思います。これらの利用期間の延長がなされているということは、今般、報道されているかと思いますが、償還免除の措置が随分迅速に実施されている、こちらについては報道量が少ない印象をもっております。もちろんきちんと返済してもらうことが前提ですが、住民税非課税等の方々を中心に、償還免除の措置があるということも併せて改めて周知を徹底いただきたいというのが1点です。
 それから、その措置というのが本当に住民税非課税世帯を中心にしたものでいいのか、もう少し幅広な対応ができないか、柔軟な対応ができないのかということを御検討いただきたいというのがもう1点です。
 総合支援資金については、まだこれは償還免除の措置がどのように適用されるのかということは検討中だというふうにレクをいただいたかと思います。是非、そちらについても前向きの御検討というのがいただければよいのではないかという印象をもちました。以上です。
 
○佐藤博樹座長 次に、古市さんお願いします。
 
○古市憲寿様 今日の議論は、どちらかというと若者が中心になったと思うのですが、本来は自殺って高齢者の方のほうが多分多いと思うので、日本の高齢化がピークアウトする2040年代、50年代までは自殺者が激減するということは多分ないと思うので、高齢者向けの施策も考えなければいけないなということが1点です。
 あと恥の話なのですが、やはり助けてという言葉はすごい勇気がいる言葉だなというふうに思うんですね。なかなか助けてと言えなくて、助けてと言えばそれはみんな助けてくれるのだろうけど、なかなかその一言が言えない。だから、助けてと言えない人に何ができるのだろうかという観点、そういうアプローチが大前提で大事なのかなということを思いました。以上です。
 
○佐藤博樹座長 すごく大事な点だろうと思います。三浦さん、お願いします。
 
○三浦瑠麗様 はい。先ほど私も困窮者支援のところを触れられなかったのですが、西田さんが先ほど御指摘されたように、この制度というのはしっかり返さなくていい場合が結構あるということを周知すべきだし、私は初期にかなりこれをいろいろな所で言ったのですが、どうしてもマスメディアは多数の人の10万円寄付とかにすごく時間を割けがちで、本当の困窮者支援にはほとんど時間を割いてくれないんですね。これに関しては最初にアナウンスをしたときに、いや、でも3か月までなんでしょという意見がすごい多かったです。ですから、物事は3か月では改善しないのだから、そこまでいけないと。逆に言うとある程度3か月生きられるぐらいのお金はあったり、借金はあったとしても水道代とかを払えているみたいな段階で、恐らくこういうものに対して関心が高まってくると思うので、ある意味、両者をつなぐものですよね。本当に困窮者で生活保護一歩手前とか、生活保護にいこうとしている人と、そうでなくてかなり民間でこれからローンを大きなのを借りようとしてしまっている人とかという間のほうに、ちょっと支援が必要かなというふうに思いました。
 あと困窮者支援に関してはひとり親世帯だけではなくて、両親がいる困窮者世帯支援に向かうというのはとてもいい案だと思うのですが、なんかどうしても今後どうやって自活していくのかということを考えたときのメッセージというのも必要ではないか。こんな自活支援、再スタート支援がありますというメッセージも、ちょっとコロナからちょうど1年たったので、そっちの方も積極的に発信を心掛けていくのがいいかなというふうに思いました。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。皆さん、もう時間が過ぎているので抜けなければいけない用事がある方は、抜けていただいて構いませんので、すみません。では、森永さんお願いします。
 
○森永真弓様 こういったコミュニケーションの中で、例えば窓口に行ったときに断わられてしまって、もう行き先がないみたいなことに詰んでしまって、もう自殺してしまうみたいなことがあるときに、例えば自治体に行きました、うまい対応をされませんでしたと言ったときに、それを訴える先が1つあるというだけでも救われるみたいなことで、目安箱ではないですが、そういったものは施策として1つあればいいのかなというのを思いました。それが1点です。
 もう1つは、コミュニケーションの観点です。SNS活用で一番大事にしなければいけないのは、とにかく届けることを諦めなくて、永遠に続けて何回でも言葉遣いを変えて言い続けるということなので、それを是非やっていただきたいなと思います。その中で特にSNS活用で輝くというか、響くとしたら臆測とかで、要するに私たちがやりたいコミュニケーションを邪魔する情報を、とにかく潰していくために使うという観点も入れていただけると、逆にマスコミから情報が出たときに思いもかけない報道のされ方をされてしまったときに、訂正をする場として使うという形を考えていただけるといいかなと思います。以上になります。
 
○佐藤博樹座長 では駒崎さん、もし何かあればお願いします。
 
○駒崎弘樹様 短く3点だけ。皆さんがおっしゃっていたチャットボットの件なのですが、私、特別養子縁組の相談支援でチャットボットを使わせてもらっています。24時間対応できるので、すごくいいなというふうに思うのですが、これは国で例えばチャットボットを作ろうとかという事業にした場合、是非念頭に置いていただきたいのが補助金をもらったところで、それぞれチャットボットを作るというのはやはり結構無駄なので、補助金が入ってチャットボットとかシステムを作った場合、アルゴリズムを公開して使い回しができるというふうにすると0から作らなくてよくていいので、是非そうした形でやってもらえたらなと思います。
 2つ目です。古市さんが言っていた「助けて」と言う力なのですが、これは福祉のほうの用語で、援助希求力というふうに言います。ヘルピング能力と言うのですが、基本的には人に迷惑をかけるなとかというふうに社会的な圧があると、援助希求力が育たない。困ったときに困っていますというふうに言えるというのは、これは能力で、かつそれを磨くことはできるので、教育課程の中で困ったときには相談しようということを、きちんと入れ込んでもらって、別に言うことは悪いことではない、恥ではないのだということをきちんと教育課程の中に入れてもらえるといいだろうなというふうに思っています。日本人はこの援助希求力はものすごく低いというふうに言われています。それは社会的な圧が、我々がそれを奪っているからです。
 最後の3つ目です。三浦様が指摘されたDVの話ですよね。これは今女性の自殺が増えているところの要因の1つが、このDVではないかと言われていると。このDVに関してめちゃくちゃ日本の政策は貧弱です。例えばDVシェルターを今私がやっているのですが、ほとんど使える制度がないんですね。ですから補助金が全然ない、故に手弁当でやる、だから食えない、そうするとインフラがない、逃げられないというサイクルになります。ここの部分をきちんと考えないと、DVで相談してねと言っても、では逃げましょうというときに逃げる先がないからというので話が終わる。なので、ここは、やはりある程度お金で解決できる問題なので、しっかりと予算を動かすべきだなというふうに思います。以上です。
 
○佐藤博樹座長 ハイヒール・リンゴさん、もし何かあれば。
 
○ハイヒール・リンゴ様 こういうふうにさせていただいて、厚労省とかがすごくいろいろな調査をされて、いろいろな施策をされているということを知って、はっきり言って驚きました。私は50歳まで不妊治療をしたのですが、何もかもこちらから働き掛けないといけないということにすごく疲れ切ってしまっていたのですが、きっとそのときもこういう施策があったのだなと。私のできる限りで、いろいろなツールとかメディアでこれをきちんと伝えていけるように頑張ります。
 
○佐藤博樹座長 最後に、上田先生から何かあればお願いします。
 
○上田路子様 幾つか、すみません、コメントをさせてください。まず今回議論でも皆さんが考えている自殺と、実態としてずっとかけ離れているところがあったので、幾つか指摘させてください。やはり教育の話なのですが、自殺とか自殺について話すことは悪影響があるのではないかみたいな話が何回かあったと思うのですが、実はそれは完全に否定されています。自殺について話すこと、若しくは自殺したいと思っている人に、自殺したいと考えているのと聞くことは、全く害ではないというのは研究で分っています。ですので、子どものうちから、そういう自殺もかえって包むほうがよくないのですよね。きちんとオープンにして話して、こういうリスクがあって、そのためにはこういうリスクファクターがあって、こういうふうに、こういう症状が出たら危ないんだよ、そのときは助けを求めてねという教育をするほうが全然大事なんです。ですので、かえって隠してしまうほうが本当によくなくて、それが1つ、皆さんに知っていただきたいなと思ったのと。
 あと今回、結構相談機関の話が出たのですが、実は相談機関につなぐことだけでは全然本質的な解決になっていないです。話を聞いて、もちろん一時的にはよくなるかもしれないのですが、実際に支援につないで、しかも一時的に補助金をもらっただけで、やはりどうしようもないのですよね。本当に困った方が実際に再就職して生活を立ち上げなければいけない、そこまで考えなければいけないということで、今回厚労省の課長補佐さんが用意していただいたほうで就業支援とかもあったのですが、その辺はもう少し多分強調していただくといいかなと思います。やはり今の補助金だけのだと、まず絶対額が足りないですし、長期的にはやはり無理だと思うので、直接彼らをどうやって就職していくかということを長期的に考える必要があるかなというのと。
 あと、やはり例えば頂いた42ページの資料とかを見ていただいて、今回も話題になりましたが償還免除。こんな単語は、普通の人は分かりません。私でも、これはどういう意味なのだと思いますもん。こんな難しい単語をこのリーフレットに載せても、これは何を言っているのかちっとも分からないというふうになってしまうんですよね。で、要するに我々の常識や優秀な方や専門家の常識を当てはめては絶対駄目だと思うんですよね。ちょっと、本当に皆さんが分かりやすいようにしなければいけないというのが1つと。
 あと例えば、皆さん結構ネットでいろいろやっていらっしゃいますが、ネットで情報を出しても、我々は自宅に必ずネット環境がある、幾らでも使い放題ですよね。そうでない家庭だって幾らでもあります。携帯しかなくて、データ量も……で出て、そんな何回も何回も自分で探しにいくことなんかできない家庭だって幾らでもあると思います。なので、我々の常識で政策や対策を考えると、恐らく全然ずれたものが出てきてしまうと思うので、やはりうまくちょっとその辺を吸い上げてしなければいけないかなと思います。
 最後に、DVとチャットボットについて一言だけ申し上げます。DVとの関連は、これはまだきちんと出ていないので、DVとの関連を実際的に直接結び付けてというのは危険なので一言それだけ申し上げたいのと、関連するかもしれませんが、そこまでの証拠は出ていないということです。それからチャットボットなのですが、私はチャットボット、SNS相談を手伝っているので考えましたが、最初の入口で整理するぐらいはできます。ただ、実際に本当に困った人の悩みをチャットボットでできるかと言ったら、残念ながらそこまで技術的には追い付いていないです。なので、入口の整理ぐらいはできるかなぐらいのイメージのほうがいいかなと思います。以上です。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。やはり皆さんが言われたように、当事者と政策を考えるとギャップをどう見ていくかというすごく全体として考えると大事だと。それでは、大隈政務官のほうから一言、それから副大臣に移りたいと思います。
 
○大隈厚生労働大臣政務官 大分、時間も押しており皆さんもお腹がへった頃だと思いますので、手短にと思っております。政務官の大隈でございます。今日は、本当に長い時間皆さんに御参加いただきありがとうございます。また、上田先生にも今日は大変データとエビデンスに富んだ体系的なお話をいただいて、本当にありがとうございました。私自身は、この9月に厚労省に入り今いろいろと支援のほうを職員と力を尽しているのですが、今日のお話の中で、つくづく私自身も実感しますのは、支援はあるけど届かないということが1つ。それから支援自体が足りないか、あるいは的はずれになっていないかということのバックアップをしっかりと考えていかなければいけないというふうに思っております。先日来、三原副大臣にお声がけいただいて、例えば女性の健康管理、例えば健康診断などというのを見ますと、やはり高度成長期の本当に企業戦士、男の企業戦士をつくる、管理するための健康診断というのは未だにガラパゴス化して続いているということがあり、それもよく今回に当てはめてみると正に女性が今回学生さんもそうですが、非正規、あるいは家庭の中でいろいろなストレスを抱えながら、その方々を直撃したというのがコロナの特徴なのかなというふうに考えております。やはり女性として、もちろん男の方が人数的には倍以上ということで、これももちろん対策は必要ですが、しかし男性女性とこの会の趣旨であるように、女性に特化した、女性に特異的な例えば医学生理学的なことも含めたアプローチというのがやはりいるのではないか。逆に言うとそれがないことが、今回の、言葉はあれですが、私自身は敗北感といいますか、もう少しできなかったかなというのがございます。
 例えば10月、一番ピークのときですが、いろいろ議論いただきました緊急小口資金ですとか総合支援資金、住宅の援助にしても、一番使われていないんですね。10月、11月というのが。やはり全然届いていない。一番人数が、自殺者が多いときに全く支援が使われていないというのは、これはどういうことなのかということもやはりこれは検証していかなければいけないというふうに思っておりますし、その点のことも含めていろいろと、今日頂いた御意見をしっかりと、これからも今日でもちろん解決には至りませんので、しっかりやっていかなければいけないというふうに思っております。アプローチに関しては、まだまだですね。例えば私も大阪でいろいろなNPOの団体も含めて拝見しますと、住民票がない。住民票がないと、そもそも行政の支援の窓口に届かないんですよね。DVで逃げてきて住民票がないとか、身分証明がないとか、下手すると中には戸籍がないというような方もおられて、そこのところも含めて、あらゆるレイヤーでアプローチの漏れがないようにしっかりとやっていくための、もっと分かりやすい支援ということを皆さんと一緒にこれからも考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
 
○佐藤博樹座長 それでは最後に、三原副大臣お願いします。
 
○三原じゅん子副大臣 三原でございます。皆さん、本日もお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます。今回のこの自殺予防対策、そして生活支援策という第2回目の会合ですが、今思えば、このプロジェクトチームを立ち上げたきっかけは、正にこの自殺と生活者困窮を何とかしようということが目的だったのではないかなというふうに、改めて初心に戻った気がいたしております。
 そういう中で、サブタイトルで、もっとあなたを支えたいという言葉を付けさせていただいたこの支え方、寄り添い方というところに、今日はいろいろな御意見を頂いたのだと思います。対人というのが、本当に恥をかくのが怖いという一番そういうデリケートなところ、そういうところにも私たちは本当に心をもっていけていたのかなということも改めて考えましたし、また女性の自殺が多いということで一括りにして考えるのではなくて、やはり学生さん、高校生が多いということを考えると、生活でお困りの女性の方と高校生の自殺の原因というのは、多分違うところに要因があるのだろうと。ということは対応策も、そこははっきりと分けて考えるところも必要なのかなと改めて感じたところでもございます。発信の仕方が、やはり私たちが一番今回頑張らなければいけないプロジェクトチームでありますので、そうしたところを寄り添い方というのを、三浦先生もおっしゃっておりましたように考えていかなければいけないなというふうに思います。
 もちろん、教育ということも自己肯定感の低さということを思うと、やはりもう少し前から、うつになる前からできることが私たちにはあるのではないかなというふうに思いますし、またそうしたことに取り組んでいかなければ、まず予備軍を減らしていくことが何よりも大切なのだろうと、今日皆さんのお話を聞いて感じさせていただきました。
 また、3回目、次は女性の支援、そして子育て支援ということで、これも今回の2回目と重なる部分がたくさんあるかと思いますが、どんなことでも結構ですので皆様の御意見、お考えをまた伺わせていただきたいなというふうに思っております。
 そしてまた第4回目ですが、こちらは今ある政策を皆さんにどうお伝えしたらいいのかという発信プロジェクトとちょっと違ったところへいって、皆さんが、もっとあったらいいなという政策、こんな政策があったらいいのに何で厚労省はやらないのというような政策がありましたら、お考えをどんどん聞かせていただきたいという会にしたいなと思い、できるだけ厚労省の担当者をこちらにずらっと呼んで聞いてもらおうというふうに思います。
 やはり、いろいろな立場の方にお話を聞くと、私たちはいつも当事者か専門家の意見ばかりを聞いているので、どうもちょっと偏り気味なのかな。もっと広い視野でいろいろなお仕事をされている皆さんのお考えを聞くことが私は大切なのだということを、声を大にして言いたいなと思っておりますので、是非皆さんのお考えを聞かせていただければ有り難いなというふうに思っております。まだまだ先は続いていきますが、とにかく発信の仕方ももちろんですが、皆様と今困っている方を支えるためには、私たちに今できることはなんだろうかということを、一緒に考えていただけたら有難いなと思いますので、これからも何とぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤博樹座長 どうもありがとうございます。ちょっと時間が延びましたが、本当に熱心に御議論いただきありがとうございます。それでは、事務局に戻します。
 
○蒔苗事務局長 私から、何点かございます。1点目は、先ほど御議論がありました総合支援資金のいわゆる返済免除でございます。こちらは今日の資料の33ページに付けております。実は一昨日の対策で、返済免除のルールを明確化しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 2点目は、今日前半で議論に出ました市町村別の自殺者のデータでございます。こちらは、後ほど皆様にお送りさせていただきます。
次回の日程ですが、副大臣からお話がありましたように職場における女性支援と、子育て支援をテーマに4月6日16時から、今日と同じ会議室で行います。次回は、小室さんと駒崎さんにプレゼンをお願いしますのでどうぞよろしくお願いします。
 では、最後にもう1点でございます。第1回の議事録ですが、事務局でチェックして、ほぼ大丈夫なものを後ほどメールしますので、何かあれば月曜日までにお願いします。大丈夫だと思います。では、今日はどうもありがとうございました。

発信元サイトへ